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殿様の試写室

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殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

歩いても 歩いても

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歩いても 歩いても

♪歩いても 歩いても 小舟のよぉ~うに♪
と頭の中でリフレインしながら、映画の解説を読んでいたら
『家庭劇(ホームドラマ)の伝統の中で』という一節が目に入りました。
小津安二郎が描いた父娘の哀感、
あるいは向田邦子の「寺内貫太郎一家」の系統なのだそうです。
この映画はホームドラマなんですね。
でも、ジャンル分けは不要です。
是枝裕和監督は今回も良い映画を見せてくれました。
小舟になって映画の流れに身を任せることのできる心地の良い作品です。

海の見える風景の中を赤い電車が行きます。あれは京浜急行?
夏の午後、傾斜地に密集した家々、都会ではないけれど田舎でもない。
既視感が期待感を呼びおこし、物語へと引き込まれていきます。

横山良太40歳。現在、求職中の絵画修復士で妻と息子と一緒に実家に向かっている。今日は兄純平の命日。坂道を登り、実家に着くと姉のちなみと母が台所で食事の支度をしている。父は引退した開業医。母は専業主婦。姉ちなみは夫と子ども二人で近所に住み、近々この家をリフォームして両親と暮らすつもりになっているのだが。にぎやかに昼食をとり、母と良太家族は墓参りにでかける…

横山家の夏の一日を淡々と描いた映画。
良平が抱き続ける兄への劣等感やひがみ、
後継ぎを失った父が決して口に出すことのない思い、
食事の支度に専念しながら、時に母の胸をよぎる
「あんなことで死んでしまった」長男への無念。
さまざまな色のさまざまな思いがこの映画の底に流れます。
是枝作品の常連YOUと今回が初出演の樹木希林のかけあいににんまりしながら、
夏の浜を洗う波のようなできごとに身を浸しているうちに結構グッショリぬれてしまう…
おだやかですが、じわりとしみこむ映画です。

スタッフ
監督・原作・脚本・編集/是枝裕和、撮影/山崎裕
キャスト
良平/阿部寛、妻/夏川結、ちなみ/YOU、母としこ/樹木希林、父恭平/原田芳雄

シネカノン有楽町1丁目、渋谷アミューズCQN、新宿武蔵野館他にて6月28日全国公開
 
by Mtonosama | 2008-06-05 12:25 | 映画 | Comments(0)