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殿様の試写室

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大丈夫であるように―Cocco 終わらない旅―

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(C)2008「大丈夫であるように」製作委員会
大丈夫であるように
――Cocco 終らない旅――


是枝裕和監督作品が好きです。
「誰も知らない」(‘04)を観終わって、感動して呆然と座席に座っていた時
突然、監督本人が現われ、試写室の観客に挨拶をしました。
舞台挨拶ではありません。座席とスクリーンの間、いわゆる平土間での挨拶です。
まだ、公開もされていないし、カンヌでの主演男優賞など思いもよらない時の話です。
大きな体の実直そうな監督はボソボソと話して、すぐにひっこんでいきました。
あんな普通の人がこんなすごい映画を作るんだ、と思ったものです。
そのときから「花よりもなほ」 (‘06)、「歩いても歩いても」(‘08)と続き
本作「大丈夫であるように」です。もう、これは観なくては。

「観るぞ」と意気込んで試写室に向かいました。
ところが、Coccoです。Cocco,who?

映画の冒頭、なにやらゾロリとしたスカートをはいた痩せぎすの女の子が
ゴム草履でペタペタと冬枯れの沖縄の田舎町を歩いています。
沖縄だとわかったのは冬なのにゴム草履を履いていたからです。
カメラに撮られているという高揚感があるのか、それとも元来がそんな性格なのか
痩せた女の子Coccoはやけに元気そうに田舎町の商店に入っていきます。
お店の人とは顔なじみの様子です。
そうか。沖縄出身なのか。アルバムを録音した時お世話になった人たちに挨拶をしているのか。
と、なんとなくわかってきます。

Coccoはロケバスの中でも元気そうによく話します。黒砂糖をかじる姿が映し出されますが
そのときナレーションが入ります。

「この旅行中、彼女が口にしたのは
彼女の母が生まれた島でとれた伊平屋島産の黒砂糖だけだった」


拒食症だったのですね。
そういえば、先日亡くなった筑紫哲也さんの追悼番組に
ロンドンからの中継で彼女が出演していましたが
映画の時より痩せていたようでした。

1997年シングルCD「カウントダウン」でメジャーデビューした1977年生まれのCocco。
アルバムを4枚出し、HITACHIのCFや「ミュージックステーション」に出演するなど
活躍しましたが、2001年に突然活動中止。
そして06年復活。
沖縄での「ゴミゼロ大作戦」、絵本の執筆など歌とは違う分野でも活躍しています。

彼女の「Raining」という歌を聴きましたが、優しいメロディラインながら、
その歌詞の激しさにちょっとたじろぎました。
「ジュゴンの見える丘」もメッセージ性の強い歌です。

07年8月ヘリポートの基地移設が進行中の大浦湾
絶滅の危機にあるジュゴンのニュースがきっかけとなって生まれた「ジュゴンの見える丘」に
共感した是枝監督がCoccoデビュー10周年の全国ライブツアーに同行
家族と暮らす沖縄での日常も記録しました。
それがこの「大丈夫であるように ―― Cocco 終らない旅 ――」です。
この作品、ドキュメンタリー映画なのか、メッセージ映画なのか
それは監督自身も答えを出せないそうです。

ひめゆり部隊で生き残ったおばあたちを招待したライブ。そこで歌う「お菓子と娘」
六ヶ所村から届いたファンからの手紙を読んでプルトニウムリサイクル施設を訪れるCocco。
危険と隣り合わせに生きる人々が沖縄以外にもいることを知り、ライブでそのことを熱く語ります。

「歌で何ができるかわからないけど、失くすものも守れないものもいっぱいあるけど、それでもやっていこうと思う」


ドキュメンタリー映画?メッセージ映画?
監督本人がわからないというのですから、私もわかりません。
でも、この映画を観て、苦しくなるほどに感じたのは
Coccoは人々の苦しみをすべて一人で背負い込もうとしているのではないか。
ジュゴンの住む場所がなくなるかもしれないことも自分の責任として感じているのではないか。
それが拒食症とリストカットとして現われているのではないか、ということです。

細い体で声をふりしぼるように歌う彼女を見ていると、そんな痛々しさを感じてしまいます。
是枝監督、筑紫哲也。Coccoは真剣な映画作家、ジャーナリストにとってのミューズなのでしょう。
監督の言葉です。

「Coccoの旅に同行した。
きっかけはライブ・アースでジュゴンのことを語り、唄う、彼女の姿を見たことだった。
僕の中で何かが震えた、何かしたい――素直にそう思った。
だから撮らせてもらうことにした。泣きながらカメラを回したのは生まれて初めてだ。
この感情を一人でも多くの人と共有できたらいいなぁと、今、強く思っている」


Cocco,who? なんて言ってごめんなさい。
文字通り、身を削っての彼女の訴えに耳と目を向けなければいけないのかもしれません。

大丈夫であるように -Cocco終わらない旅―
プロデュース・監督・編集/是枝裕和
出演
Cocco
挿入歌
「てぃんさぐぬ花」「赤田首里殿内」「じんじん」「べーべーぬ草」(沖縄民謡 作者不詳)
「お菓子と娘」(作詞:西條八十、作曲:橋本国彦)
「Rainbow」(作詞・作曲:Dr.Strangelove)
「樹海の糸」「強く儚い者たち」(作曲:柴草玲)
「連続カチャ―シー2005」(金城実&よなは徹 リスペクトレコード)
12月13日シネマライズ・ライズX他にて全国ロードショー
配給クロックワークス
www.dai-job.jp

by mtonosama | 2008-12-01 06:38 | 映画 | Comments(10)
Commented by すっとこ at 2008-12-01 08:14 x
恥ずかしながら
Coccoさんという人のことを
まるきり、ちーっとも、全然知らなくて

殿様の「Rainingの歌詞にたじろいだ」というので
検索してきました。
・・・・・こりゃたじろぐわ。

伝説になったというHitachiのCM,ブラックジャックの
声の吹き替え、当初吹き替えだけのはずが声優だけには
おさまらず本人も出演、しかしあまりの個性の強さに放映されて
すぐに中止となったという幻のCMも見ました。

これは・・・何と言っていいのか・・・・
むきだしの感性というのか。

Coccoさんって日本で有名なひとなのですか。
有名になることは本人につらくないのかな。
Commented by との at 2008-12-01 08:45 x
すっとこさん、お帰りなさい。

You Tube見ましたか。たじろぎましたでしょう。
あたくし、お、おーっと声にならぬ声を上げ、よろよろと倒れてしまいました。

Coccoについて、身近な30代の方々に訊いてみましたが、
ご存知のようでした。とのも名前だけは知ってました。

Coccoって有名でも無名でも、
ありのままにいっちゃうという感じの人のような気がします。
ただ、あまりすべての災いを自分で背負込まないでと伝えたい。
おばさんはつい余計なお節介をしてしまうのでありますが。
Commented by ライスケーキ at 2008-12-01 20:52 x
私も Cocco,who? です。 どんな歌手なのかネットで見たけど
1977年生まれだから31歳。 我が息子とだいたい同じ世代ですね。 それで拒食症でリストカットですか。 聞いてるほうも辛いです。 「おさげ髪は切り落とさないで。 やっぱり私は可愛いリボンをつけて風にゆれている おさげ髪が好き」 ノーテンキなオバサンは思います。 何かメッセージを伝えるのでも 肩肘張らず ゆっくり大きなうねりになるような伝え方をして欲しい。 まだ映画を見ていないからこんな事が言えるのかな。 
Commented by mtonosama at 2008-12-02 05:29
ライスケーキさん、Coccoは一生懸命なんですわ。
さらに歌手なのですわ。人間として理不尽な事態にとまどい
歌手としてとにかく歌い続けているんですわ。
なのに、次から次へと問題に直面するから自分を追いつめてしまうんですわ。
この映画がゆっくり大きなうねりになっていくといいですね。
Commented by ヴィッキー at 2008-12-17 23:07 x
さすが、お殿様。Cocco,who?−−とは(笑)
永遠にまっすぐに、沖縄の海のように透き通るこころの持ち主。。
と知人が言っておりました。
Commented by との at 2008-12-18 05:39 x
ヴィッキーさん、お久しぶりです。

Coccoは確かに沖縄の海のように透き通る心の持ち主ですね。
監督が泣きながら撮影したと言っているのが
よく理解できました。

でも、ちょっとやせ過ぎ。もう少しご飯食べてほしいです。
Commented by アサ at 2008-12-20 21:40 x
とても楽しみにしていましたが、この映画は熊本では上映がありません。
COCCOファンとしてはとても残念ですが、同時に本が出版されていたのでそちらを拝見しました。
最後の彼女の言葉にはさすがに涙が出ました。
COCCOはゴミゼロ運動の時子供達に、できるだけ矛盾せずに生きて行く、矛盾せずに生きて行けるから大人になる事を怖がらないでと言ってました。
すごく衝撃でした。
彼女の様な大人が居るコト。まだハタチだった私にホントに大切な事を教えてもらいました。
Commented by との at 2008-12-21 06:09 x
アサさん、はじめまして。熊本からのお便りですね。

アサさんのコメントを読んで、是枝監督がなぜ泣きながら
Coccoの映画を撮ったか、わかったような気がしました。
ありがとうございます。

熊本では公開されないとか、残念ですね。
Commented by Paul at 2010-03-15 00:36 x
彼女は見過ごせないのでしょう。
そのまっすぐさに、介入できない歯痒さ。泣けて来ます。
皆がcoccoのような感性を少しでもいだくことができればと祈ります。
Commented by mtonosama at 2010-03-15 06:18
♡Paulさん

はじめまして。お立ち寄りくださって、ありがとうございました。

映画の中にあった辺野古の海岸。
そこで暗い顔をしていたcoccoの顔が忘れられません。

今、基地問題で二転三転する中、
彼女はどんな気持ちでいるのでしょう。

coccoひとりを追い詰めないようにしなくては、と思います。
ほんとに私たちが彼女の感性を分け合えたら…