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殿様の試写室

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カテゴリ:映画( 960 )


ラスト・プリンセス
―大韓帝国最後の皇女―
-2-

THE LAST PRINCESS

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(C) 2016 DCG PLUS & LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.


『ラストエンペラー』
そして、
『ラスト・プリンセス』
いずれの作品も
日本の侵略が関わった悲劇です。

なんかとっても恥ずかしいです。

日本統治時代、
徳恵翁主は13歳で日本へ強制的に
渡航させられましたが、
当時、既に
彼女の異母兄(高宗四男)の英親王が
人質として日本に住み、
梨本宮の方子(まさこ)と結婚していました。

彼は「人質は自分一人でたくさんなのに」と
ひどく腹を立てていたそうです。
そりゃ、そうですよねぇ。

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ストーリー
「朝鮮」から「大韓帝国」へ国号が変わり
李氏朝鮮第26代国王・高宗(コジョン)が
初代皇帝の座についていた日本統治時代。

1919年
皇帝と梁(ヤン)貴人の7歳になる娘・徳(トッ)恵(ケ)翁主は
両親の愛を受けて成長。
だが、皇帝は激動の時代を生き抜かねばならない娘の身を案じ、
侍従キム・ファンジンの甥
キム・ジャンハンを娘の結婚相手にと考えていた。
しかし、ジャンハンは亡父の遺志を継いで
独立運動家になることを固く決意していたので
徳恵との婚約を辞退するのだった――

皇帝は日韓併合条約に反発を抱いていた。
そのことで朝鮮総督府と激しく対立した夜、
幼い徳恵の目の前で薬殺されてしまう。
暗殺を企てたのは王公族の家務を司るハン・テクス長官だった。

※王公族とは、大日本帝国により併合された旧大韓帝国皇族である
李王家とその一族の日本における身分。


1925年
徳恵とジャンハンは友情以上の絆で結びついていた。
だが、皇族である彼女には自由な生き方など許される筈もない。
日本への留学が進められていた。
テクス長官が彼女の存在を危険視していたからだ。
「勉強が終わったら必ず帰ってきます」
後ろ髪をひかれる思いで母に別れを告げ、
侍女ポクスンを伴い、宮殿を後にする徳恵だった――

数年後の東京。
異母兄・英親王と妻・方子の邸宅で
暮らしていた徳恵のもとへ
大日本帝国陸軍少尉となったジャンハンが訪ねてきた。
だが、ここでもテクス長官の監視の目が。

卒業したにもかかわらずいつまでも
帰国できずにいる徳恵は
甥のイ・ウ王子から
「祖国へお連れします」と
思いもよらない言葉をかけられる。

彼は朝鮮を日本の統治下から取り戻そうと
独立運動家を率いていたのだ。
彼らは祖国復興の目標を掲げ、
英親王と徳恵を上海に亡命させるため
綿密な計画を立てるのだった。

ある日、
テクス長官から朝鮮人労働者への演説を頼まれる徳恵。
その返礼は祖国への帰還だった。
危篤に陥っている母に会いたい一心から
労働者の前で日本語の原稿を読み上げる徳恵。
だが、原稿から目を上げた時、
そこにいたのは奴隷のような扱いを受けている同胞の姿だった。
思わず、徳恵は朝鮮語で
「祖国の家族のために希望を捨てないでください」
と語りかけた。

怒り狂ったテクス長官は
彼女の帰国を取り止める。
その後、追い打ちをかけるように母の訃報が・・・

徳恵に残された道は亡命のみ。
決行は東京で開かれる紀元節の記念行事の日。

徳恵の運命やいかに……

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日本がヒールになる映画って
あまり見たくない気持ちになってしまうはなぜでしょう。
例えば『パールハーバー』とか、本作とか・・・

でも、本作の場合すごい悪役が出てくるんです。
それも日本人ではありません。

朝鮮人でありながら日本に尻尾を振り、
徳恵を苛め抜くテクス長官。

島田紳助にそっくりな顔をしたこの悪党が
あまりにも憎々しくて
ついひきつけられてしまいました。

歴史エンターテインメントです。






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ラスト・プリンセス
監督・脚本/ホ・ジノ、脚本/チェ・グノ、ソ・ユミン、イ・ハノル、キム・ヒョンジョン
製作総指揮/チャ・ウォンチョン、パク・ヒョンテ、撮影/イ・テユン、
原作/クォン・ビヨン「朝鮮王朝最後の皇女 徳恵翁主」
出演
ソン・イェジン/高宗の娘・徳恵翁主、パク・ヘイル/独立運動家キム・ジャンハン、ユン・ジェムン/李王職長官ハン・テクス、ペク・ユンシク/徳恵の父、パク・チュミ/徳恵の母、ラ・ミラン/徳恵の侍女ポクスン、パク・スヨン/徳恵の異母兄・英親王、戸田菜緒/英親王の妻・李方子
6月24日シネマート新宿ほか全国順次公開
2016年、韓国、127分、カラー、字幕翻訳/小寺由香、配給/ハーク、http://www.lastprincess.info/

by Mtonosama | 2017-06-24 06:41 | 映画 | Comments(0)

ラスト・プリンセス
―大韓帝国最後の皇女―
-1-

THE LAST PRINCESS

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(C) 2016 DCG PLUS & LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.


いまもしこりの多い隣国・韓国。
それというのも元をたどれば
朝鮮王朝から大韓帝国へと変遷した
日本統治時代にあるのでしょう。

秀吉の朝鮮出兵もありました。

九州の柳川にある古い料理屋さんに行った時
長押に当時の兜や槍があるのを見て驚いたものです。

本作は大韓帝国の初代皇帝・高宗の娘
徳恵翁主が主人公です。

日韓併合の推進と朝鮮皇室の消滅を図る
政略に巻き込まれた彼女は
わずか13歳で日本へ留学させられてしまいます。

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ストーリーのベースは
2009年に女性作家クォン・ビヨンが
フィクションをまじえて創作した韓国のベストセラー
「徳恵翁主」。
19週連続売り上げ1位に輝いていた
「1Q84」(村上春樹著)を抜いてトップになった小説です。

韓国での総発行部数は100万部を超え、
2010年上半期韓国書籍ベストセラー第1位、
2006年-2016年の10年間ベストセラー第8位を記録。

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1912年に生まれた徳恵翁主。
父は朝鮮王朝26代の高宗。
60歳という高齢で授かった娘なので
高宗は徳恵をたいそう可愛がったということです。

翁主というのは王の側室から生まれた王女を指します。
王の正室から生まれた王女は公主と呼ばれるとのこと。

徳恵の母は女官から高宗の側室になった
貴人・梁氏。
貴人というのは側室に与えられる品階で
格式では二番目の高位にあたります。

話は韓国と日本との忌まわしい過去に及びますが、
徳恵の生まれた1912年は日韓併合から2年目。
既に朝鮮半島は日本の植民地であり、
徳恵翁主の異母兄は人質として
日本に渡っていました。

7歳で父の死を目の前で見た徳恵。
その死は日本の勢力による毒殺ではないかと
噂されました。

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彼女の人生は本人の意志とは関係なく
劇的に変化させられます。

1925年13歳で強制的に来日させられ、
学習院で教育を受け、
対馬藩主の血筋をひく
宗武志伯爵と政略結婚させられ、
家族と切り離され、
心の病を患った悲運の皇女。

まさに韓流であります。

監督・脚本はホ・ジノ。
切ない恋を描いた監督デビュー作
『八月のクリスマス』で
「第19回青龍映画賞」新人監督賞・作品賞・主演女優賞・撮影賞、
「第18回映画評論家協会賞」で監督賞・作品賞・女子演技賞・撮影賞、
「第34回百想芸術大賞」新人監督賞・作品賞・主演女優賞など
映画賞を総なめにした監督です。

さあ、いったいどんなお話でしょうか。
続きは次回まで乞うご期待でございます。




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ラスト・プリンセス
監督・脚本/ホ・ジノ、脚本/チェ・グノ、ソ・ユミン、イ・ハノル、キム・ヒョンジョン
製作総指揮/チャ・ウォンチョン、パク・ヒョンテ、撮影/イ・テユン、原作/クォン・ビヨン「朝鮮王朝最後の皇女 徳恵翁主」
出演
ソン・イェジン/高宗の娘・徳恵翁主、パク・ヘイル/独立運動家キム・ジャンハン、ユン・ジェムン/李王職長官ハン・テクス、ペク・ユンシク/徳恵の父、パク・チュミ/徳恵の母、ラ・ミラン/徳恵の侍女ポクスン、パク・スヨン/徳恵の異母兄・英親王、戸田菜緒/英親王の妻・李方子
6月24日シネマート新宿ほか全国順次公開
2016年、韓国、127分、カラー、字幕翻訳/小寺由香、配給/ハーク、http://www.lastprincess.info/


by Mtonosama | 2017-06-21 06:06 | 映画 | Comments(6)

三毛猫ひかちゃん 
-55-



あたし、ひかちゃん。

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なによ。


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わっ!
なんなのよ。これ!


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ちょっと、ちょっと
またビール工場見学に行ったのね。
こりない人たちねぇ。
え?今度はサントリービール工場なの?


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あ、失礼。
あきれたものだから
皆様にお尻を見せちゃったわ。

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サントリービール工場ってね、
ユーミンの「中央フリーウェイ」に出てくるのよ。
飼い主ったらそれに惹かれて
はるばる分倍河原まで出かけたの。

分倍河原
分倍河原の戦いは、
鎌倉時代後期の元弘3年(1333年)5月15日・5月16日に、
武蔵国多摩川河畔の分倍河原(現在の東京都府中市)において、
北条泰家率いる鎌倉幕府勢と
新田義貞率いる反幕府勢との間で行われた合戦である。
(Wikipediaより)

なんてことは
全然知らずに出かけて
駅前のこの像を見て慌ててウィキった次第よ。
フッ・・・バカね。

飼い主とその友人たちは
東京や湘南から分倍河原まで行くのが
遠くて大変だったって
文句言ってるけど、
新田さんの頃なんてもっと大変よ。
南武線も京王線もないんだから。

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アールデコを思わせる売店もおしゃれよね。

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さあ、お愉しみのビール試飲。

といっても、
あたしは楽しくもなんともないわ。
飼い主たちはこのためだけに
来たんだからうれしくって仕方ないんだろうけど。

試飲できるのはプレミアム・モルツよ。
制限時間は例のごとく20分。
グラス3杯。

前回スーパードライの工場で
飲み切ることのできなかった恨みを晴らすため
(なんの恨みだっていうのかしらね)
今回は飲み切ったって。


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ビール工場の出来立てほやほやのビールって
本当に美味しいらしいわ。

でも、あたしは吾輩さんとは違うから
ビールなんて飲まないの。

あ、でもね、
本当のこというと
このあいだお酒を飲んじゃった。
テーブルの上にあった鶏肉を酒蒸しした
残りのお酒を飲んだのよ。
鶏の残り香がなんともいえず
かなりいただいちゃったわ。

その後、興奮して走り回ったんだって。
あたしがそんなことする訳ないと思うんだけど・・・

でも、
飼い主が酒飲みだと
猫もそうなっちゃうのかしら。
今後が不安だわ。

皆さんもお酒は程々にね。
え、あたしに言われたくないって?

ごめんなさい。

ひかり


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by Mtonosama | 2017-06-18 05:32 | 映画 | Comments(6)

ありがとう、トニ・エルドマン
-2-

TONI ERDMANN

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(C)Komplizen Film


父親なら誰でも娘のことは気になって仕方ないのでしょうか。

父ならぬ身はわかりませんが、
娘なら誰でも感じる父への不満やほろ苦い気持。
これならよ~くわかります。

だから、前回ご紹介したような
数々の映画賞に輝いたのでしょうね。

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登場するのは
悪ふざけばかりしている父・ヴィンフリートと
ルーマニア・ブカレストのコンサルタント会社で働く娘イネス。
日本でいえば団塊の世代に属する父と
団塊ジュニアよりもう少し若い娘。
この父娘、世代の違いは当たり前ながら
性格も全然違います。

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ストーリー
ヴィンフリートは今日も架空の弟”トニ“になりきって
荷物を届けに来た配達員を驚かせている。

ピアノを教えているヴィンフリート。
最近、教室の生徒から辞めたいと言われたり、
年老いた母も老犬ヴィリーも弱ってきたり・・・

ブカレストから帰ってきた娘イネスは
久しぶりの我が家だというのに
仕事に追われ、スマホを手放さない。

ある朝、
愛犬ヴィリーが庭の一角で冷たくなっていた。

数日後、
娘イネスの働く会社に連絡もせず
訪れるヴィンフリート。
でも、イネスは重要なプロジェクトの真っ最中。
なかなか父に構ってはいられない。

その夜もアメリカ大使館でのレセプション。
ヴィンフリートもイネスと出席したが、
居心地が悪いったらない。

帰宅してからもパソコンに向かうイネス。
「今夜もクライアントにアテンドだから、
その前にひと眠りするわ」
翌朝、ドイツに変える前にイネスを起こしにいく父。
「大変!クライアントをすっぽかしちゃった。
どうして起こしてくれなかったのよ」
怒り狂うイネス。
名残惜しそうにタクシーに乗り込む父を
ベランダから見送りながらなぜか涙ぐむ娘。

レストランで女子会。
それぞれの週末がいかに悲惨だったか
話し出す女子3人。
イネスは
「私の週末なんて父が何の連絡もなく現れたのよ。最悪よ!」
とぶちまける。
と、突然背後から
長髪のかつらと出っ歯の入れ歯をつけた父が―――

動揺するイネスに
「はじめまして。私はトニ・エルドマンです」

それから度々イネスの前に現れるトニ・エルドマン。
さて、さて、イネスの運命は……

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大笑いではないけれど、笑わずにはいられません。
かなり、はた迷惑な親父だけど、
もし、自分がこんなことされたら怒って
口きかなくなっちゃうけど、
ふと父もこんなところがあったな、
と思わせてくれて
9年前に亡くなった父がなつかしくなりました。

あ、でも、泣かせる映画ではないんですよ。

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危うい綱渡りをしながら
落ちそうで落ちない。
下品にならない。
脚本も俳優もいいんですよねぇ。

特に、イネスを演じたザンドラ・ヒュラーが好きだわぁ。
わたしに似てるからかしら。フフッ。

トニ・エルドマンのかつらと入れ歯は気になるけど、
ヴィンフリートとの二役(?)を演じた
ペーター・ジモニシェックも良かったです。
上品と下品の間の綱渡りがうまいんですねぇ。

ビクッと驚いたり、
クスリと笑える映画です。

どうしよう。
またドイツが好きになってしまいました。





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ありがとう、トニ・エルドマン
監督・脚本/マーレン・アデ、撮影/パトリック・オルト、美術/シルケ・フィッシャー、
製作/ヤニーネ・ヤツコフスキー、ヨナス・ドルンバッハ、マーレン・アデ、ミヒェル・メルクト
出演
ペーター・ジモニシェック/トニ・エルドマン、ザンドラ・ヒュラー/イネス、ミヒャエル・ヴィッテンボルン/ヘンネベルク、トーマス・ロイブル/ゲラルト、トリスタン・ピュッター/ティム、ハーデウィック・ミニス/タチアナ、ルーシー・ラッセル/ステフ、イングリッド・ビス/アンカ、ヴラド・イヴァノフ/イリエスク、ヴィクトリア・コチアシュ/フラヴィア
6月24日(土)シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
2016年、ドイツ=オーストリア、カラー、162分、日本語字幕/吉川美奈子、提供/ビターズ・エンド、ハピネット、配給/ビターズ・エンド
http://www.bitters.co.jp/tonierdmann/


by Mtonosama | 2017-06-15 06:43 | 映画 | Comments(2)

ありがとう、トニ・エルドマン
-1-

TONI ERDMANN

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(C)Komplizen Film


ドイツ映画は
昔とは隔世の感があります。

以前は、
重厚長大というか、
しんねりむっつりというか、
テーマはナチズムで
虐げられる市民、
あるいは
虐げる側に回る市民。
そんなイメージがありました。

自分勝手に描くその国のイメージで
映画をとやかく言うのはいけません。
と、自戒をこめて謙虚に語るとのであります。

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あ、横道にそれました。
本作『ありがとう、トニ・エルドマン』は
ドイツ映画であり、コメディです。

コメディというカテゴリーも
ドイツ映画にはそぐわないような気がします。

おっと、いけない、いけない。
さっき書いたばかりなのに
もうとやかく言ってます。

でも、コメディといっても
おふざけの軽い演技でワッハッハーと笑わせる
いかにもなコメディじゃないところが
許せます。
いや、偉そうなことを・・・
すいません。はっきりいって面白いです。

コメディにありがちなわざとらしさがなく
普通でフラット。
平熱のコメディなんです。

団塊の世代の父親と
グローバル化された社会で生きる30代の娘。

ほら、そこのあなた。
あなたの世代のお話です。

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本作は
第89回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、
各国の映画誌が2016年の映画ベスト1に選んだ作品。
カンヌ国際映画祭では賞こそ逃したものの
「観客と批評家にとってのパルムドール」と
大絶賛を受けました。

そんな次第で
俳優業引退をささやかれていたジャック・ニコルソンが、
本作のハリウッドリメイク版に主演するんですって。
(なんかハリウッド、せこくネ?)

さてさて大評判の本作。
監督はマーレン・アデ。
本作の主人公と同じく
グローバル世代の30代女子です。
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https://www.cinematoday.jp/news/N0089116
マーレン・アデ監督
1976年ドイツ・バーデン¬=ヴェルテンベルク生まれ。
ミュンヘンテレビ・映画大学(HFF)で学び、
2000年、ヤニーネ・ヤツコフスキーと共にKomplizen Filmを設立。
第62回ベルリン国際映画祭で国際批評家連盟賞と
アルフレッド・バウアー賞をW受賞した
ミゲル・ゴメス監督の『熱波』(’13)などの作品をプロデュース。
監督・脚本家としては00年、01年に一作ずつ短編を発表後、
03年にHFF卒業制作として発表した
“Der Wald vor lauter Bäumen”で長編デビュー。
第22回サンダンス映画祭審査員賞ワールド・シネマ部門の
ドラマティック賞受賞、
ドイツ映画賞で最優秀映画賞にノミネートされた他
ヨーロッパの各都市で開かれる映画祭での
映画賞・主演女優賞などを受賞。
2011年、長編2作目『恋愛社会学のススメ』では
第59回ベルリン国際映画祭で
銀熊賞(審査員グランプリと女優賞)と
フェミナフィルム賞を受賞。
世界25か国で公開され、
ドイツ映画賞で3部門ノミネートを果たす。
2016年第3作目となる本作『ありがとう、トニ・エルドマン』では
第69回カンヌ国際映画祭では批評家から大きな支持を獲得。
スクリーン・インターナショナル誌の星取りでは
歴代最高得点3.7点(4.0満点)を獲得。

しかし、本作、カンヌ映画祭では
国際批評家連盟賞を受賞するに留まったことで
「今年のカンヌは金を鉛に変えた」と世界中からブーイング。
そのせいか、全世界の映画祭では大人気。
第29回ヨーロッパ映画賞作品賞、監督賞、男優賞、女優賞、脚本賞
2016年国際批評家連盟賞年間グランプリ、
第51回全米映画批評家協会賞外国語映画賞、
第32回インディペンデント・スピリット・アワード外国語映画賞など
多数の賞を受賞。
第89回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート

と、まあ錚々たる経歴です。
新時代のドイツ映画監督といってしまいましょうか。

さあ、いったいどんなお話なのでしょう。
続きは次回まで
乞うご期待でございますよ。



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ありがとう、トニ・エルドマン
監督・脚本/マーレン・アデ、撮影/パトリック・オルト、美術/シルケ・フィッシャー、
製作/ヤニーネ・ヤツコフスキー、ヨナス・ドルンバッハ、マーレン・アデ、ミヒェル・メルクト
出演
ペーター・ジモニシェック/トニ・エルドマン、ザンドラ・ヒュラー/イネス、ミヒャエル・ヴィッテンボルン/ヘンネベルク、トーマス・ロイブル/ゲラルト、トリスタン・ピュッター/ティム、ハーデウィック・ミニス/タチアナ、ルーシー・ラッセル/ステフ、イングリッド・ビス/アンカ、ヴラド・イヴァノフ/イリエスク、
ヴィクトリア・コチアシュ/フラヴィア
6月24日(土)シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
2016年、ドイツ=オーストリア、カラー、162分、日本語字幕/吉川美奈子、
提供/ビターズ・エンド、ハピネット、配給/ビターズ・エンド
http://www.bitters.co.jp/tonierdmann/

by Mtonosama | 2017-06-12 05:50 | 映画 | Comments(2)

マダム・ベー 

ある脱北ブローカーの告白

-2-

Mrs.B. A North Korean Woman

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(C)Zorba Production, Su:m

脱北を映像で知ったのは
2002年、中国・瀋陽にある日本総領事館へ
当時2歳の女の子を含む北朝鮮難民5人が
逃げ込もうとした事件でした。
あれからもう15年も経つんですね。

あの映像が目に焼き付いているので
脱北には常に「必死」というニュアンスがついてまわります。

それなのに、脱北ブローカーですって。
そういう商売が成り立つほど
脱北者は増えているということなんですね。

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ユン・ジェホ監督がBのドキュメントを撮るに至ったのは
偶然と言っていいかもしれません。
もともと劇映画のシナリオをつくるため、
脱北者に会って取材しようと中国へ入った監督。

脱北ブローカーを介して何度目かの紹介で辿り着いたのが、
自身も北朝鮮から中国へと渡り、
脱北ブローカーをしている主人公Bでした。

Bから取材可能な脱北者を
紹介してもらうことになっていた監督は
ある日、
Bが中国で一緒に暮らす〈家族〉の許へ招かれ、
そこで暫く生活させてもらいました。
その間に、
なぜ北朝鮮人のBに中国人の夫と家族がいるのか、
そして、なぜ危険な脱北ブローカーをやっているのか、
次々に疑問が湧いてきました。

その疑問に答えてBは言いました。
「私を記録したら?」

それが本作の生まれた理由です。

そもそもBは中国で外貨を稼ぎ、
1年経ったら北朝鮮へ戻るつもりでいました。
ところが、騙されて中国の貧しい男に売られてしまい、
そのまま、脱北ブローカーとして働いているのです。
中国に夫とその両親という家族ができて、
北朝鮮にも夫と息子たちがいるという
二つの家族を持つことになりました。

こんなことは若い韓国人監督にとっても
私たち日本人にとっても尋常のことではありません。

映画はBが脱北者を逃がすシーンから始まります。
仕事を終え、バイクに乗って辿り着いた中国の家。
中国人の夫も献身的で
舅姑も優しい老人です。
買われてきたとはいえ、
この家にとってBは大切な存在のように見えます。

でも、彼女には北朝鮮人の夫との間にできた二人の息子がいます。
彼女は彼らの将来を案じて息子たちを一足先に韓国へ脱北させていました。

そして、
Bは息子たちの生活を安定させるため、
自らも中国の家族と別れ、脱北することを決心するのです。

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慣れた手つきで旅支度をするB
彼女を見守る中国人の夫や義父母。
バスに乗った妻をいつまでも見送る夫。
そっと涙を拭うB。
買われた女であっても
中国の家族の間に絆が、愛情が
生まれていることがわかります。
切ないシーンです。

Bの辿った脱北ルートは苛酷なものでした。
カメラは北朝鮮・会寧市からBと共にバスに乗り込みます。
鴨緑江を渡り、再び中国に入り、
天津、済南、昆明を経て、
タイに入国。
山中をシーサンパンナ・タイ族自治州、
ラオスのムアン・シング、
そしてタイのタンボンウィアン、
チェンライ、バンコクに入り、
ようやく空路ソウルへ。

総計何Kmになるのでしょう。
巨大な大陸の片隅を蟻が這うように進む恐るべき脱北ツアーです。
乳飲み子だっています。

しかし、なぜ、このシーンが撮れたか。

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2013年5月頃、
Bから韓国へ向かうという連絡を受けた監督。
彼女が出発するシーンを撮影しようとしていたら、
どさくさに紛れてBの乗った車に乗せられてしまいました。
そして、そのままバンコクへ行ってしまうことになってしまったのです。

そりゃ、リアルな筈です。

十分な水も食べ物もなく、体も洗えず、
その上、カメラや資材を持っての移動。
タイ、ラオス、ミャンマーの国境が交わる
ゴールデン・トライアングル地帯を超えるときは
1日18時間くたくたの身体と重い資材をひきずって
山を登りました。
撮影というより決死行です。

揺れる画像がリアル脱北を語っていました。

その挙句
監督はタイで密入国者として逮捕されてしまったのですから、
踏んだり蹴ったりです。

ですが、脱北者たちはタイに到着した時点で
タイ警察の保護下に置かれました。
まずはやれやれ。

しかし、韓国人の監督は
不法入国で処罰され、追放されてしまいました。
まさに体当たり取材、“電波少年”ではありませんか。

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脱北道中の緊張感もさることながら、
胸を打つのは
今、自分たちが生きる日本の隣で
望まない二重結婚をし、
家族を持ち、
家族を持てば情や絆が生まれ、
情や絆につながれば、
やむを得ぬ別れであっても
そこには言葉につくせない痛みが生じていること。

あの国が今の状態のままでは
今後もまた引き裂かれるような別離が起こり続けます。

すごいドキュメンタリーです。





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マダム・ベー
監督/ユン・ジェホ、撮影/ユン・ジェホ、タワン・アルン、プロデューサー/ギョーム・デ・ラ・ブライユ、チャ・ジェクン、音楽/マシュー・レグノー、編集/ナディア・ベン・ラキド、ポーリーン・カサリス、ソフィー・ブロー、ジャン=マリー・ランジェル
2016年、韓国・フランス、72分、ドキュメンタリー
6月10日(土)よりシアター・イメージ・フォーラムにて上映
配給/33 BLOCKS(サンサンブロックス)、http://www.mrsb-movie.com/



by Mtonosama | 2017-06-09 05:51 | 映画 | Comments(7)

マダム・ベー 
ある脱北ブローカーの告白

-1-

Mrs.B.A North Korean Woman

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(C)Zorba Production, Su:m

最近のかの国の傍若無人ぶりには
驚かされます。
あ、いまに始まったことではないですね。

当試写室では1月に
キム・ギドク監督の『網に囚われた男』を上映しました。
http://mtonosama.exblog.jp/27417109/ 
http://mtonosama.exblog.jp/27425820/

南北分断問題を描いた傑作でした。

失敗した時の怖ろしい末路を思えば、
脱北はまだまだ闇の中でひそかに
行われていることだと思っていました。

だから、脱北ブローカーが存在すると聞いてビックリ。
あ、「だから」というのも変ですね。
脱北ブローカーそのものが
十分に闇の存在ですから。

それが映画になってしまったことに驚きました。

f0165567_5315926.jpg


本作『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』は
10年前、家族のために1年間だけ出稼ぎする筈だった
北朝鮮女性Bの驚くべきドキュメンタリー映画です。
騙されて中国の貧しい農村へ売り飛ばされ、
中国と北朝鮮の家族を養うため、
脱北ブローカーとなったBの日々を描いた作品。

北朝鮮の実態はさておいても、
彼女の逞しさと根性に
安穏と暮らす日本人は絶句してしまいます。

f0165567_534711.jpg


監督はユン・ジェホという若い監督です。

ユン・ジェホ監督
1980年韓国・釜山生まれ。
2001年渡仏、ナンシーのエコール・デ・ボザールで学び、
その後パリの国立高等装飾美術学校で
クラシック映画やドキュメンタリーについて学ぶ。
2008年にル・フレノア国立現代アートスタジオに入学。
2009年、砂漠に魅了され、オーストラリア一人旅。
短編『島』を撮影。
ヴィム・ヴェンダース『パリ・テキサス』に
インスパイアされた詩的な作品。
2010年に監督した短編『赤い道』は
様々な国際映画祭に招待される。
2011年、短編『約束』で
韓国アシアナ国際短編映画祭でグランプリ。
リオデジャネイロ、ビルバオ、
ベルリン、リュサ、アミアンの映画祭に出品。
2012年、『北朝鮮人を探して』というドキュメンタリーを製作し、
メキシコのシネマプレンタでスペシャルメンション賞を受賞。
ハンブルグ映画祭では最優秀ポリティカルドキュメンタリー、
ジラバでは最優秀ドキュメンタリーにノミネート。
2013年、カンヌ映画祭の監督週間と台北フィルムコミッションとで
組織された台北ファクトリーに参加し、
4つの短編で構成されるオムニバス映画の中の『豚』を共同監督。
同年カンヌ映画祭監督週間で上映された他、
釜山映画祭、香港映画祭などでも上映される。
2016年、本作『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』を
フランス・韓国の共同出資で製作。
モスクワ国際映画祭、チューリッヒ国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞受賞。
カンヌ国際映画祭ACID部門の他、
韓国チョンジュ国際映画祭、
DMZ国際ドキュメンタリー映画祭でも上映。
最新作の短編劇映画『ヒッチハイカー』は
韓国政府の統一部の出資で作られ、
『マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白』と共に
2016年のカンヌ映画祭監督週間で上映された。

という経歴を持ったフランス帰りの若い監督の作品です。
さあ、いったいどんなドキュメンタリーなのでしょう。
続きは次回まで
乞うご期待でございます。




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マダム・ベー
監督/ユン・ジェホ、撮影/ユン・ジェホ、タワン・アルン、プロデューサー/ギョーム・デ・ラ・ブライユ、チャ・ジェクン、音楽/マシュー・レグノー、編集/ナディア・ベン・ラキド、ポーリーン・カサリス、
ソフィー・ブロー、ジャン=マリー・ランジェル
2016年、韓国・フランス、72分、ドキュメンタリー
6月10日(土)よりシアター・イメージ・フォーラムにて上映
配給/33 BLOCKS(サンサンブロックス)、http://www.mrsb-movie.com/

by Mtonosama | 2017-06-06 05:45 | 映画 | Comments(2)

怪物はささやく
-2-

A MONSTER CALLS

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(C)2016 APACHES ENTERTAINMENT, SL; TELECINCO CINEMA, SLU; A MONSTER CALLS, AIE; PELICULAS LA TRINI, SLU.All rights reserved.


主人公のコナーを演じたルイス・マクドゥーガル君。
映画ではまだ声変わりもしていない少年ですが、
昏く、不安をみなぎらせた瞳が
すごく良かったです。

あちらのお方はあっという間に
大人になってしまいますから、
ルイス君の貴重な少年期を是非
今のうちにご覧になってくださいね。

とはいえ、2002年生まれの15歳ですから
まだしばらくは彼の旬の時期を楽しめるとは思いますが。

さあ、どんなお話なのでしょうか。

ストーリー
コナーは汗びっしょりになり、声にならない悲鳴を上げた。
と、そこはベッドの上。
今夜も例の悪夢を見てしまった。

夜12時7分。
怪物は丘の上からコナーの家までやってきた。
巨大な怪物が歩を進めるごとに
コナーが病気の母と二人で暮らす家は
大きく揺れる。

その怪物はコナーに言う。
「物語を3つ聞かせてやる。4つ目はお前が話すのだ。
その4つ目の物語こそお前が隠している真実だ」

第一の物語
その翌日、容体の悪化した母を世話するため
祖母がやってきた。
コナーは彼女が苦手だ。
その夜12時7分
あの悪夢にうなされたコナーが目を覚ます。
怪物が「一つ目の物語の時間だ」と
現れたのだ。

黒の王妃と若き王子
遠い昔、この町は王国だった。
国王は魔王との戦で3人の息子と王妃を失う。
唯一の世継ぎとして残ったのは幼い孫。
やがて彼は国民から愛される
勇敢で誠実な王子に成長した。
国王は再婚するが、病に倒れ、
王妃は魔女との噂が・・・
間もなく国王は死んだ。
すると王妃は王子との結婚を望む。
王子は農家の娘と駆け落ちするが、
娘が何者かに殺される。
誰が娘を殺したか?
国王の死の真相は?

予測を裏切る結末に唖然とするコナー。

第二の物語
母の再入院が決まり、祖母の家に預けられるコナー。
学校にも友人はなく居場所はない。
ただ、絵を描くことだけが唯一の楽しみ。
週末、
母と離婚して英国を去った父が
LAから訪ねてくる。
久しぶりの再会を楽しんだコナーだが、
父には自分と一緒に住む気がないと知り、
落胆する。
父の許から帰宅したコナーは
祖母の大切な振り子時計の
秒針を折ってしまった。
ふと気づくと
時計の針は12時7分を指している。
二つ目の物語の時間だ。

薬師の秘薬
150年前、町は近代化が進み、
この町にも工場が乱立する時代になった。
時代遅れの調剤師が
ある日、若い牧師の家に来て
庭にあるイチイの樹を切らせてくれと頼んだ。
イチイの樹は薬になるというのだ。
若い牧師は木を切るのを断り、
その古臭い治療法に反対したため、
調剤師は廃業に追い込まれてしまう。
ところが、
牧師の2人の娘が重病に。
近代医学も牧師の必死な祈りも
娘たちを治すことはできない・・・
牧師は調剤師に娘たちを救ってくれたら
イチイの樹を渡すと頼みこむ。
娘たちの命は?
牧師の約束は?

想像を絶する結末に
内なる怒りを思いがけぬ形で噴出するコナー。

第三の物語
翌日、母の容体が悪化。
コナーは祖母と病院へ。
少し持ち直した母は
今服用中の薬はイチイの樹で作られていると言う。

その夜、コナーは12時7分現れた怪物に
「ママを治せるの?」と詰め寄る。
怪物は「3つ目の話を聞いたら、その次はお前の話す番だ」
とコナーとの契約を確かめるのだった。

透明人間の男
第三の物語は真昼の12時7分に
コナーの学校で語られる。
それはこれまでの話の中で
最も驚かされる結末で、
現代のこの町のコナー自身の物語だった。

三つの物語が語り終えられ、
怪物はコナーに「真実を話せ」と迫る。

コナーの第四の物語とはいったい……

怪物が姿を現した時
「おお!進撃の巨人」と思わずのけぞりつつも
その展開に引きずり込まれます。

撮影当時まだ12歳だった
ルイス・マクドゥーガルの演ずる
孤独なコナー少年には
心打たれました。

明るいだけじゃないダークな世界、
現実世界だけではないファンタジーな世界。
世の中はいろんなものからできています。





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怪物はささやく
監督/J.A.バヨナ、脚本/パトリック・ネス、原作/パトリック・ネス、原案/シヴォーン・ダウド、
撮影/オスカル・ファウラ、視覚効果スーパーバイザー/フェリックス・ベルヘス、特殊効果スーパーバイザー/パウ・コスタ、アニメーション監督/エイドリアン・ガルシア(ヘッドレス・プロダクション)
出演
ルイス・マクドゥーガル/コナー、シガニー・ウィーバー/祖母、フェリシティ・ジョーンズ/母、
トビー・ケベル/父、リーアム・ニーソン/怪物
6月9日(金)TOHOシネマズ、みゆき座他全国ロードショー
アメリカ・スペイン、109分、カラー、字幕翻訳/藤澤睦美、配給/ギャガ
http://gaga.ne.jp/kaibutsu/

by Mtonosama | 2017-06-03 06:22 | 映画 | Comments(6)

怪物はささやく
-1-

A MONSTER CALLS

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(C)2016 APACHES ENTERTAINMENT, SL; TELECINCO CINEMA, SLU; A MONSTER CALLS, AIE; PELICULAS LA TRINI, SLU.All rights reserved.


メメントモリ
「死を想え」
子どもだって死を想います。

145年位前、まだ幼児だった頃、
近所のきみちゃんという
女の子が「わたし、死にたい」
と言うのを聞いて驚きました。
まだ5、6年しか生きていないのに
〈生きる〉を一気に飛び越えて死ぬ?
ひえ~!と思いました。

150歳ともなった今は
死は日常茶飯事ですけれど・・・

『怪物はささやく』
困難な病に侵された母を持つ少年が主人公の本作。
その原作者は2人います。

1人はシヴォーン・ダウドという英国の作家。
人権活動家でもあった女性です。
2004年から児童文学作品を発表しましたが、
2007年、他界しました。
ガンでした。

現在、彼女の作品で
翻訳出版されているのは
「サラスの旅」(ゴブリン書房)
「ボグ・チャイルド」(ゴブリン書房)
「十三番目の子」(小学館)
「怪物はささやく」(あすなろ書房)
の4点です。

この内、
北アイルランドを舞台にした
「ボグ・チャイルド」で
カーネギー賞を受賞しています。
生前、彼女は
恵まれない子どもたちに
本や物語を提供するための
トラストも設立しました。

もう一人の作家はパトリック・ネス。
アメリカ生まれで現在は英国在住の男性作家。
この映画の脚本も担当しました。

この二人は面識があったわけではありませんが、
ダウドの作品を愛読していたネスは
彼女の遺稿を完成させました。

そして、
彼もまたカーネギー賞を受賞。
その受賞作品が 
彼女のバトンを受け取って書き上げた
「怪物はささやく」でした。

日本でも全国学校図書館協議会と毎日新聞社が主催する
「青少年読書感想文全国コンクール」中学校の部
の課題図書になったこともあるので
お読みになった方も多いかもしれません。

監督は1975年バルセロナ生まれのJ.A.バヨナ。
以前、当試写室で上映した『永遠のこどもたち』(’07)
http://mtonosama.exblog.jp/9851645/
で長編映画デビューを果たした監督です。

このデビュー作が
カンヌ国際映画祭で上映されたときには
10分間もスタンディングオベーションが
続いたんですって。
その後、スペイン国内で封切られ
初日から4日間の興行成績は
その年の最高を記録。
ゴヤ賞14部門にノミネートされ、
新人監督賞を含む7部門で受賞。

2012年には『インポッシブル』で
(ナオミ・ワッツ、ユアン・マクレガー主演)
http://mtonosama.exblog.jp/19736147/ 
http://mtonosama.exblog.jp/19769350/

ゴヤ賞監督賞を受賞、
ガウディ賞でも監督賞を含む
6部門で受賞しました。
『ジュラシック・ワールド』の続編を
監督することも決まっています。
売れっ子ですね。

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あの『永遠のこどもたち』の
ダークファンタジーな世界観に惹かれて、
本作を観てきました。

そうそう。
『パンズ・ラビリンス』(’06)の
製作スタッフも関わっていますし。

実写とアニメから成る本作。
あのシガニー・ウィーバーが
コナー少年のおばあさん役を演じ、
タイトルにもなっている怪物は
なんと『シンドラーのリスト』の
リーアム・ニーソンが声と動きで演じています。

しーんとした薄暮のイメージや
歳を経た大木、何かが現れそうな気配
怖いとまではいかないけれど、すこし薄気味悪い世界、
そう、ダークなファンタジーが
お好きな方は必見です。

続きは次回まで乞うご期待でございます。



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怪物はささやく
監督/J.A.バヨナ、脚本/パトリック・ネス、原作/パトリック・ネス、原案/シヴォーン・ダウド、
撮影/オスカル・ファウラ、視覚効果スーパーバイザー/フェリックス・ベルヘス、特殊効果スーパーバイザー/パウ・コスタ、アニメーション監督/エイドリアン・ガルシア(ヘッドレス・プロダクション)
出演
ルイス・マクドゥーガル/コナー、シガニー・ウィーバー/祖母、フェリシティ・ジョーンズ/母、
トビー・ケベル/父、リーアム・ニーソン/怪物
6月9日(金)TOHOシネマズ、みゆき座他全国ロードショー
アメリカ・スペイン、109分、カラー、字幕翻訳/藤澤睦美、配給/ギャガ
http://gaga.ne.jp/kaibutsu/

by Mtonosama | 2017-05-31 05:36 | 映画 | Comments(4)

ザ・ダンサー
-2-

La Danseuse

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(C)2016 LES PRODUCTIONS DU TRESOR - WILD BUNCH - ORANGE STUDIO -
LES FILMS DU FLEUVE - SIRENA FILM



モダンダンスの祖といえば
本作にも登場する
イサドラ・ダンカンだとばかり
思っていました。
でも、その世界では
3人の女性の名が挙げられます。
それが本作の主人公ロイ・フラー(1862~1928)
イサドラ・ダンカン(1877~1927)
ルース・セント・デニス(1879~1968)
皆アメリカ人です。

フラーもダンカンも
ヨーロッパで有名になり、
その後もヨーロッパを中心に活躍しました。
とてもフランス的な2人なのに
フラーはシカゴ、
ダンカンはサンフランシスコの出身。

ダンスが目を瞠るほどきれいです。
さあ、時代の先端を走った女性たちは
どんな生き方をしたのでしょう。

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ストーリー
父を亡くした
マリー=ルイーズ・フラーは
NYで暮らす母を頼って田舎町を後にする。

幼い頃から女優を夢見ていた彼女は
母の目を盗んでは
オーディションに出かけるようになった。
ようやくつかんだ役はたった3分の出番。
ところが、
本番で、落ちそうになったスカートの
裾をつまんで回転すると観客から拍手喝采。

それが天啓だった。
彼女の頭には
衣装と舞台装置のアイデアが
次から次へと浮かんでくる。
それをスケッチして衣装を作り、
ダンサー名もロイ・フラーに改名。

自らデザインした衣装をまとい
舞台デビューを果たすロイ。
幕間の5分間だけだったが・・・
大半の客はロビーに出ていたけれど、
残っていた客は彼女のダンスに大喝采を送る。
その中に
運命の人、ルイ・ドルセー伯爵がいた。

しかし、母親に止められて
舞台を休まざるを得なかったロイは
劇場をクビになってしまう。
しかも、彼女が考案したダンスを
別の女優が勝手に踊っていた。
ルイに相談すると
彼の弁護士から
フランスには「特許」があるが
アメリカにはないのだと教えられる。

パリへ旅立つロイ。
旅費はルイの机の上にあった金を無断で借りた。

パリに着いたロイは
有名なフォリー・ベルジェールへ直行。
支配人には門前払いされたものの
ロイの舞台装置のデッサンに感心した
マネージャーのガブリエルの後押しの
おかげで採用される。

自ら設計した4色の照明に照らされ
幻想的に舞うロイ。
翌朝の新聞には絶賛の評が。
ロイは一夜でスターになる。

そこに現れたのがルイ。
彼はアメリカ人の富豪女性と
離婚し、帰国していたのだ。
その日から
ルイのシャトーで2人の共同生活が始まる。
ロイは練習場所が、
ルイはロイの金が必要だったからだ。

やがてルイの計らいで
オペラ座公演が決まる。
ロイを慕って集まった若いダンサーの中から
イサドラ・ダンカンを抜擢。

凝った衣装と舞台装置によって
観客を感動させるロイとは違い
イサドラはその存在と美しい姿で
優美に舞い、人々を魅了する天性のダンサーだった。

イサドラへの複雑な思い、
重い衣装に耐えてきた肩の痛み、
強い照明に痛めつけられた瞳、
バレエの殿堂オペラ座が放つ
無言のプレッシャー―――

ロイはこの試練をどのように
切り抜けていくのか……

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もう、陶然としてしまいました。

そのロイ・フラーを演じたのは
ミュージシャンのソーコ。
ロイ・フラーのダンスを研究するダンサー
ジョディ・スパーリングの大特訓を受けての出演です。

映画の中でも
ダンスが終わり、精も根もつきはてたフラーが
舞台の袖から担架で運ばれるシーンがあります。

重い棒を肩に支えて
衣装を操るため、
体力を消耗し、3日おきにしか
踊れなかったというハードなダンスです。
それをソーコは見事に自らのものとしました。

あ、そうそう、
ロイに見いだされ、
後に最大のライバルにもなる
イサドラ・ダンカンを演じたのは
ジョニー・デップとヴァネッサ・パラディの娘
リリー=ローズ・デップ。
1999年生まれの18歳ですが、
あどけない顔立ちの中に
時折光る妖艶な美しさは
七光りを越えています。

ダンス好きには見逃せない映画ですよ。





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ザ・ダンサー
監督・脚本/ステファニー・ディ・ジュースト、
共同・脚本/トマ・ビドカン、撮影/ブノワ・ドビー、
美術/カルロス・コンティ、衣装/アナイス・ロマン
出演
ソーコ/ロイ・フラー、ギャスパー・ウリエル/ルイ・ドルセー伯爵、リリー=ローズ・デップ/イサドラ・ダンカン、メラニー・ティエリ/ガブリエル、フランソワ・ダミアン/マルシャン
6月3日(土)新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、Bunkamuraル・シネマ他にてロードショー
2016年、フランス・ベルギー、仏語・英語、108分、日本語字幕/横井和子、配給/コムストック・グループ、配給協力/キノフィルムズ、
http://www.thedancer.jp/

by Mtonosama | 2017-05-28 06:43 | 映画 | Comments(4)