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殿様の試写室

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カテゴリ:映画( 1044 )


ザ・サークル
-1-

The Circle

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(C)2017 IN Splitter, L.P. All Rights Reserved.


この映画、
SNSがらみの事件が起きた時、
きっと参考資料として挙げられるでしょう。

最近、猟奇的な事件がありましたが、
そういう時、例に挙げられる映画とか
事件とかありますよね。
本作もそんな映画になるような気がします。

みんなSNSによって
ひとつの輪の中に包み込まれ、
「いいね!」と褒めあい、
気に入らなければ牙をむきます。

どこか変かな?
ちょっと怖いな?と思いつつ、
ずぶずぶと足を踏み入れているのが
SNSの世界。

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それが
トム・ハンクスとエマ・ワトソンの挑んだ
SNSサスペンス・エンタテインメント
『ザ・サークル』です。

世界No.1のシェアを誇る
超巨大SNS企業・サークル。
これを皆さまご存知の
あの会社に置き換えてみたら
実感が湧きすぎます?

原作は全米で2013年に出版され、
大ベストセラーになったデイヴ・エガースの
小説「ザ・サークル」。
彼は脚本も担当しています。

デイヴ・エガース
1970年アメリカ・イリノイ州生まれ。
両親を亡くし、当時8歳の弟を
育てながら送った日々の回想記を
「驚くべき天才の
胸もはりさけんばかりの奮闘記」
として出版。
ニューヨークタイムズの
ベストセラーリストに
40週連続でランクインし、
ピューリッツァー賞にノミネート。
続いて、全米図書賞に
ノミネートされた
「王様のためのホログラム」が
トム・ハンクス主演で映画化。
その他
「かいじゅうたちのいるところ」(‘10)
の脚本や、
「プロミスト・ランド」(’14)
の原案をてがける。

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監督はジェームス・ボンソルトです。

ジェームズ・ボンソルト
1978年アメリカ・ジョージア州生まれ。
イェール大学で学士号、
コロンビア大学で
フィルム・プログラムの
美術学修士号を取得。
長編映画デビュー作『Off the Black』(’06)では
ニック・ノルティが主演し、
サンダンス映画祭でプレミアム上映。
続く2作品
『スマッシュド
~ケイトのアルコールライフ~』
(’12・未公開)
『The Spectacular Now』(’13・未公開)で
2年連続でサンダンス映画祭の
審査員特別賞。
『人生はローリングストーン』
(’15・未公開)
ではインディペンデント・スピリット賞
の2部門にノミネート。

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思わぬところで〈おともだちの輪〉が
拡がるSNSの世界。

あ~、初恋の人がいた!
とか
高校卒業以来、
音沙汰のなかった友達と
つながった!
と喜んでいる内はまだいいんですけどね・・・

さあ、一体どんなお話なのでしょうか。
続きは次回まで乞うご期待でございます。


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ザ・サークル
監督/ジェームス・ポンソルト、脚本/ジェームス・ポンソルト&デイブ・エガース、原作/デイブ・エガース、プロデューサー/ゲイリー・ゴーツマン、アンソニー・ブレグマン
出演
エマ・ワトソン/メイ・ホランド、トム・ハンクス/イーモン・ベイリー、ジョン・ボイエガ/タイ・ラフィート、カレン・ギラン/アニー・アラートン、エラー・コルトレーン/マーサー、バットン・オズワルド/トム・ステントン
11月10日(金)TOHOシネマズ 六本木ヒルズ他全国ロードショー
2017年、アメリカ、カラー、110分、字幕翻訳/松浦美奈、配給/ギャガGAGA
http://gaga.ne.jp/circle/

by Mtonosama | 2017-11-04 05:31 | 映画 | Comments(4)

ゴッホ
~最期の手紙~
-2-

Loving Vincent

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(C)Loving Vincent Sp. z o.o/ Loving Vincent ltd.


フィンセント・ファン・ゴッホ。
彼は1853年にオランダ南部の
牧師の子として生まれました。
4歳下の弟テオとは
生涯、強い絆に
結ばれていたことは
皆さま、よくご存じの通り。

しかし、このお方、
順風満帆とは
言い難い人生を送っています。

16歳で叔父の経営する
美術商に入社し、熱心に絵画を学び、
ロンドン支店に栄転するも
失恋して
仕事に身が入らなくなり、解雇。

その後、イングランドで教師をしたり、
ハーグで書店員として働いた後、
父と同じく牧師の道を志します。

しかし、神学校の試験に落ちてしまい、
干し草小屋に暮らす身に。

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そこへ訪ねてきた弟テオの助言を受け、
絵画を独学し始めました。
その時27歳。
水を得た魚のように
着実に画才を伸ばしていきます。

33歳の時、
彼はテオが住むモンマルトルの家に
転がり込み、画塾に通うように。
そして若く才能のある画家たちと
出会います。

3ヶ月後、
ゴッホは傾倒していた日本の浮世絵に
描かれているような陽光と花々を求め
南仏に旅立っていくのです。

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さて、物語は
南仏はプロバンスでの日々と
ゴーギャンとの間で起きたあの事件の後、
彼が37歳という若さで亡くなるまでの
ことが描かれます。

ストーリー
1891年夏
南フランス・アルル。
アルマン青年は
郵便配達をしている父から
1通の手紙を託される。
それは父の友人で1年程前に自殺した
オランダ人画家
フィンセント・ファン・ゴッホが
弟テオに宛てて書いた手紙だった。

父はパリに住んでいる筈のテオを
探し出して手紙を届けてほしいという。

アルマンはパリへ旅立つ。
だが、テオの消息をつかめないまま
画材商のタンギー爺さんを訪ね、
そこで聞かされたのは意外な事実。

兄の死に衝撃を受けたテオは
半年後、兄の後を追うように
亡くなっていたというのだ。

手紙を受け取るべき人を探すため
アルマンは
フィンセントが最期の日々を
過ごしたオーヴェールへと向かう……

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アルマンが手紙を持って謎を探る日々は
あの独特のタッチの油彩画で描かれ、
ゴッホを回想するシーンは
モノクロの水彩画で表現されます。

ゴーギャンとの間で起こった耳切り事件、
精神病院への入院、
そして、
ピストル自殺を図ったというのに
現場にはその凶器もありません。
それに自殺をするのに腹部を撃ちます?

謎に満ちたゴッホの人生は
これまでも多くの映画や書物に描かれてきました。

でも、それを油彩アニメで表現するなんて
奇想天外なことを考えた人は
これまでいなかったと思います。

いくらCG技術が進んだとはいえ
時間もお金も
かかったことと思います。

目の前の絵が動き出す――

私達の驚きは
きっとリュミエールの映像を
初めて観た時の人々の感動に
匹敵すると思われます。

アニメの世界は
いったいどこまで進化するのでしょう。






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ゴッホ~最期の手紙~
監督・脚本/ドロタ・コビエラ、ヒュー・ウェルチマン、製作/ヒュー・ウェルチマン、ショーン・ボビット、イヴァン・マクタガート、制作総指揮/デヴィッド・パーフィット、ローリー・アーベン、シャルロッテ・アーベン、エドワード・ノエルトナー、撮影監督/トリスタン・オリヴァー、ウカシュ・ジャル、編集/ユスチナ・ヴィアージンスカ、ドロタ・コビエラ、絵画責任者/ピョートル・ドミナク、視覚効果責任者/ウカシュ・マツキェヴィッチュ、制作責任者/トメク・ウォツアニク
出演 
ダグラス・ブーツ、ロベルト・グラチーク、エレノア・トムリンソン、ジェローム・フリン、シアーシャ・ローナン、クリス・オダウド、ジョン・セッションズ、エイダン・ターナー、ヘレン・マックロリー
11月3日(金)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国順次ロードショー
2017年、イギリス・ポーランド、96分、カラー、字幕翻訳/松浦美奈、字幕編集/圀府寺司、提供/パルコ、NHKエンタープライズ、カルタクリエイティブ、配給/パルコ

by Mtonosama | 2017-11-01 06:16 | 映画 | Comments(2)

ゴッホ
~最期の手紙~
-1-

Loving Vincent


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(C)Loving Vincent Sp. z o.o/ Loving Vincent ltd.


この画像をご覧になってもおわかりでしょうが、
ゴッホ・タッチの油彩画です。
でも、ゴッホの作品に
こういうのってありましたっけ?

はい、では、
種明かしをします。
なんと驚くべきことに
この映画
ゴッホ風の油彩画で構成された
アニメーションなんです!

ウネウネとうねり、
揺らぎ、
燃え上がりながら、
ゴッホの謎に満ちた死を描き出す
サスペンスフルで
アーティスティックな映画なんです。

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って、
興奮し過ぎですね。

いや、しかし、
125名の画家達によって
描かれた62,450枚もの油絵で
できたアニメってすごくないですか?

脚本・監督はドロタ・コビエラ。

ドロタ・コビエラ
ポーランドに生まれ、
ワルシャワ芸術アカデミーを卒業。
4年間にわたり、
絵画とグラフィックで
優秀な成績を収め
“文化省奨学金”を贈られる。
その後、
アニメーションと映画に出会い、
ワルシャワ映画学校監督学部に入学。
新しい芸術分野を習得する。
短編実写映画『The Heart in Hand』(’06)
短編アニメーション映画
『The Letter』(’04)
『Love me』(’04)
『Mr.Bear』(’05)
『Chopin’s Drawings』(’11)
『The Flying Machine』(’11)
『Little Postman』(’11)
を監督。
『Little Postman』は
世界初の
立体視ペインティング・アニメーション映画で
LA 3D映画祭、
3Dステレオ・メディア(リエージュ)
3D映画・音楽祭(バルセロナ)で
短編立体視映画賞を受賞。
7本目の短編アニメーション映画に
なる筈だった
『ゴッホ~最期の手紙~』では
絵画と映画への情熱を
融合させようと
全編の絵を自分で描こうとしていた。
だが、本作が長編映画に
拡大したことで
脚本と監督として
125名の画家の指導に
あたることになった。

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125名の画家が絵を描く――
といっても生半可なことではありません。

まず、登場人物は全て
実際の俳優たちによって演じられました。

俳優たちは
ゴッホの絵画を忠実に再現したセット
そして
後に合成を行うためのグリーンバックを
背景に演じました。

(「Youは何しに日本へ?」で
バナナマンが首だけ動かしてるアレです)

それを撮影監督がフィルムに収め、
その映像を最新システムで
67㎝×49㎝のキャンバスに投影。
画家たちはそれを描いていきました。

公募オーディションで
選ばれたこの画家たちは
実際に作業に入る前、
1ケ月ほど
ゴッホのタッチを再現できるよう
トレーニングを積んだそうですよ。

本作には
オリジナルに近い形で
94点のゴッホの絵画が登場し、
さらに31点の絵画が
大小含めて部分的に引用されています。

技術的なことはよくわかりませんが、
最新の技術やシステムなど
粋を集めた集大成ともいえる作品に
仕上がっています。

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「星月夜」を思い浮かべてください。
あの糸杉と渦巻く星々。
あれが動き出し、
街へおりていき、
一軒のビストロが
クローズアップされる流れ――

鳥肌が立ってしまいました。

さあ、いったいどんなお話でしょうか。
続きは次回まで乞うご期待でございますよ。



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ゴッホ~最期の手紙~
監督・脚本/ドロタ・コビエラ、ヒュー・ウェルチマン、製作/ヒュー・ウェルチマン、ショーン・ボビット、イヴァン・マクタガート、制作総指揮/デヴィッド・パーフィット、ローリー・アーベン、シャルロッテ・アーベン、エドワード・ノエルトナー、撮影監督/トリスタン・オリヴァー、ウカシュ・ジャル、編集/ユスチナ・ヴィアージンスカ、ドロタ・コビエラ、絵画責任者/ピョートル・ドミナク、視覚効果責任者/ウカシュ・マツキェヴィッチュ、制作責任者/トメク・ウォツアニク
出演
ダグラス・ブーツ、ロベルト・グラチーク、エレノア・トムリンソン、ジェローム・フリン、シアーシャ・ローナン、クリス・オダウド、ジョン・セッションズ、エイダン・ターナー、ヘレン・マックロリー
11月3日(金)よりTOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国順次ロードショー
2017年、イギリス・ポーランド、96分、カラー、字幕翻訳/松浦美奈、字幕編集/圀府寺司、提供/パルコ、NHKエンタープライズ、カルタクリエイティブ、配給/パルコ

by Mtonosama | 2017-10-29 06:49 | 映画 | Comments(4)
三毛猫ひかちゃん

-61-


あたしひかちゃん。

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月曜日は台風だったわね。
被害を受けた方には
心よりお見舞い申し上げます。
ひか&飼い主

飼い主が朝7時過ぎに出かけると
いつも
穏やかな境川が
溢れそうに
なってたんだって。

小田急江ノ島線
江ノ島駅前を流れる川よ。

江ノ島の方でも
ヨットハーバーが大変だったみたい。

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あたしもドキドキしちゃって
エアコンの上に避難したわ。


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心配だわ・・・

え、寝てるって?
違うわよ!
瞑目してるの。

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お寺に向かって
アンしてるんだから。


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「苦労してまるくなる人とがる人」
こんな言葉が貼ってあるお寺よ。
う~ん。
しみじみ来るお言葉ね。

飼い主が中学を卒業するとき
地理のチンタ先生が
「気に入らぬ風もあろうに柳かな」
という都都逸みたいな言葉を
卒業記念として書いてくれたの。
15歳向けではないな、
と思いながらも
感動したんだって。

でも、
このお寺の言葉も名言だわ。

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ありがたい気分になったから
寝るわよ。

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飼い主はこれ。
手作りベーコンよ。
もう、肉食系なんだから!

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そして、これよ。

ったく~
酒池肉林じゃないの!

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また、週末も雨降りらしいわ。
皆さんお体にはくれぐれも気をつけてね。

ひかり




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by Mtonosama | 2017-10-26 06:19 | 映画 | Comments(6)

はじまりの街
-2-

La Vita Possibile

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イタリア人ときくと
皆陽気であけっぴろげな楽しい人々だし、
大阪人も
二人そろえば
「なにゆうとんねん!」って
ボケと突っ込みが始まると
思っていました。

ああ、なんというステレオタイプな思い込み―――

あれだけ女性に優しいイタリア人だって
一皮むけばDV夫もいるだろうし、
お腹をポーンと叩いて
「任せておおき!」という
肝っ玉マンマだって、
毎日、暴力を受ければ委縮します。

だから、
子どもを連れて新しい土地へ旅立つなんて
ものすごく勇気が必要な筈。

だって、
DV夫にも優しかった時代は
あったのだから、
もう少し我慢すればあの頃に戻れる
という想いもどこかにあるでしょう?

映画はそんな旅立ちから始まります。

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ストーリー
ヴァレリオは友達とサッカーの話を
しながら、楽し気に家に向かう。
が、
ドアを開けて目にしたのは
父が母を殴るところ。
衝撃でかたまるヴァレリオの
ズボンの前が濡れ、尿が廊下に流れる――

母アンナは息子と共に
住み慣れたローマを離れる。
向かうのは親友カルラのいるトリノ。
カルラは演劇に生きる陽気な独身女性。
駅まで迎えにきたカルラは
二人を抱きしめ、
自分の家の一部屋を提供する。

新生活が始まる。
アンナは仕事を探し、
快活なサッカー少年だった
ヴァレリオの顔からは笑顔が消えた。
孤独を抱え、晩秋の街を
自転車で走り回るだけの日々。

そんなある日、小包が届く。
妻子の所在を知らない夫が
アンナの父を介して
息子宛に手紙とCDを送ってきたのだ。

アンナはそれを息子の目から隠す。
手紙には息子への愛と
家族としてやり直したいという気持ちが
綿々と綴られていた。
息子にとって自分の決断は
正しかったのだろうか、と
心乱れるアンナ。
「あなたは正しい」と励ますカルラ。

アンナの仕事が決まった。
夜勤もある清掃の仕事。
だが、帰宅した彼女が直面したのは
ヴァレリオの家出。

留守中に父親からの手紙を
読んでしまったらしい。
カルラもいない。
半狂乱になったアンナに
手を差し伸べ、
一緒に探し回ってくれたのは
近所のビストロのオーナー・マチュー。
ヴァレリオが橋の欄干に
腰かけているところを発見。
「ローマに帰りたい」
と泣き叫ぶヴァレリオ――

数日後、マチューは
ヴァレリオを店へ招き入れ、
サッカーの試合を見せてくれた。
マチューは故郷フランスを離れ、
この街に住む訳アリの元サッカー選手。
ヴァレリオは次第に彼と心を通わせる。
一方、マチューが無実の罪で
警察に連行された時、
彼のために証言したのはアンナだった。
アンナもヴァレリオも少しずつ
この街に溶け込み始めていた。

その頃、ヴァレリオは
あるひとに夢中になっていた。
彼女は彼がいつも自転車で通る公園で
客をひく娼婦。
といっても
どこかに幼さを残す東欧出身の少女だ。

ある日
彼女は弟にプレゼントを買うため、
年恰好の似たヴァレリオを
買い物に誘う。
ショッピングの後、
遊園地ではしゃぐふたり。

だが、ヴァレリオの初恋は
残酷な形で終わりを告げる……

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人生の重荷を背負った大人たち、
大人の階段に足をかけた少年。
親切で優しいマチューも
陽気で明るいカルラも
そして
夫から逃げ出したアンナも
泣いたり、愚痴を言ったりしない。
生きていれば
その内、雨もあがるし、
陽の当たる日も来る。

ラストで
青空に浮かぶ気球をバックに
流れるシャーリー・バッシーの
力強い歌声に
勇気が湧いてきます。
人情映画は寅さんだけではありませんね。





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はじまりの街
監督/イヴァーノ・デ・マッテオ、製作/マルコ・ポッチオーニ、マルコ・ヴァルサニア ライシネマ、原案/ヴァレンティーナ・フェルラン、脚本/ヴァレンティーナ・フェルラン、イヴァーノ・デ・マッテオ、撮影/ドゥチオ・チマッティ
出演
マルゲリータ・ブイ/アンナ、ヴァレリア・ゴリーノ/カルラ、アンドレア・ピットリーノ/ヴァレリオ、カテリーナ・シェルハ/ラリッサ、ブリュノ・トデスキーニ/マチュー、エウジェニオ・グラダボスコ/舞台監督、ステファノ・デル・アッチオ/ドメニコ
10月28日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー
2016年、イタリア=フランス、107分、日本語字幕/吉岡芳子、配給/クレストインターナショナル、http://www.crest-inter.co.jp/hajimarinomachi/

by Mtonosama | 2017-10-23 06:22 | 映画 | Comments(6)

はじまりの街
-1-

La Vita Possibile

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13歳の息子を連れて、
住み慣れたローマから見知らぬ街へ旅立つ母。
息子は思春期。
母は五十の坂を下る頃でしょうか。
女盛りは過ぎています。

座席の色が素敵なイタリアの電車に
乗って旅立つようですが、
それにしては
ファッションも顔色も冴えません。

そう、それもその筈。
主人公アンナは夫のDVから逃れ、
13歳の息子ヴァレリオと
トリノへ向かう途中なのです。

イタリアでDV?
え、あんなに女性を大事にし、
マンマの大好きな男たちが
妻に暴力?

やっぱりどこの国でも
起こっていることなのですね。

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監督は家族をテーマに
社会的弱者に寄り添ってきた
イヴァーノ・デ・マッテオ。

イヴァーノ・デ・マッテオ監督
1966年、ローマ生まれ。
劇団での活動を経て、
1990年、俳優としてキャリアをスタート。
1999年には初のドキュメンタリー作品、
2000年には短編映画、
2002年に“Ultimo studio”で
長編劇映画の監督デビュー。
その後、ドキュメンタリー映画や
TVシリーズを経て
2012年に発表した
『幸せのバランス』は
ヴェネチア国際映画祭に出品され、
主演のヴァレリオ・マスタンドレアに
ヴェネチア映画祭
パシネッティ賞男優賞をもたらした。
2014年『われらの子供たち』
(2015年イタリア映画祭上映)
ではアレッサンドロ・ガスマンが
ナストロ・ダルジェント賞主演男優受賞。
『はじまりの街』は長編6作目。

監督がDVに目を向けたのは
娘のクラスメートが
急に暴力的になったことがきっかけでした。
監督のパートナーで
脚本家の
ヴァレンティーナ・フェルランが
日本風にいえば、
PTAの役員みたいなことをしていたのですが、
他の保護者たちから
「あの子はなんとかならないか」
という抗議を受けたのだそうです。

で、その母親に事情を訊いたところ、
11年にわたってDVを受けており、
その影響で子どもが荒れるように
なったということ――
その後、リサーチやインタビューを重ね、
本作が作られることになりました。

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美しいトリノの秋を背景に
描かれる母子と
かれらを取り巻く心優しい人々。
あ、嫌な奴もいますけど。

イタリアといえば
アモーレ、カンターレ、マンジャーレ
愛して、歌って、美味しいものを食べて
とばっかり思ってしまいます。
ところが、どっこい。
みんな顔で笑って、心で泣いて、
やっぱり痛みや苦しみを抱えているんですねぇ。

あ、そうそう
映画の舞台になったトリノが
また素敵な街でした。
ヴァレリオ少年が自転車で駆け抜ける
ポー川に沿って続くヴァレンティーノ公園
母アンナが掃除婦として働くトリノ大学
ヴァレリオが初デートするカステッロ広場
やっと一息つけるようになった
母子が休日に訪れる国立映画博物館――

訪れたことのある人はもちろん
そうでない人も存分に晩秋のトリノを
満喫できます。
トリノの街は準主役ともいえる役どころでした。

さあ、いったいどんな映画なのでしょう。
続きは次回まで乞うご期待でございますよ。



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はじまりの街
監督/イヴァーノ・デ・マッテオ、製作/マルコ・ポッチオーニ、マルコ・ヴァルサニア ライシネマ、原案/ヴァレンティーナ・フェルラン、脚本/ヴァレンティーナ・フェルラン、イヴァーノ・デ・マッテオ、撮影/ドゥチオ・チマッティ
出演
マルゲリータ・ブイ/アンナ、ヴァレリア・ゴリーノ/カルラ、アンドレア・ピットリーノ/ヴァレリオ、カテリーナ・シェルハ/ラリッサ、ブリュノ・トデスキーニ/マチュー、エウジェニオ・グラダボスコ/舞台監督、ステファノ・デル・アッチオ/ドメニコ
10月28日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー
2016年、イタリア=フランス、107分、日本語字幕/吉岡芳子、配給/クレストインターナショナル、http://www.crest-inter.co.jp/hajimarinomachi/

by Mtonosama | 2017-10-20 06:14 | 映画 | Comments(4)

ソニータ
-2-

SONITA

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ロクサレ・ガエム・マガミ監督が
2年半かけて撮影した本作
ソニータには誕生時から公的な記録がないので
正確な年齢はわかりませんが、
彼女が16歳から18歳位になるまで
撮影されました。

ヒジャブの下に強い意志を感じさせる
大きな瞳が光るソニータ。
子ども支援団体では
アフガニスタンから出国するときの
様子を寸劇で表現したり、
同級生の前でラップを歌ったり、
心の傷を癒すと同時に
ティーンエイジャーらしい希望にも燃える
ソニータや共に学ぶ女の子たち。

でも、
16歳になったソニータを待ち受けていたのは
夢とは程遠い現実でした。

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アフガニスタンに住む母親は
彼女を見知らぬ男性に嫁がせようとしていました。
親に言われるままに結婚することが
アフガニスタンの古くからのしきたり。

母親自身、ソニータよりももっと若い頃、
同じように結婚しています。
夫のことをおじさんとしか
呼べなかったのに、
16歳の娘を結婚させることには
なんの疑問も感じていません・・・

母親はソニータの兄の結納金を得るため、
9,000ドルで彼女を結婚させようとしているのです。

ソニータには結婚する気は
さらさらありません。
でも、
家族との関係も失いたくはありません。

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「嫌なら逃げちゃえ!」というのは
違う文化圏に生きる人間の発想でしょうか。

アフガニスタンでは18歳未満で約半数の女性が
結婚するといわれています。
アフガニスタン独立人民委員会によると
60~80%の女性が
親の決めた相手と結婚しています。

強制婚です。
まるで人身売買ではありませんか。

ソニータが保護されている団体の女の子たちも
次々と結納金と引き換えの結婚が決まっていきます。
ソニータがラップにするのも
自分を含めたアフガニスタンの少女たちの
悩みや悲しみや怒り―――

実は、
ここから彼女の運命に転換が訪れます。
そして、
監督自身もこの転換に大きく関わっていくのです。

監督は「撮れ高OK!
で済ますわけにはいきませんでした。

ソニータの母親がテヘランにやってきました。
でも、それはソニータを連れ戻すため。
久しぶりの母子の対面ではありますが、
感激だけでは終わりません。
だって、
ソニータの運命がかかっているのです。

ここで、
監督はソニータの運命に関わってしまいました。
ドキュメンタリーなら強制結婚の実態を描く
ということで映画は完成です。

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でも、監督はソニータを
置き去りにすることができませんでした。

そして、
ソニータに協力して
ミュージックビデオを制作しました。
彼女と共にストーリーや
イメージを考え、
完成したビデオをYou Tubeにアップしました。

それが広がり、
ソニータの人生が変わりました。
彼女はアメリカの学校に
留学することになったのです。

2014年ノーベル平和賞を受けた
マララ・ユサフザイさんを思い出しました。
勇気、実行力、夢―――

すごいなあ、と思います。
自分を変えるのは自分。
そして、
大人のちょっとした協力。
じわじわと感動に浸される映画でした。





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ソニータ
監督/ロクサレ・ガエム・マガミ、製作総指揮/ゲルト・ハーク、制作/TAG/TRAUM
出演
ソニータ・アリザデ、ロクサレ・ガエム・マガミ
10月21日(土)アップリンク渋谷公開
2015年、91分、スイス・ドイツ・イラン、後援/国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所、Girl Power、ハリウッド化粧品、http://unitedpeople.jp/sonita/

by Mtonosama | 2017-10-17 06:04 | 映画 | Comments(4)

ソニータ
-1-

SONITA

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ソニータはアフガニスタンの女の子。
出生届がないので
正確な年齢はわかりませんが、
16歳くらいです。
彼女はタリバンから逃れ、
イランの首都テヘランに
姉と暮らしています。

詳しく言えば、
テヘラン郊外の貧困地域に
滞在許可証も保証人もなく
不法滞在する難民です。

ソニータたちが難民になった背景のそもそもは
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件。
その翌月の10月には
アメリカを中心とした多国籍軍が
アフガニスタンに侵略し、
タリバン政権が崩壊しました。

2002年6月、アフガニスタンには移行政権が発足。
2005年には議会選挙。
新しい国家つくりが着々と進行していた筈でした――

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しかし、
2003年以降、アフガニスタン南部を中心に
勢力を回復しつつあったタリバンによって
テロや攻撃が増加。

10歳位の頃ソニータも
家族と共にイランへ逃れました。

でも、イランでの暮らしも厳しく、
ヒジャーブ(頭を隠すベール)を
身につけなければ逮捕されるし、
女性だけで公の場で歌うことは禁止されています。

そんなイランに暮らすアフガニスタン難民は
2016年末で約95万人、
ソニータのような不法滞在者を加えれば
数百万人に及ぶといわれています。

先の見えない暮らしを続ける
ソニータのような子どもたちの支えは
子ども支援団体。
Teheran-Society for Protection of Working & Street Children
教育を受けられない子どもたちを
サポートするための機関です。

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ここに通う子ども達の多くは
児童労働に従事する子や
アフガニスタンからの移民たち。

そうした子ども達は公的機関の発行する
身分証明書や滞在許可書を持たないため、
教育が受けられません。

この団体は教育や医療を提供し、
子ども達が子どもらしい時間を
過ごせるようにサポートする団体。

ここでソニータたちは
心の傷を癒すカウンセリングや
将来のためのアドバイスを受けています。

ソニータが秘密のスクラップブックに書いた
夢はラッパーになること。
いつかパスポートを持てるようになったら
記入する名前はソニータ・ジャクソン。
なんといっても彼女の理想の両親は
マイケル・ジャクソンとリアーナですから。

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でも、女性が公に歌えない国イランでは
彼女のファンは子ども支援団体に通う子ども達だけ。

マイケル・ジャクソンが理想のパパ?
理想のママはリアーナ?

この映画、ラッパーと難民という
意外な組み合わせがミソなの?
と思ったとのはなんて底が浅いんでしょう。

じわじわと感動が押し寄せてくる
このドキュメンタリー映画の監督は
ロクサレ・ガエム・マガミ。
テヘランで生まれ、テヘラン芸術大学で
映画制作とアニメーションを学んだ女性監督です。

ソニータと監督が出会ったのは
監督の従兄弟が働く子ども支援団体。
将来歌手になりたいと夢見る
才能あふれるソニータを知った従兄弟が
監督に相談してきたのがきっかけでした。

さあ、いったいどんな映画なのでしょうね。
続きは次回まで乞うご期待でございますよ。



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ソニータ
監督/ロクサレ・ガエム・マガミ、製作総指揮/ゲルト・ハーク、制作/TAG/TRAUM
出演
ソニータ・アリザデ、ロクサレ・ガエム・マガミ
10月21日(土)アップリンク渋谷公開
2015年、91分、スイス・ドイツ・イラン、後援/国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所、Girl Power、ハリウッド化粧品、http://unitedpeople.jp/sonita/

by Mtonosama | 2017-10-14 05:05 | 映画 | Comments(2)

愛を綴る女
-2-

MAL DE PIERRES

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(C)(2016) Les Productions du Tresor - Studiocanal - France 3 Cinéma - Lunanime - Pauline's Angel
- My Unity Production



女優ほど素敵なお仕事はないかもしれません。
いろんな人生、いろんな顔を演じられるなんて
随分お得な生き方です。

端正で知的なマリオン・コティヤールが演じる
理想の愛を求め続けるヒロイン・ガブリエル。
さあ、お楽しみください。

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ストーリー
プロヴァンス地方のラ・シオタから
リヨンにやってきたある一家。
ピアノのコンクールに出場する息子に
付き添い、この街を訪れたのだ。
会場へ向かうタクシーの中から
妻はある通りの名に目を止める。
“コミーヌ通り”
その瞬間、
助手席の夫に「先に行って」
と告げ、タクシーを飛び下りた―――

1950年代
プロヴァンスの田舎町で
両親と妹と暮らすガブリエルは
理想の愛を求める美しい娘。
ある日「嵐が丘」を貸してくれた
高校教師に愛の手紙を送る。
あまりにも大胆で官能的なその内容に
恐れをなした教師は彼女を拒絶。

「あの子は病気なの。
彼女を治すには夫となる男が必要だわ」
ガブリエルの狂気を案じた母は
ラヴェンダー摘みの季節労働者ジョゼを
娘の夫に指名する。

ジョゼは
スペイン・カタロニア地方出身。
フランコ政権下、
レジスタンスに身を投じたこともある。
金はないが、真面目で働き者だった。

ガブリエルは
「結婚するか精神病院に入るか」
と迫られ、ジョゼと愛のない結婚。

ジョゼとガブリエルの経営する工務店は
彼の勤勉な働きぶりもあって
繁盛していた。
だが、二人が夜を共にすることはない。

ある晩、夫が街へ娼婦を買いに行くこと
を知ったガブリエルは
黒いストッキングとガーターベルトで
ジョゼを誘惑。
娼婦を買う金を自分に払えば、
夫の娼婦になるというのだ。
それでも、ふたりの間から
よそよそしさが消えることはなかった。

ある日、建設中の新居を訪ねた
ガブリエルは
発作に襲われ、流産する。
主治医から腎臓結石が原因と診断され、
アルプスの療養所で
6週間の温泉治療を受けることになった。

退屈な療養所での日々。
ガブリエルはプロヴァンス出身のメイド
アゴスティーヌと意気投合。
ある日、
ガブリエルは一人の青年と出会う。
彼、アンドレ・ソバージュは
インドシナ戦争に従軍した将校。
戦地で腎臓を一つ失い、
この療養所に来た
どこか憂いを帯びた青年だった。
「ぼくは戦争以外の人生を知らない」
と語るアンドレに
”運命の愛“を感じた彼女は
彼から借りた本に記された
「リヨン・コミーヌ通り」
の文字をじっとみつめるのだった。

そんな折、
なんの前触れもなく療養所を
訪れたジョゼに戸惑うガブリエル。
メイドのアゴスティーヌは
「良いご主人ね。
あなたは何が不満なの?」
と問いかける。
ジョゼの優しさを感じながらも
運命の愛、理想の愛への
突き上げるような衝動に
抗うことのできない
ガブリエル。

十数年後
息子のピアノ・コンクールで
訪れたリヨンで
みかけたコミーヌ通りの文字に
思わずタクシーを飛び下り、
アンドレの住まいを訪れたガブリエルが
目にしたものとは……

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療養所を出たガブリエルは
毎日毎日
アンドレに熱い想いを綴った手紙を
送り届けるのですが、
返事はなく、
やがて厚い束になって返送されてきます。

愛と幻想、狂気の間をさまよう妻を
大きく強い愛で包み込む夫・ジョゼ。

儚げで物憂い風情と繊細な感受性で
ガブリエルの心をつかんで放さないアンドレ。

そして
思いもよらない結末――

ガブリエルの激し過ぎる愛に
辟易し、反感すら抱きながらも
ひき込まれていく不思議な作品でした。





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愛を綴る女
監督/ニコール・ガルシア、脚本・脚色/ニコール・ガルシア、ジャック・フィエスキ、製作総指揮/プロダクション・トレゾー、撮影/クリストフ・ボーカルヌ、編集/シモン・ジャケ
出演
マリオン・コティヤール/ガブリエル、ルイ・ガレル/アンドレ・ソバージュ、アレックス・ブレンデミュール/ジョゼ、ヴィクトワール・デュボワ/ジャニーヌ、アロイーズ・ソバージュ/アゴスティーヌ、ダニエル・パラ/マルタン
10月7日(土)新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町他全国ロードショー
2016年、フランス、120分、原作/「祖母の手帖」(新潮クレスト・ブックス)、配給/アルバトロス・フィルム、http://aiotsuzuru.com/

by Mtonosama | 2017-10-11 06:15 | 映画 | Comments(4)

愛を綴る女
-1-

MAL DE PIERRES

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(C)(2016) Les Productions du Tresor - Studiocanal - France 3 Cinéma - Lunanime - Pauline's Angel -
My Unity Production



恋愛映画です。
ちょっとばかり肉感的?
あるいは官能的?

主人公を演じたマリオン・コティヤールが
あの端正な顔立ちで
自分の情念、そして、肉体を制御しきれず
ひたむきに愛に生きる主人公を演じます。

時代は1950年代。
匂やかなラベンダー畑、
美しい丘陵、溢れかえる太陽を背景に
一直線に理想の愛を求める女性の
17年にわたる姿を描いた映画。

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イタリア人作家ミレーネ・アグスの
ベストセラー小説「祖母の手帖」(’06新潮社)の
舞台設定を
イタリアから南フランスに置き換えての映画化です。

監督・脚本はニコール・ガルシア。

ニコール・ガルシア
1946年アルジェリアに生まれ、
パリのフランス国立高等演劇学校で
演技を学ぶ。
『愛と悲しみのボレロ』('81)など
多くの映画、舞台などで女優
として活躍。
映画監督としては
『ヴァンドーム広場』(’98)など
8本の作品を制作している。

原作ミレーネ・アグス。

ミレーネ・アグス
サルデーニャ出身の両親のもと
ジェノヴァで生まれる。
現在、サルデーニャの州都
カリアリ在住。
高校でイタリア語と歴史を教えている。
2005年、旧石器時代から続く
サルデーニャの一族を描いた
「サメが眠っている間に」でデビュー。
06年『祖母の手帖』刊行。
20カ国で翻訳され、フランスでは発売後ひと月で4刷に。
イタリアの代表的文学賞ストレーガ賞、
カンピエッロ賞の最終候補となる。

「祖母の手帖」はイタリアのボヴァリー夫人とも
言われているそうです。
ボヴァリー夫人はひたすら愛を求め、
自らを滅ぼした女性でしたね。

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本作の主人公ガブリエルも
ここまでやるか、という位ひたむきであります。

そのあまりのひたむきさに
「他にやることないのかい」
と思わず説教したくなる150歳。
う~ん、これが歳をとるということで
ありましょうか。
あるいは
愛を知らずに生きてきたということか・・・

いま、フッと思いましたが、
寂聴さんが瀬戸内晴美と名乗っていた頃の小説にも
愛にひた走る女性が出てきましたっけ。

運命の男性を追い求め、
愛の手紙を送り続ける情熱的なヒロイン
ガブリエルを演じるのはマリオン・コティヤール。

前後も顧みぬひたむきさゆえに
家族からはあの子の“病気”を治すには
結婚させるしかないと疎まれます。
そして、愛のない相手と結婚させられながらも
偶然出会った傷病兵との
衝動的な愛に身を委ねるガブリエル。
ひとはこのような欲望に生きる女性を
ニンフォマニアというのではなかったでしょうか。

ニンフォマニア。
日本語で言えば色情狂。
なんか言葉は悪いですけどね。

でも、演じるのがマリオン・コティヤールですから、
エッチ系の映画を想像したら大間違いです。

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美しい映像で
ヒロインの狂気とも見まごう愛を凝視し、
プロヴァンスの自然と療養所の山の冷気を
とらえたのは撮影のクリストフ・ボーカルヌ。
『PARIS』
http://mtonosama.exblog.jp/9906084/
『ヒトラーへの285枚の葉書』
http://mtonosama.exblog.jp/27935413/ 
http://mtonosama.exblog.jp/27943159/
でも撮影をつとめた名匠です。

さあ、いったいどんなお話なのでしょうか。
続きは次回まで乞うご期待でございます。



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愛を綴る女
監督/ニコール・ガルシア、脚本・脚色/ニコール・ガルシア、ジャック・フィエスキ、製作総指揮/プロダクション・トレゾー、撮影/クリストフ・ボーカルヌ、編集/シモン・ジャケ
出演
マリオン・コティヤール/ガブリエル、ルイ・ガレル/アンドレ・ソバージュ、アレックス・ブレンデミュール/ジョゼ、ヴィクトワール・デュボワ/ジャニーヌ、アロイーズ・ソバージュ/アゴスティーヌ、ダニエル・パラ/マルタン
10月7日(土)新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町他全国ロードショー
2016年、フランス、120分、原作/「祖母の手帖」(新潮クレスト・ブックス)、配給/アルバトロス・フィルム、http://aiotsuzuru.com/

by Mtonosama | 2017-10-08 07:03 | 映画 | Comments(0)