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殿様の試写室

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カテゴリ:映画( 1010 )

              ソラニン -2-

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        (C)2010浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会 写真:太田好治

「ソラニン」ってなんだったっけ?
と、思いませんでした?すぐに分かった人は「理科」好きのひと(笑)。

「ソラニンはジャガイモ・トマトの芽に多く含まれるアルカロイド。
多く摂取すれば嘔吐・腹痛・頭痛などの中毒症状を起こす」
と広辞苑にはあります。

ソラニンは毒ですが、その植物の成長のためには必要不可欠な成分なんですって。
これ、ポイントです。カツカツ(と、チョークで黒板をたたく)。

ストーリー

OL2年目の芽衣子(宮崎あおい)。
多摩川に近い小さなアパートで種田(高良健吾)と一緒に住んでいます。
芽衣子、今の職場を気に入ってはいません。
種田、バンド活動をしています。フリーターです。
大学時代、軽音楽サークルで知り合ったふたりはつきあい始めてもう6年。

やりがいのない仕事とかったるい人間関係。
「会社、辞めちゃおっかな」とつぶやく芽衣子に
「辞めちゃいなよ。ほんとにそうしたいなら。
行きつく先が世界の果ての果てだとしても、芽衣子と俺はずっと一緒なんだから」
そして、芽衣子は辞表を出します。

仕事を辞めた芽衣子は種田がギターとヴォーカルを担当するバンド「ロッチ」の
練習を見にいきます。
メンバーは大学時代のサークルの仲間。
実家の薬屋を継いでいるドラムのビリー(桐谷健太)。
ベースの加藤(近藤洋一)は大学6年生。
加藤のカノジョのアイ(伊藤歩)は芽衣子の親友。
5人で集まれば、すぐに楽しかった大学時代にタイムトリップできます。

でも、その帰り道、酔っ払った種田は生活への不安を口にします
勢いで仕事を辞めた芽衣子だって、焦りや不安は同じ。

自分の不安には蓋をして
「才能ないから、本気じゃないから、いつも逃げてばっかり。
種田は好きな音楽のことで誰かから批判されるのが怖いんでしょ」
と責める芽衣子。
気まずい空気の中、仕事に向かった種田でしたが
芽衣子の言葉をきっかけにして、真剣にギターを弾きたい本当の自分に気づきます。

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種田はバイトを辞め「今度チャンスを掴めなかったら、バンドは解散」と宣言。
スタジオで演奏にうちこむ種田たち。
完成したデモCDをレコード会社やライブハウスに送付したあと
5人は川辺で花火に興じるのでした。
新しい一歩への出発。

数日後、大手レコード会社から連絡が入ります。
ですが、担当者・冴木(ARATA)の提案は「グラビア・アイドルのバックバンドをしないか――」
現実は甘くない。

ある日、種田の口に出した言葉は「芽衣子さん、俺たち別れよう」。
「ウソつき!ずっと一緒だからって言ったじゃん」
でも、その日、種田は家を出ていってしまいました…

よくある青春恋愛映画ではあります。
ネタばらしすると、この後、種田は交通事故で死んでしまいます。

若木をへし折るような突然の死。
泣いているだけの芽衣子、そして、仲間たち。
立ち直れそうもありません。

でも、それだけだったら
「ソラニン食べ過ぎて嘔吐してしまいました。頭も痛くなりました。はい、おしまい」
で終わってしまいます。

覚えていますか?
ソラニンはその植物の成長のためには必要不可欠な成分なんです。

          芽衣子たちは成長します。

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人は生まれてきた以上、なにかを残していかなくてはなりません。
生き残った人は、かつて生きていた人の存在証明をしなくちゃなりません。

          種田くんの存在証明は感動的なラストシーンの中にありました。

今、24歳の人、かつて24歳だった人、漫画を好きな人、嫌いな人。
この感動のラストには泣きます。

ソラニン
監督/三木孝浩、原作/浅野いにお(「ソラニン」小学館ヤングサンデーコミックス刊)、
脚本/高橋泉
出演
宮崎あおい/井上芽衣子、高良健吾/種田成男、桐谷健太/ビリー、近藤洋一(サンボマスター)/加藤賢一、伊藤歩/小谷アイ、ARATA/冴木隆太郎、永山絢斗/大橋、岩田さゆり/鮎川律子、美保純/芽衣子の母、財津和夫/種田の父
4月3日(土)新宿ピカデリー、渋谷シネクイント他全国ロードショー
配給/アスミック・エース、2010年、日本/126分、http://solanin-movie.jp/


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by mtonosama | 2010-03-16 05:47 | 映画 | Comments(5)
掌の小説 -2-

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                    ©「掌の小説」製作委員会

さてさて、本作は4人の新進気鋭の監督たちによるオムニバス映画です。
ですが、4編すべてに共通するものが2つあります。

1つは満開の桜。
そして、もう1つは昨年12月24日に亡くなった名優・奥村公延さん。

奥村さんが4篇の作品を綴り合わせる1本の糸のように登場し、それがとても印象的です。
本作は奥村さんの最後の作品となりました。合掌。

第1話「笑わぬ男」 (原作:「笑わぬ男」「死面(デスマスク)」)

監督は岸本司さん。初の劇場長編作品「アコークロー」が全国公開され
沖縄では動員記録を塗り替えるなど、話題になりました。

ストーリー
磨りガラスごしの光がさしこむ小さなアパート。
それは路地の奥にひっそりとたたずんでいました。
住んでいるのは若い夫婦です。
妻は病で臥せっており、夫は売れない小説を書いていました。

アパートから一歩外に出れば、子どもがチャンバラごっこをし
ラッパを吹いて豆腐屋が通る――
昭和の初めでしょうか。当たり前で平和な日常の光景が拡がります。

死期が近づいているのか、妻は夜になると「足が寂しい」と訴え
夫はそんな妻の細く白い足をさすり続けます。
ある日、「桜が見たい」という妻のために、夫は桜の花が咲き誇る裏山へ向かいます…

「桜の樹の下には屍体が埋まっている」
という一節を思い出させるしいんとした作品。
満開の桜と死とエロスは同じものなのかもしれないと、ふと思ってしまいました。

監督/岸本 司
出演
吹越 満/男、夏生ゆうな/女、コ―ジ―冨田/友人K


第2話「有難う」 (原作:「有難う」「朝の爪」)

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NY市立大学院映画学科で2年間映画制作を学んだ三宅伸行監督。
卒業後、カメラマンとして仕事をしながら監督した「116」がパームスクリング映画祭などで
受賞しています。

ストーリー
菊子は母と一緒に乗合バスに乗っています。
町に向かう山道は桜が満開。
菊子たちが乗ったバスの運転手は皆から(ありがとさん)と呼ばれて愛されている青年でした。
バスに道を譲ってくれた大八車や馬車や馬、誰にでも
「ありがとう」と声をかける感じのいい人物だったからです。

「〈ありがとさん〉のバスに乗れたからあんたは運が良い」と喜ぶ母。
桜が咲き誇る山道を、14歳の菊子は娼婦として町に売られてゆくのでした…

満開の桜の下を村から町へ向かうバスが
菊子14歳から22歳への時空の移動を表現しているような静かな不思議な作品。
桜の下で交わされる心優しい挨拶に、心の奥の細い糸が静かに共鳴します。
観ているこちらの口元もゆるみ、「ありがとう」とつぶやきたくなるような。
監督/三宅伸行
出演
寉岡萌希/菊子14歳、中村麻美/菊子22歳、星ようこ/保子


第3話「日本人アンナ」 (原作:「日本人アンナ」)

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監督の坪川拓史さんは舞台俳優やアコーディオン奏者として活動しながら映画制作をしています。
1996年から9年の歳月をかけて完成した長編第1作「美式天然」で第23回トリノ国際映画祭・長編コンペティション部門に招かれ、最優秀作品賞、最優秀観客賞をダブル受賞。
日本人としては初の快挙をなしとげました。
本作「掌の小説」では初めてプロデューサーも務めています。

ストーリー
ある日、「私」はロシア人の少女・アンナに財布を掏られてしまいます。
アンナは町の映画館でロシアの歌を歌う少女。
ロシア革命の混乱の中、亡命してきた貴族の娘というふれこみです。
アンナに魅せられた「私」は少女が小さな弟と泊まっている宿をみつけ
隣の部屋の襖のすきまからアンナの姿を覗き見ていました。
そんな日が数日続きましたが、突然アンナは町からいなくなってしまいます。
翌年の春、「私」は満開の桜の下でアンナに良く似た少女と出会います…

大正時代のほの明るい街の活気が懐かしさをそそり
知らない時代のはずなのに、なぜか心にしみる光景。
今は誰も使わない「おにいさま、そうじゃなくってよ」という優しい言葉が
心地よく耳に響きます。
監督/坪川拓史
出演
福士誠治/「私」、清宮リザ/アンナ、菜葉菜/「私」の妹


第4話「不死」 (原作:「不死」)

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監督は歌手・川嶋あいのオフィシャルカメラマンとして全国各地で行われた1000回ライブを撮影。
その映像を基に初の劇場公開作品となる長編ドキュメンタリー映画「最後の言葉dear beloved」
(‘05)を発表した高橋雄弥さん。
映画だけでなく、さまざまな分野の映像を精力的に制作しています。

ストーリー
毎日毎日、同じ木の下で凧を揚げ続ける老人・新太郎。
彼はある日雑踏の中で、遠い昔に死んだ恋人みさ子をみつけ
手に手をとって、桜の木に向かって歩き始めます。
そこはかつてみさ子が亡くなった場所でした。

数十年の時を経て、恋人に再会した新太郎は満開の桜の木の下で
高々と凧を揚げ始めました…

4編を通じて顔を出していた凧を持った老人の姿が本編でようやく明らかになります。
満開の桜と死。美しく、淋しく、幻想的な作品です。

ひとびとが桜に狂うのは今が限りと咲く花に自分を重ねるからなのかもしれません。

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さあ、もうすぐ桜が咲きます。花見ですよぉ―――
監督/高橋雄弥
出演
奥村公延/新太郎、香椎由宇/みさ子

「掌の小説」
監督/坪川拓史、三宅伸行、岸本司、高橋雄弥、原作/川端康成(新潮文庫)、プロデューサー/浅野博貴、坪川拓史、小林洋一、撮影/板垣幸秀、八重樫肇春、主題歌/「四季」Kagrra(KINGRECORDS)
出演
吹越満、夏生ゆうな/寉岡萌希、中村麻美、長谷川朝晴/福士誠治、清宮リザ、菜葉菜/香椎由宇、奥村公延
3月27日(土)より、ユーロスペースにてモーニング&レイトショー 他全国順次公開予定
2010年、日本、80分、カラー&モノクロ、配給/エースデュース、配給協力/グアパ・グアポ、www.tenohira-kawabata.com/

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by mtonosama | 2010-03-10 06:46 | 映画 | Comments(10)
掌の小説 -1-  

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                  ©「掌の小説」製作委員会

昨年来、日本の文芸作品がたくさん映画化されています。
昨年は社会現象や流行語にもなった小林多喜二「蟹工船」。
生誕100周年を迎えた太宰治の「ヴィヨンの妻」。
今年も太宰治「人間失格」、川端康成の本作「掌の小説」
芥川龍之介「トロッコ」そして村上春樹「ノルウェイの森」と続いています。

「ノルウェイの森」はキャストも発表され、今秋公開の予定です。
ちなみに主人公ワタナベ役は松山ケンイチ、直子役は菊池凛子だとか。
読んだ人が多い小説なだけにそれぞれ思い入れも深く
このキャスティングにはいろいろな意見がありそうですね。
監督がベトナム出身のトラン・アン・ユンだけにちょっと意外な配役でした。

いえいえ、今回は「ノルウェイの森」は関係ありません。
恥ずかしながら、ちょっと熱くなってしまった殿ですが
おなじみの小説が映画化されるのって、緊張します。
お気に入りの作家の、それも、好きな作品だったりすると
映画化によってイメージが変わってしまうのって、絶対イヤですよね。
殿の最大ガッカリは江戸川乱歩小説の映画化作品です。
(あ、でも、乱歩の「芋虫」を原案にした若松孝二監督の「キャタピラ」は観てみたいですが)

いけない、いけない。話がそれてしまいました。
「掌の小説」です。川端康成です。

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「掌の小説」
川端が40年余にわたって書き続けてきた作品集で、話の長さは短いもので2ページほど、長いものでも10ページに満たない122編の短編小説を収録したもの。

本人は「この巻の作品の大半は二十代に書いた。多くの文学者が若い頃に詩を書くが、私は詩の代りに掌の小説を書いたのであったろう。無理にこしらえた作もあるけれども、またおのずから流れ出たよい作も少くない。今日から見ると、この巻を『僕の標本室』とするには不満はあっても、若い日の詩精神はかなり生きていると思う」と評しています。(WIKIPEDIAより)

かなりの自己評価ですね。でも、12年後に出された全集ではこれを覆し
「わたしの歩みは間違っていた」と自己嫌悪を述べているそうですが。

川端康成といえばノーベル文学賞受賞作家
あるいは「伊豆の踊り子」「雪国」の作者というように日本を代表する作家です。
映画化された作品も多いですよね。

f0165567_5263572.jpgところが、この作家ほど本人のイメージと作品が違う人っていないんじゃないでしょうか。
殿なんて、川端康成の「眠れる美女」を読んだとき、そのじっとりとしたエロティシズムにびっくりしました。
「眠れる美女」は2005年ドイツで映画化され、ヴァディム・グロウナが監督、製作、脚本、主演をこなしましたが、いやぁ、まいりました。
小説も映画も、あのぎょろりとした目の大先生という川端の風貌とエロティックな老人愛がどうしても結びつかず当惑したものです。

文芸作品の映画化は監督の思い入れの激しさみたいなものにがっかりというか、ちょっとひいてしまう部分もあるものです。


しかし
時代の空気を描きだすことを大切にした4人の監督の映像には
おおげさなものがなく、川端康成の「詩精神」が漂っていました。

あ、そうなんです。
この映画は「笑わぬ男」「有難う」「日本人アンナ」「不死」という4作を
4人の監督がオムニバス形式で綴ったものです。

というところで、4話のご紹介は次回までお待ちください。乞うご期待であります。

To be continued.

「掌の小説」
監督/坪川拓史、三宅伸行、岸本司、高橋雄弥、原作/川端康成(新潮文庫)、プロデューサー/浅野博貴、坪川拓史、小林洋一、撮影/板垣幸秀、八重樫肇春、主題歌/「四季」Kagrra(KINGRECORDS)
出演
吹越満、夏生ゆうな/寉岡萌希、中村麻美、長谷川朝晴/福士誠治、清宮リザ、菜葉菜/香椎由宇、奥村公延
3月27日(土)より、ユーロスペースにてモーニング&レイトショー 他全国順次公開予定
2010年、日本、80分、カラー&モノクロ、配給/エースデュース、配給協力/グアパ・グアポ、www.tenohira-kawabata.com/


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by mtonosama | 2010-03-07 05:57 | 映画 | Comments(10)
          抵抗 死刑囚の手記より -2-
un Condamné à mort s' ést échappé ou le Vent
souffle où il veut


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© 1956 GAUMONT / NOUVELLES ÉDITIONS DE FILMS

さあ、「抵抗 死刑囚の手記より」の後編が始まります。

ストーリー

1943年、ドイツ占領下のフランス・リヨン。
ドイツ軍に連行されるフォンテーヌ中尉は護送中の車から脱走を試みるが、失敗。
彼が新たに収監されたのはモンリュック監獄の独房だった。

奥行き3メートル、幅2メートル。手を伸ばせば壁についてしまうような狭い房には
ベッド、用便バケツに小さな棚と小窓。
ただ、その高い窓によじ上れば中庭をのぞくことができる。
そんな地獄のような監獄に、手錠をつけたまま収容されたフォンテーヌ。
脱走を企てたものには即処刑の運命が待ち受けている…

フォンテーヌが窓から中庭を見下ろすと、3人の捕虜が。
そっと声をかけると、外部と連絡を取る手段があるという。

再び、脱走を決意するフォンテーヌ。

3人の捕虜のうち、テリーという老人が看守のすきを見て
外部から鉛筆や紙、剃刀の刃などを調達し
レジスタンスの同志や家族との連絡をとってくれる。
テリ―もまたみつかれば命はない。

入獄して15日目、フォンテーヌは最上階の房に移され、手錠を外された。
1日に1度、用便バケツの掃除のため、中庭に出られるようになり
新たな同志とも知り合い、ひそかに情報を交換できるようにもなった
どんな状況でもかすかな希望はあるものだ。

脱獄の準備を本格的に開始するフォンテーヌ。
作業は着々と進む。ある日、仲間の1人が脱獄に失敗し、銃殺される。
慎重の上にも慎重を重ね、準備を整え終えた日、フォンテーヌは死刑宣告を受けた。
そして…


冒頭のシーンから、がっつりつかまってしまった殿です。

撮影に使われたのは、実際のリヨン・モンリュック城塞刑務所。
奥行き3メートル、幅2メートルという狭い房内に据えられたカメラ

カメラは
脱獄準備を着々と進めるフォンテーヌの手元を
盗んだスプーンが床のコンクリートにこすりつけられ、ナイフになるまでを
そのナイフで扉の板張りが外されていく様子を
追い続けます。

観客の眼はカメラの眼となり、カメラの眼は観客の眼となり
フォンテーヌの動きと、道具たちが働く様子を凝視します。

まるで、スクリーンと観客席が同じ平面上にあるかのようです。
わ、ドイツ兵が来る!見つかる!気をつけて!
ドキドキする、その緊張感といったらありません。

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小細工など一切なく、馬鹿正直なまでの《モデル》の単純な動きとそれを追うカメラ。
劇的に盛り上げる音楽もなく
過剰な演技など、なにひとつありません。

何があったって、死ぬわけにはいかない。
そのためにはいま自分にできることを愚直なまでにやり遂げるしかない。
パルチザンの思いが半世紀を経ても鮮やかに脈打っています。
しっかり伝わってきました。

古さなんてまったく感じません。ブレッソン監督、本当にすごい!

でも、こんなことが、その昔、本当に起こって
今もまだどこかで起こっているんですよね…

抵抗 死刑囚の手記より
監督・脚本/ロベール・ブレッソン、原作/アンドレ・ドヴィニー、
撮影/レオンス=アンリ・ビュレル、美術/ピエール・シャルボニエ、編集/レイモン・ラミ、
製作/ゴーモン、製作総指揮/ジャン・テュイエ、アラン・ポワール
出演
フランソワ・ルテリエ/フォンテーヌ、ロジェ・トレルヌ/テリー、
シャルル・ル・クランシュ/フランソワ・ジョスト
3月20日(土)より、岩波ホール他でロードショー
1956年、97分、モノクロ、フランス映画、配給/クレストインターナショナル
公式サイト:http://www.crest-inter.co.jp/selection/index.html


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by mtonosama | 2010-01-31 05:23 | 映画 | Comments(6)
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(C)2008 STUDIO NURIMBO


さあ、また泣いていただきましょう!
涙を流して泣くのはけがれた心を浄化するには最も手っ取り早うございますことよ。

純愛、動物、老人、子ども。
これって涙スイッチBIG 4ですよね。

老人、動物、そして、彼らを結びつける純愛。
一頭の年老いた牛と老農夫を主人公にして綴られる農村の日々。
「牛の鈴音」は子どもを除いたBIG 3が揃った韓国の落涙ドキュメンタリー映画です。

この映画が失敗したら出家しようとまで考えたイ・チュンニョル監督(43歳)の長編映画デビュー作。
2009年、「牛の鈴症候群」なる社会現象まで起きたという韓国の超話題作です。
地味なんですけど、しみじみ来ます。
地味は滋味にも通じます。

ストーリー

慶尚北道 奉化(キョンサンプクド ポンファ)郡に79歳の農夫チェさんは
76歳の妻イさんと暮らしています。
2人は農業一筋で9人の子どもたちを育てあげました。
30年間チェさんとともに田を耕し続けてきた牛は40歳を過ぎています。
農耕牛の寿命は15年ほどというのに、牛は40年も生き、
老いた体で静かに働き続けています。
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誰もが機械を使う時代なのに、チェさんは牛を使って田を耕し
収穫を牛のひく車に乗せて運びます。
チェさんは草を食べる牛の身体に障るからと農薬は使いません。
おかげで雑草取りに忙しい奥さんは文句を言います。
「あたしはなんて不幸な女なんだろうねぇ」
牛はなにも言わず、ゆっくり静かに草を食み、おじいさんを荷車に乗せて歩きます。

ある日、かかりつけの獣医が来て
「この牛はそろそろ寿命だ。今年の冬は越せないかもしれない」と告げます…

静かな映画です。ナレーションもありません。
あ、ただ、おばあさんがず~っとおじいさんに文句を言っているので
それがナレーション効果を出しているかもしれません。

30年もチェさんと働いているのに、牛には名前がありません。
チェさんは時々牛をたたきます。
すると牛はやさしい目をショボショボさせて身をすくめます。
チェさんは手間いらずの人工飼料を与えたりせず
朝も暗い内から一生懸命牛の食事を作ります。

ペットブームの日本では、犬や猫を「この人」なんて呼んだりしながら
飽きれば平気で捨ててしまっているのに
チェさんは名前もつけない牛を同志として、30年間も共に働き、暮らしています。
(それはもうおばあさんがやきもちを焼くほど)

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フリーのテレビ演出家だったイ・チュンニル監督は当初テレビ番組をつくるつもりでした。
「父親」たちのドキュメンタリーを撮りたいと考えていたそうです。
1997年のアジア通貨危機で、監督の父親世代の多くの人々が職を失いました。
ちょうどこの映画のチェさんの年配の人々で、韓国の苦しい時代を支えてきた人々です。

彼らをどう描くか、を考えた時
監督の頭に閃いたのは、農家に育った自分の幼少時代の記憶と
100年ほど前に韓国を旅行して農民と牛について書いた「大地」の作家パール・バックでした。

2004年チェさんと牛に出会い、撮影を決めた当初から
監督は「この牛が死ぬまで撮影しようと決めていた」そうです。
3年後、編集作業に入った監督はこの作品を映画にしたいと思うようになりました。
そして、プロデューサーのコー・ヨンジェさんと知り合い
この大ヒット映画が生まれたのです。

韓国でも、日本でも、かつての穏やかな暮らしが
櫛の歯が欠けるように消えていっています。

この映画は老いた人たちの日々の営みを通して
かけがえのないものを永遠に失ってしまうかもしれない
チェさんの息子や娘たちの世代に「大切なものをなくしちゃいけないよ」
と静かに教えてくれます。

牛の首に下げた鈴の音が優しいけれど、胸に響く警鐘としていつまでも鳴り響いています。




牛の鈴音
監督・脚本・編集/イ・チュンニョル、製作/スタジオ・ヌリンボ、プロデューサー/コー・ヨンジェ、撮影/チ・ジェウ
出演
チェ・ウォンギュン、イ・サムスン
2008年、韓国映画、カラー、原題/ウォナンソリ(牛鈴の音)、英語題/Old Partner,配給/スターサンズ、シグロ、題字:菅原文太
12月19日(土)シネマライズ、銀座シネパトス、新宿バルト9、第七藝術劇場、シネマート心斎橋他全国ロードショー
www.cine.co.jp/ushinosuzuoto/


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by mtonosama | 2009-11-28 05:24 | 映画 | Comments(14)
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                      (c)2006 フジテレビ/東方吉祥
泣きながら生きて

テレビの人気番組が映画になるというのが最近多いです。
なんでしたっけ?「事件は現場で起きているんだっ!」って映画とか
ニュースで放映された24歳の乳ガン女性のドキュメンタリーが反響を呼び
映画化された「余命1ヶ月の花嫁」とか
アメリカだったら「セックス・アンド・ザ・シティ」がそうですね。
でも、どれも、映画としてつくられた作品です。

「泣きながら生きて」は2006年11月3日全国ネットで放映され、
反響を呼んだテレビドキュメンタリーです。
この映画は、テレビ番組がそのまま映画館のスクリーンで上映されます。
そこだけ見ると、実に安直、手を抜いているのでは…

が、しかし

「泣きながら生きて」は放映されて以来
多くの視聴者から、再放送やDVD化を望む声が高かった作品で
ある中国人一家の10年間を記録したドキュメンタリーです。

今回このテレビドキュメンタリーを異例の劇場公開とするために
一人の大学生が動きました。http://ameblo.jp/nakinagara-ikite/
「高校生の時、何のために勉強しているのか誰も教えてはくれなかった。
就職活動の最中、人はなぜ働くのかわからなくなった。
おおげさかもしれないけれど、僕の人生はこの作品に出会って変わった。
悩んだとき、きっとこの作品は、皆さんに寄り添って一緒に答え探しをしてくれると思います」
(慶大4年・中村俊喜さん)

本作の横山隆晴プロデューサー。彼の処女作はテレビドキュメンタリー
「別離(わかれ)の歌~飛騨高山の早春賦・『白線流し』」です。
その舞台が大学生の母校・岐阜県立斐太高校だったという偶然も重なり
今回の劇場上映が実現しました。

ストーリー
1989年、上海から35歳の中国人・丁尚彪(ていしょうひょう)さんが
希望に燃えて成田空港に到着しました。

丁さんは文化革命時、中国奥地の寒村へ下放され
ちゃんとした教育を受けることができなかった世代です。
妻とはその地で知り合い、共に苦労し、励ましあってきました。

上海で働きながら、人生の再出発を心に期していた丁さんは
ある日、街角で日本語学校のパンフレットを手にしました。
入学金と半年分の授業料で42万円。
夫婦二人が15年間働き続けないと得ることのできない金額です。
彼は親戚縁者に借金をして、お金をかき集めました。
「日本語学校で学び、日本の大学へ進学する!」

妻子を上海に残し、希望を胸に来日した丁さんでしたが、大変な現実に直面しました。

日本語学校の所在地は北海道の阿寒町。住所の末尾は「番外地」。
働いて借金を返しながら、勉強していこうと考えていた丁さんは
会社や工場はもちろん、店も、民家もない光景に息を呑みます。
日本で働きながら借金を返さなければ、勉強も続けられないし
中国へ戻ることもできません。

丁さんは、この町を脱出しました。そして、東京へやってきました。
学生でなくなった彼はビザを更新できません。
不法滞在者です。
再挑戦の夢は潰えました。

勉学への強烈な動機と意欲を持ちながら
断腸の思いで自身の夢を諦めました。
その代わり、我が子にそれを託したのです。
中国にいる家族とは何年も離ればなれのまま
早朝から、終電がなくなる時間まで、異郷で一人働き続ける丁さん。

娘は見事にNY州立大学に合格しました…


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「あなたの夢かもしれないけど、よくも10年もほったらかしにしてくれたわね。
女でもできたんじゃないの?」
「自分の夢を諦めたからって、私におしつけてないでよ」
ま、これが一般的な妻子の反応だと思うのですが。

優しく夫を支える妻と優秀な娘。
加えて、10年にわたる取材の結果が成功物語に終わったから
感動するのでしょうか。

確かに「泣きながら観る」しかないくらい、ハンカチが手放せません。

     上海からNYへ向かう娘が24時間のトランジットを利用して7年ぶりに会いに来ても
     不法滞在者ゆえに空港まで迎えに行くことも、旅立つ娘を送ることもできず
     成田空港の手前で京成電車を降り、見送る丁さん。

     妻もまた娘を訪ねるNYへのトランジットを利用して10年ぶりに夫に会います。
     服を新調し、美容院に行った妻。丁さんも東京案内のルートを考え、部屋を整えます。
     10年ぶりの新婚旅行のようにときめく2人。
     でも、やはり京成電車を空港の手前で降りて、いつまでも妻の乗った電車を見送る丁さん。
     声をしのばせて泣く妻。


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この話、単なる美しい家族愛や勉強好きのお父さんや娘の話ではありません。
どん底に落ちても諦めない丁さんの強さ。決して希望を失わない前向きな姿。
成績優秀な娘。我慢強く夫を信じ、支え続ける妻。
奇跡のようなこの3人の資質から生まれた感動のドキュメンタリー作品です。

いよいよ上海に帰ることになった丁さんは網走の語学学校跡を訪れます。
この地が彼の死にものぐるいの生活の始まりだったはずなのに
丁さんは深々と学校に向かって頭を下げました。

中国人も日本人もありません。
丁さんの人としての素晴らしさに殿も頭を下げたい気持ちになりました。

泣きながら生きて
ナレーター/段田安則、企画・プロデュース/張麗玲、構成・編集/横山隆晴、張煥琦、
撮影/張麗玲、張煥琦、遠藤一弘、横山隆晴、演出/張麗玲、張煥琦、
プロデューサー/横山隆晴、製作・著作/フジテレビ、東方吉祥
2006年、日本、カラー、108分
11月28日(土)新宿バルト9ほか全国順次上映
http://nakinagara.net/


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by mtonosama | 2009-11-08 05:33 | 映画 | Comments(12)
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SOUL KITCHEN

今回は試写室ではなく、映画館からの上映です。
新宿バルト9。http://wald9.com
先日初めて足を運びました。
もうびっくり!
東京の新しい映画館はこんなに立派で、椅子の配置も良いのですね。
これなら前に大きな人が座っても、スクリーンが見えます。
う~ん、すばらしい。皆さん、映画は映画館で観ましょう!
(って、まず自分がそうしろ!ですよね。はい)

なぜ、立派な映画館へ行ったかというと、ドイツ映画祭をやっていたからです。
「ドイツ映画祭2009」。10月15日~18日、新宿バルト9で開催されました。

ドイツ映画というと、暗くて、理屈っぽい…。そんなイメージありますよね。
今年上映された、ドイツ赤軍の誕生から幹部の自殺までを描いた
「バーダー・マインホフ 理想の果てに」とか
「ヒトラー、最期の12日間」(‘04)とか
「白バラの祈り ゾフィー・ショル最期の日々」(‘05)とか
暗くて、まじめ。

10月15日、ドイツ映画祭初日に鑑賞しましたが
今年のオープニング作品ファティ・アキン監督の「SOUL KITCHEN」はコメディでした。
当試写室で昨年12月に上映した「そして、私たちは愛に帰る」
(原題Auf der anderen Seite )http://mtonosama.exblog.jp/9988444/
はこの監督の作品です。

ファティ・アキン監督はトルコ系移民の息子でハンブルグに生まれた移民第2世代。
前作は親子の関係を通じて、トルコ人としての出自を問いかける作品。
どちらかといえば理屈っぽい系の映画でした。

〈理屈っぽいぞ〉と刷り込まれた頭で「SOUL KITCHEN」を観ました。
だから、ぶっとんだシーンや卑猥な(たぶん)ハンブルグ・スラングの連続に
うれしい意味で裏切られました。
主役を演じ、脚本も書いたアダム・ボウスドウコス(彼はギリシャ系移民二世です)
は監督の子供時代からの親友です。

この人、ふられても、踏んづけられても、騙されても、ギックリ腰になっても
めげずに立ち上がる気のいい食堂オーナーを演じて良い味を出していました。

そのアダム・ボウスドウコスが舞台挨拶をしたのですが
紹介者が彼の名前を発音できず
自分で名乗りながらステージに上がってきたのは
まるで本作の1シーンを再現したようでした。

さあ、どんなお話かというと

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ハンブルグの港近くの倉庫を改造して「ソウル・キッチン」を営業するジノス。
恋人のナディーンが上海に行ってしまって、店の経営に身が入りません。
そんな心のすきをねらうかのように
悪徳不動産仲買人が店をのっとろうと接近してくるわ
仮釈放中の弟イリアスが雇ってくれと頼み込んでくるわ
ギックリ腰になるわ
もうトラブルの大盤振るまいです。

しかし、ここに凄腕のシェフがやってきました。
(このシェフ、かなり変人です)
おかげで店は評判になり、行列のできる有名店に。
一安心のジノス。と同時に、上海のナディーンの様子が気になってきました。
遠く離れた男女の気持のすれ違いは洋の東西を問いません。

矢も楯もたまらず、店は弟イリアスに任せ、ハンブルグ空港へと走ります。
ところが、あれ?ナディーンがハンブルグ空港にいるではありませんか!
見知らぬ中国人男性も一緒です。
一方、イリアス。
賭けごとに目のない彼は悪徳不動産屋の罠にはまり
今や「ソウル・キッチン」の運命は風前のともしび…

一歩間違えたら、スラップスティックになるところなのに
その寸前で抑制がきいています。

   ハンブルグが一番ハンブルグらしい風景と雰囲気。

   ソウル・キッチンの窓を通して見えるハンブルグ港
   その逆に、窓を通して見える店内の様子。
   そこにはロウソクの灯りに照らされてクリスマスの正餐を取るジノスと女性…

このあたりの静と動のめりはりのきかせ方、秀逸です。
脇を固める俳優陣も個性的。
(ソウル・キッチンに間借りするソクラテスじいさん、良かったです)
そして、映画もまた思わぬ展開を見せてくれます。

〈ファティ・アキン監督といえば移民映画〉と、なんでも枠におさめたがる
型にはまった日本人。これって楽しくないんですけど
あえて、型にはめるなら、
主役を演じたボウスドウコスさんもステージ上で語っていた「ハイマート・フィルム」
( der Heimatfilm:ふるさと映画)なのでしょう。
トルコにルーツを持つファティ・アキン監督
そして、ギリシャ系移民2世のボウスドウコスさんですが
2人とも生まれ育ったのはハンブルグ。
出自はともかく、彼らが現在生活するハンブルグこそ
自分たちのふるさとなんだと腰を据え、宣言してるような映画です。

「暗さ」がキャッチフレーズ(?)だったドイツ映画で
映画祭の顔ともいえるオープニング作品にコメディが選ばれたというのは意外でした。

一般公開されること熱望してます。

監督/ファティ・アキン、脚本/ファティ・アキン、アダム・ボウスドウコス
出演
ジノス・カザンツァキス/アダム・ボウスドウコス、イリアス・カザンツァキス/モーリッツ・ブライプトロイ、シェフ“シェイン”/ビロル・ユーネル、ナディーン/フェリーヌ・ロッガン、ルチア/アンナ・ベデルケ、ソクラテス/デミール・ゲクゲル

ドイツ映画祭2009 in Yokohamaのお知らせ

日程:10月19日(月)~31日(土)火曜定休
時間:19:50~20:50レイトショー
会場:ブリリアショートショートシアター www.Brillia-sst.jp

「41秒」(41 Sekunden)3分45秒
「朝の浮気心」(Morgenschwarm)9分
「おもちゃの国」(Spielzeugland)13分52秒
「さよならを伝えに…」(FRAGILE)20分
「3列目の女」(Das Maedchen in der dritten Reihe)1分25秒


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by mtonosama | 2009-10-24 05:39 | 映画 | Comments(16)
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(C)2009 A&E Television Networks & Actual Reality Pictures,Inc.All rights Reserved.
ファッションが
教えてくれること

The September Issue


お手数ですが、画面を少しばかり下方へスクロールして、出演者をご覧いただけますか。
ね、すごいでしょ?
カール・ラガーフェルド、ジャン=ポール・ゴルチェ、オスカー・デ・ラ・レンタ
ファッションにさして興味がなくたって、この人たちの名前はどこかで必ず目にしてますよね。
でも、このドキュメンタリー映画の主人公は彼らじゃないんです。
それどころか、この大物デザイナーたちも戦線兢兢
揉み手しながらお出迎えする女帝がいます。

その名はアナ・ウィンター。
「プラダを着た悪魔」(‘06)のモデルとも言われる米版ヴォーグのカリスマ編集長。
泣く子も黙るファッション業界のスーパーウーマンです。

出版不況といわれ、たくさんの雑誌が消えていく日本ですが
アナ・ウィンターは、アメリカ女性の約10人に1人、1300万人(!)が
読むといわれる米版ヴォーグの編集長です。

原題The September Issueは「9月号」いう意味。
なぜ、「9月号」か、というと、日本の雑誌のお正月号が立派なのと同じ理由です。
9月はアメリカでは始まりの月、9月号は1年で最も重要な号なんですね。
それがなぜ「ファッションが教えてくれること」というタイトルなのか
相変わらず邦題には飛んだ意訳が多いです。

アナ・ウィンター。
ブロンドのボブヘアーと大きなサングラスがトレードマーク。
年齢は不詳ですが、スレンダーな身体に素敵なお洋服やジュエリーがお似合い。
一言で言ってカッコいい。

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大物デザイナーたちもアナの意見に慎重に耳を傾けますし
ファッションショーも彼女が到着するまで始まりません。
なんと08年秋冬ミラノコレクションでは
「パリコレクション開始前に一度アメリカに戻りたい」
という理由でアルマーニ、ドルチェ&ガッバ―ナ、ヴェルサーチなどの
ショーの日程を変更させたこともあります。

2008年、大統領選を戦っていたヒラリー・クリントンが
「女を売りにしたくないから」
と08年2月号のヴォーグ表紙登場を断ったことがあります。
アナはそれに対して編集後記で
「男性的な装いをしなければ権力を求めるものとしては
受けとめられないと考えるなんて。
そんな概念には失望させられる。
ここはアメリカで、サウジアラビアじゃないんだから」
と切り返しました。

そんなエピソード満載のアナ・ウィンター。
さて、本作ではどんな仕事ぶりを見せてくれるのでしょう。

ストーリー
2007年パリ。
アナはイブ・サンローランのオフィスを訪ね
秋冬コレクションについてデザイナーの説明を受けていた。
デザイナーが提案するのはニュー・ブラック。
アナは一言。
「色がほしいわ」。
黒で埋め尽くされた洋服の間で立ち尽くすデザイナー。

NYに戻るとアナのオフィスに新進デザイナー、タクーンがやってきた。
彼はアナが創立したヴォーグ・ファッション基金の入賞者。
この入賞者にはビジネス面でのバックアップも保証される。
彼にはGAPとのコラボレーション企画が用意されていた。
そのデザイン画を緊張しながら、アナに示したタクーン。
「素晴らしいわ」、彼女の一言に胸をなでおろす。

さて、ヴォーグ編集部では
ファッション特大号、9月号の準備でてんやわんや。
(なにせ、9月号の厚さは電話帳ほどもあります)
編集部員のひとりは、あるテーマのために用意した洋服が
アナにほとんど却下されたと嘆いているし
アナが編集長に就任した1988年に米版ヴォーグに加わったクリエイティブ・ディレクターの
グレイスとて同様だ。

NY、ロングアイランドのアナの別荘。
広大な敷地に絵のような邸宅、おしゃれなインテリア。
ずらりと揃ったヴォーグ、バックナンバーの1冊を手にして
高校生の娘ビーとおしゃべりするアナ。
ビーは大学では法律を学ぶつもり。
「母を尊敬はするが自分はファッションの仕事はしたくはない」のだという。
アナの父親は英国紙イブニング・スタンダードの有名編集者
兄はロンドンで低所得者に住宅を提供する仕事
姉はラテン・アメリカで農民の権利を守り
弟は英国紙ザ・ガーディアンで政治編集委員として働いている。
家族のなかで一人ういているアナ。

9月号、締切6週間前、アナの厳しいランスルー(服の確認)を通過し
撮影を終えたページが次々とレイアウト・ボードに貼られていく…

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決断力、構成力、直観力、交渉力。そして、自信。
でも、カリカリしてなくて美しくおしゃれなアナ
圧倒されそうです。

20代、30代、40代の女子、必見。
え、それ以上の女子?
意外なところにアナの弱点も発見できて、励みになるから、やはり必見かも。

〈ファッションが教えてくれること〉って案外いろいろあるみたいです。

ファッションが教えてくれること
監督・製作/R.J.カトラー、製作/エリザ・ハインドマーチ、サディア・シェパード
出演
アナ・ウィンター、グレイス・コディントン、アンドレ・L・タリー、シエナ・ミラー、
カール・ラガーフェルド、ジャン=ポール・ゴルチェ、オスカー・デ・ラ・レンタ
ヴェラ・ウォン、マリオ・テスティーノ
11月7日(土)より、新宿バルト9他にて全国順次ロードショー
http://www.fashion-movie.jp/


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by mtonosama | 2009-10-14 06:00 | 映画 | Comments(12)
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            (C)2009 アスミック・エース エンターテインメント
わたし出すわ

♪わたし出~す~わ♪って歌ってしまったでしょ?

なにを出すのかというと、お金です。

小雪さん演じる麻耶がごくごく無造作に
大金を高校時代の友人たちに出してあげちゃう、という夢みたいなお話。

ドタバタした悪ふざけの映画かな、と先入見を持ってました。
なかなか観る気が起きなかった作品ですが
「森田芳光監督か。じゃ、ちょっと観てみるか」(生意気な発言お許しください)
と重い腰をあげました。
「(ハル)」以来13年ぶりとなる森田芳光監督完全オリジナル作品です。
もしかしたら平凡な日常に魔法をかけてもらえるかもしれない
と思いきってでかけました。

で?
大当たり~!!でした。

さてさて、森田監督流錬金術はどんな世界を紡ぎだすのでしょうか?

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お金って普段はのどから手が出るほど欲しいと思っているけど
いざ「あげるわ」って言われたら、ちょっとひきますよね。
「こいつ下心持ってんな」とか
「何かやばいことにまきこまれるんじゃないだろうか」とか
「あぶない金なんじゃない?」とか
一瞬の内にいろんなことが頭のなかをよぎります。
少なくとも
「あ、ありがとう。ちょうど必要だったんだよね」
なんて、絶対、いえ、多分、言いません。

まして高校時代の同級生です。
「あなたの夢をかなえたいの」と大金を持ち出されても
飛びつくわけにはいきません。

「わたし出すわ」ではそんなありえない話が現実化してゆきます。
その結果、夢がかなう人もいれば、人生につまずく人もいる。
以前の生活と変わらない人もいる。殺されてしまう人もいる。

あるにこしたことはないと思っていたお金だけど
そうともいえないんだ、と微笑んだり、笑ったり、苦笑したり、爆笑したり
結局、一貫して、笑いをうかべています。

ストーリー
山吹麻耶は東京から函館に帰ってきました。
アパートに荷物を運びこむ2人の引越業者。
仕事を終えた彼らにこころづけを手渡す麻耶。
喜んで受取り、部屋を出た2人でしたが、1人があわてて麻耶の部屋に戻ってきます。
「10万円ももらえないっすよ」

市電に座る麻耶。終点に着いても降りようとしない彼女に声をかける運転手の道上。
麻耶と気付いて驚いている道上に
「川上くんやさくらや保利くんやさきたちと会いたいから連絡してくれる?」と頼みます。
しかし、突然のことで都合がつかず、結局、道上だけと会うことに。
路面電車の話で盛り上がる道上。
高校時代から路面電車は環境にやさしい乗り物だと主張していた彼は
世界の路面電車めぐりをしたいとも言っていたのです。
「でも、金無いしな。函館で市電を運転できてるからいいよ」。
「そのお金、わたしが出してあげようか」…

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不思議な麻耶の言動と高校時代の友人たちのとまどいと欲、遠慮と甘え。
そんな心の揺らぎが友人たちの目の表情からわかって
観てると微笑ましい気分になります。
麻耶のお金の出所や、いったいどうして友人たちに大金をあげるのか
映画を観ているうちに、絡み合った糸から1本の糸がほどけて
すーっと出てくるようにわかってきます。
そしてお金を手にすることは必ずしも幸せには通じないことも。

函館の街をゴトゴト進む路面電車や大沼国立公園を走る川上くん
(川上くんは天才的なランナーなのですが、大けがで走れなくなりました。
アメリカで手術すれば、また元通り走れるようになるのですが。)

初冬の函館を背景に、ありえそうでいてやっぱりありえない不思議な話が展開します。
(個人的には先月函館を訪れたばかりで結構身を入れて鑑賞しました)

そんな経験はまだありませんが
お金ってもらうのも難しいけど、「あげる」って切りだすのも難しそう。

スッピンみたいに地味な顔した小雪さん。
彼女が「あげるわ」と言うと
無意識に「うん」ってうなずいて受け取ってしまいそうな雰囲気をたたえていました。
クールビューティの典型みたいな彼女ですが、
初の単独主演を演じて新境地に達したようです。

わたし出すわ
監督・脚本/森田芳光、製作総指揮:豊島雅郎、プロデューサー:竹内伸治、三沢和子
出演
山吹麻耶/小雪、魚住サキ/黒谷友香、道上保/伊坂俊哉、川上孝/山中崇、
保利満/小澤征悦、平場さくら/小池栄子、道上かえで/小山田サユリ、
平場勝/ピエール瀧、麻耶の母/天光眞弓、川上たみ/藤田弓子、溝栗雅也/仲村トオル
2009年、日本、カラー、1時間50分、配給:アスミックエース
10月31日(土)恵比寿ガーデンシネマ、新宿バルト9他全国ロードショー
http://watashi-dasuwa.com/


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by mtonosama | 2009-10-09 06:25 | 映画 | Comments(12)
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                  (C)Alfama Films, Skopia Films

アンナと過ごした4日間
Four Nights with Anna


低い陽光に照らされた建物の影が前方の家の屋根を半分覆い
空には不穏な気色をはらんだ雲
夏の日、涼しい木陰をもたらしてくれた木々もすべて葉を落とし
末梢神経のような枝先をかすかに震わせている
安い石炭の燃える匂いが空気を充たしている東欧の田舎町
寂しく、不思議な風景です。

アンジェイ・ワイダの系譜をひくポーランドの巨匠。
イエジー・スコリモフスキ(なんて覚えにくい名前でしょう!)の17年ぶりの最新作です。

日々の暮らしのように静かなストーリー展開、洒落たセリフなど皆無。
ポーランドの陰鬱な重い空気。
強姦事件を目撃し、警察に通報しながら、
自分が犯人にされてしまう運の悪い主人公レオン。
強姦された被害者アンナに恋をするレオン。
不器用な男の純愛は、盗み見という陰湿な行為として現れながら
なぜか清らかで優しい。

     あ、今、相当ひいてますね。
     お気持ちはわかります。
     でも、ちょっと待ってください。

スクリーンに映し出された映像は強烈な吸引力を持って
観客の目をひきつけて離しません。
どうしてでしょうかねぇ。

同じポーランド人でも、アンジェイ・ワイダ監督には社会性があります。
ロマン・ポランスキー監督は華やかさを持っています。
イエジー・スコリモフスキ監督のこの新作には
そのどちらもないのですけどねぇ。

しかし、冒頭の風景写真が見る者をとらえて離さないように
この映画も人間のかかえる奥深い心象風景とシンクロしながら
観る者にじっとりとまつわりついてきます。

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 イエジー・スコリモフスキ
イエジー・スコリモフスキは1938年5月5日ポーランド、ウッチの生まれ。
父は建築家だったが、第2次世界大戦中ユダヤ人の妻の一家を守るため
レジスタンスに身を投じ、ナチスに処刑される。
大学では民族学、歴史、文学を専攻し、ボクシングやジャズにも関心を持つ。
詩集、短編小説、戯曲などを意欲的に発表。
アンジェイ・ワイダに注目され、「夜の終りに」(‘60)を共同執筆
ボクサー役として出演もする。
その後、故郷のウッチ国立映画大学に入学。
62年にはポランスキーの長編デビュー作「水の中のナイフ」で台詞を執筆。
66年ベルガモ映画祭でグランプリを受賞し注目を浴びるが
スターリン批判をしたため上映禁止処分を受けた。
詩人、ボクサー。画家、ジャズドラマーと多彩な顔を持つ監督。

71歳になったイエジー・スコリモフスキが現在のポーランドに見たものは
共通の怒りによって結びつけられた連帯でも
よりよい社会をつくるんだ!という高邁な精神でもなく
分断された孤独な人間でした。

監督はいいます。
「これは人とのつながりを求める基本的な欲求の物語です」

ストーリー
病院内の焼却処分場で働き、祖母と2人でひっそりと暮らすレオン。
街の通りを病院の看護士アンナが行く。
急いで物陰に身をひそめるレオン。
レオンの家の向かいには看護士宿舎があり、アンナの部屋が見える。
毎夜レオンは双眼鏡で彼女の部屋を覗く。

なぜ?

数年前、川へ釣りにでかけたレオン。
釣果もなく、ひきあげようとしていると、叩きつけるような雨が降ってきた。
レオンは近くの廃工場へ駆けこむ。
すると建物の奥から女性の叫び声が。
おそるおそる近づいて行ったレオンの目に映ったのは
見知らぬ男に乱暴されているアンナの姿だった。
その場を逃げ出し、警察に通報するレオン。
だが、現場に釣りの道具を置き忘れたため、容疑者として逮捕されてしまう。

釈放後、勤めていた病院を解雇され、祖母も亡くなる。
一人になってしまったレオンは、その後、大胆な行動に…


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「人とのつながりを求める欲求」
孤独で隠微で薄気味悪い…
こんな言葉で切り捨てられてきた人もまた人とのつながりを求めています。

明るく人好きのする人にひかれるように
多くの人は明快な映画にひきつけられます。

でも、このはがゆい冴えない男が観客をそらさないように
薄暗い東欧の田舎町が舞台のこの映画も観客の視線を飲みこんでいきます。
この映画には魔力があります。

アンナと過ごした4日間
監督、脚本、製作/イエジー・スコリモフスキ、製作/パウロ・ブランコ、
脚本/エヴァ・ピャスコフスカ、撮影/アダム・シコラ
キャスト
アルトゥル・ステランコ/レオン、キンガ・プレイス/アンナ、イエジー・フェドロヴィチ/院長、
バルバラ・コウォジェイスカ/祖母
10月17日(土)より、渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開  
www.anna4.com


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by mtonosama | 2009-09-19 06:24 | 映画 | Comments(8)