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殿様の試写室

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ブロークン・イングリッシュ

Broken English

「私、眉間の皺はイヤだけど、目じりの笑い皺がかわいいおばあちゃんになりたいわ」
と女優さんだったか、モデルさんだったかが言いました。
「うん、眉間の皺って陰険そうでいや」などと彼女の言葉に納得していましたが、
この映画を観てその考えが変わりました。
「ブロークン・イングリッシュ」。
NYのホテルでVIP対応係をこなす30代独身女性が主人公の恋愛映画です。
眉間のしわが素敵なのは、実は主人公ではなく、その親友の方なのですけれど。

全身これ美容整形のかたまりといったハリウッド美人女優に慣れた目には
主人公たちの目じりや口元や眉間の皺が人生の岐路で足踏みする
等身大の30代女性を表すようで素適でした(日本の30代の肌はもっときれいでしょうが)。
でも、小皺やらカラスの足跡に荒された疲れた肌の主人公に比べて、
その母親を演じたジ―ナ・ローランズの颯爽としていること。とても78歳には見えません。
単身ギャングと闘ったあの「グロリア」(’80)を演じた頃とさして変わっていないのですから。

ストーリー
マンハッタンのホテルで働くノラ・ワイルダーは30歳を過ぎた独身女性。
仕事は面白いし、やり手として上司からの信頼も篤いのですが、
その生活にはなにかが足りないような気がしてなりません。
親友のオードリーはノラが紹介したマークと結婚してしまうし、
母親からはじんわりと独身でいることを責められる日々。

ある日、ホテルを利用する大物映画俳優の苦情を処理したノラは俳優から食事に誘われます。
そして酔った勢いで大人の関係に。
すっかり恋人きどりでいましたが、
俳優はTVのインタビュー番組で共演女優と交際していることを告白。
その番組を見てしまった彼女はガックリ。落ち込むノラに母は友人の息子を紹介します。
ところが、デートの最中に彼は元彼女と再会。「彼女が忘れられないんだ」と告げ、
その場で「さよなら」。ますます落ち込むことに。

同僚からホームパーティに誘われたノラ。
気分転換にと出かけたものの、楽しむことができず、早々と引き上げようとしたその時、
フランス語訛の英語で話しかけられます。
いささか強引なフランス人・ジュリアンの口説きにとまどいながらもパーティを抜け出し、
夜のNYへ。天真爛漫で情熱的なジュリアンの前でノラの臆病な心も解き放たれていきます。
しかし、やがてジュリアンの帰国する日が。
「一緒にパリに行こう」と誘われるのですが、仕事や自分の生活を捨てられないノラ。
ジュリアンは一人帰っていってしまいました。

「そう、女は仕事よ」。

ですが、彼女が考える以上に、ジュリアンの存在は大きなものでした。
ノラは些細な理由からホテルの仕事も辞めてしまいます。
そして親友オードリーに後押しされて…


監督ゾエ・カサヴェテスはこの映画でノラの母親を演じたジ―ナ・ローランズを母に、
そして、そのジ―ナが主演した前述の「グロリア」の監督ジョン・カサヴェテスを父に持つ
二世監督であり、悩める30代です。同じく二世監督であるソフィア・コッポラとは長年の友人。
監督にとってノラは分身みたいなものです。

「ある年齢になると世間は女性に『結婚は?子供は?』と迫ってくる。でも、昔よりずっと異性との関係は単純じゃなくて悩むことが多い。ひとりでいること、その状況を後ろめたく思うことについて考えようと思ったわ。現代女性はライフスタイルの選択肢はたくさんあるけど、ルールがないのよ」
とゾエ・カサヴェテス監督は語っています。

なるほどね。わかるような気がします。
同世代の女性なら、全身で共感してしまうのではないでしょうか?

30代女性の自分探しもこの映画の大切なテーマですが、
おもしろいのはタイトルにもなっているブロークン・イングリッシュ。
フランス語をかじり始めた人から、聞いたことありませんか?
「常陸宮華子をフランス語で発音するとイタチノミヤアナコになっちゃうんだよ」っていう一口話。
それふうの食い違いが映画にも登場します。
ノラの部屋で一夜を過ごしたジュリアンが並木の下を歩きながらつぶやきます。
“I’m angry”.
ノラは焦って「どうして怒ってるの?」と訊くのですが、
angryではなくhungryだったというオチ。
そう、フランス人はhを発音できないのです。

スノッブで《なすべきこと》を大切にするニューヨーカーのノラと、
《したいこと》を優先するパリジャンのジュリアン。
アメリカ人の捉えるフランス人はいつもこのように画一的ですが、
今までと違うなと思うのは、フランス風価値観を肯定しているところ。
アメリカ人も自己否定できるようになったのかもしれませんね。
今後の活躍が楽しみなゾエ・カサヴェテス監督です。

監督・脚本/ゾエ・カサヴェテス
キャスト
パーカー・ポージー/ノラ、メルヴィル・プポー/ジュリアン、ジーナ・ローランズ/ヴィヴィアン(母親)、ドレア・マッテオ/オードリー

12月13日より恵比寿ガーデンシネマ、銀座テアトルシネマ他全国ロードショー
http://www.broken-english.jp

by mtonosama | 2008-11-24 07:26 | 映画 | Comments(8)
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(C)平成プロジェクト

蘇る玉虫厨子
時空を越えた技の継承

あのー、文部科学省・特選の長編ドキュメンタリー映画です。
なんでまた?とお思いになる方には虫好きだからとお答えしますね。
「虫愛づる姫君」(高校時代、古典で習いました)ならぬ〈虫愛づる殿〉にてござります。

虫といってもお堅い乾きものが好きで、甲虫系は好みです。
ゴマダラカミキリの黒地に白の小さなドットなど、なんておしゃれなんでしょう。触角まで白と黒 に色分けされているのですから。
そして、この玉虫です。コウチュウ目タマムシ科。
「恋愛成就」「蓄財」の言い伝えがあり、古来より縁起の良い虫として大切にされてきた虫です。信じられないほど美しい。
その昔、生きている本物を見たような記憶がありますが、最近はとんとお見受けしません。

        飛鳥時代のいにしえ人も玉虫の妖しく輝く翅の色に魅せられたのでしょう。
        法隆寺の金堂に安置された国宝・玉虫厨子には約4800匹の玉虫の翅が装飾につかわれています。
        殺生を戒めるお寺でそんな多くの玉虫を殺して、と思いますよね。
        でも、映画の中でも言っていますが、
        蓮が泥の中からあの清らかな花を咲かせるように、玉虫もまた朽ち木から生まれるとてもありがたい生き物なのだそうです。
        あまりに美しく生まれたゆえに仏様にお仕えするよう運命づけられているのでしょう。
        もっとも玉虫厨子は1400年も昔に造られたものですから、その美しい翅はごく一部に跡をとどめるのみ。
        往時の輝きはすっかり失われてしまっています。

平成16年春、いにしえの職人たちが造りだした美しい輝きを現代に復元しようというプロジェクトが始まりました。
資料の調査、木材や玉虫の翅の収集から超一流の腕を持った職人の手配まで。
私財を投じて、この大変な作業にとりかかったのは、岐阜・高山で造園会社を経営していた中田金太さんでした。
中田さんは昨年6月、完成した厨子を見ることなく亡くなってしまいました。
その昔、大店(おおだな)の旦那衆が芸術や文化の援護に協力したものですが、
中田さんはこの仕事で平成の大旦那になったわけです。

        この映画は平成16年から20年まで、設計、宮大工、彫師、蒔絵師、塗師、錺(かざり)金具師という匠たちが
        とりくんだ大変な作業を記録したドキュメンタリー作品です。
        カメラはガラス越しに玉虫厨子に対面する匠たちを映しだします。

推古天皇が礼拝していたという仏堂形の玉虫厨子は法隆寺の金堂に安置される国宝ですが、製作年代や製作者は不明です。
もちろん図面など残っていませんし、厨子の扉や壁面に描かれた装飾画も
千数百年の時の流れで薄れ果て、何が描かれているのかも判然としません。
蒔絵師の立野敏昭さんは言います。「見えないところは見えてくるまで待つんですよ」。
待っていると心眼も開くのでしょう。
いにしえの職人も応えてくれるのでしょう。
次第に下絵もできあがっていきます。
その職人魂には頭が下がります。

        玉虫の翅を2ミリ幅にカットし、それをさらに小さな小さな細片に切りだし、
        色別に整理していく作業(玉虫の翅は青、緑、ピンク、黄色と光輝く何色もの色から成り立っています)
        に専念する職人もいます。もうほんとに息のつまるような作業です。

        彫師によって、ただの木から蓮のはなびらの連なりが彫り出され、屋根のいらかが刻まれていきます。
        生地のままの木が塗師によって漆を塗られ、輝き始めます。
        蒔絵師によって絵が描かれ、錺(かざり)金具師が精巧な細工の飾りを取り付けていきます。
        別々の地で仕事に励む職人たちの見事な連携プレイ。

何かができあがっていくところを見ているのは楽しいものです。
工場見学の楽しさに通じるものがあります。
それにしても、玉虫ってもう近所で見ることはできないのでしょうか。
玉虫厨子再現に使われた玉虫は平成の旦那・中田さんが中国、台湾、東南アジアから集めたのですが、その中に日本の玉虫もあったそうです。
子どもの頃に見た生きた玉虫の輝きが忘れられません。

「平成版・玉虫厨子」公開
場所:上野・国立科学博物館 日本館1階
期間:12月13日~12月21日
9:00~17:00(金曜20:00まで、入館は各閉館時間の30分前まで)
休館日:毎週月曜
入館料:一般・大学生600円(映画半券があれば300円)
     高校生以下無料


監督/乾弘明
出演
三国連太郎/出演・語り、大野玄妙(法隆寺管長)、故中田金太(製作総指揮)、立野敏昭(蒔絵師)、中田秋夫(設計施工)、八野明・改田剛(宮大工)、山田耕健(彫師)、坂本茂雄(塗師)、森本安之助(錺(かざり)金具師)他

http://heiseimaster.com/tamamushi/
by mtonosama | 2008-11-14 21:24 | 映画 | Comments(5)
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(C)2008「青い鳥」製作委員会

青い鳥

14歳という年齢が問題になり始めたのは、やはりあの酒鬼薔薇事件からでしょうか?
昔は17歳が危険な年齢などと言われたものですが、犯罪危険度は低年齢化しているようです。
前々回の「BOY A」などは10歳でしたし。

いえ、今回は少年犯罪の映画ではありません。
さらに普遍的かつ一般的な問題、たくさんの子どもたち、それどころか大人たちすらも日々直面する《いじめ》問題です。
とある中学のいじめにとりくんだ教師のお話で、重松清の連作短編集「青い鳥」の表題作を映画化したものです。

いじめ問題に取り組むといっても、村内先生(この中学教師の名前です)は金八先生のように熱く語るわけではないし
(先生は吃音ですから一語一語絞り出すように語ります)、第一、専任の教師でもありません。
先生は臨時教師です。産休や病気休暇をとっている教師に代わって教える先生ですね。
さて、その臨時教員がなぜ、ここ東が丘中学で教えることになったのでしょう?

          都会の近郊、まだ緑の残る典型的な新興住宅地。
          一人のさえない中年男性がバスに乗っています。
          手には一冊の文庫本。新しいものではなく、何度も何度も読み返したような本です。
          やがて、バスは停留所に着き、男は読んでいたページに栞をはさみます。
          「東が丘中学前」。降り立った男は少し猫背ぎみの古びたコートの後ろ姿を見せて校門に向かいます。
          三学期が始まった東が丘中学。生徒たちは朝の寒気をついて登校してきます。
          なんの変哲もない、いつもと同じ風景。
          しかし、この中学では前学期に自殺未遂事件が起きていました。
          男子生徒がいじめを苦にして自殺を図ったのです。生徒の名は野口といいます。
          両親がコンビニを経営している彼は「コンビニくん」と呼ばれ、何人もの生徒から品物を要求されては渡していました。
          野口君は「僕を殺した犯人です」と3人の生徒の名前を記した遺書を書いて自ら命を断とうとしました。
          その名が公表されることはありませんでしたが、マスコミや父兄は騒ぎ、学校は「生徒指導」を強化し始めました。
          野口君は転校し、コンビニも閉店、そして担任教師は重圧に押しつぶされ休職したのでした。

          2年1組。休職した担任に代わり、臨時教師が着任しました。
          教師は黒板に名前を書きます。村内
          村内先生が挨拶を始めると生徒たちは驚き、それは笑い声に変わっていきました。
          先生は吃音だったのです。ところが、先生は生徒たちの笑いを圧するように「忘れるなんて卑怯だな」と吃りながら言いました。
          村内先生は野口君の机を教室に戻すよう、日直に命じたのでした。
          毎朝、主のいない机に向って「野口君、おはよう」と声をかけ続ける村内先生。
          遺書に記された3人の生徒の内の2人は生徒たちの間でもなんとなく見当はついています。
          でも、あと1人、それが誰だかわかりません。
          園部真一は一度だけ野口君にポテトチップを持ってくるよう頼んだことがあります。園部君はそれが気になってなりません。
          「野口君は僕を友達だと思っていたのに、裏切ってしまった」。
          その気持が、遺書に記された名前の1人は自分に違いないと思いこませていたのでした…

いじめはいじめられた側が被害者だと思っていました。
ある言葉が誰かの心を切り裂いて、その傷は長い間疼き、トラウマとなって誰かを苛み続ける。
でも、言葉を発した側はそのことを覚えていない。いつまでも覚えている方が悪いとさえ言いかねません。
言葉や行動に無神経な人がいじめる側で、気弱で繊細な神経を持った人がいじめられる側、と思っていました。
しかし、実のところ、いじめはそれほど単純なものではないのかもしれません。
なのに、学校では、教師たちが校門に並んで「おはよう!」と挨拶し、生徒たちに反省文を書かせ、校内に目安箱を置いて、
いじめを目撃したら投書させることで良しとしています。

               14歳の思春期。
               ほんの少し、爪を立てただけで、どくどくと血が流れ出してくる、
               傷つきやすい心はほんとに薄い皮膜に守られているだけなのに、
               教育現場のやっていることといったら、なんとまあ画一的でおざなりなのでしょう。

               村内先生はなにか特効薬を持っているわけではありません。
               ただ頑なに誰もいない机に向って「野口君、おはよう」といい、吃りながら現代国語の授業を続けただけです。
               そして、臨時教師ですから、生徒たちを卒業まで見守ることなく、学校を去っていきます。
               生徒たちの心に残した印象は「うぜぇ先生だよな」だけだったかもしれません。
               ただ、村内先生は転校していった野口君を過去の存在にはしなかった。
               野口君の机を2年1組の教室に戻すことで、生徒たちにいじめを忘れさせなかった。
               いじめをなかったことにしなかった。
               これってすごいことかもしれません。

               いじめは猫じゃないんです。砂をかけて、なかったことにしてはいけません。

監督/中西健二、原作/重松清「青い鳥」(新潮社刊『青い鳥』所収)、脚本/飯田健三郎・長谷川康夫、監修/松山善三

キャスト
阿部寛/村内先生、本郷奏多/園部君、山崎和也/野口君
11月29日(土)より新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー
www.aoitori-movie.com
by mtonosama | 2008-11-10 06:38 | 映画 | Comments(8)
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(c) Boomtown Media
ベルリン・フィル最高のハーモニーを求めて
TRIP TO ASIA
The Quest For Harmony

          当試写室で9月に上映した「帝国オーケストラ」に続く、ベルリン・フィル創立125周年記念ドキュメンタリー第2弾が
          「ベルリン・フィル 最高のハーモニーを求めて」です。
          「帝国オーストラ」で描かれたのがベルリン・フィルの影の時代だとしたら、この映画は燦々と陽の当たる現代がその舞台。
          そんな明るい時代の陽光の下で撮ったためでしょうか。
          本作では指揮者や楽団員の素顔や心情もよりくっきりと浮かび上がり、
          演奏家としての彼らより、人間としての彼らを知りたいという音楽の本質から外れた好奇心を充たしてくれます。
          もちろん本物のクラシックファンも十分に満足できる映画です。

                「ベルリン・フィルと子どもたち」(’04)をご覧になりましたでしょうか。
                この映画ですばらしい感動を与えてくれたトマス・グルベが本作でも監督をつとめています。
                そして、「ベルリン・フィルと子どもたち」同様、首席指揮者兼芸術監督のサー・サイモン・ラトルがあの松田優作ヘアーでタクトを振っています。
                同じベルリン・フィルでもかのお美しいカラヤンさまとは全くの別タイプ。
                美人クラリネット奏者ザビーネ・マイヤーを指揮者特権で入団させようとして、その後、楽団員との軋轢を引き起こした帝王カラヤン。
                凛々しいというか、偉丈夫というか、ハンサムというか、つまり男に対する褒め言葉をすべて並べてもまだ足らない、
                完全無欠なそのお顔とは少し違うけれど、
                サイモン(気安く呼んでごめんなさい)の親しみやすさはベルリン・フィルの陽光さしこむ新しい側面を代表しています。

          2005年秋、サー・サイモン・ラトルと楽団員126名は演奏旅行に出発しました。
          訪問先は北京、ソウル、上海、香港、台北、東京。アジアの6都市です。
          世界一有名なオ―ケストラを迎えるアジア各地の熱狂と興奮。
          37歳のグルベ監督はラトルと演奏者たちのリハーサルと本番演奏にピッタリ密着して撮影しました。
          さらに、ツアーの合間を縫ってラトル氏と演奏者にもインタビュ-しています。
          その個別取材を通じて、完全無欠な芸術家と思っていた彼らの口から思いがけない人間的な本音を聞くことができました。
          高校時代は協調性のない問題児だったというメンバーもいましたし、容姿や人種問題に悩むメンバーもいました。
          メンバーの中の2人の日本人、コンサートマスターの安永徹さんとヴィオラの清水直子さんの流暢なドイツ語と
          最高峰のオーケストラの中で演奏し続ける姿勢にも感銘を受けました。

               オーケストラへの入団試験から幕を開けるこの映画。
               ベルリン・フィル26年ぶりの再訪となる北京ではリヒャルト・シュトラウスの交響詩『英雄の生涯』の第1部《英雄》のリハーサル風景が撮影されます。
               2番目の訪問地ソウルでは『英雄の生涯』第2部《英雄の敵》が演奏され、
               3番目の上海では『英雄の生涯』第3部《英雄の伴侶》、
               香港では同じく第4部《英雄の戦場》、
               そして台北では最終第6部の《英雄の隠遁と完成》が演奏されます。演奏を終えた彼らを迎えるのは巨大な屋外ディスプレイに集まった
               数万人の聴衆の熱烈な大歓迎。その歓声にどぎまぎするラトルたちの姿が印象的です。

               最後の訪問地・東京では台北の無数のペンライトと大歓声から一転して、静謐な明治神宮の玉砂利と池が映しだされます。
               七五三のお参りをする晴れ着姿の子どもたちの姿が色を添えていました。アジアの喧騒から日本の静けさ。
               ドイツ人から見た日本はアジアとは違うのか、とふと思いました。

          クラシックファンならば、この曲の編成に「なるほど」と頷かれるのでしょうが、
          すいません、私にはよくわかりません。
          ただ、リヒャルト・シュトラウス『英雄の生涯』はカラヤンが得意中の得意としていたものなのだそうです。
          映画は入団試験から始まりました。
          その後、カラヤン時代からこの楽団で演奏していたメンバーの引退に続き、そして、新団員の誕生に終わります。
          この映画は演奏者としての生涯と『英雄の生涯』とが重なりあうのです。
          さらに、東京の部ではサントリーホール前のアークカラヤン広場が映しだされました。そこにはヘルベルト・フォン・カラヤンの記念プレートがあるからです。
          カラヤン、ラトル、ベルリン・フィルのメンバーたち。
          あのいたましい時代も含めてベルリン・フィルのつないできた125年…

          しかし、なにより、楽団員の人間としての素顔と彼らが創りだす音楽と
          アジアの活気が重奏して迫ってくるすばらしいドキュメンタリーです。

監督/トマス・グルベ、カメラ/アンソニー・ドット=マンテル、レネ・ダメ、アルベルト・ヴェンザゴ、ステファン・キュぺック、録音/パスカル・キャピトラン、ベルント・フォン・バスウィッッ、音楽/シモン・シュトックハウゼン
出演/演奏
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、サー・サイモン・ラトル首席指揮者
演奏曲/『英雄』(ベートーヴェン)、『英雄の生涯』(R・シュトラウス)、『アサイラ』(トーマス・アデス)
11月15日、渋谷ユーロ・スペース他全国順次ロードショー
※ベルリン・フィルの来日にあわせてベルリン・フィルの演奏家達が舞台挨拶をします。
11/23 16:20の回・上映後
      18:40の回・上映前
11/24  同上

配給:セテラ・インターナショナル
http://www.cetera.co.jp/BPO/
by mtonosama | 2008-11-03 06:40 | 映画 | Comments(4)