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殿様の試写室

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<   2009年 01月 ( 5 )   > この月の画像一覧

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キャラメルCARAMEL

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ご紹介するのはレバノンの映画です。
レバノンでは2006年7月イスラム教シーア派民兵組織ヒスボラとイスラエル軍との間に
戦争が起こりました。
この映画は戦争前に撮影され、戦争が勃発したときは編集にかかったばかりだったそうです。
で、キャラメル?

どこか唐突感が否めないタイトルですが、
実はレバノンの女性とキャラメルには切っても切れない関係が。
キャラメルと言っても塩キャラメルや生キャラメルといったスイーツではありません。
レバノンでは昔から、女性は砂糖に水とレモン汁を加え、キャラメル状にしたもので
むだ毛の処理をしてきたのだそうです。
キャラメルをむだ毛の上に塗り、乾きかけたところで一気に剥がす。ウッ。
映画はキャラメル脱毛の痛みに思わず叫んだ女性の悲鳴とともに始まります。

ストーリー
ベイルートの街角にある居心地の良さそうな美容院。
オーナーのラヤールは30歳独身。恋人がいます。
でも、彼は妻帯者。
その恋人から電話がかかると、仕事をスタッフに任せ、店を飛び出して行くラヤール。
そう、不倫です…
        
恋人との結婚を間近に控えた28歳のニスリンはそんなラヤールの後ろ姿を
心配そうに見守ります…

もう一人のスタッフ、24歳のリマはちょっとボーイッシュで無口な女の子。
美容院ではシャンプーを担当し、長い黒髪の美しい客に少々のぼせています…

常連客のジャマルはオーディションを受け続けていますが、
一度も合格したことはありません…

美容院の向かいにある仕立屋のローズは65歳。
自分の人生をほぼ諦めて、仕事と年老いた姉リリーの世話で日を送っています。 

そこへ一人の紳士がスーツを直しにやってきて…

そんなレバノンの普通の女たちが抱える恋愛、結婚、不倫、老い。
戦火の不安に曝されている国とはいえ、人々は普通に生きています。
いえ、戦争は普通に暮らしている人々を平気で蹴散らすものなのですけれど。

レバノン。極東の日本から遥か遠くの国。
レバノンの人々がどんな顔をしているのかも、よく知りませんでした。
イスラム圏の女性は顔を隠しているので、
レバノンの女性がこんなゴージャスな顔立ちだったことにも驚きます。
そして、イスラム教徒もキリスト教徒も混在している国なのですね。

女たちが抱え込んでいる不倫、同性愛、婚前交渉。
中東レバノンでこれらはまぎれもないタブー。
でも、女たちの聖域、美容院ではこうしたことが、おおっぴらではないまでも、
彼女たちの暗黙の了解の内に存在しています。
髪をゆだね、脱毛まで任せるサロンでは、女たちの本音がまかり通るのでしょう。

この映画の監督はゴージャスなアラビア美女ナディーン・ラバキー。
主演女優であり、脚本も手がけている才色兼備の女性です。
1974年生まれの彼女は女優をしながら、
CMやアラブポップスのビデオクリップの監督としてキャリアを積み、
本作で長編映画監督デビューを果たしました。
業界人であり、女優でもありますから、その美貌には納得できますが、
この映画に出演している他の個性豊かな登場人物は皆一般人。
素人でありながら、やはり華やかであでやかなことには驚きます。

アラビアの国々は「千夜一夜物語」に代表されるように華麗なエキゾチックワールドだったのに、
今は戦争と石油ばかりが目をひく地域になってしまいました。
しかし、この映画のどこにも戦争の影はありません
「『キャラメル』は別の方法で戦争を生き抜く、そして戦争を終わらせる、戦争に対する仕返し」

と監督は語ります。

キャラメルのように甘くて、キャラメル脱毛のように痛い。
「キャラメル」は人生の表と裏をはっきり描いた映画です。

「キャラメル」
監督/ナディーン・ラバキー、脚本/ナディーン・ラバキー、ジハード・ホジェイリー、ロドニー・アル=ハッダード
キャスト
ナディーン・ラバキー/ラヤール、ヤスミーン・アル=マスリー/ニスリン、ジョアンナ・ムカルゼル/リマ、ジゼル・アウワード/ジャマル、シハーム・ハッダード/ローズ、
アジーザ・セマアーン/リリー
1月31日(土)より渋谷・ユーロスペース他全国順次ロードショー
配給:セテラ・インターナショナル
www.cetera.co.jp/caramel/

by mtonosama | 2009-01-30 06:06 | 映画 | Comments(10)
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ロルナの祈りLe Silence de Lorna


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誰にでも何度も観たい大事な映画があるでしょう?
両の掌でそっと転がしていたいような映画。「ロルナの祈り」はそんな映画になるかもしれません。

カンヌ国際映画祭でパルムドール大賞を受賞した「ある子供」(‘05)に次いで
2008年同映画祭最優秀脚本賞を受けた「ロルナの祈り」。
ジャン・ピエールとリュック。
3歳違いのダルデンヌ兄弟はカンヌで2度のパルムドールを含む4作連続主要賞を受賞したベルギーの名匠です。
本作「ロルナの祈り」はそんな兄弟監督が初めて撮ったラブストーリー。
しかし、ダルデンヌ兄弟。ただの恋愛映画では終らせません。

ヨーロッパに(日本でも)増えつつある不法移民。
より良い暮らしを夢見て、やってきた不法移民はさまざまな手段を弄してその国に住みつこうとします。
それに手を貸し、黒い金を手にするブローカー。この珠玉のラブストーリーの背景は不法移民問題なのです。

ロルナは若いアルバニア女性。故郷の恋人ソコルと、ベルギーでバーを開く夢を持っています。
彼女はこの国の国籍を得て暮らすため、ブローカーの手引きでベルギー人のクローディと偽装結婚をします。
クローディは麻薬中毒患者ですが、一生懸命に生きる健康な彼女を間近に見る内、
麻薬を断ち、人生をやり直したいと思うようになりました。

しかし、ロルナにはクローディに知られてはならない重大な秘密が。
彼女はブローカーにとっては客であるだけではなく、国籍売買の道具。
ロルナがベルギー国籍を取得できたら、彼女を《未亡人》にして、
国籍を欲しがっているロシア人と結婚させるという計画があるのです。
麻薬中毒のクローディはその計画のための恰好の素材でした。

ある日、クローディは麻薬を断とうと自ら入院を決意。
ロルナに手助けを求めます。入院手続きを終え、帰ろうとするロルナに「一緒にいて」とすがるクローディ。
ロルナが自分の抱える残酷な秘密を重苦しく感じた最初の瞬間でした。
〈離婚できれば、彼は殺されずにすむ〉

ロルナは離婚を成立させるため、彼に暴力を振るわれたとみせかけ、わが身を傷つけ、警察へ。
「証人がいないとダメだ」。警官の返した答えでした。
再び自らを傷つけ、看護師を証人にして、警察に訴え出るロルナ。
しかし、そんなロルナをブローカーが黙って見ているはずはありませんでした……

ダルデンヌ兄弟の撮るベルギーの街並みには華がありません。
海外旅行でふと目にする駅裏にたたずむ所在無げな若者や無造作に打ち捨てられた注射器に似た印象です。
人生にはハレとケの部分があるのに、
彼らの映画にはケの部分が圧倒的に多いというか、ケだけで成り立っていて、
淡々とした日々の営みを観ている感じがします。
にもかかわらず、観客をのめりこませてしまうところがダルデンヌ兄弟の並々ならぬ力量。
彼らは映画音楽を使いません。映画の背景に聞こえる音は生活音やノイズだけ。
観客は俳優のせりふや息遣い、演技だけに集中することができます。
少なくとも、これまでの作品ではそうでした。

ところが、「ロルナの祈り」でダルデンヌ兄弟は初めて音楽を用いました。
ベートーヴェンのピアノソナタです。
ブローカーから逃れて、ひとりで森に逃げ込んだロルナ。
ピアノソナタは絡みつくように、導くように、そして、守るように流れます。
このシーンで映画が転調したかのようです。ケがハレになります。

監督の言葉です。
「観客が、このたった一人になってしまった女性と直接向き合ったままに放置しておきたくはなかったのです。
観客と彼女の間に、何か二者をつなぐもの、彼女と共有できる何かを生み出そうと思いました」


ダルデンヌ兄弟、やはりただものではありません。
「ロルナの祈り」もただのラブストーリーじゃありません。
あの穏やかな風貌のふたりのなかに内蔵された映像世界は毎回進化していくようです。


「ロルナの祈り」
監督・脚本/ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ
キャスト
アルタ・ドブロシ/ロルナ、ジェレミー・レニエ/クローディ、ファブリツィオ・ロンジョーネ/ファビオ、アルバン・ウカイ/ソコル
1月31日恵比寿ガーデンシネマ他全国順次ロードショー
http://lorna.jp

by mtonosama | 2009-01-23 06:41 | 映画 | Comments(13)
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(c) Dox Productions Limited 2007. All rights reserved
ザ・ムーンIn the Shadow of the Moon

「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍である」
That's one small step for (a) man, one giant leap for mankind.
月着陸船から月面に降り立ったとき、ニール・アームストロング船長が発した有名な言葉です。

1969年7月20日、世界中が熱狂したこの日、とのは妙に醒めていました。
「ベトナム戦争で大勢の人間を殺しながら、何が月面着陸だよ。冗談言っちゃあいけないよ」と内心思っておりましたです。
大体が、宇宙開発そのものが、米ソの陣取り合戦ではありませんか。
ゲバラが奮闘していた時代に、米ソは地球上の争いだけでは足らずに宇宙でまで競争していたんですから。
それに、管制官たちがインカムつけて計器を覗きこんでいるケネディ宇宙センター。あれはなんですか。
ロケットが飛んだといっては歓声を上げ、月に着いたといってはオーッとどよめく。
なんか「ゴジラ」や「モスラ」のラストシーンっていうか、うそっぽいお祭り騒ぎみたいだと思いませんか。ブツブツ。
月面着陸40周年を記念して公開される記録映画「ザ・ムーン」のことなのですけどね。

だったら、なぜ、そんな映画観る?
ですよねぇ。
ま、あの頃、へそ曲げて、世紀の大宇宙ショーを見損なった借りを40年経った今、取り戻そうというわけで…。
しかし、へそを曲げていたおかげで未公開映像を含むオリジナル映像を観られるし
月へ飛んだ宇宙飛行士たちの、今でこそ語れるエピソードも聞けるのですから
ま、いいんですけど。
それに、実のところ、宇宙船の窓に輝く青い地球も見たかったもので。

        アポロ計画は1961年のケネディ大統領の議会演説から始まりました。
        「わが国は60年代が終わるまでに、人類を月へ送り、地球に無事帰還させる」
        全米の若い優秀なパイロットたちがNASAに集まります。その中からライトスタッフ(正しい資質)を持つパイロットが宇宙飛行士として選ばれました。
        そして、ニール・アームストロング、バズ・オルドリン、マイク・コリンズの3人は1969年7月16日、アポロ11号に乗って月へと飛び立ちます。
        3日間にわたる月への飛行。
        月着陸船イーグルが司令船から切り離され、アームストロングとオルドリンは月の砂の上に足跡を刻んだのでした…

映画の中に宇宙飛行士の印象的な言葉があります。
「われわれは月を知ることで、地球について知った。月で親指を立てると親指の裏に地球が隠れる。すべてが隠れる。(中略)われわれはなんと小さな存在だろう」

宇宙を飛んだ人間はなにか偉大な存在に包まれる、と聞いたことがあります。
1989年にソ連のソユーズに乗って宇宙に旅立ったTBSの秋山豊寛氏も宇宙から地球を見て環境問題にめざめ、今は農業に従事しているそうですし
例の有名な言葉を発したニール・アームストロングも現在は世捨て人のような日々を送っているとか。
彼はこの映画でも他の宇宙飛行士のようにインタビューに答えてはいません(アポロ11号打ち上げ前日の若き日のインタビュー場面には登場しますが)。

真っ暗で広大無辺な宇宙に頼りなげに浮かぶ地球
青白く輝く小さな美しい地球

月に降り立つということは、そのはかなげで小さな地球を客観的に眺めるということだったのですね。

「ザ・ムーン」
提供/ロン・ハワード(「アポロ13号」監督)、監督/デイヴィッド・シントン、製作/ダンカン・コップ
主演:アポロ計画の宇宙飛行士達
バズ・オルドリン(11号)、マイケル・コリンズ(11号)、デイヴ・スコット(9号/15号)、ジーン・サーナン(10号/17号)、ジム・ラヴェル(8号/13号)、ジョン・ヤング(10号/16号)、
エドガー・ミッチェル(14号) 他

1月16日(金)よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズ他全国ロードショー
themoon.asmik-ace.co.jp

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by mtonosama | 2009-01-16 06:23 | 映画 | Comments(4)
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(C)2008 Guerrilla Films,LLC-Telecinco Cinema,S.A.U.All Rights Reserved

チェ 28歳の革命/チェ 39歳別れの手紙
Che part1:The Argentine/Che part2:Guerrilla

エルネスト・ラファエル・ゲバラ・デ・ラ・セルナ。
このなが~い名前がチェ・ゲバラの本名。
チェというのは「よーっ」とか「おい」とか「ねえ、君」とか、そんな呼びかけの言葉だそうです。

星のついたベレー帽を斜にかぶり(一つ星は少佐の階級章です)、
より高い地平をめざすかのごとく、強い意志をみなぎらせて上方をみつめる瞳。
ベレー帽からのぞくモジャモジャの髪。そして、ひげ。
か、かっこいい。
とのも有名なゲバラのそのポスターをパネル貼りにして、大事に、大事に持っていました。

チェ・ゲバラは1928年生まれの革命家。生きていれば、今年81歳になります。
それほど大昔の人ではありません。だって、あのカストロだって、つい最近引退したばかりです。
生き残った革命家は老練な政治家になるのでしょうが、
夭折した革命家は伝説になります。

1967年ボリビアで政府軍の手に捕らえられ、その翌日、銃殺されたチェ・ゲバラ。
彼は今も英雄として燦然と輝き続けています。

      「チェ 28歳の革命」と「チェ 39歳別れの手紙」は、ゲバラを演じたベニチオ・デル・トロがプロデュース、スティーヴン・ソダーバーグが監督として、撮影されました。
      ベニチオは7年間もゲバラについてリサーチし、彼を演じるために25キロも減量したといいます。

      「キューバ革命について最もエキサイティングなことは関わった人たちが今も生存していることだ」  

      そう、ベ二チオ、その通りです。この二部作は記録映画としても、ベストな時に撮られたということですね

「かつて、本気で世界を変えようとした男がいた」(チェ2部作はキャッチフレーズにも力が入っています)
オバマさんは“チェンジ!”と連呼して、大統領になり、
チェ・ゲバラは自身を変え、周囲を変え、キューバ革命を闘いました。

      「革命」 
     今、閉塞状況にあって、この言葉が、遠い記憶の底からじわりと蘇ってきます。

Part1「チェ28歳の革命」では、カストロ、ゲバラ達のキューバ上陸からハバナ入城までの激動の2年間
part2「チェ39歳 別れの手紙」では、ボリビアでの革命運動、そしてゲバラの死までが描かれています。
「チェ28歳の革命」には、キューバ革命後、国連で演説するゲバラの実写フィルムも挿入され、少し古びた映像の中で生きて語るゲバラがいます。
ソダーバーグ監督も語っていますが、
「僕らが勝手な想像力ででっちあげたようなシーンはひとつもない。すべてのシーンは、細部を含め、きちんとしたリサーチやインタビューに基づいている」。
ですから、映画の印象は、CNNとかBBCとかの戦場中継を観ているような
それがイラクやアフガニスタンの荒地ではなく鬱蒼としたジャングルに変わったようなリアル感があります。
革命もまた戦いであることを再認識させられます。

      「チェ28歳の革命」。ハバナ入城で意気盛んな兵士たち。ド派手なアメ車でハバナへと疾走する革命兵士を制止し、
      「車を持ち主に返し、革命兵士らしく振舞いたまえ」と説くゲバラの姿に、生真面目な革命家の顔が見えます。
      「モーターサイクル・ダイアリーズ」(‘03)をご覧になった方なら、「ゲバラも随分大人になったなぁ」と思われるでしょう。
      あの気楽な南米一周旅行を通して、ゲバラは貧困と不平等をその眼に焼きつけ、 医師から革命家に転身したのですよね。
      「モーターサイクル・ダイアリーズ」を観て、この2本の映画を観ると一人の男の人生の記録を観ているような気分になります。
      「チェ 39歳別れの手紙」でゲバラが銃弾に倒れるシーン。
      最初、その視野には空が映っていたのに、彼が崩れ斃れた数秒後にはボリビアの小石混じりの大地が映ります。
      その数秒の時間差の内に、若き日のゲバラのあれもこれも思い出してしまうのです。
     
喘息持ちで、ダンスが苦手で、正義漢で、女好きで、「革命家は愛によって導かれる」と気障な言葉を平気で言える男。
常に変革をめざした永遠の革命家にして、永遠の旅人。
今、変革が、真剣に求められるこの時代にゲバラの映画が登場したことは、もしかしたら、とても大きな意味を持つ出来事なのかもしれません。

「チェ 28歳の革命」
監督/スティーヴン・ソダーバーグ、プロデューサー/ベニチオ・デル・トロ、ローラ・ビックフォード
キャスト
ベニチオ・デル・トロ/チェ・ゲバラ、デミアン・ビチル/フィデル・カストロ、サンティアゴ・カブレラ/カミロ・シエンフエゴス、カタリーナ・サンディノ・モレノ/アレイダ・マルチ、ジュリア・オーモンド/リサ・ハワード
1月10日(土)より日劇PLEX他全国ロードショー

「チェ 39歳別れの手紙」
監督/スティーヴン・ソダーバーグ、プロデューサー/ベニチオ・デル・トロ、ローラ・ビックフォード
キャスト
ベニチオ・デル・トロ/チェ・ゲバラ、デミアン・ビチル/フィデル・カストロ、フランカ・ポテンテ/“タニア”、カタリーナ・サンディノ・モレノ/アレイダ・マルチ、ルー・ダイアモンド・フィリップス/マリオ・モンヘ
1月31日(土)より日劇PLEX他全国ロードショー
http://che.gyao.jp/
by mtonosama | 2009-01-09 06:51 | 映画 | Comments(10)
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(c)2008松竹株式会社

連獅子/らくだ

笑門来福。
あれも、これも、そう、巷に吹いている不景気風も大笑いで笑い飛ばしてしまいましょう。
それには「らくだ」でございます。
さらに紅白の毛ぶりで春から縁起のいい「連獅子」でめでたさ満開、といきたいではありませんか。

歌舞伎の舞台公演をHD高性能カメラで撮影し、スクリーンで上映するシネマ歌舞伎。
‘05年1月野田秀樹作・演出の新作歌舞伎「野田版 鼠小僧」を皮切りに、
坂東玉三郎の「鷺娘」と玉三郎と尾上菊之助の「日高川入相花王」を二本立て(’06公開)で、
同じく玉三郎・菊之助による「京鹿子娘二人道成寺」(‘07公開)、
野田版 研辰の討たれ」(’08年5月公開)と数え、
同年10月には六作目となる山田洋次監督「人情噺文七元結」が公開されました。
そして最新作が、二本立てで公開されるこの「らくだ」と「連獅子」。
「連獅子」では再び山田洋次監督がメガホンをとっています。

「らくだ 眠駱駝物語

皆さまご存知の名作落語。
明治時代に上方落語として完成され、
大正には三世柳家小さんが江戸の噺にも仕立て直したという落語です。
歌舞伎としても人気演目で、
今回のシネマ歌舞伎は‘08年8月に歌舞伎座で上演された舞台を撮影・収録したもの。

        棟割り長屋のすりきれた畳の上、風呂先屏風の裾から汚い足がにょっきりのぞいています。
        フグにあたって急死した馬太郎こと“らくだの馬”でございます。
        仲間の半次が葬式の金を調達しようと、屑買いの久六に声をかけますが、
        らくだの家には金目のものなどありゃしません。
        大家から通夜の酒肴をせしめようとした半次、
        久六を使いに出して「通夜の酒肴を出さなけりゃ、
らくだを担いでカンカンノウを踊らせるぞ」と脅させます。
        しかし、大家がこれまた剛の者。
        「らくだが死んだとはこりゃ目出度い。死人のカンカンノウたぁ珍しい。ぜひ見てみたい」
と言い出しまして…

もう、これがおかしいといったら。
笑い過ぎて涙がでてきます。
スクリーンを見れば久六役の勘三郎も汗まみれになって笑っています。
これがシネマ歌舞伎の良さですわ。
歌舞伎座の座席に座っていたんじゃ、
勘三郎の大汗かいた顔や三津五郎の笑いをかみころした表情など見られません。
らくだが久六に負ぶわれて踊る足さばき、脱力感たっぷりの手の動き。
笑い過ぎてお腹が痛くなっても誰も責任はとってくれませんから、それだけはご用心、ご用心。

「連獅子」

いわずとしれた歌舞伎十八番。河竹黙阿弥作詞による歌舞伎舞踊の人気演目です。
2007年10月新橋演舞場で親獅子・中村勘三郎、子獅子・勘太郎と七之助が舞った、注目の親子連獅子。
この舞台を「人情噺文七元結」に続き、山田洋次が監督をつとめました。
実はこの企画、勘三郎自ら山田監督に頼み込んで実現したといいます。
勘三郎の祖父・六代目菊五郎も、昭和10年小津安二郎監督に「鏡獅子」を撮ってもらった例に倣い、
時代を代表する名監督に一世一代の舞台を撮影してもらい、
後世に伝えていきたいという思いがあったのでしょう。

通常、連獅子といえば親獅子、子獅子の2人舞い。
ところが中村屋には勘太郎と七之助という二人の立派な跡取り息子がいるとあって、
当代ならではの3人舞い。
これは注目です。

クライマックスの毛振りといい、舞台上での大見えといい、さすが兄弟、さすが親子。
「中村屋っ」と声をかけたくなります。
毛振りシーンのこの迫力、舞台上に設置したカメラで舞台稽古を撮影したことで生まれました。
客席からでは決して観ることのできない映像です。

芝居小屋の客席から観れば、観客や役者の熱気や興奮がダイレクトに伝わってくるでしょう。
大向こうからの声掛けも臨場感をそそります。
しかし、シネマ歌舞伎もそれにまさるとも劣らない魅力が満載です。
いや、ほんと。
勘三郎があれほど汗まみれになって芝居をしているとは、知りませんでした。
連獅子・らくだの豪華二本立て、たまには歌舞伎もいいですねぇ。


「らくだ 眠駱駝物語」
作/岡鬼太郎、改訂・演出/榎本滋民
配役
中村勘三郎/紙屑屋久六、坂東彌十郎/家主女房おいく、片岡亀蔵/駱駝の馬太郎、尾上松也/半次妹おやす、片岡市蔵/家主左兵衛、坂東三津五郎/手斧目(ちょうなめ)半次

「連獅子」
作/河竹黙阿弥、監督/山田洋次
配役
中村勘三郎/狂言師後に親獅子の精、中村勘太郎/狂言師後に子獅子の精、中村七之助/狂言師後に子獅子の精、片岡亀蔵/僧蓮念、坂東彌十郎/僧偏念
東劇ほか全国順次公開中
東劇
11:00 13:30 16:00 18:40
16:00と18:40の回の「連獅子」は長唄歌詞の日本語字幕版を上映
http://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki

by mtonosama | 2009-01-04 06:38 | 映画 | Comments(4)