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殿様の試写室

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殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

<   2009年 09月 ( 6 )   > この月の画像一覧

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     (C) 2008 Bridgit Folman Film Gang, Les Films D'ici, Razor Film Produktion,
     Arte France and Noga Communications-Channel 8. All rights reserved

戦場でワルツを
WALTZ WITH BASHIR

「おくりびと」が米国アカデミー賞外国語映画賞を受賞したとき
もっくんが「ぼくはイスラエルのあの映画が受賞すると思っていた」と言っているのをききました。

今回、当試写室で上映するのは、彼が驚いていたあの映画「戦場でワルツを」です。

イスラエルの戦争映画―-
それもよくある第2次世界大戦の収容所のユダヤ人を描いたものではなく
1982年レバノン侵攻時の侵略者としてのイスラエルを描いた映画。
それをイスラエル人自身が描いた映画です。

監督アリ・フォルマンは19歳でレバノン侵攻に従軍しました。
その時のある時間が彼の記憶の中から完全に欠落しています。
これはその欠落した記憶を追うドキュメンタリー映画です。

アニメーション映画!
アニメーション・ドキュメンタリー映画!

!!!な映画です。
驚きました。圧倒されました。
アニメーションでここまで表現できること。
そして
アニメーションでなければここまでできなかったことの両方に。

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ストーリー
2006年冬。
映画監督のアリ・フォルマンは、戦友のボアズから
26頭の犬に襲われる悪夢に悩まされていると告げられる。

1982年6月イスラエル軍は南レバノンに侵攻した。
1975年から続く内戦のため、レバノンは壊滅状態にあり
南レバノンにはPLO(パレスチナ解放機構)が勢力をのばしていた時代。
PLOの拠点を潰すこと――それがイスラエルの侵攻の目的であった。

ボアズの悪夢は19歳で従軍したこのレバノン戦争の後遺症なのか。
だが、アリには当時の記憶がまったくない。
アリは臨床精神科医である親友オーリの勧めによって
自らの失われた記憶と、世界中に散った戦友を求める旅に出ることを決意する。

カルミ
カルミはヘルシー・フードの屋台を企業展開して成功。
オランダの広大な土地に暮らしていた。
彼の記憶は、戦場へ向かう船から、海に浮かぶ巨大な裸女の幻影を見たこと。
そして、上陸するや、通りがかった一般市民の車に銃を乱射したこと。
アリはその記憶を共有していない。

ロニー
戦車隊員だったロニーは仲間を失い、ひとり敵地に取り残され、海を泳いで助かった。
その記憶は彼にとって封印すべきものであり、いまだ戦友たちの墓参もできずにいる。
ロニーにもアリと一緒にいた記憶はなかった。

フレンケル
マーシャル・アーツの専門家フレンケルが語ったのは
たったひとりロケット砲で戦車を爆撃した少年に向かって
兵士たちが一斉に銃を撃ったこと。
そして、その中にアリもいたということ…

戦友たちの言葉を通して、アリの記憶もうっすらと見えてきます。

都合の悪い過去を忘れることは人間に備わった防衛本能です。
忘れなければ壊れてしまうから、です。

アリ・フォルマン監督はヨルダンで一体何を見たのでしょう。
それほどまでに忘れてしまいたい過去とはなんだったのでしょうか?


サブラ・シャティーラ大虐殺
http://www5e.biglobe.ne.jp/~JCCP/history_19820916.htm

1982年9月14日、親イスラエル派ファランヘ党の若手指導者バシ―ル・ジュマイエル
(原題Waltz with Bashirのバシ―ルは彼のこと)の暗殺に端を発して起きた事件。
この事件の真相は不明である。
9月16~18日、レバノンの首都ベイルートにあるパレスチナ人キャンプ・サブラとシャティーナで、イスラエル軍にキャンプが包囲される中、レバノンの右派民兵により
キャンプに暮らす1800人以上の一般市民が虐殺された。

イスラエルとパレスチナの関係は複雑です。
戦後、大国の国家エゴに蹂躙され、争いのない日などなかった両国。

イスラエルの巨大な軍事力によって蹂躙されるパレスチナ。
一方、イスラエルはホロコーストを経て、念願の国家を持ち
その後はアメリカの後ろ盾を得てやりたい放題。
言葉は悪いけれど、イスラエルに対してはそう思っていました。

しかし、国家と個人はイコールではありません。

19歳で従軍し、訳もわからぬまま、銃を乱射し、敵を殺す少年兵たち。
その行為のもたらす罪悪感は、兵士としての正義に包みこまれはしますが
いつまでも心の棘となって残ります。
戦争は個人を殺し、負傷させ、癒しようのない心の傷を負わせるものです。

それを告発するでもなく、事実として描く手法。
アニメーションはそれに合っているのでしょう。
19歳の兵士が見る幻影、瓦礫に圧し潰された遺体、子どもや老人の無残な姿。
これらを実写ではなく、アニメーションで描いたことは
その方が表現しやすい、ということもありましょうが
監督のトラウマがいまだ完全に癒えていない証拠ではないでしょうか。
アニメーションなら自分の実人生の間にひとつ距離をおくことができますものね。

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監督は言っています。
「数年にわたって基本アイディアを温めていた頃から、
実写ビデオでは作りたくないと感じていた。
実写だったらどうだったろう?
ある中年男が、自らの25年も前の暗い過去について取材する様子を、
当時の実録映像もないままに語っていたとしたら?(中略)
戦争とは非常に超現実的なものであり、記憶とはとてもトリッキーなものです。
私はむしろ腕のいいイラストレーターたちの力を借りて、記憶の旅を描いてみたい、
そう思ったのです」


戦場でワルツを
脚本・監督・製作/アリ・フォルマン、美術監督・イラストレーター/デイヴィッド・ポロンスキー、アニメーション監督/ヨニ・グッドマン
キャスト
ボアズ・レイン¬=バスキーラ、オーリ・シヴァン、ロニーダヤグ、カルミ・クナアン、シュムエル・フレンケル、ロン・ベン=イシャイ、ドロル・ハラジ、ソロモン博士
2008年、イスラエル・ドイツ・フランス・アメリカ合作、イスラエル映画、90分
11月28日(土)、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
www.waltz-wo.jp


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by mtonosama | 2009-09-29 06:03 | Comments(14)
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                  (C)nonfictionplanet

ピリぺンコさんの手づくり潜水艦
MR.PILIPENKO AND HIS SUBMARINE

ウクライナに暮らす62歳の年金生活者ピリぺンコさんが自作の潜水艦で
黒海に潜る夢をかなえるというドキュメンタリー映画。

その内容もなんかワクワクさせてくれますし
タイトルもそそります。

ところが

ドキュメンタリーにもいろいろありますが
これはまたとてもインチキくさいドキュメンタリーです。
とても愛すべき映画なんですけどね。

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ドキュメンタリーとはいうものの、先にストーリーありき、の展開ですし
近所の池での潜水実験であんなに水漏れする潜水艦で、黒海まで行くかい?
ウクライナ政府はピリぺンコさんの行おうとしている危険な冒険をすんなり認めたのかい?
わずかな年金で造ったであろう潜水艦なのに、こんな可愛いデザインにする余裕があるのかい?
と、疑問は次から次へと湧いてきます。

まずは、疑り深い現代の都会人の心を離れて、ちょっとウクライナまで飛んでみましょうか。

ストーリー
現役時代(ソ連の時代ということです)、ウラジミール・ピリぺンコは集団農場でクレーン車の運転手をしていました。
62歳のピリぺンコさんは年金生活者になり、エヴゲイニフ村で妻と二人
静かに暮らしています。
しかし、70年代に読んだ雑誌「水中スポーツマン」の記事に触発され
納屋で潜水艦を作り始めていたのです。
ピリぺンコさんに潜水艦の専門知識などはありません。
参考書は「水中スポーツマン」。
自家栽培の野菜とスペアパーツを交換し、年金をつぎこみ、怒る妻からお金を出してもらい
VWビートルのような、空飛ぶ円盤のような、不思議な潜水艦を作り上げました。
30年前の夢がようやく実現しようとしていました。
ウクライナの草原の真ん中から400Km離れた黒海まで
ピリぺンコさんは無事にたどり着け、そして、潜水することができるのでしょうか…


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                       (C)Andrew Testa

ヴィットリア・デ・シ―カ監督の「ひまわり」(‘70)で
ソフィア・ローレン演ずるジョヴァンナがマルチェロ・マストロヤンニ演ずるアントニオを探して
さまよい歩いたウクライナの小さな村を覚えておいでですか?
(あの音楽を思い出すだけでもうウルウルしてしまいます)

「ひまわり」から、もう40年も経っているのに
ピリぺンコさんの住む村はあの頃ジョヴァンナが歩いた村とほとんど変わっていません。
雨が降ればドロドロになるに違いない未舗装の道をアヒルやら猫やらがうろちょろしています。
そんな村でピリぺンコさんや村人たちは仲良くのんびりと暮らしています。
ひまわりこそ咲いてはいませんが、黄金の小麦畑の中を
黄緑色の小さな可愛い潜水艦がトラックに乗せられて進みます。

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                       (C)Andrew Testa

だから、多少の演出があったっていいんじゃない?って感じ。
村に映画撮影隊がやってきたと、はりきっている村人たちを観ているだけで
怒らせていた肩がすとんと落ちます。

いいなぁ、こんな暮らしがあるんだ。
暮らすにはちょっと退屈かもしれないけれど、ピリぺンコさんみたいな人が
なんかおかしなことをやって笑わせてくれるかもしれないし。
ワッハッハと笑ったり、黄金色の草原を見て深い呼吸をして
心のエクササイズができるのほほんとした映画です。

ピリぺンコさんの手づくり潜水艦
監督/ヤン・ヒンリック・ドレーフス、レネー・ハルダー、製作/イェンス・フィンテルマン、トーマス・ゼーカンプ、撮影/フロリアン・メルツァー、水中撮影/マルコ・フォン・デル・シュレンブルグ、クリスチャン・コピア
出演
ウラジーミル・アンドレイェヴィチ・ピリペンコ、アーニャ・ミハイロヴナ・ピリペンコ、セルゲイ・セミョーノヴィチ・ホンチャロフ、イルカ号、協力/エヴゲイニフカ村の皆さん
ドイツ、2006年、ロシア語・ウクライナ語、カラー、90分
10月下旬、シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
http://www.espace-sarou.co.jp/pilipenko/index.html


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by mtonosama | 2009-09-24 06:55 | Comments(12)
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                  (C)Alfama Films, Skopia Films

アンナと過ごした4日間
Four Nights with Anna


低い陽光に照らされた建物の影が前方の家の屋根を半分覆い
空には不穏な気色をはらんだ雲
夏の日、涼しい木陰をもたらしてくれた木々もすべて葉を落とし
末梢神経のような枝先をかすかに震わせている
安い石炭の燃える匂いが空気を充たしている東欧の田舎町
寂しく、不思議な風景です。

アンジェイ・ワイダの系譜をひくポーランドの巨匠。
イエジー・スコリモフスキ(なんて覚えにくい名前でしょう!)の17年ぶりの最新作です。

日々の暮らしのように静かなストーリー展開、洒落たセリフなど皆無。
ポーランドの陰鬱な重い空気。
強姦事件を目撃し、警察に通報しながら、
自分が犯人にされてしまう運の悪い主人公レオン。
強姦された被害者アンナに恋をするレオン。
不器用な男の純愛は、盗み見という陰湿な行為として現れながら
なぜか清らかで優しい。

     あ、今、相当ひいてますね。
     お気持ちはわかります。
     でも、ちょっと待ってください。

スクリーンに映し出された映像は強烈な吸引力を持って
観客の目をひきつけて離しません。
どうしてでしょうかねぇ。

同じポーランド人でも、アンジェイ・ワイダ監督には社会性があります。
ロマン・ポランスキー監督は華やかさを持っています。
イエジー・スコリモフスキ監督のこの新作には
そのどちらもないのですけどねぇ。

しかし、冒頭の風景写真が見る者をとらえて離さないように
この映画も人間のかかえる奥深い心象風景とシンクロしながら
観る者にじっとりとまつわりついてきます。

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 イエジー・スコリモフスキ
イエジー・スコリモフスキは1938年5月5日ポーランド、ウッチの生まれ。
父は建築家だったが、第2次世界大戦中ユダヤ人の妻の一家を守るため
レジスタンスに身を投じ、ナチスに処刑される。
大学では民族学、歴史、文学を専攻し、ボクシングやジャズにも関心を持つ。
詩集、短編小説、戯曲などを意欲的に発表。
アンジェイ・ワイダに注目され、「夜の終りに」(‘60)を共同執筆
ボクサー役として出演もする。
その後、故郷のウッチ国立映画大学に入学。
62年にはポランスキーの長編デビュー作「水の中のナイフ」で台詞を執筆。
66年ベルガモ映画祭でグランプリを受賞し注目を浴びるが
スターリン批判をしたため上映禁止処分を受けた。
詩人、ボクサー。画家、ジャズドラマーと多彩な顔を持つ監督。

71歳になったイエジー・スコリモフスキが現在のポーランドに見たものは
共通の怒りによって結びつけられた連帯でも
よりよい社会をつくるんだ!という高邁な精神でもなく
分断された孤独な人間でした。

監督はいいます。
「これは人とのつながりを求める基本的な欲求の物語です」

ストーリー
病院内の焼却処分場で働き、祖母と2人でひっそりと暮らすレオン。
街の通りを病院の看護士アンナが行く。
急いで物陰に身をひそめるレオン。
レオンの家の向かいには看護士宿舎があり、アンナの部屋が見える。
毎夜レオンは双眼鏡で彼女の部屋を覗く。

なぜ?

数年前、川へ釣りにでかけたレオン。
釣果もなく、ひきあげようとしていると、叩きつけるような雨が降ってきた。
レオンは近くの廃工場へ駆けこむ。
すると建物の奥から女性の叫び声が。
おそるおそる近づいて行ったレオンの目に映ったのは
見知らぬ男に乱暴されているアンナの姿だった。
その場を逃げ出し、警察に通報するレオン。
だが、現場に釣りの道具を置き忘れたため、容疑者として逮捕されてしまう。

釈放後、勤めていた病院を解雇され、祖母も亡くなる。
一人になってしまったレオンは、その後、大胆な行動に…


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「人とのつながりを求める欲求」
孤独で隠微で薄気味悪い…
こんな言葉で切り捨てられてきた人もまた人とのつながりを求めています。

明るく人好きのする人にひかれるように
多くの人は明快な映画にひきつけられます。

でも、このはがゆい冴えない男が観客をそらさないように
薄暗い東欧の田舎町が舞台のこの映画も観客の視線を飲みこんでいきます。
この映画には魔力があります。

アンナと過ごした4日間
監督、脚本、製作/イエジー・スコリモフスキ、製作/パウロ・ブランコ、
脚本/エヴァ・ピャスコフスカ、撮影/アダム・シコラ
キャスト
アルトゥル・ステランコ/レオン、キンガ・プレイス/アンナ、イエジー・フェドロヴィチ/院長、
バルバラ・コウォジェイスカ/祖母
10月17日(土)より、渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開  
www.anna4.com


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by mtonosama | 2009-09-19 06:24 | 映画 | Comments(8)
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ファイティング・シェフ
美食オリンピックへの道
EL POLLO,EL PEZ Y EL CANGREJO REAL
The Chicken the Fish and the King Crab

なんででしょうかねぇ。
テレビ番組ではグルメものなど、つい観てしまいますよねぇ。
タレントの
「口にいれたら、ふわーと溶けた!」とか
「とってもジューシー」とかの
ありきたりの感想に
チッと舌うちしながら、それでも観ている殿です。

「ファイティング・シェフ」もそんな映画です。
世界一のシェフ、ポール・ボキューズ氏の呼びかけで始まった料理の祭典
「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」
そのための料理をつくり、試食するシェフ。

そして、見た目はもちろん、味も良いであろうに決まっている料理を食した審査員たちが
幸せそうにその大きな丸いお腹を撫でる…

どうひっくり返ったって絶対に自分の口には入らないのに、やはり一生懸命観てしまいました。

「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」はポール・ボキューズ氏が音頭をとり
1987年以来2年に1度「食の都」リヨンで開催されるフランス料理の国際大会。
24カ国から選ばれてきた一流シェフたちが「世界最高のシェフ」を目指して、
5時間半を闘いぬきます。

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スペイン人監督ホセ・ルイス・ロペス・リナレスが追うのは
祖国スペイン料理界の熱い期待を受けるへスース・アルマグロ。
(へスースはJesusと綴るのですね。ま、どうでもいいことですが)

美食の国スペイン。
ですが、フランス料理界ではあまり評価が高くありません。
そんなスペインが、フランス料理でもなんとか入賞をめざそうと送りだしたのが
マドリードの有名レストラン「ペドロ・ラルンべ」の若手シェフ、へスースでした。
さて、へスース、その名の通り、スペイン・フランス料理界の救世主となることができるでしょうか。

このコンクール、もし優勝できれば、世界一のシェフとして認められ
地位と名誉とお金を手に入れることができます。
さらには、ミシュランの星つきレストランを開店することができるのです。
さあ、料理人の意地と名誉と(欲)をかけた闘い、いかなることにあいなりますでしょうか。
客席からは祖国の応援団が旗を振り、笛を吹いて声援を送っています。
美食のオリンピックの始まりであります。

ストーリー

2007年1月23日、第10回「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」の幕が
切って落とされました。
厨房ブースに入るへスースと助手のフェリクス。
スペイン料理界の期待を一身に背負って、今、ここに立つ。

本戦出場が決まってからは休日も返上。何度も試食会を繰り返してきました。
美しいだけでも美味しいだけでもない――審査員たちの心をつかむにはどうすればいいか。
試行錯誤は続きます。

今大会のテーマ食材はブレス産の鶏肉、ノルウェー産のオヒョウとタラバガニ。
数か月に及ぶ準備期間に費やされたのは
450羽の鶏肉、150Kgのオヒョウ、265Kgのタラバガニ。
この膨大な食材を投入し、料理の準備も心の準備もすっかり整えたへスース。
いよいよ挑戦の場に向かいます。

へスースははたして入賞できるでしょうか。そして、優勝は誰の頭上に輝くのでしょうか…

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自信に満ちたかつての入賞者。その中には日本人シェフの姿も。
当方、へスースさんに肩入れしているため、上から目線の日本人シェフが
こ憎らしく見えます。

食の国フランスの世界一有名なシェフ、ポール・ボキューズの名を冠した料理コンクール。
この壮大な食材の浪費に、内心冷や汗を流しながら、観てしまいました。もったいないことです。

しかし、フランス料理はカロリー高いんですね。
審査員のシェフたち、みんな本当に大きなお腹してましたもん。メタボ指数相当高いと見ました。

すべてが終わって、我が家に帰ったへスースさん。
その日のご馳走はママがつくった素朴なパエリアでした。

ファイティング・シェフ 美食オリンピックへの道
監督/ホセ・ルイス・ロペス・リナレス
出演
ヘスース・アルマグロ、セルジュ・ヴィエラ、ペドロ・ラルンベ、アルベルト・チコテ、
ポール・ボキューズ、長谷川幸太郎
2008年、スペイン、86分
10月10日(土)より、TOHOシネマズシャンテ他全国ロードショー
www.bishoku-movie.com


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by mtonosama | 2009-09-14 06:43 | 映画 | Comments(16)
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                   (C)Transformer,Inc

あがた森魚ややデラックス

その昔、渋谷にまだ三葉虫が這いずりまわっている頃
道玄坂途中にある百軒店横町の奥にSWINGというモダンジャズだけを
聴かせる喫茶店がありました。
そこでは客は眉間にしわを寄せ、深刻な顔をして、ジャズを拝聴します。
無言、敬虔。店内は修行僧の集まりのようでありました。

その斜め向かいにはBLACK HAWKというロック喫茶があり、
こちらは若干ルーズではありましたが、おしゃべりの声は聞こえません。
音楽のヴォリュームが大きすぎて、話し声なんか聞こえないという単純な理由です。

ジュラ紀に入ると、あがた森魚というフォークシンガーが
「赤色エレジー」という楽曲をひっさげてデビューしました。
下駄ばきの彼が、細く高く震える声で歌ったあの歌です。
といっても、わかるのはジュラ紀に生きてたアンモナイトくらいでしょうか。
   
 
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あがた森魚って?
   ↓ ↓ ↓
 http://www.agatamorio.com/profile.html
1948年9月12日、北海道生まれ。1972年「赤色エレジー」でデビュー。
当時、アメリカのコンテンポラリーなフォーク・ロックやヒッピームーブメントなどに強い影響を受けながらも、その影響下に留まらず、日本の大正や昭和のロマンティックな大衆文化を彷彿とさせるオリジナリティあふれる音楽世界を創り出していった。
デビューアルバム『乙女の儚夢』以降、『噫無情』『日本少年』『永遠の遠国』と、あがた森魚世界観をはらんだアルバムを発表しながら70年代を駆け抜けた。

21世紀にはいり、初のベスト盤『20世紀漂流記』、久保田麻琴、鈴木惣一朗、HARCOらの才能とともに、『佐藤敬子先生はザンコクな人ですけど』を発表。
2003年、田中泯(舞踏)とのコラボレート「架空」公演を新しく試み好評を得る。
また、NHK教育番組「バケルノ小学校」のオープニングテーマを歌い、小学生までファン層が広がった。

デビュー35年となる2007年、9月には久保田麻琴プロデュースによるオリジナルアルバム『タルホロジー』リリース。
2008年、60歳を迎えライヴツアー「惑星漂流60周年!」を全国各地で展開、
2009年2月22日、一大記念イベント『Zipang Boyz號の一夜』を開催。
月刊日記映画を毎月制作、上映会も行い、さらに意欲的な活動が続いている。


と、あがた森魚さんのオフィシャルサイトから、そのプロフィールを引用させていただきました。
そういえばあがたさん、本作「あがた森魚ややデラックス」の中でも
一生懸命マックに向かって何やらアップしてましたっけ。
潜水艦ノーチラス号のおもちゃで遊びながら。

プロフィールにもありますが、あがたさんは60歳を迎える2008年に
「惑星漂流60周年!」と銘打ったライブツアーを行いました。
北は釧路から南は石垣島まで
全国67か所をキャンピングカー1台で移動する無謀、無計画な旅です。
留萌、小樽、函館、青森、横浜…
60年の人生で漂流して流れ着いた土地をめぐり、歌う旅というわけです。

小さなライブハウスや居酒屋、およそ採算などとれそうもない会場で歌うあがたさん。
スタッフとケンカし、出発時間に遅刻し、酒飲んで居直るあがたさん。
「あがた森魚ややデラックス」はその勝手放題のツアーに密着し
さらに、今年2月九段会館で行われたツアーのファイナルイベント
「あがた森魚とZipang Boyz號の一夜」までの半年間を捉えた
90分のドキュメンタリーロードムービーです。

監督はジュラ紀のあがた森魚を知るべくもない竹藤佳世さんですが
彼女は若松孝二監督や河瀬直美監督の作品に参加し
「『実録・連合赤軍』ドキュメントムービーGUN AWAY!」を公開
2007年には初の劇場長編監督作品「半身反義」で国際的評価を得た新鋭です。

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あがた森魚を知らない世代にとってはおそらく彼はちょっと変なおじさんなのかもしれません。
(あがたさん、ごめんなさい)
「赤色エレジー」の頃しか知らない世代にとっては「まだやってたのか」という感想でしょうか?
(あがたさん、重ね重ねごめんなさい)

殿も映画冒頭で思わずひきました。
小さなライブハウスの数人の客の前で叫ぶように歌う彼を見て
ちょっと寒くなってしまいました。
数十年ぶりに出会った友人が外見や体型はすっかり変わってしまったのに
昔と同じファッションをしているのを見た気分、とでもいいましょうか。

でも

居酒屋でも、ワイナリーでも、どんなステージでも、全身で歌うあがたさん。
これが結構いいんです。
ファイナルライヴの行われた九段会館にはムーンライダーズの鈴木慶一
「はちみつぱい」の元メンバーや矢野顕子、緑魔子らが参加して、ものすごい盛り上がりでした。

矢野顕子さんが「もう、あがたくんは無形文化財にしてほしいくらいよ」
とあのおっとりした口調で語ったり。

一流のミュージシャンでも、歳をとったら変わります。外見も。パフォーマンスも。
これは自然の摂理です。だけど、確実に深まってるんですね。
懐かしいあがた森魚じゃなく
潜水艦ノーチラス号に乗って深化したあがた森魚を見せてもらいました。

あがた森魚ややデラックス
監修/森達也、撮影・編集・監督/竹藤佳世
出演
あがた森魚、鈴木慶一、矢野顕子、久保田麻琴、緑魔子
絵:奈良美智、製作・配給:トランスフォーマー、宣伝協力:太秦
2009年/カラー/90分/デジタル
10月10日シアターN渋谷にてモーニング&レイトショー
http://www.yayadeluxe.com/


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by mtonosama | 2009-09-09 06:24 | 映画 | Comments(18)
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     (C)Idéale Audience - Zipporah Films - France 2009 - All rights reserved.

パリ・オペラ座のすべて

ホラ、口閉めて!
ハッ。よだれが垂れてた。

いや、ホント。西原理恵子の口開け女みたいな顔して観入ってしまいました。
もう、きれいったらないんです。
オペラ座のエトワールたち。

え、エトワールですか?

フランス語で「星」を意味するパリ・オペラ座ダンサー最高位の階級。オペラ座総裁によって任命され、際立った個性、魅力、天性の才能を持つダンサーだけに与えられる称号。パリ・オペラ座バレエ団の顔であり、社会的地位も高い。2009年7月現在でダンサー150名の内の約10%、男性7名、女性9名の計16名がエトワールである。

エトワールも含め、オペラ座のダンサーの定年は40歳。
花の命は短くて―――とはよく言ったものであります。

実は、バレエ好きの殿。
BSで放映するローザンヌ・バレエ・コンクールを気がつけば
クラシック部門も、コンテンポラリー部門も全部通して見てしまっています。
踊れる訳でもないし、なんにも知っちゃいないんですが。

幼いころ、母の勘違いからバレエを習わされ、一ヶ月で挫折。
娘のあまりの無能さに怒って先を行く母を
泣きながら追いかけてから早や幾星霜。

ふーんだ。
自分が踊れなくたって
高いお金出してバレエ公演に行かなくたって
こんなすごい映画が観られるんだから。
って、誰に言ってる?

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太陽王と呼ばれ、「朕は国家なり」と高らかにのたまわった
フランス絶対王政最盛期の王様ルイ14世が
勅命で1661年に設立した王立舞踊アカデミーがパリ・オペラ座の前身です。

ルイ14世、ヴェルサイユ宮殿建てただけじゃないんです。
そういえば「王は踊る」(‘00)でルイを演じたブノヮ・マジメルもきれいでしたねぇ。
こう見えてきれい好きなんですよ。あ、ちょっと意味が違いますね。

「パリ・オペラ座のすべて」は
華やかな舞台に舞うダンサーだけではなく
厳しいレッスン風景や
振付師とエトワールの間で繰り広げられる息詰まるような振り付けのプロセス
あるいは年金改革をめぐる団員集会という国家公務員としてのダンサーの姿
布を染め、ビーズを縫い付け、一枚一枚の衣装を手縫いするスタッフたち
有力な支援と資金を得るための広報活動。
ほんとにパリ・オペラ座のすべてが撮影されています。
「オペラ座の怪人」に出てきたあの地下水道も出てきます。

オペラ座のすべてを撮影した監督は84日間の密着撮影を完遂した
“現存する最も偉大なドキュメンタリー作家”フレデリック・ワイズマン。

1930年、ボストンに生まれる。イエール大学で法律を学び、弁護士として活動を始める。やがて軍隊に入り、除隊後弁護士業のかたわらボストン大学で教鞭をとるようになる。法的医療や犯罪法の実地見学で訪れた、精神異常犯罪者を収容したマサチューセッツ州立矯正院を題材にして、初の長編ドキュメンタリー『チチカット・フォーリーズ』(’67)を発表するが、州最高裁判所で公開禁止処分となり、一般上映が禁止される。以後も、ワイズマンは製作意欲を掻き立てられたかのように次々とアメリカの組織・施設の“シリーズ” ドキュメンタリーを発表。21世紀に入った現在も、ほぼ年1本のペースで新作を発表し続けている。撮影時には、現場にいることがなるべく撮影対象に意識されないように配慮。インタビュー、BGM、ナレーションを排除し、観客の判断や歓声にすべてをゆだねるという手法を用いる


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エトワールたちの練習が
ラストシーンの舞台場面として結実するまでの160分はなんともゴージャス。
知らない間にまた西原理恵子の口になってしまいます。

「くるみ割り人形」「ロミオとジュリエット」という定番プログラムから
「メディアの夢」という前衛的なプログラムまで、
オペラ座の持つ芸術性の高さと幅広さにただただ感服。

348年の歴史を生き抜いてきたオペラ座は
伝統的な美しさだけではなく
個性的でコンテンポラリーな演出も含め
世界のバレエ界を牽引するエネルギーの塊なのだなぁと
あらためて感動しました。

それにしても、人間の肉体って美しいだけじゃなく
とても豊かな表現力を備えた道具なんですねぇ。

パリ・オペラ座のすべて
監督、音声、編集/フレデリック・ワイズマン、撮影/ジョン・デイヴィー、編集/ヴァレリー・ピコ、製作/フランソワ・ガズィオ、ピエール・オリヴィエ・バルデ、フレデリック・ワイズマン、製作協力/パリ・オペラ座、総裁/ジェラール・モーティエ、芸術監督/ブリジット・ルフェーブル
出演
エトワールほかダンサー、ブリジット・ルフェーブル、パリ・オペラ座職員
2009年、フランス=アメリカ、160分
10月10日(土) Bunkamura ル・シネマ ほか全国順次ロードショー
配給:ショウゲート
http://www.paris-opera.jp/


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by mtonosama | 2009-09-04 06:12 | Comments(14)