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殿様の試写室

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殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

<   2009年 12月 ( 8 )   > この月の画像一覧

2009 BEST 10 Of 殿様の試写室 《その3》

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本編とは関係ないのですが… アビーロード交差点近くにあった落書き。今年5月憧れのアビーロードを訪れ、携帯で撮りました


さあ、いよいよBEST 3の発表です。
2009年の総決算。「殿様の試写室」おすすめの3本はこれだっ!

と、ひとりスタンディングオベーション!
ひとり拍手であります。パチ・パチ・パチ!

行きますよぉ。

3位 「愛を読む人」

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主演のケイト・ウィンスレットが81回アカデミー賞主演女優賞を受賞しました。
彼女ももちろんすばらしかったのですが
なんといっても21歳年上のハンナを愛してしまったミヒャエルを演じたデヴィッド・クロスが出色。
思春期の短い日々に愛の頂きと谷底を知ってしまった少年を印象深く演じていました。
いいなぁ、デヴィッド♡
(殿様の試写室にて5月上映)

2位 「スラムドッグ$ミリオネア」

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アカデミー賞8部門受賞とか、原作者が大阪総領事に就任したとか
話題にも事欠かない映画でした。
でも、それらを度外視しても、純粋におもしろい!ハラハラする!感動する!
出演の子どもたちがかわいい!
エンドロールに流れるインドのダンスを観ながら、拍手してた殿です。
(当試写室にて4月上映)

1位 「ポー川のひかり」

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エルマンノ・オルミ監督最後の劇映画となったこの作品。
どうして劇映画をやめてしまうのでしょう。
最後の作品となったこの映画のテーマはキリスト。イタリア的です。
女ったらしだけがイタリア男の代名詞じゃないことを証明しました。
「自転車泥棒」のような古き良きイタリア映画を思わせる映画。
ポー川のゆったりとした流れが時代を超越していました。
地味なんですが、とても心に残った映画です。
(当試写室にて7月上映)


みなさま、本年はお世話になりました。どうぞ来年も当試写室をご訪問いただけますよう
よろしくお願い申し上げます。
新しい年がみなさまにとって良い年でありますように。

殿様の試写室 責任者


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by mtonosama | 2009-12-30 06:29 | Comments(4)
2009 BEST 10 Of 殿様の試写室 《その2》

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今日はBEST 6からBEST 4までの発表です。
このベスト10、映画市場の景気動向や市場分析などに基づいて割り出しているので
なかなか困難な作業でした(などということは全然ありません)。
それにしても1年で100本を観るというのはたいへん。
だって週に2回の上京で100本観るには1日に3本は観ないと。
3本観ると、椎間板へルニアの前科を持つ腰がきしんで。
(すいません。だから100本は観ていません)
などと、ぼやきは横に置いて、
さ、行きます。

6位 「キャラメル」 

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キャ~~~!から始まるレバノン映画でした。キャラメルでむだ毛をはがす時の悲鳴です。
中東発といえば、即、戦争と思ってしまいます。
でも、この映画は平時を描いたもの。戦争の背後にも日常生活を営む市民がいるんですよね。
それにしてもレバノンの女性ってゴージャスだったなぁ。
(殿様の試写室にて1月上映)

5位 「ロルナの祈り」

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この作品の監督ダルデンヌ兄弟がなぜか好きです。
ヨーロッパの陽の当たらない部分を描いたら天才的なベルギーの監督。
今回は移民問題でした。
数年前に訪れたオスロ駅裏口に落ちていた使い古しの注射器を思い出しました。
華やかなヨーロッパの暗い側面です。
(当試写室にて1月上映)

4位 「扉をたたく人」

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あ、これも移民を扱った映画です。
明るいタッチで描かれていますが、移民問題の抱える深い根が横たわっています。
が、しかし、音楽は人の心をつなぎます。
ジャンべというアフリカン・ドラムがキーワード。ラストシーンが印象的でした。
(当試写室にて6月上映)


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by mtonosama | 2009-12-29 07:09 | Comments(5)
2009 BEST 10 Of 殿様の試写室 《その1》

ようこそ、「殿様の試写室」へ。

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波乱に満ちた2009年も間もなく終わろうとしています。
で、今年2年目を迎えた当試写室でも、2009年にご紹介した公開映画の中から
ベスト10を選んでみようなどと思い立ちました。

皆さんのベスト10はいかがでしょう?

10位 「倫敦から来た男」

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う~~ん、と唸ってしまった映画でした。
夜を背にして光る監視塔のシーンが頭にこびりついたまま、年を越しそうです。
(殿様の試写室にて11月上映)

9位 「戦場でワルツを」 

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その内容はもちろんですが、アニメで描いたドキュメンタリーということに驚きました。
アニメーションでここまで衝撃を受けたのは子どもの頃に観た東映動画「白蛇伝」以来です。
(当試写室にて9月上映)

8位 「人生に乾杯!」

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ソ連がなくなってしまうなんてことも、ベルリンの壁が崩壊してしまうことも
その昔は信じられなかったんですが。
ビフォア・アフター的痛快老人ピカレスク映画でした。
(当試写室にて6月上映)

7位 「カティンの森」  

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アンジェイ・ワイダ監督がこの事件をようやく映画化できるようになった世の中の推移には
感慨深いものがあります。ラストシーンが胸に迫りました。
(当試写室にて11月上映)

まずは10位から7位まで、でした。

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by mtonosama | 2009-12-28 05:39 | Comments(8)
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(C)Emilio Pereda&Paola Ardizzoni/El Deseo

抱擁のかけら
LOS ABRAZOS ROTOS

ペネロペ・クルスってものすごい役者だと思います。
まだ35歳なのに、大女優の風格。
オーラがあります。

今回、4度目となるペドロ・アルモドバル監督の作品「抱擁のかけら」に出演した彼女。
前作「ボルベール〈帰郷〉」(’06)では
ソフィア・ローレン、あるいはクラウディァ・カルディナーレを彷彿とさせる
往年の肉感派女優の貫録で圧倒してくれました。
本作「抱擁のかけら」ではまたまたオードリー・ヘップバーン、マリリン・モンローという
懐かしの女優の顔を見せてくれています。

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いろいろな顔を演じ分けることができるのは
その役者の人間的な幅の広さということがいえるかもしれませんね。
女優の35歳。それは人生の酸いも甘いも噛み分けているということなのでしょう。

ペドロ・アルモドバル監督とペネロペ・クルスのコンビは
例えば、ビットリア・デ・シ―カとソフィア・ローレンのように
映画史上きわめて幸福な監督と女優といえるかもしれません。

監督は自分の作品を完璧に表現する女優を得て
女優は自分の表現と魅力を十二分に引き出す監督を得る。
最強のコンビではありませんか。

「抱擁のかけら」は映画監督と女優の愛の物語。
監督と女優という制作上の関係にとどまらず、人生においても、運命においても
離れがたい存在になった男女を描いた作品です。
ふたりはその関係が沸点に達した中で、ひきはがされ
女優は死に、監督はそのもうひとつの命である視力を失う…

映画の中で劇中映画が描かれ
さらに、この劇中映画のメイキングが2人の愛を証拠づける記録となっていく。
あるいは、オードリーに似せたペネロペ、マリリンそっくりのペネロペ。
映画、映画、映画。なにもかもが映画と結びついた作品です。
アルモドバル監督の生みだした映画づくしのマジックにまたも囚われてしまいました。

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ストーリー
2008年、マドリード。
脚本家のハリー・ケインはある事件の後
名前を変え、違う人生を生きるようになりました。
14年前はマテオ・ブランコという本名で、映画監督として活躍していた彼は
その事件で視力を失い、さらに何にも変えがたい存在を同時に失ってしまったのでした。
耐えがたい過去を記憶の底に封じ込めるハリー。

事件前後の事情をよく知るエージェントのジュディットとその息子ディエゴの助けを借りながら、ハリーは脚本家としての人生を送っていました。
ある日、ライ・Xという男が来訪し、ハリーに脚本を依頼します。
そのテーマは「父の記憶に復讐する息子の物語」。
「自分には向いていないテーマだ」と断りましたが
ハリーはライ・Xが何者なのか、思い出しました。
そう、ライは14年前にハリーが記憶から締め出した男エルネスト・マルテルの
息子だったのです。

封印された過去に関心をいだくディエゴに問われ
ハリーはマテオだった頃の物語を語り始めます…


マテオとレナの燃え上がる激しい恋を軸に
レナを愛するもうひとりの男の粘りつくような執拗な愛と嫉妬
思いもよらない裏切り。
そして、再び、生命を吹き返す14年前の作品と女優。
作品はミステリアスな展開を見せながら
アルモドバル監督の映画へのオマージュをいたるところに散りばめています。

例えば
ロベルト・ロッセリーニ監督の「イタリア旅行」(‘53)が作品の中に登場します。
そこには、ポンペイの遺跡に眠る約2000年前の男女の遺体
その永遠の愛に感動するイングリッド・バーグマンとジョージ・サンダース演じるアメリカ人夫婦
それを逃亡先のリゾートホテルの一室のテレビでみつめるマテオとレナ。

また、「ニュー・シネマ・パラダイス」のあのラストの無数のキスシーンのように繰り返される
印象的な抱擁のシーン。
恋人同士の抱擁、親子の抱擁、憎しみを抱くものの抱擁。

「こだわってますね」と声をかけたくなるほど、映画でまとめた映画。
映画づくしの映画です。

ペネロペ・クルスとペドロ・アルモドバル。
稀有な才能の組み合わせから生まれた作品。
なんとまあ、浄らかにして濃厚な映画でしょうか。

いやぁ、ペネロペって本当に旬な女優です。

あ、レナに恋するもうひとりの男エルネストを演じたホセ・ルイス・ゴメスのあの目。
あれも忘れ難い。やはりスペインは濃いです。

抱擁のかけら
監督・脚本/ペドロ・アルモドバル
出演
ペネロペ・クルス/レナ、ルイス・オマール/マテオ・ブランコ、ハリー・ケイン、
ブランカ・ポルティージョ/ジュディット、ホセ・ルイス・ゴメス/エルネスト、ルーベン・オカンディアノ/ライ・X、タマル・ノバス/ディエゴ
2010年2月6日(土)、新宿ピカデリー、TOHOシネマズ六本木ヒルズ他にて全国公開
2009年、スペイン、スペイン語、128分、原題/ LOS ABRAZOS ROTOS(英題/BROKEN EMBRACES)
http://www.houyou-movie.com/


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by mtonosama | 2009-12-23 05:34 | Comments(10)
       フローズン・リバー
                   FROZEN RIVER


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この寒い季節に寒々しい凍った河なんぞ見たくない、とおっしゃるあなた。
いやいや、これがすごいんです。

ある景色を好きなのは自らの心象風景に通じるものがあるから
といいます(誰が言った?)。

灰色の低い空、汚い雪をはねあげて走る車、うら寂しいトレーラーハウス
NY州北端、硬く凍ったセントフローレンス河がカナダとアメリカを隔てる小さな国境の町。
こういう景色そそります。きっと、殿の心象風景は寒々しいんでしょう。

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が、しかし。
「フローズン・リバー」は見かけのうら寂しさをプラス方向に裏切る映画でした。

荒涼とした世界にともった1本のろうそくとでもいいましょうか。
あるいは、寒々しい心象風景にじわりと広がる小さなぬくもりでしょうかねぇ。

いえっ、泣きません。
泣きませんが、生きているって良いなぁ、としみじみ思わせてくれる映画です。

ストーリー
5歳と15歳の息子を育て、1ドル・ショップの店員として働くレイは
クリスマスも間近いその朝、ひどく動揺していました。
新しいトレーラーハウスを買うためにコツコツと貯めていたお金を
ギャンブル狂の夫が持ち逃げしてしまったのです。

レイの暮らす町はアメリカ先住民モホーク族の保留地を控えたNY州最北の国境の町。
夫の行方を探し回っていたレイはビンゴ会場の駐車場で
モホーク族の女が夫の車を運転しているのを見つけました。
「(この車は)盗んだのではなく、拾ったのだ」と主張する女は
保留地のトレーラーハウスに一人で暮らすライラ。
夫を事故で亡くし、姑に一人息子を連れ去られてしまっていた先住民でした。
彼女はその子をいつか姑から取り返し、一緒に暮らしたいと願っています。
そのためにまとまったお金を稼ごうと、ライラは非合法の裏稼業についたのでした。
それは凍った河を車で渡り、不法移民をアメリカへ密入国させるという仕事。
良い稼ぎにはなりますが、とてつもなく危険な仕事です。

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どうしても車の必要なライラは、お金に困っているレイを
儲けの山分けを条件に、共犯に誘いこみます。
最初は白人と先住民という人種の違いから、疑心暗鬼の2人でしたが
協力しあって、無事、不法移民の国境越えに成功。

白人であるレイに対しては審査が甘い警備員。一方、業者に顔のきくライラ。
相互に必要としあう2人はイブの夜に再びコンビを組みます。
不法移民を迎えにいった2人は彼らがイスラムの夫婦だと知らされます。
そして、夫婦から預かったバッグの中身が爆弾ではないか、と疑ったレイは
凍った道にそのバッグを捨ててしまいます。
引き渡し場所に到着した2人は夫婦から大変なことを知らされます。
バッグの中身は彼らの赤ん坊だったのです。
驚いてすぐに今来た道を引き返す2人。
バッグはみつかりましたが、大寒波の中、赤ん坊はすでに冷たくなっていました。
ところが…

この後、映画は思わぬ展開を見せます。
2人の母親が織りなす《お涙ちょうだい》物語だとお思いになっていたでしょう?
それが
凍った河の上でのスリリングな逃走(文字通り、薄氷を履む思いです)
保安官との息詰まるやりとり
誇りあるモホーク族の部族会議などなど

これが長編初監督とは思えないメリハリのきいた、スリルとサスペンスに満ちた作品。
出てくる男は保安官と悪人。彼女たちを助けてくれる男性は皆無ですが
彼女たち、なんとか切り抜けていきます。
てきぱきと、とはいえない切り抜け方ですが、それだけに胸に迫り、共感できる。
ああ、感動のラストを、話したいのに、話せないこのつらさ。お察し下さい(涙)。

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監督は長編初監督、初脚本にしてアカデミー賞2部門(主演女優賞、オリジナル脚本賞)に
ノミネートされ、サンダンス映画祭グランプリなど各種の賞に輝いたコートニー・ハント。
45歳という遅咲きの新人女性監督です。

最近のアメリカ映画、ハリウッド系の作品は少しご遠慮申し上げたいのですが
インディ系にはまだまだ見るべき映画は多いです。
やはり、アメリカ映画は底辺が広いですよね。

そうそう、もうひとつ付け加えたいことが。
この映画は世界中の映画祭で受賞し、日本を除いた主要国では高い評価を得ました。
日本を除いた、というところが問題ですね。
昨今、日本では無名監督の作品や、作家性の高い作品の観客動員数の減少は抑えがたく
配給社がその種の作品の日本公開に慎重にならざるを得ない傾向があります。
そんな中で断固この映画を上映したいということで立ちあがったのが映画館でした。
シネマライズです。もう大拍手です。シネマライズさん、ありがとうございました。

やっぱり、映画館へ行かなきゃいけません。
監督や映画会社だけが映画人じゃありませんもん。
映画好きな観客も立派な映画人。
さあ、DVDを捨て、街に出ましょう!映画を観ましょう!

と、元気な殿でした。

フローズン・リバー
脚本・監督/コートニー・ハント
出演
メリッサ・レオ/レイ、ミスティ・アップハム/ライラ、チャーリー・マクダーモット/T.J.、マック・ブーン・ジュニア/ジャック・ブルーノ、マイケル・オキーフ/フィナーティ警官、ジェイ・クレイツ/ガイ、バーニー・リトルウルフ/ジョン、ディラン・カルソナ、マイケル・スカイ/ビリー
2010年1月下旬、シネマライズほか全国順次ロードショー
2008年、アメリカ、97分、提供/シネマライズ、配給・宣伝/アステア
http://www.astaire.co.jp/frozenriver/


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by mtonosama | 2009-12-18 06:35 | Comments(12)
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          イエローキッド

若いと呼ばれることがなくなって早や?年。
周囲の若い人といえばコンビニや○タバや○ックで
マニュアル通りに働くお行儀の良い人ばかり。
お客さんとしてチヤホヤされている内に、若い人たちが何を考え
何をほしがっているのか、わからなくなってしまっていました。

そんなご老体にガツンと喰らわせて走り去っていったのが
この「イエローキッド」です。

真利子という名前のような姓を持つ新人監督・真利子哲也さんの
初長編監督作品「イエローキッド」。
東京藝術大学大学院映像研究科の修了制作作品です。
ま、卒論ですね。
あ、大学院だから修論ですか。
監督は1981年生まれの28歳。スタッフも平均年齢26歳の同大院生。
若い人たちがつくった映画です。

芸大の映像研究科というのは、学部を持たない独立大学院なのだそうです。
修士課程と博士課程を有しており、平成17(2005)年に設置された映画専攻から始まり
メディア映像専攻、博士課程の設置を経て、平成20(2008)年にはアニメーション専攻を設置しました。
http://www.fnm.geidai.ac.jp/fnm/index.html

北野武監督や黒沢清監督などを教授に迎えて発足したこの学科。
真利子哲也さんは2009年3月に2年間の修士課程を修了した第3期生にあたります。
監督・脚本・製作・撮影・美術・録音・編集の各専門分野を2年間で
実践的に学ぶとあって、カリキュラムは実作重視。
在学中の2年は映画制作に明け暮れるのだといいます。
第3期修了作品は5本制作され、今年6月ユーロスペースで上映されました。
もうご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんね。

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ストーリー
ボクサー志望の田村は認知症の祖母の面倒を見ながら、都会の片隅に暮らしている。
バイトもクビになり、ボクシングだけが心のよりどころという金も希望もない若者だ。
そのボクシングジムでもタチの悪い先輩榎本に抑えつけられる日々を送っている。
ある日、田村の通うジムへ服部という漫画家が現れる。
服部は「イエローキッド」という漫画のモデルとして
かつての同級生で元アマチュアボクシング世界チャンピオンの三国を
取材するためにやってきたのだ。

悪い先輩・榎本は田村に服部の財布を盗ませようとする。
ところが、田村が財布ではなく、漫画の原稿を盗んでしまったことで
榎本にこてんぱんに傷めつけられる。

原稿を盗んだことを服部に詫びる田村。
実は、田村は「イエローキッド」シリーズのファンだったのだ。
それを知り、服部は田村を「イエローキッド」の主役にすることに決める。

田村をヒーローにして漫画を描き始める服部。
そして、田村は…


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眉毛を剃ったお兄さんが怖い。
主人公は性悪な先輩にやられっぱなし。
漫画家はじと~~とした、いかにもオタクな青年。
一見、頼り甲斐のありそうなボクシングジムの会長も的外れ。

暗いトーンや横浜の夜景の中に折々展開するアメリカンコミックスの原色の世界。
「ふ~ん、さすが芸大だね」と若干引き気味に鑑賞しつつ
心中、「ここまでとことん暗い若さってなぁ」と反感をいだいた殿。

しかし、はっと気付きました。
若い時って何もかも絶望的にとらえて、自分で自分を追い詰めていくんじゃなかったっけ。
そういえば、自分もそうだったような。

それが、年齢という図々しさの鎧で身を固め、知恵もついて
だんだん逃げ道もわかるようになっていた自分。

そうだ。こんな映画、昔観たことがあるような。
ATGだ。アート・シアター・ギルドの作品です。
「初恋・地獄篇」(脚本/寺山修司、羽仁進、監督/羽仁進、‘68)とか
「あらかじめ失われた恋人たちよ」(脚本/清水邦夫、田原総一朗、監督/田原総一朗、清水邦夫、'71)とか。f0165567_1434533.jpg
よく理解できないまま、背伸びして観たものでした(と、遠い目をする)。
また、「どうだ。わからんだろう」と挑戦的な映画も多かった時代でしたねぇ。


「イエローキッド」は卒業制作ですが
大きなスクリーンで上映されることを考慮に入れて撮影されました。
観客への視線も忘れてはいないところがいいです。
だからでしょう。
「New Director/New Cinema 2010」の第1回作品に選ばれました。

「New Director/New Cinema 2010 by シネマ・シンジケート」は
その年に公開される、今後の活躍が最も期待される新人監督の作品を
全国の独立系映画館の方々の推薦により選出。
映画館大賞(http://eigakantaisho.com/)を運営するシネマ・シンジケートの
加盟館を中心とした広いネットワークで全国公開していくプロジェクト。

いってみれば「全国書店員が選んだいちばん!売りたい本」みたいなものでしょうか。

映画会社に入って、一から映画づくりを学ぶことは難しい今
こんな風にして若い映画人が育っていくというのはいいことですねぇ。
でも、その前に、観客として、もっともっと映画館に足を運びたいものです。

殿の地元から映画館が消え、隣接の街にあった映画館も最早風前のともしび。
昔から街に密着してあった映画館、どうぞがんばってください。

イエローキッド
監督/真利子哲也、プロデューサー/原尭志、撮影監督/青木穣、漫画製作/大脇勇亮、川崎秀和
出演
遠藤要/田村(ボクサー志望の青年)、岩瀬亮/服部(漫画家)、波岡一喜/三国(元チャンピオン)、町田マリー/麻奈(服部の元恋人)、玉井英棋/榎本(田村の先輩)、三浦力/橋本(田村の先輩)、でんでん/ボクシングジムの会長、小野敦子/澄代(田村の祖母)
2010年1月30日(土)ユーロスペースほか全国順次ロードショー
2009年、日本、106分、配給/ユーロスペース


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by mtonosama | 2009-12-13 06:50 | Comments(9)
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©2010「おとうと」製作委員会

おとうと

こんなしょうもない弟がおったら困りますがな(どうぞ、大阪弁で発音してください)。

とはいえ、しょうもない兄やら姉やら妹やらはどこの家にも1人や2人はいます。
その代表格が寅さん。
そんな寅さんが今度こそ帰ってこられない旅に出てから早や14年経ちました。

不出来な兄貴だからこそ、その不在はこたえます。
というわけで、山田洋次監督が10年ぶりの現代劇としてメガホンをとったのが「おとうと」。

幸田文原作の「おとうと」は今からもう半世紀(!)も前
市川昆監督が映画化しています。
1990年4月30日にもTBSでドラマ化〈主演:斉藤由貴、木村拓哉〉されました。

山田洋次監督は敬愛する市川昆監督へのオマージュをこめて
久々の現代劇に、この「おとうと」を選びました。
くすっと、あるいは、ワハハと笑ったり
めそっと、あるいは、しゃくりあげて泣いたり
山田洋次監督流の人情劇に仕上がりました。

「たそがれ清兵衛」(‘02)
「隠し剣 鬼の爪」(’04)
「武士の一分」(‘06)
「母べえ」(’08)と時代劇が続いた監督。
今回は「十五才 学校Ⅳ」以来の現代劇です。
そして「母べえ」で共演した吉永小百合と笑福亭鶴瓶が再び登場しました。
山田組ならではの豪華な組み合わせではありませんか。

しかし、吉永小百合と鶴瓶が姉弟だなんて。
あまりにも似ていなさすぎます(笑い)。
ですが、ま、そこは映画。大目に見ていただきましょう。
(ちなみに市川昆版「おとうと」は姉を岸惠子、弟を川口浩が演じています。
あの川口浩隊長ですが、若い頃は二枚目だったんです)

ストーリー
東京郊外。平凡な商店街の一角で小さな薬局を営み
女手ひとつで一人娘の小春を育ててきたしっかり者の吟子。
早くに夫を亡くし、義母と娘と三人で暮らしていましたが
明日はその小春の嫁ぐ日。お相手はエリート医師です。

吟子には大阪で勝手きままに暮らす独り者の弟・鉄郎がいます。
鉄郎は吟子の夫の十三回忌で大酒を飲んで暴れて以来、吟子とは音信不通。
鉄郎にあてた結婚招待状も宛先人不明で戻ってきていました。

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式当日、吟子の兄・庄平は支度部屋で花嫁姿の小春を見て、もう涙ぐんでいます。
和やかに、穏やかに、披露宴が始まりました。
と、そこへ
羽織袴の鉄郎が。

一瞬かたまる庄平、吟子。
「酒は飲むな!」と兄・庄平に釘を刺され、鉄郎は宴の席につきますが
酒を目の前にして我慢のできるはずもなく、一気飲みをするは
マイクを独占して浪曲をうなるは、テーブルをひっくりかえすは、披露宴は大荒れ。
吟子と庄平は新郎両親の家まで怒られに行きます。

この鉄郎、子どもの頃から学校でタバコを吸ったり、万引きしたりの問題児。
学校や警察へ頭を下げて迎えに行くのはいつも姉の吟子の役目でした。
「もうあなたのために謝りに行くのはいやよ」と言いながら
今回も大阪までの新幹線代を手渡す吟子。

一方、小春は婚家を飛び出してきました。鉄郎の一件が影響したのは確かでしょう。
再び女三人の静かな日々が始まりました。

ある夏の日、薬局に鉄郎の恋人と名乗る女が現れます。
鉄郎直筆の借用書を見せ
「鉄郎さんと連絡が取れないので少しでいいから返してもらえまへんか」
と頭を下げます。
吟子は薬局改築のために貯めていた貯金をすべてひきだし、女に差し出します。

ほどなく上京してきた鉄郎に絶縁を言い渡す吟子。
しかし、去っていく鉄郎のやつれた姿が心にひっかかるのでした…

披露宴で鉄郎が繰り広げる傍若無人なふるまいに「やばいぞ、これは」と。
「渥美清なら、もっと洒脱に演じただろうなぁ」とないものねだりもしましたが
怒らせたり、笑わせたり、泣かせたり、また、笑わせたり、と
名匠の作品は安心して観ていられます。このわかりきったパターンがうれしい。

うまい脇役たちのお約束のくすぐり的笑わせ。
鶴瓶のできそこないの福笑いのようなあの笑顔とコテコテの大阪弁。
吉永小百合が演じるまじめで上品な吟子さん。
吟子さんが鉄郎につられて、時々話す大阪弁がご愛嬌です。
約束通りの泣かせとくすぐりにホッとする映画。

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作家性の高い映画もいいけれど、伝統芸のようなこういう映画も楽しめる日本っていいな、
と思ったのでありました。

おとうと
監督/山田洋次、脚本/山田洋次、平松恵美子
出演
高野吟子/吉永小百合、丹野哲郎/笑福亭鶴瓶、高野小春/蒼井優、長田亨/加瀬亮、丹野庄平/小林稔侍、高野絹代/加藤治子、丸山/笹野高史、遠藤/森本レオ、小宮山進/小日向文世、小宮山千秋/石田ゆり子
2010年1月30日(土)ロードショー
カラー、2時間6分、制作・配給/松竹株式会社
www.ototo-movie.jp

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by mtonosama | 2009-12-08 05:04 | Comments(16)
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                 (C)2008 GK Films,LLC All Rights Reserved
ヴィクトリア女王 世紀の愛
THE YOUNG VICTORIA

ヴィクトリア女王といえば、恰幅の良いおばあさんの姿が
世界史の教科書などでおなじみです。

彼女の治世ヴィクトリア朝時代(1837~1901)は
産業革命を終えたイギリスが政治、経済、文化において
他国に先駆け、黄金期を迎えた時代であります。

ディズニーアニメ「不思議の国のアリス」に出てくるトランプの女王に似ている
このヴィクトリア女王にも若い時代があったし、恋に身を焦がしたときもありました。
そうそう、トランプの女王といえば
「不思議の国のアリス」の作者ルイス・キャロルもこの時代に活躍した人ですね。

「ヴィクトリア女王 世紀の愛」はこれまで描かれたことのなかったヴィクトリア女王の娘時代の恋と
新婚時代、そして、女王としてのお仕事に目覚めるまでの日々を描いた映画。
華やかな時代の王室ファッションも素敵ですし
当試写室看板娘の髪型と同じ髪に結ったヴィクトリア王女もかわいいです。

ストーリー
王女ヴィクトリア。彼女は英国国王ウィリアムの姪であり、王位継承者です。
成人前のヴィクトリアが女王になれば、その後ろ盾として権力を握ることができるため
ヴィクトリアは権力志向の人々の間で翻弄されました。
その一人がジョン・コンロイです。
彼はヴィクトリアの実母ケント公爵夫人の個人秘書なのですが
ケント公爵亡き後は夫人と深い関係にあった人物。
コンロイは夫人を操り、ヴィクトリアに摂政政治を認めさせようと画策していました。
一方、ヴィクトリアを利用しようとするものは他にも。
ヴィクトリアの叔父・ベルギー国王のレオポルドも甥のアルバートを
ドイツから呼び寄せ、彼女のもとへ送りこみました。
次期女王の夫の座を得るためです。

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レオポルドの思惑通り、ヴィクトリアとアルバートは互いに好印象を持ちました。
しかし、情熱的なアルバートは叔父の野望よりも自分の心に忠実になることを選びます。
ヴィクトリアと同じく両親の愛を知らずに育ったアルバートは
彼女を利用するのではなく、愛し、支えることを心に誓ったのでした。
ドイツに帰国し、ヴィクトリアからの手紙を待つアルバート。

1837年、国王ウィリアムが逝去。
ヴィクトリアは母と決別し、女王に即位しました。
ヴィクトリア女王の誕生です。その歳18歳。
時の首相メルボルン卿に頼り切る女王でした。

やがて迎える戴冠式。
アルバートと再会したヴィクトリアは楽しいひとときを過ごします。
しかし、彼がいかにヴィクトリアを深く愛していても
女王である彼女に求婚することは許されません。
プロポーズは女王からするものなのです。
女王になってようやく母親から自立できた彼女にはまだまだ結婚をする気など
ありませんでした。

ところが、即位後、政権交代で、頼りにしていたメルボルン卿が失脚します。
新首相ピールはメルボルン一派で固めた女官の交代を迫りますが
ヴィクトリアはそれを拒否。
新聞はこぞって「憲法の危機」「女王が首相を無視」と書きたてます。
初めての危機に直面したヴィクトリアは自分が必要とする人に気づいたのでした…


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歴史映画は結果がわかっているから安心です。
とはいえ、ヴィクトリア朝時代は英国が近代化に進み始めた激動の時代でした。
産業革命の結果、貧富の差は拡大し
土地を失った農民たちが大挙して都市に流れ込み始めた時代です。

女王になれば、めでたし、めでたし、というわけにはいきません。
トーリー党、ホイッグ党といった政党政治の芽生えた時代。
女王様も議会を無視しては存在できません。
近代に生きた女王は有能かつバランスのとれた社会人でなければならなかったに違いありません。

でも、王室とか皇室とか、結構気になりますよね。なぜなんでしょう。
この映画、そんな王室ファンならずともちょっと気になる情報があります。
現エリザベス女王の次男アンドリュー王子の娘ヨーク公爵嬢ベアトリス王女が
ヴィクトリア女王の戴冠式のシーンに女官として出演しているんです。
彼女は王位継承権第5位の王女様。
英国王室史上初めて映画に出演した王族になりました。

ヴィクトリアとアルバートのロイヤルラブを楽しんで、
英国贔屓になったミーハーな殿は最近アフタヌーンティなど楽しんでおります。

ヴィクトリア女王 世紀の愛
監督/ジャン=マルク・ヴァレ、製作/マーティン・スコセッシ、セーラ・ファーガソン、脚本/ジュリア・フェロウズ、衣装/サンディ・パウエル
出演
エミリー・ブラント/ヴィクトリア女王、ルバート・フレンド/アルバート公、ポール・ベタニー/メルバーン公、ミランダ・リチャードソン/ケント公爵夫人、ウィリアム王/ジム・ブロードベント
12月26日、Bunkamuraル・シネマ、TOHOシネマズシャンテにてロードショー
2009年、102分、イギリス・アメリカ合作、配給:ギャガGAGA
http://victoria.gaga.ne.jp/

お知らせ
「愛のヴィクトリアンジュエリー展」
Bunkamuraザ・ミュージアム
2010年1月2日(土)~2月21日(日)/開催期間中無休
10:00~19:00(入館は18:30まで)、夜間開館/毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
入館料:一般1400円、大学・高校生1000円、中・小学生700円


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by mtonosama | 2009-12-04 06:29 | Comments(15)