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映画で観る戦争(ベトナム)の真実 -1-

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ハーツ・アンド・マインズ
ベトナム戦争の真実
〈デジタル修復バージョン〉
Hearts and Minds

ウィンター・ソルジャー
ベトナム帰還兵の告白
Winter Soldier

ベトナムから何を連想しますか?と訊いたら、
アジアとヨーロッパが混ざり合う国、花とフルーツとジャングル、
可愛い雑貨…
そんなふうに連想なさる世代が多くなっているでしょうね。

穏やかで、頭の良い人々が住み、経済発展を遂げる東南アジアのこの国で
昔、激しい戦争があったと思い浮かべる人は今どのくらいいるのでしょうか。

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私事になりますが、それも、もう10年も前のことになりますが、
1冊の本を書きました。
「わが夫、還らず――ベトナム戦争に消えたジャーナリストの妻たちの30年」
という長いタイトルの本です。
本の帯には「3年B組金八先生」等の脚本家・小山内美江子さんが
次のように書いてくださいました。

1970年にベトナム戦争とそれに巻き込まれたカンボジア。毎年、学生らと共にこの地にボランティア活動に行く私たちは、当時の悲劇と混乱を知り、その後を生き抜いてきた人々の悲しみと苦難の道を想う。
この戦争では多くのジャーナリストも命を落とした。本書は暖かい家庭を奪われた日本人ジャーナリスの、“妻たちの再出発”にあったさまざまなドラマを伝え残そうとしている。

ベトナム戦争は自由な取材が許された戦争でした。
(その自由取材が米政府にとっては命取りになったわけで、
後の戦争はいわば大本営発表みたいな形になってしまいましたが)

世界中から多くのジャーナリストが戦火のベトナムに押し寄せました。
最終的に、彼らの命を賭けた報道が、ベトナムで起きていることを
全世界に知らせることとなり、世界中でベトナム戦争反対の声が高まりました。
そして、泥沼化したベトナム戦争の終結を促すことにもなったわけです。

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今回、日本初公開となる「ハーツ・アンド・マインズ/ベトナム戦争の真実」(‘74)と
「ウィンター・ソルジャー/ベトナム帰還兵の告白」(’72)。
前者は第47回アカデミー賞®最優秀長編ドキュメンタリー映画賞を、
後者は第22回ベルリン国際映画祭フォーラム部門インターフィルム賞を、
受賞したドキュメンタリー作品です。

「ハーツ・アンド・マインズ」はベトナム戦争を客観的に捉え、
戦争の原因、歴史、悲劇、そして無意味さを描き、
「ウィンター・ソルジャー」は祖国アメリカのためと信じ、その戦争は正義であると疑いもせず戦った
ベトナム帰還兵たちの証言を撮影し、
戦場での狂気とベトナム人への蔑視をえぐり出したドキュメンタリー作品です。

この映画は、その後、数多く作られたベトナム戦争映画(たとえば、「ディア・ハンター」(‘78)、
「地獄の黙示録」(’79)、「プラトーン」(‘86)など)に大きな影響を与え、
さらに、後進のドキュメンタリー映画作家のテキストにもなった金字塔ともいえる作品です。

2010年の今、40年近く前の作品でありながら、日本初公開なのであります。
その理由とは、いったい――

ベトナム戦争終結の後、戦争は起きていないのでしょうか。
いいえ、ですよね。うんざりするほどです。

そして、それらはべトナム戦争の時代ほど、報道されていません。
もちろん、you tubeなどではとんでもない画像が見られることでしょうが。
でも、70年代の反戦運動の高まりはなく、多くの市民や兵士が虚しく死んでいきます。

ジャーナリズムが、映画が、市民の運動に直結した70年代ですが、
この映画は「70年代は良い時代だったなぁ」と
当時を懐かしむ映画ではありません。

そうです、ベトナムへは沖縄の米軍基地からも戦闘機が飛び立っていったのでした。

と、オチのないまま、次回は両作品の紹介です。

To be continued.

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ハーツ・アンド・マインズ
監督/ピーター・デイヴィス、製作/バート・シュナイダー、ピーター・デイヴィス、撮影/リチャ―ド・ピアース、編集/リンジ―・クリングマン、スーザン・マーティン、製作補/トム・コーエン、リチャード・ピアース、リサーチ/ブレナン・ジョーンズ、録音/トム・コーエン
出演
ジョルジュ・ビドー(元フランス外相)、ジョン・フォスター・ダレス(元米国国務長官)、クラーク・クリフォード(元トルーマン大統領補佐官)、ウォルト・ロストウ(元米国大統領補佐官)、ランディ・フロイド・ノーマン(元米軍大尉)、J.W.フルブライト(元外交委員長)、ロバート・ミュラー(元米軍中尉)、スタン・フォルダー(元米軍伍長)、ジョセフ・マッカーシー(元上院議員)、ウィリアム・ウェストモーランド大将(ベトナム派遣軍司令官)、ダニエル・エルズバーグ(元国防省顧問、ランド研究所)、チャン・ティン神父、ジェム・チャウ(トリンベイ誌編集者)、ジョー・トレンデル(元米軍三等軍曹)、バートン・オズボーン(元CIA情報将校)、エドワード・サウダース(米軍脱走兵)、ジョージ・パットン3世(元米軍大佐)、ウィリアム・マーシャル(元米軍三等軍曹)、グエン・ゴク・リン(複合企業社長)、ロバート・ケネディ(元上院議員)、ユージン・マッカーシー(元上院議員)、グエン・カーン将軍(元南ベトナム大統領)、ゴ・ディン・ジェム(元南ベトナム大統領)、ゴ・バ・ダン(元政治犯)、マクスウェル・ディラー大将(元南ベトナム大使)、ボブ・ホープ、リンドン・ジョンソン(元米国大統領)、J.F.ケネディ(元米国大統領)、リチャード・ニクソン(元米国大統領)、ロナルド・レーガン(元米国大統領)etc
6月19日(土)~7月16日(金)東京都写真美術館ホールにて同時公開
BBSプロダクション製作ハワード・ザッカー、へンリー・ジャグロム・レインボー・ピクチャーズ提供、1974年アメリカ映画、112分、カラー
公式HP www.eigademiru.com

ウィンター・ソルジャー
“ウィンターフィルム・コレクティブ“
フレッド・アロノウ/製作・撮影、ナンシー・ベイカー/製作・編集、レッタ・バロン/製作・編集、ロバート・フィオーレ/製作・撮影、デヴィッド・ギリス/製作・撮影、デヴィッド・グルービン/製作・撮影、ジェフ・ホルステイン/製作・撮影、バーバラ・ジャーヴィス/製作・編集、アルギス・カウバス/製作・録音、バーバラ・コップル/製作・録音、マイケル・レザー/製作・撮影、ナンシー・ミラー/製作・録音、リー・オズボーン/製作・録音、ルーシー・マシーフェニックス/製作・編集、ロジャー・フェニックス/製作・録音、ベナイ・ルービンスタイン/製作・編集、マイケル・ウェイル/製作・編集
出演
ラスティ・サックス/第1海兵航空団、ジョセフ・バンガート/第1海兵航空団、スコット・シマブクロ/第3海兵師団、ケネス・キャンベル/第1海兵師団、スコット・カミル/第1海兵師団、ジョン・ケリー/海軍沿岸文体11&13(現民主党の政治家、上院外交委員会委員長、スティーブ・ビトキン/第9歩兵師団、ジョナサン・バーチ/第3海兵師団、チャールズ・スティーブンス/第101空挺師団、フレッド・ニエンケ/第1海兵師団、デヴィッド・ビショップ/第1海兵師団、ナイサン・ホール/アメリカル師団、マイケル・ハンター/第1歩兵師団、マーフィ・ロイド/第173空挺師団、カール・リップバーガー/第9歩兵師団、エヴァン・ハンニー/米海軍支援部隊、ロバート・クラーク/第3海兵師団、ゴードン・スチュワート/第3海兵師団、カーティス・ウィンドグロッドスカイ/アメリカル師団、ゲイリー・キース/アメリカル師団、アラン・アカーズ/第3海兵師団、ウィリアム・ハットン/第3海兵師団、ジョセフ・ガルバリー/アメリカル師団、エドモンド・マーフィー/アメリカル師団、ジェイムズ・ダフィー/第1空挺部隊、スコット・ムーア/第9歩兵師団、マーク・レニックス/第9歩兵師団、トーマス・ヘイドマン/第1海兵師団、デニス・カルドウェル/第1航空旅団、ジェームズ・ヘンリー/第3海兵師団
6月19日(土)~7月16日(金)東京都写真美術館ホールにて同時公開
ミリァリウム・セロ&ウィンターフィルム提供、製作協力/戦争に反対するベトナム帰還兵の会、1972年アメリカ映画、95分
公式HP www.eigademiru.com

by mtonosama | 2010-05-06 05:05 | Comments(6)
パリ20区、
僕たちのクラス
   -2-
Entre les murs

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                 © Haut et Court – France 2 Cinéma

学校を舞台にした映画って、どこか嘘っぽいものが多くないですか?
先生は生徒と一緒に熱く燃え、
子供たちは純真無垢でスポーツに青春をかける。

「先生、そんなに燃えていると暑苦しいです」
「スポーツが苦手な生徒たちだって多いです」

嘘っぽいと知っていながら、学校モノって、妙に魅かれるのは
やはり、多くの人にとっての共通体験だからでしょうか。

さて、フランスの学校は、どうでしょう。

ストーリー
フランソワーズ・ドルト中学校の新学期。
始業ベルが鳴って15分経ちましたが、誰も着席しないし、帽子はかぶったまま。
フランソワ先生が言い間違いをすると、
鬼の首でもとったように楽しげに指摘する生徒たち―――
この中学に来て4年目を迎える国語教師フランソワ先生の新学年が始まりました。

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この学校には様々な出身国の生徒たちがいます。
フランソワ先生は24人の生徒たちに正しく美しいフランス語を教えたい国語教師。
でも、生徒たちは
「おばあちゃんだって、そんな話し方しない」
「中世の話し方だ」
と逆らいます。

フランソワ先生は生徒たちに自己紹介文を書くように、という課題を出しました。
すると
「私たちの人生なんておもしろくありません」
「13歳の私たちに語ることなんかありません」
「学校に来て、帰って、食べて、寝るだけです」――-

「はい、クンバ、次を読んで」
「読みません」
は?教科書の朗読を拒否?
クンバは去年もフランソワ先生の受け持ちで、従順な生徒だったはずです。
授業後、「夏休みに何かあったのか?」と問うフランソワ先生に何も答えず、
反抗的な態度を崩さないクンバ。

彼女の自己紹介文には「先生とはもう話しません」とだけありました。
反抗的なスレイマンも「僕のことは僕にしかわかりません」とただ一言。
しかし、いつもふざけてばかりいるエスメラルダが「警察官になりたい」と、
成績優秀な中国人のウェイはうまく人と話せない悩みを正直に書いていました。

スレイマンは自己紹介文の書き直しを命じられます。
実は書くことが苦手なスレイマン。
自己紹介文の代わりに家族や友人の写真を持ってきて発表します。
フランソワ先生は「素晴らしい!」と賞讃。
最初はからかわれていると思っていたスレイマンも笑顔に変わっていきます。
しかし…

フランソワ先生は特に熱血漢というわけでもない普通の先生です。
この映画は、
ワルのスレイマンが先生と心を通わせて良い子になる、という話でもなければ、
反抗的なクンバが先生と仲直りして、めでたしめでたしという話でもありません。

良い子、悪い子、普通の子と枠にはめることもなく
24通りの13歳の学校生活や心の成長が描かれています。
そして、先生たちの「もう教えられない」と頭を抱えて悩む姿も。
「壁の内で」という原題のように、
教室という壁の中で悩み、学ぶ13歳の姿が生き生きとしていて、魅きつけられます。
みんなすごい演技力です!

映画の中で
「君たちの言葉が年長者に対する言葉としてふさわしくないから注意しているんだ」
という先生の言葉がとても心に残りました。

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いまどきの子どもたちに迎合するのでなく、
だからといって、教師として強権的な態度で生徒に臨むのではない―――
成熟したものを感じます。
大人は年長者として、若い人たちに伝えるべきことは伝えなくてはならないんですよね。
当たり前のことなのに、目からうろこが音を立ててはがれおちました。
さすがフランス!自由と平等と博愛の国です。

身体は大きくても、まだまだ迷い、悩む13歳。
こんなふうにビシッと言ってくれる年長者がいる、
そして、それが毎日接する教師であるということはとても幸せなことですね。
彼らもきっと素晴らしい大人になっていくのでしょう。

この映画が嘘っぽくないのは、
フランソワ先生の教師体験が生きているからだし、
24人の生徒たちがキャラクターをきちんと飲みこんで演技しているからだと思います。

いいなぁ、やっぱり学校ものは。

パリ20区、僕たちのクラス
監督/ローラン・カンテ、脚本/ローラン・カンテ、フランソワ・べゴドー(「教室へ」早川書房)、ロバン・カンピヨ、撮影監督/ピエール・ミロン、製作/キャロル・スコッタ、キャロリーヌ・ベンジョ、バルバラ・ルテリエ、シモン・アルナル、編集/ロバン・カンピヨ、音響/オリヴィエ・モヴザン、アニュス・ラヴェズ、ジャン=ピエール・ラフォルス、衣装/マリー・ル・ガレック、制作担当・助監督/ミシェル・デュポア、ホストプロダクション/クリスティナ・クラサリス
出演
フランソワ・ベゴドー/フランソワ先生
ナシム・アムラブ/ナシム、ローラ・バケラー/ローラ、シェリフ・ブナイジャ・ラシェディ/シェリフ、ジュリエット・デマーユ、ダラ・ドゥコワ―ル/ダラ、アルチュール・フォレジュ/アルチュール、ダミアン・ゴメズ/ダミアン、ルイーズ・グランベール/ルイーズ、チーフェイ・ホァン/チーフェイ、ウェイ・ホァン/ウェイ、フランク・ケイタ/スレイマン、アンリエット・カサルアンダ、リュシー・ランドロヴィー/リュシー、アガム・マレンボ・エメネ/アガム、ラバ・ナイト・ウフェラ/ラバ、カルル・ナノール/カルル、エスメラルダ・ウェルタニ/エスメラルダ、ビュラク・オジルマズ/ビュラク、エヴァ・パラディゾ/エヴァ、ラシェル・レグリエ/クンバ、アンジェリカ・サンシオ/アンジェリカ、サマンタ・スピロ/サマンタ、ブバカール・トゥレ、ブバカール、ジュスティーヌ・ウー/ジュスティーヌ
ジャン=ミシェール・シモネ/校長、アンヌ・ラングロワ/ソフィー先生、ジュリー・アテノール/教育指導主宰CPE
6月12日(土)より岩波ホール他全国順次ロードショー
2008年、フランス映画、128分、配給:東京テアトル
http://class.eiga.com/


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by mtonosama | 2010-05-03 05:39 | 映画 | Comments(10)