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殿様の試写室

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<   2011年 05月 ( 10 )   > この月の画像一覧

         BIUTIFUL  ビューティフル  -2-

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©2009 MENAGE ATROZ S. de R.L. de C.V., MOD PRODUCCIONES, S.L. and IKIRU FILMS S.L.

     アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督の「21グラム」も「バベル」もアメリカが舞台でしたが、
            「BIUTIFUL」はスペイン・バルセロナが舞台。言葉もスペイン語です。

             やはり母国語で演技するハビエルを観ないことには始まりません。
         ま、とのはスペイン語にしても、英語にしても、わかるわけではありませんけどね。

          しかし、バルセロナという街はすごい!ずいぶんいろんな顔を持った街です。
            「それでも恋するバルセロナ」がバルセロナの表の顔だとしたら、
                   「BIUTIFUL」はバルセロナの裏の顔です。

   「BIUTIFUL」にはサグラダ・ファミリアとかグエル公園とかいった観光名所はいっさい登場しません。
          貧しい裏道に出没する移民やあやしげな人々。そして、ストリップ小屋。
                煙草の煙に、アルコールや吐しゃ物のにおい―――

              観光旅行じゃ、絶対に行かないし、見ることもないバルセロナ。
          そして、今、ある意味、どこの都会の片隅でも見られる光景かもしれません。
               しかし、誰も見せようとしないし、覗きこもうともしない世界。
               「BIUTIFUL」はそんな世界で生き、死んでいく男の物語です。

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ストーリー
冬の林の中、男が去っていきます。
見つめるウスバル。

彼には父親の記憶がありません。
幼い頃、父はフランコ政権の圧政を逃れて海外に移り住み、それっきりになってしまいました。
母ともそれから間もなく死別しました。

スペイン・バルセロナ。
まともな仕事にも就けず、不法滞在するアジアやアフリカからの移民たち。
そうした移民たちを搾取しながら生きる人々。
それでも、これが彼らの生活であり、皆、精一杯生きています。

妻と別れ、2人の子どもたちと暮らすウスバルでしたが、
彼もまたそんな生活者のなかの一人。

両親の死後、ウスバルは兄のティトと非合法な世界に生きるようになっていました。
しかし、彼は子どもたちとの時間を心から大切にする良い父親です。
「ねえ、パパ。『美しい』(ビューティフル)のスペルは?」
「発音のままだよ。b i u t i f u l 」

ある日、ウスバルは思いもよらない宣告を受けます。
検査を受けた病院の医師から、末期の前立腺ガンであることを告げられたのです。
余命は2ヶ月でした。

「俺は死なない。子どもたちを残しては死ねない」
死の不安につきまとわれながら、ウスバルは必死に子ども達のために働きます。
薬物依存から更生しようとしている別れた妻マランブラと向き合い、
以前の家族に戻ろうと努めもしました。
母が戻ってきたことを喜ぶ子どもたち。
残されたわずかな時間。少しでも多くのお金を子どもたちに残すことがウスバルの最後の仕事でした。

そんな折、不法労働の中国人労働者達がウスバルの買い与えた安物のストーブから出た一酸化炭素の中毒で全員死んでしまいました。
寒い工場での生活を少しでも暖かく過ごせるようにという好意、
しかし、子どもたちにお金を残してやりたいという切実な願い、
2つの思いの狭間で起きた悲劇でした……


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                           嗚呼、そして感動のラスト。
   イニャリトゥ監督の作品のラストにはいつも胸がしめつけられるようなしみじみとしたシーンがあります。
           今回も期待通りでした。いえ、期待をはるかに超えていたかもしれません。

             いつも、というなら、彼の作品にはいつもいろんな登場人物がいて、
                  いつもそれぞれの人にそれぞれのドラマがあります。
                 そうです、そうです。芥川龍之介の「藪の中」みたいに。
                ところが、今回は最初から最後まで一貫してウスバルが登場。
                     ウスバルのドラマが映画の中心を貫いています。

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                               監督自身も
  「登場人物の心理描写に焦点を当てた直線的な物語という、私がこれまでに作ったことがない映画になった
      と語っています。(あ、あと黒沢明監督の「生きる」にオマージュを捧げたとも語っています)

             しかし、今回もやはりいつも通り、愛すべきさまざまな人物が登場します。
      彼らの表だったドラマこそありませんが、中国人労働者が、あるいは、アフリカからの難民が
            背後に抱えたドラマも、じわりとそれこそ背後霊のように浮かび上がります。

                        イニャリトゥ監督おそるべし。鬼才です。
                そして、もちろん、ハビエル・バルデム。彼の名は後世に残ります。
                            ちょっと熱くなり過ぎかナ?

                                   
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BIUTIFUL ビューティフル
監督/アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、脚本/アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、アルマンド・ボー、ニコラス・ヒアコポーネ、自叙伝/アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、プロデューサー/アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、ジョン・キリク、フェルナンド・ボバイラ、撮影/ロドリゴ・プリエト
出演
ハビエル・バルデム/ウスバル、マリセル・アルバレス/マラムブラ、エドゥアルド・フェルナンデス/ティト、ディアリアトゥ・ダフ/イへ、チェイク・ナディアイエ/エクウェメ、チェン・ツアイシェン/ハイ、ルオ・チン/リウェイ、ハナ・ボウチャイブ/アナ、ギレルモ・エストレラ/マテオ
6月25日(土)より、TOHOシネマズ シャンテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
スペイン・メキシコ合作、スペイン語、148分、ビスタサイズ/PG-12
配給/ファントム・フィルム
http://biutiful.jp/

by mtonosama | 2011-05-29 06:38 | 映画 | Comments(7)
          BIUTIFUL  ビューティフル -1-

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©2009 MENAGE ATROZ S. de R.L. de C.V., MOD PRODUCCIONES, S.L. and IKIRU FILMS S.L.

               あれっ?「ビューティフル」のスペルってこうでしたっけ?
                     もちろん、正しくはbeautifulですよね。

           なんでまた間違ったスペルが堂々とオリジナルタイトルになっているか、
そして、いつも意訳に満ちた邦字タイトルを考える方々がなぜ原題BIUTIFULをそのまま邦題にしたか―――

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       ま、これは映画を観ている内に「あ、なるほど」と案外早い段階でストンと納得できます。
      そうでないと、まじめな我ら日本の映画ファンはずっと、ここにひっかかってしまいますから。

                            て、そうじゃなく、

                       実は、この “biutiful”をめぐるやりとり、
               ハビエル・バルデムが演じる主人公ウスバルの父親としての側面を
                   ほのぼのと垣間見せるシーンともなっているんですよね。

                           ハビエル・バルデム
              当試写室ではおなじみの俳優ですが、観る度に彼の存在感には圧倒されます。
           「演技力がすばらしい!」などと軽々しく、ありふれた言葉では表現しきれない俳優です。

                     演技ということが、ある人物を表すことだとしたら、
             いったい、ハビエル・バルデムの中には何人の人間が隠れているのでしょうか。
                  あるいは、演じるべき人間が彼に憑依してしまうのでしょうか。
                            ハビエル・バルデム。
                   ある種、シャーマンのような人間か、とも思ってしまいます。

                            ハビエル・バルデムには、
スペイン人として初のアカデミー賞を受賞した「ノーカントリー」(‘08)の殺人鬼役で散々怖がらせてもらいました。
               だから、彼の出る映画はちょっと警戒するようになっていたとのです。

                「宮廷画家ゴヤは見た」http://mtonosama.exblog.jp/8956592
                「コレラの時代の愛」http://mtonosama.exblog.jp/8720721
                「それでも恋するバルセロナ」http://mtonosama.exblog.jp/11353830

              しかし、観るたびに彼の凄さには仰天させられ、好きになっていきます。
                     怖い、怖いも好きの内です。あれ?違ったか。

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                 「BIUTIFUL」は、怪優…、いや名優、ハビエル・バルデムが、
    長年、一緒に仕事をすることを熱望していたアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督のもとで、
                        ようやく演ずることができた映画。

アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ――ああ、言いにくい――は
長編デビュー作「アモーレス・ペロス」(‘99)でアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた他、
60以上の賞を受賞した監督です。
デビュー作でありながら、この年、最も多く賞をとるという快挙をなしとげた人物。
1963年メキシコ生まれの48歳です。
その後、原案・監督・製作を担当した「21グラム」(‘03)では主演のショーン・ペンが
ヴェネチア国際映画祭男優賞を受賞。
この作品でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたベニチオ・デル・トロも印象的でしたね。
さらに、役所広司、菊池凛子が出演して話題を呼んだ「バベル」(‘06)では
第59回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞。話題作続出の監督です。
「BIUTIFUL」は監督自身「父に捧げる作品」と語るように、
監督にとっても思い入れの深い作品となっています。


                      そして、ハビエル・バルデムの迫真の演技――

                    これは見逃せませんよ。さあ、どんなお話でしょうか。
                            乞うご期待であります。

                                   

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BIUTIFUL ビューティフル
監督/アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、脚本/アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、アルマンド・ボー、ニコラス・ヒアコポーネ、自叙伝/アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、プロデューサー/アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、ジョン・キリク、フェルナンド・ボバイラ、撮影/ロドリゴ・プリエト
出演
ハビエル・バルデム/ウスバル、マリセル・アルバレス/マラムブラ、エドゥアルド・フェルナンデス/ティト、ディアリアトゥ・ダフ/イへ、チェイク・ナディアイエ/エクウェメ、チェン・ツアイシェン/ハイ、ルオ・チン/リウェイ、ハナ・ボウチャイブ/アナ、ギレルモ・エストレラ/マテオ
6月25日(土)より、TOHOシネマズ シャンテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国ロードショー
スペイン・メキシコ合作、スペイン語、148分、ビスタサイズ/PG-12
配給/ファントム・フィルム
http://biutiful.jp/

by mtonosama | 2011-05-26 05:55 | 映画 | Comments(8)
                    127時間 -2-
                         127Hours

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                     ©2010TWENTIETH CENTURY FOX

                         さすがダニー・ボイル監督!
       「スラムドッグ&ミリオネア」で見せてくれたあのスピード感を新作でも披露してくれました。

                         深夜、アラームブザーが響き、
       主人公は冷蔵庫を開けて水を取り出し、食料をかき集め、ロープやカラビナをまとめ、
                     棚を手探りしてナイフをリュックに放り込みます。
                         母親からの留守電はシカト。
                        家を出て、車のエンジンを始動。
             まだ暗いハイウェーをひたすら飛ばし、ブルー・ジョン・キャニオンに到着。
                                仮眠。
                 そして、目覚めとともにマウンテンバイクを駆って渓谷へ。

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                   もう、息をもつかせないアップテンポな展開。
               やっぱり、このスピード感はダニー・ボイル監督の醍醐味です。

                  でも、この素早さが、その後に訪れる127時間を
              より長いものに感じさせる見事な導入部になっているのですけどね。

ストーリー
2003年4月25日、金曜日の夜
アーロン・ラルストンはいつものように誰にも行き先を告げず、出発します。
今回の目的地はブルー・ジョン・キャニオン。

4月26日、土曜日
白々と明け始めたブルー・ジョン・キャニオンの朝。
アーロンは車からマウンテンバイクを降ろし、ビッグ・ドロップへ向かいます。
かつて何度も訪れているこの渓谷をアーロンは近所の路地よりも知り抜いています。
道に迷った2人の女性を洞窟の秘密の入口へ案内することなどお手のもの。
岩と岩の間の狭い隙間から真下に拡がる泉にダイブし、楽しい時間を過ごす3人。
感激した彼女たちから、別れ際、翌日のパーティに招待されます。

彼女たちと別れた後も、軽々と岩を登り続けるアーロン。

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が、

それは突然起こりました。
岩が崩れ、落石もろとも、アーロンは狭いクレバスを滑落。
そして、岩は彼の右腕を咥えこみ、びくともしなくなってしまったのです。
大声を出しても、もちろん誰も来ません。
呼吸を整え、ナイフで岩を削り始めます。しかし、鈍くて役に立たないナイフ。

4月27日、日曜日
動けなくなってから24時間経ちました。
リュックからビデオカメラを取り出し、記録を残そうとするアーロン
乏しい食糧、ペットボトルに僅かしか残っていない水。
最悪です。

4月28日、月曜日
アーロンは考えます。
クライミングロープで岩を吊り上げたらどうだろう。
しかし、ロープは伸びやすく、固定もできない。ふーっ。
夜の寒さに震え、豪雨に襲われる中、ふと思いつき、ナイフで腕を切りつけてみますが、
やはり役立たずのなまくらナイフでした。
3日目に入っています。時々意識が朦朧とします。
両親や友人や恋人の幻覚が現れます。
愛してはいたけれど、今まで心を開きはしなかった人たちの幻覚が。

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4月29日、火曜日
朝7時。
救助隊でボランティアをしているアーロンは遭難者の命の限界を知りぬいています。
迫りくる死の前で、初めて自分の人生と向き合いました。
なんて傲慢で自分勝手だったんだろう。
約束しながら、妹の結婚式にも出席しなかった。

後悔に引き裂かれそうになりながら、アーロンに湧きあがる生きることへの渇望。
このまま死ぬことなんかできない。生きなくては。

4月30日、水曜日
そして、アーロンは決断します……


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       一日のほとんどが影になった狭いクレバスへ、毎朝几帳面に朝の太陽が光を投げかけます。
            それは、優しく刷毛で撫でるようにアーロンの上を通っていきます。

        クレバスの狭間という限られた空間で、登場するのは、幻覚以外はアーロンただ一人。
                  身動きできない状況では永遠に思える127時間。

                 ひとり舞台ともいえるスクリーンの中で、救いでもあり、
               同時に、救いのない時間の経過を知らせる太陽光線の一閃。

                         うまいよなぁ。鮮烈だよなぁ。

           「127時間」はアーロンの決断の結果ばかりが話題になっているようですが、
              こんな陽射しの扱いにこそ、映画作法の根源を観る気がします。
            一瞬の陽射しの移ろいに、希望と絶望を同時に映し出す手腕には脱帽。

                   「生きる」ということ、勇気というもの、「愛する」という心。
           この映画が教えてくれることはいろいろあるけれど、太陽は明日ものぼるということを
                     こんなにはっきりと示してくれる映画って良いです。

しかし、こんな怖い目に遭いながら、まだロック・クライミングを続けているアーロンというのも実に凄い人です。

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127時間
監督/ダニー・ボイル、脚本/ダニー・ボイル&サイモン・ビューフォイ、原作/「127時間」(アーロン・ロルストン著、小学館文庫)、製作/クリスチャン・コルソン、ダニー・ボイル、ジョン・スミッソン、撮影監督/アンソニー・ドッド・マントル、エンリケ・シャディアック
出演
ジェームス・フランコ/アーロン・ロルストン、アンバー・タンブリン/ミーガン、ケイト・マーラ/クリスティ、クレマンス・ポエジー/ラナ、ケイト・バートン/アーロンの母、リジー・キャプラン/ソニア
6月18日(土)TOHOシネマズ シャンテ、シネクイント他全国ロードショー
アメリカ・イギリス合作、94分、共同配給/20世紀フォックス×ギャガ
http://127movie.gaga.ne.jp/

by mtonosama | 2011-05-23 05:56 | 映画 | Comments(8)
                      127時間 -1-
                           127Hours

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                     ©2010TWENTIETH CENTURY FOX

                 「スラムドッグ&ミリオネア」(‘08)をご覧になりましたか?
         アップテンポな展開と元気な子ども達の活躍で楽しませてもらった映画でしたよね。
                            ムンバイの大群衆、
             主人公がインチキガイドとしてタ―ジマハールでウソ八百を並べ立てるシーン、 
                          インドの大地を爆走する列車―――
             今も思い出すと身体が縦揺れしてしまうほど、興奮した映画でした。

          さて、そんなアカデミー賞8部門に輝いた「スラムドッグ&ミリオネア」の監督
                 ダニー・ボイルの最新作が「127時間」です。

           2003年4月、27歳のアーロン・ラルストンがロック・クライミングを楽しむため、
             訪れたユタ州のブルー・ジョン・キャニオンでとんでもない事態に遭遇。            
           そして、その不運なできごとから127時間を経て無事、生還を果たした―――

                             そうなんです。
                            これは実話です。

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ア―ロン・ラルストン
1975年10月27日、アメリカ中西部で中産階級の家庭に生まれました。
12歳の時、コロラド州に転居し、ロッキー山脈でスキー、ハイキングなどに熱中。
1997年カーネギーメロン大学機械工学、フランス語学部卒業。全米の成績優秀な学生が
つくる学生友愛会φβκ(ファイベータカッパ)の終身会員に選ばれます。
その後、インテルに就職。
1998年から2001年にかけ、コロラド・クアンダリーピークなど全米の高峰に挑戦、
アルバカーキ山岳救助隊に参加。
2002年、インテル退社。
コロラド州アスペンのスポーツ用品店に勤務しながら、アウトドアに専念。

2003年4月、ユタ州のブルー・ジョン・キャニオンでキャニオニアリング(峡谷探索)中、
事故に遭遇し、127時間後にみずから脱出。
救出直後から世界中の新聞・テレビで報じられ、同年7月にはテレビにも出演。
現在も登山家として活動しながら、講演・執筆にも忙しい日々を送っています。

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                          本人もハンサムですよね。

              本作の製作には、彼自身深く関わり、現場には何度も足を運び、
                  プリプロ(撮影前の作業)や脚本にも携わりました。
       アーロン・ラルストン役を演じたジェームス・フランコの役作りや撮影監督にも協力。
         映画の中には、アーロン自身が撮影したビデオの再現シーンもありますから、
          アーロンがこの映画に果たした役割は原作者として以上のものでしょう。

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さての状況で127時間(約6日間)闘い抜いたアーロンです。「スラムドッグ&ミリオネア」では、あの大群衆、そして、スピーディな時間展開で目をひきました。
しかし、「127時間」ではこのように一人ぼっち、そして、時間は127時間。
127時間って、ひとりで過ごすには(それも危機的な状況で)かなり長いけれど、映画的にはちと短い。127時間じゃ、アーロンは歳をとることもできません。
でも、身体的には大きな変化があったわけですが――

                   

                    う~ん、前作と本作、正反対の映画ですね。
            ダニー・ボイル監督、最新作ではどんなふうに観せてくれるのでしょう。
                       さあ、続きをご期待くださいね。
                                

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127時間
監督/ダニー・ボイル、脚本/ダニー・ボイル&サイモン・ビューフォイ、原作/「127時間」(アーロン・ロルストン著、小学館文庫)、製作/クリスチャン・コルソン、ダニー・ボイル、ジョン・スミッソン、撮影監督/アンソニー・ドッド・マントル、エンリケ・シャディアック
出演
ジェームス・フランコ/アーロン・ロルストン、アンバー・タンブリン/ミーガン、ケイト・マーラ/クリスティ、クレマンス・ポエジー/ラナ、ケイト・バートン/アーロンの母、リジー・キャプラン/ソニア
6月18日(土)TOHOシネマズ シャンテ、シネクイント他全国ロードショー
アメリカ・イギリス合作、94分、共同配給/20世紀フォックス×ギャガ
http://127movie.gaga.ne.jp/

by mtonosama | 2011-05-20 05:41 | 映画 | Comments(6)
観てきました!「100,000年後の安全」
                         Into Eternity

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              先日、当試写室としては異例の掟破りをしてしまいました。
      観ていない映画をご紹介したのであります。http://mtonosama.exblog.jp/15779368/
     福島原発事故後の一連の動きから、今秋公開予定を4月2日にして急遽公開となった
                    話題作「100,000年後の安全」。
        こちらもまた試写を行わないで一般公開という異例の展開だったわけですが。

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            さ、では急いで前回お知らせできなかった部分をご紹介しましょう。

      まず、この映画は、原発で使った使用済みウラン燃料を捨てるフィンランドの最終廃棄場を
                    撮ったドキュメンタリー映画であります。
                マイケル・マドセン監督は建設中の最終処分場に入り、
      このシステムの実行を決定した専門家たちにマイクを向け、インタビューしました。
            つまり、20世紀に原子力発電を考え、使ってしまった人間として、
           10万年という人類の歴史より長い時間にどう向き合い、どう責任をとるのか、
                       あるいは責任をとれるのか、と。

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                      もちろんここにカメラが入ったのは初めて。
                   なにせ世界で最初の最終処分場ですし、いま建築中であり、
           完成後は封鎖されてしまうわけですから、正真正銘、初めてのカメラ潜入です。

           毎日、世界中で原子力発電所から大量の高レベル放射性廃棄物が排出され、
                      暫定的に、集積所に保管されています。
          しかし、そうした集積所は自然災害や人災や社会的変化の影響を受けやすいため、
               地層処分という形で地下深くに収めるという形が考えだされました。

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                          フィンランドのオルキルオト。
         ここに世界初の高レベル放射性廃棄物の永久地層処分場が建設されることになりました。
                        「オンカロ」と呼ぶプロジェクトです。
                「オンカロ」とはフィンランド語で「隠れた場所」という意味。
             固い岩盤をダイナマイトで崩し、500メートルの深さまで掘削して造られる
                  巨大な地下都市のような放射性廃棄物の貯蔵施設です。
               そして、この施設は10万年もつように設計されているのだそうです。

                                10万年―――
                 放射性物質が生物にとって無害になるまでに必要とする年月です。

       この施設、放射性廃棄物が一定量に達すると封鎖され、2度と開けられることはないといいます。
                       しかし、それが本当に保証されるのでしょうか?

      10万年後、オルキルオトに暮らす未来の人が処分場の封印を解いてしまうことはないでしょうか?
            そうならないように、彼らに危険性を警告するてだてはあるのでしょうか?

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          私たちが現在使っている言語や記号が10万年後の彼らに理解できるでしょうか?

                  ハロー!未来のみなさん

ここは21世紀に処分された放射性廃棄物の埋蔵場所です。
危険だから絶対に入らないでください。


              なんて、書き遺しておいたとして、わかってもらえるんでしょうか。

          地球上にネアンデルタール人が現れてから、まだ1万年しか経っていません。
       ピラミッドもローマのコロッセアムも万里の長城も、たかだかここ数千年の間の出来事です。

             それが10万年ですものねぇ。もう膨大過ぎて、歴史ともいえません。

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               マイケル・マドセン監督がインタビューした専門家たちは
        「10万年後のことなんて関係ないよ。どうせ俺たちみんな死んじゃってるんだから」
                    などと、答えているわけではありません。
         だけど、どんな学者も政治家も、このとてつもない年月の前では目を泳がせて、
               答えを回避しているようにしか見えませんでした。

                              でも、でもね。
   世界には処分されないままの20万トンとも30万トンともいわれる放射性廃棄物があるのだそうです。
        なんとかしなきゃ、と言いながら、相変わらず、30ヶ国で453基の原子炉が稼働し、
                      さらに放射性のゴミは増え続けています。
                  原子力エネルギーという禁断の火を燃やしてしまった以上、
                 その燃えカスはきちんと消火して片づけなくてはいけません。

       お片づけの約束も守らないまま、危険な火を燃やしてしまったら、どんなことになるか。
        それを今いやというほど思い知らされているのは他でもない私たちですものねぇ。

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100,000年後の安全
監督・脚本/マイケル・マドセン、脚本/イェスパー・バーグマン、撮影/ヘイキ・ファーム、編集/ダニエル・デンシック
出演
T・アイカス、C.R.ブロケンハイム、M・イェンセン、B・ルンドクヴィスト、W・パイレ、E・ロウコラ、S・サヴォリンネ、T・セッパラ、P・ヴィキベリ
4月2日より渋谷アップリンクにて公開中、全国順次公開http://www.uplink.co.jp/100000/theater.php
2009年、75分、デンマーク・フィンランド・スウェーデン・イタリア、英語
配給・宣伝/アップリンク http://www.uplink.co.jp/100000/

by mtonosama | 2011-05-17 06:06 | 映画 | Comments(14)
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        デンマークは福祉制度の整った国だから、みんな豊かで幸福に暮らしているのだろうな、
                       とお気楽な印象を持っていました。
  でも、「光のほうへ」は人は福祉やお金だけでは幸福になれない、という事実もつきつけてきた映画でした。

                        デンマークの福祉については、
                   「教育と福祉の領域で実践の場に関わって働く傍ら、
           デンマークでの民主主義意識と市民形成の過程について研究を続けている」
       というデンマーク在住の鈴木優美さんのお書きになったものを読ませていただきました。
  (彼女、「デンマークのうちがわ」というブログhttp://denjapaner.seesaa.net/ も書いていらっしゃいます)

                   デンマークには約5千人のホームレスがいるそうです。
 その大半はアルコールや薬物の問題を抱えていたり、刑務所から出たばかりで住む所がないという人たち。
                 「光のほうへ」に登場する兄・ニックもまさにそういう人です。

      ただ、ホームレスと聞いて、日本の場合を思い浮かべると違和感を覚えるかもしれません。
             そこのところこそ、デンマークが高福祉国家たる所以なのですが。
デンマークのホームレスの多くは障害年金手当(月額26万5千円:課税前)や生活保護(月額約16万円:課税前)などを受給しています。そして、自治体が提供するシェルターに格安(月額約5万円)で宿泊する場合が多いので、
                  いわゆる路上生活者はあまりいないのだそうです。

 そうなんです。登場人物はこざっぱりとした身なりで、北欧風のシンプルで清潔な住まいに暮らしていました。

                   しかし、「人はパンのみにて生くるにあらず」。

    人は生活が保障されていても、心に抱え込んだ闇を消し去ることはなかなか難しいのであります。

ストーリー
兄弟はアルコール依存症の母と貧困の内に暮らしています。
しかし、2人は仲の良い兄弟でした。2人にとっての唯一の希望はまだ赤ん坊の小さな弟。
育児放棄の飲んだくれの母親に代わり、万引したミルクをランドセルに隠し、
くわえタバコで赤ん坊の面倒を見る2人。
電話帳の中から探して、名前もつけてあげました。
「この子に洗礼を授けないと」。
赤ん坊の小さな額に指先で水をつけ、洗礼のまね事をする兄弟。
室内は明るい陽光に満ち、2人は幸せでした。

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ところが、ある日、小さな弟は突然死んでしまいます―――

兄は―――
大人になった兄のニックは臨時宿泊施設で暮らしています。
彼の日々を埋めるのはアルコールと筋肉トレーニング。
同じ階に住む女性ソフィーが声をかけてきますが、心を開こうとはしません。

ある日、街中で、男がニックに声をかけてきました。
別れた恋人アナの兄・イヴァンです。

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実は、ニックはアナに去られたショックで暴力事件を起こして刑務所から出てきたばかり。
そして、イヴァンは精神を病み、病院に通院する身でした。

ニックとイヴァンとソフィーは宿の部屋で酒をあおっています。
イヴァンに誘いをかけるソフィーを見て、気を遣い、部屋を後にするニック。
久々に訪ねた弟は留守でした。
そして、宿に戻ったとき、そこには変わり果てたソフィーの姿が…

弟は―――
大人になった弟は、妻を交通事故で亡くし、息子マーティンをひとりで育てていました。
ある日、ソーシャルワーカーに「自力で息子を育てられないなら、施設で預かる」
と言われた弟は生活保護を断り、「自分には息子しかいないから」とその場を立ち去ります。

帰宅後、バスルームで薬物を注射する弟。
そのまま、失神していた彼はあわてて起き上がり、リビングへ戻ります。
眠っているマーティンをベッドへ抱いていく弟。

ある晩、母の死を告げる電話が。
「兄はどこにいるかわかりません」と答える弟。

朝、息子・マーティンに起こされ、朝食をつくろうと冷蔵庫を開けるとカラッポ。
昼、在宅ケアを装い、老人の住まいで強盗をはたらく弟。生活はどん底…

大人になった兄弟は、憎んでいた母親の葬儀で久々に再会しますが……

            これでもかというばかりに暗いエピソードから構成された映画です。
                           なんかなぁ…       
      コペンハーゲンの石造りの街並みを颯爽と歩く立派な顔立ちの長身の人々なのに、
                  どうして悪い方へ、悪い方へ、と行くんだろう。
               それがSubmarinoのSubmarinoたる所以なんでしょうけど。

でも、2人の兄弟がもがきながらも生きてこられたのは、かつて、赤ん坊の弟を慈しみ愛した日々があったから。
             長い人生においては一瞬にしか思えない僅かな甘美なひとときが
                 2人を支える新鮮な空気だったんだな、と納得しました。

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             キャストにも「ニックの弟、マーティンの父」としか、記されない弟。
  もし、息子マーティンがいなければ、とうの昔に薬物の過剰摂取で、のたれ死にしていたに違いない弟。
 彼も、あの幸せだった日々にいた赤ん坊の弟と息子を重ね合わせて生きる糧にしていたに違いありません。
                  
                      「人はパンのみにて生きるにあらず」。
            
             光と希望を暗示するラストシーンに、ふーっと大きな息をつきました。

                                 

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光のほうへ
監督/トマス・ヴィンターベア、脚本/トビアス・リンホルム&トマス・ヴィンターベア、原作/ヨナス・T・ベングトソン「SUBMARINO」(AC Books刊)、撮影/シャーロッテ・ブルークス・クリステンセン、プロデューサー/モーテン・カウフマン
出演
ヤコブ・セーダーグレン/ニック、ペーター・ブライボー/ニックの弟・マーティンの父、パトリシア・シューマン/ソフィー、モーテン・ローセ/イヴァン、グスタウ・フィッシャー・ケアウルフ/マーティン、セバスチャン・ブル・サーニング/少年時代のニック、マッス・ブロー/少年時代のニックの弟、ヘレーネ・ラインゴード・ノイマン/アナ
6月4日(土)シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
2010年、デンマーク、114分、配給/ビターズ・エンド、www.bitters.co.jp/hikari/

by mtonosama | 2011-05-14 06:17 | 映画 | Comments(10)
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                 邦題と原題がこれほど真逆というのも奇妙なもの。
        原題Submarinoというのはデンマークの作家ヨナス・T・ベングトソンの小説のタイトル。
          この映画の原作となった「Submarino」は、コペンハーゲンの下層社会を描き、
    人間の光と影を巧みに表現するスタイルが絶賛され、5月には日本でも出版が決まっているそうです。

                         Submarino。「海の下」?
            ここでは、水中に頭を突っ込まれる刑務所内での拷問を意味しています。
           デンマークのような人権先進国でもこのような拷問が行われたんでしょうか。

                 後頭部を押さえられ、水中に無理やり顔を突っ込まれ、
          う~、空気、空気、ともがいていると、限界寸前、肺に流入する新鮮な空気。ふう。
                              繰り返し・・・

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               いつも邦題にケチをつけることの多い当試写室ですが、
      今回ばかりは「光のほうへ」というこの日本語タイトルには心を魅かれたし、ホッとしました。
       邦題が「光のほうへ」なら、きっと映画も光に向かう内容に違いないと思ったからです。

    本作は、貧困とかアルコールや薬物依存という厳しいSubmarinoを受けながら過ごした少年たちが
    成長した姿を描いた映画。そして、皆さまがご想像していらっしゃる通り、成長しても彼らは貧しく、
                   アルコールや薬物漬けになっています。

           「この時期にそんな映画観たくないよ」とお思いですね。ごもっともです。

           しかし、ここで効力を発するのが「光のほうへ」というこの邦題です。
                  そして、なによりこの映画の持つ力と救いです。
          そうなんです。限界寸前に肺に入ってきた新鮮な空気のような映画でした。

監督は1969年コペンハーゲン生まれのトマス・ヴィンターベア
16歳から短編映画を撮り始め、19歳でデンマーク国立映画学校に入学。
創立以来最年少での入学だそうです。
早くから実力を見せていましたが、
96年「The Biggest Heroes(偉大なるヒーローたち)」で長編映画デビュー、
98年には「セレブレーション」でカンヌ国際映画祭の審査員賞、批評家賞、観客賞を受賞。
その後、ハリウッドに渡り、
「アンビリーバブル」(‘03 ホアキン・フェニックス、ショーン・ペン出演)や
「ディア・ウェンディ」(‘05 脚本/ラース・フォン・トリア)を監督。
それ以降はデンマークに戻り、デンマーク語の映画を撮っています。
“ドグマ95”の創設メンバーでもあります。

ドグマ95
1995年、トマス・ヴィンターベアやラース・フォン・トリアーらによって、デンマークで生まれた映画運動。
「カメラは必ず手持ちであること」
「撮影はすべてロケーション撮影」
など、映画製作の10のルールが設けられています。

                          ここで一言、老婆心。
               ドグマ95のルールを守ってつくられた映画をご覧になる場合は
                  一番前の座席では観ないようになさってくださいね。

          とのの場合、ラース・フォン・トリアー監督の「ダンサー・イン・ザ・ダーク」(‘00)を
              大画面の劇場の最前列で観ていて、気持ち悪くなってしまいました。
  カメラマンが、カメラを構えながら、足を上げて踊っていたんじゃないかと思わせる程の揺れを感じました。
   乗物酔いしやすい方は小さな画面の映画館で、できるだけ後方に座ってご覧になった方が良いかも。
               実験的な映画運動は三半器官が弱いと、ちょっと……です。

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                   しかし、本作は小さな試写室で観たせいか、
   それとも、カメラマンが手ぶれしなかったためか、それとも、踊らなかったせいか、平気でした。
       と言うより、映画に圧倒されていて揺れに気付かなかったのかもしれません。

       さ、高福祉の国デンマークの生んだ映画。いったいどんなお話なのでしょう。
                        乞うご期待であります。

                               

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監督/トマス・ヴィンターベア、脚本/トビアス・リンホルム&トマス・ヴィンターベア、原作/ヨナス・T・ベングトソン「SUBMARINO」(AC Books刊)、撮影/シャーロッテ・ブルークス・クリステンセン、プロデューサー/モーテン・カウフマン
出演
ヤコブ・セーダーグレン/ニック、ペーター・ブライボー/ニックの弟・マーティンの父、パトリシア・シューマン/ソフィー、モーテン・ローセ/イヴァン、グスタウ・フィッシャー・ケアウルフ/マーティン、セバスチャン・ブル・サーニング/少年時代のニック、マッス・ブロー/少年時代のニックの弟、ヘレーネ・ラインゴード・ノイマン/アナ
6月4日(土)シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
2010年、デンマーク、114分、配給/ビターズ・エンド、www.bitters.co.jp/hikari/

by mtonosama | 2011-05-11 06:00 | 映画 | Comments(6)
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                  ©2011映画『マイ・バック・ページ』製作委員会

              1960年代の終わりという時代を、当事者として生きた人々にとって、
         この時代を過去のものとしてひとくくりにすることはなかなか難しいことだと思います。

       彼らにとってこの時代を過去としてふりかえるにはまだまだ生々しすぎるからでしょうか。
               若かったよな、とか、バカだったよな、とか、自虐的に口走りつつも、
       籠城した大学構内から眺めた朝日を忘れられなかったりしているのかもしれません。
        でも、「懐かしかったなぁ」とは口が裂けてもまだいえないのでしょう。きっと。まだ。

             と、老いの時代に入りつつある当事者たちがウジウジしている間に、
    当事者たちの息子世代にあたる山下敦弘監督はその時代を背景にした映画をつくってしまいました。
                          さあ、どんなお話でしょう。

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ストーリー
革命がロマンとして信じられていた時代があった。

だが、1969年1月東大安田講堂の闘いの後、全共闘運動は失速。
その背後から、赤軍や京浜安保共闘などより先鋭化したグループが現れ、
学生運動は社会から遊離していく―――
1969年はそんな時代の始まりであった。

1969年、東都新聞社で週刊東都の記者として働く沢田雅巳。
彼は取材対象である活動家たちの想いを共有したいという感情と、
ジャーナリストとして要求される客観性との間で揺れ動く日々を送っていた。

ある日、沢田は指名手配中の東大全共闘議長・唐谷を日比谷で開かれる大会に連れてくるよう、
先輩記者の中平から命じられる。そのことが新聞記者としての境界線を越えていることを自覚しながらも大会の熱狂の渦に巻き込まれ感動する沢田。

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1970年、日本大学の教室で“哲学芸術思潮研究会”と称したサークルの討論会が開かれている。
檀上で話すのは片桐優。その横には彼を支持する柴山。
論破されながらも、熱弁で、あるいは詭弁で相手を圧倒する片桐。
そのエネルギーに学生の重子と七重はひきつけられていた。

1971年、全共闘は崩壊しつつあり、一部の活動家はより暴力的な直接行動へと進み始めていた。
そんな時、中平に或る組織の幹部を名乗る男から連絡があり、沢田は中平と共に、
自宅の離れで梅山(実は片桐)と名乗るその男を取材。
闘争計画を熱い口調で語る梅山を中平はガセ(偽物)ときめつけた。
しかし、梅山と2人、部屋に残った沢田はクリアデンス・クリアウォーター・リバイバル(CCR)の
「雨を見たかい」を口ずさむこの男に親近感を覚える。

ある日、沢田は中平から警告を受ける。
「梅山はやっぱりガセだ。やつにはもう近づくな」
正体をつきとめようと迫る沢田をアジトへ連れていく梅山。
そこにあったのは赤く塗られたヘルメット、アジビラ、そして、包丁。
沢田は夢中でシャッターをきった。
梅山が言う。
「『真夜中のカーボーイ』観た?ダスティン・ホフマンが泣くんだ。
あれは僕だ。行動を起こすとき、僕もこわいって思う」

ことを起こすときには独占取材をさせてくれるよう沢田は頼み、梅山は了承する。
そして……


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           「マイ・バック・ページ」は1971年に陸上自衛隊朝霞駐屯基地で
        自衛官が殺害された事件を背景に、これに関わった2人の人物を描いた映画。
            もう40年も前の話です。しかし、まだ痛みの残る話です。


                    監督も俳優たちも生まれていない40年前。
     梅山や沢田の心情が、「真夜中のカーボーイ」の中のダスティン・ホフマンが泣くシーンでよみがえり
           CCRの「雨を見たかい」で描けるとしたら、あまりに抒情的すぎるかもしれません。

                    でも、この頃、梅山も、きっと沢田も、
    自衛隊員にも、機動隊員にも、親がいて、妻がいて、もしかしたら子どももいたかもしれない
             という想像すら働かないほど、若く、生活感がなかったんです

          製作者たちは「真夜中のカーボーイ」に彼らの心情を仮託しなければ、
             梅山や沢田のことを理解できなかったのかもしれません。

                 なにかを信じたいあまりに行動を起こした2人。
     信じたいという思いが破滅に向かったと、とるか、あるいは、思想に殉じたと、とるか、
                   どう解釈するかで大きく変わってきます。
             でも、こんな単純な二者択一そのものがナンセンスなんでしょう。

真夜中のカーボーイ」(’69)
 
                       これも切ない話でしたねぇ。
        
      梅山と沢田がラッツォとジョーだったとしたら、あまりに寂しいロマンの結末です。                
                 おっといけない、なんかしんみりしてしまいました。


                              

マイ・バック・ページ
監督/山下敦弘、原作/川本三郎「マイ・バック・ページ」(平凡社刊)、脚本/向井康介、撮影/近藤龍人
出演
妻夫木聡/沢田雅巳、松山ケンイチ/梅山(本名:片桐優)、忽那(くつな)汐里(しおり)/倉田眞子、石橋杏奈/安宅重子、韓英恵/浅井七恵、中村蒼/柴山洋、長塚圭史/唐谷義朗(東大全共闘議長)、山内圭哉/前園勇(京大全共闘議長)、古舘寛治/中平武治(週刊東都記者)、あがた森魚/飯島(東都ジャーナルデスク)、三浦友和/白石(東都新聞社 社会部部長)
5月28日(土)新宿ピカデリー他ロードショー
2011年、日本、2時間21分、配給/アスミック・エース
http://mbp-movie.com/


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                   ©2011映画『マイ・バック・ページ』製作委員会

               150年という人生を生きてきて、映画もたくさん観てきましたが、
     知っている人、それも口をきいたことのある人が重要人物としてスクリーン上に登場するというのは、
                          初めての体験でした。
              それも俳優としてではなく、映画の中に描かれた人物として、です。
             
              「マイ・バック・ページ」がそんな初めての体験を与えてくれた映画です。
    川本三郎氏が1988年にジャーナリスト時代の自らの経験を著したノンフィクション「マイ・バック・ページ」
                     がその原作(2010年平凡社より再び刊行)。
                  監督は若いながらも突出した才能を有する山下敦弘です。
    
      1969年に起きた実在の事件をモチーフに、2人の若者が生きた時代を鮮明に描き出した作品で、
           妻夫木聡が若きジャーナリスト(つまり川本三郎さんですね)沢田雅巳を、
           松山ケンイチが学生運動の活動家・梅山(本名:片桐優)を演じています。

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                とのが知っているのは、松山ケンイチが演じた人物。
               といっても、はるかな昔。高校時代のことですが―――

         生家が画材屋を営んでいたので、店は日曜画家の会に入っていました。
        当時は、その会でスケッチ旅行などが時々企画されていた記憶があります。
   そのスケッチ旅行へ、絵を描くわけでもないのに、高校生のとのは友人2人と参加したのでした。
           友人の1人A子は高校1年とは思えないほど大人びた女らしい女子。
           もう1人のB子も、A子ほど大人びてはいないものの美人でありました。
          一方、とのはといえば、背が高いだけで大人びてもいないフツーの15歳。

               その旅行に、高校2年のKくんも参加していました。
彼もまた絵を描くのではなく、ま、16歳の少年らしく、あわよくば彼女でもみつけようという魂胆があったのでしょう。

            Kくんはまず友人A子にアタック。しかし、あっさりふられてしまいました。
                       めげない彼はA子に言いました。
           「じゃあさ、あの背が高くない方の子に話をつけてくれないかなぁ」

                           おいっ!

            とまぁ、口をきいたといっても、あまり良い思い出はありませんし、
                  その後、顔を合わせることもありませんでした。

    数年して、事件を知ったとき、A子やB子と「あれ、Kくんだよね!」と驚いたものであります。

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    妻夫木聡が演じた本作の原作者・川本三郎さんは試写室でときどきお見かけはしますが、
               こちらとは言葉をかわしたことはありません。

     しかし、知ってる人がモデルになった映画を観るということは、なかなか難しいものです。
  どういうスタンスで映画を観ればいいのかわからないし、どうしても思い入れが強くなりますから。


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監督の山下敦弘さんは1976年生まれ。
山下作品で印象深いのは「リアリズムの宿」(‘03)や「リンダ リンダ リンダ」(’05)ですが、これらの作品に今回の「マイ・バック・ページ」を連想させる部分はありません。
山下さんは、この事件が起きた1969年にはまだ生まれていませんし、
その前後に日本中、いえ、世界中を学生運動が駆け抜けていた頃も、影も形もなかったのですから。
   
    それは脚本をてがけた向井康介さんも、演じた妻夫木聡さんも松山ケンイチさんも同じことですが。

        それだけに山下監督が本作で60年代末から70年代という妙に熱かった時代を
                  とりあげたことに興味が湧きました。
         お若い方々はこの時代をどう捉えていらっしゃるのでしょうか?
       150歳ともなると、この時代を吹き荒れていた熱い風には、懐かしさというより、
                 気恥かしさを感じてしまうのですが。

                さあ、一体どんな事件だったのでしょう。
                 続きは次回で。乞うご期待であります。

                            

マイ・バック・ページ
監督/山下敦弘、原作/川本三郎「マイ・バック・ページ」(平凡社刊)、脚本/向井康介、撮影/近藤龍人
出演
妻夫木聡/沢田雅巳、松山ケンイチ/梅山(本名:片桐優)、忽那(くつな)汐里(しおり)/倉田眞子、石橋杏奈/安宅重子、韓英恵/浅井七恵、中村蒼/柴山洋、長塚圭史/唐谷義朗(東大全共闘議長)、山内圭哉/前園勇(京大全共闘議長)、古舘寛治/中平武治(週刊東都記者)、あがた森魚/飯島(東都ジャーナルデスク)、三浦友和/白石(東都新聞社 社会部部長)
5月28日(土)新宿ピカデリー他ロードショー
2011年、日本、2時間21分、配給/アスミック・エース
http://mbp-movie.com/


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by mtonosama | 2011-05-05 06:41 | 映画 | Comments(6)
            ブラック・スワン -2-
                         Black Swan

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                      (C)2010TwentiethCenturyFox.

                      ブラック・スワン。黒鳥のパ・ド・ドゥ。
               昔、少女漫画でこのこじゃれた言葉を知り、意味もわからないままに、
                      ただ、この響きに憧れていたとのです。

パ・ド・ドゥ(仏:Pas de deux 「2人のステップ」の意) とは、バレエ作品において男女2人の踊り手によって展開される踊りをいう。多くはバレエの中の最大の見せ場となっている。同性2人による踊りは「デュエット」といい、パ・ド・ドゥとは区別される。概して東洋の舞踊は女性が一人で踊るものが多いのに対し、男女が一緒に踊るパ・ド・ドゥは西洋に特有のもので、西洋における「愛」を象徴するものだとの見方がある。
(Wikipediaより)


                         へぇ!知らなかったぁ。

                  前編で少しご紹介した白鳥オデッタと黒鳥オディールの一人二役。
            純真なオデッタと邪悪なオディールという両極端なキャラクターを一人で演じるのは
                       バレリーナならずとも難しそうです。
      それを映画では、精神的にも2つの相反する存在に引き裂かれていくきまじめな優等生的ヒロインを
                 演ずるわけですから、ナタリー・ポートマンも大変でした。

                        さあ、どんなお話でしょうか。

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ストーリー
ニューヨーク・シティ・バレエ団の新シーズンのオープニングを飾る演目が「白鳥の湖」に決まりました。
斬新な「白鳥の湖」の演出に意欲を燃やす芸術監督のルロイ。
彼は、長年バレエ団のスターだったプリマ・ドンナのベスが引退を決めたため、
後任プリマの選出に燃えていました。
ルロイは若く才能のあるダンサーたちの中から数名を選び出し、キャスティング・オーディションを実施します。

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プリマ候補のひとりニナも気持の高ぶりを抑えることができずにいました。
アッパー・ウェストサイドのアパートメントに元バレエ・ダンサーの母と暮らすニナ。
その母もまた娘がプリマとしてステージに立ち、白鳥を舞うことを夢に見て、
献身的に娘をサポートし続けてきました。

オーディション当日、ルロイの前で懸命に舞うニナ。
「白鳥の湖」で主役を演じるには、可憐で繊細な白鳥だけではなく、
邪悪で奔放な黒鳥にもなりきることが必要です。
しかし、その日、新人ダンサーのリリーの言動に動揺し、
実力を出し切れなかったニナは深い失意を胸に帰宅。
翌日、どうしても主役を諦めきれないニナはルロイのオフィスを訪れます。

そのとき、彼女が塗っていたのは引退したプリマ・ベスの部屋から盗み出した口紅。

「君は理想の白鳥だが、君には黒鳥を踊るだけの激しい感情を表現することはできない」
そんな厳しい言葉を発しながら、意外にもルロイが選んだ新しいプリマはニナでした。
「君の課題は悪の分身である黒鳥への変身だ」
そう言い放ったルロイが黒鳥の模範演技をさせたのは新人のリリー。
エキゾチックで官能的なリリーの演技は、まさに黒鳥の魔性が宿ったかのよう。
ニナは自分にはないリリーの魅力に複雑な感情を抱かないわけにはいきませんでした。

ルロイに課された厳しい練習に明け暮れるニナでしたが、満足の行く演技はできないまま。
それどころか、次々と降りかかる不気味なできごとに心をかき乱されていくのでした……

本作は、ミッキー・ロークの復活作品として話題になった「レスラー」を送り出したダーレン・アロノフスキー監督の最新作。男臭いレスリングから、今回はまあきれいなきれいなバレエの世界へ180度転回しましたねぇ。
でも、過保護で世間知らずなお嬢ちゃまバレリーナが、正気と狂気、純真と邪悪、愛と憎悪、白と黒、まさにオデットとオディールのように相反するものへと引き裂かれていく美しくもおどろおどろしい世界の表現はレスリングの持つ虚構性に通じるものかもしれませんけど。

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               演出家ルロイを演じたヴァンサン・カッセルは素敵でした。
               ま、ナタリー・ポートマンには努力賞というところでしょうか。

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                 あ、ニナが嫉妬したリリー役のミラ・クニスが良かったです。
                 アンジェリーナ・ジョリーを若くしたような眼力の強い女優です。
                       黒鳥の官能的な舞が印象的でした。

                      ラストのバレエ・シーンも息を呑みました。

          でも、ニナというヒロインのキャラクターとナタリー・ポートマンのキャラが余りにも
    ぴったりし過ぎて逆に物足りなさを感じてしまったんですけど、皆さんはどうお思いになるでしょうか。

                                   

ブラック・スワン
監督/ダーレン・アロノフスキー、脚本/マーク・ヘイマン&アンドレ・ハインズ&ジョン・マクローリン、ストーリー/アンドレ・ハインズ、撮影監督/マシュー・リバティーク、ASC、振付家/ベンジャミン・ミルビエ、バレエ・コスチューム・デザイン/ロダルテ
出演
ナタリー・ポートマン/ニナ・セイヤーズ、ヴァンサン・カッセル/トーマス・ルロイ、ミラ・クニス/リリー、バーバラ・ハーシー/エリカ・セイヤーズ(ニーナの母)、ウィノナ・ライダー/ベス・マッキンタイア
5月11日(水)TOHOシネマズ日劇ほか全国ロードショー
2010年、110分、配給/20世紀フォックス映画、http://movies2.foxjapan.com/blackswan/


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by mtonosama | 2011-05-02 06:27 | 映画 | Comments(2)