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殿様の試写室

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<   2011年 06月 ( 11 )   > この月の画像一覧

            いのちの子ども -2-
                          尊い命

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                          パレスチナ・ガザ地区―――
        イスラエルの管理下で封鎖状態にあり、イスラエル軍が駐留し、しばしば空爆される地区

                  しかし、ここにも人々は暮らし、子を産み育てています。
       ファウジー・アブー=ムスタファーとラーイダ・アブー=ムスタファーもガザに暮らす若い夫婦。
    2人の間に生まれた生後4ヶ月の息子ムハンマドは免疫不全症候群という難病にかかっていました。
                実は、彼らは過去にも娘2人を同じ病気で亡くしているのです。

ストーリー
パレスチナ自治区ガザ地区の最前線で20年以上にわたって取材を続けてきたイスラエルのテレビ記者エルダールが高速道路を急いでいた。
目的地はテル・アビブ郊外のテル・ハ・ショメール医療センター。
ここはイスラエルのユダヤ人とパレスチナのアラブ人をつなぐ唯一の病院である。
そこに勤務するイスラエル人小児科医ソメフから依頼があったのだ。
その依頼とは、骨髄移植が必要なパレスチナ人の4ヶ月半の赤ん坊ムハンマドを救うために
協力してほしいというものだった。

エルダールは手術に必要な55,000ドルの寄付をイスラエルのテレビで呼び掛けた。
ムハンマドの母ライーダは「イスラエルのプロパガンダだわ。誰も寄付なんかしてくれない」
と懐疑的だったが、なんと匿名を条件に全額を寄付するというイスラエル人が現れる。

さっそく家族の骨髄がムハンマドに適合するかどうか検査されたが、残念ながら適合者はなかった。
次の策として、いとこたちの検査をすることに。
だが、25人のいとこたちをガザ地区からイスラエルに連れてくることは不可能だ。
エルダールは採血したサンプルだけを持ち込むよう計画を変更。
検査の結果、従姉の1人が適合した。
ところが、ちょうどその時、ガザで大規模な爆破事件が。
移植手術のため、検問所まで来ていた従姉は直前でイスラエルに入ることができなくなってしまった。

3日後、従姉は検問所を通過。手術はひとまず成功。
あとはムハンマドの小さな身体が新しい骨髄を受け入れるのを待つしかない。

その間、エルダールはラーイダといろいろなことを話した。
エルサレムについて話が及んだ時、2人は互いに「エルサレムは自分たちのものだ」と譲らず、
ラーイダは「エルサレムへ行くのが私の夢」と語る。
しかし、エルダールが動揺したのは彼女の次の言葉だった。

「私たちは死を恐れない。誰もがエルサレムのためなら命を捧げられる。
ムハンマドが殉教者になってもいい―――」

ムハンマドの身体が新しい骨髄を受け入れ、ガザに戻る日が来た。
その日、ソメフ医師はラーイダたちに言う。

「いつかムハンマドと私の息子たちが一緒に遊ぶようになってほしい。
それが無理なら、彼の子どもたちが、それでも駄目なら彼の孫たちがそうできる日がやってくる。
私はその日が来ることを信じている」

彼らがガザに戻って3ヶ月後、またもガザで紛争が起きる。
ソメフ医師も軍医として現地に向かった。
ガザの空を焦がす紅蓮の炎。はたしてムハンマドとその家族の安否はいかに……

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       「命を奪うのは一瞬。でも、私たちは何年もかけて全力で治療する。一人の命のために」
                     という医師の言葉が胸に響きます。
     「いのちの子ども」は2010年のイスラエル・アカデミー賞で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞し、
          トロントをはじめ多くの国際映画祭に正式出品され、絶賛された作品です。

                ムハンマドという1人の赤ちゃんの人命救出を通じて、
                  イスラエルの善意だけを強調するのでなく、
           また、「可哀想なパレスチナ人」を押しつけてくるのでもありません。
       「ムハンマドを殉教者にさせることだって厭わない」と母ライーダに言わせた背景には、
     インターネットへの書き込みから見えてくるパレスチナ人たちの偏狭な敵意だってあります。

                イスラエルとパレスチナの間に存在する深くて暗い溝。
               それを今日明日の内に埋めることはもちろんできません。
                     しかし、エルダール監督の語った
             「パレスチナ、イスラエルともにお互いがそれぞれのことを理解し、
         恐怖心をなくすこと、そして命を大事にすることが1番大切だと気付いてくれれば
                  終わりの見えない問題の糸口になるはずです」

        この言葉は地味ですし、問題解決への道のりの遠さをあらためて感じさせる言葉ですが、
                  かすかな光明を感じさせてくれるのも事実。

   命の現場に生きる人々の感動的な言葉がそこここにちりばめられたドキュメンタリー映画でした。

                                 

     
  

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いのちの子ども
監督・撮影・ナレーション/シュロミー・エルダール、プロデューサー/エフード・ブライベルグ、ヨアヴ・ゼェヴィー
出演
ラーイダ&ファウジー・アブー=ムスタファー、ラズ・ソメフ医師、アモス・トーレン、ナイーム・アブー=ムスタファー、サウサン・アブー=ムスタファー、イッズッディーン・アブル=アイシュ医師、アレックス・ワインガルト
7月16日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町にてロードショー
90分、2010年、アメリカ・イスラエル、カラー、配給/メゾン、http://www.inochinokodomo.com/


                映画『いのちの子ども』公式サイト
by mtonosama | 2011-06-29 06:32 | 映画 | Comments(10)
              いのちの子ども -1-
                           尊い命

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イスラエルがゴラン高原を占領した第3次中東戦争(1967年)開戦記念日の5日、シリア側からゴラン高原とイスラエルの境界へ向かったデモ隊にイスラエル軍が発砲し、シリア国営メディアによると25人が死亡、350人以上が負傷した。(CNN 6/6)
                       つい先日のニュースです。
      国の内外で起きているこういう悲しい事件を目にすると心が折れてしまいそうになります。
          それに、はっきり言ってしまえば「イスラエル!いい加減にしたら」って気分にも――       
       ところが、この「いのちの子ども」には、そのイスラエルの医師ラズ・ソメフが登場します。
監督と撮影とナレーションを担当したのもイスラエルの商業テレビチャンネル・チャンネル10のレポーターとして
    アラブ情勢を中心に取材を続けるジャーナリスト、シュロミー・エルダールというイスラエル人です。

ラズ・ソメフ医師
イスラエルのテル・アビブ近郊にある病院テル・ハ・ショメール医療センターに勤務する小児科医。
この病院はパレスチナからの病人も受け入れ、ソメフ医師も民族や宗教を越えて、人道的な治療活動を行っています。

そのイスラエル人医師が、治療をしないと1歳になる前に死んでしまうというパレスチナ人の難病の赤ん坊を救う、
                     というドキュメンタリー映画なのですから、
             「またまた、イスラエルは良いところ見せて点数稼ごうとしてるんじゃないの?」
                         などと、つい勘ぐってしまいます。

        でも、イスラエル人すべてがネタニヤフ首相みたいな人ばかりではない筈ですし、
    シュロミー・エルダール監督も20年以上にわたってガザ地区に暮らすパレスチナ人たちの実情を
                     レポートし続けてきたジャーナリストです。
            イスラエル人が皆パレスチナ人を虐げていると考えるのはそれこそ偏見で、
                      風評被害みたいなものかもしれません。

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                     まずはガザ地区では何が起こっているのか、
                   イスラエルはパレスチナに対して何をしているのか、
              パレスチナ人はイスラエルに助けてもらう同胞に、どんな態度をとるのか―――

             どちらが悪いのか、などという断罪ではなく、まずは知りたいと思います。

                  シュロミー・エルダール監督も語っています。
         「イスラエルでは、パレスチナの人たちについての報道がほとんどされていません。
                    もちろんパレスチナでも同じ状況です。
            パレスチナ、イスラエルともにお互いがそれぞれのことを理解し、
         恐怖心をなくすこと、そして命を大事にすることが1番大切だと気付いてくれれば
                  終わりの見えない問題の糸口になるはずです


       まずは観てみましょう。そして、考えてみますか。あのフランスの幼稚園児たちのように。

                               

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いのちの子ども
監督・撮影・ナレーション/シュロミー・エルダール、プロデューサー/エフード・ブライベルグ、ヨアヴ・ゼェヴィー
出演
ラーイダ&ファウジー・アブー=ムスタファー、ラズ・ソメフ医師、アモス・トーレン、ナイーム・アブー=ムスタファー、サウサン・アブー=ムスタファー、イッズッディーン・アブル=アイシュ医師、アレックス・ワインガルト
7月16日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町にてロードショー
90分、2010年、アメリカ・イスラエル、カラー、配給/メゾン、http://www.inochinokodomo.com/


                映画『いのちの子ども』公式サイト
by mtonosama | 2011-06-26 07:10 | 映画 | Comments(6)
                   海洋天堂 -2-
                      Ocean Heaven

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                 ©2010,Nice Select Limited.All Rights Reserved.

       「海洋天堂」の舞台は青い海が印象的な、その名もそのまま、青海(チンタオ)という都市。
                   中国山東省南部にある人口760万人の都市です。
    1898年から99年間、ドイツの租借地だったことから、今もドイツ風の街並みが随所に残っています。
  そんなエキゾチックな静かな街でひっそりと生きる父と自閉症の息子との物語が本作「海洋天堂」です。

自閉症
自閉症は生まれつきの障害で、完全に治ることはありません。
自閉症の人は見たり聞いたりすることや感じることを普通の人と同じように理解することが出来ません。

このため、人と交わることや、自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちをくみとることが、とても苦手です。行動も自分勝手に見えることがあります。
普通の喋り方やコミュニケーションのもち方、人や物事への適切な関わり方を習得することは容易ではありません。
http://www.3yym7.net/ 「自閉症の娘たちと共に歩んで」より)

自閉症の人は急な生活の変化に対応できず、一つのやり方を学ぶとワンパターンで
そのやり方にこだわって修正がきかなかったり、気に入ったものだけに没頭する等の特徴があります。

行動の仕方のバリエーションが少ないため、パターンを崩されると混乱し、パニックになることもあります。しかし、通勤や掃除など一度覚えたことは確実にやるため、安定した生活の中で自分の役割を・仕事がみつかると活躍できることが多いものです。
辻井正次:中京大学現代社会学部教授、浜松医科大学客員教授、NPO法人アスペ・エルデの会CEO


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ストーリー
青海(チンタオ)の海に浮かぶ一艘の小舟。
その小舟からお互いの足を結わえた父と子が海中に身を投げました。
しばしの間をおき、縄をほどいた息子は嬉しそうに泳ぎ、楽々と海面へ。
その後を追って、父も浮き上がりました。


息子・大福(ターフー)が幼い頃、妻は死に、父・王心誠(ワン・シンチョン)は
男手ひとつで大福を育ててきました。
しかし、末期癌の宣告を受けた彼は21歳の自閉症の息子の行く末を悩み、
心中を図ったのが先ほどのできごとでした。
そんなことは知らない近所の女性・柴(チャイ)はいつも通り温かく2人の世話を焼きます。

父が勤務する水族館の館長は、水泳が好きな大福のために水槽で泳がせてくれます。
館長は2人の良き理解者です。
父は仕事の合間を縫って、自分がいなくなった後、息子を預かってくれる施設を
必死に探しながら、息子が一人で生きていくための生活のあれこれをひとつひとつ教えていきます。

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かつて、息子がお世話になった養護施設の劉先生が訪ねてきました。
息子を受け入れてくれる民間の施設を紹介してくれたのです。
その施設は父のおめがねにもかなったものでした。父は最期の日まで息子と、その施設で共に過ごすことを決め、自活に必要なさまざまなことを教えていきます。
水族館ではモップの使い方や掃除の仕方を教え、
自分がいなくなった後も息子が水族館で働けるように道を整えていきます。



一方、大福は水族館に巡業で来ていたサーカス団のピエロ鈴鈴(リンリン)に
小さな恋心を抱いていました。
彼女も大福に優しく接し、「水族館の公衆電話が鳴ったら、それは私があなたにかけているのよ」
と教えるのでした。

サーカス団が水族館での巡業を終えて、他の町へ去る日が来ました。
いなくなった鈴鈴を追って、大福は行方不明になってしまいます。
そんな彼がみつかったのはマックのキャラクターであるピエロ人形の横でした。

母も鈴鈴もいなくなり、父である自分も間もなく死んでしまう―――
父は最後にあることを息子に教えようと決意しました……

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      自閉症を扱った映画と聞くと、文部省推奨映画みたいな真面目すぎる映画じゃないかなという
            印象を持ってしまいがちですよね。でもね、「海洋天堂」は違いました。
               大福くんは自閉症ですし、それは治ることもない病気ですが、
       おとうさんと大福くんの暮らしは我々のそれと同じく、日常生活として定着しています。
             2人のなにげない日常をカメラは優しい視線で追いかけていきます。
          自閉症に伴うさまざまな特徴もそれを個性としてきちんとフォローしていれば、
               穏やかに、平和に暮らしていけることを映画は語っています。

                  国が自閉症に対する態勢をきちんと整えるべきだ
     と大上段ふりかざして言うことは簡単ですが(中国では簡単じゃないかもしれませんね)、
      基本は親の愛とそれを支えてくれる人々の存在です。親を追い詰めないことかも。

       青島の街並みと青い海が父子2人の日々を優しく包むほのぼのとした映画でした。
             中国映画はこうしたwarm@heart系の映画で魅せてくれますよね。

   この映画で見せてくれたジェット・リーの新しい顔も素敵でした(さえないおじさんなんて言ってごめんなさい)。
                そして、大福を演じたウェン・ジャン(文章)もすばらしかったです。
                        皆さんもきっと拍手したくなるはず。

         

                               

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海洋天堂
脚本・監督/シュエ・シャオルー(薛暁路)、プロデューサー/ビル・コン(江志強)、ハオ・リー(郝礪)、トーマス・チョウ(周惠坤)、撮影/クリストファー・ドイル(杜可風)、音楽/久石譲
出演
ジェット・リー(李連杰)/ワン・シンチョン(王心誠)、ウェン・ジャン(文章)/ワン・タイフー(王大福)、グイ・ルンメイ(桂綸鎂)/リンリン(鈴鈴)、ジュー・ユアンユアン(朱楥楥)/チャイ(柴)、ドン・ヨン(董勇)/水族館館長、イェン・ミンチュー(厳敏求)、
カオ・ユアンユアン(高圓圓)/ターフーの母、ヨン・メイ(泳梅)/施設の館長、チェン・ルイ(陳瑞)/施設職員
7月9日(土)シネスイッチ銀座他全国順次公開
2010年、98分、中国、中国語、配給/クレストインターナショナル
www/kaiyoutendou.com

by mtonosama | 2011-06-23 06:30 | 映画 | Comments(10)
                   海洋天堂 -1-
                      Ocean Heaven
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               ©2010,Nice Select Limited.All Rights Reserved.

         試写状が届いたときから、早く観たいなとずっと気になる映画ってあります。
                      「海洋天堂」がそうでした。
           まずタイトル。それから、試写状の背景に使われている青い海と空。
      漢字4文字の中に気をひく全てが入っていたので、映画の解説部分を読んでみました。
                   そしたら、ジェット・リー出演とあります。
              そして、自閉症の息子を持つ水族館職員を演じていると―――

                    ジェット・リーといえば、武術の達人。
               1974年には中国代表としてホワイトハウスでニクソン大統領に
                  武術を披露した程の腕前の持ち主だそうでして。
               17歳でスポーツとしての武術を引退した後は映画界に進出。
            数々のカンフー映画に登場し、アジアのトップスターに登りつめた人です。
         1998年にはハリウッドへ移住し、リチャード・ドナー監督「リーサル・ウェポン4」(‘98)、
        ロブ・コーエン監督「ハムナプトラ3 呪われた皇帝の秘密」(‘08)などにも出演しました。

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         カンフー映画はあまり観ないとのが、この人を俳優として初めて意識したのは
              チャン・イーモウ(張芸謀)監督作品の「HERO」(‘02)でした。

         でも、ジェット・リーって、格別ハンサムではないし(ファンの方、ごめんなさい)、
               ジャッキー・チェンみたいに愛想がいいわけでもないので、
             美形好みのとののリストに書きとめられることはありませんでした。
             ただ、「HERO」のラスト、黒雲のように群れをなした無数の矢が
    ジェット・リー扮する刺客に向けて飛んでくるシーンに度肝を抜かれて以来、ちょっと気になる存在です。

          そのジェット・リーが「海洋天堂」では、普通のさえないおじさんを演じていました。
                    もちろんアクションシーンなどありません。
            カンフー映画で彼を知った方はかなり意外にお思いになることでしょう。

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「海洋天堂」の監督と脚本は「北京バイオリン」(‘02)で、チェン・カイコー(陳凱歌)監督と脚本を共同執筆したシュエ・シャオルー(薛暁路)が担当。
本作が映画監督デビュー作となり、第13回上海国際映画祭ではメディア賞部門で作品賞と新人監督賞を受賞しました。

           実は、彼女、北京電影学院の研究生だった1994年から14年間にわたって
       自閉症支援施設でボランティア活動をしていて、本作はその体験から生まれた作品です。

           「海洋天堂」に登場する自閉症の息子・大福(ターフー)くんもそうですが、
   シャオルー監督が活動した施設にいた自閉症児は80后(バーリンホゥ)と呼ばれる80年代生まれ、
                そして一人っ子政策で生まれた一人っ子たちでした。

        保護者にとっては「自分が死んでしまったら、残された子どもはどうなるのだろう」
                     という心配はとても切実なものです。
        こうした現実を目の当たりにしてきたシャオルー監督が、本作の脚本を書き上げ、
      長年、自閉症児と接してきた自分が監督することこそ、映画にとって最善であると判断し、
                         初監督にも挑戦しました。

                          その心意気や、好し!
                      (ハオ)!であります。

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そして、もうひとりのな人物がジェット・リー。
彼は‘壱(ワン)基金’ http://www.onefoundation.cn/ という国際的な救済機関の創立者でもあります。
実は、2004年12月26日、休暇で訪れていたモルディブで家族もろともスマトラ沖地震で被災したジェット・リー。
その時、誰もが積極的に救助に参加する人々の姿に感動。
2007年4月、賛同者の1人1人が毎月1ドルを献金する‘壱基金’を創立したのだそうです。

この‘壱基金’は毎年、中国全土のNGO組織から最も優秀な団体を選出し、100万元を贈っています。
その第1回目に選ばれたのがシュエ・シャオルー監督がボランティアをしていた自閉症施設でした。

これが縁でジェット・リーは本作になんとノーギャラで出演。
四川大地震以来、チャリティに専念していた彼にとって
「海洋天堂」は映画復帰第1作となりました。


  同時に、彼にとっては新境地開拓ということにもなった本作、さて、さて、いったいどんなお話なのでしょう。

                                 

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海洋天堂
脚本・監督/シュエ・シャオルー(薛暁路)、プロデューサー/ビル・コン(江志強)、ハオ・リー(郝礪)、トーマス・チョウ(周惠坤)、撮影/クリストファー・ドイル(杜可風)、音楽/久石譲
出演
ジェット・リー(李連杰)/ワン・シンチョン(王心誠)、ウェン・ジャン(文章)/ワン・ターフー(王大福)、グイ・ルンメイ(桂綸鎂)/リンリン(鈴鈴)、ジュー・ユアンユアン(朱楥楥)/チャイ(柴)、ドン・ヨン(董勇)/水族館館長、イェン・ミンチュー(厳敏求)、
カオ・ユアンユアン(高圓圓)/ターフーの母、ヨン・メイ(泳梅)/施設の館長、チェン・ルイ(陳瑞)/施設職員
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2010年、98分、中国、中国語、配給/クレストインターナショナル
www/kaiyoutendou.com

by mtonosama | 2011-06-20 06:43 | 映画 | Comments(10)
        ちいさな哲学者たち -2-
                   JUST A BEGINNING

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                     c Ciel de Paris productions 2010

                   哲学ってなんか賢そうな感じがしますよね。
               だけど、哲学と聞くだけで、ちょっと構えてしまうのも事実です。

             とのの場合、いきなりカントあたりに手を出してギャッとヤケドしたり、
  大学に入り、せっかく「哲学」を受講したのに、昼食後の第3限という悪条件ゆえ、ほとんど眠っていたり、
            たまに起きていても、「帰納と演繹」を「機能と演繹」と発表して、
          「私は大学生を教えていたのではなかったかな?」と教官にしかられたり、
                    嗚呼、本当にろくな思い出はございません。

                     しかし、哲学っていったいなんでしょう?

                     パスカリーヌ先生は子どもたちに訊きます。
                    「みんなは考えるってどういうことだと思う?」                       
                         園児A 「脳みそだよ」
                      園児B 「お口から外へだすこと」
          みんな知っている言葉を一生懸命に使って、「考える」ってどういうことなのか、
                        哲学ってなんなのか、考えます。

                     「お友達と恋人はどう違うのかな?
                    園児C 「友達も恋人も両方とも好きな人」
              園児D 「あのね、友達はほっぺにキスするけど、恋人は口にキスするの」
                              キャッ(との)
                           キャー、キャー(園児たち)

                          「死ぬのはこわい?
                       園児E 「人が死ぬのは楽しくない」
                         「どうして楽しくないの?
              園児E 「なぜって、ママンやおじいちゃんに死んでほしくないから。
              おじいちゃんのひとりは死んだけど、おばあちゃんは死んでなくて、
            もう1人のおばあちゃんも死んでない。いとこたちにも死んでほしくない」
                        「どうして死んでほしくないの?
         園児E 「だって、だって、1人になりたくないもの。1人になったら迷子になっちゃう」

                         「豊かってどういうこと?
                     園児F 「知りたいことがあるんだけど・・・
                   貧乏な人たちは、どうやって貧乏になったの?」

                        「自由ってどういうことかな?
             園児G 「自由って1人でいられること、呼吸して優しくなれること」
                    園児H 「自由って、監獄から出ること」
                 園児I  「家具の上の埃を掃除するときは自由じゃない」

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           パスカリーヌ先生の繰り出す質問は身近な問題から死や愛、貧困など、
        園児にはちょっと難しいのではないかな、と思われる問題まで多岐に渡っています。
       それに対して、園児たちも「わかんな~い」などと逃げることなく、真剣な態度で考え、
                   発言中のお友達の話もちゃんと聴きます。
            ときどき、どうしてもおねむになってしまう子もいますが、それはそれ。
            パスカリーヌ先生から投げかけられたテーマをしっかりと受け止め、
           自分たちの小さな脳で考えたことを、幼い言葉ながら表現する子どもたち。
               子どもは身体が小さいだけで、心も頭も大人と一緒なんですね。

             そして、園児たちの真剣な態度は園児達の家庭へも広がっていきます。
         おとうさんもおかあさんも祖父母も園児達の持ち帰ったテーマを考えるようになります。
                      父母会で、ある母親が発言しました。
                     「両親が話をするきっかけになったわ」
            食卓で、あるいは散歩しながら、親と子が哲学をします。それも楽しげに。

     「すべての子どもは哲学者だ。そして、ある子どもたちはいつまでも哲学者のままであり続ける

      2007年、フランス国営ラジオ局の放送でミシェル・オンフレという哲学者の話したフレーズが、
     「小さな哲学者たち」のプロデューサーの耳にとまり、「小さな哲学者たち」の誕生となりました。
                 ミッシェルさん、よくぞ聞きとめてくださいました。

                哲学って人間が人間であるための条件なんですね。
                  哲学って思っていたほど難しいことじゃないけど、
                             哲学がなければ、
                人と人がきちんとお互いの話を聞き、向かい合うことがなければ、
                     人間らしく生きることはできないんですよね。

   国会で怒鳴り合っている人たち、ジャック・プレヴェール幼稚園の園児たちを見習ってくださいよ。

    1人の幼稚園児が言ってました。「ぼくが哲学をやるのは、考えることが好きだからだよ

 人の話をよく聞き、想像力を働かせて、何をなすべきか考える態度こそ、すべての基本なんですから。

        

                               

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ちいさな哲学者たち
監督/ジャン=ピエール・ポッツィ&ピエール・バルジェ、製作/ジャン=ピエール・ポッツィ、ピエール・バルジェ、シルヴィ・オパン、撮影/ジャン=ピエール・ポッツィ&ピエール・バルジェ、カメラマン/ジャン=ピエール・ポッツィ、ピエール・バルジェ、マチュー・ノルマン、アンドレス・メンドーサ、編集/ジャン・コンテ
出演
ジャック・プレヴェール幼稚園の園児たち、パスカリーヌ・ドリアニ先生、イザベル・デュブロック校長
7月9日(土)新宿武蔵野館他全国ロードショー
97分、2010年、フランス、後援/フランス大使館 文部科学省選定(青年向き・成人向き)、配給/ファントム・フィルム
http://tetsugaku-movie.com/

by mtonosama | 2011-06-17 06:56 | 映画 | Comments(6)
        ちいさな哲学者たち -1-
                   JUST A BEGINNING

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                     c Ciel de Paris productions 2010

                          さすがフランス
 サルトルやボーヴォワール、ミシェル・フーコーやシモーヌ・ヴェイユを生み出した哲学の国です!!                   
                 なんたって幼稚園児が哲学しちゃうんですから!!!

        いいえ、言い間違いではありません。幼稚園です。幼稚園児です。3歳児です!
 この映画で、言葉もおぼつかない子どもたちが、少ない語彙で一生懸命に哲学する光景にはびっくりしました。

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  「小さな哲学者たち」はフランス・セーヌ地方のZFP(教育優先地区)にあるジャック・プレヴェール幼稚園の
          園児たちが受けた哲学の授業を2年間、追いかけたドキュメンタリー映画です。
ZFP(教育優先地区)
当初は移民のための政策でしたが、現在は、小・中・高校で教育の成果が上がりにくい地域に設けられています。この地域では2歳から16歳までの生徒を援助するさまざまな対策が実施されています。
対策
1)1クラスの人数は25名までとすること。
2)各学校と教師に追加の資金援助をすること。
3)芸術文化に関するプログラムを充実させること。
etc.

                            またまたびっくり。
         ZFPというのは特別優秀な児童の多い地区というのではなく、その反対だったんですね。

           しかし、なぜまた幼稚園児が哲学などというややっこしいことをするのでしょう?
                            (ややこしいって…)

              はい、1960年代にコロンビア大学のマシュー・リップマン教授が
               「こどものための哲学」という研究を発表したのだそうです。
             子どもが元々持っている「考える力」を、話し合いを通じて更に高め、
             その後の認知力と学習力、そして生きる知恵へとつなげてゆく―――
                           という研究内容なんだとか。

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 この考えを世界で初めて試みたのがこのドキュメンタリー映画に登場するジャック・プレヴェール幼稚園です。
              2006年、この幼稚園で3歳児を相手の哲学の授業が始まりました。

                 この哲学クラスの先生はパスカリーヌ・ドリアニ先生。
  パスカリーヌ先生は造形芸術と応用芸術を学んだ後、1998年にIUFM(教育養成大学院)に入学し、
                      教員としての教育を受けた修士です。
 哲学の教師ではありませんが、哲学の教授や学校長の助けを借りて、園児たちと哲学のアトリエを始めました。

                       映画の冒頭で、アナウンサーが
    「ただでさえ、税金の無駄遣いが叫ばれているとき、修士を子守に使うとはなんということでしょう!」                     
                      などというニュースを読み上げています。

                       ずいぶん意地悪で偏狭な考えですこと。
                      フランスでもこの程度の認識なんですねぇ。

                       こんな意地悪なニュースは無視、無視。

 
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                パスカリーヌ先生は園児たちの前でロウソクに火を点します。
            そうなんです。ロウソクに火を点けることが哲学のクラスが始まる合図です。  
                   子どもって、こんなお約束が大好きですものね。

                       さ、哲学のクラスが始まりますよ♪

                                

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ちいさな哲学者たち
監督/ジャン=ピエール・ポッツィ&ピエール・バルジェ、製作/ジャン=ピエール・ポッツィ、ピエール・バルジェ、シルヴィ・オパン、撮影/ジャン=ピエール・ポッツィ&ピエール・バルジェ、カメラマン/ジャン=ピエール・ポッツィ、ピエール・バルジェ、マチュー・ノルマン、アンドレス・メンドーサ、編集/ジャン・コンテ
出演
ジャック・プレヴェール幼稚園の園児たち、パスカリーヌ・ドリアニ先生、イザベル・デュブロック校長
7月9日(土)新宿武蔵野館他全国ロードショー
97分、2010年、フランス、後援/フランス大使館 文部科学省選定(青年向き・成人向き)、配給/ファントム・フィルム
http://tetsugaku-movie.com/

by mtonosama | 2011-06-14 06:17 | 映画 | Comments(14)
           ラスト・ターゲット -2-
                          The American

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           (C) 2010 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

                     ジョージ・クルーニー。良いですよねぇ。
             先日ご紹介したハビエル・バルデムといい、ジョージ・クルーニーといい、
         濃い顔の俳優が好きなとのです。やはり自分にないものを求めるからなのでしょうか。
              そういえば、少し前までルパート・フレンドにものぼせていました。
              彼はそんなに濃い顔ではないけれど、でも、かなりお美しいです。

        あ、自分の好みの俳優に鼻の下伸ばしてる時間などなかった。いけない、いけない。

                       さて、どんなお話かというと―――

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ストーリー
スウェーデン、ダラルナ
雪に覆われた針葉樹林の中の一軒家。男が静かに燃える暖炉の炎を見つめている。
男の名はジャック。かたわらのベッドに横たわる裸の女がそっと彼の髪に指をからめる。
翌朝、一面の銀世界を歩く2人。その時、響き渡る銃声が静寂を破った。
危ういところで難をかわしたジャックはスナイパーと敵をしとめ、それを目撃した女も射殺。
血にまみれた雪原を後にするジャック―――

イタリア、ローマ
ジャックは「組織」の連絡員パヴェルと接触。
彼はジャックが襲われた理由は現在調査中だと告げ、携帯電話と地図、車のキーを手渡す。
そして、ローマから遠く離れたカステルヴェッキオの街に身を隠し、連絡を待つようにとの指示を与えた。

しかし、ジャックは携帯電話を車から投げ捨て、カステルヴェッキオも通り抜け、
その先のカステル・デル・モンテまで来てしまう。
中世の名残を残すその町に、彼はアメリカ人のカメラマンだと称して、逗留を始めた。
その日から室内トレーニングと双眼鏡での屋外を監視することが彼の日課となる。

トレーニング中のジャックの逞しい背筋の上に舞う1匹の蝶のタトゥ。

その街ではベネディット神父という知人もできた。
そんなある日、パヴェルに連絡をとったジャックは、狙撃用ライフルの製作を依頼される。

スルモナ
ジャックはマチルダという女とスルモナの街のオープン・カフェで会う。
彼女からサイレンサー付き狙撃ライフルの仕様説明を受けたジャックは製作にとりかかった。

作業も終わりに近づいたある晩、ふと立ち寄ったカフェの主人から1通の封筒を受け取るジャック。
中には、スウェーデンでの殺しの記事が。はたして、これはジャックへの報復の予告なのか。

ある日、ジャックはなじみの娼婦クララにカフェでばったり出会った。
夜の顔とは違ったクララの明るい表情に魅かれ、思わずデートの約束をしてしまう。
彼女と何度も逢瀬を重ねる内に、これまでの人生では感じたことのなかった生きる喜びを
知ってしまうジャック。
クララと共に生きることを決断した彼は、ライフルの製作を最後に、
殺しの世界からは足を洗うとパヴェルに告げた。

特別仕様のライフルと銃弾をマチルダに引き渡し、報酬を受けとったジャックは
クララが待つ聖体行列の祭礼に向かう。
だが、そこへ予想もしていなかった出来事がふりかかってきた……


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                        う~ん、興奮。もうドキドキしちゃいます。
                          そう、言ってみれば、ゴルゴ13?
                          ニヒルで、女にもてて、腕も立つ。
                 そして、自分の身は自分で守ることをちゃんと知っている男。
         でも、ゴルゴ13と違う最大の点は、殺し屋を辞め、愛する女のところへ走っていくところか。
                      女性なら涙せずにはいられないラストシーン―――

                 この映画のキャッチフレーズ。「人生は、最期がもっとも美しい」
                  言ってくれちゃうじゃないですか!それも一番良いところを。
  イタリアの小さな田舎町の美しい景色と、中世のままの迷路のような市街地で繰り広げられるカーチェイス。
                      それだけだって、満足できちゃうっていうのに、
            今までとはガラリと違った顔を見せてくれるジョージ・クルーニーですし。
                          たまにはこんな映画も良いですねぇ。

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   それに「ラスト・ターゲット」を観ることは、2009年のイタリア中部地震で被害を大きな被害を受けた
            この映画の舞台でもあるアブルッツォの町への復興支援にもなるんです。
                    コービン監督の言葉を引用しますね。
       「撮影期間中に使う経費や、完成作品が、将来この地域への観光を促すことを考え、
       本作の撮影でこの地域の経済復興を助けたいという意見でこの製作が決まったんだ」
      
   
      確かに、本作を観て、このイタリアの美しい中世の街に行きたくなってしまいましたもん。
                            でも、その前に、
                          そうだ。東北へ行こう!

                                

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ラスト・ターゲット
監督/アントン・コービン、脚本/ローワン・ジョフィ、原作/マーティン・ブース「暗闇の蝶」(新潮文庫刊)、製作/アン・ケリー、ジル・グリーン、アン・ウィンゲート、グラント・ヘスロブ、ジョージ・クルーニー、製作総指揮/エンツォ・システィ、撮影/マルティン・ルーエ
出演
ジョージ・クルーニー/ジャック、ヴィオランテ・プラシド/クララ、テクラ・ルーテン/マチルデ、パオロ・ボナチェッリ/ベネデット神父、ヨハン・レイセン/パヴェル
7月2日(土)全国ロードショー
105分、2010年、アメリカ、配給/角川映画
http://last-target.info/

by mtonosama | 2011-06-11 15:51 | 映画 | Comments(8)
            ラスト・ターゲット -1-
                         The American

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            (C) 2010 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
                

                           「ラスト・ターゲット」。
                         原題は”The American”です。
          が、みなさん、この邦題から、このオリジナル・タイトル、結びつきます?
                           ちょっと・・・ねぇ。

                  「ラスト・ターゲット」、主演はジョージ・クルーニー。

                 ジョージ・クルーニー主演の”The American”といっても、
        「さて、なんのことですか。コーヒーのコマーシャルでしょうか?」となってしまいます。
     ですので、今回の場合、内容に即した「ラスト・ターゲット」という邦題の方がベターでありましょう。

                       と、うじゃうじゃ言ってすいません。
   ジョージ・クルーニーというだけで、食指が動いてしまう方にはタイトルがなんだろうと関係ないですよね。
                         はい、実はとのがそうでして。

                  でもね、彼って、明か暗か、といえば明のイメージですし、
       静か動かっていえば動ですし、お笑い系か深刻系かっていえば前者です(ちょっと違うか)。

   だから、なんとなく深刻そうな雰囲気の「ラスト・ターゲット」というタイトルの映画とジョージ・クルーニーが
             うまくかみ合うのか、若干不安を感じつつ鑑賞したのは正直なところ。

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原作は英国人作家マーティン・ブース「暗闇の蝶」(新潮文庫刊)。
1944年に生まれ、2004年に亡くなったこの作家。代表的な作品には長崎の原爆から生き残ったイギリス人の実話を基にした「Hiroshima Joe」、ブッカー賞の最終候補に残った「The Industry of Souls」などがあります。亡くなる直前には香港で過ごした子供時代を回想した「Gweilo」(アメリカでの出版タイトルは「Golden Boy」)を書き上げています。

          原作となった「暗闇の蝶」。実は、この蝶が映画のモチーフになっています。
           蝶がとてもフォトジェニックな登場をするので、気になっていましたら、
            なるほど、監督のアントン・コービンは写真家だったんですねぇ。

1955年オランダ生まれの監督は現在英国に在住。f0165567_4572893.jpg

高校時代に音楽を通じて写真の魅力に目覚めたというコービンは、1972年野外コンサートで父親のカメラを借り写真を撮った後、ステージ写真からポートレート写真に進む。
1979年からはロンドンに住居を構え、最も影響力のあるポートレート写真家の1人として、広く世界から認められている。
これまでにコービンの被写体となったのは、U2、デヴィッド・ボウイ、ビョーク、マイルス・デイヴィス、フランク・シナトラ、クリント・イーストウッド、キャメロン・ディアス、ウィリアム・S・バロウズ、トム・ウェイツ、アレン・ギンズバーグ、イザベラ・ロッセリーニ、ナオミ・キャンベルなどである。
近年では、夭折したジョイ・ディヴィジョンのボーカル、イアン・カーティスの生涯を描いたドラマ『コントロール』で映画監督デビューを果たす。監督第1作目ながら第60回カンヌ国際映画祭カメラ・ドール(特別表彰)や英国インディペンデント映画賞など、名だたる映画賞にて高い評価を集めている。(Wikipediaより)

                    ふ~む、蝶々がフォトジェニックなのも、
        ジョージ・クルーニー演じる暗殺者ジャックが潜伏するイタリアの小さな街が美しいのも、
                  写真家アントン・コービンのなせる技であったか。

                        あ、言ってしまった!
                ジョージ・クルーニーが今回演ずるのは殺し屋なんだっていうことを。

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                さあ、しかし、どんな暗殺者で、どんなお話なのでしょう。
                 それについてはどうぞ次回までお待ちくださいませ。
                          乞うご期待であります。
                                

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ラスト・ターゲット
監督/アントン・コービン、脚本/ローワン・ジョフィ、原作/マーティン・ブース「暗闇の蝶」(新潮文庫刊)、製作/アン・ケリー、ジル・グリーン、アン・ウィンゲート、グラント・ヘスロブ、ジョージ・クルーニー、製作総指揮/エンツォ・システィ、撮影/マルティン・ルーエ
出演
ジョージ・クルーニー/ジャック、ヴィオランテ・プラシド/クララ、テクラ・ルーテン/マチルデ、パオロ・ボナチェッリ/ベネデット神父、ヨハン・レイセン/パヴェル
7月2日(土)全国ロードショー
105分、2010年、アメリカ、配給/角川映画
http://last-target.info/

by mtonosama | 2011-06-08 05:26 | 映画 | Comments(8)
                父の初七日 -2-
                          父後七日

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          © Magnifique Creative Media Production Ltd.Co.ALL rights reserved

                    お葬式もお国柄によってさまざまです。
     かつて、かの地の将軍様が亡くなったとき、国をあげて号泣していた様子にはびっくりしました。

  朝鮮半島、台湾、中国などの儒教色の濃いお葬式では遺族の女性は派手に泣いたり、叫んだりします。
      プロの泣き女に依頼することもあるそうですが、この映画にも凄腕の泣き女が登場します。
        地面にうち伏し、身もだえするように泣きじゃくるその姿は、なんというか……
              あらゆる注釈を否定するようなすさまじさがありました。

             しかし、これだけ泣けたら(泣いているところを見るだけでも)、
      悲しみも、怒りも、なにもかも全部、洗い流されて、さぞ、すっきりすることでありましょう。
                 あ、この映画は泣き女の映画ではありません。
   映画に登場する泣き女があまりに猛烈な泣き方だったもので、つい余計なことを言ってしまいました。

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ストーリー
台湾中部・彰化県の田舎町。突然の父の訃報に台北で働く娘・アメイが帰ってきました。
夜店を営む兄・ダージ、従弟・シャオチュァンもやってきて、
道士をしている叔父・アイーの指図で伝統的な道教の葬儀が執り行われることになりました。
占いで決められた野辺送りの日は7日後。

f0165567_5322912.jpg泣き女が大泣きするやら、
遠い親戚が缶を積み重ねてつくったタワーをお供えしてくれるやら、
そのタワーの缶があまりの暑さに膨張して中身が噴き出してくるやら、
楽隊がにぎやかに音楽を演奏するやら、
大変なお葬式です。


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ダージとアメイの兄妹は道士のアイーに命ぜられるまま
あたふたと役割をこなします。
暑さと喧騒と混乱の中、ふっとよぎる父との思い出。
思い出の中の父は笑ったり、冗談ばかり言っています。
たわいない父とのやりとりにこれまでの日々を想い、寂しさがよぎります。

そして、7日目、にぎやかな楽隊に伴われて野辺の送りも無事に終わりました。
ひとり台北へ向かうアメイでしたが……

           お葬式を無事進めることに必死で、涙を流すヒマもない若い兄妹。
      ジタバタしながらも伝統的な儀式に従う彼らの様子には、申し訳ないけど笑えます。
            (でも、喪主体験者としては、彼らの気持ちはよ~くわかります)

   昔ながらのお葬式は、都会で働くキャリアウーマンで、英語もペラペラのアメイとは、なんともミスマッチ。
                「こんなのやってられないわよ」と言って逃げ出すことなく、
  必死に儀式をつとめる姿ってアジアの女の持つ底力なのかもしれないなって思ってしまいました。

                       なんか、この女優さん、良いです。
            今回が映画初出演で、以前は脚本や企画などに携わっていたそうですが、
                   きっとそちらの方でも良い仕事していたんでしょう。

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台湾的お葬式という異文化体験をさせてもらいつつ、
お葬式の合間に挿まれるエピソードで愉快なおとうさんの側面を知るにつけ、
ラストの空港でのシーンにはじーんときます。
お葬式は国によって様々でも、愛する肉親を亡くした気持ちに国の違いはありませんもん。


  葬儀って、ひとりの時間を持つまで涙を堰き止めておくダムみたいな働きを持っているのかもしれません。
                   どうぞラストはアメイと一緒に泣いてください。

                               

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父の初七日
製作・監督/ワン・ユーリン(王育麟)、原作・脚本・監督/エッセイ・リウ(劉梓潔)、音楽/ドゥー・ドゥージー(杜篤之)
出演
ワン・リーウェン(王莉雯)/アメイ(阿梅)、ウー・ポンフォン(呉朋奉)/アイー(阿義)、
チェン・ジャーシャン(陳家祥)/タ―ジ(大志)、タイ・バオ(太保)/父、チェン・タイファー(陳泰樺)/シャオチュアン(小庄)、ジャン・シーイン(張詩盈)/アチン(阿陳)
2009年、台湾、92分、カラー、提供/マクザム、パルコ、太秦、配給/太秦
www.shonanoka.com

by mtonosama | 2011-06-05 06:04 | 映画 | Comments(6)
                  父の初七日 -1-
                           父後七日

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           © Magnifique Creative Media Production Ltd.Co.ALL rights reserved

                      震災からもうすぐ3ヶ月になります。
         日にちは経ってもいまだ癒されることのない痛みや喪失感を抱えておられる皆さま、
                    不自由な生活を余儀なくされている皆さま、
         ご家族やお友達を探し続けていらっしゃる皆さま、心よりお見舞い申し上げます。
         どうぞ一日も早く心穏やかな日々が戻り、日常生活を送ることができますように。

            本作「父の初七日」は、本当は6月4日に公開を予定されていました。
          しかし、3月11日の恐ろしい災害で多くの方が命を落とされ、ご家族を失い、
        今もまだ行方のわからない方がいらっしゃり、お葬式もできない方々もおられるのに、
              お葬式の映画とはいかがなものか、と公開が延期されました。
                   そして、まだ新たな公開時期は決まっていません。

                  ですが、当試写室では上映させていただくこととします。

                     とのも3年前に父を亡くし、喪主を務めました。
        看病疲れと虚脱感で呆然としていたため、あまりに早い葬儀の展開についてゆけず、
         「もう少し待っていただけませんか?」と葬儀屋さんに泣きを入れてしまいました。
                      すると穏やかではありましたが、容赦なく
         「延ばせば延ばすほど、疲れがたまって動けなくなりますよ」と拒絶されました。

                    早くできるなら、その方がいいのかもしれません。
 果たすべき義務を果たした後にこそ、愛する人々の死を心から嘆き悲しみ悼むことができるのでしょうから。
           お葬式をあげたくてもできない皆さまの苦痛を本当にお察し申し上げます。

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                         この映画は台湾の作品です。
               最初は小規模に公開されていた本作ですが、話題が話題を呼び、
                  台湾全土で拡大上映され、ロングランヒットを記録。
         昨年、台湾のアカデミー賞にあたる金馬賞で7部門にノミネートされた話題作です。

           エッセイ・リウという1980年生まれの若い女性が書いた散文を本人が脚色、
         それが最優秀脚色賞を受賞したこと、また初監督を務めたことも話題をよびました。

         ちなみに散文というのは、台湾では詩歌・戯曲・小説以外の文芸作品一般のことで、
                日本で言えば随筆やルポなどを含むジャンルなのだそうです。
  
           彼女の散文は台湾ではタブーとされてきたお葬式を題材にしたものでしたが、
                      新しい境地を切り拓いたと高い評価を受け、
              2006年、台湾で最高の賞金々額を誇る林榮三文学賞を受賞しました。

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                  台湾独特の派手なお葬式にとまどいながらも、
             突然訪れた父の死を次第しだいに受け入れていく兄妹の7日間を、
     優しさとペーソスを下敷きにして、そこにほんの少しのユーモアも交え、淡々と描いた作品です。

台湾の伝統的なお葬式は、儒教に由来したしきたりと道教・仏教の儀礼によって執り行われます。
暦を見て十干・十二支の占いで納棺や葬儀の日時が決められ、
また、遺族は決まった時間に泣くことが決められています。泣き女を雇うこともあるそうです。
所変われば、品変わる、ですね。
あの世のお金である紙銭を焼いて、故人を送りますが、
紙製の家や紙製の家電製品、紙製の車なども燃やすそうです。
追善供養としては読経の他、故人を地獄から解放し、
極楽に送るための儀礼である做功徳(さくくどく)も営まれます。
追善供養の儀礼や告別式は別に設けたテントで行われ、
葬列には楽隊や芸人も加わり、賑やかな野辺送りとなります。

               お国によってお葬式もいろいろで、目をみはってしまいます。
        3月にお知らせした「ブンミおじさんの森」http://mtonosama.exblog.jp/15632324/でも 
                   タイのお葬式の鮮やかな色彩に驚きましたが。

             さて、どんなお話なのでしょうか。続きは次回までお待ちくださいませ。

                                 
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製作・監督/ワン・ユーリン(王育麟)、原作・脚本・監督/エッセイ・リウ(劉梓潔)、音楽/ドゥー・ドゥージー(杜篤之)
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2009年、台湾、92分、カラー、提供/マクザム、パルコ、太秦、配給/太秦
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by mtonosama | 2011-06-02 06:49 | 映画 | Comments(6)