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グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独 
                             -2- 
      Genius Within :The Inner Life of Glenn Gould

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                           ©John Roberts

                グレン・グールドといえば、歌いながらピアノを弾いたり、
               ピアノにかぶさるようなちょっと変わった姿勢で演奏をしたり、
                   真夏でも手袋とマフラーを手放さなかったり、
                     いつもハンチング帽をかぶっていたり、
                演奏前に指先をお湯につけて温めるため、赤い指をしていたり、
レナード・バーンスタインに「グールドより美しいものを見たことがない」と言わしめるほどの美形であったり―――
          とにかく話題には事欠かない、いわゆるアイドルともいえるピアニストだったわけです。
  映画の中でも、演奏会のたびに脚の長さが30cmのしかない特製の椅子を持ち歩く様子が映されています。
              ま、ファンなら誰でも知っているこういったエピソードはともかく、
              共同監督&プロデューサーのピーター・レイモントさんによれば、
         この映画を製作する過程で今まで知らなかったことが数多く明らかになったのだそうです。

              つまり、これまでグールドとの関係を語ったことのない親しい人々――-

                  グールドのデビュー当時の恋人フランシス・バロー、
        グールドと親しかった作曲家ルーカス・フォスの妻であり、画家でもあるコーネリア・フォス、
                     ソプラノ歌手ロクソラーナ・ロスラック
  などの映像やインタビューの他、グールドの大量の私的録音や、秘蔵ものの資料映像や未公開の写真など。

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             ©Personal photo of Christopher Foss(son of Cornelia Foss)

フランシス・バローは2009年に亡くなりましたが、この映画で初めてグールドとの関係を公表。
フランシスはグールドの指導を受け、コンクールで優勝したほどの力量の持ち主です。
それなのに、ピアニストとしての道をあきらめ、グールドからのプロポーズも断り、
エジンバラで音楽教師として生きたそうです。
グールドはフランシスの家にあったピアノをたいそう気に入っていて
デビュー盤「ゴルトベルク変奏曲」はそれで練習したというエピソードも明らかにされます。
(最終的に、グールドはそのピアノを買い取ったということです)

そして、コーネリア・フォス。
彼女は1968年頃に2人の子供を連れて、グールドの住まいの近くに移り住みました。
同居はしませんでしたが、1972年に夫の元に戻るまで、グールドと日々を過ごしたということです。
グールドとの生活を語るコーネリアの様子は
「そんなこともあったわねぇ」という感じでひどく淡々としています。
ですが、今は中年になった長男クリストファーと長女エリザが、幼かった頃、
グールドおじさんと過ごした楽しい日々を語る姿と当時の映像には、
過ぎ去った時の流れとともに一抹の寂しさを感じます。

コーネリアは別れた理由を「彼の偏執症の悪化に耐えられなくなった」と語っていますが、
デビュー当時の恋人フランシスも
「彼の強過ぎる個性に窒息させられるような気がしたの」と言っているシーンを観ると、
グールドって、一生懸命過ぎてとっても不器用な人だったんだなぁ、
と不出来な息子を想う母親のような心持になってしまいました。

コーネリアと別れた後に現れたロクソラーナ・ロスラックは、
彼女がラジオで歌っているのを聴いたグールドに指名され、共演したという関係。
その時、歌っていた曲がコーネリアの夫ルーカス・フォスの作曲になるものだったというのも皮肉な話ですね。
グールドの助手は「彼女はグールドと特別な関係を築いた女性だ」と証言しています。

    ©Jock Carroll
f0165567_652452.jpgなんか女性の話ばかりになってしまいましたが、
もちろん映画は昔の恋愛沙汰をテーマにしているのではありません。
そう聞こえてしまったら、それはとのの罪であり、
グールドのせいでも、監督たちのせいではないということを申し添えます。

グールドは50歳という若さで急逝してしまいましたが、
かつての恋人たちはもうすっかりおばあちゃんです。
(グールドも今、生きていれば79歳ですものね)
彼の真摯だけどエキセントリックな様子にとまどい、
悩んだであろう彼女たちも今では他人事を語るようにインタビューに応えています。

           カメラの前の皺だらけの彼女たちのかつての姿もスクリーンに映し出されます。
  ある意味、残酷なこの対比も、目の前にあるものがすべてではないということをあらためて教えてくれました。
          お年寄りは若造には計り知れない大変な過去を抱えて生きてきたのだと思います。
                         (おっと、とのも150歳だった)

                         眼前の年老いた彼女たちの顔は、
                        夢の実現に向かっていた少女の日々、
                             恋に燃えた30代、
                   そして、日常をなにごともなく送ることに平安を感じる日々、
                         という幾層もの時間を包み込んでいます。

             グールドはそんな時間の年層から軽々と遊離し、永遠の芸術家、夢想家として
                  空中に漂っているようです。そう、シャガールの絵のように。

                        スクリーンにはグールド本人の他に、
                         海辺に残した足跡だけのグールド、
               海辺に佇む後姿の若いグールド(役者が演じています)が登場しますが、
                    この演出が不世出の天才の人生を浮き出させます。
            ドキュメンタリーでありながら、どこか不思議な幻のようなイメージというか―――

                          神々の愛する者は夭折する
                       をあらためて感じさせられる映画でした。

                      そして、バッハを聴きたくなってしまいました。

   

                              

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グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独
監督/ミシェル・オゼ、ピーター・レイモント、プロデューサー/ピーター・レイモント、編集/ミシェル・オゼ、撮影/ウォルター・コルベット
出演
グレン・グールド、ジョン・ロバーツ、ウラディーミル・アシュケナージ、コーネリア・フォス、ローン・トーク、ペトゥラ・クラーク、ケヴィン・バザーナ、ロクソラーナ・ロスラック、フランシス・バロー、ハイメ・ラレード、フレッド・シェリー他
10月29日(土)渋谷アップリンク、銀座テアトルシネマ他、全国順次公開
2009年、カナダ、英語、カラー、108分、配給/アップリンク
http://www.uplink.co.jp/gould/
http://twitter.com/gould.movie

by mtonosama | 2011-09-30 06:42 | 映画 | Comments(4)
グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独
                            -1- 
         Genius Within: The Inner Life of Glenn Gould

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                          ©Jock Carroll

              面食いのとのとしては、グレン・グールドは要チェックです。

        といっても、その知識は、彼が鼻歌歌いながらピアノを弾いているのを不思議に思ったり、
         彼の演奏するバッハは今まで聴いてきたバッハとちょっと違うなぁと感じたり―――
                ま、ミーハーの域を超えるものではありませんが。

        中学時代、体育祭の行進でフルートを吹いていたので(音譜が読めず挫折しましたが)、
               バッハといえばフルートものばかり聴いておりました。
         そのため、余計にグレン・グールドの演奏するバッハに驚いたのかもしれません。

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                 ©Courtesy of Sony Music Entertainment

グレン・グールド
1932年、カナダ・トロントに生まれました。3歳から母親にピアノを教えられ、
(彼が歌いながらピアノを弾くのは、おかあさんからそのように教えられたからだとか。なんか可愛い!)
トロント王立音楽院でオルガンとピアノを学び、46年にピアニストとしてデビュー。
(すごいですね。14歳ですよ!)
1955年にはコロンビアレコードからアメリカデビューを果たします。
この年に録音したレコード「バッハ:ゴールドベルク変奏曲」は、
1956年、初のアルバムとして発表されると、ルイ・アームストロングの新譜を抑え、
ヒットチャートの1位に輝きました。
1957年にはソ連やヨーロッパを回り、カラヤンと共演。
1962年にはバーンスタインが、ブラームスに対するグールドとの解釈の相違を
聴衆に説明し、話題になっています。
1964年、シカゴでのリサイタルを最後にコンサート活動からの引退を宣言。
以後はレコード録音やラジオ、テレビを通じての演奏活動と
音楽とメディアをめぐる文筆活動に専念します。
カナダ放送協会ではラジオドキュメンタリーを製作。特に有名なものが「北の理念」「遅れてきた者たち」「大地の静かな人々」の通称「孤独三部作」であり、グールドの北への憧憬、カナダ北部の辺境で生活して隔絶を体験することで人生を豊かにした人々への賞賛がこめられた内容となっています。ここでは、グールド自身が採集してきた複数のインタヴューを、発言の意味や韻を考慮して、ポリフォニックに構成し直すというアイデアが使われており、対位法的ラジオとも呼ばれています。
1981年、デビュー作と同じく「ゴールドベルク変奏曲」を再録音。
1982年、脳卒中により急逝。享年50歳でした。


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                  ©Courtesy of Sony Music Entertainment

           と、まあ、グレン・グールドの生涯をざっと引用させていただきました。
  彼については、これまでも「グレン・グールド 27歳の記憶」(‘59)、「グレン・グールドをめぐる32章」(‘93)、
           「グレン・グールド ロシアの旅」(‘02)の映画がありますので、
                ご覧になった方もおられるのではないでしょうか。
                  とのは単なるミーハーゆえ、未見ですが…

                    本作がこれまでの作品と違うのは
            初めてカメラの前でグールドの思い出を語ってくれる人がいたこと。
          これまで語られることのなかった彼の人生が銀幕に映し出されたことでしょうか。
             もちろん、彼の演奏する姿も、その音楽も、楽しむことができます。

         さあ、グールド好きな方、ドキュメンタリー映画好きな方、この秋は期待できますよ。

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                             ©Jock Carroll

                               

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グレン・グールド 天才ピアニストの愛と孤独
監督/ミシェル・オゼ、ピーター・レイモント、プロデューサー/ピーター・レイモント、編集/ミシェル・オゼ、撮影/ウォルター・コルベット
出演グレン・グールド、ジョン・ロバーツ、ウラディーミル・アシュケナージ、コーネリア・フォス、ローン・トーク、ペトゥラ・クラーク、ケヴィン・バザーナ、ロクソラーナ・ロスラック、フランシス・バロー、ハイメ・ラレード、フレッド・シェリー他
10月29日(土)渋谷アップリンク、銀座テアトルシネマ他、全国順次公開
2009年、カナダ、英語、カラー、108分、配給/アップリンク
http://www.uplink.co.jp/gould/
http://twitter.com/gould.movie

by mtonosama | 2011-09-27 07:12 | 映画 | Comments(4)
                       一命 -2-
                         いちめい

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                       ©2011映画「一命」製作委員会

                    時代劇といえば、うらぶれた長屋の一部屋で、
          月代(さかやき)も伸びきった浪人が不器用な手つきで傘を張る姿がよく出てきます。

          そんな浪人が、例えば、亡き君主のためにきりりと襷掛けして、仇討にのぞむとか、
           半身を脱いだら、桜吹雪の倶利伽羅紋紋。ご存知、遠山の金さんだったりとか、
         そんな筋書きには慣れていても、いったい何故お侍さまが薄汚い格好で傘張りなんぞ
        しなくてはならなかったのか、と裏の事情については余り考えたことはありませんでした。

                    いやぁ、探ってみれば物語はあるものですねぇ。

        関ヶ原の戦いを経て徳川のご治世も落ち着きを見せ、平和が訪れた江戸時代初頭でしたが、
                        しかし、それは表向きのこと。
         足元では大名の御家御取り潰しが行われ、職場も家もなくした武士たちは生活に困り、
                   傘張りや寺子屋などの内職稼業をしていたのですね。
                       そういう苦労はいつの時代も同じです。

                   そんな中、浪人たちの間で流行したのが「狂言切腹」。
         裕福な大名の屋敷に押しかけ、庭先で腹を切らせてほしいと申し出るというのがそれ。
        邸内で切腹などされたくはない屋敷側は職なり金銭を与えて体よく追い払うわけですから、
                   いってみれば、狂言切腹とはたかりみたいなものでした。

            しかし、簡単にたかりとは言い切れない事情もそこには存在する訳でして―――
                     さあ、一体どんなお話でありましょうか。

ストーリー
冬の朝、ひとりの浪人が井伊家の江戸屋敷を訪れました。
「武士として晴れの死に場所に貴家の玄関先を拝借したい」
「またか」苦々しい顔でつぶやく井伊家江戸家老・斎藤勘解由。

斎藤は少し前、同様の切腹を申し出た若い浪人・千々岩求女に出会ったばかり。
元芸州・福島家の千々岩と名乗る若浪人は、いざ切腹の段に及び、暫しの猶予と金子3両を
願い出たのです。その上、武士の命である刀も脇差もなんと竹光。

聞けば、目の前の浪人・津雲半四郎は先の若浪人・千々岩求女と同じ福島家の出です。
「さような者は存じませぬ」と応える津雲に、
斎藤は千々岩求女の切腹の顛末を話してきかせるのでした。
「哀れな話でござりますな」と平然と受け流す津雲。

そして、津雲は庭先で切腹を遂げる前に、
最期の願いとして介錯人を指名することを許されます。3人の介錯人を指名する津雲。
ところが、3人とも出仕しておらず、自宅にも戻っていないという―――

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「申し上げたき儀がございます」静かに語り始める津雲半四郎。

千々岩求女は津雲の娘・美穂の婿でした。求女の父・千々岩甚内は同じく福島家家臣。
そして、津雲同様若い頃に妻を亡くし、男手一つで求女を育ててきましたが、
福島家は取り潰しと相成り、甚内は病に斃れました。
津雲は甚内の幼い息子・求女をひきとり、傘張りをしながら生計を立ててきました。
武術よりも学問を好む優しい男に成長した求女は寺子屋で近所の子どもたちを教え、
美穂と結婚、男児・金吾を授かります。

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金吾のお食い初めの祝いの日、尾頭付きの魚の切り身を食べさせる祖父となった津雲。
貧しいながらも幸せなひととき―――
しかし、津雲は痩せ細った美穂を心配し、求女の大切な蔵書が減っていることを気にかけます。

病弱だった美穂は吐血。求女は金策に駆け回ります。そんな時、金吾が高熱を出しました。
医者を呼ぶ金もなく、津雲が駆けつけてもなす術もありません。
求女は「心あたりがあるから」と家を飛び出していくのでした……

        貧しくとも誇り高く生きてきた浪人が追い詰められて、たかりまがいの狂言切腹を計画。
       井伊家の家臣に侮辱され、竹光をその痩せ腹につきたて、非業の最期を遂げる―――
        妻子のために己の誇りを捨て、追い詰められ、惨めな最期を迎えるまでを
                     淡々と演じる瑛太。良かったです。

        一方、この映画の大きな見せ場である津雲半四郎が、単身、それも竹光で、
               数十人の井伊家家臣を相手に斬り合う様子は圧巻。
       といっても竹光ですから、倒した相手はすぐさま立ち上がり、向かってきます。
      たった一人で、ゾンビのごとく、斬られては立ち上がり、刺されては向かってくる
              家臣団相手に孤軍奮闘する剣戟シーンは手に汗握ります。
                自身は一人も殺すことなく、極限まで闘い抜く―――
                          これぞ侍の美学。

      さすが梨園のスター海老蔵様です。所作と立ち回りは、やはり素晴らしいですね。

           と、限定的に褒める裏にはなにかがあるな?と思われたあなた。
                           ご明察です。

           時代劇は立ち回りにあり、と断定するなら、海老さまは最高です。
                           美しいです。

     しかし、この作品は追い詰められた浪人が命を賭けて狂言切腹におしかけるわけですから、
    その理由となった浪人の日常生活をしっかり演じてこそ切迫感が際立つと思うのですけどね。

          まだ若く、遊びたい盛りの海老蔵にそれを要求するのは酷でしょうか。

          あ、あとひとつ。この映画を3Dで撮影する理由はあるのでしょうか。
       映画観賞中、ときどき3D眼鏡を外してみたのですが、あまりよくわかりませんでした。
     確かに、紅葉した木々が浮き上がって見え、降りしきる雪が津雲半四郎の上に舞うさまは
                 まさにジャパニーズ・ビューティでありましたが。

      眼鏡と3D眼鏡をダブルでかけねばならない身としては、確たる存在理由がない限り、
                 できれば3Dはご遠慮申し上げたいと思いまして。
                    わがままを言って申し訳ございません。

      


                               

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一命
監督/三池崇史、原作/滝口康彦(講談社文庫版「一命」収録「異聞浪人記」より)、脚本/山岸きくみ、音楽/坂本龍一、エグゼクティブプロデューサー/中沢敏明、Jeremy Thomas、プロデューサー/坂美佐子、前田茂司、撮影/北信康(J.S.C)、衣装デザイン/黒沢和子
出演
市川海老蔵/津雲半四郎、瑛太/千々岩求女、満島ひかり/美穂、役所広司/斎藤勘解由、竹中直人/田尻、青木崇高/沢潟彦九郎、新井浩史/松崎隼人正、波岡一喜/川辺右馬助、平岳大/井伊掃部直孝、笹野高史/宗祐、中村梅若/千々岩甚内
10月15日(土)ロードショー
2011年、カラー、127分、配給/松竹、http://www.ichimei.jp/

by mtonosama | 2011-09-24 06:43 | 映画 | Comments(10)
                       一命 -1-
                        いちめい

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                      (C) 2011映画「一命」製作委員会
                        
                         久々の時代劇です。
                   それも3D映像。時代劇で3Dなんですね。
             そこのところが、150歳の頭ではいまいちよくわからないのですが、
                   海老蔵、瑛太出演とあってでかけてきました。

         惜しくも選にはもれましたが、カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品。
                 原作は滝口康彦「異聞浪人記」、監督は三池崇史です。

滝口 康彦(たきぐち やすひこ、1924年3月13日-2004年6月9日)は、日本の時代小説家である。本名・原口康彦(はらぐち やすひこ)。生涯のほとんどを佐賀県多久市で過ごし、旧藩時代の九州各地を舞台にした「士道」小説を数多く発表した。
武家社会の掟にしばられる下級武士の悲劇など、「『士道』の峻烈さ、酷薄さ、無残さ」を描くことにかけては並ぶ者のない、当代きっての時代作家であった、と高く評価されている。(Wikipediaより)

本作の原作「異聞浪人記」は1958年発表、第54回サンデー毎日大衆文芸入選作品。62年には「切腹」(小林正樹監督/仲代達也主演)として映画化。第16回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞した。時代小説を書き続け、その作品には「体制と個」という根幹的なテーマが貫かれている。

三池崇史監督は1960年生まれ。95年「第三の極道」で劇場映画デビュー。ジャンルを問わず、映画製作を続けている。昨年のベネチア国際映画祭コンペティション部門に選出された「十三人の刺客」が今年4月全米公開。


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     さて、およそ40年前に同じ「異聞浪人記」を原作として「切腹」という映画がつくられています。
           今回は三池崇史監督流「異聞浪人記」の映画化ということでありまして、
               どんな仕上がりになっているか、お・た・の・し・みに。

                 しかし、海老蔵さん、相変わらず眼力の強いこと。
               映画出演は「出口のない海」(‘06)に続き、2本目です。
                人間魚雷に乗り込む特攻隊員を演じた前作とは違って、
                  今回は殺陣のシーンも満喫させてくれますが、
              5歳しか年齢差のない瑛太の舅役とは、分の悪いことですね。

                  落ちぶれた初老の浪人を演ずる訳ですが、
         さすが、海老蔵さん。所作や殺陣、強い眼力には、目を瞠るものがあります。

          さあ、いったいどんなお話なのでしょうか。乞うご期待でございますよ。

                              

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一命
監督/三池崇史、原作/滝口康彦(講談社文庫版「一命」収録「異聞浪人記」より)、脚本/山岸きくみ、音楽/坂本龍一、エグゼクティブプロデューサー/中沢敏明、Jeremy Thomas、プロデューサー/坂美佐子、前田茂司、撮影/北信康(J.S.C)、衣装デザイン/黒沢和子
出演
市川海老蔵/津雲半四郎、瑛太/千々岩求女、満島ひかり/美穂、役所広司/斎藤勘解由、竹中直人/田尻、青木崇高/沢潟彦九郎、新井浩史/松崎隼人正、波岡一喜/川辺右馬助、平岳大/井伊掃部直孝、笹野高史/宗祐、中村梅若/千々岩甚内
10月15日(土)ロードショー
2011年、カラー、127分、配給/松竹、http://www.ichimei.jp/

by mtonosama | 2011-09-19 06:39 | 映画 | Comments(10)
               明りを灯す人 -2-
               SVET-AKE(THE LIGHT THIEF)

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                   世界にはまだまだ知らない国があるものです。
       キルギス共和国といわれても、元ソビエト連邦に属していたキルギスタンという国があったな、
                      ということくらいは知っていても、
                    そこに暮らす人がどんな顔をしているのか、
                        どんな生活をしているのか、
                  などということはさっぱりわかりませんでしたから。

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       ソ連が崩壊して、1991年8月に独立したキルギス共和国は急進的な経済改革を行いました。
              成果は現れましたが、さまざまな社会問題や経済問題も出現。
                      貧困問題はとりわけ深刻です。

            都市と農村の貧富の差は大きく、なかでも高齢者に皺寄せが来ています。
             映画の舞台となった小さな村にも、なんとか食べることはできても、
               電気代などの光熱費が支払えないお年寄りが大勢います。

            「明りを灯す人」も、明り屋さんと村人から呼ばれている主人公が
             電気代を払えない貧しい老人のために電気を無料で使えるように
                 メーターを細工しているシーンから始まりますよ。

ストーリー
廃品をかき集めたような風車を手入れしている男がいます。
村人たちから明り屋さんと呼ばれているこの男は、アンテナの調節や電気の修理の他、
どんな用事でも声をかけられたら自転車ですぐに駆けつける村の便利屋さん。

ある日、明り屋さんが村の老人の家で電気を無料で使えるように細工していると、
警察がやってきました。警察官に妻のベルメットが叫びます。
「捕まえるなら、本物の犯罪者を捕まえなさいよ。この人は人助けしているんだからね!」

都会からベグザットという男がやってきました。
彼は明り屋さんの親友マンスールの親戚で、国会議員に立候補し、
選挙対策のため、村に来たのでした。
エセン村長は村の長老たちを集め、
「ベグザットの狙いは土地です。彼にだまされないように」
明り屋さんに村の状況を嘆く村長。明り屋さんは憔悴した村長の身体が心配でなりません。

ベグザットは村人の票を集めるため、動き始めました。
エセン村長に協力を求め「俺が当選すれば、この不毛な土地を天国にしてやる」と言うのですが、
村長は「この土地は不毛じゃない。人が生き、子どもが生まれ育っている」と
きっぱり彼への協力を断るのでした……


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             天山山脈を望む村の広場でコク・ボルの試合が行われます。
    コク・ボルというのは、馬に乗って山羊を奪い合う競技で遊牧時代を今に伝える勇壮なものです。

       今はもう夏場だけ、それもごく少数の人が遊牧生活をしているにすぎないのですが、
         それでもこの村には自由で独立した遊牧民族の風習や伝統が残っています。

       ひとが遊牧民に憧れるのは、彼らが権力にとらわれることなく自由に移動できるから、
                     と思うのですが、どうでしょう。

              ま、いくら憧れても、この村も時代の変化から逃れることはできず、
      映画の中でも2010年に起こった「血の革命」のニュース映像やラジオ放送が流れてきます。
    都会からやってきた男のために、明り屋さんと親友マンスールとの関係にもヒビが入っていきます。

血の革命 
国民の不満が高まり、大規模なデモが発生。88名の被害者を出した治安当局との衝突の末、
バキエフ大統領は出国、辞任。オトゥンバエヴァ元外相を議長とする「暫定政府」が発足した。


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              貧しいけれども人々が支え合って暮らすユートピアのような村、
            そして、遊牧時代の自由で、大らかで、親切な心根を持った明り屋さん。

            いいなぁ、癒されるなぁ、と、無責任な都会人の気まぐれな憧れだけで
                 うっとり観ていると思いがけない結末に愕然とします。

                             でも、でもね、
         この映画のラストは勢いよく回る風車がひとつずつ灯してゆく電球のシーンなのです。
          監督が言っていますが「これは私にとって平穏な未来の希望を意味しています」。
                        エンドクレジットの前には
                 「私の孫たちへ、彼らが幸せでありますように」とあります。

                        未来の希望!持ちたいです。

  

                                 

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明りを灯す人
監督・脚本・主演/アクタン・アリム・クバト、脚本/タリブ・イブライモフ、撮影/ハッサン・キディラリエフ
出演
アクタン・アリム・クバト、タアライカン・アバゾバ、アスカット・スライマノフ、アサン・アマノフ
10月8日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
2010年、キルギス=ドイツ=イタリア=オランダ、80分、日本語字幕/関美冬、字幕監修/井上徹、後援/在日キルギス共和国大使館、協力/風の旅行社、配給/ビターズ・エンド
http://www.bitters.co.jp/akari

by mtonosama | 2011-09-16 07:10 | 映画 | Comments(8)
             明りを灯す人 -1-
             SVET-AKE(THE LIGHT THIEF)

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                 さあ、久々にあまり知らない国へ飛びましょう!
                          キルギスです。
                      正式名称はキルギス共和国。
            かつてはキルギスタン(黠戞斯坦)と呼ばれていた中央アジアにある
                      旧ソビエト連邦の共和国です。
首都はビシュケク。カスピ海の東に位置し、北から時計回りにカザフスタン、中華人民共和国、タジキスタン、ウズベキスタンと国境を接する。ソビエト連邦から独立したウズベキスタン、カザフスタン、トルクメニスタン、タジキスタンとともに中央アジアを形成し、独立国家共同体 (CIS) の加盟国となっている。
(Wikipediaより)

             シルクロードの北の道がキルギスを通っていたこともあって、
大昔から匈奴や唐、13世紀にはモンゴル帝国の支配下に入るなど異民族の通り道にあたっていました。
               なんか司馬遼太郎の世界を想わせ、ドキドキします。
     そして20世紀の初めからは1991年に独立を果たすまでソ連に支配されていたキルギス。

        そんなわけで、この映画に登場する人々の顔はアジア的な顔をしています。
             監督でもあり、主役でもあるアクタン・アリム・クバトさんは
              喧嘩ッ早くない朝青龍という感じの愛嬌のある顔立ちです。

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アクタン・アリム・クバト監督
1957年生まれの54歳。76年、首都ビシュケクにあるビシュケク美術専門学校に入学。
80年に卒業し、キルギスフィルム・スタジオでセットデザイナーとして働き始めました。
その後、いくつかの作品で美術監督を務め、
90年、短編ドキュメンタリー”A Dog Was Running”で監督デビュー。
93年には中編劇映画「ブランコ」を監督し、ロカルノ国際映画祭の短編映画部門でグランプリを受賞。
国際的に注目されます。
98年、長編劇映画デビューとなる「あの娘と自転車に乗って」を発表。ロカルノ銀豹賞(準グランプリ)をはじめ、ビエンナーレ、東京などの国際映画祭で数々の賞を受賞。
2001年、「ブランコ」「あの娘と自転車に乗って」に続く自身の少年時代を描く3部作の最終章となる
「旅立ちの汽笛」を発表しました。
2010年、9年の歳月をかけ、「明りを灯す人」を完成。
本作では名前をロシア名のアブディカリコフからキルギス名のアリム・クバトに変え、
自ら主演も務めました。ロシアで行われたキノショック映画祭で主演男優賞を受賞し、
監督としてだけではなく、俳優としても認められる存在に。
現在、次回作”Centaur”を準備中。かつて馬泥棒だったケンタウロスとアラビア馬の物語。
民話にイスラム的文化を盛り込んだ作品になるということです。


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   さて、この映画の舞台となる村は「中央アジアの真珠」と呼ばれるイシク・クル湖のほとりにあります。
20メートルを超す透明度を誇るこの湖は天山山脈の山間部にひっそりと位置し、幻の湖といわれていました。
              ソ連時代には高官専用の保養地として利用されていたとか。
            今では夏になると湖水浴を楽しむ人々でにぎわいを見せる湖です。

                       でも、村は豊かではありません。

                      キルギス民族はもともと遊牧民です。
           今ではほとんどの人が定住していますが、その時代の精神は今も受け継がれており、
              本作の中でも遊牧民としての生活習慣や風習を見ることができます。

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                        そして、主人公は電気屋さん。
              彼は広大な自然の中で、乏しい資材で工夫して風車を作っています。
              そうそう、イシク・クル湖のほとりは強い風が吹く場所なのです。
                         風車は電気も起こします。

                   なんか、その風車の存在がとても寓話的で、象徴的で、
                   この映画のキーポイントのような印象を受けます。
                         馬と草原、優しい人々―――

               こんな時代、こういう映画を見ると心にポッと明りが灯るようです。
              原題”SVET-AKE”の”SVET”も「光/明り」という意味があるそうですし。

                       中央アジアのスイスといわれるキルギス。
                 さあ、この村を舞台にどんなお話が繰り広げられるのでしょう。
                         次回まで乞うご期待であります。

                                

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明りを灯す人
監督・脚本・主演/アクタン・アリム・クバト、脚本/タリブ・イブライモフ、撮影/ハッサン・キディラリエフ
出演
アクタン・アリム・クバト、タアライカン・アバゾバ、アスカット・スライマノフ、アサン・アマノフ
10月8日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
2010年、キルギス=ドイツ=イタリア=オランダ、80分、日本語字幕/関美冬、字幕監修/井上徹、後援/在日キルギス共和国大使館、協力/風の旅行社、配給/ビターズ・エンド
www.bitters.co.jp/akari

by mtonosama | 2011-09-13 06:47 | 映画 | Comments(8)
         沈黙の春を生きて -2-
                 Living the Silent Spring

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                          ベトナムを訪れるヘザー
                      ©2011 Masako Sakata/Siglo

          原子力発電は電気をつくり、合成化学物質:農薬は田や畑に発生する害虫を殺し、
                    雑草を枯らして作物をより大きく育てます。

                        これらが導入された当初は
                   安くてきれいな電気を使うことができるとか、
        作物を効率よく育てることができれば世界の飢えている人々にも食糧が行き渡るだろうとか、
                    夢を見たこともあったのだと思います(たぶん)。

                 動機がいかに純粋でも(これは最上級に善意に解釈した見解です)、
                使用し続ける内に、問題が出てきても中止できなくなってしまいます。
                           慣性の法則のようなものでしょうか。
                   そこに携わる会社の問題もあるし、国の政策も関わってきます。
   そして、その便利さに慣れてしまった私たち自身も警告に耳を傾けることをしなくなってしまっていました。

                      事態はもう警告の段階を過ぎているのだと思います。
                   福島原発、そして、枯葉剤の被害者たちがそのことを教えています。
                 
                 この映画で、枯葉剤の被害者たちは私たちに何を語ってくれるのでしょうか。

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                      ヘザーとツーズー病院の子どもたち
ストーリー
1962年にレイチェル・カーソンが書いた「沈黙の春」は、
当時隆盛を誇った農薬の危険性を予言し、DDTが禁止されるきっかけとなりました。

その頃、ベトナムではジャングルにひそむゲリラの隠れ場所をなくそうと、米軍による
枯葉剤散布が始まりました。
枯葉剤には人体や自然環境に大きな影響を及ぼすダイオキシンが含まれていました。

  ダイオキシンとは
ポリクロロジベンゾジオキシン( PCDD )の俗称、また特にその中の2 ・ 3 ・ 7 ・ 8 - テトラクロロジベンゾパラジオキシン( TCDD C12H4O2Cl4 のこと。毒性が強く、分解されにくい化合物で、皮膚・内臓障害を起こし、催奇形性・発癌性があるものが少なくない。
除草剤 2 ・ 4 ・ 5 - T などの分解で生成するといわれ、都市のごみ焼却の灰、製紙の汚泥、自動車の排ガス中に見出されており、環境汚染物質として問題となっている。
(三省堂大辞林)


当時のアメリカ政府が「人体に影響がなく、土壌も1年で回復する」と説明した枯葉剤は400万人ものベトナム人に直接散布され、その被害は戦後35年が経った今も続いています。
当時ベトナムに駐留していたアメリカ軍兵士も枯葉剤を浴び、多くの帰還兵がいまだにその影響で苦しみ、彼らの子どもや孫にまでその被害が及んでいます。

帰還兵の娘ヘザー・A・モリス・バウザーは片足と指が欠損して生まれました。
ベトナムを訪れたヘザーは多くの枯葉剤被害者に会います。
彼らもまた直接この薬剤を浴びた人たちの2世、3世にあたる世代です。
生まれながらに重い十字架を背負い、その母たちは自分を責めて泣いています。
彼らと言葉を交わし、手をとり合いながら、ヘザーはベトナムとアメリカの被害者たちがつながって生きることの大切さに気づきます……


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                            レー・ティ・ミットと息子

                      試写が終わり、室内が明るくなると、
            観客は咳をしたり、慌てて汗を拭いたり、動揺を隠しきれませんでした。
            会場にいた坂田雅子監督の「これ以上、手遅れになることのないように」
                       という挨拶が突き刺さりました。

          人間が生きていくことはそれ自体が何かを破壊し、殺すことなのかもしれません。
           しかし、それを最小限にとどめていくように知恵を使うことはできるはずです。

             半世紀も前のレイチェル・カーソンの言葉が重く響いてくる映画です。

   


                              

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沈黙の春を生きて
企画・監督/坂田雅子、製作/山上徹二郎、編集/ジャン・ユンカーマン、ナレーション/加藤登紀子、撮影/ビル・メガロス、山田武典、坂田雅子、ロバート・シーモン、整音/小川武、音楽/グエン・タイン・トゥン、難波正司、写真/Philip Jones Griffiths /Magnum、資料映像/米国公文書館、Thought Equity Motion/CBS News,Jerome Kanapa、ベトナム語翻訳/武田玲佳、製作事務局/佐々木正明、西晶子、奥野尚子、長沢義文、石田優子、協力/ベトナム枯葉剤被害者の会(VAVA)、グエン・ミン・イ、ハ・ティ・マック、ツーズー病院、シンクワイヤ、岩波ホール、宮田興、吉岡雅春、石原大史、西世賢寿、大重裕二
出演
クイン・トゥとファン・クック・フイ、グエン・タイン・タムと家族、ホアン・チャン・ルイと娘ルエン、ヘザー・A・モリス・バウザー、グエン・ヴァン・リエンと家族、シャロン・L・ペリー、シャリティー・キース=ライカード、ツーズー病院 平和村の子どもたち
9月24日(土)から10月21日(金)まで岩波ホールにて4週間限定上映ほか全国順次公開
2011年、日本、日本語、英語、ベトナム語、87分、配給/株式会社シグロ
www.cine.co.jp/chinmoku_haru/

by mtonosama | 2011-09-10 07:07 | 映画 | Comments(4)
          沈黙の春を生きて -1-
                  Living the Silent Spring

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                         〈ツーズー病院を訪れたヘザー〉   
                      ©2011 Masako Sakata/Siglo

          その昔、休みが明けて、実家のある町から新幹線に乗り、東京へ戻ってくるとき、
            必ず「ああ、東京に着いてしまったなぁ」と実感した場所があります。
               (すいません。まだまだおうちが恋しかった年頃でして…)
               新横浜を過ぎ、多摩川を渡り、左方面へ眼をやったあたり。
                 少し小高くなった丘陵に家がびっしり建っています。

               江戸時代まで逆行しなくても、明治時代や昭和の初期には、
                    多分丘陵しかなかったのでしょう。

             そこにびっしりと磯のフジツボのように家々がはりついている様子は
                     悪性の細胞を思わせるものでした。
                     まだ年端もいかない小娘でしたから、
             自分も、自分の家も、フジツボみたいにはりついて生きていることに
                    思いを馳せることはありませんでしたが。

                       なにが言いたいのかというと、
         人間は自然を損なうことなく、存在することはできないのではないか、ということです。

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                            〈キエウと母〉
                         
                         今だったら、原発です。

                今から半世紀前、次のように警告している学者がいました。

化学物質は放射能と同じように不吉な物質で
世界のあり方、そして生命そのものを変えてしまいます。
いまのうちに化学薬品を規制しなければ大きな災害を引き起こすことになります

                           レイチェル・カーソン著「沈黙の春」

レイチェル・カーソン(1907年5月27日―1964年4月14日)
アメリカの作家で海洋生物学者。
1962年に出版した「沈黙の春」(新潮社刊)で、殺虫剤などの「合成化学物質」の無分別な大量散布は生態系を乱し、生物環境の大規模な破壊をもたらし、人間の生命に関わることになると警告。
本書は社会に大きな衝撃を与え、世界が環境問題に目を向けるきっかけになった。

原子力発電所も化学物質も、人間がより快適に暮らすために必要なものとして作り出されたものではあります。
        しかし、いったん動き始め、使われ始めてしまえば容易に止めることはできません。
                 まして、不測の事態が起こったときにどうなったか、
               警告を無視して動かし続け、使い続けていれば、どうなるのか、
                  それはもう私たちの眼前で起こっていることです。

                この映画は放射能の映画ではなく、化学物質の映画ですが、
                      レイチェル・カーソンが指摘している通り、
              両者は世界のありかたも、生命のありようも変えてしまう物質です。

                  ベトちゃんとドクちゃんを覚えていらっしゃいますか?

ベトナム戦争で使われた枯葉剤のために、腰部から下が合体した形で生まれてきた結合双生児です。
兄はグエン・べト(1981年2月25日―2007年10月6日)、弟はグエン・ドク(1981年2月25日―)。
1986年、兄ベトが急性脳症を発症し、治療のために日本へ緊急移送。手術を受けました。
その2年後、兄が意識不明に陥り、2人とも死亡してしまう事態を避けるため、
ホーチミン市立ツーズー病院で2人の分離手術が行われました。
日本赤十字社がこの手術を支援し、手術は成功。兄には左足、弟ドクには右足が残されました。
弟には日本から義足が送られ、その後、彼は職業学校でコンピュータープログラミングを学びます。現在はツーズー病院で働き、ボランティア活動も行っています。2006年にはボランティア活動で知り合った女性と結婚。結婚後は兄をひきとり、26歳で亡くなるまで夫婦で介護していました。(Wikipediaより)


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                       〈ヘザーとベトナムの子どもの手〉

                多くのベトちゃんドクちゃんを生んだ枯葉剤は
       ベトナムの大地に1ヘクタールあたり約27リットルの割合で散布されました。
          散布から24時間でジャングルの木々は変色し、1ヶ月で落葉します。
         次の新芽を殺すため、枯葉剤は繰り返し、繰り返し、散布されました。
         通常の10倍の濃度を持つ枯葉剤はジャングルの植物をことごとく枯らし、
              その散布面積は四国全体の面積に匹敵するといいます。
               http://ha6.seikyou.ne.jp/home/AALA-HOKKAIDO/kareha.htm              

             え、なぜジャングルを枯らす必要があったか、ですか?
   それはジャングルに潜み、アメリカ軍を悩ましていたゲリラたちの隠れ場所をなくすためです。

            しかし、そのために当時のベトナム人ゲリラ兵士だけではなく、
        ジャングル周辺の農民、そして、その子や孫まで枯葉剤の害を受けるということに
           アメリカ政府や枯葉剤製造会社は考えが及んでいたのでしょうか?

       また、ベトナム人だけではなく、枯葉剤を散布したアメリカ兵士とその子どもたちも
                    被害者になっていました。

       「沈黙の春を生きて」は前作「花はどこへ行った」でベトナム戦争の実態に触れた
                 坂田雅子監督が撮影・監督した作品です。

                放射能だけでも気が重いのに、化学物質まで…
                   生きるってつらいことばかりです。
            でも、私たちは被害者であるだけではなく、加害者になりうる、
         いえ、既に加害者であることに考えを及ぼす必要があるんですよね。はぁ―――

                                 続

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沈黙の春を生きて
企画・監督/坂田雅子、製作/山上徹二郎、編集/ジャン・ユンカーマン、ナレーション/加藤登紀子、撮影/ビル・メガロス、山田武典、坂田雅子、ロバート・シーモン、整音/小川武、音楽/グエン・タイン・トゥン、難波正司、写真/Philip Jones Griffiths /Magnum、資料映像/米国公文書館、Thought Equity Motion/CBS News,Jerome Kanapa、ベトナム語翻訳/武田玲佳、製作事務局/佐々木正明、西晶子、奥野尚子、長沢義文、石田優子、協力/ベトナム枯葉剤被害者の会(VAVA)、グエン・ミン・イ、ハ・ティ・マック、ツーズー病院、シンクワイヤ、岩波ホール、宮田興、吉岡雅春、石原大史、西世賢寿、大重裕二
出演
クイン・トゥとファン・クック・フイ、グエン・タイン・タムと家族、ホアン・チャン・ルイと娘ルエン、ヘザー・A・モリス・バウザー、グエン・ヴァン・リエンと家族、シャロン・L・ペリー、シャリティー・キース=ライカード、ツーズー病院 平和村の子どもたち
9月24日(土)から10月21日(金)まで岩波ホールにて4週間限定上映ほか全国順次公開
2011年、日本、日本語、英語、ベトナム語、87分、配給/株式会社シグロ
www.cine.co.jp/chinmoku_haru/

by mtonosama | 2011-09-07 06:56 | 映画 | Comments(4)
       女と銃と荒野の麺屋 -2-
             A Woman, A Gun and A Noodle Shop

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       (C) 2009, FILM PARTNER(2009)INTERNATIONAL, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

                    同じ地球上の土地とは思えない光景です。
      赤い山々と大地がどこまでも続き、火の球のような太陽から身をさえぎるものもありません。
                  三蔵法師と孫悟空たちの苦労がしのばれます。
              この容赦ない自然、見ている分にはかなりそそられるのですが、
           そこに行ってみろと言われたら、例え、ツアー旅行でもつらいものがあります。
                    やはり映画館で観るに限りますね。

                     さて、どんなお話かというと―――

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ストーリー
万里の長城の西の果てにある荒野の町、嘉峪関(かよくかん)。
そこに一軒の中華麺屋がありました。

店は、店主のワン、その妻、住み込みの従業員のリーとジャオと女性従業員チェン
の5人で営まれています。
お客はラクダに乗ったペルシャの隊商たち。
繁盛しているのでしょう。店構えはなかなか立派ですし、
ピザのように麺生地を回してつくる麺はもっちりとしてなかなかな味のようです。

店主のワンはごうつくばりで卑劣で凶暴。
何か月も従業員の給料を払わず、金庫に貯め込んでいます。
10年前、そのワンに金で買われ、毎夜虐げられている妻ですが、
実は従業員のリーと密通していました。

ある日、妻はペルシャの商人から銃を手に入れます。
銃を手にして喜ぶ彼女を見ながら、臆病なリーは、
ただでさえ不倫がばれないかとビクビクしているというのに、
彼女が銃を買った真意もわからず、心配で、心配で、たまりません。

そんなリーの心配が的中しました。
もうひとりの従業員ジャオが、彼女の買った銃のことを、
そして、嘉峪関の巡回警察官チャンが、不倫のことをワンに密告したのです。

妻とリーの裏切りを知らされ、怒り心頭に発したワンはチャンに2人の殺害を依頼。
警官の安月給に不満なチャンは、ワンの示した高額な報酬にひかれ、
殺害計画に乗ることにしました。

翌日、ワンが店を留守にすると、妻とリーは馬車に乗って近くの丘へ。
2人がのんびり昼寝をしているところに現れたのは剣を構えたチャン。
馬車に忍び寄ったチャンは、座席に隠されていた銃に目を留めます。

その夜、ワンの許へ、血のついた妻とリーの衣服の切れ端を持ったチャンが現れました。
2人の死を信じたワンが報酬を渡そうと金庫から金を出したところへ銃口を向けるチャン。
そして、表情も変えず、引き金をひいたのでした。

動かなくなったワンを確認したチャンは、金庫の金を全部持ち出そうとしますが、
金庫の鍵はびくともしません。
そこへやってきたのは従業員のジャオとチェン。未払いの給料を取り戻そうと、
ワンのいない隙を狙っていたのでした…


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                           荒野に暮らす5人の男女。
               岩山ばかりの土地でかろうじてバランスを保っていた5人の社会が
                欲に目がくらんだ警察官と1丁の銃によって潰え去っていきます。

                           な~んて言うと大仰ですが、
   でも、実のところ、コメディのように見せながら、次第に、スリラー劇に変質していく流れには息を呑みます。

                   「初恋の来た道」で見せてくれたまじめな先生像を覆し、
                 冷血で悪い警察官に姿を変えたスン・ホンレイ、良かったです。

                        菊川怜に似たヤン・ニーもなかなかでした。

                      ですが、なんといっても、圧倒されたのは赤い大地。
               この映画の主役は中国西域の大地かもしれないと思ってしまうとのです。

            

                                   

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女と銃と荒野の麺屋
監督/チャン・イーモウ、脚本/シュウ・チェンチャオ、シー・チェンチュアン、
プロデューサー/ビル・コン、チャン・ウェイピン、グウ・ハオ、撮影監督/チャオ・シャオティン、美術監督/ハン・ヂョン、音響監督/タオ・チン、音楽/チャオ・リン
出演
ヤン・ニー/ワンの妻、ニー・ダーホン/ワン、スン・ホンレイ/チャン、シャオ・シェンヤン/リー、チェン・イェ/チャオ、マオ・マオ/チェン
9月17日(土)より、シネマライズほかにて公開
2009年、中国映画、90分、配給/ロングライド 、www.kouya-menya.jp

by mtonosama | 2011-09-04 06:07 | 映画 | Comments(6)
       女と銃と荒野の麺屋 -1-
            A Woman, A Gun and A Noodle Shop

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      (C) 2009, FILM PARTNER(2009)INTERNATIONAL, INC. ALL RIGHTS RESERVED.

                         久々の中国映画です。
       といっても、当試写室では6月にジェット・リー主演「海洋天堂」を上映していました。
                   http://mtonosama.exblog.jp/16155133/
        3ヶ月前はもうとんでもなく昔のことのような気がするのは歳をとった証拠でしょう。
                         150歳ですからね。

さて、デビュー作「紅いコーリャン」(‘87)以後、「菊豆(チュイトウ)」(‘90)、「秋菊の物語」(‘92)と作品を発表し、
           中国第5世代の監督として世界から注目されるチャン・イーモウ(張芸謀)。
   2008年には北京オリンピック開会式・閉会式、北京パラリンピック開会式の演出をつとめたことで
                  中国政府も彼を誇りに思っていることがわかります。

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       最近ではニューヨークのメトロポリタン・オペラでオリジナルオペラ「始皇帝」を世界初演。
      プラシナ・ドミンゴの演出を手がけるなど、今や世界のチャン・イーモウ監督なのであります。

        とのは「あの子を探して」「初恋の来た道」(‘99)でチャン・イーモウに夢中になり、
               「至福のとき」(‘02)で「あれっ?ちょっと違うかな」と思い、
        「HERO」(‘02)「LOVERS」(‘04)で「うーん、ずいぶん雰囲気が変わったなぁ」と
                       びっくりし、今に至っています。

  文化革命下放世代である監督も、いつまでも過去にとらわれていては生きていけないのでしょうが―――
               実は、下放当時の匂いを感じさせる作品の方が好きなとのです。

        ならば、観なくてもいいようなものですが、やはりチャン・イーモウ監督作品と聞くと
                       知らん顔はしていられません。

      それというのも「HERO」の舞台にもなった中国西域の砂漠の光景が気になるからです。
    砂漠といっても砂ではなく、三蔵法師と孫悟空が旅したような赤い岩ばかりの大地なんですが。
                あの光景に圧倒されて、ついつい観てしまうんですね。

             今回ご紹介する「女と銃と荒野の麺屋」もそんな赤い大地が舞台です。
         そして、この映画の下敷きになったのがコーエン兄弟のデビュー作「ブラッド・シンプル」。
  (1987年に日本公開。1999年にコーエン兄弟によるディレクターズカット版「ブラッド・シンプル/ザ・スリラー」が製作されています)

         

           チャン・イーモウとコーエン兄弟って接点がないような気がするんですけど。
                   出会いというのは本当に不思議なものです。
       解剖台の上でこうもり傘とミシンが出会うようなものですよね(ちょっとしつこいですかね)。

         監督が20年以上前に鑑賞し、ずっと気になってきた「ブラッド・シンプル」を
           中国に舞台を移し、リメークしたのが本作「女と銃と荒野の麺屋」です。
              登場人物、ストーリーの骨格などはオリジナルと同じですが、
          赤い大地を舞台にしたその時代背景は明朝(たぶん)。なんと時代劇なのです。
        そして、登場人物のひとりに「初恋が来た道」でチャン・ツィイーの初恋の相手を演じた
                スン・ホンレイが出ていますよ。彼の兜(?)姿、素敵です。

                     さあ、どんなお話でしょうか?
                    続きは次回までお待ちくださいね。

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女と銃と荒野の麺屋
監督/チャン・イーモウ、脚本/シュウ・チェンチャオ、シー・チェンチュアン、
プロデューサー/ビル・コン、チャン・ウェイピン、グウ・ハオ、撮影監督/チャオ・シャオティン、美術監督/ハン・ヂョン、音響監督/タオ・チン、音楽/チャオ・リン
出演
ヤン・ニー/ワンの妻、ニー・ダーホン/ワン、スン・ホンレイ/チャン、シャオ・シェンヤン/リー、チェン・イェ/チャオ、マオ・マオ/チェン
9月17日(土)より、シネマライズほかにて公開
2009年、中国映画、90分、配給/ロングライド 、www.kouya-menya.jp

by mtonosama | 2011-09-01 06:34 | 映画 | Comments(4)