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殿様の試写室

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さあ帰ろう、ペダルをこいで -2-
THE WORLD IS BIG AND SALVATION LURKS AROUND THE CORNER

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(C)RFF INTERNATIONAL, PALLAS FILM, INFORG STUDIO, VERTIGO / EMOTIONFILM and DAKAR, 2008 All rights Reserved

映画の中で祖父バイ・ダンは言いました。
「人生はサイコロと同じ。どんな目が出るか、それは時の運と自分の才覚次第だ」

さて、ブルガリア。
まずヨーグルトを連想するとしても、この国もまたさまざまな歴史の波にもまれてきた国です。

そんな時代の流れを背景に展開する「さあ帰ろう、ペダルをこいで」
(”The world is big and salvation lurks around the corner”)ですが、
監督は1966年ブルガリアの首都ソフィア生まれのステファン・コマンダレフ。
長編劇映画としては2作目の監督作品となる本作は第12回ソフィア映画祭で上映され、
最優秀ブルガリア映画賞と観客賞を受賞。
第24回ワルシャワ国際映画祭審査員特別賞も受けました。
まさにブルガリアの香しい薔薇とも称えたい作品であります。

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さあ、バックギャモンそしてタンデム自転車がどのように関わってくるのか、
少しだけ明らかになりますよ。
そう、少しだけです。たくさん明らかにするためにはやっぱり自分の目で観ませんとね。


ストーリー
1983年。共産党政権下のブルガリア。
アレックス少年が暮らす小さな田舎町にも時代の波は打ち寄せていました。
町で一番のバックギャモンの腕前を持つアレックスの祖父バイ・ダンをじっと見張る1人の男。
その男、実は民兵でアレックスの父ヴァスコが勤める会社の上司です。
この上司、ヴァスコにひどい命令を発しました。
それは舅のバイ・ダンを見張り、その動向と発言を逐一報告すること。

アレックスの祖父バイ・ダンは自転車競技で優勝し東ドイツに留学していた1956年に、
ハンガリー動乱が起こり、学生組織を立ち上げたこともある人物。
政権は自分たちにとって危険な人物であるバイ・ダンを見せしめにしようとしたのでした。

しかし、そんな命令を受け入れることのできないヴァスコは妻ヤナと息子アレックスを連れて、
西ドイツへの亡命を決意。

それから25年。
亡命以来久しぶりにブルガリアへ里帰りする途中、アレックスの一家は交通事故に。
アレックスはドイツの病院のベッドで目を覚ましましたが、一切の記憶を失い、
両親はその事故で帰らぬ人となってしまいました。

祖父バイ・ダンは孫を心配し、急ぎブルガリアからドイツへやってきました。
でも、自分の名前すら忘れてしまっているアレックスは祖父を覚えてもいません。
バイ・ダンは孫のアパートに泊まり込み、毎日病院へ見舞います。
そして、幼い頃教えたバックギャモンを再び教え始めました。
アレックスに回復の兆しが見えたある日、バイ・ダンは彼を無理やり退院させ、
故郷ブルガリアへの旅へと誘います。それもなんと2人乗りの自転車で!

タンデム自転車をこぎながら大陸を横断する祖父と孫。
夜、焚火の前でバックギャモンに興じ、酒を呑み、語り合う2人。
やがて旅の途中に立ち寄ったイタリアの施設で、アレックスはすべての記憶を取り戻します。そして……


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かつてはおじいちゃんのことが大好きで、可愛い少年だったアレックスも、
自由なドイツに暮らしながら、友人もガールフレンドもおらず、
電気製品のマニュアルの翻訳をしながらひきこもって暮らす孤独な青年。

そんな暗い青年とブルガリアからやってきた熱血漢で元気いっぱいな祖父が繰り広げるロードムービー。

人生はさいころの目に左右されるかもしれないけど、さいころは何度だって投げられるし、
投げるのは自分。
人生は気合とやる気と運でどうにでもなるものかもしれない。
落ち込んで暗い眼をしていたら、貧乏神につけこまれるばかりですものね。
運を呼び込むのも自分です。

旅、さいころ、人生。
最もわかりやすいメタファーかもしれません。でも、わかりやすいからこそ、世界共通。
どこの国の人も勇気をもって人生を切り拓いていけるというものです。




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さあ帰ろう、ペダルをこいで
監督/ステファン・コマンダレフ、脚本/ステファン・コマンダレフ、デュシャン・ミリチ、ユーリ・ダッチェフ、イリヤ・トロヤノフ、原作/イリヤ・トロヤノフ
出演
ミキ・マノイロヴィッチ、カルロ・リューベック、フリスト・ムタフチェフ、アナ・パパドブル
5月12日(土)よりシネマート新宿、5月19日(土)よりシネマート心斎橋ほか全国順次ロードショー
2008年、ブルガリア=ドイツ=ハンガリー=スロベニア=セルビア、105分、後援/駐日ブルガリア共和国大使館、特別協力/日本バックギャモン協会、配給/シネマート
http://www.kaerou.net/

by Mtonosama | 2012-04-30 05:54 | 映画 | Comments(12)
さあ帰ろう、ペダルをこいで -1-
THE WORLD IS BIG AND SALVATION LURKS AROUND THE CORNER

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(C)RFF INTERNATIONAL, PALLAS FILM, INFORG STUDIO, VERTIGO / EMOTIONFILM and DAKAR, 2008 All rights Reserved

これはまた珍しい。ブルガリアの映画です。
ブルガリアといえば、ヨーグルトか薔薇の香水しか思い浮かばないとのは、
もの珍しさからこの元気そうなタイトルの映画を観にいきました。
それにこういう移動系の映画って好きなんです。はい、ロードムービー好きの150歳です。

珍しい、と思ったのも無理はなく、この国の映画の年間製作本数はわずか7~8本なのだそうです。

そして、もうひとつ珍しいのは「バックギャモン」が本作の骨子となっていること。
なんたって、本作公開に日本バックギャモン協会 http://www.backgammon.gr.jp/ 
が特別協力しているくらいですから。

でも、バックギャモンといってもピンときません。
名前は聞いたことはあるけれど、どんなものかもよく知りませんし。
「バックギャモンとは西洋双六をいう」くらいの知識しか持ち合わせていないのですけど・・・・・

実は、なんと、このバックギャモン。
世界で最も遊戯人口が多く、その数3億人とも言われているボードゲームなんだそうです。
日本へは飛鳥時代に大陸から伝わり、盤双六という名で親しまれてきました。
そうそう、盤双六はNHK大河ドラマ「平清盛」にも時々登場してますよね。

でも、平清盛で観た盤双六は、とのが知っている双六とはちょっと、いえ、かなり、違ってました。
サイコロが2つあるし、チェスみたいな駒もあります。


広辞苑によれば、
二人が対座して2個の采(さい)を木または竹の筒に入れて振り出し、出た目の数だけ盤に並べた棋子(駒石)を進め、早く相手の陣に入ったものを勝ちとする。インドを経て奈良時代以前に日本に伝わり、古くから賭けが行われた。

盤双六はゲームと言えども真剣勝負。
平安の貴族や鎌倉の武士たちがその勝ち負けに眦を決していたゲームです。
私たちがよく知っているサイコロひとつを転がしてゴールをめざすお気楽な双六は
江戸時代前期に一般に広く行われるようになった絵双六というものなのだとか。

双六と言ったら、お正月に親戚の子どもたちと一緒に遊ぶもの
というイメージしか持っていませんでしたから、ちょっとビックリ。


またまたウィキってみますと、
バックギャモンは基本的に二人で遊ぶボードゲームの一種で、盤上に置かれた各15個の駒すべてをゴールさせる早さを競う。 日本では奈良時代(飛鳥時代との説もある)に伝来し、平安時代より雙六・盤双六の名で流行したが、その後賭博の一種として幕府に禁止され、江戸時代の末に一度廃れている。サイコロを使うため、勝負は純粋な思考力では決まらないが、それでも戦略を必要とするところにこのゲームの醍醐味がある。

自分の人生をサイコロの目になぞらえ、駒を動かす・・・・・
人生は砂糖やクリームからできているのではなく、運と気合と才覚なんだぜぇ。


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とまあ、バックギャモンというのはそんな丁々発止の活きのいいゲームみたいですよ。

バックギャモンはわかりました。
じゃ、タイトルにあるペダルとは一体なんでしょう?
オリジナルタイトル”The world is big and salvation lurks around the corner”(世界は広く、救いはすぐそこにある) のどこにもペダルなんて出ていません。

ペダル。はい、自転車のペダルなんですね。
自転車、それも2人で漕ぐタンデム自転車。
これも、バックギャモンと並んでこの映画を構成する大切な要素なんです。

オリジナルタイトルが本作の真髄を言い当てたものだとしたら、
「さあ帰ろう、ペダルをこいで」という邦題は、
「そこに向って進んでいくぜ!どうやってか、っていうのかい?もちろん自分の足でさ」
って感じのニュアンスで活きが良くっていいです。

さあ、どんなお話なんでしょう。続きは次回まで少々お待ちくださいませね。



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さあ帰ろう、ペダルをこいで
監督/ステファン・コマンダレフ、脚本/ステファン・コマンダレフ、デュシャン・ミリチ、ユーリ・ダッチェフ、イリヤ・トロヤノフ、原作/イリヤ・トロヤノフ
出演
ミキ・マノイロヴィッチ、カルロ・リューベック、フリスト・ムタフチェフ、アナ・パパドブル
5月12日(土)よりシネマート新宿、5月19日(土)よりシネマート心斎橋ほか全国順次ロードショー
2008年、ブルガリア=ドイツ=ハンガリー=スロベニア=セルビア、105分、後援/駐日ブルガリア共和国大使館、特別協力/日本バックギャモン協会、配給/シネマート
http://www.kaerou.net/

by Mtonosama | 2012-04-27 06:46 | 映画 | Comments(6)
わが母の記 -2-

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(C)2012「わが母の記」製作委員会

自分の来し方をつらつら眺めてみますれば、案外読まず嫌い、食わず嫌いというか、
読んでない作家が多いのでした。
例えば、司馬遼太郎などは、おじさんが読む本と決めつけ、長い間読まずに来ましたが、
読んでみると、これが非常に面白く、今や幕末史の師になっていただいております。

その司馬遼太郎が、井上靖が亡くなったときに葬儀委員長を務めたというのですから、
井上靖という作家の作品もぜひ読んでみなくては、と思いました。
はい。恥ずかしながら、今までに一冊も読んだことがございません・・・・・

井上靖といえば「敦煌」を思い浮かべますが、なんか長尺物というイメージが強いですものね。
しかし、本作の原作となった「わが母の記~花の下・月の光・夏の面」は自伝小説。
あまり構えることなく読めそうな気がします。

本作は、井上靖が家族と過ごした世田谷区の自宅が撮影に使われたということで、
大作家の書斎も実物が映されています。
作家がどんなところで作品を書いたのかって、映画を離れても興味がありますよね。

さあ、どんなお話かといいますと、

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ストーリー
1959年、小説家の伊上洪作は病気の父を見舞うため、湯ヶ島の実家にいました。
その時、ふと記憶のかなたから浮かび上がってきたのは雨の中、
幼い妹の手をひいて立っているまだ若い母の姿。
幼少期、伊上は両親や妹たちと離れて1人だけ曾祖父の妾おぬいと暮らしていたことがあるのです。
東京に戻ったその晩、持ち直したかに見えた父が亡くなりました。

1960年、父亡き後の母の処遇が問題になり、身軽な妹・桑子が面倒を見ることに。
ある日、桑子に伴われて伊上家にやってきた母は物忘れがひどくなったようでした。
その様子に苛立ちを隠せない伊上に向って、
「お前をあの女に預けたのは一生の不覚だった」などと言い出す母。
あの女というのは8年間伊上を育ててくれた曾祖父の妾おぬいのことです。

1963年、伊上の家族は母・八重の誕生日を伊豆のホテルで祝います。
姉・志賀子の夫や、運転手や秘書も参加して盛大に祝いました。
上機嫌の母でしたが、その記憶は以前よりも更に薄れています。ショックを隠しきれない伊上と姉妹。

1966年、認知症の進んだ母をしばらく伊上がひきとることに。
母は伊上の三女・琴子の提案で軽井沢の別荘で、生活。
琴子と運転手の瀬川、お手伝いの貞代の3人が母・八重に振り回されながらも楽しく過ごしていました。

1969年、おぬいの50回忌の法要に一族が集まります。
母は徘徊するようになり、息子も娘も分からなくなっていました。
ある朝、「息子はおぬいに奪われた」と言う母の言葉に感情を抑えきれなくなった伊上は…

家族想いであった作家、母とおぬいの間で揺れ動いた幼い日の想いをひきずり続けた作家。
井上靖の思いがけない素顔を知ることができました。
そして、作家の本物の住居や書斎を見るにつけても、文豪とはリッチなのだなぁ、と
映画の本筋から離れたところでも驚くことしきりでありました。

それにつけても緑濃い伊豆・湯ヶ島の山々やわさび田。
しっとりとした水分を感じられる優しい日本映画でした。

どうでもいいことではありますが、とのも幼少時母方の祖母に溺愛され、
また、とのもこの祖母が大好きでしょっちゅう祖母の家に泊まっておりました。
にもかかわらず、祖母の家にいると母に会いたくて、会いたくて、どうしようもなくなってしまうのです。
「ああ、わたしはこんなに2人が大好きなのにどうして3人一緒にいることができないのだろう」
と幼い胸をいためていたものでした。
ことほど左様に、愛とはおとなのみならず子どもの心をも引き裂くもの。
愛が強すぎるとき、気持の折り合いをつけるというのはまことに大変なことです。
こんなところでも井上靖に親近感を抱き、彼の本を読んでみようという想いがますます強くなりました。





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わが母の記
脚本・監督/原田眞人、原作/井上靖「わが母の記~花の下・月の光・夏の面」、撮影/芦澤明子、美術/山崎秀満
出演
役所広司/伊上洪作、樹木希林/母・八重、宮崎あおい/三女・琴子、南果歩/妹・桑子、キムラ緑子/妹志賀子、ミムラ/長女・郁子、菊池亜希子/次女・紀子、三浦貴大/瀬川、真野恵里菜/お手伝い・貞代、赤間麻里子/妻・美津、三國連太郎/父
4月28日(土)全国ロードショー
2011年、カラー、118分、配給/松竹、http://www.wagahaha.jp/

by Mtonosama | 2012-04-24 05:48 | 映画 | Comments(6)
わが母の記 -1-

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(C)2012「わが母の記」製作委員会

「わが母の記」。こういうタイトルもなんとなく気恥ずかしいとのであります。
もし、とのが亡母について何か書くことがあるとしたら、少なくともこういうタイトルにはしないと思います。
ま、書く予定はないからいいのですが。

本作は井上靖の自伝的小説「わが母の記~花の下・月の光・雪の面~」を映画化したもの。
監督は「突入せよ!あさま山荘」(‘02)、「クライマーズ・ハイ」(‘08)
http://mtonosama.exblog.jp/8486082/ の原田眞人監督です。
このおふたり、静岡県立沼津東高等学校で先輩後輩にあたる関係だとか。


井上靖(1907年(明治40年)5月6日 - 1991年(平成3年)1月29日)は、日本の小説家、詩人。文化功労者、文化勲章受章。
小説は現代を舞台とするもの(『猟銃』、『闘牛』、『氷壁』他)、自伝的色彩の強いもの(後述。『あすなろ物語』、『しろばんば』他)に加え、歴史に取材したものに大別される。歴史小説は、日本で特に戦国時代(『風林火山』、『真田軍記』、『淀どの日記』他)、中国ではとりわけ西域を題材にした(『敦煌』、『楼蘭』、『天平の甍』他)ものを多く描いた。
歴史作品を中心に各国語に翻訳され、ペンクラブ会長時代にはしばしばノーベル文学賞の候補とされた。巧みな構成と詩情豊かな作風は今日でも広く愛され、映画・ドラマ・舞台化の動きも絶えない。
『しろばんば』、『夏草冬涛』、『北の海』は、井上靖自身がモデルの主人公・伊上洪作の、幼少から青年になるまでの自伝的な作品である。『しろばんば』は静岡県伊豆湯ヶ島(現伊豆市湯ヶ島)で過ごした幼少時代の、『夏草冬涛』は旧制沼津中学校の生徒だった頃の、『北の海』は沼津中学卒業後の沼津での浪人生活の1年近くの日々を描いたもので、その日常、あるいは旧制第四高等学校の練習に誘われ、寝技主体の柔道、いわゆる高専柔道に明け暮れる洪作が生き生きと描かれている。井上靖の周囲に実在した人物がモデルとして多く登場し、特に『しろばんば』中に登場する、曽祖父の妾で洪作とは血の繋がらない「おぬいばあさん」(実在の名は「おかの」)との生活は、井上靖の人格形成を語る上で欠かせないものである。
その他、老いの境地に入った実母・八重について書いた靖晩年の短編三部作として『花の下』、『月光』、『雪の面』がある。(Wikipediaより)


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2女2男に恵まれ、芥川賞はじめ数々の文学賞を受け、まさに昭和の文豪と呼ぶにふさわしい井上靖。
その大作家が母に抱く屈折した想いを、
抒情性のみに訴えることなく、役所広司と樹木希林が軽妙に、かつ、しみじみと演じています。

伊豆の美しい自然と昭和30年代のほのぼのとした家族愛も
「ああ、こんな景色があったなぁ」「そういえばこんなおばさんやおねえさんたちもいたっけ」
とあらためて感じ入ります。

「おとうさま」という呼び方が優しく響くほんの少しだけ昔の良い時代。
自信を失ってなんとなく元気のない現代の日本ですが、
言葉づかいひとつ、心づかいひとつで私たちも変わっていけるのかもしれない、と感じられる場面もありました。

日本よりも先に海外で話題になったという本作。
第35回モントリオール世界映画祭で審査員特別グランプリを受賞し、
第16回釜山国際映画祭のクロージング作品となり、さまざまな国際映画祭に出品されています。

さあ、どんなお話でしょうね。次回まで乞うご期待でございますよ。



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わが母の記
脚本・監督/原田眞人、原作/井上靖「わが母の記~花の下・月の光・夏の面」、撮影/芦澤明子、美術/山崎秀満
出演
役所広司/伊上洪作、樹木希林/母・八重、宮崎あおい/三女・琴子、南果歩/妹・桑子、キムラ緑子/妹志賀子、ミムラ/長女・郁子、菊池亜希子/次女・紀子、三浦貴大/瀬川、真野恵里菜/お手伝い・貞代、赤間麻里子/妻・美津、三國連太郎/父
4月28日(土)全国ロードショー
2011年、カラー、118分、配給/松竹、http://www.wagahaha.jp/

by Mtonosama | 2012-04-21 05:54 | 映画 | Comments(6)
ル・アーブルの靴みがき -2-
LE HAVRE

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© Sputnik Oy

とのはアキ・カウリスマキの前作「街のあかり」(‘06)を観ましたが、
その時もなんとも不思議な印象を受けました。
なんといったらいいのでしょう。映像に動きがないのです。
いえいえ、これは悪い意味で言っているのではありません。
日照時間の少ない冬のフィンランドの街が紙芝居のようなテンポで映し出されるんですね。
このゆったり感が独特な世界観を醸しているとでもいうんでしょうか。
妙に魅かれるものがありました。

本作「ル・アーブルの靴みがき」でも、カウリスマキ・ワールドは十分に満喫できますよ。
さあ、どんなお話かというと・・・・・


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ストーリー
北フランス、ノルマンディ地方の港町ル・アーブル。
主人公はマルセル・マルクス。昔は彼もパリで芸術家として鳴らした男。
しかし、今はル・アーブルの街かどで靴磨きをして暮らしています。
8年かけて身分証明書を手に入れたベトナム人のチャングと連れだって、
駅や高級靴店の前で客を待ちます。
でも、お客はそんなには来ないし、靴店の前からは追い払われる始末。
稼ぎは僅かですが、マルセルは幸せでした。
なぜなら愛妻アルレッティと愛犬ライカが彼の帰りを待っていてくれるし、
近所に暮らすパン屋のイヴェットや八百屋のジャン=ピエール、仕事の帰りに立ち寄る
カフェの女主人クレールとの語らいもマルセルの楽しみだったからです。

ある日のこと、港でアフリカ・ガボンからの難民が乗ったコンテナが発見されます。
その時いち早く警察の手をすり抜けた少年イドリッサ。
埠頭でランチを食べていたマルセルは、桟橋の下に隠れていたこの少年とばったり。

突然の病で入院したアルレッティと入れ替わるように家へやってきたイドリッサ少年。
友人たちの協力で少年を迎え入れることに成功はしたものの腕利きの警視モネや密告者が
マルセルたちを脅かし続けます。

一方、不治の病の宣告を受けたアルレッティ。
「ああ、お医者さま、決して彼にこのことは伝えないで」。
アルレッティは主治医に懇願します。
それは、幼子のような心のマルセルにこの現実は受け入れ難いと判断したからです。
毎日花を持って妻の病室に通うマルセル。
しかし、日毎にやつれていく身体を見せたくないアルレッティは
「あなたに会うと心が乱されて身体に障るからしばらく来ないで」と優しい嘘をつくのでした。

そして、イドリッサ。彼は、今はロンドンにいる母に会おうとしていました。
マルセルは難民キャンプに収容されたイドリッサの祖父と面会し、
なんとしてもイドリッサをロンドンに送り出してやりたいと思うようになりました。
しかし、それには大きな危険が伴い、3000ユーロという莫大な費用もかかります。
挫けることなく、必死に奔走するマルセルはチャリティコンサートを企画。
見事3000ユーロを手にし、港に着いたイドリッサとマルセルでしたが、
そこにはあの鬼警視モネの姿。

同じ頃、病院ではアルレッティの容体が急変。

さあ、イドリッサはロンドンへ向かうことができるのでしょうか。
そして、アルレッティとマルセルの運命は……


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本作は北フランスが舞台で、フィンランドほどではないにしても、
陽光に満ち溢れているという訳ではありません。まして、季節は冬。
登場人物には美男も美女もいないし、それどころか、人相だってあまり良くない俳優さんばかり。

なのに、このほのぼのとした感覚はなんでしょう。
貧乏で、愛妻は病に倒れ、おまけに難民の少年を抱え込み、警察にはつけ狙われ、
大きな金額のお金もつくらなくてはならない。
どこがハッピーなんだ?ああ、どうなってしまうのか。ハラハラ、ビクビク。
といった観客の思惑などいっさい関係なし。
マルセルは、楽しげに、伸びやかに、難局を打開していきます。
いいなぁ。超がつくほどハッピーな展開。

「映画だからね」。「所詮、つくり話だし」。
わかっています。わかっていますよ。
でも、人生、谷底を歩いているときはこういう映画って必要なんです。
カウリスマキ・ワールドにありがとう!です。





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ル・アーブルの靴みがき
監督・脚本・プロデューサー/アキ・カウリスマキ、助監督/ジル・シャルマン、撮影/ティモ・サルミネン
出演
アンドレ・ウィルム/マルセル・マルクス、カティ・オウティネン/アルレッティ、ジャン=ピエール・ダルッサン/モネ警視、ブロンダン・ミゲル/イドリッサ、エリナ・サロ/クレール、イヴリヌ・ディディ/イヴェット、ゴック・ユン・グエン/チャング、ライカ/ライカ、フランソワ・モニエ/ジャン=ピエール、ロベルト・ピアッツァ/リトル・ボブ、ピエール・エテックス/ベッカー医師、ジャン=ピエール・レオー/密告者
4月28日(土)よりユーロスペースほか全国順次ロードショー
2011年、フィンランド・フランス・ドイツ、フランス語、93分、字幕翻訳/寺尾次郎、提供/ユーロスペース+キングレコード、配給/ユーロスペース
http://www.lehavre-film.com/

by Mtonosama | 2012-04-18 05:51 | 映画 | Comments(8)
ル・アーブルの靴みがき -1-
LE HAVRE

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© Sputnik Oy

アキ・カウリスマキ。
舌をかみそうな名前ですが、名前を覚えることの下手なとのも
彼の名前は比較的早く覚えることができました。
アキのキ、カウリスマキのキと韻を踏んでいるからでしょうか。
それともアキという日本語っぽい言葉がこの監督の名前だからでしょうか。
秋飼う栗鼠マキ・・・なんてね。

アキ・カウリスマキは1957年4月4日フィンランド・オリマティラ生まれの監督です。
つい先日55歳になったばかりなのですね。
ヘルシンキの大学に在学中は大学新聞をひとりで編集したり、
フィンランドの代表的な映画雑誌に寄稿、雑誌編集にも参加し、全頁を別のペンネームで
書き分けるなど異能の人でありました。

さて、異能の人アキ・カウリスマキの最新作「ル・アーブルの靴みがき」は
「街のあかり」(‘06)以来、5年ぶりの新作で、
そして「ラヴィ・ド・ボエーム」(‘91)に次いで2本目となるフランス語の作品です。
舞台は大西洋に臨む北フランスの港町ル・アーブル。


ル・アーブルはセーヌ川右岸の河口に位置する。港湾の規模はマルセイユに次いで、大西洋岸ではフランス第1位の規模である。2005年戦後再建された中心部の街並みが「オーギュスト・ペレによって再建された都市ル・アーブル」として世界文化遺産に登録された。
第二次世界大戦中、ノルマンディー上陸作戦から続くアストニア作戦の艦砲射撃と空爆で破壊され、戦後「鉄筋コンクリートの巨匠」とも呼ばれた建築家オーギュスト・ペレによって再建された。
(Wikipediaより)

などと、ル・アーブルのことをウィキったのはこの港町が本作にとって重要なポイントになっているからです。
以前、「君を想って海をゆく」(‘10)という映画を2年前の12月に当試写室で上映しました。http://mtonosama.exblog.jp/15073145/  http://mtonosama.exblog.jp/15091252/
運動音痴でありながら、水泳だけは好きなとのにとって極めて印象的かつ感動的な映画でした。
クルド人の難民少年がドーバー海峡を泳いで英国へ渡るという作品ですが、
こちらはカレーが舞台でした。
カレーはル・アーブルと同じく大西洋に面した北フランスの街で
英仏海峡トンネルでイギリスのドーバーと結ばれています。

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というわけで、イギリスをめざす難民たちは大西洋に面したイギリスに近い北フランスの都市に
足を踏み入れる訳です。
では、難民たちはなぜイギリスを目指すのでしょうか?

理由の第1は、フランスやドイツと違って、イギリスでは亡命者としての身分を簡単に取得することができること。
亡命審査が行われている間、住居と食料、さらに週に35ポンド(約6300円、そのうち約4500円が商品交換券)が支給され、場合によってはそのまま逃亡することもできる。そのうえ、国内に6カ月以上留まると、労働許可証も支給されるが、イギリスには大規模な無許可労働市場があるため、実際には許可証なしに簡単に仕事を見つけることができる。
難民にとってイギリスでの生活の1番の魅力的な面としては、他の欧州諸国にあるIDカード制度がないこと。イギリスでは、犯罪者として疑われているとき以外は、国籍などについて聞かれることはなく、安心して生活することができる。
一方フランスでは、難民には働く権利がなく、彼らは月に180ポンド(約3万2000円)が与えられるだけである。また、制度上は難民センターにおいて住居を探す手助けをしてもらえるのだが、実際は、自分たちで探さなくてはならない。さらに、日常生活を営むうえでIDカードが必需となっており、絶えず生活に対する不安がつきまとうことになる。

フランス外務省のスポークスマンはこう語っている。
ロンドンでは民族の多様性を埋めるべく、法律の整備が行われ、あらゆる分野において「公平さ」や「多様性の理解」が周知徹底されようとしているが、大陸はまったく逆の立場にある。この違いが特にイギリスが難民を引きつける要素になっているのであろう。
こうした難民の流入に伴う多くの問題への対応は、現在、イギリス全土の地方自治体において大きな課題となってきている。
「自治体国際化フォーラム」 http://www.clair.or.jp/j/forum/forum/articles/jimusyo/146LOND/INDEX.HTM#4


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と、またまた引用が長くなってしまいました。
もうおわかりでしょうが、本作では難民が描かれています。

とはいえ、難民の抱えるさまざまな問題をしゃっちょこばって論じる映画ではなく、
あるいは、難民はこんなに可哀想なんだから、という社会派の映画でもありません。
だから、どういう映画なんだ?と問われれば、メルヒェンと答えてしまいましょう。
それも、ここまでやるか・・・と思わず開いた口がそのまま閉まらない超ハッピーな映画なんです。

さあ、異能の人アキ・カウリスマキ監督の最新作は、一体どんなお話でしょうか。
乞うご期待でございますよ。



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ル・アーブルの靴みがき
監督・脚本・プロデューサー/アキ・カウリスマキ、助監督/ジル・シャルマン、撮影/ティモ・サルミネン
出演
アンドレ・ウィルム/マルセル・マルクス、カティ・オウティネン/アルレッティ、ジャン=ピエール・ダルッサン/モネ警視、ブロンダン・ミゲル/イドリッサ、エリナ・サロ/クレール、イヴリヌ・ディディ/イヴェット、ゴック・ユン・グエン/チャング、ライカ/ライカ、フランソワ・モニエ/ジャン=ピエール、ロベルト・ピアッツァ/リトル・ボブ、ピエール・エテックス/ベッカー医師、ジャン=ピエール・レオー/密告者
4月28日(土)よりユーロスペースほか全国順次ロードショー
2011年、フィンランド・フランス・ドイツ、フランス語、93分、字幕翻訳/寺尾次郎、提供/ユーロスペース+キングレコード、配給/ユーロスペース
http://www.lehavre-film.com/

by Mtonosama | 2012-04-15 06:06 | 映画 | Comments(8)
裏切りのサーカス -2-
TINKER TAILOR SOLDIER SPY

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© 2011 KARLA FILMS LTD,PARADIS FILMS S.A.R.L .AND KINOWELT FILM PRODUKTION GMBH.ALLRIGHTS RESERVED.

スパイ映画と言えば、007の♪チャンチャカチャンチャンチャチャチャ♪とか、
♪チャンチャンチャチャチャンチャンチャチャ♪(あ、わかりませんよね、「スパイ大作戦」のつもりですけど)
とかのお囃子みたいなテーマミュージックが頭の中に鳴り響くとのです。

でも、最近は2010年6月当試写室でも上映した「フェアウェル さらば,悲しみのスパイ」http://mtonosama.exblog.jp/14041274/ http://mtonosama.exblog.jp/14068480/
というようなお囃子テーマミュージック風スパイ映画とは一線を画したスパイ映画が
観られるようになりました。

職業としてのスパイをスパイ本人がとらえ返すとこうなるのかな、
とも言える冷静さと人間の深さが感じられた最近のスパイ映画です。
本作「裏切りのサーカス」もそのカテゴリーに属する映画。

ただ、試写状に「本作は裏面にある説明をよく読んでからご覧ください」とあったり、
フライヤー(チラシ)のキャッチフレーズは「展開、伏線、結末----鑑賞は、頭脳戦になる」だし、
試写場でも近くに座った人たちが「結構、くせものらしいね」なんて話してるし、
観る前から緊張しまくりの気の小さいとのでした。

確かに巧妙にしかけられた作品でして、ストーリー紹介も難しいのですが・・・・・
と、とりあえず言い訳しておいて、いきます。


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ストーリー
多くの犠牲を払った第二次世界大戦が終わった。だが、世界は東西冷戦の時代に突入。
1970年代前半、英国情報局秘密情報部MI6とソ連国家保安委員会KGBの情報戦は熾烈なものになっていった。

英国諜報部〈サーカス〉のリーダー・コントロールは、5人のサーカス幹部の中に
長期に渡ってソ連の二重スパイ〈モグラ〉が潜入しているとの情報をつかむ。
そして、ハンガリーの将軍が〈モグラ〉の名前と引き換えに亡命を要求。
コントロールは工作員ジム・ブリドーをブダペストに送り込んだが、作戦は失敗。
コントロールは責任を問われ、長年の右腕だったジョージ・スマイリーと共にサーカスを去る。
サーカス新リーダーのパーシー・アレリンはビル・ヘイドン、ロイ・ブランド、トビー・エスタヘイスを率い、成果を上げていった。
一方、コントロールは謎の死を遂げ、
ジョージ・スマイリーも最愛の妻に捨てられ空しい日々を送っていた。

そんなスマイリーが英国政府情報機関次官監査役に、
サーカスの4人の幹部の中に潜む〈モグラ〉をつきとめるよう極秘命令を下される。
彼はサーカスの工作員ピーターらとチームを組み、古いホテルに作戦室を開く。

ある日、ピーターは不審な記録を入手する。
それは、ブダペストで射殺された筈の工作員ジムの口座に1000ポンドが振り込まれていた
というものだった。それも彼の死後に、である。
謎は深まるばかり。
そんな中、イスタンブールで東側に寝返ったといわれていた工作員リッキーが帰国し、
スマイリーに助けを求めてきた。
リッキーは当時イスタンブールで東側の通商使節団員イリーナと恋に落ちた。
もちろん、これは違反行為である。
亡命を望むイリーナが交換条件として示したのは〈モグラ〉の情報だった。
だが、リッキーがサーカスにそのことを知らせる電報を打った直後、
イリーナはソ連に連れ去られてしまう。

粛々と進むスマイリーの捜査。次第に明らかになってくる事実。そして、罠はしかけられる……

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この映画のもうひとつのキャッチフレーズは
一度目、あなたを欺く。
二度目、真実が見える。

この言葉の呪いにかかり、俳優たちのさりげない視線や笑みに
「うーん、これにはきっと何か裏がある」と映画を観終わってからも、あれこれ考えてしまう作品です。

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「英国王のスピーチ」で見せた気弱な王様とはまた随分違ったキャラクターを演じたコリン・ファース。
華がありながら、影のあるコードネーム・テイラーを十二分に楽しませてくれました。
出演者が多く、諜報部幹部と工作員との関係、あるいは英国政府・政治家との関係など
知らない世界ゆえ、わかりにくいかなと不安に思いましたが、そこはさすがです。
サーカスの幹部たちのキャラが1人1人際立っていて、演技、時代背景ともに満喫しました。

ジョージ・スマイリーを演じたゲイリー・オールドマン、コントロール役のジョン・ハート。
すごく良かったです。
しかし、こんな渋い俳優に入れ込むなんて、とのも大人になったもんです。ま。150歳だから当然かも。

あ、そうそう。ジョン・ル・カレですが、脚本から撮影まで全面的に協力しただけでなく、
なんと出演もしています。サーカスのパーティシーンに出ているんですよ。
このことを確認するためにももう1回観なくちゃいけないかもしれません。 





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裏切りのサーカス
監督/トーマス・アルフレッドソン、製作/ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー。ロビン・スロヴォ、脚本/ブリジット・オコナー、ピーター・ストローハン、原作/ジョン・ル・カレ「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」(ハヤカワ文庫刊)、製作総指揮/ジョン・ル・カレ、ピーター・モーガン、ダグラス・アーバンスキー、撮影/ホイテ・ヴァン・ホイテマ、衣装/ジャクリーン・デュラン
出演
ゲイリー・オールドマン/ジョージ・スマイリー、キャシー・パーク/コニー・サックス、ベネディクト・カンバーバッチ/ピーター・ギラム、デヴィッド・デンシック/トビー・エスタヘイス、コリン・ファース/ビル・ヘイドン、スティーヴン・グレアム/ジェリー・ウェスタビー、トム・ハーディ/リッキー・ター、キアラン・ハインズ/ロイ・ブランド、ジョン・ハート/コントロール、トビー・ジョーンズ/パーシー・アレリン、スヴェトラーナ・コドチェンコワ/イリーナ、サイモン・マクバーニー/オリヴァー・レイコン、マーク・ストロング/ジム・プリドー
4月21日(土)TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館他にて全国順次公開
2011年、イギリス・フランス・ドイツ合作、128分、字幕/松浦美奈、配給/ギャガ、http://uragiri.gaga.ne.jp/

by Mtonosama | 2012-04-12 06:50 | 映画 | Comments(4)
裏切りのサーカス -1-
TINKER TAILOR SOLDIER SPY

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© 2011 KARLA FILMS LTD,PARADIS FILMS S.A.R.L .AND KINOWELT FILM PRODUKTION GMBH.ALLRIGHTS RESERVED.

冒頭からいきなり、ですが、○○の○○というタイトルは好きじゃありません。
今年2月に当試写室で上映した「恋人たちのパレード」
http://mtonosama.exblog.jp/17221880/ http://mtonosama.exblog.jp/17233263/ でも、
タイトルのことで散々ぶーたれてしまいました。
(あ、このブログのタイトルも○○の○○、「殿様の試写室」でした・・・・・)

そんなわけで、この映画もタイトルゆえに試写を観に行くのを避けていたとのです。
ところが、いつもお邪魔しているパリの梨の木さんが既にこの映画をご覧になったとのことで、
〈サーカス〉というのはイギリス諜報部のことだと教えてもらいました。
いわゆるコードネームみたいなもの?
フランスでのタイトルは「La Taupe(もぐら)」だったそうです。
(梨の木さん、ありがとうございました)
それを知ってちょっと心を動かされました。

しかし、もぐら…?サーカス…?まだよくわかりませんよね。
原題となると、もっとわからないかもしれません。
「Tinker,tailor,soldier,spy」ですもん。「鋳掛屋、仕立屋、兵士、スパイ」ですよ。
いよいよもってわかりません。

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でも、ジョン・ル・カレのファンならすぐおわかりでしょう。
元MI6諜報部員であり、そして、スパイ小説の大家であるジョン・ル・カレの最高傑作。
彼がMI6在職中に実際に起きた事件を基に書き上げ、
“スパイ小説の金字塔”と呼ばれた小説
「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」を完全映画化した作品なのでありました。


イギリス情報局秘密情報部(英: Secret Intelligence Service、SIS)は、イギリスの情報機関の1つである。外務大臣等の指揮下にあり、英国国外での人による諜報活動(ヒューミント)を主な任務としている。1909年設立。
旧称からMI6(エムアイシックス、Military Intelligence section 6 - 軍情報部第6課)としても知られており、公式サイトに表示されているロゴマークも"SECRET INTELLIGENCE SERVICE MI6"となっている。(Wikipediaより)

とのはジョン・ル・カレの作品は読んだことはありませんし、
映画化作品も「ナイロビの蜂」(‘05)しか観ていないので、
純粋にこの映画だけから感じた印象をいうと、
1970年代前半という時代の心象風景というか、
東西冷戦を、そのままスクリーンに反映したかのようなどこか薄暗い静かなものを感じました。
そのしーんとあらゆるものを吸いこんでしまうような静かなイメージ、なかなか良いです。


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そう、時代は東西冷戦下。
英国諜報部<サーカス>のリーダー・コントロール(ジョン・ハート)が諜報部幹部の中にソ連の二重スパイ<もぐら>がいるという驚くべき情報をつかんだというのが、この映画の骨子です。
「果たして<もぐら>とはいったい誰!?」というだけの映画ではありません。

本作のもの静かな雰囲気を構成するのに洋服も大きな役割を果たしている気がします。
さりげないステンカラーのコートとか、ツイードのジャケット、
コードネーム・テイラーの名の通り、コリン・ファース演じるビルが着こなす三つ揃いのスーツとか、
さすが英国という感じ。
お洒落もお洒落ですけど、良いものを着ているし、洋服に着られてる感じがないし、
渋くて素敵なんですよね。

余談ですが、衣装デザインを担当したジャクリーン・デュランは、
MI6に勤務する男たちはサヴィル・ロウに通っていると想定したのだそうです。
サヴィル・ロウ。そうです。ロンドン中心部のオーダーメイドの紳士服店が集中しているショッピングストリートで、
日本語の<背広>の語源になったとも言われている街です。

すいません。余談で終わってしまいました。
さあ、どんなお話でしょうか。原作を読んだ方も、読んでない方も、充分楽しめる映画ですよ。



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裏切りのサーカス
監督/トーマス・アルフレッドソン、製作/ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー。ロビン・スロヴォ、脚本/ブリジット・オコナー、ピーター・ストローハン、原作/ジョン・ル・カレ「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」(ハヤカワ文庫刊)、製作総指揮/ジョン・ル・カレ、ピーター・モーガン、ダグラス・アーバンスキー、撮影/ホイテ・ヴァン・ホイテマ、衣装/ジャクリーン・デュラン
出演
ゲイリー・オールドマン/ジョージ・スマイリー、キャシー・パーク/コニー・サックス、ベネディクト・カンバーバッチ/ピーター・ギラム、デヴィッド・デンシック/トビー・エスタヘイス、コリン・ファース/ビル・ヘイドン、スティーヴン・グレアム/ジェリー・ウェスタビー、トム・ハーディ/リッキー・ター、キアラン・ハインズ/ロイ・ブランド、ジョン・ハート/コントロール、トビー・ジョーンズ/パーシー・アレリン、スヴェトラーナ・コドチェンコワ/イリーナ、サイモン・マクバーニー/オリヴァー・レイコン、マーク・ストロング/ジム・プリドー
4月21日(土)TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館他にて全国順次公開
2011年、イギリス・フランス・ドイツ合作、128分、字幕/松浦美奈、配給/ギャガ、http://uragiri.gaga.ne.jp/

by Mtonosama | 2012-04-09 06:59 | 映画 | Comments(6)
オレンジと太陽 -2-
Oranges and Sunshine

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(C)Sixteen Midlands (Oranges) Limited/See-Saw (Oranges) Pty Ltd/Screen Australia/Screen NSW/South Australian Film Corporation 2010

その昔、そう100年以上前から、ごく最近の1970年まで、
イギリスから海外へ送られた施設の子ども達。
渡航の前に、親に会うこともなく、子どもたちだけで海を渡っていきました。
船が着いた先には暖かい太陽とおいしいオレンジが待っているよ、
という言葉を信じて。


ストーリー
1986年、イギリス・ノッティンガム。
社会福祉士のマーガレット・ハンフリーズは、1人の女性から
「自分が誰なのかを知りたい」と訴えられる。
その女性シャーロットはノッティンガムの児童養護施設にいた4歳の時に、
数百人の子どもたちと一緒に船に乗せられ、オーストラリアに送られたという。
マーガレットは最初その話を信じられなかったが、
さらに別の女性ニッキーから聞いた話に心が動いた。
それはニッキーに数年前届いたという
「多分、僕はあなたの弟です」と伝える手紙だった。
彼女の弟ジャックも、シャーロットと同じようにオーストラリアへ連れて行かれ、
ようやく探し出せた姉の居所に宛てて手紙を送ってきたのだ。

f0165567_6274176.jpgそれをきっかけにマーガレットは調査を開始。
すると、死んだと聞かされていたシャーロットの母が
まだ生きているということがわかった。

しかも、シャーロットの母は、娘はイギリスの養父母にもらわれたと信じていて、
オーストラリアに送られていた事実をまったく知らなかった。

ジャックに会いにオーストラリアへ向かったマーガレットは、
そこにジャックやシャーロットと同じ境遇の人たちが大勢いることを知る。
彼らはオーストラリアに到着すると、過酷な環境で働かされたり、虐待されたり、
苦しい人生を歩んでいたあの児童移民たちだったのだ。
彼らは自分が誰なのか、母親がまだ生きているのか、知りたがった。
マーガレットは、イギリスとオーストラリアを往復し、彼らの家族を捜し出す活動を始める。

オーストラリア。
マーガレットのもとには、沢山の人が相談に訪れ、それは長い行列になった。
最初の相談者に付き添って来た男性レンは、
「あんたに何ができる」とマーガレットに突っかかる。
だが、実は彼も児童移民で心の底では母親を見つけたがっていた。
やがて、マーガレットの活動はマスコミの注目を集め、
イギリスが子どもたちを植民地に送ったという『児童移民』は、
政府の政策によって行われていたことも明らかになる。
そして彼女の調査は、次第に政府レベルの大きな組織をも揺らし始めていった……


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http://www.childmigrantstrust.com/

映画は、厳しい口調で英国政府を告発したり、
児童の人権問題を声高に訴える政治的なものではありません。

そうではなく、成長したかつての子どもたちが
「僕は誰なの?」「ママに会いたい」と泣くのです。
良い歳をした大人が小さな男の子や女の子に戻って
心の底から悲しげに泣くんです。
彼らにとって大事なのは
海の上で断ちきられてしまった
イギリスにいた頃の自分を取り戻すことだったんですね。

マーガレットはそんな彼らのために英国に暮らす夫や子どもたちと離れ、
オーストラリアで活動しました。
そして、英豪両政府首相は正式に謝罪をするに至ったのです。
しかし、児童移民を送り出す施設がキリスト教の団体だったりしたため、
その活動は司祭たちに対する背信行為だとして、
彼女を襲撃する狂信者もいました。
どんな活動も障害なく進められるものではありません。
宗教の二面性というか、教会も組織である限り、
人が携わる以上その人々の心性が問われます。
その人々が例え宗教者であろうとも。

いやあ、大変な活動だったと思います。
ふーん、こんなことがあったのか、と
映画は知らなかったことを教えてくれる歴史の教材。
それがおしつけがましいものでなく、時に感動すら与えてくれるのですから。
まさに映画館は学校です。





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オレンジと太陽
監督/ジム・ローチ、脚本/ロナ・マンロ、原作/「マーガレット・ハンフリーズ著「からのゆりかご---大英帝国の迷い子たち」(日本図書刊行会)、撮影/デンソン・ベイカー
出演
エミリー・ワトソン/マーガレット・ハンフリーズ、デイヴィッド・ウェナム/レン、ヒューゴ・ウィーヴィング/ジャック、リチャード・ディレーン/マーヴ、ロレイン・アッシュボーン/ニッキー
4月14日(土)岩波ホールほか全国順次公開、イギリス・オーストラリア、106分、字幕/斎藤敦子、
配給/ムヴィオラ
http://oranges-movie.com/

by Mtonosama | 2012-04-06 06:51 | 映画 | Comments(6)
オレンジと太陽 -1-
Oranges and Sunshine

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(C)Sixteen Midlands (Oranges) Limited/See-Saw (Oranges) Pty Ltd/Screen Australia/Screen NSW/South Australian Film Corporation 2010


世界には知らないことばかり。
知らないことは知らないままにしておけばいい、と思うこともありますが、
やはり隠された不都合な真実はあらわになるよう運命づけられているのです。
このことが神や仏のいることの証明になるのか、
人間には良い人も悪い人もいるという証なのか・・・・・

あ、この映画の主題から離れてしまいました。

いや、しかし、とんでもないことが行われていたものです。
それも、ごく最近の1970年代まで。
たかだか40年前までこんなことがイギリスで行われていたとは、知りませんでした。

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http://www.childmigrantstrust.com/

それは児童移民制度。
児童が移民するといっても、親と一緒に外国へ行くというのではなく、
文字通り、子どもだけで異国へ渡り、その地に入植するという制度です。

英国ノッティンガムで社会福祉士として働くマーガレット・ハンフリーズが
その仕事を通じて知り、やがて調査を始めて明らかになった制度、
それが1896年から1970年代にかけて行われていた「児童移民制度」でした。
貧困家庭や親の麻薬依存症、そしてアルコール中毒などを理由に
親から引き離された13万人もの児童や孤児が、
福祉の名のもとにオーストラリアやニュージーランドの施設に送り込まれていました。

この児童移民、その動機はさまざまでしたが、
確かなことは子どもたち自身を最優先としてはいなかったということ。
カナダでは便利で安価な労働力として、オーストラリアでは人口を押し上げる手段として、
旧ローデシアでは白人の経営エリートを保護する方法としてみなされていたそうです。

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「オレンジと太陽」はそうした児童移民制度の事実を告発した実在の社会福祉士マーガレット・ハンフリーズの物語です。彼女が書いた「からのゆりかご---大英帝国の迷い子たち」が原作となっています。

さて、このマーガレット・ハンフリーズという女性。
1987年には児童移民トラストを設立し、児童移民の問題に対処しています。
戦後には下は3歳の子どもまでもが、カナダ、ニュージーランド、ジンバブエ(旧ローデシア)、オーストラリアへ、1970年まで送られ続けていた児童移民。
彼らへのカウンセリングや離散家族との再会を含む社会福祉サービスを提供しているのが
児童移民トラスト、オーストラリアとイギリス両国に登録された慈善団体です。

本作では、オレンジと太陽という暖色の優しいイメージからは程遠い衝撃の事実がガツンと描かれています。
監督はイギリスの誇る社会派監督ケン・ローチの息子ジム・ローチ。
「オレンジと太陽」は彼の初監督作品であります。
蛙の子は蛙。息子もまた父と同じく社会派のテーマで長編映画監督デビューを飾りました。
さあ1969年生まれのジム・ローチ、どんな映画を観せてくれるのでしょうか。
続きは次回までお待ちくださいませ。乞うご期待でございますよ。



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オレンジと太陽
監督/ジム・ローチ、脚本/ロナ・マンロ、原作/「マーガレット・ハンフリーズ著「からのゆりかご---大英帝国の迷い子たち」(日本図書刊行会)、撮影/デンソン・ベイカー
出演
エミリー・ワトソン/マーガレット・ハンフリーズ、デイヴィッド・ウェナム/レン、ヒューゴ・ウィーヴィング/ジャック、リチャード・ディレーン/マーヴ、ロレイン・アッシュボーン/ニッキー
4月14日(土)岩波ホールほか全国順次公開、イギリス・オーストラリア、106分、字幕/斎藤敦子、配給/ムヴィオラ、http://oranges-movie.com/

by Mtonosama | 2012-04-03 06:24 | 映画 | Comments(10)