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殿様の試写室

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<   2012年 05月 ( 10 )   > この月の画像一覧

ジェーン・エア -2-
Jane Eyre

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(C)RUBY FILMS (JANE EYRE) LTD./THE BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2011. ALL RIGHTS RESERVED.

どんよりと煙ったようなイングランドの空。
霧の中にほのかに浮かぶ館。
屋敷の窓から室内に射し込むミルク色の光、
部屋の角や天井は常に薄い闇に支配されています。

どこかから狂女の笑い声が響いてきたり、
隠し扉の向こうには何かの気配がひそやかに佇んでいたり――

19世紀の古い屋敷の薄気味悪さ。
やはり英国はこうでなくっちゃ。
こういうものはやはり中学生ではわからないかもしれません。

って、あくまで自分の未熟さを擁護するとのであります。

ジェーン・エアを演じたミア・ワシコウスカや、
ロチェスター役のマイケル・ファスベンダー以上に存在感を示したのが
ダービーシャー州にあるハドン・ホールという実在の館です。
場所的には英国の真ん中マンチェスターの南東60キロあたりに建てられた中世の建物です。
石灰岩の岩地の頂上に11世紀とも12世紀とも言われる時代に建てられ、
かつて200年にもわたって閉鎖されていたので近代化の洗礼を受けませんでした。
歴史遺産ともいうべき屋敷。
建物も敷地も一般公開され、「エリザベス」をはじめ、映画にも何度も登場しているのだそうです。
小説「ジェーン・エア」の舞台でもあるダービーシャー州。

映画を観た後は絶対もう一度小説も読んでみたくなるはずです。


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ストーリー
幼い頃に両親を亡くしたジェーンはずっと孤独でした。
引き取ってくれた伯父が亡くなると、その妻と息子にいじめられました。
伯母の手によって送り込まれた寄宿学校でも教師たちからひどい仕打ちを受け、
初めてできた友人も病気で死んでしまいます。
それでもジェーンは卑屈になることも、涙にくれることもなく、強く生きるのでした。

寄宿学校を卒業したジェーンは母校で教師をした後、
ガヴァネス(住み込み家庭教師)としてソーンフィールド屋敷で働くことに。
館の主人ロチェスターが後見人をつとめる少女アデールを教えることになったのです。
ですが、屋敷にロチェスターの姿はなく、
家政婦のフェアファックス夫人が全て取り仕切っていました。

3ヶ月後、町へ出かけたジェーンは森の中で見知らぬ馬上の男と遭遇。
驚いた馬は男を振り落としてしまいます。
その男こそ、ソーンフィールド館の主ロチェスターでした。
ジェーンにぶしつけな質問を浴びせるロチェスター。彼の問いに落ち着いて答えるジェーン。
やがて2人は互いの人間性に強く惹かれるものを感じるようになっていきます。

ある夜、不審な物音に眼を覚ましたジェーンは音のする方へ向かいます。
そこはロチェスターの部屋でした。既にカーテンを這い上がる炎。
ロチェスターを必死で揺り起すジェーン。
彼は「君が救ってくれると信じていた」と囁くのでした。

ところが、翌朝、ロチェスターはジェーンに一言もなく館を出ていきます。
数週間後、大勢の客人を引き連れて戻ってきましたが、
その中には彼の結婚相手だと噂される美しい令嬢が。
その夜、またもや事件が起きます。客の男が何者かにナイフで斬りつけられたのです。
ロチェスターは誰が犯人かわかっている様子なのに、何も語ろうとしません。

一方、ロチェスターの結婚が間近だと聞かされたジェーン。
彼女は屋敷を去る決心をします……

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いやいや、ストーリーだけを見れば、バリバリの恋愛映画なんですけどね。
しかし、ただの恋愛ものに堕してはいないのです。
それがこの映画が尋常じゃないところなんです。
屋敷の不気味な雰囲気といい、屋敷内で起こる不思議な事件といい、
緊張で筋肉がこわばりそうな雰囲気に包まれます。

その昔、ある友人が「本当に怖い怪奇小説を読みたいなら『嵐が丘』を読むといいよ」
と言っていましたが、さすが、ブロンテ姉妹。
「ジェーン・エア」の醸す気味悪さ――

いえ、気味が悪いというのはちょっと不穏当です。
ゴシック調と言った方がいいでしょうか。

長編映画2作目にして、この完成度。
キャリー・ジョージ・フクナガ監督も尋常な才能ではありません。

さて、本作についてはもうひとつお伝えしたいことが。
ジェーンが身を寄せるリバース家の主人を演じるのは、なんと「リトル・ダンサー」(‘00)
で主人公の少年を演じたジェイミー・ベル。
「おお、おお。大きくなったねぇ」と思わず、つぶやいてしまいました。

俳優も監督もどんどん若手が育ってきますね。
楽しみなことです。





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ジェーン・エア
監督/キャリー・ジョージ・フクナガ、脚本/モイラ・バフィーニ、原作/シャーロット・ブロンテ、製作/アリソン・オーウェン、ポール・トライビッツ、撮影/アドリアーノ・ゴールドマン、音楽/ダリオ・マリアネッリ
出演
ミア・ワシコウスカ/ジェーン・エア、マイケル・ファスベンダー/エドワード・フェアファックス・ロチェスター、ジェイミー・ベル/セント・ジョン・リバース、ジュディ・デンチ/フェアファックス夫人
6月2日(土)TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館他全国順次ロードショー
2011年、イギリス・アメリカ映画、120分、字幕翻訳/古田由紀子、配給/ギャガ、後援/ブリティッシュ・カウンシル
http://janeeyre.gaga.ne.jp/

by Mtonosama | 2012-05-31 06:26 | 映画 | Comments(8)
ジェーン・エア -1-
Jane Eyre

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(C)RUBY FILMS (JANE EYRE) LTD./THE BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2011. ALL RIGHTS RESERVED.

「ジェーン・エア」。シャーロット・ブロンテの小説です。
恋愛小説の大傑作といわれているわけですが、
小説って読んだ年齢によって、どんなジャンルに設定するかは違ってくると思うんです。

もしかしたら、とのだけのことかもしれませんが、
初めて、あの緑色の河出書房世界文学全集で「ジェーン・エア」を読んだとき、
寄宿舎でいじめられた可哀想な女の子の話だと思っていました。

って・・・・・

大体、今の河出書房新社世界文学全集はマカロンカラーの可愛い装丁で、
緑色なんて一体いつの話のこと?なんですけどね。

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「ジェーン・エア」は、1847年に出版されて以来、
劇場映画版は18作品、TV映画版は9作品も作られてきた古典中の古典、名作中の名作です。
そうそう、少女雑誌の付録として漫画化もされています。
(それを読んだ友人はロチェスターの名前もよく覚えていました)

今回、「ジェーン・エア」と聞いて気恥かしさ半分、懐かしさ半分の気持で試写を観ました。

しかし、ジェーン・エアと小公女セーラがごっちゃになってしまったような
良い加減な読書をしていたおばかな中学生だったとのにとって、
この名作の映画化作品はかなり衝撃的でありました。

ジェーンって、なんて強い女の子なの!?
霧に沈む城館のどこか薄気味悪いようなこの陰鬱さはなに!?
150歳になった今、映画のワンシーンワンシーンがズシンと来ます。
こういうところが歳をとることの良さかもしれません。

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監督はキャリー・ジョージ・フクナガ。父方の祖父が日本人という日系アメリカ人です。
と聞いて、オッ?と思われた方、そうです。
2010年4月当試写室で上映した「闇の列車、光の旅」
http://mtonosama.exblog.jp/13321965/  http://mtonosama.exblog.jp/13357299/
の監督です。
貧困を逃れるため中米ホンジュラスからアメリカへと脱出する女の子が主人公の映画。
キャリー・ジョージ・フクナガ監督の長編映画デビュー作となった作品でした。

「闇の列車、光の旅」は1977年生まれの若い監督のデビュー作であり、
その内容も貧困問題や児童ギャングなど社会的な視点を打ち出した野心的な作品でした。
それがうってかわって19世紀の英国を舞台にした名作の映画化です。
ずいぶんな様変わりです。
でも、前作が非常に印象に残っているので、
いったいどんなジェーン・エアを描いてくれるのか、期待は高まります。
この映画が「ジェーン・エア」との初めての出会いという方もお見えになるかとも思います。
とのなども「ジェーンさん、初めまして!」の心境です。

さあ、一体どんなジェーンに会うことができるのでしょうか。
どうぞ次回をお楽しみにお待ちくださいませ。

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ジェーン・エア
監督/キャリー・ジョージ・フクナガ、脚本/モイラ・バフィーニ、原作/シャーロット・ブロンテ、製作/アリソン・オーウェン、ポール・トライビッツ、撮影/アドリアーノ・ゴールドマン、音楽/ダリオ・マリアネッリ
出演
ミア・ワシコウスカ/ジェーン・エア、マイケル・ファスベンダー/エドワード・フェアファックス・ロチェスター、ジェイミー・ベル/セント・ジョン・リバース、ジュディ・デンチ/フェアファックス夫人
6月2日(土)TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館他全国順次ロードショー
2011年、イギリス・アメリカ映画、120分、字幕翻訳/古田由紀子、配給/ギャガ、後援/ブリティッシュ・カウンシル
http://janeeyre.gaga.ne.jp/

by Mtonosama | 2012-05-28 05:59 | 映画 | Comments(12)
星の旅人たち -2-
The Way

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© The Way Productions LLC 2010

最近、日本人の巡礼者も多いというサンティアゴ・デ・コンポステーラ。
本作の主人公は60歳を過ぎたアメリカ人ですが、
巡礼を続ける内にオランダ人、カナダ人、アイルランド人の道連れができ、
なにやらインターナショナルで愉快な様子ではあります。

四国のお遍路で「同行二人」ということを言いますよね。
とのはまだお遍路さんをしたことはありませんが、
この二人という意味は、例え1人でお遍路していても
いつも弘法大師が一緒に歩いていてくださる、
つまり、弘法さんと二人の道中ということなのだそうです。
なるほど、だから「同行二人」なんですね。

エミリオ・エステベス監督が「同行二人」の意味を知っていたかどうかはわかりませんが、
実は、本作も「同行二人」がキーポイントになっています。
さあ、どんなお話かというと―――


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ストーリー
カリフォルニアの眼科医トム・エイヴリーがゴルフを楽しんでいるところに
ショッキングな知らせが届きます。
1人息子のダニエルがピレネー山脈で嵐に巻き込まれ、不慮の死を遂げたというのです。
なぜまたピレネーに?
実は、ダニエルはスペイン北西部サンティアゴ・デ・コンポステーラへの巡礼の旅にでかけたのです。
トムは、つい先日空港へ送っていったばかりでした。

その時の会話が彼の胸に蘇ります。
「お前と生き方は違うが、私は今の人生を選んだ」と説教口調で言うトムに
「人は人生を選べない。ただ生きるだけなんだ」と答えるダニエル。
二人は決して仲の良い父子ではありませんでした。

フランスとスペインの国境にあるサン=ジャン警察のセバスチャン警部を訪ねたトムは
ダニエルの遺品である大きなリュックを受け取ります。
最初、トムは息子の亡きがらと遺品と共にすぐに帰国するつもりでいました。
ところが、トムはダニエルを現地で荼毘に付し、その遺灰をリュックに収めました。
トムはダニエルの巡礼の旅を引き継ぐ決心をしたのです。
800キロに及ぶ旅は60歳を超すトムにとって決して生易しいものではないはず――

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ダイエットのために巡礼に出たと語る陽気なオランダ人のヨスト。
なにやら秘密を抱えたヘビースモーカーのカナダ人女性サラ。
なんとなく同行者となったこの2人。
しかし、トムは彼らに心を開こうとはしないまま、ダニエルの遺灰を撒きながら旅を続けます。

サンティアゴ・デ・コンポステーラへの旅は出会いと別れの繰り返し。
言葉を交わし、同じテーブルを囲んでいても、それぞれの体調に合わせて旅をするので、そのまま別れたり、また、ばったり出会ったり。

次に出会ったのはアイルランド人のジャック。
現在スランプ中の旅行ライターです。
このジャック、オランダ人のヨストから、トムが息子の遺灰を撒きながら巡礼していることを聞き、作家魂がメラメラと燃えてきました。

おしゃべりジャックが、サラにトムの巡礼の理由をしゃべってしまったり、
本を書かせてくれ、とせがんだり――
イライラしたトムはついついワインを飲み過ぎ、留置場に入れられてしまいます。

でも、そんなトムを救ってくれるのも同行者たちでした。
そして、トムは自分が巡礼の旅に出ることになった真相と
1人息子ダニエルとのやりとりを本にする許可を与え、ジャックに話し始めるのでした……

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トムと「同行二人」だったのは亡き1人息子ダニエル。
巡礼地のそこここに佇むダニエル。息子と肩を並べ、あるいは、息子の背中を見ながら旅を続ける父親トム。

いいですねぇ。ロードムービーの魅力満載です。
風景の変化、人との出会い、自分をみつめること、そして、光明を見ること――
もうロードムービーの良いとこどりです。

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こんなつらいことを人には言えない、これを話すことができる相手は神様だけ、
と思いつめながら深刻な顔をして歩き続けている内に、
ポツリポツリと語り始めているトムを始めとする同行者たち。
まさに「同行二人」なんですね。
1人息子であれ、弘法大師であれ、神様であれ、仏様であれ、
大切な存在と共にあり、守られていると感じられることは大きな救いです。

あ、巡礼映画ではありますが、相容れない父子の融和が美しいラストシーンと共に
胸に迫る作品でもあります。

ああ、旅に行きたいなぁ。





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星の旅人たち
監督・脚本・製作/エミリオ・エステヴェス、製作/フリオ・フェルナンデス、デヴィッド・アレクザニアン、撮影/ラウル・ダバロス、A.C.E.、音楽/タイラー・ベイツ
出演
マーティン・シーン/トム、エミリオ・エステヴェス/ダニエル、デボラ・カーラ・アンガー/サラ、ヨリック・ヴァン・ヴァーへニンゲン/ヨスト、ジェームス・ネスピット
6月2日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
2010年、アメリカ・スペイン合作、英語、128分、後援/スペイン政府観光局、NPO法人日本カミーノ・デ・サンチアゴ友の会、提供/ニューセレクト、配給/アルバトロス・フィルム、字幕翻訳/寺尾次郎、http://www.hoshino-tabibito.com/

by Mtonosama | 2012-05-25 06:19 | 映画 | Comments(9)
星の旅人たち -1-
The Way

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© The Way Productions LLC 2010

なぜか切なくなるほどに好きなんです。
いえ、恋人ではありません。犬でも猫でもありません。

ロードムービーが好きなんです。
A地点からB地点へ移動するというだけのことなのに、なぜこんなに好きなのか、
自分でもわかりません。

例えば、「ローマの休日」(‘53 ウィリアム・ワイラー監督)も、
とのの基準ではロードムービーなので、
「ローマの休日」は物心がついて一番最初に観たロードムービーかもしれません。

「ローマの休日」をロードムービーのジャンルに入れる理由ですか?
それはもちろんオードリーがヴェスパに乗ってローマ市内を移動するからです。
あのシーンがなければ、ただの恋愛映画です。
ま、ただの、っていうのはちょっと言い過ぎですが。

「バニシング・ポイント」(‘71 リチャード・C・サラフィアン監督)などという映画も
破滅へと向かうロードムービーでした。
「イージーライダー」(‘70 デニス・ホッパー監督)も忘れてはいけません。
破滅志向が満ち溢れていたあの時代はタイトルにもひかれて観にいったものです。
ああ、そうそう。
とのの大好きな「サウンド・オブ・ミュージック」(‘65 ロバート・ワイズ監督)だって
ものすごいロードムービーだと思います。

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A地点からB地点への移動。
ロードムービーには地理的な旅もありますし、心の旅もありますし、人生の旅もあります。
でも、比喩や隠喩ではなく、徒歩にせよ、自転車にせよ、スクーターにせよ、バイクにせよ、車にせよ、
列車にせよ、飛行機にせよ、必ず、なんらかの移動を伴うことが必須条件。

と、やかましくわめいているのはなぜか。
はい、今回、上映する「星の旅人たち」というのがロードムービーなんですね。
移動手段は徒歩。目的地はサンティアゴ・デ・コンポステーラ。

サンティアゴは、フランス語でサン・ジャック、英語ではセント・ジェイムス、日本語では聖ヤコブ。
つまり、キリストの12使徒の1人ヤコブを意味するスペイン語です。

コンポステーラとは、ラテン語のCampus stellae<星の野>、
あるいはCompositum<墓場>を由来として名づけられたと、いろいろな説があります。
本作邦題は響きのきれいな<星の野>を採用して「星の旅人」としたのでしょうね。

そう、目的地はキリストの12使徒の1人、聖ヤコブの遺骸が祀られているスペイン北部
ガリシア地方のサンティアゴ大聖堂です。

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巡礼ロードムービーである本作。
このサンティアゴ巡礼を描いた映画としてはルイス・ブニュエル監督「銀河」(‘68)や、
コリーヌ・セロー監督の「サン・ジャックへの道」(‘05)が既にあります。
おばかなとのは本作パンフレットの写真が「サン・ジャックへの道」に似ているし、
監督がエミリオ・エステベスなので、「こりゃ、パクリに違いない」などと失礼なことを思ってしまいました。
エミリオ・エステベスさん、ごめんなさい。
知らない間に監督としても大成していらしたんですね。
「サン・ジャックへの道」にも劣らない素晴らしい映画でした。

巡礼と一言で言いますが、800キロにも及ぶ長い旅を続けるためには、
単に物好きというだけではつとまりません。何か理由が必要な筈です。
重たい理由や、エヘへと笑ってしまうような理由。
さまざまな理由を抱えた巡礼者が理由の軽重にかかわらず、歩き続ける姿。
それには無条件でカタルシスを感じてしまいます。

なぜ人は聖地をめざすのでしょうか?
巡礼こそ究極の心の旅、人生の旅だからでしょうか?

さあ、どんなお話なのでしょうね
乞うご期待でございますよ。

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星の旅人たち
監督・脚本・製作/エミリオ・エステヴェス、製作/フリオ・フェルナンデス、デヴィッド・アレクザニアン、撮影/ラウル・ダバロス、A.C.E.、音楽/タイラー・ベイツ
出演
マーティン・シーン/トム、エミリオ・エステヴェス/ダニエル、デボラ・カーラ・アンガー/サラ、ヨリック・ヴァン・ヴァーへニンゲン/ヨスト、ジェームス・ネスピット
6月2日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
2010年、アメリカ・スペイン合作、英語、128分、後援/スペイン政府観光局、NPO法人日本カミーノ・デ・サンチアゴ友の会、提供/ニューセレクト、配給/アルバトロス・フィルム、字幕翻訳/寺尾次郎、http://www.hoshino-tabibito.com/

by Mtonosama | 2012-05-22 06:37 | 映画 | Comments(8)
ミッドナイト・イン・パリ -2-
Midnight in Paris

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PhotobyRogerArpajou(C)2011Mediaproduccion,S.L.U.,VersatilCinema,S.L.andGravierProductions,Inc.

1920年代のパリ。
主人公ギルが憧れるこの時代はエコール・ド・パリの多くの画家たちが日々酒を飲み、
アーネスト・ヘミングウェイやF・スコット・フィッツジェラルドらがパーティに明け暮れていた時代。
この頃、ガートルード・スタインがヘミングウェイのことをロストジェネレーションの作家と呼びました。
映画ではキャシー・ベイツが演じたこのガートルードいう女性。
アメリカの著述家、美術収集家で、パリに芸術家たちが集うサロンを開いていた人です。
華やかで、自堕落で、芸術的で、いかにも売れっ子脚本家が憧れそうな時代ではあります。
さあ、どんなお話かというと


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ストーリー
花の都パリ。
ハリウッドの売れっ子脚本家のギルはビバリーヒルズに豪邸を購入できるほどの高額所得者ですが、
実のところ、娯楽映画のシナリオ書きにはもうウンザリ。
本格的な作家になるため、パリに移住することを夢みています。
ところが、現実主義者の婚約者イネズが望むのは安定したリッチな生活。
意見の合わない2人の前に、イネズのボーイフレンド・ポールが現れました。
芸術や歴史について博識ぶりをひけらかすいけすかないヤツです。

第1夜
ポールと踊りにいったイネズと別れ、夜のパリを散策するギル。
ホテルへの帰り道がわからなくなり、座り込んでいると時計台が12時の鐘を打ちました。
そこへ現れた1台のクラシックカー。おしゃれで気のいい酔っ払いたちがギルを車へ誘います。
車が向かった先はとあるパーティ会場。
そこで出会ったアメリカ人カップルはスコット&ゼルダ・フィッツジェラルドと名乗ります。
あれ?あの偉大な作家夫婦と同姓同名ではありませんか!
おや、ピアノを弾いている男はコール・ポーター?
え!パーティの主催者はジャン・コクトーだって!?
なんと、ここはギルがさっきまでいた2010年のパリではなく、1920年のパリのパーティ会場でした。
さらにパーティの後、流れて行ったバーではギルが敬愛してやまないアーネスト・へミングウェイに
紹介されたのです。

第2夜
興奮さめぬまま、再び昨夜の場所に向い、あの車に乗り込むギル。
車にはへミングウェイが乗っています。
そして、彼に連れられていったのはガートルード・スタイン女史が主宰するサロン。
そこで女史と絵画論を闘わせていたのはなんとパブロ・ピカソでした。
ギルはピカソの愛人アドリアーナに心を奪われ、彼女もまたギルに興味津津。

第3夜
今宵のパーティ会場は華やかな遊園地。再び出会ったアドリアーナの美しさは輝くばかり。
誰もいない静まり返った真夜中のパリをそぞろ歩くふたり。
そこで出会ったのはスコット・フィッツジェラルドと夫婦喧嘩してセーヌの流れに
身を投げようとしているゼルダでした。
彼女を鎮める際、思わず婚約者イネズのことを口にし、アドリアーナと気まずく別れたギル。
ひとり取り残され、サルバドール・ダリ、ルイス・ブニュエル、マン・レイと共にシュールレアリスティックな夜を過ごすことに。

第4夜
T・S・エリオットと乗り合わせ、ガートルード女史のサロンを訪れたギル。
アドリアーナはヘミングウェイと連れだってキリマンジャロへ出かけ不在でしたが、
ギルの小説を読んだ女史は「あなたの小説は異色でSFのようだわ」と褒めてくれるのでした。

第5夜
夜は1920年のパリ、昼は小説の手直しに没頭するギル。
その間に、イネズといけすかないポールとの仲は深まっていくばかり。
でも、今晩もまたタイムトリップ。
そこで出会ったのはキリマンジャロから帰ってきていたアドリアーナでした。
ギルは今こそチャンスとばかりにアドリアーナと激しくも甘い口づけを交わします。
恋に酔いしれるふたりの前に現れたのは時代がかった1台の馬車。
ふたりが着いたのは伝説のレストラン、マキシム。なんと、そこは1890年のパリ!
マキシムに居並ぶロートレック、ドガ、ゴーギャン、まさにベル・エポックの画家たち。
彼らは口々にルネッサンス期の素晴らしさを語り、
アドリアーナはこのまま華やかなベル・エポックのパリに留まりたいと言い出します。
1920年こそ理想の黄金期だと信じてきたギルの頭は大混乱。
どうなる?ギル、どうする?ギル……

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素敵な設定だと思いません?
ギルならずともこんな状況に陥ってみたいものです。
大混乱中のギルには気の毒だけれど、ま、良い結末をみつけてくれるとは思いますよ。

ギルもアドリアーナもロートレックも、過ぎてしまった時代を恋い慕うんですね。
昔は良かったなぁ、という思いは誰しも抱くものですが、
懐古趣味は夜の魔法の中だけにしておきましょう。
お昼の世界のギルも気にはなりますし。

しかし、ウディ・アレンの職人気質なこの展開。
そして、映画の素直な流れ、と同時に、レトロな中にもきらびやかなパリの夜。
1950年代のハリウッドの良い部分をすべて落とし込んだ映画じゃないでしょうかね。
良かったですよね。1950年代って・・・・・

あれ?





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ミッドナイト・イン・パリ
監督・脚本/ウディ・アレン、製作/レッティ・アロンソン、スティーヴン・テネンバウム、ハウメ・ロウレス、製作総指揮/ハビエル・メンデス、撮影監督/ダリウス・コンジ
出演
キャシー・ベイツ/ガートルード・スタイン、エイドリアン・ブロディ/サルバドール・ダリ、カーラ・ブルーニ/美術館ガイド、マリオン・コティヤール/アドリアナ、レイチェル・マクアダムス/イネズ、マイケル・シーン/ポール、オーウェン・ウィルソン/ギル、ニーナ・アリアンダ/キャロル、カート・フラー/ジョン、トム・ヒドルストン/F・スコット・フィッツジェラルド、ミミ・ケネディ/ヘレン、アリソン・ビル/ゼルダ・フィッツジェラルド、レア・セドゥ/ガブリエル、コリー・ストール/アーネスト・ヘミングウェイ
5月26日(土)東京ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ他全国ロードショー
2011年、スペイン=アメリカ合作、カラー、1時間34分、英語、フランス語、日本語字幕/石田泰子、提供/角川書店、ロングライド、東宝、配給/ロングライド
http://www.midnightinparis.jp/

by Mtonosama | 2012-05-19 07:14 | 映画 | Comments(13)
ミッドナイト・イン・パリ -1-
Midnight in Paris

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PhotobyRogerArpajou(C)2011Mediaproduccion,S.L.U.,VersatilCinema,S.L.andGravierProductions,Inc.


ウディ・アレンという人は本当に多作な監督です。
好き嫌いはあると思うんです。とのもこの監督はどちらかといえば、あまり好きなタイプではありません。
でも、これほど規則正しく、ほぼ毎年、映画を発表するということはなかなかできることではないと思います。
それゆえに鼻につくということもあるかもしれませんけどね。

とのが当試写室を開室してから、今月でちょうど4年目に入りましたが、
あまり好きなタイプではないと言っているにもかかわらず、既に、
「それでも恋するバルセロナ」http://mtonosama.exblog.jp/11353830/
「ウディ・アレンの夢と犯罪」http://mtonosama.exblog.jp/12899266/ http://mtonosama.exblog.jp/12924989/
と2本上映していました。

彼の監督作品だけでも、もうウンザリするほどあるし、
おまけに出演作、声の出演まで含めたら、この小さな試写室はパンクしてしまいます。

今年で77歳になるウディ・アレン。
巨匠と呼べるお歳でもありますから、受賞したアカデミー賞も、作品賞・監督賞各1回(「アニー・ホール」)、
脚本賞3回(「アニー・ホール」、「ハンナとその姉妹」、「ミッドナイト・イン・パリ」)と大変なものです。
本作で今回見事3度目のアカデミー賞脚本賞に輝いたウディ。
でも、いつも通り授賞式には姿を見せませんでしたけどね。

ウディ・アレンといえばNYですが、本作「ミッドナイト・イン・パリ」はタイトル通りパリが舞台。
「NYに住んでいるのでなければ、一番愛する街はパリだ」と言明するウディ・アレンが、
どんな映画を撮ったのか、嫌いといいながらも期待してしまいます。

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エッフェル塔に、凱旋門に、モネの睡蓮の池に、セーヌ河。
これは「地球の歩き方」?と見まごうパリの名所がこれでもか、と登場します。
そして、バックに流れるせわしないナレーション。
はいはい、お約束のウディ節ですね。
いやみでスノッブなインテリ男も登場しますし、
はたから見ればちょっと変だけど、自分だけはまともな人間と思いこんでる主人公もいつも通りかもしれません。

でも、ちょっと待ってください。どこか違うような気がします。
なんか、いつもより夢見がちなんです。
どこかファンタジックで、いつものウディ・アレンらしくありません。
もちろん、早口で饒舌なウディ・アレン節がなく、いやみなスノッブ男さえ登場しなければ、ですけどね。

さあ、夢と言いましたが、どんな夢でしょう。

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主人公の売れっ子脚本家ギルが憧れているのは、1920年代のパリ。
彼は、ダリやヘミングウェイ、F・スコット・フィッツジェラルドが活躍したパリこそが
まさに芸術家にとっての黄金期だと信じて疑いません。
自分もそんな匂いを感じられるパリに暮らしたい、と夢見ています。

今の自分とは違う自分---
ギルのみならず誰でもひそかに夢見る自分です。

さあ、そんなギルにパリの夜が魔法をかけますよ。
一体、どんなお話でしょうか?
乞うご期待でございます。



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ミッドナイト・イン・パリ
監督・脚本/ウディ・アレン、製作/レッティ・アロンソン、スティーヴン・テネンバウム、ハウメ・ロウレス、製作総指揮/ハビエル・メンデス、撮影監督/ダリウス・コンジ
出演
キャシー・ベイツ/ガートルード・スタイン、エイドリアン・ブロディ/サルバドール・ダリ、カーラ・ブルーニ/美術館ガイド、マリオン・コティヤール/アドリアナ、レイチェル・マクアダムス/イネズ、マイケル・シーン/ポール、オーウェン・ウィルソン/ギル、ニーナ・アリアンダ/キャロル、カート・フラー/ジョン、トム・ヒドルストン/F・スコット・フィッツジェラルド、ミミ・ケネディ/ヘレン、アリソン・ビル/ゼルダ・フィッツジェラルド、レア・セドゥ/ガブリエル、コリー・ストール/アーネスト・ヘミングウェイ
5月26日(土)東京ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ他全国ロードショー
2011年、スペイン=アメリカ合作、カラー、1時間34分、英語、フランス語、日本語字幕/石田泰子、提供/角川書店、ロングライド、東宝、配給/ロングライド
http://www.midnightinparis.jp/

by Mtonosama | 2012-05-16 06:20 | 映画 | Comments(6)
ファミリー・ツリー -2-
The Descendants

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© 2011 Twentieth Century Fox

とのの場合、ジョージ・クルーニーは「オー・ブラザー!」(‘01)とか
「バーン・アフター・リーディング」(‘09)とかコーエン兄弟監督の作品が印象深いです。
「ゴルゴ13」のように大きな目で、まじめそうな顔をしているのに、
必死に笑いをこらえてる感じの彼の目元や口元が本当に好きなんです。
そんなコメディっぽい役のクルーニーが好きなのですが、
「ラスト・ターゲット」で演じた殺し屋も素敵でした。
http://mtonosama.exblog.jp/16095831/ http://mtonosama.exblog.jp/16112857/

今回、彼が演じるのは高校生の長女と10歳の次女を持ち、妻に浮気され、
その上、その妻に先立たれてしまうという弁護士の役。
仕事が第一で家庭を顧みないというありがちな親父です。

なんと、クルーニーが父親役ですよ。
初恋の人が十数年ぶりのデートに赤ん坊をおんぶして現れたような異和感を感じます。
しかし、そこはアレクサンダー・ペイン監督とジョージ・クルーニーです。
期待してみようではありませんか。


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ストーリー
マット・キングはハワイ・オアフ島に暮らす弁護士です。
彼は今、大変な時を迎えていました。
妻のエリザベスがパワーボートのレース中に海に転落し、意識不明になってしまっていたのです。
家族をあまり顧みることなく、弁護士業務に明け暮れていたマットは、
妻の意識が戻ったら、良き夫、良き父親になることを深く心に誓うのでした。
ですが、それは簡単なことではなく、反抗期真っ盛りの長女アレックスやら、
10歳になる次女のスコッティの起こす問題やら、
家族にしっかり関わってこなかったマットはてんてこ舞い。

さらに、マットの抱えるもう一つの問題は先祖の遺した広大な土地でした。
実はマットはカメハメハ大王の子孫。
ハワイ政府から信託されたカウアイ島の広大な原野を所有しているのですが、
その売却を考えていました。
この土地を売ってしまえば、一族には莫大なお金が入るのですが、
ハワイの大自然が損なわれると反対する親族もいるし、
島の人々もことの経緯に深い関心を寄せていました。
マットは、というと、亡父の教えに従って質素に暮らしてきたが、
妻が回復したら土地を売ったお金で贅沢な暮らしをさせてあげたいと考えています。
でも、妻は眠り続けたまま。

ハワイ島の全寮制高校で学んでいる長女のアレックス。
マックスは妻の病状の悪化を受けて彼女を迎えにいきます。
仲の良い母娘だったのに、クリスマスにケンカをしてから口をきいていなかった
アレックスは母の病状を聞いて動揺。
そして、その時、彼女が口にしたのは
「ママは浮気してたんだよ」
長女の言葉にショックを受け、親友夫妻に問いただすと、
なんと彼らは妻エリザベスがマックスとの離婚を本気で考えていたことを告げたのでした。
マックスは妻とその浮気相手ブライアンへの怒りに燃えながらも、
妻のためにブライアンに会い、彼女の病状を伝えることを決意します。

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娘2人、そして、なぜかアレックスのボーイフレンド・シドも一緒に、カウアイ島に滞在するブライアンを訪ねるマット。
カウアイ島到着後、先祖伝来の土地・ハナレイに別れを告げるため、その地を訪れます。
神が宿るかのようなその雄大な景色にしばし声もなく見入る親子。

翌日、ブライアンと出会ったマット。
その後は親族会議に出席し、土地の売却に決断を出さないとならないのですが…

生意気な娘たち、さらに長女のボーイフレンド。
世代のギャップに右往左往し、親戚たちからは土地の売却を期待され、
おまけに、これまで顧みてこなかった妻は昏睡状態に陥っているばかりか、
浮気までしていた・・・・・

そんな事態に、弁護士らしくクールに対処するというのではなく、
ドタバタと困惑しつつ、でも、おまぬけ過ぎることもなく、
ひとつひとつに答えを出していくマット。良い感じでした。

反抗期の長女が父親をちゃんとフォローしてくれ、
変人としか思えない彼女のボーイフレンドが案外な働きを見せてくれたり、
あっけらかんとした次女がナイーブな女の子だったり、と、
登場する1人1人のキャラクターのそれぞれが葉を茂らせた枝。
カメハメハ大王以来の太い幹に生えた枝。まさにファミリー・ツリーなんですね。
枝や葉が寄り添いあい、支え合うように、家族が1本の木として成長していきます。

日常生活でたまった心の澱が溶けていくようなそんな映画でした。

ジョージ・クルーニー。やっぱり良いです。





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ファミリー・ツリー
監督/アレキサンダー・ペイン、原作/カウイ・ハート・へミングス、脚本/アレキサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ、撮影/フェドン・パパマイケル、ASC、製作/アレキサンダー・ペイン、ジム・テイラー、ジム・パーク
出演
ジョージ・クルーニー/マット・キング、シャイリーン・ウッドリー/アレクサンドラ(長女)、アマラ・ミラー/スコッティ(次女)、ニック・クラウス/シド、ボー・ブリッジズ/ヒュー(マットの従兄弟)、ジュディ・グリア/ジュリー・スピア
5月18日(金)TOHOシネマズシャンテ他全国ロードショー
2011年、アメリカ、115分、配給/20世紀フォックス、http://www.foxmovies.jp/familytree

by Mtonosama | 2012-05-12 16:50 | 映画 | Comments(12)
ファミリー・ツリー -1-
The Descendants

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© 2011 Twentieth Century Fox


お待たせしました!
ジョージ・クルーニーの登場です。
え、別に待ってない?
そんなことをおっしゃらず、ちょっといつものおふざけクルーニーとは違う顔の彼を楽しんでいってください。
違う顔といったって、まじめくさったり、深刻な顔という訳ではありませんから。
ああ、ジョージ・クルーニーって本当に良いわぁ。大好きです。
あ、言っちゃった・・・

「ファミリー・ツリー」。ハワイを舞台にした映画です。
オリジナルタイトルは”The Descendants”。
意味は〈子孫、末裔、祖先などからの伝来物〉とジーニアス英和大辞典にはあります。
邦題「ファミリー・ツリー」も〈家系(図)、(ある家族の)先祖と子孫〉とありますから、
ま、家族の映画ということでしょうが、
オリジナルタイトルには〈祖先などからの伝来物〉という意味もあるのが気になります。
そして、本作のキャッチフレーズ「ハワイに暮らしていても人生は楽じゃない」って言葉も。

そ、夢の国とか、この世の楽園とか、いいますけど。
ハワイに住もうが、タヒチに暮らそうが、人生って楽じゃないです。

みんながみんな日がな一日ビーチで寝そべってるわけじゃなし、
全員がシュノーケルつけて海中散歩を楽しんでいるわけではありませんものね。もちろん。

監督はアレキサンダー・ペイン。「サイドウェイ」(’04)で良い味出してくれたあの監督です。
「サイドウェイ」はワイナリーをめぐる男2人のロードムービーでしたが、
さりげなくワイナリーというはやりものを取り入れながら、
人生の渋い部分や美味しい部分を描いていくうまさ、
そう、まるでワインのような美味しさは抜群でしたよね。

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今回もそうでした。ハワイという永遠の楽園を舞台にしながら、暖かい潮風だけではなく、
ブルブルってくる冷たい風を吹かせたり、
ヤシの葉影どころか建物の北側の湿っぽい日陰もあったり、
いかなる名所や名物でも、決してステレオタイプに終わらせない監督です。
第84回アカデミー賞脚色賞を受賞しています。

ハワイであれ、どこであれ、人が暮らす生活の場である以上、
思い通りにいかないことや悩みや苦しみがあるのは当たり前。
知らず知らずに抱いていた根拠のない憧れに
「それは違うよ」と優しく教えてくれるだけでなく、
「じゃあ、どうすればいいのかな」と一緒に考えながら歩いていってくれるような優しい映画です。
「サイドウェイ」もそんなところに惹かれて好きになった映画でした。

さあ、一体どんなお話なんでしょう。乞うご期待でございますよ。



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ファミリー・ツリー
監督/アレキサンダー・ペイン、原作/カウイ・ハート・へミングス、脚本/アレキサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ、撮影/フェドン・パパマイケル、ASC、製作/アレキサンダー・ペイン、ジム・テイラー、ジム・パーク
出演
ジョージ・クルーニー/マット・キング、シャイリーン・ウッドリー/アレクサンドラ(長女)、アマラ・ミラー/スコッティ(次女)、ニック・クラウス/シド、ボー・ブリッジズ/ヒュー(マットの従兄弟)、ジュディ・グリア/ジュリー・スピア
5月18日(金)TOHOシネマズシャンテ他全国ロードショー
2011年、アメリカ、115分、配給/20世紀フォックス、http://www.foxmovies.jp/familytree

by Mtonosama | 2012-05-09 05:52 | 映画 | Comments(8)
ムサン日記~白い犬 -2-
Musanilgi

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©2010 SECONDWIND FILM..All rights reserved.

主人公スンチョルは脱北者。
“ふかわりょう”みたいなおかっぱ頭が気になるっていえば、気になるけれど、
無口でまじめな青年です。

韓国には脱北者がもう2万人以上も暮らしています。
やっとの思いで北朝鮮から韓国へ逃れてきたというのに、
北とはうってかわった大都会ソウルでの暮らしになかなかなじめないスンチョルのような青年もいれば、
要領よく立ちまわることのできる青年もいます。
映画には北からやってきたいろいろな青年が登場します。

ところで、韓国にやってきた脱北者はどのようにして韓国に受け入れられていくのでしょう。


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脱北者は、脱北後、京畿道にある中央合同尋問センターに収容され、尋問を受けます。
家族のこと、脱北の理由、脱出ルートなど、生い立ちから脱北に至る過程などすべてを話さないといけません。
それが終わると、やはり京畿道にある「ハナ院」という施設で最低3ヶ月間は韓国での生活に適応するための訓練を受けます。社会見学にでかけたりして、韓国社会に溶け込むための実地訓練です。就職のための職業訓練もあります。
そして、いよいよ社会に出るのですが、2年間は「身辺安全」のため地元警察に保護され、保安局の刑事が生活指導、職業のあっせんまで生活の面倒を見ます。これには、監視されているようだと不満を持つ脱北者も多いということです。

国を捨てるということ、そして、体制が違う国へ逃れるということは、
同じ民族といえども、とても大変なことなのですね。
いったいどんなお話なのでしょうか。


ストーリー
脱北仲間のギョンチョルと一緒に開発途上の再開発地にある安アパートで暮らすスンチョル。
危ない仕事で荒稼ぎしているギョンチョルは、僅かなバイト代でポスター貼りをするスンチョルを内心ではバカにしている。
ギョンチョルは脱北者たちの金を集め、中国在住の叔父を経由して北朝鮮に送金する闇ブローカーだ。
彼は着たきりスズメのスンチョルにナイキのダウンジャケットを買ってくれる。
だが、試着室で着替えるふりをしながら、ズボンを万引するような男でもあった。

ある日、スンチョルは刑事のパクに連れられて、会社の面接を受ける。
しかし、住民登録番号を示す時、その125番という番号から脱北者であることがわかり、
またも定職につけなかった。

スンチョルの心のよりどころは教会だ。聖歌隊のスギョンは天使のよう。
そんなスギョンは風俗系カラオケバーを経営する父の右腕として働いていた。
スンチョルは教会に行っていることも脱北者であることも隠し、
そのカラオケバーで深夜のアルバイトを始める。

スンチョルは街で白い犬を拾ってくる。彼は犬に「ペック」という名をつけた。
その頃、以前から絡まれていたポスター貼りの不良グループに
ギョンチョルが買ってくれたナイキのダウンをズタズタにされてしまう。

一方、ギョンチョルにも大変なトラブルが。
中国の叔父が逮捕され、北へ送金する金が公安によって取り上げられてしまったのだ。
金を取り返そうと追跡する脱北仲間たちから逃げるギョンチョル。

スンチョルが深夜のアルバイトをする風俗カラオケ店のスギョンは
彼が同じ教会に通っていることを知った。
彼女は自分がカラオケ店で仕事をしていることをスンチョルに口止めしつつも、
同じ信者として2人は親しく言葉を交わすようになる。
ところが、ある日、スンチョルが店のホステス達と讃美歌をカラオケで歌っているのを見て、
スギョンは彼を一方的に解雇。

再びポスター貼りに精を出すスンチョル。
だが、あまりに不器用な仕事ぶりはポスター貼り会社の社長を怒らせ、その仕事すら失ってしまう。
そんな折、またも絡んできた不良たちにスンチョルは初めて反撃する。
鬱屈する思いを抱えて帰宅したスンチョルはギョンチョルにも怒りを向けた。
そして、スンチョルの態度に立腹したギョンチョルはペックを捨ててしまう……


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旧い建物を解体している荒野のような再開発地が拡がるソウル近郊。
まるで戦後、いえ、戦争中のように荒れた風景。
そこからすぐのところに拡がる大都市ソウルの繁栄。
その対比が胸にしみます。

脱北してきてもひたすら地道にソウルの底辺で生きる実直な青年スンチョル。
北の生活と違うことは飢える心配のないことだけなのかもしれません。
飢えのため、北の地で期せずして友人を死なせてしまった彼にとって飢える心配のない
日々はありがたいものでしょう。

しかし、人はパンのみにて生くるにあらず。
夢も希望もなく、屈辱を受け続け、大事にしていた犬も捨てられてしまった時、
心に萌した黒い空気が限度を超えて膨らみきった時、
スンチョルは何かを決断するしかありませんでした。
そして、その結果、失ってしまった清らかな何か。

脱北者が主人公ではありますが、ここに描かれた問題は普遍的なもののように感じました。
韓国の映画界にまた新しい才能が誕生したようです。






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ムサン日記~白い犬
脚本・監督・エグゼクティブ・プロデューサー/パク・ジョンボム、共同エグゼクティブ・プロデューサー/キム・ナンスク、プロデューサー/イ・ジヌク、撮影/キム・ジョンスン
出演
パク・ジョンボム/スンチョル、チン・ヨンウク/ギョンチョル、カン・ウンジン/スギョン、ペック/ペック(白い犬)
5月12日(土)シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー
2010年、127分、韓国、カラー、字幕/根本理恵、配給/スターサンズ、http://musan-nikki.com/

by Mtonosama | 2012-05-06 06:48 | 映画 | Comments(6)
ムサン日記~白い犬 -1-
Musanilgi

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©2010 SECONDWIND FILM..All rights reserved.

次から次へと新しい事件が起きるので、1週間前に起きたことは遠い過去のことになってしまう昨今。
つい先日も北朝鮮が人工衛星と称するものを飛ばし、大騒動になりました。
でも、今はもう次のニュースへと、目も気持も向いています。

今回、ご紹介する映画はその北朝鮮に関係があります。
自称・人工衛星を打ちあげたその足元では多くの人々が脱北者となって、
必死の思いで国を後にしているのですが、本作はその脱北者が主人公の映画です。

脱北者について実感としてはなかなかとらえることはできません。
でも、韓国でそれが映画になるということは、もう無視できない数の脱北者が存在するということなのでしょう。

タイトルにあるムサンというのは北朝鮮と中国との間にある国境の町。茂山と書きます。
茂山郡には北東アジア最大規模の埋蔵量を持つという鉄鉱山・茂山鉱山があり、
西北方向に流れる豆満江の対岸は中国です。
脱北者の多くがこの町を経て国境を超えていくそうです。

脱北者とは朝鮮民主主義人民共和国の政治体制や生活環境を苦にして同国を脱出する人のこと。北朝鮮難民。かつては帰順者と呼ばれていた。韓国における法律上の用語は北韓離脱住民である。本来は大韓民国(韓国)で朝鮮民主主義人民共和国から亡命してきた人のことをこう呼んでいたが、北朝鮮からの脱出者の増加によって対象範囲が拡大された。(Wikipediaより)

「ムサン日記~白い犬」の主人公スンチョルは脱北者。
貧しく辛い北朝鮮での暮らしから抜け出し、韓国にやってきた青年です。
このスンチョルにはモデルがいました。
それは本作の監督パク・ジョンボムの友人で実際にムサンを経て、
脱北してきたチョン・スンチョル青年です。
監督の映画製作を手伝い、同じ夢を追いかけていた彼。
ですが、彼は、胃ガンを宣告され、30歳という若さで亡くなりました。

その最期の言葉は
「先輩の長編映画を観ずに先に逝くことを許してください。
僕らが作ろうとしていた映画を撮ってくれることを願っています」・・・・・

むごいです。
苦労して韓国へやってきたのに夢半ばにして斃れてしまったスンチョル青年。

青年のこの言葉がひきがねとなって、パク・ジョンボム監督は
「ムサン日記~白い犬」の製作を決意したといいます。

パク・ジョンボム監督。1976年生まれの若い監督です。本作が長編映画デビュー作。
自身が主演し、製作・監督・脚本の1人4役で、借金に借金を重ねて完成した作品です。
あ、このジョンボム監督、今年2月に当試写室で上映した「ポエトリー アグネスの詩」http://mtonosama.exblog.jp/17150701/  http://mtonosama.exblog.jp/17162642/
で、イ・チャンドン監督の助監督を務めています。
“Musanilgi”(「ムサン日記」)というタイトルもチャンドン監督のアドバイスによってつけたということです。

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さて、話は長くなりますが、邦題の「白い犬」。気になりませんか?
とのはこの白い犬が画面に登場したとき、思わず「キャッ♡」と声をあげてしまいました。
まあ、可愛いったらないんです。ペックという名で出演していますが、本名もペック。
ペックというのは韓国語で白のことです。
チンド(珍島)犬とプンサン(豊山)犬の雑種で、黒いくるくるした目と黒い鼻。
その丸く黒い瞳を縁取るまつ毛も白ければ、全身真っ白。もう、ホントに可愛いです。

余談ですが、チンド(珍島)犬は韓国原産。
プンサン(豊山)犬は北朝鮮の金亨権郡(旧名:豊山郡)原産、北朝鮮の天然記念物です。
2000年初めて開かれた南北首脳会談で金大中大統領と金正日総書記が交換しあったことでも知られています。

韓国の脱北者を主人公にした映画で、南北朝鮮それぞれを原産とする犬、
それも両犬種のミックス犬が重要なポイントになるわけです。

期待が高まってきませんか?さあ、どんなお話でしょう。
続きは後篇まで乞うご期待でございますよ。



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ムサン日記~白い犬
脚本・監督・エグゼクティブ・プロデューサー/パク・ジョンボム、共同エグゼクティブ・プロデューサー/キム・ナンスク、プロデューサー/イ・ジヌク、撮影/キム・ジョンスン
出演
パク・ジョンボム/スンチョル、チン・ヨンウク/ギョンチョル、カン・ウンジン/スギョン、ペック/ペック(白い犬)
5月12日(土)シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー
2010年、127分、韓国、カラー、字幕/根本理恵、配給/スターサンズ、http://musan-nikki.com/

by Mtonosama | 2012-05-03 06:37 | 映画 | Comments(6)