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殿様の試写室

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<   2012年 08月 ( 10 )   > この月の画像一覧

モンサントの不自然な食べもの -2-
Le monde selon Monsanto

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モンサント社というバイオ企業は枯葉剤、農薬、PCB、牛成長ホルモンなどをつくってきた会社、
そして、現在も世界の遺伝子組み換え作物市場の90%を誇るグローバル企業です。

マリー=モニク・ロバン監督は貴重な証人にインタビューし、
膨大な機密文書によって、この会社の歴史とこれまでのビジネスを検証しました。

1年にわたりメキシコ、パラグアイ、アメリカ、ベトナム、インド、イギリス、イタリア、
スイス、ノルウェー、フランスの10ヶ国で撮影し、
インターネットで調べ上げた数十人の証言者を取材。モンサントの主張と現実の実態を照合しています。

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マリー=モニク・ロバン監督
1960年フランスの農家に生まれた監督。彼女はジャーナリズムを学んだ後、
フリーランスのレポーターとして南米に渡り、コロンビア・ゲリラなどを取材した女性。
1995年臓器売買をテーマにした「Voleurus d’yeux(眼球の泥棒たち)」でアルベール・ロンドレ賞受賞。
2003年アルジェリア戦争でのフランス軍による拷問や虐殺を扱った「死の部隊:フランスの教え」で
社会ニュースレポート&ドキュメンタリー国際映画祭優秀研究賞ほか受賞。
2008年には本作がレイチェル・カーソン賞(ノルウェー)、ドイツ環境メディア賞ほか数々の賞に輝く。
現在は3.11以降の福島の農家を取材、農業を中心とした継続的な社会をテーマにした作品を制作中。

と、まあ、硬派なジャーナリストでありますが、その根底にあるのは<食>と<命>。
農業大国フランス、自身も農家の出身である彼女としては巨大企業による「種」と「食」の独占は
見過ごすことはできません。

世界各地を取材で飛び回る彼女が耳にする巨大多国籍企業モンサント社の噂。
その真偽を確かめるため、インターネットで情報を集め、3年にわたり証言を集めました。
自由貿易の名のもとにアメリカから工業化された農業で作られたトウモロコシが押し寄せ、
在来種が絶滅の危機にさらされているメキシコ。
遺伝子組み換え種子と除草剤ラウンドアップのセット販売により食糧生産全体を支配しようとする実態。

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農民が種子を採取し、翌年に備える――
古来から続いている農の営みです。
モンサント社はこの種子の遺伝子の一部を組み換えることで種全体の特許を取得し、商品として独占しています。
その種を自家採取して自分の畑に植えたり、風や虫の働きで自然に交雑しただけでも
知的所有権違反で訴え、賠償金を請求するという噂。
そんな噂を多くの証言と取材によって明らかにしたのがこのドキュメンタリー映画です。

映画の中でインドの哲学者であり環境活動家でもあるヴァンダナ・シヴァさんが
「モンサント社は20数種あまりの遺伝子組み換え作物を栽培しています。
遺伝子組み換え種子が特許の対象だという規範を作ってしまえば、会社に特許料が入ります。
タネを握れば彼らはすべての畑を支配することになります――」

金をもうけるためとはいえ、まったくいろいろなことを考えるものです。
でも、これは他所の国のお話ではないんですよね。

最近あまり新聞紙上にのぼりませんが、TPP(環太平洋経済連携協定)にもし日本が参加するとなると、
遺伝子組み換え問題は私たちの生活にも大きな影響を与えます。
例えば、現在日本で義務付けられている「この商品は遺伝子組み換え原料を使っていません」という表示も
貿易の妨げになるからと廃止されてしまうかもしれません。

映画にも出てきますが、
メキシコで在来種のトウモロコシが遺伝子組み換え作物によって絶滅の危機にひんしているのは、
NAFTA(北米自由貿易協定)に参加したからです。

マリー=モニク・ロバン監督の出身国フランスではどうかというと、
議会で遺伝子組み換え作物についての審議を行っている時期に、この映画が公開。
議会でも上映されたそうです。
そして、遺伝子組み換え作物は禁止されました。

監督は日本人に警告を発しています。
「日本の皆さんもTPPには気をつけてください。みんなで有機農業の農家を応援しましょう」

ハァーッ。
息つく暇もなく襲いかかる諸問題。暑さにへたっている時間はありませんね。





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モンサントの不自然な食べもの
監督/マリー=モニク・ロバン、カナダ国立映画制作庁・アルテフランス共同製作
9月1日渋谷アップリンク他にてロードショー
2008年、フランス・カナダ・ドイツ、108分、協力/作品社、大地を守る会、食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク
http://www.uplink.co.jp/monsanto/

by Mtonosama | 2012-08-29 05:51 | Comments(10)
モンサントの不自然な食べもの  -1-
Le monde selon Monsanto

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「モンサントの不自然な食べもの」。
「不自然な」という言葉がちょっとひっかかりますが、
「モンサント」という名前はなんとなくお洒落な響きがあります。
とのもこのモンサントといういかにもフランス語っぽい鼻濁音風の言葉につられてしまいました。

でも、この映画を観終わって思わず大きなため息をついてしまいました。
私たちはいったい幾つの危険から自分や家族の身を守らなくてはならないのでしょう。
ハァー・・・・・・


モンサント社
モンサント社 (Monsanto Company,NYSE:MON) は、アメリカのミズーリ州 クレーブクール(Creve Coeur, Missouri)に本社を持つ多国籍バイオ化学メーカー。
2005年の売上高は62億ドル、2008年の売上高は110億ドル、遺伝子組み換え作物の種の世界シェアは90%。研究費などでロックフェラー財団の援助を受けている。
また自社製の除草剤ラウンドアップに耐性をもつ遺伝子組み換え作物をセットで開発、販売している。バイオ化学メーカーとして世界屈指の規模と成長性を誇り、ビジネスウィーク誌が選ぶ2008年の世界で最も影響力があった10社にも選ばれた。

1901年にジョン・F・クイーニイにより創業。モンサントという社名は妻のオルガ・モンサントに由来する。1920年代頃から硫酸と化学薬品の製造で業績を上げ、1940年代からはプラスチックや合成繊維のメーカーとしても著名となった。
本社の存在するセントルイスには世界屈指の規模を誇るミズーリ植物園 があるが、モンサント社はここのハーバリウム(植物標本保存施設)の建設に多額の寄付をしていることでも知られている。
同社を有名にした商品の一つはPCBであり、アロクロール(Aroclor)の商品名で独占的に製造販売した。日本では、三菱化成(現三菱化学)との合弁子会社であった三菱モンサント化成(現在は三菱樹脂へ統合)がPCB製造メーカーの一つであった。また、農薬のメーカーとしても著名で、ベトナム戦争で使われた枯葉剤の製造メーカーでもある。この枯葉剤には不純物としてダイオキシン類が含まれており、後に問題となった。
除草剤ラウンドアップを開発し、近年ではラウンドアップに耐性をもつ様々な遺伝子組み換え作物(ラウンドアップ・レディー: Roundup Ready)を分子育種して、セットで販売している。なお、ラウンドアップの有効成分グリホサート(glyphosate)自体の特許は既に有効期限が切れている。その他、雄性不稔や病害虫抵抗性やストレス抵抗性や成分改変の様々な組換え品種も開発している。モンサント社の遺伝子組換え作物の強引なシェア確保商法に対して欧州を中心に問題となっている。そのため、農業分野における米国の世界支配を支える企業という批判の的となることがある。
(Wikipediaより)

http://www.monsanto.co.jp/  日本モンサント株式会社

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とのはお豆腐などを買うとき、「遺伝子組み換えではありません」という表示を見るともなく見て安心します。
はっきりした知識はないにせよ、DNAの段階で作りかえられた食べ物は怖いなとは感じてしまいます。
これって動物的な危機認識なのかもしれません。

世界のあらゆる地域、特にアジアにおいては
持続可能で環境にやさしい方法で食糧生産を拡大する能力が求められています。
モンサントカンパニーは遺伝子組み換え技術をはじめとするバイオテクノロジーを
その重要な手段と考え、その可能性を最大限に活用し、
社会に貢献できるよう取り組んでいます

(日本モンサント株式会社HPより)

う~ん、言葉は魔法ですよね。
確かに爆発的に人口の増大するアジアがこのままでは食糧が足りなくなるのは
火を見るよりも明らかでしょう。
だからといって遺伝子組み換えですかねぇ?

アメリカに本社を持つ「モンサント社」。世界の遺伝子組み換え作物市場の90%を誇る世界的な企業です。
フランス人ジャーナリスト、マリー=モニク・ロバン監督が、
世界の人口問題を憂うモンサント社の素顔に迫りました。

さあ、一体どんなお話なのでしょう。



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モンサントの不自然な食べもの
監督/マリー=モニク・ロバン、カナダ国立映画制作庁・アルテフランス共同製作
9月1日渋谷アップリンク他にてロードショー
2008年、フランス・カナダ・ドイツ、108分、協力/作品社、大地を守る会、食と農から生物多様性を考える市民ネットワーク
http://www.uplink.co.jp/monsanto/

by Mtonosama | 2012-08-26 06:02 | 映画 | Comments(8)
コッホ先生と僕らの革命 -2-
Der ganz grosse Traum

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(C)2011 DEUTSCHFILM / CUCKOO CLOCK ENTERTAINMENT / SENATOR FILM PRODUKTION

コッホ先生が英語教師として着任したのはドイツ地方都市の名門校。
当時のドイツ全体がそうであったように、
この学校の生徒たちの間でも国籍や階級に対する差別意識は根深いものでしたし、
英語に対する無理解や偏見も相当なものでした。

そんな生徒たちにサッカーを通じて英語やフェアプレイの精神を教えるコッホ先生の活躍。
痛快です。
エーリッヒ・ケストナーの「飛ぶ教室」を彷彿させる作品でした。
愉快な子どもたちに、理解のある大人、そして、そうでない大人――。
ケストナーの作品って、少年少女が大活躍して血沸き肉躍る感じ。なんかこうすっきりしますよね。
ドイツ映画はこういう少年ものでも良い味を出してくれますよ。
本作でもそこのところを十二分に楽しんでいただきたいと思います。


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ストーリー
1874年、ドイツ帝国の古い都市ブラウンシュヴァイクに英語教師コンラート・コッホが到着しました。
彼は英国・オックスフォードに留学した新進気鋭の教師。
名門カタリネウム校の校長にドイツ初の英語教師として招かれたのです。
4年ぶりに母校へ帰ってきた彼の手には見慣れない皮革のボールがありました。
それは彼がイギリスで親しんだサッカーというゲームのボールでした。

ところが、初めて教室に入ったコッホ先生を待ちうけていたのは、
イギリスに対する生徒たちの強い偏見。
そんな中で、授業を始めようとした矢先、
歴史学の教師がノコギリで真っ二つにされた指示棒を持って
カンカンになって教室に飛び込んできました。
「誰の仕業だ」と問い詰める教師に、「ヨスト・ボーンシュテットです」と答える級長のフェリックス。
ヨストは否定しますが、鞄を開くとそこにはノコギリが。
ヨストはクラスでただ一人の労働者階級の子弟でフェリックスたちのいじめを受けていたのです。

その夜、開かれたパーティでコッホ先生はフェリックスの父親と会います。
彼は地元の名士で、カタリネウム校に対しても大きな権力を持つ人物です。
ドイツ帝国の教育の基本は秩序と規律、服従であると信じる彼は、
ことあるごとにコッホ先生と対立するのでした。

さて、相変わらず生徒たちは英語に関心を示しません。そこでコッホ先生は良い考えを思いつきました。
「みんな今から体育館に集合しなさい!」
不審そうに集まった生徒の前にコッホ先生は例のボールを示し、蹴ってみせます。
そう、先生はサッカーを通して生徒たちに英語を教えようとしたのです。
ゴール、ディフェンス、シュート――

たちまち夢中になる生徒たち。

中でもスポーツ用品メーカーの社長の息子オットーは
今まで見たこともないサッカー・ボールに興味を持ち、
自分でも作れないかと模索し始めます。
また、いじめられっ子だったヨストはフォワードとして並外れた才能を見せ、
クラスメートからも一目置かれる存在になってきました。ただ一人級長のフェリックスを除いては。

ある日、校長や地元名士ハートゥングたちがコッホの授業を参観しようと教室を訪れますが、
教室はもぬけのから。
生徒たちの声が聞こえてきた体育館に移動すると、まさにサッカーの試合の真っ最中です。
ところが、折悪しくヨストの蹴ったボールが見学していた牧師の股間に命中。
激怒したハートゥングは即刻サッカーの禁止を校長に言い渡し、
さもなければコッホをクビにすると脅したのです。
ヨストも退学処分の最後通告として補習室送りに。
一度はサッカー禁止令に従ったコッホでしたが、生徒たちの落ち込みようを見て一計をめぐらしました。
「放課後は何をしようと君たちの自由だ」。
満面の笑みを浮かべる生徒たち。
放課後、彼らはオットーを中心にサッカーの練習に取り組み始めました。
次第にほんもののチームとしてのまとまりを見せ始めるクラスメートたち。
級長のフェリックスも変わってきました。

しかし、コッホ先生の解雇とヨストの退学の危機は刻々と迫ってきます……

思いがけない生徒がクラスをひっぱり、フェアプレイの精神に目覚め、チームとしてのまとまりを見せる。
なんとも元気の出る映画です。
放課後のサッカーをリードするオットーはちょっと小太りの男の子。
あまり重要な役割を演じることのないキャラクターです。
おちびさんもいれば、大人っぽくて意地悪な子もいて、
やせっぽちも、お金持ちの子も、そうでない子もいます。
いじめもあれば、差別や偏見もあった子どもたちの世界が
サッカーのフェアプレイの精神を身をもって知ることによって変わっていく――
ま、ちょっと出来過ぎという感はなきにしもあらず、ですが、
ドイツサッカー初めて物語としてはこれで良し。
こんなに楽しく興奮できる映画を待っていました!

ドイツ映画ってしんねりむっつりした思弁的かつ哲学的な映画だけじゃないんです。
ケストナー的な世界、健在です。





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コッホ先生と僕らの革命
監督/セバスチャン・グロブラー、脚本/フィリップ・ロス、ヨハンナ・シュトゥットゥマン、原案/セバスチャン・グロブラー、ラウル・ライネルト、製作/アナトール・ニッチケ(DEUTSCHFILM)、ラウル・ライネルト(CUCKOO CLOCK ENTERTAINMENT),
H.W.ユルゲン(ARD DEGETO)、撮影/マルティン・ランガー
出演
ダニエル・ブリュール/コンラート・コッホ、ブルクハルト・クラウスナー/校長、カトリン・フォン・シュタインブルク/ヨストの母親、ユストゥス・フォン・ド―ナニー/フェリックスの父親、アクセル・プラール/スポーツ用品の製造業者、ユルゲン・トンケル/体育教師、トマス・ティーマ/歴史学教師
9月15日(土)TOHOシネマズシャンテ他全国ロードショー
2011年、ドイツ映画、114分、字幕翻訳/吉川美奈子
http://kakumei.gaga.ne.jp/

by Mtonosama | 2012-08-23 10:03 | 映画 | Comments(6)
コッホ先生と僕らの革命 -1-
Der ganz grosse Traum

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(C)2011 DEUTSCHFILM / CUCKOO CLOCK ENTERTAINMENT / SENATOR FILM PRODUKTION

ロンドンオリンピックも終わりました。
なでしこジャパンは銀メダルに輝きましたが、日本男子サッカーは後一歩というところでメダルに及ばず。残念。

さて、サッカーと言えばドイツ。
と、球技の苦手なとのですら頭に刷り込まれている位、サッカーとドイツは切っても切れない関係。
守護神オリバー・カーンの姿は未だ鮮明です。

ドイツはFIFAワールドカップ優勝3回を誇り、FIFAランキングでは常に上位、
世界を代表するサッカー強豪国として知らない人はいません。

ところが、そんなドイツでも19世紀末ではサッカーは敵性スポーツ。
帝国主義下のドイツでは反英意識が強く、イギリスで生まれたサッカーなど反社会的な球技。
ドイツ人はサッカーのサの字も知らないし、
まして、そんな敵性スポーツを帝政ドイツの学校で教えるなどとんでもないことでした。

でも、そのとんでもないことをして、今回映画になった人がいました。
それがコンラート・コッホ。「コッホ先生と僕らの革命」の主役です。
演じるのは「グッバイ、レーニン」(‘03)のダニエル・ブリュール。
ちょっと頼りない男の子という印象の強かった彼も、
今回はドイツサッカー界の大恩人とでもいうべき人物を爽やかに演じてくれました。


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コンラート・コッホ
コンラート・コッホは1846年、ドイツ・ブラウンシュヴァイクに生まれた。ゲッティンゲンで神学と哲学を学ぶ。
1868年には教師として母校カタリネウム校でドイツ語と古典語を教え、1874年主任教授に昇進すると
体育教師アウグスト・ヘルマンと共にゲームスポーツの一環としてドイツに初めてサッカーを導入。
ドイツ語でサッカーのルールブックを出版するなどドイツサッカーの発展育成に尽力。
1911年に永眠するまで母校で教鞭をとった。

ま、コッホ先生はこんな人生を送った人。
映画では、オックスフォード大学に留学し、その地で親しんだサッカーボールを
抱えて、母校の英語教師に就任するという設定になっています。

しかし・・・・・

当時、つまり1870年代初頭ですが、普仏戦争に勝って国家統一を果たしたドイツ帝国は勢いづいていました。
次に戦争する相手はイギリスだということで反英感情に湧きかえっていたわけです。
だから、映画では、コッホ先生はオックスフォード帰りということになっていますが、
これはお話を面白くするための演出。英語の教師をするというのも同じくつくり話で、
進歩的な校長先生の理解があって英語教師として着任ということになっています。

でも、コッホ先生がドイツサッカーの父というのは本当です。

スポーツといえば軍事教練の真似事のような体操にしか過ぎなかったドイツの学校に、
不道徳かつ反社会的なゲームスポーツであり、
敵国イギリスで生まれたサッカーを持ち込むなど、とんでもないことだった筈です。

きっと大騒ぎになったことでしょうね。
さあ、コッホ先生と生徒たち、いったいどんな風にしてドイツにサッカーをとりいれることに成功したのでしょうか。

続きは次回で。
乞うご期待でございますよ。



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コッホ先生と僕らの革命
監督/セバスチャン・グロブラー、脚本/フィリップ・ロス、ヨハンナ・シュトゥットゥマン、原案/セバスチャン・グロブラー、ラウル・ライネルト、製作/アナトール・ニッチケ(DEUTSCHFILM)、ラウル・ライネルト(CUCKOO CLOCK ENTERTAINMENT),
H.W.ユルゲン(ARD DEGETO)、撮影/マルティン・ランガー
出演
ダニエル・ブリュール/コンラート・コッホ、ブルクハルト・クラウスナー/校長、カトリン・フォン・シュタインブルク/ヨストの母親、ユストゥス・フォン・ド―ナニー/フェリックスの父親、アクセル・プラール/スポーツ用品の製造業者、ユルゲン・トンケル/体育教師、トマス・ティーマ/歴史学教師
9月15日(土)TOHOシネマズシャンテ他全国ロードショー
2011年、ドイツ映画、114分、字幕翻訳/吉川美奈子
http://kakumei.gaga.ne.jp/

by Mtonosama | 2012-08-20 06:19 | 映画 | Comments(6)
プンサンケ -2-
豊山犬
Poongsan

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©2011 Kim Ki-duk Film.All Rights Reserved.

鬼才キム・ギドクが3年の沈黙を破り、ついに映画の世界に戻ってきました。
今回は脚本・製作総指揮を担当、監督は期待の若手チョン・ジェホンです。
拳を握りしめ、息を呑む121分でした。
こういう映画があるから、韓国映画はたまりません。

一言もせりふのない主演俳優ユン・ゲサン、
さらにオダギリジョーが北朝鮮軍兵士としてカメオ出演していることにも注目です。
わずか10秒ほどの出演ですけど。(とのはわかりませんでした)

北と南を描いた作品はこれまでにも多くありましたが、
どちらか一方が悪いという描き方はされていません。
皆いつの日かの南北統一を願っているからなのでしょう。

さて、いったいどんなお話なのでしょうか。


ストーリー
38度線を軽々と飛び越えてソウルとピョンヤンを往復し、3時間以内になんでも届ける男がいる。
名前も携帯電話も持たないこの男と連絡する唯一の方法は、
北に臨む国境の地「帰らざる橋」にメッセージを残すこと。

帰らざる橋は、朝鮮半島中部・板門店の共同警備区域西端に位置する橋。軍事境界線となっている沙川江に架かっている。本来の名は沙川橋(サチョンギョ、사천교)。1953年の朝鮮戦争停戦後の捕虜交換がこの橋で行われた。捕虜たちがこの橋の上で南北いずれかの方向を選択すると二度と帰って来ることができないことから「帰らざる橋」と呼ばれるようになった。以来、南北分断の象徴となっている。北朝鮮側に村があり、国連側の警備所の近くにはポプラ事件の現場がある。また、2000年に公開された韓国映画『JSA』の舞台となった。
(Wikipediaより)


f0165567_6171310.jpg彼が運ぶものは、故郷に帰ることが許されない離散家族の手紙やビデオメッセージ。
時には幼い子どももいる。

プンサンケ――北朝鮮製のタバコ・豊山犬(プンサンケ)を吸う男は、そう呼ばれている。

その日、プンサンケはある依頼を受けた。
それは韓国に亡命した北朝鮮の機密を握る元高官の恋人イノクをソウルに連れてきてほしい、
というもの。いつものように軽々と北朝鮮へ潜入した彼はイノクを連れ出し38度線へ戻る。
真冬の寒気に耐え、プンサンケとイノクは裸で川を渡り、体に泥を塗りつけ、闇の中に身を隠す。
韓国へ戻る前に何度も命の危険にさらされながら、
2人はいつしかかすかな想いを互いに抱くようになっていた。

イノクを無事引き渡したプンサンケだったが、依頼者であり実は韓国情報員であった人物たちによって拘束されてしまう。
隙をついて逃亡するプンサンケ。
彼はイノクと元高官を連れ出し、彼らと引き換えに約束の報酬を受け取ろうとする。
だが、元高官はプンサンケとイノクの間に流れるただならぬ雰囲気を察知し、嫉妬をむきだしに。
そんな元高官の手によって再び韓国情報員に拘束されたプンサンケは残酷な拷問にかけられる。

いかなる拷問を受けながらも一言も言葉を発しないプンサンケに韓国情報員はある提案をする。
それは北朝鮮に捕えられた情報員を救い出すことだった。
プンサンケはその提案を吞み、情報員の救出に成功。
しかし、またもや卑劣な韓国情報員の手によって拘束されるところを、
救出した情報員の機転と手助けによって脱出する。

イノクの様子を遠くから見守るプンサンケ。
そこへ介入してきたのが、亡命した元高官を暗殺するためソウルに潜入していた北朝鮮の工作員。
彼らはプンサンケを捕え、さらにはイノクを人質にして、元高官の暗殺をプンサンケに要求……

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プンサンケによって密室に閉じ込められた南北の工作員たち。
1人、1人、密室に閉じ込められる韓国と北朝鮮のスパイの比率が1:1から1:2となる。
次には均衡が崩れ、更に再び同数になる―― 
その度に繰り返される両者の愛国主義や国家への忠誠。
息詰まるシーンでありながら、知らない内に鼻で笑っている自分がいます。
南北のスパイたちが大仰に繰り返す国家への忠誠心。それが妙に笑いを誘うものになっています。
こんなもののために家族が分断され、引き裂かれたまま、何十年と会うこともなく死んでいくのか、
というかなりブラックで皮肉な笑いですけど。

そんな密室劇の後、訪れる思いもよらないラスト。
一言も話さないプンサンケが声を発するとき、何かが起こります。
最初から最後まで気をそらさない本作。
キム・ギドクの復帰と若手監督の誕生に心からの拍手を送りたいと思います。





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プンサンケ
製作総指揮/キム・ギドク、豊山犬スタッフ、製作/チョン・ユンチャン、脚本/キム・ギドク、監督/チョン・ジェホン、撮影/イ・ジョンイン、美術/イ・ジョンゴン
出演
ユン・ゲサン、キム・ギュリ、キム・ジョンス
8月18日(土)渋谷ユーロスペースにてロードショー、銀座シネパトス他全国順次公開
2011年、韓国、121分、カラー、提供/マグザム、パルコ、太秦、アジア映画社、配給/太秦
http://www.u-picc.com/poongsan/

by Mtonosama | 2012-08-17 06:45 | 映画 | Comments(6)
プンサンケ -1-
豊山犬
Poongsan

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©2011 Kim Ki-duk Film.All Rights Reserved.

南と北の休戦ラインを厳然と区切る鉄条網のフェンス。
そこには高圧電流が流れ、越えようとする人間を容赦なく痛めつける。
それを軽々と乗り越え、ソウルとピョンヤンを3時間で往復する男――

ある時は北と南に生き別れた家族の最期のビデオレターを携え、
また、ある時は幼い子どもを連れて、半島の冬枯れた光景を背景にひた走る。

人はその男を、彼が吸うタバコから「プンサンケ」と呼ぶ。
国籍もわからず、言葉も名前もない謎の運び屋。プンサンケ。

息を呑む展開と、眼をみはるアクション。
切ない純愛のゆくえ。
そして、北と南の諜報部員たちの暗躍。

さあ、韓国映画がまたまた傑作を送り出しました。

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製作総指揮を担当し、脚本を書いたのは鬼才キム・ギドク。
今年3月、当試写室でも上映しましたが、
脚本・監督・製作・撮影・録音・編集・音響・美術・出演と1人9役を果たした「アリラン」のキム・ギドクです。
http://mtonosama.exblog.jp/17268231/ http://mtonosama.exblog.jp/17280223/

撮影中に起きた事故のために映画から遠ざかって
山ごもりをしていた時の様子を撮った1人ドキュメンタリーでした。
この「プンサンケ」を観て、「アリラン」で垣間見せていた謎めいたシーンの意味がよくわかりました。
やはり、彼は映画を捨てることはできなかったんですね。

といっても本作の監督はチョン・ジェホン。キム・ギドクではありません。
彼はマッチョなキム・ギドクとは違い、文化系の生い立ちであります。
韓国美術界の巨匠キム・フンスを祖父に持ち、幼い頃には絵を、高校では声楽を専攻したオペラ歌手。
本作中、プンサンケが秘密の隠れ家で休む場面に流れるロベルト・シューマンの歌曲「睡蓮の花」。
これはなんとジェホン監督の歌声です。

そんな彼がなぜ映画監督になったのかといいますと、キム・ギドクの作品にショックを受けたため。
彼のいるカンヌへ、アポなし突入。
(思いっきりのいいことをしますね)。
それ以来ギドク作品「絶対の愛」(‘06)、「プレス」(‘07)の助監督を務め、
2008年には長編デビュー作となった「ビューティフル」が第58回ベルリン国際映画祭のパノラマ部門、
第10回ドーヴィル・アジア映画祭オフィシャルコンペティション部門に正式招請され、
第22回福岡アジア映画祭では最優秀作品賞を受賞しました。期待の若手監督です。

本作も北と南の問題を描いた作品ですが、
チョン・ジェホン監督が海外留学した折に体験した「分断」の現実が他国人である観客にも重く伝わってきます。

監督の体験ですか?
はい、留学先で北朝鮮の留学生と会いながら、
お互いに警戒しあって言葉を交わすことができなかったというものです。

監督は、南北朝鮮が今も直面する現実をまだ30代の監督の視点で描きだしたいと語ります。
その根底にあるのは統一への想いなのでしょうか。

南の抱える矛盾、北の諸問題。
双方の持つ問題点をえぐり出しながら、アクション映画としても相当興奮できる映画に仕上がっています。

韓国の高倉健さんといった風貌のユン・ゲサン。すばらしかったです。
さあ、どんなお話なのでしょう。

続きは次回までお待ちください。乞うご期待でございます。
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プンサンケ
製作総指揮/キム・ギドク、豊山犬スタッフ、製作/チョン・ユンチャン、脚本/キム・ギドク、監督/チョン・ジェホン、撮影/イ・ジョンイン、美術/イ・ジョンゴン
出演
ユン・ゲサン、キム・ギュリ、キム・ジョンス
8月18日(土)渋谷ユーロスペースにてロードショー、銀座シネパトス他全国順次公開
2011年、韓国、121分、カラー、提供/マグザム、パルコ、太秦、アジア映画社、配給/太秦
http://www.u-picc.com/poongsan/

by Mtonosama | 2012-08-14 06:57 | 映画 | Comments(6)
桐島、部活やめるってよ -2-

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(C)2012「桐島」映画部 (C)朝井リョウ/集英社

ちょっと(いえ、かなり)マイナーな映画部。花のある吹奏楽部にバドミントン部。人気のバレーボール部。
そして、目下の関心事はおしゃべりとメイクだけといった帰宅部女子と、ヒマつぶしに群れる帰宅部男子。
もてる子、もてない子がいて、美系とそうでないのがいて、まじめとふまじめがいて――
と、まあ、学校であれ、会社であれ、人のいるところにはなんらかの類型とヒエラルヒーがあります。

桐島という男子はその頂点に輝く学校中が認めるスター。バレーボール部の星であります。
だから、「桐島、部活やめるってよ」というタイトルになって、
桐島がバレーボール部をやめる噂が学校中をかけめぐる訳なんですけどね。

ということで、桐島ってどんなヤツなんだろう、誰が演じているんだろう、という関心がムラムラと湧き起こり、
スクリーンに釘付けになってしまいます。

ところが桐島は待っても待っても出てこないし、
おまけに、最初に登場するのはヒエラルヒー最下層の映画部の面々。
ヒエラルヒー最下層って・・・・・
おいおい、映画ってそういう扱いかよ、です。

さて、どんなお話なんでしょうか。



ストーリー
金曜日・放課後
職員室。映画部の前田と武文が顧問の片山先生に呼び出される。
なんと映画部の作品が、高校生映画コンクール一次選考を突破したという。

金曜日・放課後
バドミントン部の練習に向うかすみと実果。
校庭では梨紗が彼氏の桐島を待つ。ちなみに梨紗は学校一の人気を誇る美系女子。
そこへ走ってきたのが沙奈。体育館からはかすみと実果も飛び出してきた。
「梨紗!桐島くんが」

金曜日・放課後
屋上でサックスの練習をしながら、中庭でバスケをする宏樹を見つめる吹奏楽部の部長・沢島亜矢。
宏樹は桐島の親友で、学校ではモテ系に属する男子だ。
野球部員だが、練習には参加せず帰宅部男子の竜汰や友弘とバスケをしながらヒマをつぶしている。
「桐島、部活やめたんだろ?」
友弘の言葉に動揺する宏樹。
親友のはずなのに、桐島がバレー部をやめることを知らされていなかったのだ。

金曜日・朝礼
体育館でバレー部や吹奏楽部の活躍が発表される。
映画部の成果も発表されたが、なぜか笑いを浴びる前田と武文。

新作映画の撮影を始めた前田たち。
放課後、撮影場所の屋上でサックス練習中の沢島亜矢に場所を譲ってくれるよう交渉。拒絶する亜矢。

夜、塾帰りの宏樹を待ち伏せていた梨紗は連絡が取れない桐島に苛立つ。
「ざけんなよ、桐島っ!」

土曜日
エース・桐島のいないバレー部の対外試合。
桐島の代わりに試合に出場する風助。
風助はバレー部2年。桐島の代理としてレギュラー入りは果たしたが、実力の違いは歴然としていた。

日曜日
映画館。ちょっとオタッキーな映画「鉄男」を観終わって満足げな映画部の前田。
すると、バドミントン部のかすみが同じ映画を観ていた。
驚きながらも中学時代も同級生だった彼女と立ち話。ドキドキ。

月曜日
桐島不在のまま、様々な憶測が飛び交うが、
前田たち映画部は顧問の提案を無視して自分たちのゾンビ映画を撮影し続ける。

火曜日
「桐島、来てるみたいだ」
バレー部、バドミントン部、帰宅部――
みんな桐島を求めて走り出す……

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結局、桐島は最後まで出てこないんですよね。
金曜日の放課後が何度も繰り返され、
それぞれの放課後で桐島をめぐるそれぞれの生徒たちの視点が明かされます。

金曜日の次は土曜日でしょ?
さあ。桐島くん、出てくるかな?とドキドキする観客の期待を軽くいなしてくれてしまうところも
なんともトリッキーです。

目先の趣向に走れば、おふざけにもなり兼ねないこの映画をしっかりした作品にしあげているのは
神木隆之介くんの新境地開拓ともいえる演技のたまもの?
宏樹を演じた東出昌大くんのちょっと朴訥なモテ男ぶり?
いろいろ考えられますが、
やっぱり顔を出さずにいながら最後まで観客の気をひき続けた桐島の存在かもしれません。

「桐島、どこにいるんだよ!」





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桐島、部活やめるってよ
監督・脚本/吉田大八、原作/朝井リョウ、脚本/喜安浩平、撮影/近藤龍人、プロデュース/佐藤貴博、プロデューサー/北島和久、枝見洋子
出演
神木隆之介/前田涼也、橋本愛/東原かすみ、東出昌大/菊池宏樹、清水くるみ/宮部実果、山
本美月/梨紗、松岡茉優/沙奈、落合モトキ/竜汰、浅香航大/友弘、前野朋哉/武文、鈴木伸之/
久保、藤井武美/詩織、太賀/風助、大後寿々花/沢島亜矢
8月11日(土)新宿バルト9ほか全国ロードショー
2012年、日本映画、103分、配給/ショーゲート、http://www.kirishima-movie.com/

by Mtonosama | 2012-08-11 06:57 | 映画 | Comments(4)
桐島、部活やめるってよ -1-

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(C)2012「桐島」映画部 (C)朝井リョウ/集英社

男子高校生の大人になりきっていない薄い背中と細い手足になんとなく萌えるとのです。
自分が高校生の頃は、男子は男性にしか見えなかったのですけどねぇ――
これも齢を重ねたゆえの変化でありましょうか。

「桐島、部活やめるってよ」。
なんとも新鮮なタイトルです!
3年前(2009年)に、この本が第22回小説すばる新人賞を受賞してそのタイトルを知ったとき、
こんなタイトルもありなんだ、と思いました。
一時はやっていた携帯小説の類かな?と邪推し、書店で手にとることもありませんでしたが。

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「桐島、部活やめるってよ」は朝井リョウによる青春小説で、早稲田大学在学中のデビュー作。
著者は今年卒業したばかりの23歳で、同賞では初となる平成生まれの受賞者です。
小説では「チア男子!!」(集英社‘10)、「星宿りの声」(角川書店‘11)、
「もう一度生まれる」(幻冬舎‘11)、「少女は卒業しない」(集英社‘12)の4作と
エッセイ「学生時代にやらなくてもいい20のこと」(文藝春秋社‘12)を出しています。
「もう一度生まれる」は今年、第147回直木賞の候補にもあがりました。

さて、「桐島、部活やめるってよ」ですが、12万部突破のベストセラー。
150歳のとのですら、タイトルに惹かれたのですから、もっとお若い方々なら尚更のことでありましょう。
ここに眼をつけたのが、「DEATH NOTE」「GANTZ」などを手掛けてきた佐藤貴博プロデューサー。
そして、監督は吉田大八さんです。

吉田大八監督はCM界の大物として挑んだ監督デビュー作「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」(‘07)で
第60回カンヌ国際映画祭の批評家週間に出品され、キネマ旬報ベスト10、第50回ブルーリボン賞、
第32回報知映画賞などを受賞した人物。
とのにとって、その名前は「パーマネント野ばら」
http://mtonosama.exblog.jp/13515643/ http://mtonosama.exblog.jp/13544080/ 
の監督として記憶に残っています(面白かったなぁ。登場したおばちゃんたち)

そんな次第で彼の監督作品なら期待できるな、と勇んで試写室へ。
試写室は超満員でしたが、やっとのことで予備椅子に座って鑑賞できました。

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とある高校の映画部、吹奏楽部、バドミントン部、バレーボール部、野球部、帰宅部の部員たちに
(あれ、帰宅部も部員といっていいのだろうか)
あぶりだされていく桐島をめぐる物語。金曜日の放課後の学校がその舞台です。

この金曜日の放課後という設定が登場人物の視点を通じて何度も繰り返されるところがミソでしたね。
高校生が主人公の映画とあって二次関数のグラフを思い出させるような面白い構成の映画です。
(え?意味がわからない?実はとのも・・・・・)

さあ、どんなお話なのでしょうか。続きは次回までお待ちくださいませ。



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桐島、部活やめるってよ
監督・脚本/吉田大八、原作/朝井リョウ、脚本/喜安浩平、撮影/近藤龍人、プロデュース/佐藤貴博、プロデューサー/北島和久、枝見洋子
出演
神木隆之介/前田涼也、橋本愛/東原かすみ、東出昌大/菊池宏樹、清水くるみ/宮部実果、山
本美月/梨紗、松岡茉優/沙奈、落合モトキ/竜汰、浅香航大/友弘、前野朋哉/武文、鈴木伸之/
久保、藤井武美/詩織、太賀/風助、大後寿々花/沢島亜矢
8月11日(土)新宿バルト9ほか全国ロードショー
2012年、日本映画、103分、配給/ショーゲート
http://www.kirishima-movie.com/

by Mtonosama | 2012-08-08 07:02 | 映画 | Comments(6)
かぞくのくに -2-

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(C)2011 Star Sands, Inc.

北朝鮮がテーマというと、どうしてもある種の色メガネを通して観てしまう自分がいます。
拉致問題といい、ミサイルのことといい、現在のメディアでの扱い方を含め、どこか構えてしまいます。

でも、「かぞくのくに」が描くのは家族でした。
長い間、外国で暮らしていた兄が病気治療のために、日本に帰ってくる。
迎える家族や友人たちは久しぶりの再会に、あれも話したい、これも話したい、とウキウキします。
よくある話です。
しかし、兄が暮らしていた外国が北朝鮮ということになると、
家族の話とはいえ、やはりかなり違ったものになるところが、
悲しく、やりきれない気持になります。

さあ、どんなお話なのでしょう。


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ストーリー
1997年夏。在日朝鮮人2世のリエ。
その日、日本語学校の講師をしている彼女は、母親が営む喫茶店で
10歳年上の兄ソンホの帰国を心待ちにしていた。
ソンホは70年代に“帰国事業”によって北朝鮮に移住したが、
病気治療のため3ヶ月だけという許可を得て25年ぶりに日本に戻ってくることになっていたのだ。

リエと同胞協会本部副部長である父、実業家として成功している叔父が協会本部でソンホを出迎える。
ソンホは叔父の車で家に向う間、懐かしそうに風景を眺め、
家の手前で車を降り、一歩一歩踏みしめるように実家をめざす。
そして、おそらくはずうっと家の前で待っていたのであろう母に抱きしめられた。

家族との久々の対面を済ませたソンホは北朝鮮から同行してきたヤンを紹介。
ヤンという人物はソンホの滞在中、彼を監視する監視員だった。

翌日、ソンホは病院で精密検査を受け、夜はリエと一緒に高校の同窓会へ向かった。
懐かしい仲間や、かつての恋人スニも集まり、25年ぶりの再会を祝す。

ショッピングにでかける兄と妹。スーツケースのショップでリエに話しかけるソンホ。
「お前はそういう鞄持って色んな国へ行けよ――」

その夜、ソンホは監視員ヤンから言い渡されていた提案をリエに持ちかける。
それは工作員の仕事だった。
激しく拒絶するリエ。

ソンホの検査結果が出た。それは悪性の疑いのある脳腫瘍だった。
「手術にはリスクはありますが不可能ではありません。ただし、3ヵ月の滞在しかないのでは手術をおひきうけすることはできません。」
腫瘍が大きくなれば命にも関わるという――

最悪の結果に首をうなだれる家族。
叔父は25年前にソンホを北に送った父の行動を激しく責めた。

その頃、監視員ヤンの許に一本の電話が。
それは「明後日、監視中の滞在者を帰国させなさい」という北からの電話だった……


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こういうこと、よくあるんだよね・・・・・
静かにつぶやくソンホの表情が切なかったです。
北朝鮮の政治や社会制度の違いを身近に感じることはできなくても、
家族を持つ身としては、あらかじめ許されていた3ヵ月の病気治療期間を
いきなり1週間に短縮してしまうという国家の横暴は実感として迫ってきます。
期待を持っていただけに家族にとっては残酷すぎる命令です。

これがつくり話ではなく、実際に監督の家族の上に起きたできごとだということに身の毛がよだちます。

ただ、映画と事実が違うのは兄が北へ戻っていく日のこと。
その日、監督は茫然として見送るだけで何もできなかったのですが、
映画ではリエが監視員の車のドアにつかまり、ソンホを行かせまいとしました。
はかない抵抗ですが、せめて映画の中だけでもこの不条理に逆らいたかったのだそうです。

井浦新演じるソンホの静かさと安藤サクラ演じるリエの激しさが際立ち、
日本の日常の中に紛れ込んだ残酷な国家の現実に改めて思いをめぐらしました。





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かぞくのくに
脚本・監督/ヤン・ヨンヒ、企画・エグゼクティヴ・プロデューサー/河村光庸、プロデューサー/佐藤順子、越川道夫、音楽/岩代太郎、撮影/戸田義久
出演
安藤サクラ/リエ、井浦新/ソンホ、ヤン・イクチュン/ヤン同志、京野ことみ/スニ、大森立嗣/ホンギ、村上淳/ジュノ、省吾/チョリ
8月4日(土)テアトル新宿他全国順次ロードショー
2012年、日本、100分、配給/スターサンズ
http://kazokunokuni.com/

by Mtonosama | 2012-08-05 06:04 | 映画 | Comments(4)
かぞくのくに -1-

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(C)2011 Star Sands, Inc.

日本は単一民族国家、と発言した大臣がいましたが、
この映画を観ると、改めて日本にはいろいろな国の人が住んでいるのだなぁ、
ということに気づかされます。

普段、国を意識して暮らすことはありませんが、
在日コリアンのこの家族にとって国は意識せずに暮らすことなどありえない存在のようです。

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はい、「かぞくのくに」という映画のことです。
1950年代から始まった北朝鮮の帰国事業を背景に、
兄はあの北朝鮮で暮らし、両親と妹は日本に暮らしている家族を描いた映画です。

監督は在日コリアン2世のヤン・ヨンヒ(梁英姫)さん。1964年大阪出身です。
「ディア・ピョンヤン」(‘05)、「愛しきソナ」(‘09)のドキュメンタリー映画で注目され、
今回「かぞくのくに」で初めてフィクション映画の監督に挑みました。
いずれも北朝鮮がそのテーマになっています。
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監督の3人の兄達は1971年秋から72年の春にかけて新潟から船で北朝鮮へ向かいました。
その年齢は18歳、16歳、14歳。
まだ6歳だった監督は両親とともに日本に残りました。

彼女の両親は韓国・済州島出身なのですが、
日本に来た後、北朝鮮を祖国として選びました。
現在の北朝鮮しか知らないとのとしては、
どうして韓国出身でありながら北を選んだのだろうかと思ってしまいますが、
当時、北朝鮮は“地上の楽園”と呼ばれていたのだそうです。

しかし、それにしても両親はなぜ3人の息子を見たこともない北朝鮮に送ったのでしょう。
そこにあったのは彼らが日本で受けていた差別でした。
両親は、当時、民族差別のため日本での進学や就職の道が閉ざされていた息子たちを、
北朝鮮で高等教育を受けさせ、職に就かせるということが
最善の選択と考えたからなのです――

「かぞくのくに」は、監督が自身の実体験を基にオリジナル脚本を執筆。
初のフィクション映画となります。

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映画は、
病気治療のために3ヶ月間だけの帰国を許されて帰国した10歳年上の兄が帰ってくるところから始まります。

同じ血を持つ家族でありながら、1人は自由に生き、
もう1人は自分で決断することなど許されない国に暮らす――

一時的な帰国を心待ちにする家族の日々を描いた作品で、
それ自体はどこにでもある家族愛の物語なのですが、
やはり、それだけではないところが実体験の迫力ということでしょうか。

どこにでもある家族をここまで苦しめる国家の存在は怖ろしいなぁと思ってしまいました。

さ、どんなお話かは次号までお待ちください。



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かぞくのくに
脚本・監督/ヤン・ヨンヒ、企画・エグゼクティヴ・プロデューサー/河村光庸、プロデューサー/佐藤順子、越川道夫、音楽/岩代太郎、撮影/戸田義久
出演
安藤サクラ/リエ、井浦新/ソンホ、ヤン・イクチュン/ヤン同志、京野ことみ/スニ、大森立嗣/ホンギ、村上淳/ジュノ、省吾/チョリ
8月4日(土)テアトル新宿他全国順次ロードショー
2012年、日本、100分、配給/スターサンズ
http://kazokunokuni.com/

by Mtonosama | 2012-08-02 06:12 | 映画 | Comments(7)