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殿様の試写室

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<   2012年 09月 ( 10 )   > この月の画像一覧

桃さんのしあわせ -2-
桃姐

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©Bona Entertainment Co.Ltd.

桃(タオ)さんは本作のプロデューサー、ロジャー・リーの一家に60年仕えてきたメイドさんです。
彼女は出生後、養子に出されましたが、戦争中に養父が死に、
13歳で使用人としてリーさんの一家に預けられ、以後ずっと働いてきました。
今の香港では、桃さんのような中国人がメイドとして働くことはないのでしょうが、
革命前後の中国にはこういうことは普通だったのでしょうね。

桃さんとリーさん一家との関係――
その関係は、古き良き時代という言葉はありますが、
必ずしも良い部分だけではなかった時代から続くものでした。
(あ、現在が良い時代とも言えませんよね・・・・・)

何年経っても他人のまま、という関係ももちろんありましょうが、
こんな暖かい関係を紡ぎ出すことのできる年月というものもまた一方にはあるのですね。

どんなお話なのでしょうか。


ストーリー
香港の雑踏を桃さんが歩いていきます。手には夕飯の食材がつまった買い物袋。
綺麗に整頓された部屋の食卓には、豪華ではありませんが、手の込んだ料理が並び、
ロジャーは黙々と口に運びます。
一言も声を出さなくても、桃さんにはロジャーの欲することは全てわかっています。

ロジャーは中国大陸と香港を行き来する有能な映画プロデューサー。
その日もいつものように打ち合わせを終えて自宅に戻ったところ、鍵が開きません。
ベルを鳴らしても桃さんは出てきません。
彼女は室内で倒れていました。

脳卒中でした。幸い数日で退院できるとはいうものの、医師はマヒが残るといいます。
「仕事を辞める」という桃さんの希望にしたがって、ロジャーは老人ホームを探しました。
どのホームも法外な値段でしたが、老人施設の経営を手広く展開する
ロジャーのかつての仕事仲間のバッタが手ごろな施設を手配してくれることに。

ホーム入居初日。雨の中、桃さんは一人で新しい生活の場へ。
主任のチョイさんに出迎えられ、大勢の老人たちも桃さんを見つめています。
桃さんは杖をつきながら、自室に。
チョイさんは個室といいますが、隣の部屋とは衝立で仕切られているだけの部屋です。
今までロジャーと二人で暮らしてきた桃さんはそっと溜息をつきます。

翌朝ロジャーが訪ねてきました。部屋の掃除をする桃さんの箒を取り上げ、
代わりに部屋を掃いてあげるロジャー。
二人のやりとりを見た入居者が「義理の息子さん?」と問いかけます。
ロジャーが「そうですよ」と答えると桃さんは恥ずかしそうに微笑みました。

ホームにはいろいろな人が暮らしています。
入居した桃さんに初めて声をかけてくれたガムさん。
調子が良くて踊りが大好きなお爺さん、キンさん。
まだ若いけれど透析治療を受けながら入居するムイさん。

ホームでの生活に次第に慣れ始めた桃さんはリハビリに励み、
他の入居者に頼まれて裁縫をしてあげたり、ホームでの信頼も得るように。

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正月も過ぎたある日、ロジャーがプロデュースした映画のプレミアム上映が行われました。
桃さんはよそゆきを着て出席。
上映後、二人は手をつなぎ、映画の感想を言い、笑いながら家に帰りました。

桃さんがホームに入って1年余り過ぎた頃、ガムさんが亡くなり、
ムイさんも転院し、そして、桃さん自身の容態も悪くなってきます。

しかし、桃さんはしあわせでした。

日に日に衰弱し、自分に残された時間が僅かしかないことを感じてはいましたが……

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みんな良い人ばかり。ありえないなぁ、と思いつつ、あって欲しい話だなぁ、と思います。
でも、ロジャー・リーさんの実体験を映画化したんですよね。

きちんと生き、きちんと老い、きちんと死んでいく桃さんの姿に
昔聞いた象の墓場の話を思い出しました。
人間は象のように死に場所に向って一人で歩いていくことはできません。
でも、ロジャーのような人がいてくれたら、
死を恐れることなく粛々と受け入れることができるのかもしれません。

ちゃんと死ぬということはちゃんと生きることと同じくらい大切なことなのですね。





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桃さんのしあわせ
監督・製作/アン・ホイ、製作・原作/ロジャー・リー、脚本/スーザン・チャン、製作/チャン・プイワー、製作総指揮/ドン・ユードン、アンディ・ラウ、ソン・ダイ、撮影/ユー・リクウァイ
出演
ディニー・イップ/桃、アンディ・ラウ/ロジャー、チン・ハイルー/チョイ主任(老人ホーム)、ワン・フーリー/ロジャーの母、イーマン・ラム/カルメン(ロジャーの助手)、アンソニー・ウォン/”バッタ“、ボボ・ホイ/ガム(老人ホーム)、チョン・ブイ/キン(老人ホーム)、ホイ・ソーイン/ムイ(老人ホーム)、エレーナ・コン/ガムの娘、ジェイソン・チャン/ジェーソン、サモ・ハン/映画監督、ツイ・ハーク/映画監督、ニン・ハオ/本人役、レイモンド・チョウ/本人役、ジョン・シャム/本人役、ロー・ラン/本人役、和田裕美/歌手
10月13日(土)Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開
2011年、中国・香港、広東語、119分、字幕/遠藤壽美子、後援/香港特別行政区政府駐東京経済貿易代表部、提供・配給/ツイン
http://taosan.net/

by Mtonosama | 2012-09-29 06:45 | 映画 | Comments(6)
桃さんのしあわせ -1-
桃姐

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©Bona Entertainment Co.Ltd.

「桃(たお)さんのしあわせ」。こういうタイトル良いですねぇ。
ショーウィンドウにふとみつけた好みの品にふらふらっと吸い寄せられていく感じ。
オリジナルタイトルは“桃姐”とそっけないけれど、これまた悪くないです。
いいなぁ――
というわけで、題名に魅かれて観てきました。

香港の雑踏がなんとも懐かしげ。
八百屋のおにいさんとの店先での会話や、桃(たお)さんのつくるおいしそうな家庭料理。
老人がたくさん出てくる映画です。
香港人も日本人も同じアジア人。
日本の下町のどこかにもこんな風景はあるのだろうな、と感じながら、
ゆったり楽しんできました。

年老いて一人で生きていくのは難しいし、死ぬことだって一人では難しいんですけど、
桃(たお)さんのような老い支度と死に支度ができればいいし、
ロジャーのように優しく手をひいてくれる人がいたら最高かも。
150歳にもなるとそんなことをしみじみ感じます。

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「桃(たお)さんのしあわせ」は、本作のプロデューサー、ロジャー・リーさんと
60年間リーさん家族に仕えてきたメイドの桃(たお)さんとの実体験を元にしたお話。

本作は今年、中国、香港、台湾で公開され、非アクション映画としては異例の大ヒットとなりました。
ヴェネチア国際映画祭では、桃(たお)さんを演じたディニー・イップさんが主演女優賞を受賞しています。

ロジャー・リー
本作の原作者でもあり、製作も担当したロジャー・リーは1950年生まれの香港の映画プロデューサー。高校卒業後、家族でアメリカに移住。オレゴン大学で国際市場学を学び、香港に帰国後、RTHK(香港電台)に入り、映画制作に携わる。アン・ホイ監督の「女人、四十。」(‘95)の製作に参加。本作「桃さんのしあわせ」は彼の実体験を元にアン・ホイ監督が映画化。2012年3月には自伝本「桃姐與我」も出版された。

アン・ホイ監督
アジアを代表する女性監督。1947年、中国・遼寧省で中国人の父と日本人の母との間に生まれた。5歳の時に香港に移住。香港大学で英語と比較文学の修士を取得した後、ロンドンの映画学校で2年学ぶ。香港に戻り、テレビ局でテレビドラマやドキュメンタリー作品を手がける。79年に初の長編映画「瘋劫」発表。香港ニューウェーブの旗手として注目される。ベトナム3部作の2作目「望郷/ボートピープル」(‘81)が有名。ベトナムものの他、家族間の問題や老人問題を描いた作品も多く、「女人、四十。」(‘95)ではベルリン国際映画祭主演女優賞、香港金像奨・主要5部門を獲得。

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本作といい、最近観たフランス映画「みんなで一緒に暮らしたら」といい、
老いや死をテーマにした作品が続きました。
東でも西でも団塊の世代が歳をとり、老いや死に直面する時を迎えています。
「関係ないもんね」とまだソッポを向いていることのできる年代の方も、
「今その真っ最中だよ」という方も、どうぞおつきあいくださいませ。

さて、さて、一体どんなお話なのでしょうか。
続きは次号で。乞うご期待でございますよ。



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桃(タオ)さんのしあわせ
監督・製作/アン・ホイ、製作・原作/ロジャー・リー、脚本/スーザン・チャン、製作/チャン・プイワー、製作総指揮/ドン・ユードン、アンディ・ラウ、ソン・ダイ、撮影/ユー・リクウァイ
出演
ディニー・イップ/桃、アンディ・ラウ/ロジャー、チン・ハイルー/チョイ主任(老人ホーム)、ワン・フーリー/ロジャーの母、イーマン・ラム/カルメン(ロジャーの助手)、アンソニー・ウォン/”バッタ“、ボボ・ホイ/ガム(老人ホーム)、チョン・ブイ/キン(老人ホーム)、ホイ・ソーイン/ムイ(老人ホーム)、エレーナ・コン/ガムの娘、ジェイソン・チャン/ジェーソン、サモ・ハン/映画監督、ツイ・ハーク/映画監督、ニン・ハオ/本人役、レイモンド・チョウ/本人役、ジョン・シャム/本人役、ロー・ラン/本人役、和田裕美/歌手
10月13日(土)Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開
2011年、中国・香港、広東語、119分、字幕/遠藤壽美子、後援/香港特別行政区政府駐東京経済貿易代表部、提供・配給/ツイン
http://taosan.net/

by Mtonosama | 2012-09-26 06:29 | 映画 | Comments(4)
くろねこルーシー -2-

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©2012「くろねこルーシー」製作委員会

いくら自分が飼っていた黒猫が主人公とはいえ、世の中、猫派のひとばかりではありません。
犬派やハムスター派の皆さんも、どんなお話か気になりますよね。

ウラさびれたボーリング場、なんとなくわびしげな2階建の集合住宅。
それが絵になってみえるのは公孫樹の木々が黄金色に色づいているからなんですけど。
とのはこのなつかしげで、寂しげで、そそられる光景に、襟首つかまれてしまいました。

さて、どんなお話かといいますと――


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ストーリー
鴨志田賢、38歳。リストラされた元サラリーマンの占い師。
妻は5歳になる息子を連れて別居。彼女は占いを仕事として認めてはおらず、
息子の陽もなついていません。
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この鴨志田さん、人当たりがよく、話を聞くのは上手なのですが、
おばあちゃん子のせいか、迷信や縁起にふりまわされやすいという欠点があります。
ボーリング場の中にある占いコーナーにブースを出しているものの人気はいまいち。
隣のブースに店を出す占い師のガリンシャには「もっとキャラを出さなきゃ」とダメ出しされ、
占いコーナーの管理部長は売り上げアップを要求、
占いの師匠からも「なんとかならないものですかねぇ」と嘆かれる日々。

そんなある日、仕事から帰る途中、黒猫が目の前を横切りました。

受験に失敗した日、リストラされた日、妻が別居を切り出した日。
人生の節目となる日、いつも黒猫が彼の前を通って行ったものです――

ああ、縁起が悪い。
ところが、自宅アパートの玄関でその黒猫に再び遭遇!
名前はルーシーというらしいのですが、まったく物怖じしないその猫に恐怖を募らせます。
翌朝、さらに、あろうことか、ドアの前には2匹の黒い子猫が。
母猫は姿を消し、頭上には子猫を狙ってカラスが乱舞しています。
鴨志田さん、子猫たちを放ってもおけず、部屋の中に入れてしまいました。

思いもかけないことで始まった子猫との新生活。
ペット売場の店員のアドバイスを受けながら、ミルクを与え、
子猫たちの居場所を整える鴨志田さんでした。
名前もルーとシーと名づけ、仕事中はペットショップで預かってもらいます。
少しずつ子猫たちとの生活が軌道に乗り始めた頃、母猫ルーシーも姿を見せるようになりました。

そんなある日、変化が。
ルーとシーをペットショップで預かってもらえなくなり、
鴨志田は占いブースに2匹を置いておくことに。
そこへやってきた客。2匹を見てひらめき、なんと万馬券を当てたのです。
それ以降、鴨志田さんの占いブースは押せや押せやの大盛況。
妻と息子との関係も次第に良くなっていくのでした……


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めでたし、めでたし。

とは、実はいかないのですね。
鴨志田は猫たちと別れるような事態に追い込まれることになり、
38年の人生で2度目の決断をしなくてはならなくなります。

ま、その決断によって穏やかで平凡ではあるけれど、大きな幸福を手に入れることになるんです。
うん、やっぱりめでたし、めでたしかな?

子猫たちの可愛いしぐさに笑ったり、ちょっとだけハラハラしたり。
いつもながら優しくホッとさせてくれる亀井・永森コンビの映画なのでありました。





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くろねこルーシー
監督/亀井亨、製作総指揮/吉田尚剛、企画・脚本/永森裕二、製作/「くろねこルーシー」製作委員会(アミューズメントメディア総合学院/tvk/テレ玉/チバテレ/三重テレビ/KBS京都/サンテレビ/札幌テレビ放送/TVQ九州放送/ぎふチャン/NTTぶらら/竹書房)
出演
塚地武雅/鴨志田賢、安めぐみ/鴨志田の妻、大政絢/ペットショップ店員、濱田マリ/ガリンシャ(隣のブースの占い師)、山本耕史/鴨志田陽、京野ことみ/陽の妻、生瀬勝久/鮫島修一、
ジャック/母猫ルーシー、スモーク♂/ルー、モア♀/シー
10月6日(土)よりシネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
2012年、日本、107分、企画・配給/AMGエンタテインメント、http://www.kuroneko-lucy.info

by Mtonosama | 2012-09-22 06:30 | 映画 | Comments(6)
くろねこルーシー -1-

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©2012「くろねこルーシー」製作委員会

当試写室で上映した「幼獣マメシバ」http://mtonosama.exblog.jp/11202242/
そして、「ねこタクシー」http://mtonosama.exblog.jp/13423350/ http://mtonosama.exblog.jp/13388259/
ちょっと不器用な人間たちと素のまんまの動物たちの繰り広げるほんわかした映画を送りだしてきた
亀井亨監督と企画・脚本の永森裕二さん。
今回またまたあったかい作品をつくってくれました。

「くろねこルーシー」です。なんと今回は黒猫3匹が登場するという大サービス。

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今回登場する不器用な人間は、会社をリストラされ、妻子とも別居、
ウラ寂しい場末のボーリング場でガチャガチャ販売機なんかと並んだ占いブースで
営業するパッとしない占い師です。

この占い師をお笑いコンビ「ドランクドラゴン」の塚地武雅が演じます。
小太りのほうです。
塚地さん、「間宮兄弟」(‘06森田芳光監督)で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、
ドラマ「裸の王様」では山下清役を演じていますが、
映画単独初主演は今回が初めてとなります。
お笑いのときは「いまいちおもしろくないなぁ」とちょっとひいていたとのですが、
(ごめんなさい)
本作ではなかなか良い味を出していました。
さすが故・森田芳光監督に認められただけのことはあります。

黒猫というと、
欧米では不吉の象徴という迷信があり、魔女狩りなどで殺されたり、
イタリアでは毎年6万匹も迷信を信じる市民によって殺されたり、
13日の金曜日に見ると不幸が起きると言われたり、
目の前を横切ると悪いことが起きる、とか、
とかく不当な言いがかりをつけられている存在。

逆に、黒猫が吉兆という言い伝えもありますけどね。
イギリスでは結婚するときに黒猫が前を横切ると幸せになるといわれるそうです。
そうそう、黒い招き猫は魔よけになるとかね。

とのの家にも昔、黒猫がいました。
うちの黒ちゃんは当時お店をやっていた実家の正面からシッポをピンと立てて
小さな身体ながら堂々と入ってきて住みついてしまった猫です。
でも、2~3年一緒に暮らした後、いつのまにか出て行きそのまま帰ってきませんでした。

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そんな大昔のことも思い出させてくれた映画が「くろねこルーシー」。
本作に登場する子猫たちは、撮影時、生後2ヶ月。
猫は演技ができないなんていいますが、もうその存在だけで充分。
細いシッポを直立させ、手足4本でジャンプしながら平行移動。
(沼田まほかるさんが小説「猫鳴り」で書いていた落下傘ジャンプってこれですよね)
後肢でテッテッテッテッとキック。
もちろん猫パンチも。
可愛くて思わず笑ってしまいます。

亀井亨、永森裕二コンビの作品の持ち味は、猫や犬の可愛さだけでなく、
その添え物――
あ、失礼しました。主役ですね。主役のなんとも不器用なおじさんたちの生き方。
上手に生きることのできないおじさんたちと動物たちの組み合わせという形で
シリーズ化してしまった映画です。
お涙頂戴ストーリーでもないし、
可愛くて、賢くて、勇敢な動物たちのお話というのでもありません。
なんとも自然体なほのぼのした映画ですよ。

さあ、どんなお話なのでしょうか。
子猫たちの落下傘ジャンプを見て、身体の疲れも心のしこりも取っ払ってしまってくださいませ。

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    ©2009『幼獣マメシバ』製作委員会

えっと、これは犬好きの方のためのおまけ。「幼獣マメシバ」です。



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くろねこルーシー
監督/亀井亨、製作総指揮/吉田尚剛、企画・脚本/永森裕二、製作/「くろねこルーシー」製作委員会(アミューズメントメディア総合学院/tvk/テレ玉/チバテレ/三重テレビ/KBS京都/サンテレビ/札幌テレビ放送/TVQ九州放送/ぎふチャン/NTTぶらら/竹書房)
出演
塚地武雅/鴨志田賢、安めぐみ/鴨志田の妻、大政絢/ペットショップ店員、濱田マリ/ガリンシャ(隣のブースの占い師)、山本耕史/鴨志田陽、京野ことみ/陽の妻、生瀬勝久/鮫島修一、
ジャック/母猫ルーシー、スモーク♂/ルー、モア♀/シー
10月6日(土)よりシネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
2012年、日本、107分、企画・配給/AMGエンタテインメント、http://www.kuroneko-lucy.info

by Mtonosama | 2012-09-19 06:40 | 映画 | Comments(6)
ソハの地下水道 -2-
In darkness

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Ⓒ 2011 Schmidtz Katze Filmkollektiv GmbH, Studio Filmowe Zebra, Hidden Films Inc.

戦争が終わってから67年も経っているのに、
未だにナチスの行った残虐な行為は映画に描かれ続けています。
あってはならない人間の闇の部分は、年月を経て世代が変わっていくごとに
語り継いでいかなければならないことだからかもしれません。

この映画の主人公は下水道修理をなりわいとしつつ、
コソ泥稼業にも精を出すレオポルド・ソハという実在の人物。
そして、なんとしても生き延びようとしたこずるくも逞しいユダヤ人たち。
ソハはコソ泥だったかもしれませんし、ユダヤ人も弱いだけの人というだけではありません。
ですが、ソハの行動は杉原千畝やシンドラーに勝るとも劣らないものでした。
ひとは最初から千畝やシンドラーなんじゃなく、
なにをなすかによって後々まで讃えられるひとになっていくのですものね。

さあ、どんなお話なのでしょうか。


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ストーリー
1943年、ポーランドのルヴフ。
ナチスに支配されたこの街で下水道修理工として働くソハは妻と幼い娘を養うため、
コソ泥稼業にも精を出す。
ある日、相棒のシュチェぺクと一緒に盗品を隠そうと地下の下水道に降りたソハは
ナチスのゲットー掃討を逃れようとする詐欺師のムンデクたちユダヤ人を発見。
“教授”と呼ばれる裕福な男ヒゲルから、口止め料としてスイス製の時計と金を受け取ったソハは
新しい金儲けの手段を思いつく。
彼らに地下下水道の隠れ場所を提供する見返りとして、一日あたり500ズロチをせしめようというのだ。

ソハの提案を受け入れるユダヤ人たち。

間もなくゲットーのユダヤ人たちの強制収容所への移送が始まり、
街の中でもナチスによる残虐な殺戮が繰り広げられる。
そんな大混乱の中、多くのユダヤ人たちが下水道に殺到。
ソハは相棒のシュチェぺクと一緒に彼らを誘導した。

地上に戻ったソハはいきなり兵士と鉢合わせ、ユダヤ人と疑われる。
危ういところを旧知のウクライナ人将校ボルトニクに助けられた。
「下水道でユダヤ人を見つけたら必ず俺に知らせるんだぞ」
と念を押されるソハ。ボルトニクもドイツ軍の報奨金目当てでユダヤ人を捜索していたのだ。

街で食糧を調達し、下水道に降りたソハのもとに空腹を抱えたユダヤ人が殺到する。
だが、そんなに多くの面倒を見ることはできない。
ソハは”教授”ヒゲルとその妻子、詐欺師ムンデクと彼が想いを寄せるクララたち11人に人数を絞った。

ある日、住民から地下にユダヤ人が潜んでいるという通報を受けたボルトニクがソハの家にやってくる。
地下水道を案内するよう命令するためだ。
何とかやり過ごしたソハだったが、その晩、夕飯を共にしたシュチェペクがうっかり口を滑らせ、
ソハがユダヤ人を匿っていることをソハの妻に話してしまった。
怒り狂う妻。万一ドイツ軍にばれたら家族全員が処刑されてしまうのだ。
シュチェぺクもまた身の危険を感じてソハのもとから去っていった。

とうとう”教授“ヒゲルの有り金のつきる時が来た。
そして、プレッシャーに押しつぶされそうになったソハも「もうできない」とユダヤ人たちに言い渡す。
暗闇の中で孤立するユダヤ人。
そんなある日、水と食べ物を求めて地上に出た詐欺師ムンデクがドイツ人兵士に発見されてしまった。
たまたま通りかかったソハは彼を救おうと兵士を殺してしまう……

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ユダヤ人たちが繰り広げる生き抜くための駆け引き、
彼らに傾いていくソハの心の移り変わり。
きれいごとばかりではありません。
地下水道という詩的なタイトルがついてはいても、要するに地下の下水道。
臭いも湿気もヌルヌル感も相当なものです。
それらを観客の想像力にだけ任せず、
幼いユダヤ人の少女の口から言わせるなど心憎い演出もそこかしこに。

暗くて臭い下水道の中で展開するストーリーは手に汗握ると同時に感動的なものでした。
スクリーンに映る暗闇と座席の暗さがつながり、登場人物とたやすくシンクロしていきます。
原題は“In Darkness”(暗闇の中で)。
下水道の中でほのかに揺れるロウソクの明り。その中で身を寄せ合うユダヤ人たちの姿。
そして、ラストシーンの、マンホールの蓋を内側から持ち上げた時に降りかかる目が眩むばかりの陽光。
「暗闇の中で」という原題を用意しながら実は大いなる光の物語でした。

それにしても、ソハに支援されたユダヤ人たちはこの暗闇のなかで14ヶ月耐え抜いたのだそうです。
もしも、臭いの出る映画が開発され、下水道の臭いが充満し、
それが3Dで上映されて下水道の中を跳梁するネズミが飛び出してきたら、と考えたら、
とのは上映時間の145分さえ我慢できないと思います。

やはり人間のなした罪悪は何度でも何度でも語り伝えていかなければなりません。





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ソハの地下水道
監督/アグニェシュカ・ホランド、脚本/デヴィッド・F・シャムーン、原作/ロバート・マーシャル「ソハの地下水道」(集英社文庫)、プロデューサー/シュテファン・ロイター、パトリック・ニッぺ、マルク=ダニエル・ディシャン、レアンダー・カレル、ユリウシュ・マフルスキ、エリック・ヨーダン、ポール・シュテファン
撮影/ヨランダ・ディレフスカ
出演ロベルト・ヴィェンツキェヴィチ/ソハ、ベンノ・フユルマン/ムンデク、アグニエシュカ・グロホフスカ/クララ、マリア・シュラーダー/パウリナ、ヘルバート・クナウプ/イグナツィ、キンガ・プライス/ソハの妻
9月22日(土)TOHOシネマズシャンテ他にて公開
2011年、ドイツ・ポーランド合作、ポーランド語、ウクライナ語、イディッシュ語、ドイツ語、145分、日本語字幕/吉川美奈子、後援/ポーランド広報文化センター、配給/アルバトロス・フィルム、クロックワークス
http://www.sohachika.com/pc/

by Mtonosama | 2012-09-16 06:14 | 映画 | Comments(8)
ソハの地下水道 -1-
In darkness

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Ⓒ 2011 Schmidtz Katze Filmkollektiv GmbH, Studio Filmowe Zebra, Hidden Films Inc.

地下水道って、なんかカッコ良くありません?
地下の暗いトンネルの向こうに見えるはるかな光明に向って清冽な水が流れているという感じがして。

でも、ここでいう地下水道って、地下下水道のことなんですよね。
下という字が1つ増えると随分イメージが変わってしまいます。

今回ご紹介する映画は「ソハの地下水道」。
「地下水道」と聞き、ある年代以上の映画ファンがすぐに思い浮かべるのは
アンジェイ・ワイダ監督の「地下水道」(‘56)でしょう。
第2次世界大戦下のポーランドで起きたワルシャワ蜂起の悲劇を描いた名作で、
ワイダ監督31歳の時の作品です。

ところが、同じ地下水道が舞台でありながら、
「ソハの地下水道」の主人公はレジスタンスの兵士でも、闘う市民でもありません。
主人公レオポルド・ソハの仕事は下水道修理。
みるからに小悪党といった顔つきの中年男です。
本業だけでは妻子を養えず、副業としてコソ泥を働き、
その戦利品を職場である地下水道に隠したりしています。
迷路のような下水道もソハにとっては自分の部屋のようなものですからね。

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そんな男がある日、ナチスのゲットー掃討から逃れようと、
地下水道に通じる穴を掘っているユダヤ人グループを発見。
報奨金目当てにドイツ軍に報告すれば彼らの命はそれまでです。
しかし、ソハは一回だけの報奨金よりも、このユダヤ人たちを地下水道にかくまい、
恒常的に金をひきだすことを思いつきました。小悪党の考えそうなことでしょ?
地下水道の隅から隅まで知り抜いているソハにとって彼らは新しい金づるになるはずだったのですが…
とまあ、ハリウッドが撮影したら、戦争コメディになりかねないような内容。
でも、これが実話だというのだから、驚きました。

この驚くべき実話は、脚本家のデヴィッド・F・シャムーンが
カナダの新聞記事からみつけました。
彼がその記事を目に留めたことから企画が始まり、
なんと8年もの製作期間を経て完成した映画です。
監督はアグニェシュカ・ホランド。


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アグニェシュカ・ホランド

1948年ワルシャワ生まれ。現在はフランスに住んでいますが、
アンジェイ・ワイダにも指導を受けた女性監督です。
「太陽と月に背いて」(‘95)「敬愛なるベートーヴェン」(‘06)などを監督し、008年にはニューヨーク近代美術館(MOMA)で彼女の代表作が数々上映されてもいます。
脚本家としても活躍し、クシシュトフ・キェシロフスキの「トリコロール」3部作の1作目『トリコロール/青の愛』の共同脚本を手がけており、数々の映画監督にも脚本を提供しています。

さあ、どんなお話なのでしょうか。
次回まで乞うご期待でございますよ。



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ソハの地下水道
監督/アグニェシュカ・ホランド、脚本/デヴィッド・F・シャムーン、原作/ロバート・マーシャル「ソハの地下水道」(集英社文庫)、プロデューサー/シュテファン・ロイター、パトリック・ニッぺ、マルク=ダニエル・ディシャン、レアンダー・カレル、ユリウシュ・マフルスキ、エリック・ヨーダン、ポール・シュテファン
撮影/ヨランダ・ディレフスカ
出演
ロベルト・ヴィェンツキェヴィチ/ソハ、ベンノ・フユルマン/ムンデク、アグニエシュカ・グロホフスカ/クララ、マリア・シュラーダー/パウリナ、ヘルバート・クナウプ/イグナツィ、キンガ・プライス/ソハの妻
9月22日(土)TOHOシネマズシャンテ他にて公開
2011年、ドイツ・ポーランド合作、ポーランド語、ウクライナ語、イディッシュ語、ドイツ語、145分、日本語字幕/吉川美奈子、後援/ポーランド広報文化センター、配給/アルバトロス・フィルム、クロックワークス
http://www.sohachika.com/pc/

by Mtonosama | 2012-09-13 06:18 | 映画 | Comments(4)
ライク・サムワン・イン・ラブ -2-
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©EUROSPACE All Rights Reserved.

暗い場所で光が点滅すれば、本能的にそれを追ってしまいます。
その光が時間の経過とともに変化すれば、さあどうなるのだろうと見つめてしまいます。
そして、音楽が伴えば、映像に意味を与えてしまいます。
無声映画の時代は欧米では音楽伴奏がつきものだったし、
日本では弁士がせりふをつけました。
(はい、祖父がその弁士をやっていました)

だからといって、今の時代、暗い中でスクリーンに映像が流れ、
音声が聞こえてきさえすればいいというものではありません。
ある情景を2時間近く映していれば映画一本できあがり、
というのであれば映画監督なんていりません。
じゃあ、素晴らしいストーリーがあればいいのでしょうか。
必ずしもそうとはいえません。

って――
いったい何を言いたいんだ。わたし。

ストーリー、テーマ、俳優、音楽、撮影・・・・・
この内のひとつが欠けても映画は成り立たないと思っていました。
それは確かにそうなんですけれど、どうも、そうとはいえないような――


ゴジャゴジャ言うより、まずは、どんなお話なのか覗いていただきましょうか。


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ストーリー
80歳を超え、現役を引退した元大学教授タカシ。
彼は亡くなった妻に似た若い女性・明子をデートクラブを通じて自宅に呼びます。
タカシは彼女のためにテーブルをしつらえ、シャンパンとサクラエビのスープを用意。
しかし、明子は「サクラエビは嫌いなの」と手をつけようともしません。
そして、自分からベッドに向い、タカシを誘います。
当惑するタカシ――

しかし、彼女の頭にあるのは、わざわざ田舎から上京していた祖母に会えなかったこと。
本当はタカシのところになど来たくはなかったのです。

翌朝、明子の通う大学まで車で送ったタカシの前に、彼女の婚約者だというノリアキが現れます。
彼はタカシを明子の祖父と勘違いし、タカシの車の不調を自分の整備工場で無料で修理したりするのですが……

もう17、18年前から日本で映画を撮りたいと考えていたアッバス・キアロスタミ監督ですが、
そのきっかけは六本木で見た光景だったそうです。
監督は六本木の路上でウェディングドレスを着てひとりで立っている若い女性を見ました。
ガイドに彼女のことを訊ねた監督。
彼女が娼婦だと教えられたときの驚きが本作につながりました。

意味ありげな人物が登場し、意味ありげなバーが映し出されるので、きっと何かが起こるにちがいない、と、
ことの展開を待ちうける観客の期待とはうらはらに、なじみ深い都会の夜景が車窓を流れていくだけ。
やがてタクシーは目的地に着き、趣味の良い元大学教授の書斎に導かれていきますが、
そこでも観客が予想するような事態は起こりません。

淡々と<時>は流れ、当然訪れるべき結末は訪れますが、それへの回答は示されないまま、映画は終わります。
いえ、きっと終わってはいないと思います。その後も粛々と<時>は流れていくのですから。
<時間>を切り取ってスクリーンに映し出した、という始まりもなければ終りもない映画です。

前作「トスカーナの贋作」でも感じた当惑に今回も襲われました。
http://mtonosama.exblog.jp/15412531/ http://mtonosama.exblog.jp/15429462/

自分が想像しうる形で展開しない映画です。
前作でも、本作でも、もっともらしいストーリーを紹介してはいますが、
ストーリーがわかってもとまどいは消えません。

人生の一場面を切り取って見せても、それは何の意味もない時の流れに過ぎないかもしれない――

それ以前の時の流れ、そして、それ以後の時の流れによって、
観客にとってはまったく違う展開が見えてくるのでしょう。
だからこそ、この映画は自分の目で確かめて観る必要があります。
そう、観客が自分でつくる映画ということがいえるかもしれません。

心の揺らぎにも似たこのとまどい。とのは「あぁ、こういうのもありなんだな」と思えるようになりました。
皆さんはどうお思いになるでしょうか。

光、音、時間。映画の要素は単純かもしれませんが、
その組み合わせはとんでもない作品をつくり出してくれます。





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ライク・サムワン・イン・ラブ
監督/アッバス・キアロスタミ、プロデューサー/堀越謙三、マリン・カルミッツ、監督補・通訳/ショーレ・ゴルバリアン、助監督/田澤裕一、飛田一樹、廣原暁、撮影/柳島克己
出演
奥野匡/たかし、高梨臨/明子、のりあき/加瀬亮、でんでん/ひろし
9月15日(土)渋谷ユーロスペースにてロードショー、他全国順次ロードショー
2012年、日本・フランス共同製作、109分
http://www.likesomeoneinlove.jp/

by Mtonosama | 2012-09-10 06:32 | 映画 | Comments(10)
ライク・サムワン・イン・ラブ -1-
Like someone in love

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©EUROSPACE All Rights Reserved.

映画の三大要素。
すごく大まかに分けたら光と音と時間ではないでしょうか。
あ、これは未検証ですから試験の答案には書かないでくださいね(笑)。

でも、いつも思うのですが、「映画の父」と呼ばれるリュミエール兄弟の姓・リュミエールが
光を意味するフランス語だというのは本当に象徴的です。

暗い映画館でスクリーンに光が踊る――
もうそれだけで興奮しますものね。
150歳のとのが幼い頃は「わ~い、幻燈だ~!」と
小学校の講堂に張られたスクリーンに写真が映るだけで興奮しまくったものです。

幻燈・・・・・
何やらなつかしい言葉。
今の時代では「幻燈」で検索すると「燐光幻燈館」などというこれまたそそる項目がヒットしますが。
とのの幼い頃は映画会のようなものであったと記憶しております。

さて「ライク・サムワン・イン・ラブ」。
これまた超有名なジャズスタンダード。
本作ではエラ・フィッツジェラルドが歌っていますが、いいですねぇ。
(とのはチェット・ベイカーのボーカルが好きだったのですが、なんたって思い込みは世間を狭めます)



すいません。なかなかこの映画にたどり着けません。

本作「ライク・サムワン・イン・ラブ」はアッバス・キアロスタミ監督が母国イランを離れ、
海外で撮影した第2作目です。
それも日本を舞台とし、俳優も日本人なら、使用言語も日本語という作品です。
俳優はすべてオーディションで選ばれました。
84歳にして初の主役を演じる奥野匡、
TVドラマやバラエティ番組にも出演する高梨臨、
「それでも僕はやっていない」(‘07)他、多くの話題作に出演し、
最近では「永遠の僕たち-レストレス-」(‘11 ガス・ヴァン・サント監督)に出演するなど
国際的な俳優としても活躍する加瀬亮、
などが出演しています。

オーディションの段階では映画の内容もキアロスタミ監督の映画だということも知らされず、
撮影に入っても当日分の台本しか渡されないということで、俳優さんにとっては当惑の連続だったらしいです。

当日分の台本しか渡されないとなると、その登場人物の経歴や家族、性格もわからないということですから、
俳優たちは演じるための材料がないところで演じないといけない・・・・・
試験勉強をしないで期末試験を受けるようなものです。
さぞ困ったことでありましょう。

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しかし、当惑は俳優たちのものだけではなかったんです。

日本人俳優、見慣れた日本の風景、日本語の会話。
とんがった台詞も、ぶっとんだ場面展開などもありません。
いわゆる前衛的な映画でもないし、芸術的すぎて困るという映画でもありません。
退屈したり、わかったふりなんかすることなく、最初から最後までスクリーンに釘付けになってもいます。

なのに感じるこのとまどい。
う~ん、一体なんなんでしょう。

さあ、どんなお話なのでしょうか。アッバス・キアロスタミ監督はどんな魔法をかけてくれるのでしょう。
続きは次回までお待ちくださいませ。



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ライク・サムワン・イン・ラブ
監督/アッバス・キアロスタミ、プロデューサー/堀越謙三、マリン・カルミッツ、監督補・通訳/ショーレ・ゴルバリアン、助監督/田澤裕一、飛田一樹、廣原暁、撮影/柳島克己
出演
奥野匡/たかし、高梨臨/明子、のりあき/加瀬亮、でんでん/ひろし
9月15日(土)渋谷ユーロスペースにてロードショー、他全国順次ロードショー
2012年、日本・フランス共同製作、109分
http://www.likesomeoneinlove.jp/

by Mtonosama | 2012-09-07 05:38 | 映画 | Comments(6)
イラン式料理本 -2-
Iranian Cookbok

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(C) 2010 Mohammad Shirvani. All rights reserved.

料理をする女性がスカーフで髪を隠している以外は
台所のしつらえもそこにある家電製品も調理道具も日本と変わりません。

貫禄たっぷりな女性や知的なクールビューティの現代女性まで、
(このクールビューティは監督の奥さんです)
監督の身内の女性たちがカメラに向かって料理をつくり、
「嫁いできたのは13歳の時だったわよ」などとおしゃべりしたり、
「夜の10時にお客を連れてきて料理を作れって何なのよ」とカメラに向かって怒ったり。
ま、彼女の怒りたくなる気持ちはよくわかります。
いくら映画を撮るためとはいえ、大勢の料理を作らされる側にとっては迷惑この上ない企画ですよね。
(この怒ってる女性は監督の奥さんです)

年配の女性たちがしたたかなのは万国共通なのでしょう。
顔で笑いながら、姑や亭主にやり返すことも忘れません。
主婦歴35年の監督の義母の姑とのやりとりは最高。
「それにしてもあの頃はどうしてあんなにいじめたのよ」
とジャンボ肉団子を両手にバフッバフッとぶつけながら、チクチク文句を言い、
対する姑はすっかり枯れてフフフと笑って、いなしてるかと思えば、
料理に口をはさむ亭主(息子)をやっつける時は嫁と姑が共同戦線をはったりします。
女の敵は女だけど、女の味方も女なんですよね。

この辺のやりとりで笑い声が出るのは女性の観客のみ。
男性は何がおもしろいのかわからないところもおそらく万国共通かも。

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しかし、ここに登場する亭主や息子たち、っていうか、男たちはまったく役に立ちません。
それでもまだ笑いをとろうとする男たちは良い方でしょう。
この映画に登場する男たちはただ食べるのみ。
女たちが何時間もかけて作った料理をあっと言う間に平らげ、おいしいでもなければ、
ありがとうでもない。もちろん片づけもしません。

なかでも腹が立ったのは監督の妹の亭主。
午前中に大学で講義を受け、帰宅後、やんちゃな双子の男の子の面倒をみながら、
ナスの煮込みをつくります。
確かに要領はあまり良いとはいえないのですが、
休む間もなく10人近いお客さんの料理を作るのってメチャクチャ大変だと思うんですけど。
で、また双子がかなり悪い、ときてます。
調理台の上に(!)座り込んで騒ぎます。もちろんお手伝いなんてしませんよ。
とのならすっかりキレて怒鳴りまくっているところですが、
この双子のママ、怒りもしない。
さらにやっとの思いで作った料理をアッと言う間に食べ終わった男たちは
さっさとどこかへ消え、ひとり黙々と後片付けをする彼女。
「そこにあるカップをどかしてちょうだい」と言ってもシカとする双子。
父親がそこにいながら「ママのお手伝いをしなさい」と注意もしません。
ああ、こんな風にして思いやりのない男たちが育っていくのか、
と義憤に駆られてスクリーンを凝視するとのでありました。

最低限の資材と切り詰められるだけ切り詰めた予算で作ったに違いない映画なのでしょう。
でも、登場する女性たちと笑ったり怒ったりしながら楽しんでしまいました。

しかし、料理をつくるという行為は単なる家事には終わらず、文化、歴史、社会の在り方、
いろんなものを包み込んだ行為であります。
もうとっくにおわかりのように、本作は単なる料理映画ではありません。
結構シビアな社会批判映画だと思いません?

監督の奥さんも、監督の妹も、離婚して正解でしょう。
社会はこんな風にして変わっていくこともあるのでしょう。

それにしてもこんなに面白い映画なのに、イラン国内では上映されないのだそうですよ。





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イラン式料理本
監督・脚本・製作/モハマド・シルワーニ、撮影/フーマン・べーマネシュ、編集/モハマド・シルワーニ、エスマイル・モンセフ、録音/ファルシード・ファラジ
出演
監督の母、その友人、監督の妻、監督の伯母、監督の妹、監督の義母、監督の友人の母
9月15日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー
2010年、イラン、ペルシャ語、カラー、72分、字幕/西村美須寿、字幕監修/ショーレ・ゴルバリアン、配給/アニープラネット
http://www.iranshiki.com/

by Mtonosama | 2012-09-04 05:44 | 映画 | Comments(10)
イラン式料理本 -1-
Iranian Cookbok

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(C) 2010 Mohammad Shirvani. All rights reserved.

イラン式料理?イランの料理なんてしらん、などと言わず、まあ、おつきあいください。

イランの料理といっても羊料理くらいかなぁ、って思ってしまいますが、
いやいや、あなた、野菜料理やらお米の料理やらブドウの葉包み料理やら、
ラマダン後の空腹時ならずとも食べてみたいな、と思わせる料理がいっぱいです。

ところで、イランの映画というと1979年の革命後、政府による検閲が厳しくなっています。
最近でも文化イスラム指導省がイラン映画協会の解散を命じるという事態が発生しました。
裁判所ではそれを違法とする判決を下したものの、
再度、同省はイラン映画協会の違法性を強調し、解散命令を出したとのこと。

そんな大変な状況の中でつくられた今回の映画はなんと料理映画。
それも、日本の長寿料理番組のあのテーマソングとともに登場しそうなカメラアングルで
イランの女性たちが手間暇かけてお料理をつくってくれるというドキュメンタリー映画。
登場するのは、本作の監督モハマド・シルワーニさんの親類縁者7人の女性たちです。


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モハマド・シルワーニ監督は1973年テヘラン生まれ。テヘランでアートを学んだ後、
映画の世界に入りました。本作は1999年のカンヌ映画祭「国際批評家週間」で選ばれ話題になった作品です。それ以降、精力的に短編やドキュメンタリー、長編映画を制作。世界各国で上映されています。数年間にわたりイラン・インディペンデント短編映画協会(ISFA)の代表を務め、インディペンデント系のドキュメンタリーや短編の制作を続けています。

「イラン式料理本」では脚本も製作も担当したシルワーニ監督は本作についてこのように語っていますよ。
「本作はイランの女性たちへの賛歌だ。フェミニスト映画を意図したわけではないが、
料理と料理に関することに一度は向き合わなければ、と思っていた。
台所は、私の母が30年以上も過ごした場所だ。
そして、私は、台所の細部がどうなっているか、今までほとんど知らずにいた」

男尊女卑のイメージが強いイランなのに、なんと殊勝な考えの監督でありましょう。

<男子厨房に入らず>という意識はおそらく日本よりも根強いことでしょうから、
監督も撮影に際しては身内の女性に限ったのでしょうね。
料理を作る女性たちは
監督の奥さん。
主婦歴40年の監督のおかあさん。
14歳の時に40歳の夫のもとへ嫁いだという母の友人。
13歳で結婚した監督の伯母さん。
姑と丁々発止とやりあう主婦歴35年、5人の子持ちの義母。
やんちゃな双子を育てながら大学に通う監督の妹、
9歳で結婚し、もうすぐ100歳になる監督の友人の母親(彼女は料理はつくりませんけれど)

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ラマダンの豪華料理から、缶詰を温めるだけの料理まで。
彼女たちが料理をつくる姿からどんなイランの現状が見えてくるでしょうか。

さあ、いったいどんなお話でしょう。
続きは次回で。乞うご期待でございますよ。



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イラン式料理本
監督・脚本・製作/モハマド・シルワーニ、撮影/フーマン・べーマネシュ、編集/モハマド・シルワーニ、エスマイル・モンセフ、録音/ファルシード・ファラジ
出演
監督の母、その友人、監督の妻、監督の伯母、監督の妹、監督の義母、監督の友人の母
9月15日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー
2010年、イラン、ペルシャ語、カラー、72分、字幕/西村美須寿、字幕監修/ショーレ・ゴルバリアン、配給/アニープラネット
http://www.iranshiki.com/

by Mtonosama | 2012-09-01 06:15 | 映画 | Comments(6)