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殿様の試写室

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殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

<   2012年 12月 ( 12 )   > この月の画像一覧

2012 BEST 10 OF
殿様の試写室  
-3-

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さあ、2012年最後の今日はベスト3の発表です。
ベスト10に選んだ作品はどれも皆印象に残る作品ばかり。
いえ、2012年度にご紹介した60本の映画の内、ベスト10に洩れた50本の作品も
選べなかったのが申し訳ないような映画でした。
まして、それに順位をつけるなどまことに畏れ多いことでございます。

しかし、いきます。



3位 オロ
OLO.The boy from Tibet

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わずか6歳の時にたったひとりチベットからインド・ダラムマサラへと亡命し、
その地で教育を受ける少年オロを追ったドキュメンタリー映画でした。

素直だけれど時々いたずらっぽい素顔をのぞかせるオロ少年と
本作の岩佐寿弥監督が孫とおじいちゃんのようです。
ふたりでチベット難民が住む村を訪ねるのですが、
まるでロードムービーのようなドキュメンタリー映画でした。
色鉛筆のタッチが優しいアニメーションも挿入され、
優しくて心が温かくなる映画。
チベットを描くのに、こういう形があったとは――

当試写室にて8月に上映
http://mtonosama.exblog.jp/17721188/
http://mtonosama.exblog.jp/17731521/




2位 少年と自転車
Le gamin au vélo

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すいません。
もうダルデンヌ兄弟監督の作品というだけで選ばずにはいられません。
社会派とか人情派とか政治派とか
そんなジャンルを超えてさりげない日常の奥にひそむ人々の心の動きを
優しい目でみつめる映画を撮り続けている監督です。
世の中はつらいことが多いけれど、つらいのは自分だけじゃありません。
親に見捨てられても、絶望しないで。
守ってくれる人は案外近くにいますよ。
でも、人としての責任は果たさなくちゃいけないんですよ。

大人なのに甘えてた自分に、じわじわがつんと色んなことを教えてくれた映画でした。

当試写室にて3月に上映
http://mtonosama.exblog.jp/17336359/
http://mtonosama.exblog.jp/17346889/




1位 愛について、ある土曜日の面会室
Qu'un seul tienne et les autres suivront

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ダルデンヌ監督に、ごめんなさい、と頭を下げながら、
2012年ベスト1に選んだのは本作でした。
刑務所の面会室という、ちょっと縁遠い場所を舞台に展開された
3つのエピソードからなる映画でありながら、
どのエピソードにもずっぽりと感情移入してしまいました。
音楽のような構成と人間への深い洞察。
いかなる巨匠の作品かと思いきや、
なんと28歳の若く美しいレア・フェネールという女性が監督でした。

彼女の今後と世界の映画界が非常に楽しみです。

当試写室にて11月と12月に上映
http://mtonosama.exblog.jp/18214887/
http://mtonosama.exblog.jp/18223970/


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皆さま、今年も当試写室に足をお運びいただき、まことにありがとうございました。
来年もまた皆さまとご一緒にいろいろな映画を楽しんでいかれれば幸甚の至りです。
どうぞまたお付き合いくださいませ。
この一年の皆さまのご来室を感謝しつつ、2012年を見送りたいと思います。
では、良いお年をお迎えください。

2012年12月31日

殿様の試写室


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☆2012年12月31日に更新しました。大変お世話になりました。来年もよろしくお願いします☆
by Mtonosama | 2012-12-31 06:58 | 映画 | Comments(4)
2012 BEST 10 OF
  殿様の試写室  
-2-

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ベスト10も今日は中盤戦。6位から4位までの発表です。
ファンファーレはご提供できませんので、各自口ずさみながらご覧ください。
え?そこまでやる必要はない?
は、はい、ごもっともでございます。

では、第6位いきます。



第6位 モンサントの不自然なたべもの
Le monde selon Monsanto

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これも怖ろしい映画でした。
試写室を後にする時、観た人が皆深刻な顔をして囁き交わしていたのを思い出します。
TPP、富める国とそうでない国の凄まじい格差、
一企業が世界の食と農業を支配しようとする実態。
TPPってよくわかんないもんね、
と、悠長に構えていられない現実がつきつけられています。

当試写室にて8月に上映
http://mtonosama.exblog.jp/17902146/
http://mtonosama.exblog.jp/17912070/




5位 ミッドナイト・イン・パリ
Midnight in Paris

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なんのかんのいってもウディ・アレンはやはりすごい監督です。
スノッブでイヤだとか、おしゃべり過ぎるとか、俳優がダサいとか、
ま、悪口を言いだせばキリがありません。
実際、主人公のオーウェン・ウィルソンってダサいです。
っていうか、とのは好みじゃない。

だけど、映画の醍醐味ここにあり。
面白くて、楽しくて、今までのウディ・アレンとはちょっと違う映画でした。
ウディ・アレン嫌いの人も本作だけは一見の価値ありです。

当試写室にて5月に上映
http://mtonosama.exblog.jp/17545186/
http://mtonosama.exblog.jp/17556234/




4位 ソハの地下水道
In darkness

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下水道修理とコソ泥を生業とするポーランドの中年男。
彼が下水道の中で出会ったユダヤ人を
ナチスの手から14ヶ月にわたって守り抜いた感動的なお話です。
これが実話だというから、事実は映画よりも奇なり――

助ける側も善人というわけでもなければ、助けられるユダヤ人にもこずるいヤツが。
等身大の感動実話。鼻がもげるほどの臭いも感じられるような映画でした。
ラストの太陽光には、逃げおおせたユダヤ人ならずとも感動。

当試写室にて9月に上映
http://mtonosama.exblog.jp/17961754/
http://mtonosama.exblog.jp/17971415/


明日はいよいよベスト3の発表です。
乞うご期待くださいませ。


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☆12月30日に更新しました。昨日は勘三郎の「忠臣蔵」総集編4部4時間通して観てしまいました。え、掃除?☆
by Mtonosama | 2012-12-30 07:01 | 映画 | Comments(12)
2012 BEST 10 OF
殿様の試写室  

-1-

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今年もまたベスト10の季節がやってきてしまいました。
風邪をひいたまま、片付けも年賀状も何も手をつけてないのに――

2012年という年に、もうちょっと長居していただきたい気分です。
でも、2013年という年がもしかしたら、良い年である可能性もあるので、
お迎えの準備はできていませんが、2013年様、どうぞお越しくださいませ。

さ、今年も例年のように、
ただ印象に残った作品というきわめてあいまいな基準で選んだ10作品を
ご紹介させていただきます。
おつきあいいただければ幸いです。

う~ん、しかし、迷うなぁ。



10位 ニーチェの馬
The Turin Horse

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ひたすら暗い映画でした。
タル・ベーラ監督の最後の作品です。
最後といっても亡くなったわけではありません。
「これからは若い人に場所を譲る」と語ったのだそうです。
でも、まだ57歳。150歳のとのと比べたら鼻垂れ小僧ですのに。

つややかな黒と限りなく白に近い灰色との対比。
これだけ多くを語るモノクロの画面はタル・ベーラ監督ならではのもの。
脳裏に刻み込まれたままいつまでも消えない永遠とも思われる長回しのシーン。
映画は娯楽作品であるだけではないということを教えてくれた監督であり、作品でした。

当試写室にて1月上映
http://mtonosama.exblog.jp/17127179/
http://mtonosama.exblog.jp/17138686/




9位 阿賀に生きる

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新潟水俣病を記録したドキュメンタリー映画。
でありながら、阿賀野川に水銀を垂れ流した企業を声高に訴えることはなく、
ただただ静かに美しい阿賀野川と被害者の老人たちを記録した作品です。
こういうドキュメンタリーもある、
こういう運動のしかたもある、
いろんなことを教えてくれる映画。
20年前の作品ですが、困難な時代に生きる私たちの目にこびりついたうろこを
丁寧にはぎおとしてくれる作品でした。

当試写室にて11月に上映
http://mtonosama.exblog.jp/18158241/
http://mtonosama.exblog.jp/18168707/




8位 思秋期
Tyrannosaur

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観終わった後、暗い気持になりました。
でも、その後、なんだかじわーっと浸みこんでくるんです。
主人公たちとお年頃が近いからでしょうか。
いえ、とのは150歳でした。お年のせいではないと思います。

人生って甘くないです。
どんなに幸せそうに見える人だって絶対になにか問題を抱えています。
そんな当たり前のことを語りつつ、
だけど、つらいことばかりでもないからね、
ということも耳許にそっとささやいてくれるような映画でした。

当試写室にて10月に上映
http://mtonosama.exblog.jp/18062059/
http://mtonosama.exblog.jp/18071991/




7位 プリピャチ
PRIPYAT

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プリピャチというのはチェルノブイリから4km離れた地点にある町です。
事故の前は原発職員たちがここに住んでいました。今は誰も住んでいません。
去年までならこういう映画を観たらただカリカリしていただけかもしれません。
でも、今は私たちも同じ状況下にいます。
義憤のようなものでカリカリしているだけでは済まされません。
安全が保証されたら再稼働?原発新設もありうる?
冗談ではありません。
選挙に勝って浮かれている政治家の皆さま。
「プリピャチ」と「100,000年後の安全」を是非観てください。
選挙結果に意気消沈している方も、もう一度観てNo Nuke!の意志を確かめあいましょう。

当試写室にて2月に上映
http://mtonosama.exblog.jp/17244517/
http://mtonosama.exblog.jp/17256592/


6位から4位までは明日お伝えします。


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☆12月29日に更新しました。押し迫ってきましたね☆
by Mtonosama | 2012-12-29 05:26 | 映画 | Comments(4)
シェフ!
~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~ -2-
Comme un Chef

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(C) 2012 GAUMONT - TF1 FILMS PRODUCTION - A CONTRACORRIENTE FILMS

三ツ星はミシュランガイドの最上級で
「その料理を食べるだけの旅をする値打ちがある」
という意味だそうで。
2012年度版の「ミシュラン」フランス篇では三ツ星はわずか26軒。
三ツ星に昇格するとフランスのみならず世界中から予約が殺到するそうですから、
料理人やレストランオーナーとしては必死にならざるを得ません。
三ツ星であってこそ、お客さまも高いお金を払ってくださるのでしょうし。
その星が減ってしまうというのはレストランとしては死活問題ですものね。

そんな崖っぷちに立たされた超高級レストランのシェフがアレクサンドル。
20年間、店の三つ星を守り抜いてきたカリスマシェフですが、現在、絶不調。
店の運命を決める新メニューが考えつきません。

演じるのはジャン・レノ。
シェフにふさわしい立派な体型です。
シェフ体型になったのは芸熱心ゆえか、美味なるフランス料理ゆえか――
すいません。その辺は調査不足です。

そして、アレクサンドルに協力するKYシェフのジャッキー・ボノ。

この2人が調理するフレンチコミカル映画、いったいどんな味つけなのでしょうか。


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ストーリー
ジャッキー・ボノ。天才的な舌を持ちながら、いつも周囲とトラブルを起こし、
ひとところに長くいられない料理人。
しかし、妊娠した婚約者ベアトリスのため、今度こそはちゃんと働こうと
老人ホームのペンキ塗りを始めます。
でも、どうしても気になる料理のこと。
ホームの厨房の料理人たちに、ついつい口を出してしまいます。

一方、パリの超高級レストラン「カルゴ・ラガルド」。
こちらは今や大ピンチ。
20年間、店の三つ星を守り続けてきたベテランシェフのアレクサンドル・ラガルドが
スランプに陥ってしまったのです。
レストラン・オーナーからメニューが時代遅れとけなされるアレクサンドル。

困った彼が訪れた先は今は老人ホームにいる前オーナー。
そこでたまたま味わったのが、自分のレシピを見事に再現したスープでした。
それは、彼アレクサンドルを尊敬し、
そのレシピを完璧に記憶したジャッキー・ボノのつくったもの。

思わぬことから尊敬するアレクサンドルと出会い、
彼の助手として無給で働くことになったジャッキー。
例えノーギャラでも、やっぱり料理をつくりたい――
もちろん、婚約者のベアトリスにこのことは秘密。

最初は自分のレシピを勝手にアレンジするジャッキーに腹を立てるアレクサンドルも
次第にその腕と才能を認め、うちとけてゆきます。
しかし、未だ新メニューは考えつかないまま。
とうとうオーナーから「星の数が減ったらクビだ!」と通告されてしまいます。

窮地に立ったアレクサンドルはジャッキーに協力を求めることに。
そこで結集したのが老人ホームの厨房の面々。
元メイクアップ係、元タイル職人、元トラック運転手という寄せ集め軍団です。

颯爽(?)と新メニューの開発にとりかかる一同。
ところが、ジャッキーが再びシェフとして働いていることを知ったベアトリスが
彼の嘘にキレて、家を飛び出していってしまいました……

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どうなる?アレクサンドルそしてジャッキー。

パリの労働者のおじさんたちがランチを食べにくる小さなビストロに雇われたジャッキー。
メニューを書きつけた黒板を持ち出して、
高級レストランのシェフよろしく説明を始め、即刻クビになったり、
パリ最先端の科学実験のような分子料理が登場したり、
(TVでも見たことがありますが、液体窒素で冷やしたり、食材を泡みたいにして食すんですよね)
フランス料理の裏や表を楽しみつつ、仕事も大切だけどやっぱり一番は家族かな?という
美味しく笑えるお気楽なフランス映画でした。

近頃、はやりの立ち食いビストロでフランス料理を食べてみたくなったとのであります。





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☆12月26日に更新しました。今年も一年ご来室いただきありがとうございました☆

シェフ!~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~
監督/ダニエル・コーエン、脚本/ダニエル・コーエン、オリヴィエ・ダザ、製作/ゴーモン、シドニー・デュマ、撮影/ロベール・フレース
出演
ジャン・レノ/アレクサンドル・ラガルド、ミカエル・ユーン/ジャッキー、ラファエル・アゴゲ/ベアトリス、ジュリアン・ボワッスリエ/スタニスラス・マテール、サロメ・ステヴナン/アマンディーヌ、ピエール・ヴェルニエ/ポール・マテール、サンティアゴ・セグーラ/ホアン、ジュヌヴィエーブ・カジル/ベアトリスの母、セルジュ・ラリヴィエール/ティティ、イサ・ドゥンビア/ムッサ、ヴァン・ヘイ・ミーン/チャン
12月22日(土)銀座テアトルシネマ、新宿武蔵野館ほか全国にてロードショー
2012年、フランス、85分、字幕翻訳/寺尾次郎、配給/ギャガ、http://chef.gaga.ne.jp/

by Mtonosama | 2012-12-26 21:26 | 映画 | Comments(12)
シェフ!
~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~ -1-
Comme un Chef

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(C) 2012 GAUMONT - TF1 FILMS PRODUCTION - A CONTRACORRIENTE FILMS

最近フランス料理ってあまり食べてません。
あ、最近などと格好つけてしまいました。
フランス料理そのものをあまり食べたことがありません。

とはいっても、料理人が出てきたり、料理をつくったりする番組や映画は楽しいですよね。
今回ご紹介するのは、三ツ星レストランのカリスマシェフと
天才的な舌を持ってはいるのだけれど性格に問題アリの若手シェフが繰り広げる料理コメディ。

なんとなくアメリカっぽいコンセプトですが、れっきとしたフランス映画です。
三ツ星レストランに行くことなど、なかなか叶わないことですので、
せめて映画で、美食を味わう気分だけでも楽しんでしまいました。

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ここでいう三ツ星とはいうまでもなくミシュランのこと。
皆さま、もちろんよくご存じとは思いますが、ミシュランについて見てみますと、

ミシュランは、世界で初めてラジアルタイヤを製品化したフランスのタイヤメーカーである。同社の発行する、いわゆる「三つ星」評価付きの旅行ガイドブック『レッドガイドブック』を指す場合も多い。
ミシュランガイドはパリ万博が行われた1900年、自動車運転者向けのガイドブックとしてフランスで発行されたのが始まりである。内容は、郵便局や電話の位置まで示した市街地図のほか、都市別のガソリンスタンドやホテルの一覧、さらには自動車の整備方法などであった。これは35,000部が印刷されて無料で配布された。発行者であるミシュラン社はタイヤ会社であり、これにより自動車旅行が活発化し、タイヤの売れ行きが上がることが目論みだったといわれる。この「ガイドはタイヤのため」「ガイドはミシュランにとって、ブランド名を売り込むため、タイヤ事業を発展させるために存在する」との原則は現在も引き継がれており、実際、ミシュランの2010年第1四半期の売上高に占めるレストランガイドや旅行ガイドなどの出版物が占める割合は約1%とされる。(Wikipediaより)

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1970年代にはポール・ボキューズ、
80年代にはジョエル・ロブション、
90年代にはアラン・デュカスという綺羅星のごとくに
フランス料理界のみならず世界の料理界を牽引するシェフたちが活躍した時代がありました。
もちろん、食したことはございませんが。

パリ万博のガイドブックだったとはいえ、
最近になってからは本国フランスには世界をリードするシェフは現れていないそうです。

ま、そんな間隙を縫うかのように出現したのが本作「シェフ!~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~」。
いかにもアメリカ映画っぽいテーマですが、これをフランス映画人が料理すると、いかなることになるのでしょうか。さあ、乞うご期待でございますよ。



2012年最後にご紹介する映画です。ポチッとお願いできれば幸甚至極にございます。
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☆12月24日に更新しました。皆さま素敵なクリスマスイブをお過ごしくださいませ☆

シェフ!~三ツ星レストランの舞台裏へようこそ~
監督/ダニエル・コーエン、脚本/ダニエル・コーエン、オリヴィエ・ダザ、製作/ゴーモン、シドニー・デュマ、撮影/ロベール・フレース
出演
ジャン・レノ/アレクサンドル・ラガルド、ミカエル・ユーン/ジャッキー、ラファエル・アゴゲ/ベアトリス、ジュリアン・ボワッスリエ/スタニスラス・マテール、サロメ・ステヴナン/アマンディーヌ、ピエール・ヴェルニエ/ポール・マテール、サンティアゴ・セグーラ/ホアン、ジュヌヴィエーブ・カジル/ベアトリスの母、セルジュ・ラリヴィエール/ティティ、イサ・ドゥンビア/ムッサ、ヴァン・ヘイ・ミーン/チャン
12月22日(土)銀座テアトルシネマ、新宿武蔵野館ほか全国にてロードショー
2012年、フランス、85分、字幕翻訳/寺尾次郎、配給/ギャガ、http://chef.gaga.ne.jp/

by Mtonosama | 2012-12-24 06:48 | 映画 | Comments(8)
駆ける少年 -2-
DAVANDEH
THE RUNNER

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(C)kanoon

時代は70年代初頭。
舞台はイラン。ペルシャ湾沿岸の港町です。
11歳のアミル少年は、浜辺に放置された廃船でひとり、小さなひよこと暮らしています。
甲板には海風が吹きこみ、あくまでも青い海と空が拡がっています。
少年はゴミ捨て場から空き瓶を拾ってきたり、
港を行き交う外国船の船員たちが海に捨てた瓶を、
仲間の少年たちと拾い集めたり(サメに気をつけなくてはならないのですけど)、
靴磨きや水売りもして生計を立てています。

え?可哀想で、元気になれない?

いえいえ。それがね――
「あんた、もうちょっとテンション下げたら?」
と声をかけたくなるほど、元気なアミル少年なのでして。

世話をしてくれる親もなく、ひとり廃船で暮らしているのですけれど、
海風が吹き抜ける船の上で小さな黄色いひよこに話しかけたり、
パン屑を分けたりしながら、結構楽しげに生きています。

アミルには好きなものも多いんです。
特に好きなのは飛行機。
飛行場の金網にしがみついて、どこか遠くへ飛んでいく姿を見ると
知らない内にニコニコしてしまうし、
飛行機の轟音に負けじと大声でわめいたりします。
英語どころか自分の国の文字も読めないけれど、外国のきれいな写真も好き。
廃船の壁にもいっぱい貼りつけています。
そうそう映画も好きです。
チャップリンの真似をして友だちとゲラゲラ笑い転げたり。
あ、友だちも大好きです。
仕事だって一緒にやるし、列車と競争して線路の上を走ったりもします。
だけど、一番好きなのは走ること。
走るって、自分の力だけで自分を動かすことができるからかな。
駆動力は自分。道具もいらない。
11歳という若さを表現するには、走ることが最もてっとり早い。
それに、なんといっても走ることは楽しい。

でも、ある日、そんなアミルが大変なことに気づきました。
もう11歳。学校へ行ってる歳なのに、字を読むことも書くこともできない。
文字を読むことは、世界を知ることだというのに……

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あ、ご案内もしないまま、ストーリーを話してしまいました。
でも、ストーリーといっても、これという話はないのですから、まっいいか、ってことで。

本作には監督自身の体験が強く反映しています。
父親は監督が生まれる前に亡くなり、母親も6歳の時に他界していて、
アミール・ナデリ監督は兄と共に叔母夫婦にひきとられ、教育は12歳までしか受けていません。
そして、叔父さんが恐い人だったので顔を合わせないため、
いつも外に出て映画のアミル少年のように暮らしていたというのです。

しかし、なんといっても目玉は、ストーリーを超える圧倒的な映像。
そして、エネルギー、自然です。
ラストで、アミルたちが炎を吹き上げるガス田の中を全力で氷に向って疾駆する場面は
圧巻というしかないエネルギッシュな映像です。
映画ってこんなに力強いものだったのか、とあらためて感動するはず。

求めよ、さらば与えられん。
欲しいものがあったら、それに向って突っ走れ!

こんな先の見えない時代、アミル少年の韋駄天走りが勇気と希望を与えてくれるに違いありません。
あきらめずにもう少し頑張ってみるかという気持になれると思います。
いえ、なれます。頑張りましょう。





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☆12月21日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

駆ける少年
監督・脚本/アミール・ナデリ、撮影/フィールーズ・マレクザエ、編集/バハラム・ベイザイ、製作/児童青少年知育協会
出演
マジッド・ニルマンド/アミル、ムサ・トルキザデエ/ムサ、アッバス・ナゼリ/ゴラムおじさん
12月22日(土)オーディトリウム渋谷ほか全国順次ロードショー
1985年、イラン映画、カラー、91分、字幕翻訳/ショーレ・ゴルバリアン、土肥悦子、石田泰子
http://runner-movie.net/

by Mtonosama | 2012-12-21 07:40 | 映画 | Comments(8)
駆ける少年 -1-
DAVANDEH
THE RUNNER

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(C)kanoon

イラン映画です。
それも伝説の映画といわれる「駆ける少年」が
1985年の製作から27年経って、日本の劇場で公開されることになりました。

監督はアミール・ナデリ。
ナデリ監督は、昨年、西島秀俊主演の「CUT」のメガホンをとっていますから、
ご覧になった方もいらっしゃると思います。

激しい映画だなぁ、と感想を持たれたのではないですか?
打たれても蹴られても目的に向って突き進む主人公――
監督は、西島秀俊が演じた主人公のように目指すものが手に入るまで
全力で戦う人なのだそうです。


アミール・ナデリ監督
1945年8月15日、イラン・ペルシャ湾沿岸のアバダンに生まれる。
アッバス・キアロスタミと共に児童青少年知育協会に所属し、イラン映画が国際的に脚光を浴びるきっかけを作ったイランを代表する監督。
映画監督になりたくて12歳でテヘランに。映画製作会社のお茶くみから雑用係、スチールカメラマンを経て、1970年「さらば友よ」で監督デビュー。
若い頃からハリウッドで映画監督になる夢を抱いており、1976年にはNYロケによる「メイド・イン・イラン」を監督。革命後の「駆ける少年」(‘86)「水、風、砂」(‘89)で2作連続してナント三大陸映画祭グランプリを獲得。
その後、アメリカに移住し、1993年に念願のアメリカ映画「マンハッタン・バイ・ナンバーズ」を監督。日本でも劇場公開された。
監督は日本映画にも造詣が深い親日家である。

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日本映画から非常に大きな影響を受けている監督。「駆ける少年」は黒澤明監督の『七人の侍』のラストシーンに影響を受けている。「水、風、砂」は新藤兼人監督の『裸の島』、“Waiting”は小林正樹監督の『怪談』と市川崑監督の『ビルマの竪琴』。複雑なカメラワークや長回しは溝口健二監督。映画で子どもを扱うとき、街の色彩を決めるとき、大島渚監督の作品を参考にしている。清水宏監督は子どもの演技を撮る天才であり、小津安二郎監督の沈黙による表現も尊敬している。
(映画「CUT」オフィシャルサイトより)

「駆ける少年」は実は本当の意味では本邦初公開ではなく、
1987年の東京国際映画祭に出品されています。
「‘96・イラン映画祭」でも、イラン革命前の名作でダリウシュ・メールジュイ監督「牛」(‘69)、
モフセン・マフマルバフ監督「サイクリスト」(‘89)と共に新旧32本の映画の中の目玉として上映されています。
本作はイラン革命(‘79)以後、初めて海外で受賞した記念碑ともいうべきイラン映画。
1985年のナント三大陸映画祭でグランプリを受賞し、
世界中にイラン映画を知らしめることになった作品です。

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本作の主人公、目標地点に到達するまで全力で駆け続ける11歳の少年アミル。
このアミル少年は実は監督自身、自伝映画なのです。ほら、名前もほぼ同じですよね。
27年前から現在に至るまでぶれない芯を持ち続けている監督。
そんなナデリ監督に怖れにも似た敬意を覚えます。

こんな時代ですから、監督の生き方と作品は勇気と指標と元気を与えてくれます。
いや、ホントに。
この不安定で不安な時期に、ぶれないアミール・ナデリ監督が撮った
元気いっぱいのこの映画が劇場公開されるというのはなんとも嬉しいことです。

さあ、どんなお話なのでしょうか。次回まで乞うご期待でございますよ。



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☆12月18日に更新しました。いつも応援して下さり、本当にありがとうございます☆

駆ける少年
監督・脚本/アミール・ナデリ、撮影/フィールーズ・マレクザエ、編集/バハラム・ベイザイ、製作/児童青少年知育協会
出演
マジッド・ニルマンド/アミル、ムサ・トルキザデエ/ムサ、アッバス・ナゼリ/ゴラムおじさん
12月22日(土)オーディトリウム渋谷ほか全国順次ロードショー
1985年、イラン映画、カラー、91分、字幕翻訳/ショーレ・ゴルバリアン、土肥悦子、石田泰子
http://runner-movie.net/

by Mtonosama | 2012-12-18 06:17 | 映画 | Comments(6)
もうひとりのシェイクスピア -2-
ANONYMOUS

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(C)2011 Columbia Pictures Industries, Inc. and Beverly Blvd LLC All Rights Reserved

この奇想天外な時代劇にまっこうから挑んだのはローランド・エミリッヒ監督。
「インデペンデンス・デイ」(‘96)「デイ・アフター・トゥモロー」(‘04)「2012」(‘09)といった
ハリウッド超大作を撮った監督です。

そんな監督がシェークスピアとは、ちょっと意外感がありますが、
実は、本作で脚本・製作総指揮を担当しているジョン・オーロフにシェークスピア別人説を聞いて以来、
10年以上にわたり映画化を夢見ていたというのです。
とはいうものの先立つものがなく、
上記作品の商業的成功を見てようやく映画化に至ったという次第。
エミリッヒ監督に別人説を話したジョン・オーロフなどは大学院生の頃から25年にわたって、
このテーマを研究し続けてきたのだとか。

その2人が描き出したのは、
シェイクスピアの戯曲と
処女王と呼ばれたエリザベス1世の意外な交歓図と
権力関係が会い合わさった歴史ミステリーです。

さあ一体どんなお話なのでしょうか。


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ストーリー
時代は16世紀末。
第17代オックスフォード伯爵エドワード・ド・ヴィアというひとりの貴族がいた。
この人物こそシェイクスピア作とされる名作の真の作者といわれる人物――

時代は少し遡り――
ロンドンでは芝居が大流行。市民も貴族も夢中になっていた。
だが、時の宰相ウィリアム・セシル卿とその息子ロバートはこの風潮に否定的であった。
芝居は悪魔の産物と決めつけるセシル卿は、熱狂した民衆が
政治に悪影響を与えるのではないかと恐れていたのだ。

ある日のこと、オックスフォード伯エドワード・ド・ヴィアが
サウサンプトン伯と連れだって、評判の芝居を見物に。
芝居の作者はベン・ジョンソン。
素晴らしい芝居に感動するオックスフォード伯。
ところがセシル卿の兵が現れ、芝居は中断された。
劇場は大混乱に陥り、作者ベン・ジョンソンは兵の手に落ちる。
やっとの思いで抜け出すことのできたオックスフォード伯とサウサンプトン伯。
オックスフォード伯の眼には観客の熱狂が焼きついていた。
これこそがセシル卿が怖れる<政治への悪影響>か。

さて、セシル卿はエリザベス1世の後継者としてスコットランド王ジェームスを考えている。
オックスフォード伯にとってセシルは義父。
だが、彼は義父とは違い、後継者はチューダー家の者たるべしという考えである。
彼が庇護するサウサンプトン伯も、<エリザベスの隠し子〉と噂されるサセックス公も、
チューダー家派である。
セシル卿は彼らをエリザベス1世から遠ざけようとしていた。


話は変わり、オックスフォード卿。彼は牢に捕らわれていたベン・ジョンソンを救い出す。
そして、自分の書斎に招くとこう申し出た。
「私が書いた戯曲を君が書いたものとして上演してほしい」――
その戯曲は「ヘンリー5世」。
いよいよ、その上演の日が来た。
くいいるように舞台をみつめる観客たちからの拍手。
興奮した観客たちは作者の登場を促す。
その時、ベン・ジョンソンに先んじて、舞台に進み出た人物がいた。
自分こそが作者であると名乗り出たのは、役者ウィリアム・シェイクスピアだった。
ベン・ジョンソンにとっては予想外の展開だ。
しかし、ベンはその後も定期的にオックスフォード卿の屋敷に向い、戯曲を受け取った。
「ジュリアス・シーザー」、「マクベス」、「十二夜」、「ロミオとジュリエット」――
芝居はいずれも大当たり。《作者》であるシェイクスピアは時の人となっていった……

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冒頭、大都会を俯瞰するシーンが出てきます。
おや、これは「ウェストサイドストーリー」のオープニングシーンとそっくりではありませんか!
そういえば、NYを舞台にしたこの悲恋物語は「ロミオとジュリエット」がネタ元です。

そして、劇場前に降り立つのが狂言回しとでもいうべき語り手。
まさに息もつかせぬ展開で、
語り手が荘重なクィーンズイングリッシュで語り始めるとともに
観客は一気に16世紀のロンドンへとタイムトリップ。

「マクベス」が、「十二夜」が、「真夏の夜の夢」が作中で演じられ、作中の観客達が熱狂。
そして、映画の観客は作中劇を楽しみつつ、
王位継承をめぐる係争と
処女王といわれたエリザベス1世のラブアフェアの展開にひきずりこまれるという
なんとも凝った仕掛けの歴史ミステリーです。

シェイクスピア別人説――
200年来続いている議論がとんでもない映画を生みだしました。




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もうひとりのシェイクスピア
監督・製作/ローランド・エメリッヒ、脚本・製作総指揮/ジョン・オーロフ、美術/セバスチャン・クラウィンケル、撮影/アンナ・J/フォースター、衣装デザイン/リジー・クリステル
出演
リス・エヴァンス/オックスフォード伯エドワード・ド・ヴィア、ヴァネッサ・レッドグレイヴ/エリザベス1世、ジョエリー・リチャードソン/若き日のエリザベス1世、デイヴィッド・シューリス/ウィリアム・セシル、ゼイヴィア・アミュエル/サウサンプトン伯ヘンリー・リズリー、セバスチャン・アルメストロ/ベン・ジョンソン、レイフ・スポール/ウィリアム・シェイクスピア、エドワード・ホッグ/ロバート・セシル、ジェイミー・キャンベル・バウアー/若き日のオックスフォード伯エドワード・ド・ヴィア、デレク・ジャコビ/語り
12月22日(土)TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館他全国ロードショー
2011年、英語、129分、配給/ファントム・フィルム、
http://shakespeare-movie.com/

by Mtonosama | 2012-12-15 07:12 | 映画 | Comments(6)
もうひとりのシェイクスピア -1- ANONYMOUS

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(C)2011 Columbia Pictures Industries, Inc. and Beverly Blvd LLC All Rights Reserved

ずっとフランス語の映画が続いていたので、今回は英語の映画を。
それも、英語の中の英語、シェイクスピアでいきましょう。

といってもあのストラトフォード・アポン・エイヴォン生まれのウィリアム・シェイクスピアが主役ではないんですよ。
また、彼のいくつもの戯曲のひとつが映画化されたというわけでもありません。
じゃ、なんなのか。
謎ときの前に、皆さまよくご存じとは思いますが、シェイクスピアをウィキってみますと――

ウィリアム・シェイクスピアWilliam Shakespeare, 1564年4月26日(洗礼日) - 1616年4月23日(グレゴリオ暦5月3日))は、英国の劇作家、詩人であり、イギリス・ルネサンス演劇を代表する人物でもある。卓越した人間観察眼からなる内面の心理描写により、最も優れた英文学の作家とも言われている。また彼ののこした膨大な著作は、初期近代英語の実態を知る上での貴重な言語学的資料ともなっている。
出生地はイングランド地方ストラトフォード・アポン・エイヴォンで、1585年前後にロンドンに進出し、1592年には新進の劇作家として活躍した。1612年ごろに引退するまでの約20年間に、四大悲劇「ハムレット」、「マクベス」、「オセロ」、「リア王」をはじめ、「ロミオとジュリエット」、「ヴェニスの商人」、「夏の夜の夢」、「ジュリアス・シーザー」など多くの傑作を残した。「ヴィーナスとアドーニス」のような物語詩もあり、特に「ソネット集」は今日でも最高の詩編の一つと見なされている。
「シェイクスピア」は、今日の中国語では簡体字で「莎士比亚」、繁体字で「莎士比亞」と音訳される。また日本では、かつて「莎」を「沙」と、「亞」を「亜」と略し、「士」の代わりに「吉」を用いて「沙吉比亜」とする借字も見られた。このため、頭文字を採って華僑社会では「莎翁」、日本では「沙翁」と呼ぶこともしばしばある。(Wikipediaより)

Wikipediaにはこのように紹介されている沙翁ことシェークスピアですが、
実は彼が書いた37の戯曲、154篇のソネット、物語詩数編。
この内1作たりともここ400年の間、本人による自筆原稿がみつかっていないのだそうです。

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そんなことから誰からともなく囁かれ始めたウィリアム・シェイクスピア別人説。
200年も前から、囁きどころか大きな声で議論されていたのですって。

ま、出る杭は打たれるといわれます通り、
あまりにも傑出した人物に対しては足をひっぱる人も大勢いるはず。
今でこそ観光地として多くの旅行者が押しかけるこぎれいな街、ストラトフォード・アポン・エイヴォンも
シェイクスピアが生まれた450年前は茅葺き屋根が並ぶただの田舎町。

”そんな田舎に生まれ、高等教育を受けたわけでもないウィリアム・シェークスピアが
あれほどの教養を持っているなんておかしくない?”
”大体なんであんなに王室の情報に詳しいの?”
”おかしいよ。”
”うん、おかしい、おかしい。”
”作者はさぁ他にいるんじゃないかなぁ”――

というようなやりとりだったかどうかは実際に聞いていたわけではないので定かではありませんが、
これに類した議論が18世紀から行われていたのであります。
アカデミックな分野のみならず、フロイトやマーク・トウェイン、チャーリー・チャップリンやオーソン・ウェルズなども
この「ウィリアム・シェイクスピア別人説」の支持者だったそうですよ。
本作は、そうした別人説の中でも最有力視されている第17代オックスフォード伯エドワード・ド・ヴィアが
シェイクスピア諸作品の真の作者であるという説に立脚して、描かれています。
彼がなぜ自分の名前をだすことなく表沙汰にすることなく
(オリジナルタイトルのanonymousはここから来ているんですねぇ)、
作品を書き続けたのか――

ここに、えぇぇぇーっ!と驚くきわめて数奇な運命があるのでした。
歴史劇と見せながら、その実、謎に満ちた傑作ミステリーなのであります。
いやいや、これは乞うご期待でございますよ。



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もうひとりのシェイクスピア
監督・製作/ローランド・エメリッヒ、脚本・製作総指揮/ジョン・オーロフ、美術/セバスチャン・クラウィンケル、撮影/アンナ・J/フォースター、衣装デザイン/リジー・クリステル
出演
リス・エヴァンス/オックスフォード伯エドワード・ド・ヴィア、ヴァネッサ・レッドグレイヴ/エリザベス1世、ジョエリー・リチャードソン/若き日のエリザベス1世、デイヴィッド・シューリス/ウィリアム・セシル、ゼイヴィア・アミュエル/サウサンプトン伯ヘンリー・リズリー、セバスチャン・アルメストロ/ベン・ジョンソン、レイフ・スポール/ウィリアム・シェイクスピア、エドワード・ホッグ/ロバート・セシル、ジェイミー・キャンベル・バウアー/若き日のオックスフォード伯エドワード・ド・ヴィア、デレク・ジャコビ/語り
12月22日(土)TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館他全国ロードショー
2011年、英語、129分、配給/ファントム・フィルム、
http://shakespeare-movie.com/

by Mtonosama | 2012-12-12 08:48 | 映画 | Comments(14)
マリー・アントワネットに
別れを告げて
 -2-
Les adieux à la reine

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© 2012 GMT PRODUCTIONS – LES FILMS DU LENDEMAIN – MORENA FILMS - FRANCE 3 CINEMA – EURO MEDIA FRANCE – INVEST IMAGE ©Carole Bethuel

「パンがないのだったら、お菓子を食べたらいいじゃない」
マリー・アントワネット王妃を語るとき、よくひきあいに出される言葉ですが、
本作に登場する王妃さまはそこまでイノセントな女性には見えませんでした。
王妃を演じたダイアン・クルーガーのクールな面立ちのせいかもしれませんが。

原作の「王妃に別れを告げて」は王妃の朗読係の女性“アガート=シドニー・ラボルド”が
ウイーンに亡命した後、ヴェルサイユで過ごした日々をふりかえる、という形式で書かれています。

朗読係と聞いて連想するのは「愛を読む人」(‘08)。
http://mtonosama.exblog.jp/11082498/
これは15歳のマイケルが21歳年上のハンナと恋に落ち、
彼女のために本を朗読するという切なく美しく且また驚くような恋のお話でした。
なぜ、本を朗読してあげるのかというとハンナは字を読めなかったからなのですが・・・・・

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でも、マリー・アントワネットは字を読めないわけではありません。
ここでの朗読係は、王妃さまのご気分に合わせた物語や詩、
あるいはファッションについての書き物を読んでさしあげる――
ま、なんというか人間ラジオのようなお役目です。
とはいえ、王妃の最もおそばに侍ることのできる栄えあるお仕事。
まして、この身寄りのない少女は、王妃さまのお気に入りなのですから、
お役目を越えた気持をいだくのも詮無いことであります。

しかし、時はバスティーユ襲撃の真っただ中、ヴェルサイユ宮殿の内部は上へ下への大騒ぎ。
少女の気持も美しいままではいられません。
さあ、一体どんなお話でしょうか。


ストーリー
1789年7月14日
バスティーユが襲撃されたその日、
ヴェルサイユではいつもと変わらぬ華やかな一日が始まろうとしている。
だが、不安の内に目覚めた王妃は、お気に入りの朗読係シドニーを呼びつけ、本の朗読を命じた。

7月15日
バスティーユ陥落のニュースがヴェルサイユ宮殿にも流れてくる。
シドニーは真偽を確かめるため、資料編纂官の部屋を訪れるが、彼の絶望的な予想に胸を痛める。
やがて宮殿内には処刑リストが出回った。
286人のリストのトップは王妃。
そして、3番目に載っていたのは王妃に最も愛され、富と特権を享受するポリニャック夫人。
宮廷中のやっかみの的となっている侯爵夫人である。

深夜
シドニーは逃亡する王妃の無聊をお慰めするための本を選ぶようにと女官から言いつけられる。
その時、王妃は暖炉の前で愛人からの手紙を燃やしていた。
王妃はシドニーを傍らに座らせ、ポリニャック夫人への情熱的な想いを打ち明ける。
だが、当のポリニャック夫人は王妃の呼び出しに応じてこない。
シドニーは動揺する王妃のため、彼女を連れてくると申し出るのだが、
夫人はシドニーの呼びかけには応えず深く寝入ったまま。
諦めて戻ったシドニーの前に、取り乱す王妃の姿が――

7月16日
宮殿内には物乞いが入り込み、召使いが逃げまどい、衛兵たちすら逃亡していった。
国王ルイ16世は宮殿に留まることを決める。
王家の運命は革命政府の手に委ねられたのだ。
絶望のあまり立ちすくむ王妃のもとにポリニャック夫人が駆け寄り、じっと見つめる。
そんな二人を射るような視線で凝視するシドニー。

だが、ポリニャック夫人は、王妃を見捨て、家族と共にパリを去ることを決めた――

7月17日
朝、王妃に呼び出されるシドニー。
王妃への忠誠を誓う彼女に、王妃は思いがけない残酷な命令を下す。
それは召使の姿に変装して逃亡するポリニャック夫人の身代わりとして、
そのドレスを身につけ同行するように、というものだった……
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革命勃発のその時を、朗読係の少女がヴェルサイユの中から眺める――
なんと画期的な視点でありましょう。

命に関わる土壇場となれば、普段は王家に忠実な廷臣も召使も、
王妃に寵愛されたポリニャック夫人も、まずは逃げ出していきます。
その様子は、ベトナム戦争のサイゴン陥落時、南ベトナムやアメリカの軍関係者や裕福な民間人が
一刻も早く逃げ出そうと米軍ヘリコプターに群がる姿を彷彿させました。

「義理や忠義なんて羽毛のような軽さよ、でも、愛は違うわ」
と130年前なら信じたかもしれませんが、150歳ともなると、とのはそんな甘いことは考えません。

でも、30代のマリー・アントワネットはポリニャック夫人の愛を信じたのでしょう。
朗読係シドニーの自分への想いを知りながら、その想いすら利用する形で。
甘いケーキとロマンチックなお話の中で生きていきたかったマリー・アントワネット。
生まれた時代を間違えてしまいましたね。

フランス革命という大きな歴史の転回点にあっても、
人を突き動かすのは生や富への執着というなまぐさいものが原動力になっているのです。

ゴージャスなヴェルサイユにうごめく人間の本性がじっとりと匂いたちました。





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☆12月9日に更新しました。風邪がはやっています。どうぞ皆さまご自愛くださいませ☆

マリー・アントワネットに別れを告げて
監督/ブノワ・ジャコー、脚本/ジル・トーラン&ブノワ・ジャコー、原作/シャンタル・トマ「王妃に別れを告げて」(白水社刊)、撮影監督/ローマ・ウィンディング、衣装デザイン/クリスチャン・ガスク、ヴァレリア・ランコー
出演
レア・セドゥ/シドニー・ラボルド、ダイアン・クルーガー/マリー・アントワネット、ヴィルジニー・ルドワイヤン、ガブリエル・ド・ポリニャック、グザヴィエ・ボーヴォワ/ルイ16世、ノエミ・ルボフスキー/カンパン夫人、ミシェル・ロバン/ジャコブ・ニコラ・モロー
12月15日(土)TOHOシネマズ・シャンテ、Bunkamuraル・シネマ他にてロードショー
2012年、フランス・スペイン、100分、カラー、提供・配給/ギャガ、字幕翻訳/丸山垂穂
http://myqueen.gaga.ne.jp/

by Mtonosama | 2012-12-09 06:58 | 映画 | Comments(6)