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殿様の試写室

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マリー・アントワネットに
別れを告げて
 -1-
Les adieux à la reine

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© 2012 GMT PRODUCTIONS – LES FILMS DU LENDEMAIN – MORENA FILMS - FRANCE 3 CINEMA – EURO MEDIA FRANCE – INVEST IMAGE ©Carole Bethuel

1789年7月14日、パリの民衆たちのバスティーユ襲撃に端を発したフランス革命。
世界史の教科書ですっかりおなじみのこの事件ですが、
フランス革命ときいてまず思い浮かべるのは
ウジェーヌ・ドラクロアが描いた「民衆を導く自由の女神」(1830年)ですよね。
革命といえば、民衆の側から描くものと相場は決まっています。
なんたって、胸もあらわに男たちを率いるあの逞しい女神は素晴らしいです。

しかし、ものごとは正と反、表と裏から成り立っています。
マリー・アントワネットの立つ側を正と見るか、反と見るか。
あるいは、表と見るか、裏と見るか、はそれぞれですが――

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本作には、逞しい女神も、銃を持った民衆も出てきません。
ただ、1789年7月14日。バスティーユが襲撃された時間、
そのニュースを知ったヴェルサイユ宮殿内部の人々がどんな様子だったか、は見ることができます。

7月14日から16日までの王妃や廷臣たちの動揺と絶望の様子――
それらが、朗読係の少女の眼を通じて描かれています。
フランス版「家政婦は見た!」とでもいいましょうか。
そこに王妃を深く敬愛する朗読係の複雑な想いもからまっていました。

原作はシャンタル・トマの「王妃に別れを告げて」。
シャンタル・トマはフランス革命に造詣が深いフランス18世紀文学の研究者で、
「王妃に別れを告げて」(白水社)は彼の初めての小説。
2002年フェミナ賞を受賞し、話題になった作品です。


フェミナ賞(仏: Prix Femina)は、フランスで最も権威のある文学賞の一つ。1904年に女性詩人アンナ・ド・ノアイユの提唱のもと、女性向け雑誌『ラ・ヴィ・ウールーズ』(後の『フェミナ』誌)の女性寄稿者22人により創設された。前年の1903年に設立されたゴンクール賞が事実上男性作家のみを対象としているのに対して、女性作家にも贈られる賞であり、ゴンクール賞の性差別への抗議の意図も含まれていた。
その年で最も優れたフランス語の散文もしくは詩作品に贈られる。フランスにおいて、ゴンクール賞、ルノードー賞、メディシス賞、アンテラリエ賞と共に、五大文学賞と呼ばれる。11月の第1週の水曜日に、パリのクリヨンホテルにて、12人の女性の審査員によって選定される。
フェミナ賞とゴンクール賞の結果発表がどちらが先となるかは激しい競争となり、発表を交互に行う協定が結ばれている。(Wikipediaより)


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「ベルサイユのばら」、
ソフィア・コッポラ監督「マリー・アントワネット」(‘06)、
そして、本作「マリー・アントワネットに別れを告げて」。

14歳でオーストリアからフランス王太子ルイ=オーギュストに嫁ぎ、
18歳で王妃となり、
32歳でフランス国庫が破綻。
37歳で刑場の露と消えた悲劇の王妃マリー・アントワネット。

彼女についてはいろいろ描かれてはいますが、
悲劇のみでくくれない部分も大いにあります。
アメリカ独立戦争に巨額の戦費をつぎこんだことが国を傾けた大きな原因ですが、
彼女の贅沢がそれに輪をかけた部分も少しはあるのでしょうから。
そんな豪華で贅沢なインテリアやドレスがほんもののヴェルサイユ内で撮影されています。
あ、オスカルやフェルゼン伯爵は登場しませんが。
さあ、どんなお話なのでしょうか。乞うご期待でございますよ。



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マリー・アントワネットに別れを告げて
監督/ブノワ・ジャコー、脚本/ジル・トーラン&ブノワ・ジャコー、原作/シャンタル・トマ「王妃に別れを告げて」(白水社刊)、撮影監督/ローマ・ウィンディング、衣装デザイン/クリスチャン・ガスク、ヴァレリア・ランコー
出演
レア・セドゥ/シドニー・ラボルド、ダイアン・クルーガー/マリー・アントワネット、ヴィルジニー・ルドワイヤン、ガブリエル・ド・ポリニャック、グザヴィエ・ボーヴォワ/ルイ16世、ノエミ・ルボフスキー/カンパン夫人、ミシェル・ロバン/ジャコブ・ニコラ・モロー
12月15日(土)TOHOシネマズ・シャンテ、Bunkamuraル・シネマ他にてロードショー
2012年、フランス・スペイン、100分、カラー、提供・配給/ギャガ、字幕翻訳/丸山垂穂
http://myqueen.gaga.ne.jp/

by Mtonosama | 2012-12-06 07:24 | 映画 | Comments(8)
愛について
愛について、
ある土曜日の面会室
 -2-
Qu'un seul tienne et les autres suivront

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女子高生。
恋人と母との間にはさまれてもがく不器用な男。
フランスで息子を殺されたアルジェリアの中年女性。

3つのエピソードから成り立った映画――というと、
どうしても自分と歳が近いとか、あるいは立場が近い登場人物に肩入れしてしまうもの。

とのも、中年女性や、不器用な男に、感情移入して観ていました。
これは、ある意味、当然でありましょう。
しかし、16歳の女の子の生き方にこれほどひきこまれるとは思いませんでした。
俳優陣のすばらしさ、あるいは卓抜したレア・フェネールの監督・脚本ゆえでしょうか。
ま、それらがあいまってのことですね。


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レア・フェネール
1981年トゥールーズで移動劇団の家に生まれる。父は座長兼演出家、母と妹は女優。
ベルギーの国立視覚芸術高等学院を経て、フランスに戻る。フランス国立映画学校で優秀賞を取り、
卒業。

その後、短編映画を4本撮影。映画祭にも出品される。マリ共和国にあるバマコ映画センターで研修を受ける。また、アジアを代表するドキュメンタリー作家、リティー・パニュのもとで学ぶ。本作はヴェネチア国際映画祭でヴェニス・デイズのワールドプレミア後、ルイ・デリュック賞の信心監督賞を受賞するなど世界中から称賛を受け、有望視されている監督。

移動劇団の家に生まれた彼女ですが、女優になることは考えていなかったそうです。
その代わり、本作では父が判事役、母も刑務所から車に乗せてもらう役で出演しています。
なんか微笑ましいです。

さて、どんなお話なのでしょうか。

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ストーリー
サッカー好きな女子高生ロールはバスの中でアレクサンドルと出会う。
「ぼくの足の先に乗って。友情が続くロシアのおまじないだから」
と言われて、彼の足を踏み、同じバス停で一緒に降りてしまうロール。
恋に落ちた彼女は、アレクサンドルに連れられ、これまで知らなかった路地裏の生活や
移民たちの世界を目にする。
ある日、サッカーの練習中、弁護士から携帯電話が。
アレクサンドルが逮捕されたというのだ。
すぐに刑務所へ訪ねていったが、未成年は保護者同伴でなければ面会できない。
彼女は偶然知り合ったアントワーヌに付き添いを頼み、面会を重ねる。
ところが、アレクサンドルは彼女が見知らぬ年上の男性と一緒にいることに嫉妬。
苛立ちをぶつける。
そんな時、妊娠していることに気づいたローラ。
彼女はどんな選択をするのか――

仕事でも生活でも不器用なステファン。彼の仕事はスクーターで病院へ血液を運ぶこと。
ある日、地下鉄で暴漢に襲われた恋人を助けてくれたピエールという男と知りあう。
ピエールはステファンの顔を見て、刑務所に入っている友人と瓜二つだ、と驚く。
その後、誘われるままピエールと会っていたが、ある晩、とんでもない依頼を受けた。
多額の報酬と引き換えに、受刑者の友人と入れ替わってくれないか、というのだ。
一旦は断るものの、結局、依頼を受けるステファン。
ピエールから、刑務所でのルールを仕込まれるが、どこか頼りない。
まだ、本気になりきれていないからだろう。
そんな時、商売道具のスクーターを盗まれてしまった。
恋人も家を出ていき、生活はいよいよ荒んでいく――

アルジェリアのゾラに訃報が届いた。フランスで暮らす息子が殺されたという。
息子の遺体と対面し、5年間の空白を埋めるかのように丁寧にその身体を清めるゾラ。
数日後、彼女は周囲の反対を押し切ってフランスに向う。
そして、息子を殺した犯人が自殺未遂をしていたこと、
彼が自首するまで実姉のセリーヌが匿っていたことを知る。
さらに、検事からは息子と犯人が恋人同士であったことを知らされる。
母として知らなかった息子の5年間の生活にとまどうゾラ。
ある日、彼女は犯人の姉セリーヌの働く店の前へ。
そこで泣き崩れているセリーヌを見て、ゾラは思わず声をかける。
素性は明かさないまま、言葉を交わし、毎週土曜に子守として彼女の家で働くことに。
家でも自分を責め続け、自分以外の家族は誰も弟に会いに行こうとしないと嘆く彼女に
ゾラは自分が会いにいくことを提案する――

そして、ある土曜日の朝、それぞれの想いを胸に、3人は面会室へと向かう……


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始まりはカオスでした。
数えきれないほどの面会人がいて、なにがなにやら訳がわかりません。
そして、泣き崩れる女性が登場します。
彼女は刑務所の広場で、面会人たちの裾を引き、夫に会いたい、と切なげに訴えます。
そんな彼女に面会人たちは一様に当惑しながらも優しげな視線を向けますが、
やがて時間が来ると無言で面会室へと入っていきます。

ラストでも、同じシーンがあります。
面会者の群れは泣き崩れる女性をそのままにそれぞれの事情を抱えて面会室に向っていくのでした。
事情を知った観客も面会室に向う人々を見守り、
誰もいなくなった広場では女が嘆き続けていることを知りつつ、
面会人たちのなりゆきをみつめます。

印象的なイントロダクションで始まったジャズが、
アドリブで会話し、昂まり、鎮静し、
少し顔つきを変えたイントロに再び戻っていくような――
内在する不定形なリズムに導かれながら、静謐な空気に満ちて、とても整った映画でした。
すばらしかったです。

世界にはまだまだすごい才能が埋もれています。





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☆12月3日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

愛について、ある土曜日の面会室
監督・脚本/レア・フェレール、脚本/カトリーヌ・パイエ、撮影/ジャン=ルイ・ヴィアラール
出演
ファリダ・ラウアッジ/ゾラ、レダ・カテブ/ステファン、ポーリン・エチエンヌ/ロール、マルク・バルベ/ピエール、ヴァンサン・ロティエ/アレクサンドル、ジュリアン・リュカ/アントワーヌ、デルフィーヌ・シュイヨー/セリーヌ、ディナーラ・ドルカーロワ/エルザ、ミカエル・エルベルディング/フランソワ
12月15日(土)シネスイッチ銀座他全国順次ロードショー
2009年、フランス、120分、配給/ビターズ・エンド
http://www.bitters.co.jp/ainituite/

by Mtonosama | 2012-12-03 07:28 | 映画 | Comments(7)