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殿様の試写室

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<   2013年 02月 ( 9 )   > この月の画像一覧

愛、アムール -1-
Amour

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(C)2012 Les Films du Losange - X Filme Creative Pool - Wega Film - France 3 Cinema - Ard Degeto - Bayerisher Rundfunk - Westdeutscher Rundfunk


「愛、アムール」、オリジナルタイトル“Amour”。
フランス語に疎いとのだってAmourくらいわかります。「愛」ですよね。「愛」。
愛といったら若い人限定、と、つい思ってしまいますが、
画像↑をご覧になってもおわかりのように、随分とお歳を召した女性です。
男性だって若くはありません。眼のへりなど赤く爛れておいででした。

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ところで、この美しい女性が冒頭の画像と同一人物だということ、おわかりでしょうか?
エマニュエル・リヴァです。
(ちなみに奥の男性は岡田英次です)
モノクロの画像は「二十四時間の情事」(‘59)の中の一場面ですが、
この映画をテレビで観たとのは、彼女の美しさに仰天し、
映画のストーリーをまったく覚えていません・・・・・

原爆投下後間もない広島を背景にしたモノクロ映画で、
廃墟となった広島の瓦礫が太陽光線を跳ね返し、ギラギラとした白さが印象的な作品でした。
しかし、なによりも彼女の大きな瞳と知的な風貌に目を奪われておりました。


「二十四時間の情事」は、アラン・レネ監督、マルグリット・デュラス脚本の日仏合作映画。被爆地広島市を舞台に、第二次世界大戦で心に傷を受けた男女が織りなすドラマを描いている。フランス語の原題は「ヒロシマ・モナムール」(Hiroshima, mon amour)で、アラン・レネ監督の第1回長編劇映画作品である。邦題は当初「ヒロシマ、わが愛」だったが、公開時に「二十四時間の情事」へ変更された。ただし近年では日本においてもヒロシマ・モナムールと紹介される場合もある。
(Wikipediaより)

一方、目のヘリが赤い男性の方ですが、
これがまた一世を風靡した究極のラブ・ストーリー「男と女」(‘66)で
「男」を演じたジャン=ルイ・トランティニャン。
フランシス・レイ作曲のテーマ曲あのシャバダバダシャバダバダも忘れられません。
「女」を演じたアヌーク・エーメの美しさも半端じゃなかったですね。
あれで30そこそこという設定ですから、今の30歳女性はまるで幼女のようなものです。

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あ、いえいえ。今回メインとなるのはジャン=ルイ・トランティンニャンの方。
夫を亡くした妻、妻を亡くした夫の間に湧き上がった激しい愛。
抑えに抑えた愛ゆえに切なさが募る名画でした。抑制の美学でしたねぇ。
ウットリ。

「愛」がテーマの映画といえば、このように若い男女が繰り広げるものと相場が決まっているものです。

が、しかし、
愛が若い人だけの特権だなどと思い込むことこそ、まだまだおしりの青い証拠なのであった。
キッパリ。

一時の欲情に駆られる愛もあれば、抑えに抑えることによって燃え上がらせていく愛もあります。

そして、愛はまた男女のように歳を重ねていくものなのかもしれません。
でも、歳を重ねた愛はひとのように老いていくのでしょうか?

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ジャン=ルイ・トランティニャン82歳。
エマニュエル・リヴァ86歳

ふたりが演じるのは長い結婚生活を、
お互いに尊敬しあい、愛し合って生きてきたであろうような年輪を感じさせる夫婦。
ミヒャエル・ハネケ監督は、このふたりを選んだことで本作の80%は完成させたようなものです。

さあ、一体どんなお話なのでしょうか。



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愛、アムール
監督・脚本/ミヒャエル・ハネケ、撮影/クリウス・コンジ、美術/ジャン=ヴァンサン・ピュゾ、製作/マーガレット・メネゴーズ(パリ)、シュテファン・アルント(ベルリン)、ファイト・ハイデシュカ(ウィーン)、ミヒャエル・カッツ(ウィーン)
出演
ジャン=ルイ・トランティニャン/ジョルジュ、エマニュエル・リヴァ/アンヌ、イザベル・ユベール/エヴァ、アレクサンドル・タロー/アレクサンドル、ウィリアム・シメル/ジョフ、ラモン・アジール/アパルトマン女管理人の夫、リタ・ブランコ/アパルトマン女管理人、キャロル・フランク、ディナラ・ドルカロヴァ/看護士、ローラン・カベルト、ジャン=ミシェル・モンロック/警察官、シュザンヌ・シュミット/女の隣人、ダイアン・ジュイユロ、ヴァリッド・アフキール/救助隊員
3月9日(土)Bunkamuraル・シネマ、銀座テアトル・シネマ、新宿武蔵野館、吉祥寺バウスシアター他全国ロードショー
2012年、フランス・ドイツ・オーストリア、127分、カラー、フランス語
提供/角川書店、ロングライド、カウンターポイント、配給/クラシック+PALETTE、後援/フランス大使館、オーストリア大使館・オーストリア文化フォーラム、協力/ユニフランス・フィルムズ、サウンドトラック/EMIミュージック・ジャパン
http://www.ai-movie.jp/

by Mtonosama | 2013-02-27 06:53 | 映画 | Comments(12)
草原の椅子 -2-

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©2013「草原の椅子」製作委員会


佐藤浩市演ずる遠間憲太郎は50歳。カメラメーカーの営業局次長。
妻とは離婚し、大学生の娘と2人で暮らしています。
ま、よくいる仕事一途の会社人間です。
上から無理難題を言われ、部下に対して心にもないことを言わなければいけなかったり。

男50歳、仕事にかこつけ、好き勝手なことをした時期もあります。
妻とはそんなこともあって離婚したのですけどね。
自分は浮気をしたこともあるのですが、
娘の周囲に男の影がちらつくと気になって仕方ありません――

そんなどこにでもいる日本のオヤジです。

それのどこが大人のおとぎ話なんでしょうね?

原作者の宮本輝氏は「草原の椅子」を書き始める前、
本当の意味での「大人」が少なくなったと感じていたそうです。
ですが、小説を書き進める内、「大人」とは何かわかってきたといいます。

一、大人は感情をむきだしにしない。
ニ、大人は人間として大切な教養を持っている。
三、大人は忍耐を知っている。
四、大人とは、勇気は絞り出すものであり、行動を伴うことであることを知っている。
五、大人は健康に留意しなければならない。


うわっ、耳が痛い。

そんな「大人」観もちょうど50歳になった2人の男たちの生き方を通じて、
フンザの風景を背景に描かれるわけですが・・・・・


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ストーリー
遠間憲太郎は、大阪に本社を置く取引先「カメラのトガシ」の社長・富樫重蔵の窮地を救う。
「親友になってくれ」と懇願され、渋々の了承だったが、同い年とあって次第に打ち解けてゆく。

そんな頃、タクシーの中から偶然見かけた焼き物店の女主人・篠原貴志子に惹き付けられ、
10万円の黄瀬戸の器を購入してしまう。その後も高価な器を買い続ける遠間。
貴志子に恋をしてしまったのだ――

数日後、一人娘の弥生がアルバイト先の上司・喜多川を自宅に連れてくる。
彼が出張の間、4歳の息子・圭輔を預かってあげたいという。
圭輔は、家出した喜多川の妻の連れ子だった。
母親に育児放棄されたことが原因で口もきけず、心を閉ざしている。
そんな圭輔を、遠間は休みの間だけ面倒をみることにした。
話を聞いた親友の富樫は2人を実家のある瀬戸内海へ招待する。
その地で初めて遠間に心を許し、言葉を発する圭輔。

ある日、遠間の会社が主催する写真コンテストで受賞したことのある青年・鍵山が
パキスタンのフンザで撮影した写真集を彼に贈呈した。
雄大なヒマラヤの風景や人々の表情に魅了される遠間。

一方、圭輔をめぐる環境に変化が。
喜多川が転職を機に圭輔の育児を辞めたいと言い出し、
ネグレクトの母親も一旦は圭輔を引き取ることにしながら、結局、拒絶。
途方にくれた遠間は圭輔を養子にすることも考える。
だが、悩み抜いた末、施設に預けることに。
そして、圭輔との思い出作りの旅として、フンザ行きを決意する。
圭輔も「行きたい」と意思を告げる。
旅には、仕事の悩みを抱える富樫も同行。
貴志子も辛い過去を打ち明け、旅への同行を願うのだった。

遠間、富樫、貴志子、圭輔の4人はこれまでの人生を見つめなおし、
新しい生き方を探し求めるため、フンザへと旅立つ……

7000メートルを超えるヒマラヤの山々。カトパナ砂漠の神秘的なまでに白い砂。
それぞれの抱える悩みは雄大な自然に吸い込まれていくようであり、
人間の小ささを思い知らされる光景でした。

大きな自然を前にすると言葉を失い、思わず涙が出てきたりもします。

50歳と言えば仕事盛り。なかなかこんな旅には出られないというところが
大人のおとぎ話たる所以かもしれませんが、
節目節目に人生を見つめなおしてみることは必要ですよね。
30歳でも、150歳でも、折に触れて新しい生き方を考えてみたいものです。

秘境への想いがまたムクムクと湧いてきてしまいました。
ああ、旅に出たいです。





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草原の椅子
監督/成島出、原作/宮本輝「草原の椅子」(幻冬舎文庫、新潮文庫刊)、脚本/加藤正人、奥寺佐渡子、真辺克人、多和田久美、成島出、撮影監督/永沼六男、エグゼクティブ・プロデューサー/原正人、企画・設計/原オフィス、製作プロダクション/東映東京撮影所、配給/東映
出演
佐藤浩市/遠間憲太郎、西村雅彦/富樫重蔵、吉瀬美智子/篠原貴志子、小池栄子/喜多川祐未、中村靖日/喜多川秋春、貞光奏風/喜多川圭輔、AKIRA/鍵山、黒木舞/遠間弥生、若村麻由美/道代、井川比佐志/富樫茂雄
2013年2月23日(土)全国ロードショー、http://www.sougennoisu.jp/

by Mtonosama | 2013-02-24 06:15 | 映画 | Comments(8)
草原の椅子 -1-

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©2013「草原の椅子」製作委員会

とのは150歳です。
織田信長は「人間五十年、下天のうちを比ぶれば」と謡いながら舞いました。

同じ“との”つながりということで唐突なことを申し上げてしまいました。

50歳という歳は、人生において節目といえるときかもしれません。
本作は50歳を迎えたひとりの男が迎えた思いもよらない人生の変わり目を描いた映画です。
実生活でも共に1960年生まれで今年53歳になる佐藤浩市と西村雅彦が良い味を見せる
大人のためのおとぎ話といったらいいでしょうか。

昔は人生50年などと申しましたが、
今では50歳という年齢は、おとなのとば口。
デンと構えるにはまだまだ早すぎる歳なのでしょう。きっと。

本作「草原の椅子」は、
阪神大震災で自宅が全壊した半年後、シルクロード6700キロを踏破した体験を基に
作家・宮本輝が喪失と再生をテーマに著した小説「草原の椅子」(幻冬舎文庫・新潮文庫)
を原作としています。

監督は「八日目の蝉」(‘11 )で
http://mtonosama.exblog.jp/15856973/ http://mtonosama.exblog.jp/15872227/
日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞した成島出監督。
そうそう、この人も佐藤浩市さん、西村雅彦さんとひとつ違いの1961年生まれです。

「八日目の蝉」に登場した子役の女の子に思わず知らず感情移入してしまったとのですが、
本作に出演する男の子にも感心しました。
成島監督の子役選びには脱帽であります。
もちろん子どもの演技力も、周囲の盛り上げも、重要だとは思いますが――

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今回、本作「草原の椅子」で重要な役割を演じた貞光奏風くんは2007年生まれ。
6歳です。
2000人もの子役オーディションで、集中力の高さが認められ、圭輔役に選ばれました。
母親にネグレクトされ、心を閉ざした4歳の子どもという難しい役どころです。
後姿のうなじの細さが、虐げられた子どものか弱さを表わしていて胸が痛くなるほどでした。
この圭輔くんも先月当試写室で上映した「明日の空の向こうに」のペチャくんみたいに
おばさんキラーであります。

あ、この圭輔くんと並び、本作にはもうひとつ大きな見どころがあります。
それがフンザ。
フンザというのはガイドブックには桃源郷と表現されているパキスタンの小さな農村です。


フンザ
北は中華人民共和国、北西はアフガニスタンとの国境と接し、面積10,101平方キロメートル。中国のカシュガルへ向かうカラコルム・ハイウェイ沿いに、観光ホテルや安宿の集まるカリーマーバード、ゴジャールにあるパスー村、グルミット村などの集落が点在している。現地ではブルシャスキー語が使われているが、英語やウルドゥー語も解されている。ゴジャール地域では ワヒー語が話されている。シーア派イスラームのイスマーイール派信者が多く、パキスタン他地域のイスラム教徒と比べると、風習や服装はかなり異なる。
パキスタンと中国新疆ウイグル自治区を結ぶアジア横断ルートの途中にある上に、7000m級のパミール高原の山々が迫る辺境にあるため、外国人観光客や登山目的の旅行者が多い。アジアを旅するバックパッカーから「伝説の地」、「桃源郷」と呼ばれるほど、景色がすばらしい。自然豊かな村や谷は、4月になると杏の花でピンク色に埋め尽くされる。また、酒類の入手が困難なパキスタンにおいては珍しく、フンザワインと呼ばれる飲料が旅行者の間の隠れた名物となっている。そうした風土を愛して長期逗留する旅行者が少なくない。以前は日本の旅行会社のツアー客も多数訪れていた。ただ、アメリカ同時多発テロ事件以降、訪問する観光客は減少傾向にある。
日本人旅行者の間では「風の谷のナウシカ」の「風の谷」のモデルとなったと言われてきたが、宮崎駿自身は「(風の谷のイメージは)中央アジアの乾燥地帯なんです」と雑誌の対談で明言している。
(Wikipediaより)

本作は8月の撮影ということで、Wikipediaにあるような杏の花で染められた桃源郷
というよりは土色、砂漠色の世界でしたが、
秘境好きにはたまらない光景が拡がっていました。

さあ、一体どんなお話でしょうか。続きは次回まで乞うご期待でございます。



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草原の椅子
監督/成島出、原作/宮本輝「草原の椅子」(幻冬舎文庫、新潮文庫刊)、脚本/加藤正人、奥寺佐渡子、真辺克人、多和田久美、成島出、撮影監督/永沼六男、エグゼクティブ・プロデューサー/原正人、企画・設計/原オフィス、製作プロダクション/東映東京撮影所、配給/東映
出演
佐藤浩市/遠間憲太郎、西村雅彦/富樫重蔵、吉瀬美智子/篠原貴志子、小池栄子/喜多川祐未、中村靖日/喜多川秋春、貞光奏風/喜多川圭輔、AKIRA/鍵山、黒木舞/遠間弥生、若村麻由美/道代、井川比佐志/富樫茂雄
2013年2月23日(土)全国ロードショー、http://www.sougennoisu.jp/

by Mtonosama | 2013-02-21 06:28 | 映画 | Comments(4)
3.11後を生きる -2-

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3月11日以降、遺された人々は何を想っているのでしょうか。

Jホラーの中田監督がなぜ本作「3.11後を生きる」を撮ったのか。
その大本の理由は、多分私たちと同じ、だと思います。
あの日、息をのみ、胸をつぶした黒い水、すべてを呑みこんでいったあの黒い水――


しかし、その理由から更に一歩進んで岩手に赴いたのは、彼が映画監督だったから、
そして、ドキュメンタリー監督であったからです。
そう、「3.11後を生きる」は彼の4本目の最新ドキュメンタリーなのです。

ジョセフ・ロージー 四つの名を持つ男(‘98/83分)
英国在学中の中田秀夫が「エヴァの匂い」「唇からナイフ」などで知られる巨匠ジョセフ・ロージーを彼ゆかりの人物と本人の映像をちりばめながら、アメリカを逃れ、英国にわたったロージーの記憶の断片を紡ぐ。

サディスティック&マゾヒスティック(‘00/91分)
中田監督が師・小沼勝監督と自らの出自である日活ロマンポルノに迫る。師と仰ぎながらも中田監督が殺意を感じるともいう小沼監督の監督魂を追う。

ハリウッド監督学入門(‘08/73分)
「リング2」でハリウッドに進出した中田秀夫監督が巨大映画産業都市ハリウッドで華麗な産業の裏を追いかける。

監督は言っています。
「普段は劇映画の監督をしている私は幾多の街を壊滅させ、
人々の生活を丸ごと飲み込んだ津波の恐ろしさを、その衝撃的ニュース映像だけで捉えるのでなく
3月11日を生き残った人々が亡くなった家族を一刻も忘れられぬまま、
生を営む=ともに遺された家族を物心両面で支える=仕事に打ち込む姿を
ドキュメンタリー映画として私自身も含めた<非=被災者>に問いたいと強く思いました」


監督が東北に向った9月には国内のメディアも海外のメディアも、その視点は原発問題に向いていました。

しかし、監督の眼は津波を見ていました。

2011年9月
多くの倒れた墓石を建て直す石工さん。
3月11日から時間が止まったかのような釜石に再び店を出した不動産屋さん。
その不動産屋さんが部屋をあっせんした、一人娘と可愛い盛りの孫3人を亡くしたスナック経営者の三浦さん。
三浦さんの店で働いていた女性。
家族5人をすべて失った山田町のタラ漁師・五十嵐さん。
海辺に建っていた老人ホームで、老人たちと共に津波に攫われた若い職員の父。
新婚の妻を奪われた高校教師 ――

被災者は淡々とその日の様子を語ります。
メディアでは語られなかった部分もそこにはあります。
身につまされる話も、醜い部分も語られます。
家族5人を流された漁師の五十嵐さんが、
役所に重機を出して瓦礫と化した家を撤去してくれと頼んだ理由には胸がつぶれました。
「もう1ヶ月経った。親や女房はまだ大人だからいい。
だけど、小さい子どもたちは早くみつけてやらないと溶けてなくなってしまう・・・・・」

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子を失うということ、孫を失うということ。
自分より年若いものを失う悲しさ、つらさは未来を失うことと同じです。
いえ、こんな軽い言葉では表現できない想いでしょう。

誰もが、淡々と、どこか遠いところを見るような目でインタビューに応える姿が強く印象に残りました。

以前、BSで放送された海外ドキュメンタリーで津波被害にあった子どもたちをインタビューする番組を観ました。
海外でも、東日本大震災報道が津波から原発へとシフトしていくなか、
あえて津波に焦点をあてた作品でした。

「3.11後を生きる」は、大事な人や記憶を失った津波被害者の心にそっと寄り添った作品です。
これからも生き続ける私たちは、何もできないにしても、せめて、突然断ち切られた生に想いを寄せ、
祈り続けていかなくてならないのだ、とあらためて思います。

合掌。





2月23日(土)13時より上映終了後トークショーが決定しました。
南直哉(恐山菩提寺院代)、宮崎哲弥(評論家)

3/2(土)11:50~の上映後トークイベント
永瀬正敏(俳優)×五十嵐康裕(出演)×中田秀夫(監督)によるトークショーが決定


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3.11後を生きる
製作・監督/中田秀夫、撮影/さのてつろう、編集/高橋伸之、山中貴夫、録音/三澤武徳、整音/柿澤潔、効果音/柴崎憲治、映像提供/富間根信、金崎千代美、機材協力/宝塚大学、ポストプロダクション/映広、音楽/川井憲次、助監督/宮崎紀彦、多久間知宏、制作協力/株式会社ツインズジャパン、プロデューサー/中田秀夫、下田敦行
インタビューに応えてくださった方
佐々木清、佐々木マリ子、大萱生知明、家子和男、三浦恵美子、加藤昭仁、五十嵐康裕、小野寺浩詩、長沼靖治、佐藤啓子、休石実、堀合徹、永沼靖浩、富間根信、金崎千代美、
岩手県の皆様
2月23日(土)~3月8日(金)オーディトリウム渋谷にてロードショー
2012年、85分、カラー、配給/エネサイ http://wake-of-311.net/

by Mtonosama | 2013-02-18 07:10 | 映画 | Comments(4)
3.11後を生きる -1-

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もうすぐ3回目の3月11日がやってきます。

あの日、黒い厖大な水がすべてを呑み込んでいく映像に声を失いました。
テレビからはお笑い番組も、ドラマも消え、CMはACジャパンの同じフレーズばかりが流れ、
計画停電が実施され、歌舞音曲はなく、居酒屋も食べ物屋さんも閑散とし、一億総自粛状態でした。

福島原発ではメルトダウンが起こり、住民が家を去り、いまだ避難生活を続けています・・・・・

という状況をもはや忘れかけてはいなかったでしょうか。

「3.11後を生きる」というタイトルに、少しひいている自分がいました。
いけない、絶対こんなことじゃいけない。
あの黒い水に息をのみ、人々の無事を祈り、被災者の言葉に涙を流したこと、
生活を変えなくてはこの国は終わると思ったあの日のことを絶対に忘れてはいけなかった――

「3.11後を生きる」。東北地方在住者ではなく、心の弱いわたしは時が経つにつれ、
記憶も気持もあの日から少しずつ遠くなっていました。
しかし、あの日、あの黒い水を経験し、家族を亡くした人は忘れることなどできません。
家族全員を亡くし、孫を、息子を、娘を亡くした人は自分を責め、
その心とどう折り合いをつければいいのか悩み、
時を経るごとに、悲しみは胸の内に深く沈み、積もっていきます。

本作は2011年3月11日から半年後、中田秀夫監督が岩手に入り、
カメラを向け、被災者の声を聞いたドキュメンタリー映画です。

え?中田秀夫って、あの中田秀夫?
「リング」や「仄暗い水の底から」とかのホラー映画の中田秀夫監督?

はい、あの中田秀夫監督です。

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中田秀夫
1961年、岡山県生まれ。1985年ににっかつ撮影所に入社。
1992年に「本当にあった怖い話」で監督デビューし、同年文化庁芸術家在外研修員として渡英。
帰国後、「女優霊」(‘96)を監督。
1998年に発表した「リング」が大ヒット。黒沢清や清水崇と並びJホラーを代表。
「リング」はアメリカでリメイクもされた。
2003年「ラストシーン」で芸術選奨新人賞受賞。
「リング」の続編「ザ・リング2」ではハリウッドデビューを果たす。
その体験をまとめたのが「ハリウッド監督学入門」(‘09)である。http://mtonosama.exblog.jp/10566296/
「仄暗い水の底から」(‘02)も「ダーク・ウォーター」(‘05)としてリメイクされている。

その中田監督がなぜ「3.11後を生きる」を?とお思いですよね。
さあ、どうしてなのでしょう?続きは次回で。




2月23日(土)13時より上映終了後トークショーが決定しました。
南直哉(恐山菩提寺院代)、宮崎哲弥(評論家)

3/2(土)11:50~の上映後トークイベント
永瀬正敏(俳優)×五十嵐康裕(出演)×中田秀夫(監督)によるトークショーが決定


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3.11後を生きる
製作・監督/中田秀夫、撮影/さのてつろう、編集/高橋伸之、山中貴夫、録音/三澤武徳、整音/柿澤潔、効果音/柴崎憲治、映像提供/富間根信、金崎千代美、機材協力/宝塚大学、ポストプロダクション/映広、音楽/川井憲次、助監督/宮崎紀彦、多久間知宏、制作協力/株式会社ツインズジャパン、プロデューサー/中田秀夫、下田敦行
インタビューに応えてくださった方
佐々木清、佐々木マリ子、大萱生知明、家子和男、三浦恵美子、加藤昭仁、五十嵐康裕、小野寺浩詩、長沼靖治、佐藤啓子、休石実、堀合徹、永沼靖浩、富間根信、金崎千代美、
岩手県の皆様
2月23日(土)~3月8日(金)オーディトリウム渋谷にてロードショー
2012年、85分、カラー、配給/エネサイ http://wake-of-311.net/

by Mtonosama | 2013-02-15 06:15 | 映画 | Comments(6)
故郷よ -2-
Land of oblivion

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(C)2011 Les Films du Poissons

原発事故はもう私たちにとっては他人事とはいえず、
本作を観ながら、考えるのもやはり福島のことです。

福島の事故が起きたのはミハル・ボガニム監督が本作「故郷よ」を編集しているときでした。
彼女は自作の映像と同じ映像をニュースで観ることが不思議だったといいます。
日本で起きていることを、自分が映画にしているような奇妙な感覚にもとらわれたそうです。

本作と、前回お伝えした「希望の国」(園子音監督)。
事故から25年目に作られた劇映画と、1年後に作られた劇映画という違いはありますが、
チェルノブイリと福島には大きな共通点があります。

それは、いずれも今後も事故を抱えながら生きていかなければならないということ。

両者の遭遇した事故が原発事故だったばかりに、
忘れることができない、そして、忘れてはならない事故になってしまいました。


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ストーリー
1986年4月25日
プリピャチ―― 緑溢れる美しい街。
父と息子はリンゴの木を植え、恋人たちは愛を語っていた。
1週間後に迫ったメーデーに開園する遊園地の大観覧車も
子どもたちの歓声を乗せて回転するための準備がすっかり整えられていた。
川の向こうにそびえる発電所の煙突からは相変わらず灰色の煙が吐き出されていたが、
それはこの街の住民には日常的な風景だった。
そう、その日の真夜中までは――

4月26日
朝、街には大粒の雨が降っている。
森林警備隊のニコライが最初に異変に気付いた。
林道を走っていると軍の検問に遭ったのだ。
書類検査を受けるため、車外に出ると真っ赤に変色したブナの葉が目に入り、
その枝は少し触っただけで簡単に折れてしまった。

雨が止み、アーニャとピョートルの結婚式が行われている。
レーニン像の前で記念写真を撮る2人。
披露宴には大勢が参列し、大いに飲み食べ、幸せな2人を祝福する。
花嫁のアーニャが「百万本のバラ」を歌いだした頃、事態が一変した。
会場に森林火災があったという知らせ。
消防士の新郎・ピョートルは現場に急ぐ――

その頃ヴァレリー少年も異変に気付いた。
昨日プリピャチ川の川辺に父と植えたリンゴが一夜にして枯れていたからだ。
夕刻、少年の父アレクセイに1本の電話が。
それは原子力発電所の技師であるアレクセイに原発事故を知らせるものだった。
電話を切った後、すぐさま窓を閉め、息子にヨウ素剤を与え、放射線量を計測。
妻と息子を避難させ、事故収束のため、アレクセイはひとり街に残る。

4月27日
快晴。
森林警備隊ニコライが飼っていたミツバチは巣箱の中ですべて死に絶えていた。
ニコライの牧場に一機のヘリコプターが飛来。
降り立った乗組員は白い防護服に身を包み、
一言の説明もないまま、ニコライたちに向って退去命令を発する。
そして、無言のまま、家畜小屋に火を放った。

計測器を抱えたアレクセイは街の肉屋にいた。高い線量を発する食肉。
客に警告しても事情を知らない買い物客は聞く耳を持たない。
店を出ると雨が降り出していた。傘を大量に買い、住民に配るアレクセイ。

一晩経っても夫から連絡がないアーニャは病院へ向かう。
居合わせた看護士に問い合わせると
「ご主人は大量の放射線を浴び、モスクワへ搬送されました」――

10年後
廃墟となった建物。荒れ果てた農地。
事故があった4号炉はコンクリートで固められ、石棺と呼ばれていた。
事故後、30キロ圏内は立入制限区域となっていたが、
作業員や軍関係者、発電所の近くの食堂で働く従業員などの姿があった。
ニコライをはじめ、生まれた土地を離れたくなかった住民たちも生活を続けていた。
アーニャもまた1ヶ月の半分は「チェルノブイリ・ツアー」の観光ガイドをしながら、
プリピャチで暮らす1人だった。
事故で夫を亡くした彼女には婚約者がおり、フランスで住むことを誘われている。
だが、そんなアーニャを、 “石棺”で働く亡夫ピョートルの友人はひきとめる。
揺れるアーニャ。

今や16歳の青年になったヴァレリーは“亡父”アレクセイを弔うため、
母と共にプリピャチに戻ってきた。事故後初めての帰郷だ。
ヴァレリーは10年前のあの日以来消息を絶った父が死んだとは信じていない。
母の眼を盗み、生家の壁に、父へのメッセージを書き残すヴァレリー。

その頃、父アレクセイは列車に揺られてプリピャチ駅に向っていた。
あの日以来封鎖された駅へと、永遠に果たせるはずのない帰郷を目指して……
どうしても福島と重なってしまいます。
なにも知らされないまま、無念さを抱えながら強制退去させられた住民。戻ってきた住民。
引き裂かれた夫婦、家族、責任感と無力感から心を病んだ技師。

今、避難している方々、あるいは、さまざまな事情から福島に留まる方々には
つらい映画かもしれません。

でも、再稼働を考えている政治家、経済界の方、電力会社の方には是非観ていただきたい。
そして、あの日から時間が経ち、
ちょっと遠くにいる私たちももっと想像力を持ちたい。

フィクションであることが、さらに、想像力を刺激して、
現場にいた人々の苦しみや悲しみや無念さが深く心に迫る作品です。





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故郷よ
監督、脚本/ミハル・ボガニム、共同脚本/アントワーヌ・ラコンブレ、共同脚本、編集/アン・ウェイル、撮影/ヨルゴス・アルヴァニテス、アントワーヌ・エベルレ、製作/ラエティティア・ゴンザレス、ヤエル・フォギエル
出演
オルガ・キュリレンコ/アーニャ、アンジェイ・ヒラ/アレクセイ、イリヤ・イオシフォフ/ヴァレリー(16歳)、セルゲイ・ストレルニコフ/ディミトリ、ヴャチェスラフ・スランコ/ニコライ(森林警備員)、ニコラ・ヴァンズィッキ/パトリック、ニキータ・エムシャノフ/ピョートル、タチアナ・ラッスカゾファ/アーニャの母
2月9日シネスイッチ銀座他全国順次公開
2011年、仏・ウクライナ・ポーランド・ドイツ、フランス語・ロシア語・ウクライナ語、108分、後援/イスラエル大使館、字幕/川又勝利、提供・配給/彩プロ
http://www.kokyouyo.ayapro.ne.jp/

by Mtonosama | 2013-02-12 07:04 | 映画 | Comments(4)
故郷よ -1-
Land of oblivion

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(C)2011 Les Films du Poissons

1986年4月26日
春の遅いウクライナにもようやく花が咲き、鳥がさえずり、
恋人たちがボートを川に浮かべる季節がめぐってきた頃、
それは起こりました。

その日、アーニャは結婚式を挙げ、
6歳のヴァレリーはプリピャチ川のたもとに父とリンゴの苗木を植えました。

そんなのどかな春の一日、アーニャやヴァレリーたちに襲いかかった出来事――
そう、チェルノブイリ原子力発電所4号炉の爆発事故でした。

チェルノブイリ原発事故。
あの事故から今年で27年目になります。多くのドキュメンタリー映画もつくられました。
当試写室でも昨年2月「プリピャチ」を上映しています。
http://mtonosama.exblog.jp/17244517/ http://mtonosama.exblog.jp/17256592/

「故郷よ」はチェルノブイリ原発事故の映画です。
が、ドキュメンタリーではありません。
事故後25年経って初めて撮られた劇映画です。

しかし、パニック映画でも、政治的な告発の映画でもなく、
事故によって引き裂かれた男女、父子のつながりを軸に描いた静かな映画です。
愛の映画といってもいいかもしれません。

イスラエル出身のミハル・ボガニム女性監督が言っています。

「登場人物や人々の人生をより密接に描くため、大惨事が人々の関わりに影響を与え、
人生を壊してしまうことを示すためにはフィクションが良かった・・・」


原発事故そのものが充分にパニックであり、告発すべきできごとなのですから、
このような静かなドラマこそ、
人と人のつながりを壊し、人生を狂わせていく原発事故の持つ悲劇性を
より際立たせることになるのかもしれません。

f0165567_6494150.jpg

フィクション、劇映画ではありますが、
チェルノブイリ原発から4キロしか離れていない立入制限区域であるプリピャチの市内や
かつて原発で作業する人々が住み、今や廃墟となったアパートの中に、
俳優とカメラが入り、撮影しています。

本作撮影時、初めて撮影隊が入るというので、検閲も大変厳しいものでした。
もし、チェルノブイリ事故の中で消防士たちが命をかけて人々を救助するというようなストーリーであれば
撮影許可も簡単におりたことでしょう。
しかし、監督が描きたかったのは当局の事故隠蔽策のために
人々がどれほどの犠牲を強いられたか、ということ。
その妨害の程度は予想がつきますよね。

で、彼女のとった解決策は偽の脚本を書くことでした。
撮影時期は迫っており、更に、プリピャチにこれ以上滞在すれば被曝量が増えるばかりです。
検閲パスのための止むを得ない策でありました。

さて、「故郷よ」は劇映画としてチェルノブイリ事故から25年を経て初めて撮影されたわけですが、
日本では昨年、園子音監督「希望の国」が公開されました。
こちらは福島事故後1年で撮影されたことになります。

「希望の国」 園子音監督


こちらも鑑賞したいのですが、とりあえずは予告編だけで。

偽の脚本まで書いて検閲をのりきった「故郷よ」。一体どんなストーリーなのでしょうか。



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故郷よ
監督、脚本/ミハル・ボガニム、共同脚本/アントワーヌ・ラコンブレ、共同脚本、編集/アン・ウェイル、撮影/ヨルゴス・アルヴァニテス、アントワーヌ・エベルレ、製作/ラエティティア・ゴンザレス、ヤエル・フォギエル
出演
オルガ・キュリレンコ/アーニャ、アンジェイ・ヒラ/アレクセイ、イリヤ・イオシフォフ/ヴァレリー(16歳)、セルゲイ・ストレルニコフ/ディミトリ、ヴャチェスラフ・スランコ/ニコライ(森林警備員)、ニコラ・ヴァンズィッキ/パトリック、ニキータ・エムシャノフ/ピョートル、タチアナ・ラッスカゾファ/アーニャの母
2月9日シネスイッチ銀座他全国順次公開
2011年、仏・ウクライナ・ポーランド・ドイツ、フランス語・ロシア語・ウクライナ語、108分、後援/イスラエル大使館、字幕/川又勝利、提供・配給/彩プロ
http://www.kokyouyo.ayapro.ne.jp/

by Mtonosama | 2013-02-09 06:57 | 映画 | Comments(4)
レッド・ライト -2-
RED LIGHTS

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(c) 2011 VERSUS PRODUCCIONES CINEMATOGRAFICAS S.L. (NOSTROMO PICTURES) / VS ENTERTAINMENT LLC

この世界には、未だ科学では説明できない不思議なできごとが多々あります。
一方で、そうした超常現象を科学的に論破していく人もいます。

前者の世界の住人はロバート・デ・ニーロが演ずる超能力者サイモン・シルバー。
後者はシガニー・ウィーバーが演じる大学教授マーガレット・マシスン。

デ・ニーロの発する黒いオーラ。
「エイリアン」で見せた知的かつ勇敢な宇宙飛行士リプリーを連想させる
科学者のシガニー・ウィーバー。

この両者に圧倒されたかのように大人しく影の薄いマーガレット・マシスン教授の
助手トムを演じたのがキリアン・マーフィです。

ダニー・ボイル監督の「28日後…」(‘02)で主役を、
「バットマンビギンズ」(‘05)ではスケアクロウを演じた人です。
あ、そうそう、アイルランド出身のこの人は
アイルランド独立戦争を、その後の内乱を背景に描いたケン・ローチ監督の
カンヌ映画祭パルム・ドール受賞作「麦の穂をゆらす風」(‘06)にも出演している実力派。
顔はなんとも地味なんですけどね。

さあ、一体どんなお話なのでしょうか。


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ストーリー
広い敷地にポツンと建った大きな一軒家。
大学で物理学を教えるマーガレット・マシスン博士は助手のトム・バックリー博士と共に
この邸宅に到着した。
2人は超常現象を科学的に解明することに取り組んでおり、
この家で起こっているポルターガイスト現象を調査するためにやってきたのだ。
マーガレットは霊媒師が仕切る降霊会に参加。トムは大学から持参した機器を使い、
その様子をチェックする。そして、マーガレットは異常現象の謎をあっさりと解明。
続いて2人が調査に向ったのはレオナルド・パラディーノというインチキ霊能者。
2人が勤務する大学の学生サリーを助手に加え、パラディーノの透視術のいかさまを暴く。

だが、そこへ強大な敵が出現。
1960年代の終わりから70年代の初めにかけ、さまざまな超能力で注目を浴びたサイモン・シルバーである。30年以上、この世界から姿を消していたサイモンが超能力のショーを再開するというのだ。
近々、地元のホールにやってくることを知ったトムは彼を調査対象にすることを主張。
だが、なぜか拒絶するマーガレット。
「サイモンは危険よ。近づかない方がいいわ」――

マーガレットの忠告を聞かず、サイモンのショーの会場に単身で乗り込んだトム。
黒いサングラスをかけたサイモンの視えない視線がトムを捕えた瞬間、
ホールの電気系統が火花を散らした。パニックに陥る観客たち。
トムを襲う更なるショック。
大学の研究室で昏倒したマーガレットがそのまま死んでしまったのだ。

恩師を失い、悲しみに沈みながらもサイモンの調査を続けるトム。
そして、間もなく古いビルの一室に赤い光を灯した彼の隠れ家を発見するのだが、
それ以降、トムを襲う不可解な現象。
幽体離脱する悪夢にうなされ、サイモンの幻影に怯えるトムはやがて……

後半を過ぎ、これでもかとばかりに繰り出される奇怪なできごと。
そして、ラストに待ち受ける予想外の展開。
息つく暇もなく襲いかかる現象は、
監督の言う
「人は見たいと思うものを見、信じたいと思うものを信じる」
なのかも。
監督によって自分の頭脳に蒔かれた恐怖のタネが芽を出し、
作り上げていったストーリーに、勝手に怯えていたようです。
頭脳って、案外騙されやすいもの?

幽霊の正体見たり枯尾花、ってやつですね。

とはいえ、怖いシーンが盛りだくさんで相変わらず過剰反応してしまいました。

え?ラストの展開ですか?
そればっかりは口が裂けても言えません。どうぞ皆さんご自身の目でお確かめください。





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☆2013年2月6日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

レッド・ライト
監督・脚本・編集・製作/ロドリゴ・コルテス、共同製作/エイドリアン・グエラ、製作総指揮/リサ・ウィルソン、シンディ・コーワン、撮影/シャビ・ヒメネス
出演
キリアン・マーフィー/トム・バックリー、シガニー・ウィーバー/マーガレット・マシスン、ロバート・デ・ニーロ/サイモン・シルバー、エリザベス・オルセン/サリー・オーウェン、トビー・ジョーンズ/ポール・シャクルトン、クレイグ・ロバーツ/ベン
2013年2月15日(金)TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー
2012年、スペイン・アメリカ、カラー、113分、字幕翻訳/長澤達也、提供・配給/プレシディオ、http://gacchi.jp/movies/red-light/

by Mtonosama | 2013-02-06 05:39 | 映画 | Comments(10)
レッド・ライト -1-
RED LIGHTS

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(c) 2011 VERSUS PRODUCCIONES CINEMATOGRAFICAS S.L. (NOSTROMO PICTURES) / VS ENTERTAINMENT LLC

レッド・ライト。
紅灯?
「紅灯(こうとう)の巷(ちまた)」となると「花柳界、遊郭、歓楽街」という意味。
英語のredlightにも“売春宿(の看板)”などという意味が載っています。
この映画では、赤信号、警告、不協和音、場違いなものといった感じで使われました。
暗がりの中にポツンと浮かんで見える赤い灯って、ホッとするというより、
ちょっと不気味な感じがないでもありません。
特に霧のたちこめた夜などは――

え?ホラー映画かって?
いえ、違います。
そもそも、とのはホラー映画をひとりで観にいくことができないし・・・
150歳にもなって恥ずかしい限りなのですが、怖いシーンで過剰反応してしまう困った人でして。

という次第で、本作はホラーではありません。
じゃ、なんなのか、というと、うーん、難しいです。
超能力を描いた映画なのですが、はっきり言いきってしまえばネタばれになってしまうし・・・
説明に困る作品です。

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超能力とはそもそも何か?
空中浮遊、瞬間移動、透視、予知、テレパシー、
ポルターガイスト、こっくりさん――

辞書には「人間の力ではできないようなことをする特別な力」とありますが、
よくわからない説明です。

一昨年12月に当試写室で上映した「ルルドの泉で」
http://mtonosama.exblog.jp/16948048/ http://mtonosama.exblog.jp/16959845/
に出てきた難病や怪我の治癒といった宗教的な奇跡も超能力に含まれるのでしょうか。

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監督はロドリゴ・コルテス。1973年スペイン生まれ。今年40歳の監督です。
長編デビュー作”Concursante”(‘07)はマラガ映画祭でプレミア上映され、
最優秀国際批評家賞を含む多くの賞を受けました。
長編2作目の異色スリラー「[リミット]」(‘10)もサンダンス映画祭でプレミア上映。
複数の配給会社が争奪戦を繰り広げ、ライオンズゲートが配給権を獲得しました。
本国スペインでもゴヤ賞10部門にノミネートされ、編集など2部門を受賞。
カルレス・トレンス監督のスリラー「アパートメント:143」(‘11)に脚本を提供するなど、
製作も兼任しています。

その彼が本作について話した言葉をご紹介しますね。

人間の脳が現実を知覚するとき、
それがどれほど当てにならないものか。

人は見たいと思うものを見る。
そして、信じたいと思うものを信じる


監督の経歴、そして、この言葉。
画像からも感じ取られる薄暗い雰囲気。
ロバート・デ・ニーロ、シガニ―・ウィーバーといった大物俳優が出演しながら、
彼らが主演ではないところ。

どんな映画か、なんとなく想像できます?

でも、「人は見たいと思うものを見、信じたいと思うものを信じる」ですからね。
どんな風に騙されるか、ちょっと試してみたくはありませんか?

続きは次回にて。乞うご期待でございます。



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☆2013年2月3日に更新しました。節分です♪ いつも応援ありがとうございます☆

レッド・ライト
監督・脚本・編集・製作/ロドリゴ・コルテス、共同製作/エイドリアン・グエラ、製作総指揮/リサ・ウィルソン、シンディ・コーワン、撮影/シャビ・ヒメネス
出演
キリアン・マーフィー/トム・バックリー、シガニー・ウィーバー/マーガレット・マシスン、ロバート・デ・ニーロ/サイモン・シルバー、エリザベス・オルセン/サリー・オーウェン、トビー・ジョーンズ/ポール・シャクルトン、クレイグ・ロバーツ/ベン
2013年2月15日(金)TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー
2012年、スペイン・アメリカ、カラー、113分、字幕翻訳/長澤達也、提供・配給/プレシディオ、http://gacchi.jp/movies/red-light/

by Mtonosama | 2013-02-03 06:14 | 映画 | Comments(12)