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殿様の試写室

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<   2013年 03月 ( 10 )   > この月の画像一覧

海と大陸 -1-
TERRAFERMA

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(C)2011 CATTLEYA SRL・BABE FILMS SAS・FRANCE 2 CINEMA

試写状が送られてきて、さて、どの映画を観ようか、と考えるひとときは至福のときであります。

どれを観るかの決め手にするものにはいろいろあります。

お気に入りの監督の作品であること、あまり知らない国を舞台にした映画であること、
好きな俳優が出ていること、良いタイトルであること、そして、試写状の写真が良いこと――

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「海と大陸」はまさにその写真が決め手になりました。
青い海に向って小さな船から多くの男女が飛び込んでいきます。
それはまるで船の底から人が溢れ出すようであり、次から次へと人が盛り上がり
まるで仕掛け花火のようにダイブしていく写真です。

内容はどうあれ、このシーンをスクリーンで観られるだけで満足、
と試写室に向いました。

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本作は、シチリア島とアフリカ大陸の中間地点にあるリノーサ島が舞台の映画です。
この島は漁民が大半を占める小さな島ですが、今や漁業も衰退し、夏場だけの観光地になっています。

監督はエマヌエ―レ・クリアレーゼ。

エマヌエ―レ・クリアレーゼ
1965年ローマに生まれ、祖父はシチリア出身。1991年ニューヨーク大学で映画演出を学び、短編映画を何本か撮った後、1997年”Once We were Strangers”をニューヨークで撮影、長編映画監督デビューを果たす。その後、イタリアに戻り、シチリアのランぺドゥーサ島で撮った初めてのイタリア作品「グラツィアの島」(‘02)でカンヌ国際映画祭批評家週間グランプリを獲得。2006年シャルロット・ゲンズブールを起用し、20世紀初頭のアメリカへの移民問題を描いた「新世界」を監督。第63回ヴェネチア国際映画祭で銀獅子賞を獲得。この作品はマーティン・スコセッシによって公開され、第79回アカデミー賞外国語映画賞イタリア代表に選ばれた。本作「海と大陸」では第68回ヴェネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞、さらに第84回アカデミー賞外国語映画賞イタリア代表に選ばれた。

小さな島の素朴な風景と美しい海を背景にしたお話なのですが、
実は、この島の地図上の位置に映画のキーポイントがありました。
本作の舞台であるリノーサ島は、べラージェ諸島に属し、
シチリア島の南方、チュニジア東方のシチリア海峡上に位置しています。

つまり、アフリカからヨーロッパへの玄関口なんですね。
シチリアと北アフリカの中間地点にあるため、
北アフリカからヨーロッパに渡る人々を乗せた船が漂着するケースが多いということです。

その昔ベトナムからやってくるボートピープルと呼ばれた人々もそうでしたが、
充分な装備を持たない小さな漁船に多くの人々が乗ってくるので、病気や遭難によって
途中で大勢亡くなるそうです。

もうおわかりでしょうが、この映画にはアフリカからの難民が登場します。
難民と、ヨーロッパへの玄関口にあたる小さな島の住民との関わりを描いた映画です。

あのダイビングシーンも気になりますが、いったいどんなお話なのでしょう。
続きは次回で。乞うご期待でございますよ。



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海と大陸
監督・原案/エマヌエーレ・クリアレーゼ、脚本/エマヌエーレ・クリアレーゼ、ヴィットリオ・モロー二、キャスティング/キアーラ・アニェッロ、助監督/エミリアーノ・トッレス、カメラ・オペレーター/ルイジ・アンドレイ、ライン・プロデューサー/フェデリコ・フォーティ、美術/パオロ・ボンフィーニ、撮影監督/ファビオ・チャンケッティ、製作総指揮/ジーナ・カルディー二、プロデューサー/リッカルド・トッツィ、ジョバンニ・スタビリーニ、マルコ・キーメンツ
出演
フィリッポ・チッロ/フィリッポ、ドナテッラ・フィノッキアーロ/ジュリエッタ、ミンモ・クティッキオ/エルネスト、ジュゼッペ・フィオレッロ/ニーノ、ティムニット・T/サラ、マルティーナ・コデカーザ/マウラ、フィリッポ・スカラフィア/マルコ、ピエルパオrp・スポッロン、ティツィアーナ・ロダート/マリア、ルベル・ツェガエ・アブラハ/サラの息子、クラウディオ・サンタマリア/財務警察官
4月6日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー
2011年、93分、イタリア、フランス/イタリア語、日本語字幕/岡本太郎、提供/クレスト・インターナショナル、朝日新聞社、提供/イタリア大使館、http://www.umitotairiku.jp/

by Mtonosama | 2013-03-29 06:55 | 映画 | Comments(4)
ヒッチコック -2-
Hitchcock

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(C) 2012 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

「サイコ」は最高!
すいません。下らないダジャレを言ってしまいました。

いやもう、幼心に鮮烈な印象を残した怖い映画でして。
なにが怖いといって、殺人シーンの音楽が怖い。
ジャネット・リーの恐怖に見開かれた眼も怖い。
(あ、本作でジャネット・リーを演じたのはスカーレット・ヨハンセンです)
これを観た後、幼いとのはしばらく夜泣きをして親を困らせたそうです(ウソ)。
ご覧になっていない方はとにかく急いで「サイコ」のDVDを借りてきてくださいね。

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さて、本作に登場するヒッチコックは60歳。
既に46本の作品を世に出していましたが、これぞ!という一本を撮りたかったのです。
創作者というのは常にそんなものでありましょう。
そこで目をつけたのが実在の凶悪犯人エド・ゲインを描いた小説「サイコ」。
ですが、あまりの残虐さに映画会社は出資を断り、映倫からも殺人シーンへの許可が出ません。

というような状況の下、ヒッチコックと妻アルマはどうしたか――
「妻は夫を慕いつつ、夫は妻をいたわりつ」的な展開ではもちろんありません。
そんな映画を撮ったりしたらヒッチコックがあの世から怒りに来ますからね。

さあ、どんなお話かというと――


ストーリー
次回作の素材を求めていたヒッチコックは
実在の大量殺人鬼エド・ゲインの実話「サイコ」に惹きつけられる。
新作を撮る時には妻のアルマの賛同が不可欠なのだが、彼女は乗ってこない。
「主演女優が途中で殺されてしまうんだ」というヒッチコックのアイディアに反応したアルマ。
「なぜ途中なの?最初の30分で殺せばいいわ」

だが、マスコミも映画会社の反応は散々。
パラマウントの社長に出資を断られたヒッチコックは自邸を担保に自己資金で製作することを決意。
「資金も時間もなく、知恵を絞って映画を作っていた頃の楽しさと解放感をもう一度味わいたい」
というヒッチコックの言葉に、アルマが動いた。

出資もしなければ、監督へのギャラも払わず、映画会社はただ配給するだけ、
という契約でようやくようやくパラマウントが同意。
ところが、脚本をチェックした映倫がシャワールームでの殺人シーンにダメ出し。
落ち込むヒッチコック。

撮影が始まるとまたまたトラブル続出。
頼みのアルマは脚本家のウィットに依頼された共同執筆に夢中。

ヒッチコックは2人の仲を疑い始める。
シャワールームでの殺人シーン撮影の日、ヒッチコックの精神状態は最悪。
スタントマンからナイフを奪い、自らジャネット・リーにナイフを振り上げるヒッチコック。
迫真の演技にジャネットは本気で怯え、悲鳴を上げる。
だが、その後、ヒッチコックは昏倒してしまった。

ウィットと脚本を書いていたアルマは緊急連絡を受け、スタジオへ。
ヒッチコックの代わりにテキパキと現場を指揮し、
パラマウントの社長が連れてきた代理の監督も追い返す。

全てを仕切り、段取りをつけ、帰宅した彼女。
そんなアルマを迎えたのは、ウィットとの仲を疑い、嫉妬に狂ったヒッチコックの言葉。
「妻なら全力で私をサポートしろ」
アルマはキレた――

ヒッチコックは「サイコ」第1回の関係者試写で酷評され、失意の中。
そんな彼にアルマが放った一言。
「解決策はひとつ。また、あなたと組むのよ」
超一流の編集者であるアルマと共に「サイコ」再編集が始まる……

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殺人鬼エド・ゲインと「サイコ」撮影、そして、ヒッチコックとアルマという天才同士の確執。
あるいはドキュメンタリーのように、また、サスペンスフルに、
ミルフィーユのごとく多層的な展開を楽しませてもらいました。
なんでもこなせるスーパーウーマンであり、賢妻でもあるけれど、
イヤミにならず、鼻にもつかず、かなり良い感じのアルマを見せてくれたヘレン・ミレン
には大拍手。
英国俳優の演技力と底の深さにはただただ敬服であります。

一方、首やアゴ、頬をシリコンで包み、耳たぶと鼻にもシリコンを加えた特殊メークで
ヒッチコックになりきったアンソニー・ホプキンスもすごい!
ただの太ったおじさんではなく、その作品にも通底する不気味さを漂わせるところは
幼い頃からのヒッチコックファンをもうならせることでありましょう。
ウ~~ン(うなりました)。





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ヒッチコック
監督/サーシャ・ガヴァシ、脚本/ジョン・J・マクロクリン、原作「ヒッチコック&メイキング・オブ・サイコ」改訂新装版(白夜書房刊)/スティーヴン・レベロ、製作/アイヴァン・ライトマン、トム・ポロック、ジョー・メジャック、トム・セイヤー、アラン・バーネット、製作総指揮/アリ・ベル、リチャード・ミドルトン、撮影監督/ジェフ・クローネン・ウェス、ASC
出演
アンソニー・ホプキンス/アルフレッド・ヒッチコック、ヘレン・ミレン/アルマ・レヴィル、スカーレット・ヨハンソン/ジャネット・リー、ダニー・ヒューストン/ウィットフィールド・クック、トニ・コレット/ペギー・ロバートソン、マイケル・スタールバーグ/ルー・ワッサーマン、マイケル・ウィンコット/エド・ゲイン、ジェシカ・ビール/ヴェラ・マイルズ、ジェームズ・ダーシー/アンソニー・パーキンス、リチャード・ボートナウ/バーニー・バラバン。カートウッド・スミス/ジェフリー・シャーロック
4月5日(金)よりTOHOシネマズシャンテ他全国ロードショー
2012年、アメリカ、英語、99分、日本語字幕/稲田嵯裕里、配給/20世紀フォックス映画、http://www.foxmovies.jp/hitchcock/

by Mtonosama | 2013-03-26 07:00 | 映画 | Comments(10)
ヒッチコック -1-
Hitchcock

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(C) 2012 Twentieth Century Fox. All Rights Reserved.

なにせ150歳にもなりますと、
近頃のお子さん方がどんなTV番組を好んでご覧になるのかもわかりませんが、
とのが子どもの頃にはヒッチコック劇場という番組がありました。
もうこれが楽しみで、楽しみで。
今も、あのテーマミュージック(「操り人形の葬送行進曲」シャルル・グノー作曲)と共に、
下唇のつきでた大きなお腹のヒッチコックのシルエットが脳裏に浮かんできます。

アメリカでは1955年から10年間放映されていて、
脚本家にはなんとレイ・ブラッドベリもその名を連ねています。ビックリ!
日本でも1957年から63年までは「ヒッチコック劇場」(日テレ系列)
63年から64年までは「ヒッチコック・サスペンス」(フジ系)等で楽しむことができました。
ホントに幸せな子ども時代を送らせていただきました。

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もちろん、ヒッチコックといえば
「鳥」「サイコ」「北北西に進路を取れ」「めまい」「レベッカ」等の映画も忘れることはできません。

本作は「サイコ」製作過程をからめつつ、
アルフレッド・ヒッチコックと
その妻であり、脚本家であり、映画編集者であり、要するに公私両面にわたってのパートナーである
アルマ・レヴィルのことを描いた映画です。

ヒッチコックを演じたアンソニー・ホプキンス。
あの茫洋としたヒッチコックにかなり危なさを加えたところが
アンソニー・ホプキンス流ですねぇ。
また、妻・アルマ。彼女がまたヒッチコックに劣らない存在感を持った人物です。
ヘレン・ミレンの演技力によって、アルマの稀有の才能とキレが冴えわたっていました。


アルフレッド・ヒッチコック
サー・アルフレッド・ジョゼフ・ヒッチコック(Sir Alfred Joseph Hitchcock, KBE, 1899年8月13日 - 1980年4月29日)は、イギリスの映画監督、映画プロデューサー。1939年からはおもにアメリカで活躍した。スリラー映画で成功し、製作・脚本・編集・美術も手がけた。サスペンス映画の神様とも称される。

アルマ・レヴィル
アルマ・レヴィル(Alma Reville, 1899年8月14日 - 1982年7月6日)は、イングランド出身の助監督、脚本家、編集技師である。 1926年にアルフレッド・ヒッチコックと結婚。(Wikipediaより)


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「私に大いなる愛情と高い評価を与え、
常に激励と共に惜しみない協力をしてくれた4人の人物をあげることをお許しください。
1人目は映画編集者
2人目は脚本家
3人目は娘パットの母
4人目は家庭の台所で奇跡を見せる優秀な料理人
偶然にも4人全員が同じ名前、その名もアルマ・レヴィルです」


ヒッチコックが1979年AFI功労賞の受賞スピーチで話した言葉です。
さすがですね!

これをハリウッドによくある“妻に捧げる洒落た台詞”と思って、
ただ感激だけしていると、またちょっと違うんですわ。

ヒッチコックも「サイコ」もすごいんですけど、このアルマさんもまた半端じゃありませんよ。
さあ、「サイコ」プラス2人の才人の物語。一体どんなお話でしょうね。
乞うご期待でございます。



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ヒッチコック
監督/サーシャ・ガヴァシ、脚本/ジョン・J・マクロクリン、原作「ヒッチコック&メイキング・オブ・サイコ」改訂新装版(白夜書房刊)/スティーヴン・レベロ、製作/アイヴァン・ライトマン、トム・ポロック、ジョー・メジャック、トム・セイヤー、アラン・バーネット、製作総指揮/アリ・ベル、リチャード・ミドルトン、撮影監督/ジェフ・クローネン・ウェス、ASC
出演
アンソニー・ホプキンス/アルフレッド・ヒッチコック、ヘレン・ミレン/アルマ・レヴィル、スカーレット・ヨハンソン/ジャネット・リー、ダニー・ヒューストン/ウィットフィールド・クック、トニ・コレット/ペギー・ロバートソン、マイケル・スタールバーグ/ルー・ワッサーマン、マイケル・ウィンコット/エド・ゲイン、ジェシカ・ビール/ヴェラ・マイルズ、ジェームズ・ダーシー/アンソニー・パーキンス、リチャード・ボートナウ/バーニー・バラバン。カートウッド・スミス/ジェフリー・シャーロック
4月5日(金)よりTOHOシネマズシャンテ他全国ロードショー
2012年、アメリカ、英語、99分、日本語字幕/稲田嵯裕里、配給/20世紀フォックス映画、http://www.foxmovies.jp/hitchcock/

by Mtonosama | 2013-03-23 07:26 | 映画 | Comments(4)
ハーブ&ドロシー 
ふたりからの贈りもの
-2-
HERB & DOROTHY 50×50

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(C) 2013 Fine Line Media,Inc. All Rights Reserved.

キャラ的になかなか好ましいハーブさんとドロシーさん。
愛想の良い奥さんのドロシー、
車椅子におさまって自分たちの集めたアート作品を満足そうに見入るハーブ。
彼がもういないと思うと寂しいです。

最初、「こんなにコレクションできるなんてお金持ってるからだよ」と
ひがみ根性にこりかたまっていたとの。
ホントは二人ともつましい公務員だったんですけどね。
彼らのコレクションには、無名作家の作品もありますが、
世界中に名の知れた作家の作品も数多くあります。
売ればひと財産です(ああ、なんてさもしい根性なのでしょう)。
でも、前作で既に全コレクションをアメリカ国立美術館に寄贈しているのですから、
今回はいったいこれ以上何をしようというのでしょう。
実は、それは前作が完成する直前にもう始まっていました――


ストーリー
NYの1LDKの住まいからアメリカ50州の美術館に2人のコレクションは拡がっていきます――

2008年春、ハーブとドロシーはある計画を発表。
「ドロシー&ハーバート・ヴォーゲル・コレクション:50作品を50州に(50×50)フィフティ・バイ・フィフティ」
となづけたこの計画。
50作品ずつ全米50州の各美術館に合計2500点を寄贈するというものです。
その中にはソル・ルウィット、リチャード・タトル、リンダ・ベングリスなど
20世紀を代表する総勢177人のアーティストの作品が含まれています。
あれ、前作でナショナル・ギャラリーに寄贈したのではなかったっけ?
そうなんです。
そうなんですが、アメリカ最大級の美術館であるナショナル・ギャラリーといえども
5000点もの作品の収蔵は不可能。
引き取れるのは千点が限界と判断せざるをえませんでした。
そこで始まった50×50プロジェクト。
ナショナル・ギャラリーはハーブ&ドロシーと共に作品の引取先を探していきます。

カメラが向うのはコレクションを受け取った全米各地の10の美術館。
ハワイ、ノース・ダコタ、モンタナ――

これまで観たこともないモダンアートなるものを鑑賞するためにやってきた人たちの反応は?
「芸術というのはもっときちんと描きこむものでしょ」
「孫の描いた絵の方がうまいかも」と若干ひき気味の大人たち。
その脇で自由に想像力をめぐらせる子どもたち。
さまざまなモダンアートへの態度が楽しめます。

映画には夫妻と長い間親しくしてきたアーティストも登場します。
クリストとかマーク・コスタビ。
モダンアートの門外漢でもその名前だけは聞いたことがある作家です。
無名ながら夫妻の励ましによって創作を続けてきた作家も。

世間の評価や、もちろん美術品の相場などには一切関わりなく、
自分たちが好きか嫌いかだけで作品を買い集めてきたハーブ&ドロシー。
有名だろうと無名だろうと関わりなく、
夫妻は友として、あるいは、親として彼らに接してきました。

50年前と同じ1LDKのアパートで年金生活を送る2人。
猫とコレクションに囲まれたそんな2人の生活に終止符が打たれる日がやってきました…


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失礼ながら、およそモダンアートとは縁が遠そうにみえる地味なご夫妻。

シャープな空間にポツンと置かれた作品、
インスタレーションっていうんですか?
空間そのものがアートであること。
それがモダンアートの条件と思い込んでいたんですけど――

下の隙間に押し込まれたコレクションのせいで持ち上げられてしまっているベッド。
床や廊下に箱のまま置かれた作品。
作品の劣化を防ぐため、窓もふさいだままの部屋。
でも、お気に入りのソファーからちょうど良い高さで眺められるよう掛けられた作品。
集めることだけが好きというのではないのですねぇ。やっぱりアートがお好きなんです。

とのはやっぱりこんなに集めることはできないけれど、
コレクターの真髄を見せていただきました。

ハーブもいなくなり、コレクションもなくなって急に広くなった1LDKで
ドロシーはどんな風に過ごしていくのでしょう。
あ、猫はいますけど。





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ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの
監督・プロデューサー/佐々木芽女
出演
ハーバート&ドロシー・ボーゲル、リチャード・タトル、クリスト、ロバート・バリー、パット・ステア、マーク・コスタビ、チャールズ・クロフ、マーティ・ジョンソン他
3月30日(土)より新宿ピカデリー、東京都写真美術館他、全国順次ロードショー
2013年、アメリカ、87分、英語、提供・配給/株式会社ファイン・ライン・メディア・ジャパン、配給協力/ADEX日本経済広告社、Playtime、http://www.herbanddorothy.com/jp/

by Mtonosama | 2013-03-20 06:57 | 映画 | Comments(11)
ハーブ&ドロシー 
ふたりからの贈りもの
-1-
HERB & DOROTHY 50×50

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(C) 2013 Fine Line Media,Inc. All Rights Reserved.

「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈り物」には
「ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人」という前作があります。

前作は、NY在住のアートコレクター・郵便局員ハーブと図書館司書ドロシーという夫妻が
世界屈指のアートコレクションをなしとげ、
その全てをアメリカ国立博物館に寄贈するまでを描いた物語です。

数多くの映画祭で最優秀ドキュメンタリー賞や観客賞を受賞し、
世界各国で劇場公開、現在もアートフェアや美術館などで上映されている前作。
日本でも2010年から1年間全国50カ所を超える劇場で上映され、
東京では半年に及ぶロングランとなりました。

本作「ハーブ&ドロシー ふたりからの贈り物」は夫妻の人生と
コレクションのその後を追う完結編ということになります。

と、第1作、第2作合わせてざっとご紹介させていただきました。
前作はこの手の映画としては異例のヒット作となりましたので、
ご覧になった方も多いのではないでしょうか。

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実は、とのも観ました。しかし、なぜか当試写室で上映する気にはなれませんでした。
なぜか?
はい、このご夫婦がどうしてここまで多くの作品を集めるのかがわからなかったからです。
自分、お金もないし、ケチだし――
ただひたすらモダンアートだけを、居住空間を侵食するほど集めるってちょっとヘン、
と思ってしまいました。
ものを集め過ぎるということに違和感を感じる150歳なのであります。

でも、それは両親を亡くし、いろいろ整理しなくてはならないという体験をしたからなんですけど――
と言い訳だけはしておきます。

実際、写真1枚、本1冊でも、親のものとなると簡単には処分できませんが、
もちろん全部持ち続ける訳にもいきません。
ものに執着しなくなっていたとはいえ、親のものを処分するのはつらいです。
「あ~~~っ、ものなんて増やすもんじゃない」
と心の底から思いました。

なのに、家族といったら夫婦と数匹の猫だけ、というこの人たちが
こんなにモダンアートを集めてどうなの?
コレクションは、ふたりと猫たちが暮らすNYの1LDKのアパートに入るサイズの作品に
限定するといったって、5000点までにもふくれあがってしまったら、
どうやって住むの?

現に、このおふたりは猫ですら身体を横にしなければ通れない程の
コレクションの山に埋もれて暮らしているのです――

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が、しかし、
今回本作を上映する気になったのは、このふたりの執念に、
今さらながら“好きこそものの上手なれ”ってことを感じたからであり、
さらに永遠に続くかに感じられたこの夫婦のコンビが、
夫ハーブの死によって終わってしまったからです。

監督は、前作に続き、佐々木芽女(めぐみ)さん。


佐々木芽女(めぐみ)
NY在住。1987年渡米し、1990年初め、単独で東欧に渡り、
ベルリンの壁崩壊後の現地の様子を伝える写真とエッセイを読売アメリカで10週間連載。
92年NHKニューヨーク総局勤務。「おはよう日本」でNY金融情報を伝えるキャスター、「ワールド・ナウ」NY担当レポーター、ニュース・ディレクター等を務め、96年独立。テレビ・ドキュメンタリーの取材・制作に携わる。
2002年映像制作会社を設立し、08年、初監督作品「ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人」を発表。世界で30カ所を超える映画祭に正式招待される。09年6月NYでの封切後、ドキュメンタリー映画としては異例の17週を越えるロングランを記録。日本でも2010年11月自主配給による劇場公開。日本全国では50館以上で公開された。

さあ、いったいどんな映画なのでしょうか。
続きは次回までお待ちくださいませ。乞うご期待でございます。



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ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの
監督・プロデューサー/佐々木芽女
出演
ハーバート&ドロシー・ボーゲル、リチャード・タトル、クリスト、ロバート・バリー、パット・ステア、マーク・コスタビ、チャールズ・クロフ、マーティ・ジョンソン他
3月30日(土)より新宿ピカデリー、東京都写真美術館他、全国順次ロードショー
2013年、アメリカ、87分、英語、提供・配給/株式会社ファイン・ライン・メディア・ジャパン、配給協力/ADEX日本経済広告社、Playtime、http://www.herbanddorothy.com/jp/

by Mtonosama | 2013-03-17 06:00 | 映画 | Comments(4)
ある海辺の詩人
―小さなヴェニスで― -2-

IO SONO LI
SHUN LI AND THE POET

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(C)2011 Jolefilm S.r.l.- Aternam Films S.a.r.l - ARTE France Cinema


キオッジャは小さなヴェニスと呼ばれる美しい漁師町です。
ヴェニスもキオッジャも行ったことがないので、例によってWikipediaのお世話になりますと――

キオッジャ(Chioggia)は人口51,755人のイタリア共和国ヴェネト州ヴェネツィア県のコムーネの一つで、
ヴェネツィアの南 57 km に位置する。5世紀に書かれた古い資料には、街はビザンティン帝国の一属州の一部となったとある。
中世には街は独立コムーネとなり、1110年には司教座となった。
歴史上重要な1ページはキオッジャの戦いと呼ばれるジェノヴァとヴェネツィアとの戦いである。
1379年、街はジェノヴァの手に落ち、1380年にはヴェネツィアが取り戻した。キオッジャは、1797年にナポレオンの手によりヴェネツィア共和国が滅亡させられるまでその一部となった。
続いてカンポ・フォルミオ条約により1798年に街はオーストリアに組み入れられ、1866年にイタリア軍が街を解放しイタリア王国に併合されるまで、オーストリアとフランスが交互に街を支配した。
第二次世界大戦中は連合国の空軍の絨毯爆撃の危険にさらされた。
市民たちの蜂起により、ナチスは降伏。1945年4月27日街は連合軍により解放された。(Wikipediaより)

と古い街なので、中世のままのような家並みが美しいです。
観光客の多いヴェニスとは異なり、素朴な雰囲気に包まれた町であることが映画から伝わってきます。

そんな小さな町の小さなオステリアが舞台。
オステリアって地元の住民が集う居酒屋みたいな店のことだそうです。
よく見るトラットリアというのは前菜からメインコースまで一通り揃っている店なんだとか。
蛇足ですが。

さて、どんなお話でしょうか。


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ストーリー
町の漁師たちが集う店「パラディーゾ」。
そこは常連たちがビリヤードを楽しんだり、本や新聞を読んだり、酒を飲んだり、
思い思いに時を過ごす憩いの場だ。
“詩人”と呼ばれる漁師のペーピ。
漁師を引退し、仕事のない日々に不安を感じるコッぺ。
昔の職業名で呼ばれる“弁護士”。
外では威勢が良いけれど女房には頭が上がらないデヴィスたちが日々集まってくる。

そんな店に遠い中国からシュン・リーがやってきた。
地元で愛されている飲み物を常連に教わりながら作り、
片言のイタリア語でたまったツケを請求するもの静かな女性だ。
ある日の閉店後、偶然二人になったペーピとシュン・リーは故郷や家族のことを話し始める。
彼女の故郷は福州。キオッジャと同じ海辺の町で、父も祖父も漁師だった。
ペーピもずっと昔にユーゴスラヴィアからキオッジャにやってきたことを話す。
異国人同士、親しみを覚える二人。

シュン・リーの故郷には川面に灯明を流し、詩人・屈原を偲ぶ祭がある。
その話を聞いたペーピは潮が満ちて海水に浸った「パラディーゾ」の店内に
小さなロウソクを浮かべて見せた。
「川はすべて海へ降る。吹く風は冷たくとも心を温め小さな花のようにあなたを微笑ます」
“詩人ペーピ”の詩は家族と離れて異国で働くシュン・リーの心を優しくほぐしていく。

しかし、小さな町で二人の交流は噂となり、ペーピはそのことで仲間と喧嘩。
シュン・リーもまた組織から彼との交際を禁じられる。
これ以上ペーピとつきあうなら、中国の息子をイタリアに呼び寄せ一緒に暮らすことは
できなくなると言い渡されてしまったのだ。

ペーピの元を去るシュン・リー。心のよりどころを失くしたペーピ――

時を経て、キオッジャに戻ってきたシュン・リー。店を訪ね、ペーピの姿を求める。
だが、彼の姿はなく、手渡されたのはペーピからの最後の優しい手紙だった……

ドキュメンタリー映画で映画作りを学んだというアンドレア・セグレ監督。
10年以上にわたり移民問題についての調査・研究にとりくんでいる1976年生まれのまだ若い監督です。
移民問題から目を背けているとヨーロッパは存在しえません。
東から南から移民たちはやってきます。
本作に限らず移民を描いたヨーロッパ映画は多いです。
世界のいたるところに進出している中国人。
本作ではシュン・リーの背後の組織が不気味でした。
しかし、本来なら生々しく、きわめて現実的なはずの中国人移民を
ここまで幻想的で美しい作品に仕上げたドキュメンタリー映画監督の手腕に驚きます。

穏やかでいながら、したたか・・・・・(といっては言葉が悪いですね)
芯の強さを持ったシュン・リーにイタリアの漁師たちは一本とられたかな、という感じもしましたが。

老いて故郷を懐かしむペーピの郷愁。パラディーゾに集う男たちの人の良さ。
これって国がどうこうというより、男と女の違いを
キオッジャの運河のにおいを背景に描いた映画なのかもしれません。

ラグーナの海水が埠頭をひたひたと洗うように、心のひだに沁み込んでくる作品でした。





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ある海辺の詩人 ―小さなヴェニスで―
監督・原案・脚本/アンドレア・セグレ、共同脚本/マルコ・ぺッテネロ、アンドレア・セグレ、撮影/ルカ・ビガッツィ
出演
チャオ・タオ/シュン・リー、ラデ・シャルベッジア/ペーピ、マルコ・パオリー二/コッぺ、ロベルト・シトラン/弁護士、ジュゼッペ・バッティストン/デヴィス
3月16日(土)シネスイッチ銀座他全国順次公開
2011年、イタリア、フランス、イタリア語、98分、日本語字幕/岡本太郎、配給・宣伝/アルシネテラン、後援/イタリア大使館、特別協力/イタリア文化会館
http://www.alcine-terran.com/umibenoshijin/

by Mtonosama | 2013-03-14 07:47 | 映画 | Comments(4)
ある海辺の詩人
―小さなヴェニスで― -1-

IO SONO LI
SHUN LI AND THE POET

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(C)2011 Jolefilm S.r.l.- Aternam Films S.a.r.l - ARTE France Cinema

タイトルに魅かれて観ました。
うお座のとのは結構ロマンティストなもので・・・・・

英字タイトルにも興味がわきます。オリジナルタイトルも響きが素敵。
ん?シュン・リー?リー?なんか中国っぽいですね。

そうなんです。中国人女性が主人公の映画です。
映画の冒頭には中国の詩人・屈原が出てきたり、
小さな紅い蓮の花の灯籠を水に浮かべるシーンもあったり
なんとも幻想的で美しく昔の中国という感じです。


屈原
屈原は中国4000年の文学史上、最初に現れた大詩人である。詩経以前の詩は、いずれも無名の庶民によって歌われたものであるのに対し、楚辞に収められた屈原の詩は、一個の天才によって書かれた個人の業績としては始めてのものである。その後中国に現れたすべての詩人たちは、多かれ少なかれ、屈原を自分たちの先駆者とし、模範として仰いできた。
司馬遷が屈原に付与している人物像は、大志ある人間であるにかかわらず、周囲のものの讒言にあい、それがもとで、鬱々とした一生を送らざるを得なかった不遇の人である。離騒や九章の諸編は、そうした屈原の悶々たる心情を歌ったものだ。
http://chinese.hix05.com/Soji/soji001.html

ちまきやドラゴンボートもこの屈原に起源があるとかで、私たちにも縁のある方のようです。

その昔、ゴダールが「中国女」(‘69)という映画を撮りましたが、
あの熱い政治の時代、“毛”イズムや中国にはエキゾチシズムがあったのでしょうね。
時代は移り、中国が経済大国になっても、
欧州の人々は中国あるいは東洋にまだ何か神秘的なイメージを抱いているのかもしれません。

ただ、主人公のシュン・リーの背後に何やらきな臭いような組織がちらほらして――

イタリア人で多くのドキュメンタリー映画を撮ってきたアンドレア・セグレ監督は
中国が漂わせる不気味な影の部分も描いています。
なんていうと犯罪映画みたいですね。

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本作はどちらかといえばラブ・ストーリーに近いかもしれません。
ラグーナ(潟)に浮かぶ美しい港町キオッジャを舞台に
中国から出稼ぎに来たシュン・リーと
旧ユーゴスラヴィアからやってきてこの町に住みついた老漁師ペーピ。
異邦人同士のふたりの間に芽生えた仄かな想い。
いっしょにいて楽しい、ほっとする――
これって恋愛ではないかもしれないけれど、愛ですよね。
言葉少ない中国女性と詩人と呼ばれる老いた漁師が織りなす静かな絵のような情景に
ホッと息をつきたくなります。
キオッジャの酒場「パラディーゾ」。
その名も「天国」という酒場では今日も漁師たちが集まっています。

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シュン・リーはパラディーゾで片言のイタリア語を操りながら
プルーン入りのコーヒーやら極楽コンビなどの不思議な飲み物を
常連客に教えてもらって供している中国人従業員。

演じたのはジャ・ジャンクー(賈樟柯)監督作品にいつも顔を出すチャオ・タオ。
ひとえまぶたの涼しい目をしたいかにも欧米人に好かれそうな物静かな女優さんです。
「長江哀歌」(‘07ジャ・ジャンクー監督)ではヴェネチア国際映画祭グランプリを受賞。
本作でもイタリア・アカデミー賞主演女優賞を受賞した国際女優です。

なぜ中国人の彼女が小さな港町で漁師相手にプルーン入りコーヒーなどを作っているのか。
そんな不思議が気になりだしたら、屈原の詩とアンドレア・セグレ監督の映像の魔術に
つかまってしまったということかもしれませんよ。

さあ、いったいどんなお話なんでしょう。
そして、キオッジャ。それはいったいどんな港町なんでしょう。

続きは次回までお待ちくださいね。



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☆3月11日に更新しました。あの日からまる2年です。亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災地の皆さまに希望が生まれるよう願ってやみません☆

ある海辺の詩人 ―小さなヴェニスで―
監督・原案・脚本/アンドレア・セグレ、共同脚本/マルコ・ぺッテネロ、アンドレア・セグレ、撮影/ルカ・ビガッツィ
出演
チャオ・タオ/シュン・リー、ラデ・シャルベッジア/ペーピ、マルコ・パオリー二/コッぺ、ロベルト・シトラン/弁護士、ジュゼッペ・バッティストン/デヴィス
3月16日(土)シネスイッチ銀座他全国順次公開
2011年、イタリア、フランス、イタリア語、98分、日本語字幕/岡本太郎、配給・宣伝/アルシネテラン、後援/イタリア大使館、特別協力/イタリア文化会館
http://www.alcine-terran.com/umibenoshijin/

by Mtonosama | 2013-03-11 06:08 | 映画 | Comments(4)
魔女と呼ばれた少女 -2-
REBELLE(WAR WITCH)

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(C)2012 Productions KOMONA inc.

戦闘中、精霊を見ることのできる少女は、自身も、自身が所属する軍の兵士も、守ります。
だから、少女は魔女と呼ばれているのですが。

観客もまた不思議な魔術世界に守られながらアフリカの大地を感じることができます。
笑うこともできます。
さあ、コモナのひとり語りが始まりますよ。


ストーリー
コモナ12歳
わたしの村に”グレート・タイガー”が率いる反政府軍がやってきた。
彼らはわたしに銃を与え、両親を殺すことを命じたの。
死の間際までわたしの身を案じて「兵士に逆らうな」と言ってくれる両親に向って
泣きながら引き金をひいたわ。
その後、兵士たちと森の奥にやってきた。厳しい訓練の日々。逆らえば殴られる。
泣くことも許されない。
だけど、お腹がすくと先輩の“マジシャン”が内緒で食べ物を分けてくれた。

戦闘の日が来た。
最前線でドキドキしていると亡霊たちが現れ、「逃げろ!」と合図した。
魔法の樹液を飲んで亡霊の姿が見えるようになったわたしは
敵の居場所を見破ることのできる魔女と呼ばれるようになった――

コモナ13歳
グレート・タイガーの魔女となったわたしは特別な力を持つ銃をもらった。
わたしの仕事は、亡霊が見えたら報告すること、そして、コルタンという黒い石を運ぶこと。
政府軍がコルタンを盗むために襲ってきた。
大勢の亡霊に守られたわたしは無事だったわ。
でも、先輩の”マジシャン”はいずれわたしも殺されると言った。
わたしは一緒に逃げることにしたの。
彼はプロポーズした。わたしは父から聞いた通り「白いオンドリをさがして」と応えた。
それはこの世で一番探すのが難しいものだからよ。

村人たちの協力でわたしたちは色の白い人たちだけが暮らす集落に案内された。
そこでマジシャンは白いオンドリを捕まえ、わたしにプレゼントしてくれたの。
夫婦になったわたしたちは肉屋のおじさんの家に身を寄せた。
おじさんも家族を惨殺された人だった。
皆で食卓を囲み、仕事を手伝い、原っぱで愛し合う。幸せだったわ。

そんな幸せは長くは続かなかった。大勢の追手が”魔女”のわたしを連れ戻しに来たの。
「彼女はおれの妻だ!」と追手の前に立ちはだかるマジシャンを銃殺するように命じられた。
わたしは抵抗した。
だけど、無理やり引き離されたとき、追手は彼の首にナタを振り下ろした――

コモナ14歳
部隊長の夜の相手をさせられ、わたしは子どもを宿した。
両親の亡霊もわたしを苦しめる。
ある夜、わたしは大きなおなかで逃げ出した。
逃げ込んだ病院で大切な銃を奪われそうになり、わたしは暴れたわ。
暴れていたら留置場に入れられてしまったけれど、
親切なおまわりさんが肉屋のおじさんのところに連れていってくれた。
でも、両親の亡霊にうなされておかしくなってしまったわたしは
おじさんたちに迷惑をかけたくなくて家を出たの。

ひとりで子どもを産んだわたしは故郷に向った。両親の亡霊は待っていたわ。
ふたりの骨や服のきれはしを埋葬し、唄を歌ってお弔いした。

子どもの名前はマジシャンにした。彼のような勇敢な男になるように……


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子ども兵士。
実態を知らず、いきなり本作を観たら、かなりショッキングであります。

映画の最初でコモナが両親を銃殺するシーン。
徴兵した子ども兵士が逃げ出すことのないようにこんなむごいことをさせるのだそうです。
帰る場所を奪ってしまうというのです。
簡単に補充がきくからと子ども兵士は捨て兵として最前線に送られたり、麻薬を使って洗脳されたり・・・・・
少女たちはさらに性的暴力も受けています。

が、しかし――
過酷な運命に直面させられながらも、コモナは生き抜いていきます。
彼女のつややかな褐色の肌や健康的な筋肉に、その本来の強さを見ることができます。

なんとも力強いコモナ。生命そのものです。
サンドベージュの大地に流れるアフリカ音楽。
コモナに求婚するため、白いオンドリを求めるマジシャン。
陽気な村人たちが「お前、結婚したいんだな」とマジシャンを冷やかします。
大笑いされて照れ笑いするマジシャン。
楽しいシーンです。
知らなかった世界に魅了されました。

何があっても生き続けなきゃ、とコモナの姿が教えてくれます。
生きることは試練ではありますが、
生きていてこその希望もあり、喜びもあるのですね。
たしかに困難ではありますが。





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魔女と呼ばれた少女
監督・脚本/キム・グエン、撮影/ニコラ・ボルデュク、美術/エマニュエル・フレシェット、衣装/エリック・ポワリエ、製作/ピエール・イヴァン、共同製作/キム・グエン
出演
ラシェル・ムワンザ/コモナ、アラン・バスティアン/反乱軍リーダー、セルジュ・カニング/マジシャン、ラルフ・プロスピエール/肉屋のおじさん、ミジンガ・ムウィンガ/グレート・タイガー、スターレット・マサタ/コモナの母親、アレックス・ヘラボ/コモナの父親、ドール・マラルー/コルタン商人、カリム・バマラキ/バイクの男、セフォラ・フランソワ/肉屋のおばあさん、ジョナサン・コンペ/親切な警官、マリー・ディルー/呪術師、ガウナ・ガウ/アルビノ村の“師匠”、レナーテ・ウェンボ/診療所の看護婦、アレクシ・サブウェ/診療所の男、ニコラ・フランソレ/NGOの男、カザディ・ザディオ/強面の男、ボナヴェントゥーラ・カバンバ、アンジェル・オキト/陽気な農民の妻、アニエス・ムジンガ/トラックの女性、モーゼ・イルンガ/霊柩車の運転手
3月9日(土)シネマート新宿他にて全国順次公開
2012年、カナダ映画、フランス語・リンガラ語、90分、提供・配給/彩プロ、後援/ケベック州政府在日事務所、http://majo.ayapro.ne.jp/

by Mtonosama | 2013-03-08 07:02 | 映画 | Comments(6)
魔女と呼ばれた少女 -1-
REBELLE(WAR WITCH)

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(C)2012 Productions KOMONA inc.

「魔女と呼ばれた少女」は子ども兵士を描いた映画です。

以前、「イノセント・ボイス―12歳の戦場―」(‘04)という中米エルサルバドルの少年兵士
を主人公にした映画を観たことがあります。
その折、その脚本を書いたオスカー・トレスさんにお会いする機会がありました。
まだ30代の明るく陽気な青年。
彼の脚本は、80年代にエルサルバドル政府軍に強制徴兵され、
12歳で従軍させられたという実体験が盛り込まれたものです。
彼の明るさと、内に抱える重さの齟齬に厳粛な気持になった記憶があります。

「魔女と呼ばれた少女」はアフリカ・コンゴ民主共和国を舞台にした映画です。
監督・脚本はキム・グエン。
お話は、コモナという少女が、
12歳で兵士にされ、13歳で恋をし、14歳で赤ちゃんを産み、
新しい生活に向うまでの2年間を独白するという形で進行します。

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このコモナのような子供兵士が世界19ヶ国で25万人以上いるといわれています。
そして、その19ヶ国中の9ヶ国がアフリカ諸国なのだそうです。

本作の舞台となるコンゴ民主共和国はレアメタルはじめ天然資源の豊かな国。
植民地支配を経て、独立した後も、
そうした資源をめぐる権益争いや大国の利害に翻弄され、未だに情勢不安が絶えません。

そんなコンゴの首都キンシャサで2011年6月オールロケを敢行したのがキム・グエン監督。
父はベトナム人、母はカナダ人で、2002年に”Le Marais”でデビューしました。
ベルリン国際映画祭で銀熊賞を獲得し、
本年度アカデミー賞にもノミネートされた本作は彼の4本目の作品となります。

深刻なテーマではありますが、明るさと呪術めいた不思議さも漂う映画です。
そもそも監督が本作を描くきっかけがちょっと変わっていました。
10年前に自らを神の生まれ変わりと称して反政府軍を率いるビルマの双子少年兵を
ニュースで観たというのです。
戦争という血なまぐさい場にありながら、なぜか神話的なその話にひきつけられたのが
本作を誕生させるきっかけでした。

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コンゴの人々の持つ陽気さや優しさ、アフリカの大地に潜む精霊の力を、
外国人が形にするとこうなるよ、ということなのかもしれません。

演技を越えた人々の明るさや優しさは
主役のコモナやマジシャンや子ども兵士たち、
陽気な農民のおじさんやおばさん、警察官、看護婦さんたちといったキャストが皆
オーディションで選ばれた現地の人たちだからかもしれません。

あ、そうそう、オーディションで選ばれたコモナ役のラシェル・ムワンザですが、
彼女はなんとストリートチルドレンでした。
ストリートで発見された彼女、
本作でトライベッカ映画祭やベルリン映画祭で主演女優賞を受賞したのです。
まさにシンデレラです。
現在は監督たちが組んだ養育プログラムのもと、現地の学校で教育を受けています。
人生には何が起こるかわからないということを地で示してくれているようです。
彼女のためにも一日も早くコンゴの政情が安定することを祈ります。

さあ、どんなお話なのでしょうか。続きは次回までお待ちくださいませ。



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魔女と呼ばれた少女
監督・脚本/キム・グエン、撮影/ニコラ・ボルデュク、美術/エマニュエル・フレシェット、衣装/エリック・ポワリエ、製作/ピエール・イヴァン、共同製作/キム・グエン
出演
ラシェル・ムワンザ/コモナ、アラン・バスティアン/反乱軍リーダー、セルジュ・カニング/マジシャン、ラルフ・プロスピエール/肉屋のおじさん、ミジンガ・ムウィンガ/グレート・タイガー、スターレット・マサタ/コモナの母親、アレックス・ヘラボ/コモナの父親、ドール・マラルー/コルタン商人、カリム・バマラキ/バイクの男、セフォラ・フランソワ/肉屋のおばあさん、ジョナサン・コンペ/親切な警官、マリー・ディルー/呪術師、ガウナ・ガウ/アルビノ村の“師匠”、レナーテ・ウェンボ/診療所の看護婦、アレクシ・サブウェ/診療所の男、ニコラ・フランソレ/NGOの男、カザディ・ザディオ/強面の男、ボナヴェントゥーラ・カバンバ、アンジェル・オキト/陽気な農民の妻、アニエス・ムジンガ/トラックの女性、モーゼ・イルンガ/霊柩車の運転手
3月9日(土)シネマート新宿他にて全国順次公開
2012年、カナダ映画、フランス語・リンガラ語、90分、提供・配給/彩プロ、後援/ケベック州政府在日事務所、http://majo.ayapro.ne.jp/

by Mtonosama | 2013-03-05 07:27 | 映画 | Comments(6)
愛、アムール -2-
Amour

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(C)2012 Les Films du Losange - X Filme Creative Pool - Wega Film - France 3 Cinema - Ard Degeto - Bayerisher Rundfunk - Westdeutscher Rundfunk

ジャン=ルイ・トランティニャンとエマニュエル・リヴァ。
往年の名画に主演した名優が
堂々と、老いた姿をそのままスクリーンにさらすこと。
そして、そのことがそのまま映画の中の老夫婦の数十年を想わせること。

それは本作にとって、とても重要な要素です。
名優たちのかつての姿が、老夫婦の若き日々を想起させるような錯覚につながるからです。

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ミヒャエル・ハネケ監督のキャスティングの妙味であります。
2012年カンヌ映画祭で2作品連続のパルム・ドールを獲得したのも納得です。

「ファニーゲーム」(‘97)「ピアニスト」(‘01)と話題作を発表し、
「白いリボン」(‘09)でカンヌ映画祭最高賞を受賞した監督が
今回描いたのはある夫婦の老境とその愛の行く末。
もちろんハネケ監督ですから、翁と媼がめでたしめでたし、という映画ではありません。

あ、あとアレクサンドル・タローが実名で、ピアニスト役で出演し、
劇中音楽を担当しているというのも話題のひとつです。
オーディションで選ばれたんだそうです。

さあ、どんなお話かというと――


ストーリー
ジョルジュとアンヌはパリ中心部にある高級アパルトマンに暮らす音楽家の夫婦。
その夜、ふたりはアンヌの弟子だったアレクサンドルの演奏会へ行き、心満たされる時間を過ごした。

翌朝、いつものように窓辺で朝食をとっているとアンヌに小さな異変が起きる。
突如、動きが止まってしまった彼女。だが、その間のことを全く覚えていない。
それは病による発作だった。手術を受けたが、失敗。
「ニ度と病院には戻りたくない」というアンヌ。
彼女は自宅での生活を再開する。

当初、日々は穏やかに流れていった。
車椅子に頼りながら、誇りを失うことなくこれまでの暮らしを続けるアンヌ。
彼女を支えるジョルジュ。
遠くに暮らす一人娘のエヴァも、アパルトマンの管理人夫妻も、
ふたりの生き方を尊敬し、手を貸してくれる。

しかし、アンヌの病状は確実に悪化の方向に向かっていった。
身体だけではなく、心も――
母の変化に動揺するエヴァ。
ジョルジュは失禁したアンヌにも声を荒げたり、ため息をつくことなく、
穏やかに世話を続ける。
看護士やヘルパーも解雇し、次第に家族からも世間からも孤立していくふたり。

混濁した意識の奥にかつての姿を押し込んでしまったアンヌを優しくみつめながら、
懐かしい日々の想い出を語りかけるジョルジュ。
微笑み返すアンヌ……


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ああ、なんという映画でしょう。
なんという愛の形でしょう。

意識したくない現実を思いっきりつきつけられたような気持です。
ひとくくりに語れない愛、Amour

ジョルジュの幻影の中でピアノに向うアンヌの美しさ。
愛は老若や姿かたちの美醜だけではとらえるものではありません。美しい映像でした。





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☆3月2日に更新しました。ウグイスの初鳴きも聞こえました♪ いつも応援ありがとうございます☆

愛、アムール
監督・脚本/ミヒャエル・ハネケ、撮影/クリウス・コンジ、美術/ジャン=ヴァンサン・ピュゾ、製作/マーガレット・メネゴーズ(パリ)、シュテファン・アルント(ベルリン)、ファイト・ハイデシュカ(ウィーン)、ミヒャエル・カッツ(ウィーン)
出演
ジャン=ルイ・トランティニャン/ジョルジュ、エマニュエル・リヴァ/アンヌ、イザベル・ユベール/エヴァ、アレクサンドル・タロー/アレクサンドル、ウィリアム・シメル/ジョフ、ラモン・アジール/アパルトマン女管理人の夫、リタ・ブランコ/アパルトマン女管理人、キャロル・フランク、ディナラ・ドルカロヴァ/看護士、ローラン・カベルト、ジャン=ミシェル・モンロック/警察官、シュザンヌ・シュミット/女の隣人、ダイアン・ジュイユロ、ヴァリッド・アフキール/救助隊員
3月9日(土)Bunkamuraル・シネマ、銀座テアトル・シネマ、新宿武蔵野館、吉祥寺バウスシアター他全国ロードショー
2012年、フランス・ドイツ・オーストリア、127分、カラー、フランス語
提供/角川書店、ロングライド、カウンターポイント、配給/クラシック+PALETTE、後援/フランス大使館、オーストリア大使館・オーストリア文化フォーラム、協力/ユニフランス・フィルムズ、サウンドトラック/EMIミュージック・ジャパン
http://www.ai-movie.jp/

by Mtonosama | 2013-03-02 06:57 | 映画 | Comments(6)