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殿様の試写室

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オンリー・ラヴァーズ・
レフト・アライブ
 -1-
ONLY LOVERS LEFT ALIVE

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ホラーにもいろいろありますが、
その中でも、吸血鬼はなんとも妖艶かつ高雅な化けものだと思います。
いえいえ、化けものなどというおぞましい言葉は彼らには似合いませぬ。
あえていうなら魔物?
気高くも美しい魔界の住人であります。

夜の世界にしか生きることができず、口にするものは雑りもののない純粋な血液のみ。
なかでもお気に入りは処女の生き血・・・
苦手なものは朝の光、十字架、銀の銃弾、流れる水――あ、そうそうニンニクもありました――
とまぁ、なんともセンシティヴな彼らですが、
これまではなんとか永遠の命を永らえてきました。
しかし、頑ななまでにその生き方を変えない彼らは
この不純な現代を生き抜くことができるのでしょうか。

米インディ映画界の巨匠、ジム・ジャームッシュ。
彼が『リミッツ・オブ・コントロール』(‘09)http://mtonosama.exblog.jp/11767368/
から4年ぶりに世に問うた新作『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』。

これぞ、まさにその繊細さゆえに生存すら危ぶまれている吸血鬼のカップルを
主人公とした作品であります。

謎のミュージシャンとしてカリスマ的な人気を持つアダム。
そして、北アフリカ、モロッコはタンジールに暮らすイヴ。
そう、ふたりは遠距離恋愛なのです。
物語はイヴがアダムの住むデトロイトへ夜間飛行によって会いにくることから始まります。
夜間飛行――
なんとロマンチックな響きではありませんか。
夜にしか生きられない永遠のアウトサイダー・吸血鬼は恋人に会うことすら命がけなのです。

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ジム・ジャームッシュが30年のキャリアを通じ、
描いてきたのは“放浪するアウトサイダー”。

夜の世界に生き、魔界の同族とひそやかにコンタクトをとり、
既に、永遠の闇の中へと去っていった詩人や数学者や作家にオマージュを捧げつつ、
静かに闇の中で生きる吸血鬼たちは
ジャームッシュが愛してやまない存在です。

イヴの住むタンジールはジャームッシュの好きな都市であり、
この異文化空間を背景に撮影したいと願っていたといいます。
一方、アダムが暮らすのはデトロイト。
デトロイトといえば車、そして、モータウンサウンドです。
150歳のとのにとっては懐かしい時代の街。
ところが、本作に登場するデトロイトはモータウンどころかゴーストタウンであります。

かつては華やかで隆盛を誇ったデトロイトが
錆の浮き出た工場やひと気のないビルばかりの荒廃した街に。
まさに現代の吸血鬼が住むには最適の街です。

闇の中の無人のビル街を放浪する美しき吸血鬼たち。
う~、たまらない――
現代のゴシック・ホラー映画です。

幻想的でありながら、その背景は荒廃した自動車産業の遺跡ともいうべきデトロイト、
そして、異郷タンジール。
ジャームッシュ監督ありがとう。
こういう映画を150年待っていました。

さあ、いったいどんなお話でしょう。
っていうか、お話などどうでもいいです。
この映像、この雰囲気をぜったいに劇場で楽しんでいただきたいと思います。

と、ここで終わってしまってどうする。
次回も「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ」は続きます。
ご期待くださいませ。



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☆2013年12月7日に更新しました☆

オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ
監督・脚本/ジム・ジャームッシュ、製作/ジェレミー・トーマス、レインハード・ブルンディヒ、撮影/ヨリック・ルソー、編集/アフォンソ・ゴンサルヴェス、音楽/ジョゼフ・ヴァン・ヴィセム、美術/マルコ・ビットーナ・ロッサー、衣装/ビナ・ダイヘレル
出演
トム・ヒドルストン/アダム、ティルダ・スウィントン/イヴ、ミア・ワシコウスカ/エヴァ、ジョン・ハート/マーロウ
12月20日(金)TOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷、大阪ステーションシネマ他全国ロードショー
2013年、米・英・独、123分、英語、字幕/高内朝子、提供/東宝、ロングライド、配給/ロングライド
http://onlylovers.jp/

by Mtonosama | 2013-12-07 05:35 | 映画 | Comments(4)
少女は自転車にのって -2-
Wadida

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(C)2012, Razor Film Produktion GmbH, High Look Group, Rotana Studios All Rights Reserved.

女性が映画の監督をすることも、女性が映画に出演することも大変な中、
主人公ワジダ、その母親、そして、こわい校長先生を演じた女優さんも皆勇気ある方々です。

映画の中では、男の子が生まれないために、
夫が第二夫人を迎えるというつらい目にあうワジダの母。
伝統的な女性らしさを娘に強いつつも、その未来を大切にしたいと願う女性を演じたリーム・アブドゥラ。
サウジアラビアの古い家柄の家庭に生まれ育った彼女もまた女性を家庭に縛りつける社会で挑戦を続ける
数少ないサウジアラビア女優のリベラル派です。

びっくりすることだらけの本作。
さあ、異文化の国サウジアラビアを訪ねてみましょう。


ストーリー
ワジダはサウジアラビアの首都リヤドに住む10歳の元気な少女。
ある朝、男の子の友達アブドゥラとケンカするが、アブドゥラは「男に勝てるものか!」
と言い捨て、自転車で走り去っていった。
「いつかわたしも自転車を買うんだから」
と心に誓うワジダ――

ワジダが通う学校は女子校で戒律を重んじる校長先生がいつも監視している。
笑い声を立てただけでも「静かに!男性に声を聞かれてしまいますよ」と注意する。
制服の下にはジーンズとスニーカーというワジダはもちろん学校では問題児。

学校からの帰り道、綺麗な自転車がトラックで運ばれているのを目にしたワジダは後を追う。
雑貨店に入荷した自転車をつきとめ、値段を確かめる。800リヤル。
家に帰り、おかあさんに頼むが、聞いてもらえない。
ならば自分で買おうと手作りミサンガを学校でこっそり売ったり、
上級生の密会を橋渡しするアルバイトをしたり。

ところが、その上級生が宗教警察につかまってしまった。
密会の橋渡しをしたワジダも退学になりかかる。
おかあさんが校長に謝罪し、なんとか退学は免れたが、
怒ったおかあさんは「絶対に自転車は買わせない!」と宣言。

その夜、言い争う両親の声が。
父は家を継ぐ男子を得るために第二夫人を迎えようとしているのだ。

ある日、学校でコーラン暗唱コンテストが行われることに。
優勝すると1000リヤルの賞金が出るという。
ワジダはコーランは苦手だったが、自転車のために出場を決めた。

ある夜、父が男たちを招いて宴会。その後片付けをしながら、ワジダは父の家の家系図を眺めた。
そこに書いてあるのは男の名前だけ。
ワジダは自分の名をメモ帳に書き、ヘアピンで家系図にはさみとめるのだった。

コーラン暗唱コンテストの日がやってきた。
順調に勝ち抜いていくワジダだったが、果たして自転車を手に入れることはできるのだろうか……

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監督は
「女性の尊厳を認めない伝統はイスラム教の狭義の解釈とも結びつき、社会に深く根づいています。
それを分解し、再構築するのは難しいですが、戦う価値のある目標です」
と語っています。

女であることがこれほどの不都合と差別をもたらすというのはあまりに理不尽。
ワジダの母親の悲しみと悔しさすらも、
伝統や宗教や習慣として軽くあしらわれていく社会は残酷です。

ワジダの明るさと快活さがサウジの女性たちの明るい未来につながっていくといいなぁ、
と切に願います。





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☆2013年12月4日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

少女は自転車にのって
監督・脚本/ハイファ・アル=マンスール、撮影/ルッツ・ライテマイヤー、編集/アンドレアス・ヴォドラシュケ、美術/トーマス・モルト、製作/ローマン・ポール、ゲアハート・マイクスナー
出演
ワアド・ムハンマド/ワジダ、アブドゥルラフマン・アル=ゴハニ/アブドゥラ、リーム・アブドゥラ/母、スルタン・アル=アッサーフ/父、アフドゥ/ヒッサ校長
12月14日(土)岩波ホール他全国順次ロードショー
2012年、サウジアラビア・ドイツ合作、アラビア語、97分、字幕翻訳/石田泰子、資料監修/辻上奈美江
http://shoujo-jitensha.com/

by Mtonosama | 2013-12-04 06:01 | 映画 | Comments(4)
少女は自転車にのって -1-
Wadida

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(C)2012, Razor Film Produktion GmbH, High Look Group, Rotana Studios All Rights Reserved.

150歳のとのは女に生まれて損したな、と思う世代に属していると思います。
そう思っていました。
でも、「少女は自転車にのって」を観たら、そんなことを思ったらバチが当たると考えが変わりました。

自転車だって小学校の低学年のとき曽祖母から中古のものを買ってもらえたし、
女の子らしい靴をはきなさい、と校長先生に怒られたこともなかったし、
母が女の子を2人しか産まなかったから、
男の子をほしい父が母を捨ててよその女の人と結婚するなんてこともありませんでした。

映画の舞台はサウジアラビアです。
映画が禁じられ、映画館もないこの国で、素晴らしい作品が生まれました。
監督はサウジアラビア初の女性監督となったハイファ・アル=マンスール。
本作「少女は自転車にのって」はそのデビュー作です。

この映画を観て、マララ・ユスフザイさんを思い出しました。
パキスタンで女子教育の必要性を訴え、銃撃された16歳のあの少女です。

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本作の主人公ワジダは10歳。
いろいろ納得のいかない点があるとはいえ、学校には通うことはできます。
マララさんのように勉強熱心というわけではないけれど、
女の子というだけであれもこれも我慢させられます。

例えば、アブドゥラくんと自転車競走がしたいと思っても、
女の子は自転車に乗るものじゃない、と買ってもらうこともできません。
ただ、ワジダは簡単にあきらめる子ではないのですけどね。

でも、サウジアラビアは女性がひとりで外出することや車を運転することを禁じる国。
この国初の女性監督となったハイファ・アル=マンスールさんも表だって撮影することはできず、
撮影車の中に隠れ、無線で指示を出しながら監督しました。
そんな訳ですから、映画に出演する女性を探すのも難しいことでした。
オーディションなんて、もっての他です。頼るのは口コミやツテ。
キャスティングには相当な苦労が伴いました。
そんな中でワジダ役にぴったりの少女をみつけられたのは映画の神様のお蔭だったかもしれませんね。


ハイファ・アル=マンスール監督
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1974年 サウジアラビア生まれ。映画に親しむきっかけは両親が見せてくれたアメリカ、インド、エジプトの沢山の映画ビデオ。その後、1997年にカイロ・アメリカン大学を卒業し、サウジアラビアに帰国。短編映画を製作。2005年には初のドキュメンタリー映画”Woman without shadows”を上映。その時、アメリカ人外交官の夫に出会い、オーストラリアへ。シドニー大学で映画学を学ぶ。ワシントンを経て、現在は2人の子どもとバーレーン在住。本作は彼女の長編デビュー作であり、すべての撮影をサウジアラビア国内で行った初の長編映画である。

監督自身、主人公の少女ワジダに通じるサウジアラビアの希望の星ですね。

女性であるゆえの理不尽な差別を受けながらも
柔軟にしたたかにそれらをはねかえしていく彼女たちの姿で、わたしたちも元気をもらえそう。

さあ、続きは次回で。
乞うご期待でございますよ。



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☆12月1日に更新しました。もう12月ですって!いつも応援ありがとうございます☆

少女は自転車にのって
監督・脚本/ハイファ・アル=マンスール、撮影/ルッツ・ライテマイヤー、編集/アンドレアス・ヴォドラシュケ、美術/トーマス・モルト、製作/ローマン・ポール、ゲアハート・マイクスナー
出演
ワアド・ムハンマド/ワジダ、アブドゥルラフマン・アル=ゴハニ/アブドゥラ、リーム・アブドゥラ/母、スルタン・アル=アッサーフ/父、アフドゥ/ヒッサ校長
12月14日(土)岩波ホール他全国順次ロードショー
2012年、サウジアラビア・ドイツ合作、アラビア語、97分、字幕翻訳/石田泰子、資料監修/辻上奈美江
http://shoujo-jitensha.com/

by Mtonosama | 2013-12-01 07:00 | 映画 | Comments(6)