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殿様の試写室

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ショート・ターム
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SHORT TERM 12

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(C)2013 Short Term Holdings, LLC. All rights reserved.


子どもにとって、親や家庭がどれほど大切なものか。
当たり前過ぎて真剣に考えたこともありませんでした。
それだけ自分は大事にされて育ってきたのかもしれません。ありがたいことです。

だけど、本作を観終わってふっと思いました。
ひとには記憶の奥底にしまいこんでしまった体験や想いがきっとある筈だと。
とのにもそれはある筈だと。

さあ、一体どんなお話なのでしょう。


ストーリー
よく晴れた朝。”ショート・ターム12“のドアの前。
職員のメイソンが新人のネイトに自分とホーム入所者との体験を聞かせていた。ちょっと臭い話だ。
そこへケアマネージャーのグレイスが自転車出勤。
「メイソンの話を真にうけちゃだめよ」と笑いかける。
そんな楽しいひと時もサイレン音と入所者サミーの叫び声によって途切れた。
サミーが脱走を図ったのだ。

グレイスは新人ネイトに「私たちの仕事は親やセラピストになることではなく、
子どもたちが安心できる安全な環境を作り上げること」と話す。
子どもたちがこのホームに暮らせるのは12ヶ月以内と決まっている。
だが、多くの子どもたちは親の事情でそれ以上の滞在になるのが現実だ。

子どもたちとスタッフの間で行われる朝礼でネイトが紹介される。
だが、彼の一言が普段は穏やかなマーカスを怒らせることに。
もうすぐ18歳になる彼はホームを出て社会人の仲間入りをする時期が迫っていた。

朝礼の後、グレイスは上司に呼び出され、ジェイデンという少女が入所することを知らされる。
彼女はあちこちのグループホームを転々としてきたが、どこにもなじめなかった少女だ。

勤務終了後、病院に立ち寄ったグレイスは妊娠を告げられる。だが、グレイスに産むつもりはない。
帰宅するとメイソンがメキシコ料理を作っていた。
そう、同僚の2人は実は恋人で一緒に住んでいるのだ。
だが、グレイスは産婦人科に行ったことも妊娠したことも彼に告げない。

翌朝の朝礼で自己紹介するジェイデン。「ここでの滞在中に友だちを作る気なんてない」。
その後のゲームでも誰とも交わろうとしないジェイデン。

一方マーカスもホームの仲間を殴り倒してしまう。
その前に彼のベッドからマリファナをみつけていたグレイスはいつになく厳しく彼に言い聞かせる。
「もうすぐここを出るあなたがこういうことをしていては自分の首を絞めることになるわ。
私はあなたが刑務所に入るのなんてみたくない」。
実はグレイスの父親も10年前から刑務所にいるのである……

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この映画で描かれたグループホームのティーンエイジャーたちはつらい体験を抱え、
未成年ゆえにここ“ショート・ターム12”で暮らしています。
そんなひとりひとりがとても丁寧に描かれているのは
やはり監督自身の職員として過ごした2年が大きかったのでしょう。

本作に登場する新人ネイトは監督自身をモデルにしています。
映画の中では無神経な言葉を放ち、温和なマーカスを怒らせていますが、
実際の体験でも勤務初日癇癪を起した子どもに椅子を投げつけられました。
最初の頃は、既に不幸な子どもをもっと不幸な目に合わせてはいけない、とビクビクしていたそうです。
ですが、一ヶ月もするとグループホームでの仕事に夢中になっていたとのこと。

子どもたちも、職員たちのキャラクターも、とても説得力があるのは
こんな背景があったからなんですね。

重いテーマだからこそハッピーエンドだったことにホッとします。





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ショートターム
監督・脚本/デスティン・クレットン、撮影/ブレット・ポーラック、編集/ナット・サンダース、美術/レイチェル・マイヤーズ
出演
ブリー・ラーソン/グレイス、ジョン・ギャラガー・Jr/メイソン、ケイトリン・ディーヴァー/ジェイデン、ラミ・マレック/ネイト、キース・スタンフィールド/マーカス
11月15日(土)新宿シネマカリテ、ヒューマントラスト渋谷ほか全国順次ロードショー
2013年、アメリカ、カラー、97分、配給/ピクチャーズ・デプト、http://shortterm12.jp/

by Mtonosama | 2014-10-30 06:58 | 映画 | Comments(6)
ショート・ターム
-1-
SHORT TERM 12

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(C)2013 Short Term Holdings, LLC. All rights reserved.


こういう作品に出会うと心が昂ってしまいます。
まずは、そんな気持を落ちつかせるためにもタイトルの意味からお伝えしますね。

ここでの“ショート・ターム”というのは、
例えば親の虐待やなんらかの家庭問題によって心に傷を持つティーンエイジャーが
身を寄せる短期間のシェルターというべきグループホームのことです。

にっちもさっちもいかなくなった子どもたち。
そして、かれらのケアにあたる職員を描いた映画ですが、
単に世話をする側、される側が展開するヒューマンドラマといった説明では言葉不足です。

こういうグループホーム自体、馴染みの薄いものでありますし、
虐待されたティーンエイジャーの存在に真摯に目を向けたことがあるか、と問われれば
「いいえ」と答えるしかありません。
それなのに、ここまでのめりこめる満足感と感動・・・

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この映画の素晴らしさは、世界中で30もの映画賞を受け、
50の映画賞にノミネートされたこと、
映画情報サイト“ロッテン・トマト”で満足度99%のスコアを記録、
2013年度最高の評価を得ていることでも証明されています。

なんとも感動的なヒューマンドラマであります。

Rotten Tomatoes(ロッテン・トマト)は映画評論家による映画レビューを一か所にまとめたウェブサイト。映画ごとに肯定的なレビューが多いか否定的なレビューが多いかを集計して点数にするほか、
映画に関する情報・報道全般を扱っており、英語圏の映画レビュー集サイトとして最もよく知られたものである。
ロッテン・トマト(腐ったトマト)という名称は、拙い演技に怒った観客が腐ったトマトや野菜類を舞台へ
投げつけるという、映画や小説によくあるクリシェから名付けられた。(Wikipediaより)

ああ、賞の多寡で作品の良さを語るしかないとは――
とのは無力です。

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ここまで感動させてくれた監督そして脚本家は、本作が長編2作目となる新人デスティン・クレットン監督。
実は、本作は、問題を抱えるティーンのためのグループホームで
2年間働いた監督の実体験から生まれたもの。
道理で説得力がある筈です。


デスティン・クレットン監督
1978年ハワイ・マウイ島に生まれる。これまでに”Longbranch:A Suburban Parable”(2002年トライベッカ映画祭でプレミア上映)、”Bartholomew’s Song”(2006年学生アカデミー賞最終候補作)、”Deacon’s Mondays” (2007年学生アカデミー賞最終候補作、アンジェラス映画祭グランプリ、HBOフィルムズ最優秀映画賞)、そして”Short Term 12”という4つの短編映画(監督・脚本)で受賞経験がある。本作『ショート・ターム』は同名の短編映画に基づくもので、長編映画としては2作目。

体験にまさる学習はないということを監督も痛感したであろうし、観客も感じいりました。
さあ一体どんなお話でしょう。
次回まで乞うご期待であります。



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ショートターム
監督・脚本/デスティン・クレットン、撮影/ブレット・ポーラック、編集/ナット・サンダース、美術/レイチェル・マイヤーズ
出演
ブリー・ラーソン/グレイス、ジョン・ギャラガー・Jr/メイソン、ケイトリン・ディーヴァー/ジェイデン、ラミ・マレック/ネイト、キース・スタンフィールド/マーカス
11月15日(土)新宿シネマカリテ、ヒューマントラスト渋谷ほか全国順次ロードショー
2013年、アメリカ、カラー、97分、配給/ピクチャーズ・デプト、http://shortterm12.jp/

by Mtonosama | 2014-10-27 06:24 | 映画 | Comments(6)
三毛猫ひかちゃん -20-

あたしひかちゃん。

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う~ん、またまた下手くそよね。

あたしの家の近所では秋に花火大会をするの。
去年も飼い主は観に行ったわよ。
この家に来たばかりだったあたしは
ドカンドカンという音に怯えながらお留守番していたものよ。

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そうね、こんな頃だったかしら。

去年の花火は「寒い、寒い」と言いながら帰って来た飼い主だったけど
今年はそんなでもなかったみたい。

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でも、もう湯豆腐のシーズンよね。
花火と湯豆腐。
このベスト・マッチング。
皆さんもぜひ試してみて。

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ここんちの湯豆腐はお豆腐と竹輪とあげさんが入っているの。
ホウレンソウも入れるわ。
急に冷え込んだから、湯豆腐食べて温まってね。
また来るわね。

ひかり


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by Mtonosama | 2014-10-24 05:27 | 映画 | Comments(12)
嗤う分身 
-2-

THE DOUBLE

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(C)Channel Four Television Corporation, The British Film Institute, Alcove Double Limited 2013


時代も場所もはっきりわかりません。
カラーなのにモノクロの雰囲気をまとう不思議な空気感。
なんか段ボールで作られた世界って感じでしょうか。
昔観た『メトロポリス』(‘26 フリッツ・ラング監督)のように
スタイリッシュではありますが、でも、どこか昔っぽい感じの光に包まれています。
古いのに新しい、新しいのにレトロっぽい映画です。

気の弱そうな主人公サイモンをジェシー・アイゼンバーグ、
サイモンが心を寄せる女性ハナをミア・ワシコウスカが演じます。

サイズが合わないスーツを着て、いかにも影が薄く、要領も悪いサイモン。
ジェシー・アイゼンバーグが、ちょっとみじめっぽくはありますが、
なんとなくおかしみも感じさせ、良い味を出していました。

旬の女優ミア・ワシコウスカも可愛いんだけど、どことなく不気味な視線で
この人らしい持ち味が際立っていましたよ。良い女優さんですよね。

そして、この映画のもうひとつの不思議ポイント。
それは音楽です。
なんと坂本九の「上を向いて歩こう」、
ジャッキー吉川とブルーコメッツの「ブルー・シャトウ」が流れてきました!
びっくりしちゃいました。
日本映画じゃないのに、映画のレトロ感と音楽のレトロ感が妙にマッチして、不思議。
監督は彼らの出演したエド・サリバン・ショーの再放送を見たことがあって、
それらの曲が監督の印象に残ったんですって。
昭和のヒット曲が、37歳のイギリス人の記憶に焼き付いているなんて、とても奇妙な感じです。


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ストーリー
“大佐”が君臨する不穏な雰囲気に満ちた会社。
そこで働くサイモン・ジェームスは要領の悪い気の小さな男だ。
勤続7年目になろうというのに、あまりに存在感が薄く、守衛に顔も名前も覚えてもらえない。
上司のパワハラ、同僚のいじめ、さらには入院中の母親からも疎まれながらの日々を送っている。
密かに恋するコピー係のハナからも相手にされず、
自室の真向かいにある彼女の部屋を望遠鏡で覗くのが日課だ。

ある夜、覗いた望遠鏡のレンズに映った窓際に立つ一人の男。
男は望遠鏡の中でサイモンに向って手を振り、そのまま静かに窓から身を投げた。
この日を境にサイモンの人生は更にひどい状況に陥っていく。

“そいつ”は突然サイモンの前に姿を現した。
会社期待の新人として入社したジェームス・サイモンだ。
“そいつ”は顔も背もファッションも何から何までサイモンと瓜二つ。
激しく動揺するサイモンだったが、なぜか上司も同僚もこの状況を普通に受け入れている。
ジェームスはその日の内に会社の人気者になり、
サイモンはこれまで以上に影の薄い存在になっていった。

ジェームスは多くの女性をとりこにするが、
サイモンは恋心を寄せながらもまともにハナにアプローチすることもできない。
ジェームスはそのアピール力で上司の信頼を得るが、
サイモンは自己主張もできず、正当な評価も得ることができない。

そして、サイモンは真面目で優しいが、ジェームスはいい加減でずる賢かった。

自信家でカリスマ性も持つジェームスの魅力はハナをもひきこまずにはいなかった。
大好きなハナのために、ジェームスとの仲をとりもつサイモン。
そんな彼の心は不安と悲しみではり裂けそうだ。

調子に乗ったジェームスはサイモンに“替え玉スイッチ”を強要する。
互いの優れた点を活かし、2人が入れ替わることで仕事も恋もうまくこなそうというのだ。
ジェームスの要求は次第にエスカレートし、サイモンは彼の悪巧みにはめられていく……

それってサイモンの存在がジェームスに吸い込まれていくこと?
やっぱりホラーです。
ドストエフスキー先生もあちらの世界で舌を巻いているのではないでしょうか。

分身、ドッペルガイスト。
目新しくはないけれど不朽のテーマであります。
サイモンも、ジェームスも、一人の人間の中の両極端の性格なのでしょうか。
「ドッペルガイストを目にした者は死ぬ」といいますが、
優しいけれども弱い性格は強い性格に圧倒されていってしまうのでしょうか。

あまりに要領も運も悪くて笑っちゃうしかないサイモン。
地下世界のような、あるいは、明けることのない夜のような映像が
ダークな笑いを呑み込んでいきます。

イギリス映画の20%のユーモアと80%の暗さ。面白いです。





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嗤う分身
監督・共同脚本/リチャード・アイオアディ、共同脚本&原案/アヴィ・コリン、原作/フョードル・ドストエフスキー「分身(二重人格)」、製作/ロビン・C・フォックス&アミナ・ダスマル、製作総指揮/マイケル・ケイン、撮影/エリック・アレクサンダー・ウィルソン、美術監督/デヴィッド・クランク、視覚効果/サイモン・ウォーリー
出演ジェシー・アイゼンバーグ/ジェームズ&サイモン(二役)、ミア・ワシコウスカ/ハナ、ウォーレス・ショーン/パパドプロス、ノア・テイラー/ハリス、ヤスミン・ペイジ/メラニー、キャシー・モリアーティ/キキ、ジェームズ・フォックス/大佐
11月8日(土)シネマライズほかにてロードショー
2013年、イギリス、93分、日本語字幕/種市譲二、配給/エスパース・サロウ
http://waraubunshin-espacesarou.com/

by Mtonosama | 2014-10-21 05:57 | 映画 | Comments(6)
嗤う分身
 -1-

THE DOUBLE

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(C)Channel Four Television Corporation, The British Film Institute, Alcove Double Limited 2013

なんと!ドストエフスキーの作品を映画化したイギリス映画であります。
といっても文芸大作というジャンルの作品ではありません。
これまでも『白痴』(‘51 黒澤明監督)、『白夜』(‘57 ルキノ・ビスコンティ監督)、
『罪と罰』(‘83 アキ・カウリスマキ監督)、『悪霊』(‘83 アンジェイ・ワイダ監督)等
多くの巨匠が映画化してきましたが、いずれも大作。
本作『嗤う分身』の原作「分身(二重人格)」はドストエフスキーの初期の作品で、
発表当初はえらく酷評されたものなのだそうです。

とはいえ、一部のファンの間では熱烈な人気があり、
ベルナルド・ベルトリッチ監督(『ラストエンペラー』)も
初のカラー作品『ベルトリッチの分身』として1968年、27歳の時に映画化しています。
それから45年経って英語圏で初めて映画化されたのが本作『嗤う分身』であります。

小心者で神経症気味の主人公が、
容姿は瓜二つなのですが、
性格はまったく正反対の分身に仕事や生活を奪われていく様子を描いた小説。

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話は変わりますが、とのはロシア文学が苦手です。
あの~、名前が難しくてキャラクターを頭の中におさめきれないのです。
そんなわけでフョードル・ドストエフスキー氏ともあまりおつきあいをしたことがございません。
それにかなり深刻で暗いお方というイメージが強うございましょ?

でも、同じように暗くて不運なお方であるカフカ氏は好きなので、
『KAFKA/ 迷宮の悪夢』(‘91 スティーブン・ソダーバーグ監督)を観たことがあります。
あ、あのカフカがこんな感じで映像化されるのか、
カフカって笑ってもよかったんだ、と目から大きなうろこが一枚剥がれ落ちた映画でした。

なんで、こんなことを思い出したかというと、本作『嗤う分身』もそうだったからです。
あ、もちろん大笑いってわけではありませんけどね。

ベルトリッチ監督についで45年ぶりに「分身(二重人格)」を映画化したのは
リチャード・アイオアディ監督というまだお若い方。


リチャード・アイオアディ監督
1977年生まれ。ノルウェー人の母とナイジェリア人の父を持つ37歳。ロンドン出身のコメディアン、俳優、脚本家、映画監督。ケンブリッジ大学で学び、英国コメディ史に欠かせない歴史と伝統のある演劇クラブ「ケンブリッジ・フットライツ」で座長を務め、その後も英国コメディの登竜門をトップで通過するエリートコメディアン。在学中から舞台の脚本も数多く手掛けている。数々のミュージシャンのPV監督をこなし、2008年にはアークティック・モンキーズのアポロシアターでのライブ映画をリリース。長編映画監督デビューは『サブマリン』(‘10)。本作は監督第2作目である。

コメディアンといってもただのお笑いとは違うみたいですね。
でも、ダークとはいえ笑えるドストエフスキー作品というのは
エリートコメディアンであり、本作では脚本も担当したアイオアディ監督の力、大であります。

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分身ものとしては、最近当試写室でも上映した『複製された男』があります。http://mtonosama.exblog.jp/22526398/ http://mtonosama.exblog.jp/22547701/
これはなんとなく薄気味悪さが漂う映画でしたが、「ジキル博士とハイド氏」といい
分身ものはやはりホラーとまではいかなくても、すこしばかりダークな感じがつきまといます。
だって、自分と同じ顔をして同じ声で話す人間が目の前にいたら、やっぱり気持悪いです。
自分のことは自分が一番よく知っているのに、そいつが自分の前に「あたしゃ、あんたよ」
と他人のような顔で現れたら困っちゃいます。

さあ、本作にはどんな分身が登場するのでしょう。
続きは次回までお待ちくださいませ。



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嗤う分身
監督・共同脚本/リチャード・アイオアディ、共同脚本&原案/アヴィ・コリン、原作/フョードル・ドストエフスキー「分身(二重人格)」、製作/ロビン・C・フォックス&アミナ・ダスマル、製作総指揮/マイケル・ケイン、撮影/エリック・アレクサンダー・ウィルソン、美術監督/デヴィッド・クランク、視覚効果/サイモン・ウォーリー
出演
ジェシー・アイゼンバーグ/ジェームズ&サイモン(二役)、ミア・ワシコウスカ/ハナ、ウォーレス・ショーン/パパドプロス、ノア・テイラー/ハリス、ヤスミン・ペイジ/メラニー、キャシー・モリアーティ/キキ、ジェームズ・フォックス/大佐
11月8日(土)シネマライズほかにてロードショー
2013年、イギリス、93分、日本語字幕/種市譲二、配給/エスパース・サロウ、http://waraubunshin-espacesarou.com/

by Mtonosama | 2014-10-18 06:36 | 映画 | Comments(8)
100歳の華麗なる冒険
 -2-
THE 100 YEAR OLD MAN

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(C)NICE FLX PICTURES 2013. All Rights Reserved


150歳のとのには92歳のボーイフレンドがいました。
残念ながら6年前に亡くなってしまいましたが――
歳も近いので、いろいろ悩みごとを相談したりもしました。
ところが、この方、何を話しても笑い飛ばしておしまいになるのです。
最初は「なにさ」と思ったりもしましたが、
「ふんふん、これが歳をとるということか。なんでも達観できるようになるのだなぁ」
と感心したものであります。

本作でも達観したマイペースのおじいさんの活躍に
ハラハラさせられつつもお楽しみいただけると思いますよ。

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ストーリー
スウェーデンの田舎町の老人ホームからひとりのおじいさんが姿を消した。
彼の名はアラン・カールソン。
まさにその日が100歳の誕生日。
職員総出でパーティの準備をしている真っ最中に、窓から抜け出したのだ。

駅までやってきたアランはポケットの有り金をはたいて
一番早く出発するバスの切符を購入。
そして、駅のトイレで偶然出会った若造のギャングに持たされた大きなスーツケースを返さないまま、
来合わせたバスに乗り込んだ。

ロシア革命からスペイン内戦(1917~1939)
1900年代生まれのアランの人生は幼い頃から波乱万丈。
共産主義者の父親はロシア革命に憧れてモスクワに行き、ひと騒動起こして処刑され、母も病死。
母の最期の言葉は「考えても無駄。人生はなるようにしかならないからね」。
これが今後のアランの人生を決定づける人生訓になった。
天涯孤独のアランは独学で爆薬の研究に没頭。
ある日、通りすがりの男性を爆死させてしまう。
そのまま精神病院に送られ、病院で成長したアランは工場に就職。
そこで知り合った反ファシズムに燃える男に誘われるまま、
スペイン内戦に義勇兵として参加、スペイン各地を転戦しながらいくつもの橋を爆破した。
大好きな爆薬三昧の日々だったが、突然、戦争に嫌気がさし、出国を決意。
そこへ通りかかったフランコ総統を爆弾から偶然救うことになる。
アラン、彼が何者なのかさえ知らなかったのだが・・・

現在
とあるバス停に降りたアラン。そこで彼はユーリウスという70歳の男性と意気投合。
アクアビットを飲み交わし、気炎を上げているところへスーツケースを取り戻そうと
いきり立った若造ギャングが追いついた。ユーリウスの首を絞め、危機一髪。
それをアラン、背後からハンマーでブン殴った。
とりあえず冷凍室にギャングを放り込み、問題のスーツケースをこじ開けてみると、
なんと5000万クローナ(約7億5千万円)もの大金が!
哀れ、翌朝、冷凍室のギャングは凍え死んでいた。
ギャングの死体を運び、あてのない旅に出たアランとユーリウス。
死体はアフリカ行き貨物船の積み荷の中に隠し、
ベニーという気の弱いインテリ青年の車をヒッチハイク。
スーツケースを持って3人が行きついたのは緑豊かな小さな村だった。
そこにはソーニャという象と暮らすグニラという女性がいた。

その頃、アラン失踪の通報を受けたア―ロンソン刑事がラジオ出演し、
目撃情報を募ったため、「100歳の老人が行方不明!」のニュースはスウェーデン中に拡がった。
さらに、もうひとつの騒ぎが。
5000万クローナをなんとしても取り戻さなくてはならないギャングが死にもの狂いで
スーツケースを探していた・・・

第二次世界大戦から東西冷戦時代(1939~1989)
アランはスペインからアメリカへ。
世界最大の新型爆弾を造るというマンハッタン計画に興味を持ち、
ロス・アラモス国立研究所に雑用係として就職。
そこで彼が爆発物についてお得意の知識を披露した相手はこともあろうに原爆の最終工程
に頭をひねっていたロバート・オッペンハイマー博士だった。
原爆成功に感謝したトルーマン副大統領から記念のライターを贈られスウェーデンに帰国したアラン。
政府から歓待を受ける。
そこへ接近してきたのがソ連の物理学者ポポフ。
そのまま潜水艦に乗せられ、アランはクレムリンへ。
時はあたかも冷戦時代。
アメリカに対抗するため、核爆弾の製造をもくろむスターリンと対面したアラン。
ところがアランときたらウォッカを呑み過ぎ、失言。
強制収容所送りになってしまった・・・

現在
象のソーニャのいる小さな村で家族のように親しくなったアラン、ユーリウス、ベニー、グニラ。
4人はソーニャも連れて大きなトレーラーで旅立つことに。
激動の20世紀を生き抜いてきたアランは警察やギャングの追跡もおかまいなし。
さあ、4人と1頭は一体どこへ向かうのだろうか……

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いやはや荒唐無稽なお話ではありますが、ゆったりマイペースな老人力に脱力しつつ、
楽しめる映画です。
ま、原爆のくだりには笑えませんが――

スウェーデン映画といえば、思い浮かべるのはイングマール・ベルイマン監督(1918~2007)。
あの痛みすら感じる重厚で深刻な作品を観ていたため、
本作のように脱力系の映画に出会えるとは意外でありました。
さすが、北欧系の底力であります。





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100歳の華麗なる冒険
監督/フェリックス・ハーングレン、脚本/フェリックス・ハーングレン、ハンス・イングマンソン、原作/ヨナス・ヨナソン(「窓から逃げた老人」西村書店刊)、製作/マルテ・フォルセル、フェリックス・・ハーングレン、ヘンリック・ヤンソン=シュヴァイツァー、パトリック・ネボウト、撮影/ゴラン・ハルベルグ
出演
ロバート・グスタフソン/アラン・カールソン、イヴァル・ヴィクランデル/ユーリウス・ヨンソン、ダヴィド・ヴィバーグ/ベニー、ミア・シュリンゲル/グニラ、イエンス・フルテン/イエッダン、アラン・フォード/ピム、ラルフ・カールソン/ア―ロンソン警部主任、ビアンカ・クルセイロ/カラカス、スヴェン・ローン/ヒンケン、グスタフ・デニオフ/リッキー、ヴィクトール・フリーベルグ/警察本部長、ダヴィド・シャックルトン/ヘルベルト・アインシュタイン、コルド・ロサダ/フランコ将軍、アルギラダス・ロムアルドス/ヨシフ・スターリン、ケリー・シェール/ハリー・S・トルーマン、シギタス・ラッキーズ/ミハイル・ゴルバチョフ、キース・チャンター/ロナルド・レーガン、フィリップ・ロッシュ/ロバート・オッペンハイマー
11月8日(土)新宿ピカデリーほか、全国ロードショー
2013年、スウェーデン、115分、カラー、スウェーデン語・英語・露語ほか、後援/スウェーデン大使館、配給/ロングライド
http://www.100sai-movie.jp/

by Mtonosama | 2014-10-15 06:00 | 映画 | Comments(9)
100歳の華麗なる冒険
 -1-

THE 100 YEAR OLD MAN


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(C)NICE FLX PICTURES 2013. All Rights Reserved


150歳のとのよりは年下だけど、
なかなか波乱万丈な人生を送っている100歳のおじいさんのお話です。

ノーベル賞の授与式が行われた国スウェーデンの映画。
あ、赤崎勇先生、中村修二先生、天野浩先生。
ノーベル物理学賞受賞おめでとうございます。
村上春樹氏と憲法9条、残念でした。次回に向けてまた応援します。

そのスウェーデンの大ベストセラー「窓から逃げた100歳老人」を原作とした映画が本作。
なんと人口960万人のスウェーデンで117万部を売りあげたという驚異のベストセラーです。

著者はヨナス・ヨナソン。1961年生まれのメディア会社の元経営者。
それがまあ人生いろいろありまして、
一時は抗うつ剤のお世話になる日々もあったというヨナソン氏。
そんな中で生まれたのが「窓から逃げた100歳老人」でした。
名もない新人作家のデビュー作が、
スウェーデンのみならず全世界で800万部も売れたというのですから、
いやいや人生というのはわかりません。

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広告も出さず、新聞に書評が載ることもなく、
読者間に、そして、世界中に拡がっていったのはそれだけ中身が面白かったからでしょう。

著者のヨナソン氏は
「人はみな多かれ少なかれ地味な生活を送っていて、
心の底ではそこから逃げ出したいと思っているんじゃないかな」
とベストセラーになった理由を推測しています。
ご自身も成功している会社を辞めて、作家になったというのですから、
逃げ出したひとりですよね。

さて、この大ベストセラーを監督するという重責を負ったのはフェリックス・ハーングレン。
1967年生まれの47歳で、25年間にわたって、俳優、コメディアン、脚本家として、
映画界に携わっていた人物。
本作は3作目の長編映画になりますが、実は、自分自身で監督した最初の作品なんだそうですよ。

作家も監督もほぼ新人。
それなのに、スウェーデンでは社会現象ともいえる大ヒットになったというのですから、
ほんとに世の中わからないものです。

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100歳の老人を演ずるのは49歳のロバート・グスタフソン。
25歳の若きアランから100歳になったアランまでなんと75年間を演じました。
撮影中は5時間から7時間半かけてマスクを装着していたんですって。
老け顔マスクとでもいうのでしょうかね。

ところで、老人がなにかをしでかす映画って、なんか痛快。
当試写室でも『人生に乾杯!』(‘07)というハンガリー映画を上映したことがありますが、
http://mtonosama.exblog.jp/11241472/
これは老夫婦が銀行強盗をするお話でした。

ヨーロッパでは、定年退職後は夫婦でのんびり外国旅行でもしながら、
優雅な日々を過ごすのかな、などと思っていました。
もちろん、そういうラッキーで豊かな方々もおいででしょうが、
現実としては歳をとったら老人ホームに入り、そこで大人しく暮らすということに。

皆、自分のそんな将来をうっすらと感じているがゆえに、
100歳のアランが老人ホームの窓から抜け出し、
ガウン姿のまま、足の向くまま歩き始めたことに大喝采を送ったのでしょうね。
その自由さときたら、空間のみならず時間までも飛び越えて
歴史上の有名人と出会うのですから、そりゃもう人気も出るでしょう。

さあ、このおじいさん、いったいどんな大冒険を見せてくれるのでしょう。
続きは次回まで乞うご期待でございます。



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100歳の華麗なる冒険
監督/フェリックス・ハーングレン、脚本/フェリックス・ハーングレン、ハンス・イングマンソン、原作/ヨナス・ヨナソン(「窓から逃げた老人」西村書店刊)、製作/マルテ・フォルセル、フェリックス・・ハーングレン、ヘンリック・ヤンソン=シュヴァイツァー、パトリック・ネボウト、撮影/ゴラン・ハルベルグ
出演
ロバート・グスタフソン/アラン・カールソン、イヴァル・ヴィクランデル/ユーリウス・ヨンソン、ダヴィド・ヴィバーグ/ベニー、ミア・シュリンゲル/グニラ、イエンス・フルテン/イエッダン、アラン・フォード/ピム、ラルフ・カールソン/ア―ロンソン警部主任、ビアンカ・クルセイロ/カラカス、スヴェン・ローン/ヒンケン、グスタフ・デニオフ/リッキー、ヴィクトール・フリーベルグ/警察本部長、ダヴィド・シャックルトン/ヘルベルト・アインシュタイン、コルド・ロサダ/フランコ将軍、アルギラダス・ロムアルドス/ヨシフ・スターリン、ケリー・シェール/ハリー・S・トルーマン、シギタス・ラッキーズ/ミハイル・ゴルバチョフ、キース・チャンター/ロナルド・レーガン、フィリップ・ロッシュ/ロバート・オッペンハイマー
11月8日(土)新宿ピカデリーほか、全国ロードショー
2013年、スウェーデン、115分、カラー、スウェーデン語・英語・露語ほか、後援/スウェーデン大使館、配給/ロングライド
http://www.100sai-movie.jp/

by Mtonosama | 2014-10-12 07:18 | 映画 | Comments(10)
マルタのことづけ -2-
Los insólitos peces gato

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母親の死がテーマときたらこれはもう泣くしかないとお思いでしょうね?

でも、すぐ泣き、すぐ怒るというこらえ性のないとのですら泣きませんでした。
とにかく皆生きているからです。
それも必死に生きているというのではなく、普通に生きているんです。

クラウディア・サント=リュス監督も「この作品はドラマとコメディの中間です」と言っています。
う~ん、コメディとは思わなかったけどなぁ。

チ、チ、との、違うのよ(と、監督はいわなかったけど)。

「コメディというのは登場人物が自分の不幸を笑いのめすことができるから。
ドラマというのは彼らは事態をどうしようもないから。
結局のところ、私たちは人生で一人きり。
でも、同じ感覚を共有する二人の人間が出会うことで人生はもっと楽しいものになるはずです」

なるほど。31歳という若さでなかなか深い人生観をお持ちです。
どんな映画だか楽しみになりませんか?


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ストーリー
メキシコ第2の都市・グアダラハラ。4人の子どもを持つシングルマザーのマルタ。
友人も恋人も家族もいないクラウディアはまったくの偶然から病院で出会った。
2人は同じ病室の隣り合ったベッドに。
虫垂炎を治療し、退院するクラウディアをマルタは自宅での食事に招いてくれたのだ。
戸惑いながらも誘いを受けたクラウディアはマルタの車に乗り込み彼女の自宅へ向かう。
そこにはしっかり者の長女アレハンドラと、フリーターの次女ウェンディ、
思春期真っ盛りの三女マリアナと3人の姉にやられっぱなしの末っ子のアルマンド。

料理中も食事中も彼らのおしゃべりは続く。とにかく賑やかな家族だ。
赤の他人のクラウディアにマリアナとアルマンドの学校の送迎を頼むわ、
マルタの病院の付き添いを頼むわ、
慣れ慣れしく騒々しい家族である。
クラウディアもこの家族にびっくりさせられつつも、
彼らの中にいることに居心地の良さを感じ、家族の一員として時間を過ごすようになる。

マルタは不治の病を患っていた。
間もなく遺していくことになる子どもたちの面倒を見ることと、
自分に残された日々を生きることに全力を注いでいた。
そして、両親を失い、愛を知らずに生きてきたクラウディアに生きることへの
エネルギーを分かち与えていた。

子どもたちもまたお互いに素直になれなかったり、
彼氏とうまくいかなかったり、学校でいじめられていたり、
入退院を繰り返すマルタに心ならずも冷たくしてしまったりと、
近いうちに死んでしまう母親、という喪失感と向き合いながら
学校生活、日常生活を過ごしていた。

そんなマルタや子どもたちにとって
部外者であるクラウディアの存在は潤滑油にもなっていた。

やがて彼らは母との別れを少しづつ受け入れ始め、お互いに結びついていく。
そんなある日のこと、マルタは子どもたちとクラウディアに海へのバカンスを提案。

黄色い小さな車に乗り込み、6人は海へ向う……

おおらかに死ぬことはおおらかに生きることである――
そんな想いを新たにした91分でした。

死をテーマに据えながら、生きるということを積極的に感じさせてくれた映画でした。
砂漠や国境越え以外のメキシコ映画って初めて観たような気がします。
泣かなくてもいい母もの映画です。そして、ひとりの若い女性の再生物語でありました。





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マルタのことづけ
監督・脚本/クラウディア・サント=リュス、プロデューサー/ヘミニアノ・ピネダ、エグゼクティブ・プロデューサー/ルビー・カスティージョ、クリスティアン・クレーゲル、へミニノ・ピネダ、共同プロデューサー/フィリップ・アコカ、アラン・ぺイロラス、撮影/アニエス・ゴダール、オリジナル音楽/マダム・レカミエ
出演
ヒメナ・アヤラ/クラウディア、リサ・オーウェン/マルタ、ソニア・フランコ/アレハンドラ、ウェンディ・ギジェン/ウェンディ、アンドレア・パエサ/マリアナ、アレハンドロ・ラミレス・ムニョス/アルマンド
10月18日(土)シネスイッチ銀座ほかロードショー
メキシコ、2013年、91分、カラー、協力/セルバンテス文化センター東京、配給/ビターズ・エンド、字幕翻訳/林かんな、http://www.bitters.co.jp/kotoduke/

by Mtonosama | 2014-10-09 05:58 | 映画 | Comments(10)
マルタのことづけ -1-
Los insólitos peces gato


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人間150年も生きると、自分はどのように死ぬのかなぁということは常日頃考えます。
痛いのはいやだし、電車に轢かれるのもちょっとなぁ、とか。
家族は泣くのかなぁ、それとも、ああ、せいせいしたっていうのかなぁ。
友人たちはどうだろう、とか。

とはいえ、大病を抱えているわけでもないので、いまひとつ実感はありません。

本作は、4人の子どもを持ち、不治の病を抱えながら、
それでも前向きに今を生きるシングルマザー・マルタと
天涯孤独な若い女性クラウディアとの出会いとその交流を通じて、
生きること、そして、死ぬことを描いたメキシコの映画です。

「だめよ、だめだめ!辛気臭いわ」
え?そんなことはありません。
太陽の国メキシコですからね。死ぬことも生きることの一部です。
て、めちゃくちゃ・・・か?

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本作で監督デビューを果たしたのはクラウディア・サント=リュス。
本作に登場する天涯孤独な女性クラウディアというのが実は彼女のことなのであります。
両親が離婚し、母親との生活に息苦しさを感じ17歳で家を出た監督。
大学を卒業した2005年、本作の主人公であるマルタとその家族に出会いました。
当時、既に病気と闘っていたマルタとその家族と暮らした2年間が
自分をとりまく世界に興味を失っていたクラウディアを大きく変えることになりました。
そう、これは実話なんですね。

家族を支えて働くしっかりものの長女アレハンドラ、
フリーターの二女ウェンディ(ちなみに彼女、マルタの本物の二女です)、
思春期まっただなかでオシャレと男の子のことしか頭にない三女のマリアナ。
末っ子は唯一の男の子アルマンド。おねえさんたちにいじられながら洗濯係をこなしています。
にぎやかな家族を見ていると死期の迫った母親がいるとは思えません。
明るく楽しく、そして、力一杯に生きる家族たち。

母・マルタもこれまた体調の悪い時にもひたすら我慢して
子どもたちのために尽くすというタイプではなく、
ありのままに生きています。
病院に出たり入ったりの生活。それは彼女や家族たちにとって生活の一部なんです。
それは家族だからこそできる生活なのでしょう。

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しかし、赤の他人である監督がマルタに家族のように迎えられ、共に暮らした、
という事実はまさに映画よりも小説よりも奇なり、であります。

監督がマルタに出会ったのは彼女が亡くなる2年前のこと。
この時、もう既に彼女は8年の闘病生活を送っていました。
マルタに出会った時、監督は22歳。自分が属する場所も、抱きしめてくれる人もなく、
不安で辛い時期でした。
そんな彼女をマルタは養女のように自分の家に迎え入れてくれました。
監督は、マルタが病と共存し、生きていく姿を間近に目にすることによって、
自分の悩みがいかに小さなものかを知ったといいます。


クラウディア・サント=リュス監督
1982年メキシコ・ベラクルス生まれ。2004年にグアダラハラ大学視覚芸術科卒業。
その後、女優兼監督として活動開始。2005年グアナファト国際映画祭で24時間以内に
ショートフィルムを制作するという課題に取り組み、最優秀賞主演俳優賞および特別賞と監督賞を受賞。2010年、メキシコ映画協会主催のコンペティションを本作の企画で勝ち取った。ベンタナ・スール映画祭では将来性のある才能を見出すことを目的に行われているポストプロダクション作品部門を本作で受賞。

彼女が映画を学んでいたこと、そして、マルタと出会ったこと。
神様や仏様はなんと粋なはからいをしてくださることでしょう。
そんな映画を日本の私たちが楽しめるとは!
映画の神様、ほんとにありがとうございます。

さあ、いったいどんなお話なのでしょうか。
続きは次回までお待ちくださいね。



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マルタのことづけ
監督・脚本/クラウディア・サント=リュス、プロデューサー/ヘミニアノ・ピネダ、エグゼクティブ・プロデューサー/ルビー・カスティージョ、クリスティアン・クレーゲル、へミニノ・ピネダ、共同プロデューサー/フィリップ・アコカ、アラン・ぺイロラス、撮影/アニエス・ゴダール、オリジナル音楽/マダム・レカミエ
出演
ヒメナ・アヤラ/クラウディア、リサ・オーウェン/マルタ、ソニア・フランコ/アレハンドラ、ウェンディ・ギジェン/ウェンディ、アンドレア・パエサ/マリアナ、アレハンドロ・ラミレス・ムニョス/アルマンド
10月18日(土)シネスイッチ銀座ほかロードショー
メキシコ、2013年、91分、カラー、協力/セルバンテス文化センター東京、配給/ビターズ・エンド、字幕翻訳/林かんな
http://www.bitters.co.jp/kotoduke/

by Mtonosama | 2014-10-06 05:45 | 映画 | Comments(7)
まほろ駅前狂想曲 -2-

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(C)2014「まほろ駅前狂騒曲」製作委員会


三浦しおんが生み出した便利屋小説。
いや、そんなジャンルはないか。
当代きってのいい男、瑛太&龍平が演じているのに、このだるさ、この冴えなさ。
なんかいいんですよね。
前作『まほろ駅前多田便利軒』より少しばかりハデなしつらえをこらしての本作。
相変わらずだるいけど面白かったです。

三浦しおんといえば『舟を編む』(‘13)が日本アカデミー賞で6冠を勝ち取るなど、
今年は原作本の当たり年。
原作もおもしろいけど、瑛太&龍平演ずるコンビもまさにはまり役です。
でも、とのは原作で感じる行天の調子の良さより松田龍平演ずる冴えない行天の方が好きかも。

この二人のコンビも良いけれど、
『まほろ駅前多田便利軒』にも登場した弁当屋主人・山田を演じた大森南朋、
同じく前作で横中バスの間引き運転を便利屋に調べさせる岡老人を演じる麿赤児、
そして、大森立嗣監督。
この3人は家族なんだそうです。大森南朋は監督の弟で、麿赤児は二人の父親ですって。

前作同様、なじみの役者さんたちが登場し、良い味を出してますよ。
さあ、どんなお話なんでしょう。


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ストーリー
2013年の大みそか。
まほろ駅前で便利屋を営む多田啓介の元に転がり込んだ行天春彦が住みついて早や3年。
除夜の鐘が響く中、多田は電話を受ける。仕事の依頼である。
それもかなり厄介な相談だった。
電話は、行天の元妻・三峯凪子。依頼は、仕事で海外に行っている間、
行天との間に生まれた娘・はるを預かってほしいというもの。
娘といってもレスビアンである凪子に精子を提供しただけであり、会ったこともない娘。
だいたい行天は大の子ども嫌いなのだ。頭を抱える多田。そんな多田を不審に思う行天。

年が明けた。凪子に会って事情を聞いた多田ははるを預かることを決めてしまった。
行天には何度も打ち明けようとはしたものの切りだせないまま、
はるが来る日は近づいてくる。意を決して、行天を喫茶店に呼び出し事情を説明。
ただし、預かる子どもがはるであることは伏せたままだ。
一難去ったと胸をなでおろす間もなく、まほろのインテリやくざ星からまたまた厄介な依頼。
最近まほろの町で幅をきかせている健康食品の団体を調べろというのだ。

ついに便利軒事務所にはるがやってきた。この日まで事情を言えずにいた多田。
初めて娘と顔を合わせた行天にはるの正体を隠そうとするが、ばれてしまった。
声を荒げ、出ていこうとする行天だったが……

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インテリやくざ・星↑、前回では小学生を使ったやばい薬の受け渡しで多田にギャフンといわされながら、
今回も健康食品団体をよそおった宗教団体を調査させたり、
横中バスの間引き運転を疑い続ける岡老人がバスジャックをひきおこしたり、
話題満載の本作。

今回は便利屋の範疇を越えたハデな事件に巻き込まれながら、なじみの役者さんたちが
相変わらず脱力感たっぷりの演技を見せてくれます。

なんかホッとしてしまいました。
シリーズ化されるといいな。三浦しおんさん、頑張って続編を書いてくださいね。



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まほろ駅前狂想曲
監督/大森立嗣、脚本/大森立嗣、黒住光、原作/三浦しおん「まほろ駅前狂想曲」(文藝春秋刊)、撮影/大塚亮、音楽/岸田繁(くるり)、配給/東京テアトル/リトルモア
出演
瑛太/多田啓介、松田龍平/行天春彦、高良健吾/星良一、真木よう子/柏木亜沙子、永瀬正敏/小林、本上まなみ/三峯凪子、奈良岡朋子/曽根田菊子、荒井浩文/飯島幸三、三浦雅己/吉村刑事、古川雄輝/澤田刑事、横山幸汰/田村由良、岩崎未来/三峯はる、市川実和子/西島さき
10月18日(土)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
2014年、日本、カラー、124分
http://www.mahoro-movie.jp/

by Mtonosama | 2014-10-03 05:49 | 映画 | Comments(9)