ブログトップ | ログイン

殿様の試写室

mtonosama.exblog.jp

殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

<   2015年 06月 ( 10 )   > この月の画像一覧


サイの季節
-2-
Rhino Season
Fasle kargadan

f0165567_5454774.jpg


『サイの季節』。
どういう意味があるのでしょう。
なにかの寓意でしょうか。
わかりません。

『亀も空を飛ぶ』の時はタイトルからガメラを連想してしまいました。
ガメラ。150歳のとのにも同年輩の方々にもとても懐かしい怪獣です(よね)。
1965年に大映が公開した特撮映画『大怪獣ガメラ』に出てきました。

話がそれました。
しかし、いまだになぜ『亀も空を飛ぶ』なのかはよくわかりません。
ただ衝撃的なラストシーンから、
本来地を這う存在である亀が空を飛ぶことへの恐怖や、
やがて落ちていく悲しさをあらわしているのだろうか、と感じました。
あ、そういえば本作でも亀が空から落ちてきた!

ゴバディ監督の作品の底には戦争や理不尽な国家への強い怒りが流れています。
いえ、こんなありふれた表現では片づけられない
深くて根源的な絶望に似た存在が息づいているような気がします。

そういう作品ですから、ストーリーはあってないようなもの。
ゴバディ監督の胸に渦巻く絶望感のイメージを
その映像から感じとる作品なのだろう、
と思います。
でも、ストーリーは当試写室のお約束ですから、いきます。

f0165567_553477.jpg


ストーリー
1977年、革命前王政下イランの首都・テヘラン
詩集「サイの最後の詩」を出版したクルド系イラン人の詩人サヘル・ファルザンは
美しい妻ミナ・ダラクシャニと幸せな日々を過ごしていた。

ミナの家に運転手として雇われていたアクバルはミナに想いを寄せている。
ある日、彼はその想いをとうとう告白。
その結果、職を解かれることに。

1979年、イラン・イスラム革命
政治体制が一変。
サヘルは「反体制的な詩を書いた」としてミナと共に逮捕される。
裁判の結果、サヘルは国家転覆罪として禁固30年が言い渡された。
ミナにも夫との共謀罪として禁固10年の刑が。
別々の刑務所に収監された夫婦。
2人を密告し、事実無根の罪で陥れた人物こそ誰あろう
今や新政府の指導者的存在となった運転手のアクバルだった。
アクバルは自分の権力を利用し、ミナの早期釈放を持ちかけるが、
彼女はきっぱりと拒絶、刑務所に留まることを決意。
逆上したアクバルは卑劣な行動に出る。

10年後
ミナは刑期を終え、獄中で産んだ双子と共に出所した。
夫サヘルの釈放を待ちわびるミナだったが、政府から夫の死を告げられる。
彼が埋葬されたという荒涼とした墓地で慟哭するミナ。

2009年イラン
30年経ってサヘルも出所。サヘルは生きていた。
30年間、拷問に耐え、生き延びてきた。
だが、政府による嘘と偽の墓によって、生きながらの死者であった。
そんなサヘルを生かし続けたのは再愛の妻ミナに会うという強い想い。
やがて彼女の居場所を知る。彼女は双子と共にトルコで暮らしているという。
サヘルはイスタンブールへ旅立つ。

2010年イスタンブール
ミナは彫師として、夫サヘルの詩をタトゥとして彫り込むことをなりわいとしていた。
だが、未だ彼の死を悼み続ける彼女の近くには
彼らの仲を引き裂いたアクバルの影がつきまとっている。
一方、サヘルは港町でミナを発見するが、近づくことはできない。
なぜなら、サヘルは死んだ人間だからだ。
サヘルは亡霊のように漂うばかりだった……

f0165567_5555384.jpg

せっかちなとのは「早くミナに声をかければいいのに」とイライラしながら観ていました。
そうはいかないんですねぇ。
うーん、なんと深い絶望なのでしょう。
『ペルシャ猫を誰も知らない』を観た後は
もう少し監督の映画制作環境は好転するかと思っていましたが――

監督が抱える国家への怒りと悲しみと絶望。
それはストーリーの合間に挿入される、どこまでも続く茫漠とした大地を歩み去る男の姿に
仮託して描かれているかのようです。

そこにはサイが横たわっていました。



今日もポチッとしていただければうれしゅうございます♪
↓↓↓↓↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆6月30日に更新しました。いつも応援してくださり、本当にありがとうございます☆

サイの季節
監督・脚本・製作/バフマン・ゴバディ、撮影/トゥラジ・アスラニ、編集/ヴァレリー・ロワズルー、音楽/カイハン・カルホル、視覚効果/ファルボッド・ホシティナット
出演
べヘルーズ・ボスキー/現在のサヘル、モニカ・ベルッチ/ミナ、ユルマズ・エルドガン/アクバル、カネル・シンドルク/若い頃のサヘル、べレン・サート/ミナの双子の娘、アーラシュ・ラバフ/ミナの双子の息子
7月11日(土)シネマート新宿ほか全国順次公開
2012年、イラク・トルコ、93分、カラー、ペルシャ語・トルコ語・英語、日本語字幕/大西公子、配給/エスパース・サロウ
http://rhinoseason-espacesarou.com/

by Mtonosama | 2015-06-30 06:05 | 映画 | Comments(12)

サイの季節
-1-
Rhino Season
Fasle kargadan

f0165567_7211279.jpg


『サイの季節』。不思議なタイトルです。
イラン出身のクルド人、バフマン・ゴバディ監督の作品であります。
『亀も空を飛ぶ』(‘04)などというタイトルもありました。
『ペルシャ猫を誰も知らない』(‘09)も。
http://mtonosama.exblog.jp/14136801/ http://mtonosama.exblog.jp/14157603/
動物タイトルシリーズです。
そうそう、ゴバディ監督のデビュー作は『酔っ払った馬の時間』(’00)でした。

バフマン・ゴバディ監督
1969年、イランのコルデスターン州バーネに生まれる。
2000年にイラン史上初のクルド長編映画『酔っ払った馬の時間』でデビュー。
いくつかの国際的な賞を受賞したことで
クルド映画の先駆者として世界的な注目を集め、その地位を確立。
彼が制作した全作品は世界中の映画祭で評価され、幾多の賞を受賞したが、
母国イランではほとんど上映されることはなかった。
2009年にテヘランのアンダーグラウンド・インディミュージックシーンについての
セミドキュメンタリー映画『ペルシャ猫を誰も知らない』を完成させた。
この作品は当局の許可を得ず、ゲリラ撮影。
非常に制限された条件下、わずか17日間で撮影された。
その結果、イランを去らなければならないことになり、現在もなお国外亡命を続けている。

f0165567_7303429.jpg


ゴバディ監督は10年前『亀も空を飛ぶ』のプロモーションで来日したことがあります。
その折、岩波ホールの会議室で行われた会見に出席することができました。
当時、監督は36歳。中東の方はお顔が濃くて、実年齢より老けて見えます。
ゴバディ監督も例にもれず、随分老成しておられました。
大変な苦労をして生きてこられたのだろうなぁ、と思ったものです。

結局、監督はイランを出なければ映画を撮ることができなくなり、故郷を後にしました。
今はイスタンブールに住み、本作も同地で撮影されました。

この物語は実在するクルド系イラン人の詩人サデッグ・キャマンガールの体験談に
基づいてバフマン・ゴバディ監督自身が脚本を書いたものです。

f0165567_732641.jpg

イスラム革命時、ある男の企みによって不当に逮捕された詩人・サヘルが30年の拘置の末、
釈放され、生き別れとなった再愛の妻ミナの行方を捜し始めます。
しかし、政府は彼を「死んだ」ものとしていました。

隠し撮りで撮影した『ペルシャ猫を誰も知らない』とは違い、
本作は詩情あふれる美しい映像でした。
スティール写真にして額装したいほどの完成された画像です。

悲しみを、不条理を、
観客の頭脳にではなく心にぶつけてくるバフマン・ゴバディ監督。

今回はイタリアの名花モニカ・ベルッチを迎え、
異郷からイランに向けて思いの丈をぶつけます。

f0165567_733037.jpg

ここで、少し横道に逸れますが、モニカ・ベルッチといえば『マレーナ』(‘00)。
海辺の道を歩くあのロングショットをご記憶でしょうか。
久々に見る本物の女って感じでした。
豊満さがそのまま憂いとなって歩いているような印象深いシーンでありました。

弁護士を目指してペルージャ大学に在学していたモニカ・ベルッチ。
学費を稼ぐためにモデルを始め、パリやNYで活躍していましたが、その後女優に転身。
92年コッポラ監督の『ドラキュラ』でハリウッドデビュー。
イタリアで最も世界的な成功を収めた女優です。
そうそう、先ごろ最年長のボンドガールに選ばれたことで話題になりました。
イタリア語、フランス語、英語、ペルシャ語を話し、
本作でもペルシャ語を披露していますよ。

さあ、いったいどんなお話でしょうか。
続きは次回までしばしお待ちくださいませ。



今日もポチッとしていただければうれしゅうございます♪
↓↓↓↓↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆6月27日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

サイの季節
監督・脚本・製作/バフマン・ゴバディ、撮影/トゥラジ・アスラニ、編集/ヴァレリー・ロワズルー、音楽/カイハン・カルホル、視覚効果/ファルボッド・ホシティナット
出演
べヘルーズ・ボスキー/現在のサヘル、モニカ・ベルッチ/ミナ、ユルマズ・エルドガン/アクバル、カネル・シンドルク/若い頃のサヘル、べレン・サート/ミナの双子の娘、アーラシュ・ラバフ/ミナの双子の息子
7月11日(土)シネマート新宿ほか全国順次公開
2012年、イラク・トルコ、93分、カラー、ペルシャ語・トルコ語・英語、日本語字幕/大西公子、配給/エスパース・サロウ
http://rhinoseason-espacesarou.com/

by Mtonosama | 2015-06-27 07:37 | 映画 | Comments(2)

三毛猫ひかちゃん
-30-



f0165567_5594328.jpg

あたし、ひかちゃん。



f0165567_621361.jpg

ああ、まったり。
(写真はピンボケ)



f0165567_64686.jpg

薔薇も咲いた。



f0165567_661946.jpg

えーっと、あたしが最近お気に入りの場所。
枯れ葉がうっとおしいわね。
でも、こういうところがいいのよ。



f0165567_665267.jpg

あたしのおうち。

な~んて、うっそ。
音羽にある鳩山御殿よ。



f0165567_673743.jpg

世の中にはお金持っている人っているものね。



f0165567_6123855.jpg

ふ、お金なんてなくたってどうにでもなるのに。

ひかり


今日もポチッとしてくださったらうれしいわ。ひかり♪
↓↓↓↓↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆6月24日に更新しました。いつも応援して下さってありがとうございます。飼い主☆
by Mtonosama | 2015-06-24 06:17 | 映画 | Comments(11)

ターナー、光に愛を求めて
-2-
Mr.Turner

f0165567_6162133.jpg

(C)Thin Man Films


海に向ってきり立つ白亜の断崖。
夕日に彩られた柔らかな山の稜線。
穏やかな海、荒れた海。

本作では旅する画家、ターナーの歩いた風景を追体験できるのであります。
まさに眼福ここに極まれりです。

72歳のマイク・リー監督が今回初めて使ったデジタルカメラ。
映像もまたターナーの作品同様、光に溢れ、
これは映画か絵画かと思わずため息がもれます。

しかし、その美しさを浮ついたものにせず、地についた映像として見せるのは
ティモシー・スポールが演じるターナー画伯の現実感溢れる短い足とこもったような発声。

ターナーの醜さ(敢えて言ってしまいましょう)と美しい自然がこうまで溶け合うとは!
これを神秘といわずしてなんといいましょう。

さあ、ターナー画伯の人生を覗いてみましょう。

f0165567_6211730.jpg

ストーリー
19世紀、ビクトリア時代の英国。
オランダスケッチ旅行から帰ってきたターナーは優しく父に迎え入れられる。
父は息子に代わって絵具やキャンバスを調達し、
アトリエも兼ねる住居に設けたギャラリーで息子の絵を買いに来た客をもてなす。
秘書として、助手として、ターナーを支えていた。

最愛の父と家政婦のハンナと暮らすターナーだったが、
実は公にしていない娘が二人いた。未亡人のダンビー夫人との間にできた娘だ。
だが、彼女との関係が終わってからは金銭的な援助もせず、会いにいくこともなかった。

ある日パトロンである大貴族エグルモント卿の屋敷で贅沢な時間と空間を楽しんだ後、
ターナーは旅に出る。船に乗って辿りついたのは港町マーゲイト。
ふらりと立ち寄った宿の窓から拡がる光溢れる海に創作意欲をかきたてられる。
宿の主人ブース夫妻は親切な人々だったが、
ターナーは旅先では偽名を用いるという習慣をここでも押し通した。

旅から戻ったターナーの許に自然科学者サマヴィル夫人が訪ねてくる。
ターナーの父は理髪師だったが、知識人であるサマヴィル夫人とも互角の会話を楽しむ教養人。
学校教育を受けていないターナーに読み書きを教えたのも父だった。
父同様50代になっても知識欲と好奇心の旺盛なターナーは
夫人が見せてくれたプリズムの実験に夢中になる。
ロイヤル・アカデミーの講義でも夫人の事件に触発され、
色彩と光についても持論を展開するのだった。
だが、科学と美術を結びつけることなど及びもつかない芸術家たちは呆然とするばかり。

その頃、ターナーには大きな心配事があった。
父の持病の気管支炎がひどくなっていたのだ。
父はいまわの際にターナーの母親を精神病院で死なせたことを
悔いていると告げ、息をひきとる。
優しい父の死を受け入れ難く、娼館で娼婦をスケッチしながら慟哭するターナー。
傷心の彼は再び港町マーゲイトを訪れ、
やはり夫を亡くしたブース夫人をいたわることで自らも慰められるのだった。

年に一度のロイヤル・アカデミーの展覧会が近づいていた。
壁一面に作品が展示された会場。
最後の仕上げをする画家たちにアドバイスするターナーだったが、
自分の作品の隣に並ぶ最大のライバル・コンスタブルの絵を見て思わぬ行動に出る。
なんとすっかり完成した自作に真っ赤な絵具をたっぷり含んだ筆を押しつけたのだ。
「せっかくの傑作が台無しだ!」会場は騒然となる……

ライバル・コンスタブルとの一件をはじめ、
「吹雪 沖合の蒸気船」で荒れ狂う嵐の海を体験するために
船のマストに体を縛りつけたというエピソードも描かれ、
絵画ファンにも見応えのある作品であります。

しかし、なんといっても見どころはターナーの奇妙な人となりとその人生でありましょう。
謎が多いといわれるターナーのその謎の部分を見事に演じ切った
ティモシー・スポールに脱帽であります。

身勝手で、不器用で、愛を知らないターナー。
その作品がビクトリア英国画壇に認められたがために
ロイヤル・アカデミーでも重鎮として位置していましたが、
晩年には印象派の萌芽ともいえる独自の画風のため、画壇での評価も様々だったターナー。
本当のところは描くことが好きで好きで仕方がない変人だったのでしょう。

それもこれも鬼才ティモシー・スポールの名演のもたらすところ。
今後ターナーの作品を観る機会があるとしたら
ティモシーの姿が浮かび上がってくるに違いありません。






今日もポチッとお願いできますればうれしゅうございます♪
↓↓↓↓↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆6月21日に更新しました。いつも応援していただき、ありがとうございます☆

ターナー、光に愛を求めて
監督・脚本/マイク・リー、撮影/ディック・ポープ、美術/スージー・デイヴィス、音楽/ゲーリー・ヤーション、製作総指揮/マイケル・セイント・ジーン、マルタ・グルナート
出演
ティモシー・スポール/ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー、ポール・ジェッソン/ウィリアム・ターナー・シニア、ドロシー・アトキンソン/ハンナ・ダンビー、マリオン・ベイリー/ソフィア・ブース、レスリー・マンヴィル/メアリー・サマヴィル、ルース・シーン/サラ・ダンビー、ジョシュア・マグワイア/ジョン・ラスキン
6月20日(土)Bunkamuraル・シネマ、ヒューマン・トラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
2014年、英・仏・独、英語、150分、日本語字幕/古田由紀子、後援/ブリティシュ・カウンシル、英国政府観光庁、配給/アルバトロス・フィルム、
http://www.cetera.co.jp/turner/

by Mtonosama | 2015-06-21 06:33 | 映画 | Comments(6)

ターナー、光に愛を求めて
-1-
Mr.Turner

f0165567_550473.jpg

(C)Thin Man Films


生家が画材・額縁屋だったので
ターナーと聞くと陳列棚に並んでいた色とりどりのポスターカラーを思い出します。

きっとその絵具会社・ターナー色彩会社は
英国ロマン主義の巨匠ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーから
会社の名前をとったのでしょうね。

その名は絵具会社の名前につけられるほど有名でも
ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの素顔は謎に包まれています。

とのはターナー=風景画家くらいにしか認識しておらず、
好きな画家の部類には入っていませんでした。
きっちりした風景画を描く人、
だから、あんまり面白くない人と思い込んでいました。

ああ、なんと無知で愚かな自分。

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー

1755年ロンドン、コヴェント・ガーデンの理髪店を営む家に生まれる。
8歳の時、5歳の妹が死去。この頃から母が精神を病む。
その母との関係が後の女性関係に大きな影響を与えたといわれる。
14歳でイギリス美術界最大の権威を誇るロイヤル・アカデミーに入学。風景画の制作に打ち込む。
特に海辺や山岳地帯の風景に傾倒し「旅の画家」として各地を回る。
24歳でロイヤル・アカデミーの準会員に選出される。
この時期、サラ・ダンビーという未亡人と交際を開始。二女をもうけるが、共に暮らすことはなかった。
1802年史上最年少の27歳でロイヤル・アカデミーの正会員に選ばれる。
その2年後、母親が精神病院で亡くなる。
1807年、ロイヤル・アカデミーの遠近法教授に就任。
1829年、最大の理解者であった父が他界。
同じ頃、船乗りの妻ソフィア・ブースの家に間借り。間もなく夫を亡くしたソフィアと交際を開始。
1845年、70歳でロイヤル・アカデミーの院長代理に。
晩年、伝統的な表現方法から大きく逸脱した画風は批判されることもあり、
作品を手元におくことを好んだ。
1851年、ソフィアの家で死去。享年76歳。

遺言で彼専用のギャラリーを作ることを条件に全作品を英国に寄贈。
現在、テート・ブリテン美術館の一角にターナー専用の展示室が増設され、
ナショナル・ギャラリーには「カルタゴを建設するディド」と「霧のなかを昇る太陽」
が、ターナーが尊敬したクロード・ロランの作品と並べて展示されている。

f0165567_5514034.jpg

床屋の息子に生まれ、正統な学校教育も受けず、
生涯一度も結婚することなく、名前と身分を偽って旅をするターナー。

特に初期のかっちりした風景画を描いた人物と
同じ人間とは思えないようなターナーの奇妙な人となり。

本作ではその画業の後半25年間を描き出しています。
そして、短躯短足、人三化七、容貌魁偉(ごめんなさい)な
ターナーを演じたティモシー・スポール。
見事に謎の画家の謎の部分を演じきりました。

とのはなぜか画家を描いた映画とは相性が悪く、
『クリムト』(‘06)の時などハッと気づいたら眠っていました。
クリムトもどちらかといえば美しくはない殿方であります。
そのことはよく知ってもいたのですが。
それにしても、あのように美しく官能的な絵を描く方があのお顔とおつむでは・・・
画家は映画で観るよりも、その作品を美術館で観る方が良いな、
とこの時はつくづく思ったものです。

f0165567_554473.jpg

しかし、本作に関しては画家のご面相がどんなにひどくても
その画業をよく知らなくても、最後までひきつけられてしまいました。
ターナーを演じたのはティモシー・スポール。
『ハリー・ポッター』シリーズのピーター・ペティグリュー役といえば
「ああ」と頷かれる方も多いのでしょうか。

ターナーの作品は、
後期になると、輪郭はあいまいになり、影のように滲み、
光に溶け込むようなタッチの作品に変わっていきます。
まさに光の画家です。

ティモシー・スポールはこの画家を演じるために自身2年間絵を習ったとか。
本作では彼がキャンバスに向うその筆づかいにもご注目いただきたいところ。

監督はマイク・リー。
『ネイキッド』(‘93)でカンヌ国際映画祭監督賞、
『秘密と嘘』でカンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞、
『ヴェラ・ドレイク』(‘04)ではヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞した
イギリスを代表する監督です。
本作ではカンヌ国際映画祭主演男優賞、芸術貢献賞を受賞、
アカデミー賞4部門にノミネートされました。

さあ、知ってるようで知らないJ・M・W・ターナー。
何が起こるか、どうなるのか、予想以上に惹きつけられる映画です。

続きは次回までお待ち下さいませ。



今日もポチッとしていただければうれしゅうございます♪
↓↓↓↓↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆6月18日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

ターナー、光に愛を求めて
監督・脚本/マイク・リー、撮影/ディック・ポープ、美術/スージー・デイヴィス、音楽/ゲーリー・ヤーション、製作総指揮/マイケル・セイント・ジーン、マルタ・グルナート
出演
ティモシー・スポール/ジョセフ・マロード・ウィリアム・ターナー、ポール・ジェッソン/ウィリアム・ターナー・シニア、ドロシー・アトキンソン/ハンナ・ダンビー、マリオン・ベイリー/ソフィア・ブース、レスリー・マンヴィル/メアリー・サマヴィル、ルース・シーン/サラ・ダンビー、ジョシュア・マグワイア/ジョン・ラスキン
6月20日(土)Bunkamuraル・シネマ、ヒューマン・トラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
2014年、英・仏・独、英語、150分、日本語字幕/古田由紀子、後援/ブリティシュ・カウンシル、英国政府観光庁、配給/アルバトロス・フィルム、
http://www.cetera.co.jp/turner/

by Mtonosama | 2015-06-18 06:00 | 映画 | Comments(7)

沖縄 うりずんの雨
-2-
The Afterburn

f0165567_5592031.jpg

©2015 SIGLO


沖縄。
実はまだ行ったことがありません。

行けばもっといろいろ見えてくるのだと思います。
でも、本作『沖縄 うりずんの雨』を観て、
沖縄の歴史、沖縄地上戦の悲惨さ、現在の状況――
こんなにも自分は知らなかったのか、ということがわかりました。

第1部「沖縄戦」
沖縄地上戦で戦い、生き残った元米兵、元日本兵、そして、
現地徴用され戦闘に駆り出された沖縄の人々の証言と
新たに発掘した米軍撮影の資料映像から成り立っています。

当時20歳だった元米陸軍砲兵ドナルド・デンカーは語ります。
「(沖縄の一般人のこもる)洞穴に向って『出てこい』と叫ぶと、1人の男が何回も私のピストルを指差し、
次に自分の頭を指した。彼は頭を撃ってほしがった――」

当時25歳の元日本軍兵長の近藤一は
「我々は大和民族で、沖縄の人とは全然違うんだと、兵隊の頭の中に入ってしまった――」
旧日本兵が沖縄住民に行なったことが見えてきます。
彼は90歳を越した今も毎年うりずんの頃になると沖縄へ供養のためにやってきます。

当時17歳だった元梯梧学徒隊の稲福マサさんは捕虜になって収容される道中、
死体で敷き詰められたようになった道を行く様子を語りました。

アメリカと日本の双方から差別された沖縄の悲惨さが伝わってきました。

第2部「占領」1945年6月23日沖縄戦の終結を待たず、
米軍の沖縄占領政策と基地建設は4月1日の沖縄本島上陸直後から始まりました。
当時のアメリカのニュース映像がそれを伝えます。

1953年生まれの写真家石川真生さん。
70年代ベトナム戦争の頃、黒人兵士とつきあっていた彼女は
白人対黒人の感情と彼女の沖縄人としてのプライドそして本土に対する不信感に
通底するものを感じた、といいます。

第3部「凌辱」
読谷村での集団自決、米軍基地の存在によってもたらされる沖縄の人々、
特に女性たちへの性暴力の実態を描いています。
1995年12歳の女子小学生を強姦した3人の米兵の内の1人の証言は衝撃的です。

女性たちの戦争と平和資料館・池田恵理子館長は、
沖縄は本土に米軍や連合軍が入るのを抑えるための防波堤、
沖縄の捨石作戦について語っていました。

沖縄についてだけではなく、
アメリカ側からも
米軍内での男性兵士による女性兵士への性的暴行の実態について
描かれています。

沖縄の現状、戦争の悲惨さ、女性の受ける性被害―――
知れば知るほど絶望的な気分になります。
しかし、明けない夜はない筈です。

f0165567_605520.jpg


第4部「明日へ」
辺野古への米軍基地建設をめぐる日本政府の強引さ、
そして、本土の無関心さを訴える声に身が縮まる思いになります。
当時18歳(元鉄血勤皇隊)だった大田昌秀元沖縄県知事は言います。
「アメリカ政府に行きますと『これは日本政府の内部問題だから日本政府とかけあってくれ』といわれます」
「残念ながら日本政府には沖縄を捨石にしてかまわないという発想があります」
最後に彼は
「沖縄をアジア太平洋地域の軍事的要石にするのではなく、
アジア太平洋地域から世界中に、
沖縄の伝統的な平和を発信する島に変えようじゃありませんか」
と締めくくります。

思い起こせば、17世紀には薩摩藩に侵攻され、
19世紀には黒船来航によりアメリカ軍の上陸を見てきた沖縄。

侵略され続けてきたから、今の状態は仕方ないのでしょうか――
そんなことは絶対にない、絶対にそうはさせない、という沖縄の人々の強い意志と
決して諦めることのない持続力を見ることができる作品です。

今、この時代、絶対に知っておかなければならない現実。
これを観たら沖縄を他人事としていることはできなくなります。





今日もポチッとしていただければうれしゅうございます。
↓↓↓↓↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆6月15日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

沖縄 うりずんの雨
監督/ジャン・ユンカーマン、企画・制作/山上徹二郎、製作/前澤哲爾、前澤眞理子、撮影/加藤孝信、東谷麗奈、Chuck France、Stephan McCarthy、Brett Wiley、音楽/小室等
出演
安里英子、池田恵理子、石川真生、稲福マサ、大田昌秀、近藤一、高嶺朝一、玉城洋子、知花カマド、知花昌一、Douglas Lummis、Leonard Lazarick、Donald Dencker、David Crew、 Bruce Lieber、Cynthia Enloe、 Rodrico Harp、 Morton Halperin
6月20日(土)岩波ホールにてロードショー
2時間28分、カラー、リサーチ/鏑木亜樹、Edward Engel、翻訳/中野真紀子、桜井まり子、大竹秀子、取材協力/佐藤千代子、http://okinawa-urizun.com/

by Mtonosama | 2015-06-15 06:03 | 映画 | Comments(4)

沖縄 うりずんの雨
-1-
The Afterburn

f0165567_6161444.jpg

©2015 SIGLO


戦後70年。
戦争の終わった年に生まれた赤ちゃんは今年70歳を迎えるわけです。
そして、日本で唯一激しい地上戦が戦われた沖縄も70年目の慰霊の日を迎えます。

タイトルにある「うりずん」というのは〈潤い(うるおい)初め(ぞめ)〉が語源。
冬が終わり、大地が潤い、草木が芽吹く3月頃から梅雨入りする5月位までの時期をいいます。

1945年4月1日から始まった沖縄地上戦が
丁度うりずんの季節に重なります。
戦争が終わり、何年、何十年経っても
この時期になると戦争の記憶がよみがえり、体調を崩す人たちがいます。
本編中のインタビューでもそう語っていました。

4月1日。アメリカ軍が沖縄本島に上陸し、
12週間に及ぶ沖縄地上戦で4人に1人の住民が亡くなりました。
4人に1人!

f0165567_6213083.jpg

本作は
第1部「沖縄戦」、第2部「占領」、第3部「凌辱」、第4部「明日へ」から構成されています。
70年前、沖縄で対峙した元米兵、元日本兵、沖縄の住民に取材。
米国立公文書館所蔵の米軍が撮影した記録映像を交え、
沖縄戦の実情に迫ったドキュメンタリー映画です。

“沖縄は戦利品”とよばれた戦後のアメリカ占領時代から現在に至るまで、
沖縄全土18%に及ぶ米軍基地をめぐる負担を
日米双方から圧しつけられてきた沖縄の歴史を描き出した映画です。

辺野古のニュースを観ない日はないというのに、
どこか遠い問題としか眺めていませんでした。

以前、当試写室で上映した是枝裕和監督作品
『大丈夫であるように ―Cocco 終わらない旅―』でも
http://mtonosama.exblog.jp/9795401/
Coccoが辺野古の金網で区切られた場所に呆然と立つシーンがありました。
それは報道でもよく見る陸側から撮ったもので、観客の情緒に訴えかけるものでした。
ところが、本作では辺野古を海から撮影しています。
海から見た基地予定地になっている辺野古の土地のあまりの広大さに絶句しました。

陸から撮影した映像には、美しい海が写り、
この青い海が潰され、ジュゴンも死んでいくのか、と環境面での危機感を募らせました。
海から撮影した映像には、岩礁と広大なジャングルが映り込みます。
「ここに200年以上の耐用年数を誇る滑走路と基地が作られる」と歎く住民。
環境も伝統も愛着も想い出もなにもかも基地によって潰されてしまう・・・・・

f0165567_6233614.jpg

この映画の企画・製作にあたったのは
1986年に沖縄をテーマにしたドキュメンタリー映画の製作からスタートし、
30年間に4本の映画を沖縄で製作してきた映画製作会社シグロ。
創立30年、そして沖縄戦から70年にあたる今年、
自分たち自身への問いかけでもある本作を製作しました。

監督はジャン・ユンカーマン。
沖縄で反戦兵士たちの支援活動に携わったこともあるアメリカ人です。
1975年に大学を卒業し、沖縄に着いたとき、
3年前に占領は終わっているのにまだ基地だらけの沖縄に驚いたそうです。

ジャン・ユンカーマン
1952年、ミルウォーキー生まれ。
1969年慶応義塾志木高校に留学。スタンフォード大学東洋文学語課卒業。
画家の丸木位里・俊夫妻を取材した『劫火-ヒロシマからの旅-』(‘86)は米国記録映画部門にノミネート。9.11の後、言語学者ノーム・チョムスキーにインタビューした『チョムスキー9.11』(‘02)は
世界十数ヶ国語に翻訳され、各国で劇場公開された。
世界の知識人12人へのインタビューをもとに日本国憲法を検証する『映画 日本国憲法』(‘05)は
戦後60年目の節目に日本国憲法の意義を改めて問いかけた。
他に、日本の最西端の与那国島を舞台に老漁師と巨大カジキの格闘を描いた『老人と海』
(‘90)、エミー賞受賞作『夢窓~庭との語らい』(‘92)など。
現在も日米両国を拠点に活動を続けている。

続きは次回までお待ちくださいませ。



今日もポチッとお願いできれば嬉しうございます♪
↓↓↓↓↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆6月12日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

沖縄 うりずんの雨
監督/ジャン・ユンカーマン、企画・制作/山上徹二郎、製作/前澤哲爾、前澤眞理子、撮影/加藤孝信、東谷麗奈、Chuck France、Stephan McCarthy、Brett Wiley、音楽/小室等
出演
安里英子、池田恵理子、石川真生、稲福マサ、大田昌秀、近藤一、高嶺朝一、玉城洋子、知花カマド、知花昌一、Douglas Lummis、Leonard Lazarick、Donald Dencker、David Crew、 Bruce Lieber、Cynthia Enloe、 Rodrico Harp、 Morton Halperin
6月20日(土)岩波ホールにてロードショー
2時間28分、カラー、リサーチ/鏑木亜樹、Edward Engel、翻訳/中野真紀子、桜井まり子、大竹秀子、取材協力/佐藤千代子、http://okinawa-urizun.com/

by Mtonosama | 2015-06-12 06:33 | 映画 | Comments(4)

海街diary
-2-

f0165567_5322564.jpg

(C)2015 吉田秋生・小学館/フジテレビジョン 小学館 東宝 ギャガ


みんな若くてきれいな姉妹です。

長女の幸は看護士で小児科医と恋愛中。
この医師には心を病んだ妻がいるので、離婚はできません。
幸もそのことをわかっています。
でも、不倫ですね。

次女・桂乃は自由奔放。お泊りをする間柄のボーイフレンドあり。
信用金庫に勤め、仕事はほどほどに、人生は楽しく、といったタイプ。
でも、失恋をきっかけに仕事に燃えることになります。

三女・千桂はスポーツ用品店勤務。
エベレスト登山中、凍傷で足の指を6本失った店主を良い相棒に
地元中学生のサッカーチームのサポーターをしています。
釣りが好き。ヘラブナ釣りとかが。

この三姉妹の父が女を作り、出奔。
棄てられた母も再婚して家を出ていき、姉妹は鎌倉の古い大きな家で祖母に育てられました。

その父が死んだという知らせが舞い込んだことから、このお話は始まるのですが――

f0165567_5312217.jpg


ストーリー
15年前、妻子を捨てて出て行った父が死んだ。
父の葬儀のために訪れた夏の山形で三姉妹は中学生の腹違いの妹すずに会う。
すずの母は既に亡く、父は三度目の結婚をしていた。
その相手は幼い連れ子がいて、夫の死にべそべそ泣くばかりで何もしない。
しっかり者のすずが気丈にふるまっていた。
姉たちから「お父さんの世話をしてくれてありがとう」と声をかけられ、涙ぐむすず。
駅のホームまで送ってきた彼女に、幸は「鎌倉で一緒に住まない?」と声をかける。

秋、すずが鎌倉に越してくる。
幸は大叔母の史代に
「あの子はあんたたちの家庭を壊した人の娘なのよ。一緒に暮らすのは難しいわよ」
といわれながらも、和やかに暮らし始めた。
すずは地元のサッカークラブに入団する。
転校した中学校でも仲の良い友人たちができ、美しく紅葉した木々の中、通学した。

冬、広い家はその分寒く、姉妹はこたつで酒を飲んだり、宿題をしたり。

春、腰越のシラス漁が始まった。すずはサッカーの仲間と釜揚げシラスを作る手伝いに。
そんなサッカー仲間の風太にだけは家庭のことを話せるすずだった。
風太の自転車の後ろに乗って満開の桜の花のトンネルを駆け抜ける。

庭の梅の実をもぎ、梅酒を漬け、梅雨が訪れる頃、
姉妹の生活に思わぬできごとが。
音沙汰のなかった母が祖母の七回忌に現れ、鎌倉の家を売ると言いだしたのだ……

f0165567_5344757.jpg

四姉妹がそれぞれに抱える想いを
行きつけの海猫食堂のおばさんや大叔母さんが優しく見守ります。
四人の淡々とした日々は、
出会いや別れを繰り返しながら続きます。

その中心にはいつも古くて広い家が佇んでいます。
花が咲き、梅の実がなり、冬には隙間風が吹き抜けるこの古い家が、
四人をこれからも守ってくれるでしょう。

人生って案外なんとかなっていくものです。

大人のメルヘンのような映画でした。





今日もポチッとお願いします。
↓↓↓↓↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆6月9日に更新しました。いつも応援して下さって本当にありがとうございます☆

海街diary
監督・脚本・編集/是枝裕和、撮影/瀧本幹也、原作/吉田秋生「海街diary」(小学館「月刊フラワーズ」連載)、音楽/菅野よう子
出演
綾瀬はるか/香田幸、長澤まさみ/香田佳乃、夏帆/香田千佳、広瀬すず/浅野すず、大竹しのぶ/佐々木都、堤真一/椎名和也、加瀬亮/坂下美海、風吹ジュン/二ノ宮さち子、リリー・フランキー/福田仙一、樹木希林/菊池史代、鈴木亮平/井上泰之、前田旺志郎/尾崎風太、キムラ緑子/高野日出子
6月13日(土)全国東宝系ロードショー
2015年、日本映画、128分、カラー、http://umimachi.gaga.ne.jp/

by Mtonosama | 2015-06-09 05:47 | 映画 | Comments(6)

海街diary
-1-

f0165567_5382561.jpg

(C)2015 吉田秋生・小学館/フジテレビジョン 小学館 東宝 ギャガ

『海街diary』。
あれ?このタイトル、まるでとののためにあつらえたようでありますよ。
とのが住んでいるところも海街ですから。
そりゃあ、とのは主役の綾瀬はるかさんとは全く以て違うタイプではありますが・・・

などと思いながら、映画を観て、これまた驚きました。
だって、全部ご近所なんです。

一番びっくりしたのは三女・千佳の勤めるスポーツ用品店。
いつも通る路地にあるお店ではありませんか。
小さなお店で多分地元の人間しか知らないと思います。
是枝監督、よくぞこのお店をみつけてくれたなぁとなんだか嬉しくなりました。

映画の中で異母妹のすずちゃんがお手伝いに行く釜あげしらす屋さんだって、
すずちゃんがボーイフレンドとチャリで走る道だってみんな知ってます。
もうこうなると映画どころではありません。

そんな訳で今回はあまり客観的になれませんが、どうぞご容赦くださいませ。

f0165567_5404363.jpg

原作は吉田秋生の漫画。
第11回文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞、マンガ対象2013を受賞した「海街diary」。
現在、「月刊フラワーズ」でシリーズ連載中です。

両親に捨てられた三姉妹と父の残した腹違いの妹が
一緒に鎌倉の大きな古い家で暮らし始める物語。

両親に捨てられた子どもたちというと
どうしても是枝作品『誰も知らない』(‘04)を思い出してしまいます。

でも、あのとんがった感じはなく、
美しい女優さんたちの織りなす仲良し姉妹の物語に見えました。

これまでの是枝作品にあったちょっとひっかかる部分というのがないのは
是枝ファンとしては少しばかり物足りないように思ってしまいました。

とはいえ、キャストは豪華です。
女優陣は今をときめく綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず。
常連の樹木希林、そして、是枝作品には初出演の大竹しのぶ。
俳優陣は「そして、父になる」以来2度目となるリリー・フランキー、
おなじみ加瀬亮や前田旺志郎、初出演の堤真一と鈴木亮平。
すごいですね。

f0165567_5441458.jpg

鎌倉の四季と趣ある古民家。
女子好みの素材はたっぷりつまっています。

監督もまたこの古民家がみつからなければ撮影しない位の意気込みだったそうで
スタッフたちがくまなくあたって見つけ出した家はイメージ以上の家でした。

日当たりの良い縁側はいかにも懐かしげで、
庭には毎年立派な実をつける梅の樹もあり、この映画の準主役ともいえる佇まいです。

サッカーの試合から帰ってシャワーを浴びたすずがバスタオル一枚で縁側に走ってきて
足の指で扇風機をつけます。
そして、バッとタオルを開き、風を受け、幸に「こらーっ!」と怒られる。
借りてきた猫みたいに大人しく良い子だったすずが徐々に香田家に慣れていくシーンです。

これなんかもこの古い家があってこそなんですよね。

是枝作品の中にこれまであった社会的な要素や
エッジ感みたいなものはないけれど、
現代版「若草物語」として女の子の成長を楽しみながら鑑賞する手もあるな、と
段々思えてきました。

さあ、いったいどんなお話でしょう。
続きは次回までお待ちくださいね。



今日もポチッとしていただければ嬉しいです♪
↓↓↓↓↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆6月6日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

海街diary
監督・脚本・編集/是枝裕和、撮影/瀧本幹也、原作/吉田秋生「海街diary」(小学館「月刊フラワーズ」連載)、音楽/菅野よう子
出演
綾瀬はるか/香田幸、長澤まさみ/香田佳乃、夏帆/香田千佳、広瀬すず/浅野すず、大竹しのぶ/佐々木都、堤真一/椎名和也、加瀬亮/坂下美海、風吹ジュン/二ノ宮さち子、リリー・フランキー/福田仙一、樹木希林/菊池史代、鈴木亮平/井上泰之、前田旺志郎/尾崎風太、キムラ緑子/高野日出子
6月13日(土)全国東宝系ロードショー
2015年、日本映画、128分、カラー、http://umimachi.gaga.ne.jp/

by Mtonosama | 2015-06-06 05:56 | 映画 | Comments(8)

エレファント・ソング
-2-
Elephant Song

f0165567_5213716.jpg

(C)Sebastien Raymond


『トム・アット・ザ・ファーム』ではブロンド長髪の美青年を演じたグザヴィエ。
本作では、もちろん相変わらずの美青年ながら、
長い入院生活に疲れ、
無精ひげと疲れたまなざしに複雑な内面をのぞかせるマイケルを演じました。

どっちも素敵。
でも、個人的な好みとしてはロン毛の方が好きなんですけど。
あ、そんなことはどうでもいいですね。

60年代という時代は150歳のとのにとっても懐かしい時代でありながら、
あまりにも遠くへ去ってしまった時代。
懐かしさと同時に寂寥感もつきまとってなりません。

いったいどんなお話でしょうか。

f0165567_5232755.jpg

ストーリー
ひとりの精神科医が病院から姿を消した。最後に彼の姿を見たのは長期入院患者マイケル。
マイケルはその精神病院の問題児で、象にまつわることに異常なまでの執着を示す青年だ。

医師失踪の事情解明のため、クリスマス休暇中のグリーン院長が病院に呼び戻された。
失踪した医師と最後に一緒にいたのはマイケルだった。
マイケルの性格をよく知るピーターソン看護婦長の警告にもかかわらず、
院長は自分がマイケルに事情を訊くといってきかない。

ピーターソン婦長の心配は的中。マイケルは象やオペラについて話すばかり。
そんな彼が事情を話すために院長に出した条件は3つ。
一つ目、マイケルのカルテを読まないこと。
二つ目、ご褒美にチョコレートをくれること。
三つ目、ピーターソン婦長をこの聞き取りに参加させないこと。

実はグリーン院長と婦長は元夫婦。
ふたりには事故で一人娘を失うという悲しい過去があった。
未だに自分を責め続けるピーターソン婦長。
「君は悪くない」と言いながら、心の底で彼女を責めずにはいられないグリーン院長。
ふたりは離婚した今もわだかまりを抱えたままだ。

マイケルはピーターソンのことを持ち出し、さらに、
消えた医師ローレンスから受けた性的虐待のこともほのめかして、
グリーン院長を動揺させる。

一方マイケルの日常をよく知るピーターソンは彼の異変を感じていた。
彼女はグリーン院長にマイケルとの話を中断し、病室に戻すよう申し入れる。
だが、マイケルに翻弄されている院長は彼女の申し入れを無視する。

話を続行するうちに、マイケルは院長にポツポツと「真相」を話し始める。
失踪した医師ローレンスへの愛、
オペラ歌手の母の自殺、
死にゆく母の傍らでかつて彼女から習った「象の歌」を歌ったこと。
そして、母のいまわの言葉。「音程を3つ外した・・・」

ローレンスの行方は発覚した。
「倒れた姉のところに行くから明日は休診に」
と記した彼のメモをマイケルが隠し持っていたのだ……

f0165567_525684.jpg

チョコレートとひきかえに秘密を明かしたマイケルは一つずつ口に入れていきます。
全体に蒼みがかったスクリーンからしーんとした緊張感が伝わってきます。

やがて慌てふためくピーターソンの様子から
ナッツアレルギーのマイケルがチョコレートで自殺をはかったことが判明。
チョコレートを食べるという子供じみた安らぎのイメージが
死へとつながっていく急展開に仰天します。

緊迫した会話、
そして、マイケルが内に孕んだ狂気と幼いままの愛情と孤独感。
俳優グザヴィエ・ドランの本領発揮というところです。

グザヴィエ・ファン必見の一本であります。

カナダの冬の寂寥感
蒼白い光
良いですねぇ。





今日もポチッとしていただければ欣喜雀躍の思いです♪
↓↓↓↓↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆6月3日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

エレファント・ソング
監督/シャルル・ビナメ、原作・脚本/ニコラス・ビヨン、撮影/ピエール・ギル
出演
グザヴィエ・ドラン/マイケル・アリーン、グリーン院長/ブルース・グリーンウッド、キャサリン・キーナー/ピーターソン看護士長、キャリー=アン・モス/オリビア、コルム・フィオール/ローレンス医師、ガイ・ネイドン/ジョーンズ医師
6月6日(土)新宿武蔵野館、渋谷アップリンクほか全国順次ロードショー
2014、カナダ、100分、配給/アップリンク、特別協力/ケベック州政府在日事務所、後援/カナダ大使館、http://www.uplink.co.jp/elephantsong/

by Mtonosama | 2015-06-03 05:34 | 映画 | Comments(6)