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殿様の試写室

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<   2015年 09月 ( 11 )   > この月の画像一覧


顔のないヒトラーたち -2-
Im Labyrinth des Schweigens

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(C)2014 Claussen+Wobke+Putz Filmproduktion GmbH / naked eye filmproduction GmbH & Co.KG


2015年1月、ナチス虐殺被害者の追悼式典で、メルケル首相は語りました。

「ナチスはユダヤ人への虐殺によって人間の文明を否定しました。
その象徴がアウシュヴィッツです。
私たちドイツ人は恥の気持でいっぱいです。
何百万人もの人々を殺害した犯罪を見て見ぬふりをしたのはドイツ人自身だったからです。
私たちドイツ人は過去を忘れてはいけません。
数百万人の犠牲者のために過去を記憶していく責任があります」

安倍さん、聞いてましたか?
記憶するためには学ばなければなりませんのよ。

あ、すいません。
つい腹が立って。

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前回は、一人のジャーナリストが、アウシュヴィッツ収容所・元親衛隊員が
学校教師をしていることを知ったというところまでお話しました。

その後、若き検事ヨハンが様々な圧力や苦悩を抱えながら
アウシュヴィッツで犯したナチスの犯罪の詳細を
生存者の証言や実証を基に明らかにして行きます。
実に感動的であります。

主役の若き検事ヨハンを演ずるのは
『ゲーテの恋』でゲーテを演じたドイツの誇るイケメン俳優
http://mtonosama.exblog.jp/16661792/ http://mtonosama.exblog.jp/16675792/
アレクサンダー・フェーリング。
若き、というところが重要です。
もし、とのの好きなモーリッツ・ブライプトロイなんかだと
ちょっと歳がいきすぎちゃいますからね。

このアレクサンダーくん、
1981年生まれですからブライプトロイより10歳も若い34歳。
若いだけでなくお顔立ちがとても端正でありながら華やかでございましょ?
この華やかさと美しさが
暗い時代のドイツの暗い部分を深刻なだけではなく、
ハラハラドキドキ夢中にさせて、ラストには感動の涙が頬を伝う映画にしあげています。

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まあ、まずはストーリーにいってみましょう。

ストーリー
1958年、フランクフルト。戦後13年。ドイツは経済復興の真っただ中。
人々もあの忌まわしい戦争を忘れつつあった。

新米の検事ヨハン・ラドマン。
意欲も野心も満々だが、担当する裁判は交通違反ばかり。
ところが、交通違反で出廷した女性マレーネ・ウォンドラックに一目惚れ。
彼女の罰金額の一部を法廷で立て替えた。

ジャーナリストのトーマス・グニルカ。
彼は友人のシモン――戦争中アウシュヴィッツに収容されていたユダヤ人――
から、元親衛隊(SS)にいた男が違法に教師をしていることを聞き、
検察庁のロビーでその苦情を申し立てた。
だが、検察官はアウシュヴィッツのことを知らず、トーマスの話に耳を傾ける者もいない。
ただ一人ヨハンは彼の話に関心を示し、調査を始めた。

調査の結果、その男がアウシュヴィッツの親衛隊であったことが確認され、
ヨハンは検察官の定例会議で報告。検事正はしぶしぶ文部省への確認を約束。

しかし、トーマスはヨハンを信じなかった。
ヨハンも他の同世代の人々と同じく”アウシュヴィッツ“の実態を知らないことに
「史上最悪の残虐行為は忘れ去られてしまった」と嘆くのだった。

トーマスはヨハンのオフィスから書類を盗み出し、
ルントシャウ紙に「闇に葬られたスキャンダル」と題した記事を発表する。
その責任を問われ、検事総長フリッツ・バウアーに呼び出されたヨハン。
状況を説明する一方で、
バウアー検事総長から政府機関内には未だにナチ党員がいること。
確かに殺人が行われたという証拠がなくては、
戦争犯罪者を裁くことはできないのだと知らされる・・・

まだまだストーリーは続きます。
しかし、当試写室の容量不足のため、異例ではありますが、
またも続きとさせていただきます。

次回いよいよ最終編。
乞うご期待でございます。



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顔のないヒトラーたち
監督/ジュリオ・リッチャレッリ、脚本/エリザベト・バルテル、ジュリオ・リッチャレッリ、製作/ウリ・プッツ、サビーヌ・ランビ、ヤコブ・クラウセン、撮影/マルティン・ランガー、ロマン・オーシン
出演
アレクサンダー・フェーリング/ヨハン・ラドマン、アンドレ・シマンスキ/トーマス・グニルカ、フリーデリーケ・ベヒト/マレーネ・ウォンドラック、ヨハネス・クリシュ/シモン・キルシュ、ハンシ・ヨクマン/エリカ・シュミット、ヨハン・フォン・ビューロー/オットー・ハラー、ロベルト・フンガー・ビューラー/ウォルター・フリードベルク、ルーカス・ミコ/ヘルマン・ラングバイン、ゲルト・フォス/フリッツ・バウアー
10月3日ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸他全国ロードショー
2014年、ドイツ、123分、配給/アット エンタテインメント、字幕/安本煕生、http://kaononai.com/

by Mtonosama | 2015-09-30 05:02 | 映画 | Comments(2)

顔のないヒトラーたち -1-
Im Labyrinth des Schweigens

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(C)2014 Claussen+Wobke+Putz Filmproduktion GmbH / naked eye filmproduction GmbH & Co.KG


いや、これは驚きました。
『顔のないヒトラーたち』という映画です。
オリジナルタイトルは“Im Labyrinth des Schweigens“(沈黙の迷路で)。

この手の、あるいは、この時代の映画はもういい、とお思いの向きもございましょう。
しかし、思いもかけなかった事実をこの映画は教えてくれました。
今の日本の隣国へのあり方についても多くの示唆を与えてくれるかもしれません。

ドイツといえばホロコーストであり、アウシュヴィッツです。
しかし、ドイツは戦後はっきりとナチズムの罪悪を後悔し、断罪し、
虐殺された人々に謝罪し続けています。

ヴィリー・ブラント西独首相がワルシャワ・ゲットーの記念碑の前で膝まづき、
ナチス・ドイツ時代のユダヤ人虐殺を謝罪する写真は印象的なものでした。
1970年12月7日のことです。

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日本ではなんと申しましたでしょうか。
あ、そうそう自虐史観でしたね。
いつまでも昔のことにこだわっていてはいけないとか、
子や孫の代まで隣国に謝罪させるのは終わりにしようと
おっしゃった首相もいらっしゃいました。

ところが、ドイツでは孫や子の代になってもユダヤ人に対する罪を詫び、
もう90歳を過ぎた元親衛隊員や
収容所の看守たちを未だに裁き続けています。

そして、シリアから何十万もの難民も受け入れています。
本当にすごい国だと思います。

だからこそ、この映画を見てびっくりしました。
いや、びっくりしたばかりじゃ話が進みませんね。
びっくりの訳をお話ししましょう。

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1950年代後半、映画の舞台は1958年のフランクフルトです。
この時代、多くのドイツ人はアウシュヴィッツのことを聞いたことがありませんでした。
アウシュヴィッツで何が行われていたかも知らなかったのだそうです。

『ハンナ・アーレント』
http://mtonosama.exblog.jp/20634449/ http://mtonosama.exblog.jp/20659388/
や、現在のドイツを見れば、ドイツは過去の過ちに真摯に向き合い、
戦後は一貫してナチズムと闘い続けてきたのだと思っていました。

しかし、実際は第二次世界大戦後ドイツは何年もの間アウシュヴィッツに
眼を向けようとせず、暗い過去について語ることを避けてきました。
そう、1963年12月20日、
フランクフルト・アウシュヴィッツ裁判の初公判が開かれるまでは――

これまで幾多の映画で
収容所から骨と皮だけになったユダヤ人たちが解放されるシーンが描かれ、
その後
ヒトラーとナチの残虐性を描く映画も数多く作られてきました。
アメリカ映画だけではなくドイツ人自身の手によっても。

最近ではSS高官の子どもの目から見たあの時代や
ヒトラーの内面をみつめた映画も作られましたが、
それはドイツ人があの時代を学校で学び、
猛省し、もう二度とあのようなことがあってはいけないと考えているからこそ、
「自虐的」ともいえる数々の作品を生み出してきたのです。

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でも、やはりそんなドイツにも
あの事実を闇に隠し、眼をそらせていようという時期があったんですね。

1945年に第二次世界大戦が終わりました。
イヤなことは忘れて復興に励もうぜ!
と、ドイツも経済復興に必死だった筈です。

ホロコーストですら
聞いたこと、見たことがなければそれはなかったこととされてしまいます。

本作はドイツの歴史の空白を白日の下に曝した映画です。
一人のジャーナリストが、アウシュヴィッツ収容所の元親衛隊員が
学校の教師をしていることを知ったことから始まるこの作品。

さあ、いったい何があったのでしょう。
続きは次回まで乞うご期待でございますよ。



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顔のないヒトラーたち
監督/ジュリオ・リッチャレッリ、脚本/エリザベト・バルテル、ジュリオ・リッチャレッリ、製作/ウリ・プッツ、サビーヌ・ランビ、ヤコブ・クラウセン、撮影/マルティン・ランガー、ロマン・オーシン
出演
アレクサンダー・フェーリング/ヨハン・ラドマン、アンドレ・シマンスキ/トーマス・グニルカ、フリーデリーケ・ベヒト/マレーネ・ウォンドラック、ヨハネス・クリシュ/シモン・キルシュ、ハンシ・ヨクマン/エリカ・シュミット、ヨハン・フォン・ビューロー/オットー・ハラー、ロベルト・フンガー・ビューラー/ウォルター・フリードベルク、ルーカス・ミコ/ヘルマン・ラングバイン、ゲルト・フォス/フリッツ・バウアー
10月3日ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、シネ・リーブル梅田、シネ・リーブル神戸他全国ロードショー
2014年、ドイツ、123分、配給/アット エンタテインメント、字幕/安本煕生、http://kaononai.com/

by Mtonosama | 2015-09-28 05:08 | 映画 | Comments(8)

三毛猫ひかちゃん -33-


あたし、ひかちゃん。

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もうすっかり秋ね。
このお花はほんとうに几帳面だわ。
今年のようにいろんなことが起きても
お彼岸の頃になると毎年こうしてきちんと咲いてくれるんだから。


被害にあった皆さま、心よりお見舞い申し上げます。


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♪こんな時代もあ~ったけど


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いまは貫禄のあた~しなの♪

む~~~~ん


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自慢のまだら肉球もカゴにおさまりきらないし。


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こんな恰好だってしちゃうの。

茶トラと黒の配色もなかなかなものでしょ?

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グルーミングだって怠りないわよ。

あ、あたし、またお外に出るようになったのね。
早朝しか出られないんだけど。

4時半頃帰宅すると雑巾で肉球拭かれちゃうのよ。
ほら、飼い主ったら早起きじゃない。
あたしのこと、待ち構えてるの。
だからって雑巾で大事な肉球拭くことないと思うわ。

だからグルーミングには時間をかけるようになったの。
あたしももうおねえさんだし。

段々涼しくなってきたわね。
風邪ひきさんも多いようだから皆さんも気をつけてね。

ひかり


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by Mtonosama | 2015-09-25 06:41 | 映画 | Comments(12)

カプチーノはお熱いうちに
-2-
Allacciate le cincture


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(C)2013 All rights reserved R&C Produzioni Srl - Faros Film


イタリア人も、日本人も、どこの国の人でも、
人は思いがけない相手と恋に落ちてしまったりします。
「え~っ!全然タイプじゃないのに」
という人を好きになってしまうのだから
人生ままならぬものです。
相手に夢中なうちは良いけれど、
ハッと我に帰った時「なんだってこんな男(女)と――」と思ったってもう遅い。

本作の主人公もそうなんです。
カフェで働くエレナは雨のバス停で口げんかした野卑な男アントニオと
恋に落ちてしまいます。

でも、この口げんかまでのイントロがとても素敵なんです。
石畳に激しくしぶく雨の中を歩く人々の脚から映画は始まるのですが、
石畳、激しい雨、急ぎ歩く脚――
観客の視線を雨脚につれて誘い、次第に期待感へと高めていきます。
ちょっと昔のフランス映画みたいでとても洒落ています。

美人で、気は強いけれど、案外うぶなエレナ。
マッチョで、人種差別主義者で、粗野なアントニオ。
まったく不釣り合いな二人です。

さあ、こんな二人の恋の行方は?

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ストーリー
エレナは親友のシルヴィア、ゲイのファビオとカフェ”タランチュラ“で働いている。
ある雨の日のバス停。
エレナはバスを待つ客同士の言い争いに巻き込まれる。
口汚く老女や移民を罵る乱暴な男アントニオに勝気なエレナは激しく言い返すのだった。

数日後、恋人のジョルジョとパーティに出たエレナはアントニオと再会する。
彼は親友シルヴィアの恋人だったのだ。
談笑中、アントニオに会社から電話が。
皆が見ている中で下品な言葉遣いで応対するアントニオ。最悪だ。
エレナもファビオも、シルビアに「あんな男と交際するのはやめろ」と忠告。
でも、シルビアはきかない――

そんな中、いつか自分のカフェを持ちたいといっていたエレナに一大転機が訪れる。
ファビオがすごい物件をみつけてきたのだ。

開店準備をしているエレナのところにアントニオが現れる。
「俺が嫌いなんだろ?」そんなアントニオを無視して作業を続けるエレナ。
コーヒーマシンを組立ながら、アントニオに説明書を読んでくれるよう頼んだエレナは
彼が識字障害者であることを知ってしまう。
それ以来、度々カフェにやってくるアントニオが気になって仕方ない。
でも、アントニオは親友の恋人だし、生き方も性格も自分とは正反対。
どうにも気持の整理がつかないエレナだった。

一方、新しいカフェ”ガススタンド“の準備は着々と進んでいた。


13年後、多くの人で賑わう”ガススタンド“。
皆に囲まれて13周年を祝うエレナとファビオ。
事業の拡大をファビオに持ちかけるエレナはもうすっかり企業家の顔だ。

仕事を終え、子どもたちを預けていた母の家に寄り、自宅に帰るエレナ。
酒瓶が林立するリビングを抜け、寝室に向かうと、
夫アントニオがいびきをかいて眠っている。
翌日、アントニオが公共料金を払い忘れたことで始まった夫婦喧嘩。
「何から何までやるのはもうたくさん!」と怒るエレナに
「くたばれ!」とアントニオ。
ああ、恋に落ちた男女も10数年を過ぎれば――

ある日、叔母に誘われスパに行き、その後、乳ガン検診を受けるエレナ。
だが、軽い気持で検診を受けた彼女にガンが見つかった。
”カフェ・ガススタンド“でアントニオ、ファビオ、母、叔母に結果を伝えるエレナ。
ショックを受け、無言でカフェを出て行くアントニオ。

化学療法を受けるため通院しながら仕事も家庭もこなそうとするエレナ。
子どもたちも寝静まった夜。話したいことも話せない不器用な二人。
ある日、無理がたたったエレナは店で倒れ、そのまま入院することになってしまった……

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イタリア式恋愛映画と思いきや、
これじゃあ日本の不器用な中年、初老、あるいは老夫婦と同じではありませんか。
腹筋が横に割れていたアントニオのお腹も、13年も経てば見事に出っ張り、
おつむの方も何やら寂しげになっていますし。
(実際、アントニオ役のフランチェスコ・アルカは撮影のために13キロ太ったんですって)

恋愛なんて人生のはしかみたいなもの。
歳をとれば忘れてしまうものかもしれませんが、
案外なにかをきっかけにボッと発疹が現れることもあるのか・・・な?

仕事も家庭も何もかも背負い込んでしまうエレナだけど、
彼女の周囲には味わい深い人達がいっぱい。
家族や古い友人、入院中に出会った友人。
そんな人々を通じて夫への想いも生き方も穏やかになっていけたエレナです。

恋愛映画でもあり、家族愛の映画でもあり、
あの時ああしていればなぁ的青春物語でもあり、
ジャンルを決めるのは難しいけれど、
でも、心にしみる映画でした。





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☆9月22日に更新しました。皆さん良いお休みをお過ごしでしょうか?☆

カプチーノはお熱いうちに
監督・原案・脚本/フェルザン・オズぺテク、原案・共同脚本・製作/ジャンニ・ロモリ、製作/ティルデ・コルシ、撮影/ジャン・フィリッポ・コルティチェッリ
出演
カシア・ムストゥニアク/エレナ、フランチェスコ・アルカ/アントニオ、フィリッポ・シッキターノ/ファビノ、カロリーナ・クレシェンティーニ/シルヴィア、フランチェスコ・シャンナ/ジョルジョ、カルラ・シニョーリス/アンナ(エレナの母)、エレナ・ソフィア・リッチ/カルメラ、ヴィヴィアナ、ドーラ(エレナの叔母)、パオラ・ミナッチョーニ/エグレ(病室の友人)、ルイーザ・ラニエリ/マリクラ(美容室の店主)、ジュリア・ミケリーニ/ディアーナ(エレナの担当医)
9月19日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
2014年、イタリア、112分、カラー、字幕/関口英子、配給/ザジフィルムズ、後援/イタリア文化会館
http://www.zaziefilms.com/cappuccino/

by Mtonosama | 2015-09-22 05:50 | 映画 | Comments(2)

カプチーノはお熱いうちに
-1-
Allacciate le cincture

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(C)2013 All rights reserved R&C Produzioni Srl - Faros Film


『カプチーノはお熱いうちに』。
本作は『あしたのパスタはアルデンテ』
http://mtonosama.exblog.jp/16410344/ http://mtonosama.exblog.jp/16422713/
のフェルザン・オズぺテク監督の作品です。

『あしたのパスタはアルデンテ』のオリジナル・タイトルは“Mine Vaganti”。
〈浮遊機雷〉という意味でした。
本作も“Allacciate le cincture”〈シートベルトをお締めください〉。
邦題が『カプチーノはお熱いうちに』。

なんですかねぇ。イタリアが舞台ってことを強調したいが故のこのタイトルでしょうか。
ちょっとなぁ・・・
でも、「今日、『シートベルトをお締めください』を観てくるね」より
「『カプチーノはお熱いうちに』観てくるわ」の方がわかりやすいのは確かです。

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舞台は前作と同じくレッチェ。
イタリア半島の長靴かかと部分にある街で、
海がきれいです。
アドリア海とイオニア海に挟まれた場所にあるので、
気分やお天気次第でどちらの海で泳ぐこともできるのだそうです。
「今日はなんてアドリア海日和なんだ!」なんてね。

前作は老舗パスタ会社の騒動をゲイの息子たちと絡めて描いた映画でした。
パスタ会社の話だからアルデンテというわけです。
本作はカフェを舞台にした人間味あふれる作品。
カフェだからカプチーノですね。
ちゃんと筋が通っています。

あ、今回もゲイの友人が登場します。
同時に、家族愛や人情味に溢れるお話です。
なんかホッコリした気分っていうか、通い合う部分があるな、
と思えるのは、舞台が南イタリアですし、
フェルザン・オズぺテク監督はトルコ出身だからかもしれません。

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フェルザン・オズぺテク監督
1959年イスタンブール生まれ。77年にイタリアに移住。ローマ・ラ・サピエンチァ大学に入学。
その後、シルヴィオ・ダミーコ国立演劇アカデミーの演出コースで学ぶ。
97年に監督デビュー作“Hamam”『私の愛したイスタンブール』(TV放送)が
カンヌ国際映画祭監督週間正式出品となり、世界の多くの国々で公開される。
2作目はイタリア=フランス=トルコ合作映画 “Harem suare”『ラスト・ハーレム』(‘99)で
オスマン・トルコの最後の日々を描いた。
3作目の“『無邪気な妖精たち』(‘01/イタリア映画祭上映)はベルリン国際映画祭に正式出品され、
フライアーノ映画祭で監督賞、ニューヨーク・レズ&ゲイ映画祭で最優秀作品賞を受賞。
4作目の『向かいの窓』(‘03 DVD)ではカルロヴィ・ヴァリ映画祭でグランプリ、最優秀監督賞、最優秀女優賞の3部門を制覇、イタリアのアカデミー賞にあたるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で11部門に
ノミネートされ最優秀作品賞をはじめ4部門で受賞し、国内外で監督としての評価を確立。
それ以後もダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞12部門ノミネートされた『聖なる心』(‘05 /イタリア映画祭上映)、『対角に土星』(‘07 /イタリア映画祭上映)、ヴェネツィア国際映画祭に正式出品された“Un giorno perfetto”(‘08)、『あしたのパスタはアルデンテ』(‘10)、『異人たちの棲む館』(‘12 DVD)
等の作品をコンスタントに発表し続けている。
それらは人間のコミュニケーションやセクシュアリティをモチーフ、テーマとして採りあげ、
俳優の演技、物語の面白さ、映画的演出で観客を魅了。
次回作は著作“Rosso Istanbul”「赤いイスタンブール」の映画化。
異国で成功した映画監督が故郷に帰るという自伝的物語。

監督の紹介が長くなりましたが、さあ一体どんなお話でしょうか。
続きは次回まで乞うご期待でございます。



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カプチーノはお熱いうちに
監督・原案・脚本/フェルザン・オズぺテク、原案・共同脚本・製作/ジャンニ・ロモリ、製作/ティルデ・コルシ、撮影/ジャン・フィリッポ・コルティチェッリ
出演
カシア・ムストゥニアク/エレナ、フランチェスコ・アルカ/アントニオ、フィリッポ・シッキターノ/ファビノ、カロリーナ・クレシェンティーニ/シルヴィア、フランチェスコ・シャンナ/ジョルジョ、カルラ・シニョーリス/アンナ(エレナの母)、エレナ・ソフィア・リッチ/カルメラ、ヴィヴィアナ、ドーラ(エレナの叔母)、パオラ・ミナッチョーニ/エグレ(病室の友人)、ルイーザ・ラニエリ/マリクラ(美容室の店主)、ジュリア・ミケリーニ/ディアーナ(エレナの担当医)
9月19日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
2014年、イタリア、112分、カラー、字幕/関口英子、配給/ザジフィルムズ、後援/イタリア文化会館
http://www.zaziefilms.com/cappuccino/

by Mtonosama | 2015-09-19 04:57 | 映画 | Comments(4)

ぼくらの家路
-2-
Jack

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(C)PORT-AU-PRINCE Film & Kultur Produktion GmbH


日本の子どもたちも、ドイツの子どもたちも、
みんな必死に生きています。

前回、誰も悪い大人は出てこない、と書きました。
そうなんです。
20歳になるかならずかで子どもを持ったシングルマザーのザナ。
彼女は自分が遊びたい盛り。
息子たちを家に残し、夜な夜な遊びにでかけます。
子どもたちを連れて公園へ遊びにいっても
彼女は友人たちと避妊の話で盛り上がり、挙句、そのまま飲みに出かけ、
子どもたちだけを家に帰らせます。

え、母親が悪いだろうって?

そうなんですよね。

自分の遊びや恋人作りに一生懸命で
口答えもせず、ママを助けて家のことをするジャックに
小さな弟の世話もおしつけているんですから、
彼女のやっていることは立派な育児放棄です。

でもね、彼女、子どもたちを怒鳴りつけたり、叩いたりは決してしないし、
福祉局の役人の冷たい対応には息子をかばって断固言い返したりもします。

だから、ジャックはママが大好きで、家事だって喜んでやっています。

だから、この映画を観る前には決して母や大人が悪いと決めつけないで
ただ、ジャックの働きと行動と決断を注視してほしいのです。
10歳にして大人の階段を上るジャックの目で。

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ストーリー
ベルリン。朝。
10歳のジャックは今朝も6歳の弟マヌエルに朝食を作って食べさせ、
物干しロープからTシャツを外し、身につけるやもう学校に行く時間。
シングルマザーのザナは子育てより恋人や夜遊びを優先しているので
ジャックが代わりに家事と弟の世話を引き受けていた。

だが、ある日、事件が起こった。
ジャックはお湯の温度を調節し忘れてしまい、
マヌエルが火傷を負ってしまったのだ。
その結果、ジャックは養護施設に預けられることになってしまう。

そこでは乱暴な上級生に目をつけられ、何かと苛められるジャック。
友だちもできないまま、待ち望むのはママが迎えに来てくれる夏休み。
ところが、ママは「仕事が入ったので迎えは3日遅れるわ」と電話してきた。

がっかりしたジャックは同室のマークの双眼鏡を持って
施設の裏にある森へ出かける。
ジャックと同じく居残り組のいじめっ子の上級生が
その双眼鏡を川に投げ込んだ時、思わず太い枝で彼を殴り倒してしまった。

その場を逃げ出したジャック。
彼は施設へは戻らず、家へ帰ることにした。

ひたすら歩き続けるジャック。
なけなしの金でケバブを食べ、その店から母の留守電メッセージに
「今から帰るよ」と吹きこんだ。
長い間歩き続け、ようやく辿りついたアパートの階段を勇んで駆け上がる。
だが、ママはいない。
いつもの鍵の隠し場所を探しても鍵はみつからない。

ジャックはママに伝言メモを残し、マヌエルの預け先に向う。
「ママを探そう」と決めた兄弟はママのバイト先や妖しいナイトクラブ、
ベルリン中、ママのいそうな場所を探しまわる。

でも、ママはどこにもいない。
疲れ果てた2人は地下駐車場の廃車の中で夜を明かすのだった……

ジャックが心細い思いを封印し、小さなマヌエルの手をひき、
靴ひもを結んであげながらベルリン中を歩き回ります。
大人たちは彼らを邪険に扱ったりはしないけれど、
だからといって何かをしてくれるわけではありません。

すべて10歳のジャックが自ら決断し、
どうすべきかを決定します。

心の成長痛という言葉があります。
本作は確かに痛みを感じさせる映画です。
でも、それはジャックが一足早く、そして、確実にママより大人になっていく――
その時に感じる心の成長痛なのかもしれません。





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ぼくらの家路
監督/エドワード・ベルガー、脚本/エドワード・ベルガー、ネル・ミューラー=ストフェン、プロデューサー/ヤン・クルーガー、レネ・ローマート、撮影/イェンス・ハーラント
出演
イヴォ・ピッツカー/ジャック、ゲオルグ・アームズ/マヌエル、ルイーズ・ヘイヤー/ザナ、ネル・ミュラー=ストフェン/ベッキ、ヴィセント・レデツキ/ヨナス、ヤコブ・マッチェンツ/フィリップ
9月19日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
2013年、ドイツ、103分、日本語字幕/吉川美奈子、配給/ショーゲート、後援/ドイツ連邦共和国大使館、http://bokuranoieji.com/

by Mtonosama | 2015-09-16 05:41 | 映画 | Comments(4)

ぼくらの家路
-1-
Jack

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(C)PORT-AU-PRINCE Film & Kultur Produktion GmbH


子ども受難の時代です。
街に出れば、犯罪にまきこまれ、
何よりも安全であるべき家庭や学校でも息もたえだえの子どもたちがいます。

この映画もそんな子どもが主人公。
ある夏の3日間。
10歳と6歳の兄弟が母を探す日々を描いた作品です。

10歳の兄はまだ靴の紐も結べないような小さな弟を守り、
自分だって世話をされていたい年齢なのに、
細い肩を精一杯緊張させて生きています。

このお兄ちゃんが良いんです。
はっきり言ってそんなに可愛い子ではありません(ごめんなさい)。
あまりにも一生懸命に日々を生きているので
あどけなさもありません。

金髪でクルクル巻き毛の天使のような弟が
いつも一緒なので余計にそう感じるのかもしれませんが。

昨年ベルリン国際映画祭コンペティション部門で上映され、熱烈な支持を受けた作品。
その時は残念ながら賞は逃しましたが、
数々の映画祭で観客賞や審査員賞に輝きました。
2015年にはドイツ映画賞で作品賞、監督賞、脚本賞にノミネートされています。

監督はエドワード・ベルガー。
脚本も書き、本作で一躍映画作家としての地歩を確立しました。


エドワード・ベルガー

1970年、ヴォルフスブルク出身。ヴォルフスブルクはドイツ・ニーダーザクセン州に属し、フォルクワーゲンの本社所在地で、同社の企業城下町として発展した町である。
94年、ニューヨーク大学で映画監督法を学び、卒業。その後、アメリカのインディペンデント映画制作会社グッド・マシンで仕事に携わり、アン・リー監督やトッド・ヘインズ監督の映画などで経験を重ね、97年よりベルリンに在住。本作は長編映画3作目でネル・ミューラー=ストフェンと共に書いた脚本に基づいて製作された。

ネル・ミューラー=ストフェンは
本作で主人公ジャックが預けられる養護施設の教師も演じていますよ。

さて、主人公ジャックを演じ、強烈な印象を残したイヴォ・ピッツカーは
信じられないことですが、今回初めてカメラの前に立った少年です。

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ジャックを演じる少年を求めて、
毎日毎日半年にわたり、監督と脚本家はベルリン中を回り、
何百人もの子どもたちに会いました。
慈善団体の施設などを探しまわり、
「もうこの映画は諦めるしかないかもしれない・・・」
という気持になりかかっていたとき
”ジャック“は現れました。

イヴォ・ピッツカーはサッカーの好きなインターナショナル・スクールに通う少年でした。

『誰も知らない』(‘04 是枝裕和監督)
『ある子供』(‘05 ダルデンヌ兄弟監督)
『少年と自転車』(‘11 ダルデンヌ兄弟監督)
http://mtonosama.exblog.jp/17336359/ http://mtonosama.exblog.jp/17346889/
など、子どもが子どもを作ってしまった、というか、
親が大人になりきれず子どもを育てられない、という映画は多く、
ジャックたちの母親もそんな大人になりきれない大人です。

といっても彼女はアルコールや麻薬依存者ではないし、
子どもたちに暴力を振るうこともありません。
優しい良い(?)ママなんですけどね。

さあ、どんなお話でしょうか。
誰も悪い大人は出てこないんですよ。


次回まで乞うご期待くださいませ。



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ぼくらの家路
監督/エドワード・ベルガー、脚本/エドワード・ベルガー、ネル・ミューラー=ストフェン、プロデューサー/ヤン・クルーガー、レネ・ローマート、撮影/イェンス・ハーラント
出演
イヴォ・ピッツカー/ジャック、ゲオルグ・アームズ/マヌエル、ルイーズ・ヘイヤー/ザナ、ネル・ミュラー=ストフェン/ベッキ、ヴィセント・レデツキ/ヨナス、ヤコブ・マッチェンツ/フィリップ
9月19日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
2013年、ドイツ、103分、日本語字幕/吉川美奈子、配給/ショーゲート、後援/ドイツ連邦共和国大使館、http://bokuranoieji.com/

by Mtonosama | 2015-09-13 05:23 | 映画 | Comments(4)

天空の蜂
-2-

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©2015「天空の蜂」製作委員会


超巨大ヘリコプター。
モノづくり大国・日本の威信をかけて作られたヘリコプターです。
設計にあたった湯原さんは誇らしいに違いありません。
防衛庁へ納品するその日、妻と息子を同伴したのは「どうだ、お父さんはすごいだろ」
という気持があったのでしょう。
ところが、奥さんはめっちゃ不機嫌だし、息子も妙に神経質なんです。

ん?と思わぬところでひきつけられます。
晴れの場で、奥さんがこれほど機嫌悪いのは
湯原さん、典型的な会社人間だったからでしょう。

ま、このあたりは男女で目のつけどころは違うところでしょうが、
この夫婦はなんなんだ?と本筋とは全然関係ない部分でつかまったとのです。

さあ、いったいどんな展開になっていくのか。
不機嫌な奥さんや神経質な息子に起こる思いがけないできごとにも注目です。

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ストーリー
1995年8月8日。最新鋭超巨大ヘリ〈ビッグB〉を防衛庁へ納品する日だ。
全長34m、総重量25t
日本で初めてコンピュータによる自動制御が可能な自衛隊用ヘリコプターである。
ビッグBを設計した錦重工業の湯原は妻子と共に
式典が行われる愛知県小牧にある工場へやってきた。

同日8:00am
異変に気づきロビーを飛び出す湯原。
なんと、格納庫の扉が開き、ビッグBが動き出していた。
操縦室に人影はない。だが、機内には息子・高彦が――
徐々に高度を上げるビッグBを追い、機体につかまり、
必死に息子に呼び掛ける湯原だったが・・・

ビッグBの目的地は福井県にある原発〈新陽〉。
稼働中の原子炉の真上だった。
高度800m地点に静止すると、電力会社、県庁、マスコミ各社、警察へ
“天空の蜂”と名乗る犯人からのFAXが届いた。
「日本の原発を全て廃棄せよ。さもなければビッグBを原子炉に墜落させる。
燃料が無くなるまで、後8時間。
あなた方の賢明な決断に期待する」

小牧工場に愛知県警の指揮本部が設置される。
湯原と後輩・山下は原発〈新陽〉へ向かった。

9:29am
墜落まで6時間31分。
警察庁長官は会見を開き、高彦の命を救うようよびかける。
〈新陽〉緊急対策室に到着した湯原と山下は〈新陽〉設計者三島と会う。
〈新陽〉所長、消防本部、福井県警が協議にあたるが、
「原発は何があっても壊れない」と言い張るのみ。
だが、三島は「もし放射能が漏れれば、日本は数百年ここを捨てるしかありません」と。

錦重工業の総務課は抗議電話の対応に大わらわだった。
長期休暇を返上して出社した赤嶺は事件の行方を案じながらも、
ひそかに恋人である三島の無事を願う。

犯人から再び
「新陽を除く全ての原発を停止すれば、高彦の救出を許可する」という声明が。

11:00am
タイムリミットまであと5時間。政府は原発停止を決定。

12:00am
あと4時間。
三島のアイディアによる救出作戦が始まる。

1:00pm
あと3時間。
犯人から「全ての原発のタービン棟を破壊せよ」との通告。

福井県警の室伏刑事と部下の関根がついに犯人らしい人物に辿りつく。
プロ級のラジコン操縦技術を持つ雑賀と名乗る男だ。
室伏達と合流した防衛庁の業務官が
雑賀のアパートのドアをノックしたその時……

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いやいや息をもつかせぬ展開です。
思わぬなりゆきに握りしめる手に力が入ります。

そして原発関係者、上層部が発するどこかで聞いた台詞。
「原発はなにがあっても壊れません――」

おいおい、私たちは知っちゃったんですけど。

犯人は誰か。
原発テロの背景は?

目先の利害にとらわれウロウロする現場から遠い役人たち。
胸に一物を秘めた政府関係者。
一歩一歩真相に近づく県警の刑事達。
そして、夫への反感を募らせる妻。
人間ドラマを孕みつつ、迫りくる危機と不安。

まさに今私たちもその渦中にいるんですよね。

緊張に満ちたシーンの合間合間に挿入される無言の人々の群れ。交差点の雑踏。

「沈黙する群衆に、忘れさせてはならない」

これ、効いてます。





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天空の蜂
監督/堤幸彦、原作/東野圭吾「天空の蜂」(講談社文庫)、脚本/楠野一郎、製作総指揮/迫本淳一、撮影/唐沢悟
出演
江口洋介/湯原、本木雅弘/三島、仲間由紀恵/赤嶺、綾野剛/雑賀、柄本明/室伏、落合モトキ/関根、國村隼/中塚、石橋蓮司/筒井、佐藤二朗/今枝、三石研/佐久間、向井理/高彦(成人)、竹中直人/芦田、やべきょうすけ/根上、手塚とおる/高坂、松島花/野村
9月12日(土)全国ロードショー
2015年、日本、2時間18分、企画・配給/松竹、http://tenkunohachi.jp/

by Mtonosama | 2015-09-10 06:20 | 映画 | Comments(4)

天空の蜂
-1-

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©2015「天空の蜂」製作委員会


スズメバチ恐怖症です。
数年前、自宅室内でこやつに足の甲を刺されました。
すぐ医者に行ったにもかかわらず、真っ赤に腫れあがり、
痛いし、痒いし、1週間以上、靴も履けず、つらい思いをしました。

「天空の蜂」
天空にありながらハチと認識できるのですから、よっぽど大きなハチなのでしょう。
そして、なんだかとても禍々しいハチのように思えます。

実は「天空の蜂」は1995年に東野圭吾が発表したクライシスストーリー。
蜂は最新鋭かつ日本最大の超巨大ヘリコプターなのであります。
言ってみれば『ジュラシック・ワールド』に登場したハイブリッド恐竜、
インドミナス・レックスみたいなヘリコプターです。
http://mtonosama.exblog.jp/24301813/ http://mtonosama.exblog.jp/24322146/

それが何者かに乗っ取られ、原子力発電所の真上でホバリングしたまま静止するという
最悪の原発テロが起きてしまったという小説。

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乗っ取られるといっても誰かが乗り込んでいったり、
乗っ取りの時点でドンパチあったというのではありません。

このヘリコプター、実は超巨大なリモコン・ヘリコプターです。
何ものかに遠隔操作され、格納庫から飛び出し、原発上空へと飛んでいき、
燃料がなくなるまで原発の真上でホバリングし続けるというのです。
タイムリミットは8時間。

8時間経過したら・・・

それだけでも胃が痛くなるようなことなのに、
機内には小学生男児が潜り込んでいたのであります。

20年前に書かれたものとは思えません。
今まさに目の前にある危機です。

本作をあの福島原発メルトダウン以前に映画化したとしても、
このような説得力はなかったかもしれませんね。
いろんな意味で映像化不可能といわれていた作品です。

しかし、映像技術も進歩しました。
2011年3月には、関係者たちが「ありえない」と言っていたことも起こってしまいました。

こういう原作があるなら、それに向き合うことこそ映画に携わる人間としての道だ――
と思ったのかどうか・・・
多分、そう思ったのでしょう。

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堤幸彦監督がメガホンを取ったサスペンス・アクション超大作がいよいよ公開されます。

堤幸彦監督
1955年愛知県出身。
88年に故・森田芳光監督プロデュースのオムニバス映画『バカヤロー!私、怒ってます』内
『英語がなんだ』で映画監督デビュー。
以降、映画、TVドラマ、舞台、プロモーション・ヴィデオなど幅広い分野で活躍。
TVドラマでは『金田一少年の事件簿』(‘95 NTV)、『ケイゾク』(‘99 TBS)、
『池袋ウエストゲートパーク』(‘00 TBS)、『トリック』シリーズ(EX)、
『SPEC』シリーズ(TBS)等を手掛ける。
映画では『明日の記憶』(‘06)、『MY HOUSE』(‘12)、『悼む人』(‘15)
http://mtonosama.exblog.jp/23616090/ http://mtonosama.exblog.jp/23627557/
等の社会派作品も発表。
被災地を舞台にしたドキュメンタリードラマ『Kesennuma,Voices.』(‘12~14 CS・TBS)も制作。
最新作は『イニシエーション・ラブ』(‘15)など。

幅の広い監督さんで、同県人としては嬉しい限りです。

あ、東野圭吾さんのこともご紹介します。

東野圭吾
1958年大阪府出身。大阪府立大学電気工学科卒。エンジニアとして勤務しながら、85年「放課後」で第31回江戸川乱歩賞受賞。99年「秘密」で第52回日本推理作家協会賞、06年ガリレオシリーズ初の長編「容疑者Xの献身」で第134回直木賞受賞、同書は第6回本格ミステリ大賞、05年度の「週刊文春ミステリーベスト10」、「このミステリーがすごい!」、「本格ミステリ・ベスト10」各第1位にも輝き、08年度劇場映画が公開された。14年「祈りの幕が下りる時」で第48回吉川英二文学賞を受賞。同年、直木賞選考委員に就任。「ガリレオ」シリーズや「加賀恭一郎」シリーズなど映像化作品も多数。
他、「白夜行」「手紙」「流星の絆」「マスカレード・イブ」など多数。

理科系作家ですね。

さあ、いったいどんなお話でしょうか。
続きは次回まで乞うご期待でございますよ。



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天空の蜂
監督/堤幸彦、原作/東野圭吾「天空の蜂」(講談社文庫)、脚本/楠野一郎、製作総指揮/迫本淳一、撮影/唐沢悟
出演
江口洋介/湯原、本木雅弘/三島、仲間由紀恵/赤嶺、綾野剛/雑賀、柄本明/室伏、落合モトキ/関根、國村隼/中塚、石橋蓮司/筒井、佐藤二朗/今枝、三石研/佐久間、向井理/高彦(成人)、竹中直人/芦田、やべきょうすけ/根上、手塚とおる/高坂、松島花/野村
9月12日(土)全国ロードショー
2015年、日本、2時間18分、企画・配給/松竹、http://tenkunohachi.jp/

by Mtonosama | 2015-09-07 05:11 | 映画 | Comments(6)

首相官邸の前で
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Tell the Prime Minister

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さて、映画未体験の小熊監督。
映画づくりにあたって監督はまず毎週金曜日に行われている官邸前抗議の主催者に相談。
協力を約束してくれた彼らが撮影と編集の石崎俊一さんを紹介してくれました。

そして、2014年5月、映画づくりは決まりました。
スタッフは2名、企画決定は30分。
監督と出資は小熊英二、撮影と編集は石崎俊一。

『首相官邸の前で』を構成するのはネット上で探し当てた自主撮影映像。
それは撮影者の賛同と協力に基づいて使用された映像です。

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だからこそ、
既存メディアでは困難なカメラ位置で撮影されたシーンが随所に。

あ、そうそう。
カンパで調達したヘリコプターから撮った画像もまるで知らなかったものでした。
迫力があります。
官邸前で、あるいは新宿でスピーチする人々からは深刻で悲痛な訴えがあがります。

それにしても、本作の中で吉田理佐さんが
「記者クラブが目の前にあるのに、誰も取材に出てこないこの日本という国はおかしい」
と語っていますが、その通りだと思います。

原発事故に抗議する人々をここまで報せない日本の報道とは一体なんでしょう。

私も本作に出てくる高円寺に集まった原発事故に抗議する大勢の人々の集まりを知りませんでした。
新宿アルタ前のデモも知りません。

高円寺やアルタ前、経産省前に集まった人の情報源はインターネットでした。
撮る側も撮られる側もインターネットによってつながれていたんですね。

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映画は世代も国籍も地位も立場もまったく異なる8人へのインタビューを挿みつつ、
運動が高円寺から新宿アルタ前、そして、経産省前から首相官邸の前へと、
場所を変え、そこに人が集まり、語る経緯を粛々と映し出します。

福島第一原発1.5kmの自宅から玄関にあった3000円をひっつかんだだけで
避難した家庭の主婦である亀屋さんも官邸前でスピーチします。
吉田さんも仕事の合間をぬっては官邸前にやってきてスピーチするようになりました。
「こういう運動は自分には合わない」と言っていた育児用品会社を経営する服部さんも
変わってきます。
「日本人は声をあげないと思っていた」と語るヤシンタ・ヒンさんも
事故後本国へも帰らず、官邸前にやってきました。
そして、日本人への見方も変わりました。

「私たちがめざすのは暴動ではない。この抗議を永く続けることだ」
の声に熱した人々が散会していく様子は深く印象に刻まれました。

警備にあたる警官たちの多くは福島で任務にあたり、被爆しています。
彼らにとってもスピーチで語られることは決して無縁なことではありません。

敵も味方もないはずです。

映画は、政府首脳陣と同じテーブルにつき意見を陳述する人々、
そして2012年夏の20万人が首相官邸前を埋めつくす様子を映し出します。

民主党政権は2030年までに原発をゼロにするエネルギー基本計画を発表しました。

と、これで大団円を迎えた、といけば良かったのですが・・・

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それが「原発は重要なベース電源」ですと。

この映画を記録だけに終わらせてはいけません。

ここまで人々が動く、ということ。
じいさんばあさんだけが主役だった運動に学生や若い母親も入ってきたということ。

これを無視して再稼働を強行し、
安保法案を通すというなら、この国はいったいどうなってしまうのでしょう?






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首相官邸の前で
企画・製作・監督・英語字幕/小熊(おぐま)英二、撮影・編集/石崎俊一、音楽/ジンタらムータ、英語字幕校正/デーモン・ファリー
出演
菅直人、亀屋幸子、ヤシンタ・ヒン、吉田理佐、服部至道、ミサオ・レッドウルフ、木下茅、小田マサノリ
9月2日(水)より隔週水曜日、渋谷アップリンクにて公開
2015年、109分、日本、日本語(英語字幕付き)配給/アップリンク
http://www.uplink.co.jp/kanteimae
/
by Mtonosama | 2015-09-04 06:06 | 映画 | Comments(4)