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殿様の試写室

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<   2015年 10月 ( 11 )   > この月の画像一覧


裁かれるは善人のみ
 -2-
Leviathan


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©2014Pyramide/LM


荒涼という言葉を目で確かめてみたいとお思いでしたら、
是非とも本作をご覧ください。

例えば、とのが思う荒涼とした世界は
「嵐が丘」に出てくるようなヒースが生い茂り、
冷たい風が吹きつける曇天下の大地みたいなイメージでした。

でも、そんなのまだまだ。
本作と比べれば、乙女の憧れ(テヘッ)。
抒情性が漂っています。

本作は容赦ない荒涼感ですものねぇ。

藤原新也さんが、アジアは貧困だが、それは豊饒な貧困だ、
みたいなことを何かに書いていましたが、
本作の中の貧困には豊饒さなど薬にしたくともまったくありません。
絶望的な荒涼です。

荒漠とした舞台に加え、このタイトル。
オリジナルタイトルの“リヴァイアサン”。
リヴァイアサンといえばホッブズです。
読んではいませんが、高校時代、試験前に暗記した記憶があります。

トーマス・ホッブズ著「リヴァイアサン」
1651年に刊行された政治哲学書。
人間は自然の状態に置かれたままでは争いを起こしてしまう生きものとし、
その混乱状態を避けるため、「個人」は「国家」に権利を譲渡し、
社会契約を結んだと定義。
国家は社会による保護を確立し、個人を守り、介入。
この保障と引き換えに人間は自由を国家に委譲する。

ふーん、そうだったのか。

これは17世紀の考え方だけれど、
21世紀の今だってどうなるかわかりませんね。

さあ、一体どんなお話なのでしょうか。

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ストーリー
入り江に面した小さな町。
モスクワから遠く離れた寂しい田舎町だ。
自動車修理工場を営むコーリャは若い妻リリア、
亡妻との間に生まれた息子ロマと共に
住み慣れた家に暮らしている。
思春期のロマは継母であるリリアに心を開かず反抗的だ。

1年後に選挙を控えた強欲な市長ヴァディムは
権力にものを言わせ、コーリャの土地を買収しようと画策している。

祖父の代からの土地と家を守りたいコーリャは
市長と争うべく、戦友でもある弁護士のディーマをモスクワから呼び寄せる。
ディーマは市長の悪事の証拠をつかみ、
コーリャの件から手をひくように言い、
市長に350万ルーブルを支払わせることに同意させるのだが……

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と、ここで終わりならめでたしめでたしなのですが、
そうは問屋が卸さないのが悲劇の悲劇たる所以でございます。
悪辣な市長。
優しい顔をしながら、
神にすがるコーリャや市長すらも掌の上で転がす司祭。
若い継母リリアの苦悩。
少年の懊悩。
妻に裏切られるコーリャの苦悩。

あらゆる悲劇が錯綜し、
これでもかと襲いかかる時、
それでも人は雄々しく生きられるのでしょうか。

心が折れてしまった人々の前に
沈みかけたまま残骸をさらす廃船と
海岸に打ち上げられ巨大な白い骨となったクジラが
抗いきれない苦しみそのものとなって横たわります。







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裁かれるは善人のみ
監督/アンドレイ・ズビャギンツェフ、脚本/アンドレイ・ズビャギンツェフ、オレグ・ネギン、製作/アレクサンドル・ロドニャンスキー、セルゲイ・メルクモフ、共同製作/マリアナ・サルダーロワ、製作指揮/エカテリーナ・マラクーリナ、撮影/ミハイル・クリチマン
出演
アレクセイ・セレブリャコフ/コーリャ、エレナ・リャドワ/リリア、ウラディミール・ヴドヴィチェンコフ/ディーマ、ロマン・マディアノフ/市長、セルゲイ・ポホダーエフ/ロマ、アンナ・ウコロワ/アンジェラ、アレクセイ・ロージン/パーシャ
10月31日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
2014年、ロシア、140分、日本語字幕/大西公子、字幕監修/井上徹、配給/ビターズ・エンド、http://www.bitters.co.jp/zennin/

by Mtonosama | 2015-10-31 05:32 | 映画 | Comments(16)

裁かれるは善人のみ 
-1-
Leviathan

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©2014Pyramide/LM


人は悲劇が好きなのでしょう。
ギリシャ時代から悲劇と喜劇はあるし、
シェークスピアだって両方とも書いてますし、
悲しいことがあってこそ、喜びもきわだつ訳だし、
喜びがあるからこそ、悲しみも深く感じられるのでしょうね。

本作『裁かれるは善人のみ』はドストエフスキーも真っ青な悲惨なお話。
ロシアって「これでもかっ」「まいったかっ」て程、暗いお話が目立ちますよね。
あ、そうなんです。これはロシア映画です。
それでいてウオッカで浮かれているんですから、
よくわかりません。
いや、人生は暗いからこそ、ウォッカでも飲まなきゃやっていられないのでしょう。

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本作はカンヌ国際映画祭脚本賞、ゴールデングローブ賞外国語映画賞等受賞、
アカデミー賞外国語映画賞にもノミネートされ、
各国の主要映画祭を総なめにした作品。

監督はデビュー作『父、帰る』でヴェネチア国際映画祭金獅子賞に輝き、
『ヴェラの祈り』『エレナの惑い』と2作続けてカンヌ国際映画祭で受賞した
アンドレイ・ズビャギンツェフ。
相変わらず一度では憶えられない難しい名前です。

アンドレイ・ズビャギンツェフ
1964年ロシア、ノヴォシビルスク生まれ。
地元の演劇学校を卒業後、同市の劇場で働く。
86年、モスクワに移り、
90年、ルナチャルスキー記念演劇大学の演技コースを卒業。
劇団には所属せず、舞台やテレビ、映画の端役やエキストラを務める。
その後、広告業界に入り、テレビCMをはじめ、テレビドラマの演出を担当。
2003年に『父、帰る』で劇場長編映画デビュー。
ヴェネチア国際映画祭でソ連・ロシア映画として
『僕の村は戦場だった』(‘62、アンドレイ・タルコフスキー監督)以来の
長編映画デビュー作で金獅子賞を受賞という快挙をなす。
07年、第2作『ヴェラの祈り』でコンスタンチン・ラヴロネンコが
カンヌ国際映画祭の主演男優賞を受賞。
11年、第3作『エレナの惑い』は
カンヌ国際映画祭ある視点部門審査員特別賞を受賞した他
モスクワ国際映画祭で監督賞、
ロシアのアカデミー賞であるニカ賞で主演女優賞・助演女優賞のダブル受賞。
本作『裁かれるは善人のみ』は
カンヌ国際映画祭脚本賞、ゴールデングローブ賞外国語映画賞等受賞、
アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、
多くの映画祭で受賞している。

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とことん暗く悲劇的な本作。
なんとアメリカであった実話・キルドーザー事件に着想を得て生まれた映画です。

キルドーザー事件
マービン・ヒーメイヤーという52歳の溶接工が2008年に起こした事件。
彼のガレージの隣に倒産した工場があり、
アメリカの巨大企業が再開発のためにその土地を買い取った。
再開発に反対するヒーメイヤーは
巨大企業、市役所、警察、コロラド州を相手に闘いましたが、功を奏しません。
絶望した彼がブルドーザーを装甲車に改造し、市役所などの建物を次々と破壊した事件。

この事件に心を打たれたアンドレイ・ズビャギンツェフ監督は
本作をつくることになるのですが・・・

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さあ、いったいどんなお話なのでしょうか。
続きは次回まで、乞うご期待でございます。



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裁かれるは善人のみ
監督/アンドレイ・ズビャギンツェフ、脚本/アンドレイ・ズビャギンツェフ、オレグ・ネギン、製作/アレクサンドル・ロドニャンスキー、セルゲイ・メルクモフ、共同製作/マリアナ・サルダーロワ、製作指揮/エカテリーナ・マラクーリナ、撮影/ミハイル・クリチマン
出演
アレクセイ・セレブリャコフ/コーリャ、エレナ・リャドワ/リリア、ウラディミール・ヴドヴィチェンコフ/ディーマ、ロマン・マディアノフ/市長、セルゲイ・ポホダーエフ/ロマ、アンナ・ウコロワ/アンジェラ、アレクセイ・ロージン/パーシャ
10月31日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
2014年、ロシア、140分、日本語字幕/大西公子、字幕監修/井上徹、配給/ビターズ・エンド、http://www.bitters.co.jp/zennin/

by Mtonosama | 2015-10-28 05:24 | 映画 | Comments(8)

犬に名前をつける日
-2-

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(C)スモールホープベイプロダクション


本作はドキュメンタリードラマでありますから、
本当に活動していらっしゃる方々も登場します。
いや、実にこの方々には頭が下がります。

まず「ちばわん」。
ちばわんhttp://chibawan.net
関東を中心に250名を越えるボランティアのみで活動する動物愛護団体。
2002年、多頭飼い現場を目の当たりにし、有志で活動開始。
殺処分ゼロを目指し、
「繁殖に反対」「不妊・去勢手術の推進」「行き場のない犬・猫の家族探し」を掲げている。
動物愛護センターからの引き出しと譲渡先探し、野良猫の不妊・去勢手術、
多頭飼育崩壊やブリーダー廃棄現場での不妊・去勢手術とレスキューなど。
2015年までに5000頭近くの犬猫の命を救ってきた。
1頭でも多くの犬猫にもう一度生きるチャンスを与えるために精力的に活動している。
シェルターを持たず、各家庭で保護犬・保護猫を預かる。

あ、いかん。ここでもうあの犬たちの目を思い出して泣けてきた・・・

次に登場する方たちにも感激しました。
犬猫みなしご救援隊です。

犬猫みなしご救援隊http://www.minashigo.jp/
広島県に本拠地を置き、栃木県に活動拠点をおく。
獣医師を含む専門知識の豊富な行動力のある団体として「終生飼養」と「譲渡活動」」を基盤に
伴侶動物の救援活動を行う団体。
1990年、代表・中谷百里が個人で野良猫の保護活動を始め、
2005年、犬猫みなしご救援隊としてNPO法人を取得し、2年後に終生飼養ホームを建設。
東日本大震災発生の4日後に被災地に入り、福島原発20キロ圏内から犬猫他動物1400頭を救出。
2013年から広島市動物管理センターに収容された猫全頭と譲渡対象外の引き出しを続行。
広島市の殺処分機の使用を廃止させ、広島市と協働して地域猫活動を行っている。
また現在、広島と栃木の施設では行き場のない犬猫あわせて1300頭の保護育成を行っている。

福島では犬も猫も牛もみんな呆然自失としていました。
人はもちろんですが、
訳もわからず自分だけ置いてきぼりになってしまった彼らのとまどいは
いかばかりだったでしょう。
中谷さんたちの活動には本当に頭が下がります。

本作の舞台は福島、横浜、広島と各地に飛びます。
どんなストーリーかというと・・・

ストーリー
TVディレクターの久野かなみは愛犬を病気で亡くしてから何をする気も起きない。
そんな時、大先輩の映画監督渋谷昶子さんに
「悲しむ暇があったら、犬の映画を撮りなさい」と励まされる。

飼い主のいない犬や猫は「動物愛護センター」で一定期間保護され、
飼い主がみつからなければ殺処分されてしまう。
かなみはセンターで殺される犬猫や、
震災後、福島原発20キロ圏内に残された動物たちの姿を目の当たりにして
大変なショックを受ける。

「ちばわん」の代表・扇田桂代さんは打ち棄てられたブリーダーの店から
46頭の犬を救い出したり、被災地の犬猫に無償で不妊去勢手術を行っている。
副代表の吉田美枝子さんは毎週愛護センターに通い、
2015年までに5000頭の犬猫の命を救ってきた。

一方、「犬猫みなしご救援隊」はシェルターを構え、1000頭以上の犬猫を保護している。
震災後には原発20キロ圏内から1400頭の犬猫を救出。
代表の中谷さんは言う。
「助けられる命は全部救う」と。

彼女達の取り組みをしったかなみは「自分には何ができるのか?」と問いかける。
その頃、元夫・前田から連絡が。
自らのふがいなさを訴えるかなみにカメラマンの前田は
「自分たちの役目はそれを撮って伝えることじゃないのか」と励ます。

かなみは保護された後の犬たちの取材を開始。
震災を生き抜いた犬と飼い主との絆。
保護犬を受け入れる老人ホーム「さくらの里山科」の
お年寄りと犬たちが寄り添うように生きる姿。

保護犬だった犬たちが新たな飼い主と暮らす姿を見て
「歎くだけではなく自分にできることをしよう」と
かなみはある決心をする……

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流行だからと繁殖され、売れなくなったからと放置される犬たち。
欲しい人がいるから増やす人がいるわけです。
でも、犬や猫はオモチャじゃないんです。

動物愛護センターに1歳にもならない犬が唇をかみしめるようにして立っていました。
コロコロした子犬じゃなくなったからといって棄てられたんです。

また泣けてきた・・・

泣いてばっかりじゃいけませんね。
映画に登場するボランティアさんやNPOの努力の結果、
処分される犬や猫は年々減ってきているそうです。

まずは飼ったら命尽きるまで面倒をみなくちゃいけません。
作品中、保護犬譲渡会場で犬が欲しいという人に
「この犬は後15年は生きます。
誠に失礼ですが、あなたのお歳ではそこまで世話することはできない」
という「ちばわん」の女性の言葉に
もう二度とこの犬に悲しい思いをさせたくないという強い思いを感じました。

絶対泣いてしまう映画です。





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犬に名前をつける日
監督・脚本・プロデューサー/山田あかね、構成/松谷光絵、撮影/谷茂岡稔、編集/大泉渉、音楽/つじあやの、主題歌/ウルフルズ「泣けてくる」協力/「ちばわん」(篠崎和正、篠崎聖子、斉藤智恵、佐藤快枝、ちばわんメンバーの皆さま)、「犬猫みなしご救援隊」(郷原妙美、古川雅美、増田忍)、千葉県動物愛護センター、広島市動物管理センター、特別養護老人ホームさくらの里山科(畠美佐子)、松戸市立福祉医療センター東松戸病院、出口泰男、丸宝行晴、松谷早苗、市川幸嗣、江崎渡、長谷川徹、アルファヴィル、鬼塚正、ゼロライトイヤーズ、シャシャ・コーポレーション
出演
小林聡美、「ちばわん」(扇田桂代、吉田美枝子)、「犬猫みなしご救援隊」(中谷百里、田原好巳)、山口武雄、若山三千彦、新見江利、柳沢裕子、菅野さつき、菅野一幸、菅野智恵、渋谷昶子、藤井聡、青山美郷、今村沙緒里、ハル、ナツ、チコ(ノワール)、上川隆也
10月31日(土)シネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開
2015年、107分、カラー、配給/ス―ルキートス、http://www.inu-namae.com/

by Mtonosama | 2015-10-25 05:59 | 映画 | Comments(8)

犬に名前をつける日
-1-

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(C)スモールホープベイプロダクション


愛犬を亡くした山田あかね監督。
泣いてばかりいたけれど、収容所の犬や猫たちの現実を知って
200時間もの映像を撮りました。
収容所の犬や猫。それはほとんどが飼い主に捨てられた犬猫です。

収容所の犬の実態。
ご存知ですよね。処分の日まで一日一日檻を移っていき、最後に殺されるのです。
亡くなった母はニュースなどでこういうシーンが流れると
「あ~あ、もうダメ!」
とスイッチを切ってしまっていました。

とのだってできれば見たくない。
人が通ると眼で追い、鳴きながら訴える犬たち。
狭い檻の中でじーっと香箱をつくっている猫たち。

棄てるのなら飼うな!
買うな!


あ、すいません。いきなり怒ってしまいました。

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愛犬を亡くした監督は山田あかねさん。
2010年秋。愛犬のゴールデンレトリーバーを亡くし、
この犬種のルーツであるイギリスに行き、
保護施設や動物病院を訪ね歩いたそうです。

すると

「そこまでするなら映画にすべき。これまでなんのために映像の仕事をしてきたの?」

と大先輩の映画監督・渋谷昶子さんに一喝され、取材を始めました。
そして、4年間動物たちやそれに関わる人達を追い続けてきました。
震災後の福島にも行きました。

渋谷昶子
1932年大連生まれ。
敗戦後、鹿児島市に引き揚げ、高校を卒業。
中央大学に在学中映画に魅了され、映画のスクリプターとなる。
五所平之助、新藤兼人、今井正監督の諸作品につき師事。
1964年『挑戦』(東京オリンピックをめざす日紡貝塚バレーボールチームの死闘を主題にした作品)が
カンヌ国際映画祭で短編部門、日本初のグランプリを受賞。
その他の主な作品は『鏡のない家に光溢れ』(‘96)、『兼子』(‘04)など。

山田あかね
東京生まれ。
TV番組のディレクター、ドラマの脚本、演出、小説家、映画監督として数多くの作品を制作。
映画『すべては海になる』(‘10 佐藤江梨子、柳楽優弥出演)、小説「ベビーシャワー」
「しまうたGTS」(以上小学館)「まじめなわたしの不まじめな愛情」(徳間書店)など。
2012年より犬の殺処分をテーマにひとりで取材開始。
「むっちゃんの幸せ~福島の被災犬がたどった数奇な運命~」(NHK総合2014年9月放送)、
「生きがい1000匹の猫と寝る女」(ザ・ノンフィクション・フジテレビ2015年3月放送)などを発表。

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本作『犬に名前をつける日』はドラマ仕立てのドキュメンタリー映画です。
当初は一般的なドキュメンタリーにするつもりだったのですが、
NHKテレビ「むっちゃんの幸せ~福島の被災犬がたどった数奇な運命~」
でナレーションを担当した小林聡美さんと出会ったことで予定変更。
ドキュメンタリーとドラマを融合した作品になりました。

出演俳優は他に上川隆也さんも。
上川さんは自身の愛犬ノワールと一緒の出演でした。
ノワールくんは映画ではチコ↑の名前で出ていますよ。

他にも素晴らしい出演者がいるのですが、
それは次回までのお楽しみということで。
どうぞご期待くださいませ。




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犬に名前をつける日
監督・脚本・プロデューサー/山田あかね、構成/松谷光絵、撮影/谷茂岡稔、編集/大泉渉、音楽/つじあやの、主題歌/ウルフルズ「泣けてくる」協力/「ちばわん」(篠崎和正、篠崎聖子、斉藤智恵、佐藤快枝、ちばわんメンバーの皆さま)、「犬猫みなしご救援隊」(郷原妙美、古川雅美、増田忍)、千葉県動物愛護センター、広島市動物管理センター、特別養護老人ホームさくらの里山科(畠美佐子)、松戸市立福祉医療センター東松戸病院、出口泰男、丸宝行晴、松谷早苗、市川幸嗣、江崎渡、長谷川徹、アルファヴィル、鬼塚正、ゼロライトイヤーズ、シャシャ・コーポレーション
出演
小林聡美、「ちばわん」(扇田桂代、吉田美枝子)、「犬猫みなしご救援隊」(中谷百里、田原好巳)、山口武雄、若山三千彦、新見江利、柳沢裕子、菅野さつき、菅野一幸、菅野智恵、渋谷昶子、藤井聡、青山美郷、今村沙緒里、ハル、ナツ、チコ(ノワール)、上川隆也
10月31日(土)シネスイッチ銀座ほかにて全国順次公開
2015年、107分、カラー、配給/ス―ルキートス、http://www.inu-namae.com/

by Mtonosama | 2015-10-22 05:36 | 映画 | Comments(17)

わたしの名前は・・・
-2-
je m’appelle hmm….

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(C)Love streams agnès b. Productions


さ、そんなア二エス・ベー、
いえ、アニエス・トゥルブルが撮ったのはどんな作品でしょう。

映画好きなデザイナーの隠し芸的なものでしょうか。
決してそんなことはないんですよ。

本人は
「私がこの映画を撮ったのは
洋服以外の方法で自己表現をする必要性を感じて
それが頭から離れなかったからです」
と言っていますし、
実は2000年代の初め頃から2~3分の短い映画を撮っていたそうです。

本作で監督も脚本も撮影も美術も担当しているのには
こんな素地があったからなんですね。

2日で一気に書き上げたという本作の脚本のきっかけは
10年以上前にル・モンド紙で読んだ記事。
検察官のオフィスでペーパーナイフで自殺した男。
自殺に至るまで、彼には何があったんだろう
と思ったことでした。

ドキドキしますね。

さあ、いったいどんなお話なんでしょうか。

ストーリー
セリーヌは12歳。小さな妹と両親と暮らしている。
時折、一家で祖母の家に遊びに出かけたりもする。

母が仕事で帰りが遅くなり、妹が就寝すると
父はセリーヌを2階に呼ぶ。
呼ばれるままに2階へ行き、何事もなかったかのように
階下へ降りてくるセリーヌ。

ある日、母とスーパーへ買い物に出かける。
学校の自然教育で海に行くのだ。
観光バスまで母に送ってもらうセリーヌ。

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ランド県(フランス南部の大西洋に面した県)の海辺。
砂浜と海と空が拡がるだけの場所だ。
クラスメートたちがそれぞれに遊びをみつけ、熱中する中、
セリーヌはひとり砂浜を散策する。

そして、そこにたまたま停まっていたトラックに乗り込み姿を隠す。
眠り込んでしまったのかもしれない。
トラックに現れたのはスコットランド出身の運転手。
この長距離トラック運転手は英語しか話せず、
セリーヌはフランス語しか話せない。

スキンヘッドにタトゥ。
いかめしい体つきながらどこか淋しい目をした彼に
セリーヌは言葉は通じないながらも心を許し、
二人は旅を続ける……

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実は、彼女は父親から性的虐待を受けていて
そのことが彼女の人生だけではなく、運転手の人生にも深く関わっていきます。

近親相姦。
とてもおぞましいテーマです。
できれば観たくない。
とのはそう思いましたが、フランスの児童福祉局も同じことを考えました。
担当者は「この作品は作らせない」とまで言い、
実際に撮影は頓挫しました。
その後、その反対していた担当者が退職したことで撮影は再開しました。

父親から受ける行為の意味はわからなくても
決して楽しくはなかった少女。

そのセリーヌがトラック運転手との旅やいろいろな人との出会い・・・
例えば、森の中で踊る白塗りの日本人ダンサーや
イタリア人の放浪の哲学者との出会いの中で
12歳らしさを自然に蘇らせていく様子に安心します。

といっても「森や旅は人を癒してくれる」という映画ではありませんが。

異分野の人にありがちな抽象的で自己満足的な作品かも、
という偏見を見事に裏切ってくれた映画でした。

ただ随所に「ああ、やっぱりデザイナーだなぁ」と思わせるシーンが
点綴されていたところにアニエス・ベーを感じさせました。

タイトルの「私の名前は・・・」je m’appelle hmm….

セリーヌ自身、楽しげにふるまいながらも
トラック運転手との旅をただ天真爛漫に喜んでいたわけではなく、
少女らしからぬ、
とはいえ、やはり12歳の少女らしい思いを表しているのかもしれません。
Hmm





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わたしの名前は・・・
監督・脚本/アニエス・トゥルブル(アニエスベー)、協力/ジャン=ポル・ファルゴー、撮影/アニエス・トゥルブル、ジャン=フィリップ・ブーイエ、ゲストカメラマン/ジョナス・メカス、製作/ラブストリームス・アニエスベー・プロダクション、クリストフ・オドゥギ
出演
ルー=レリア・デュメールリアック/セリーヌ、シルヴィー・テステュー/母、ジャック・ボナフェ、ダグラス・ゴードン/トラック運転手、ノエミー・デュクロー/妹、エミール・ゴーティエ/弟、マリー=クリスティーヌ・バロー、亜弥/女性舞踏手、雫境(ダケイ)/男性舞踏手、アントニオ・ネグリ/放浪の哲学者
10月31日(土)渋谷アップリンク、角川シネマ有楽町ほか全国順次公開
2013年、フランス、121分、カラー、一部モノクロ、提供/アニエスベー、配給/アップリンク、http://www.uplink.co.jp/mynameis/

by Mtonosama | 2015-10-19 05:05 | 映画 | Comments(6)

わたしの名前は・・・
-1-
je m’appelle hmm….

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(C)Love streams agnès b. Productions


映画好きでつとに有名なデザイナー。
あのagnès b.(アニエス・ベー)がとうとう監督として映画作品を世に送り出しました。

アニエス・トゥルブレの本名で
監督のみならず脚本も撮影も美術も担当しています。
すごいですね。

え~、私、最近ミニマリストとしてデビューしまして、
(っていうか、ただお金がないってことですが)
服もバッグも何も買わないのですが、
昔はagnès b.のカーディガンも持っていました。
あ、そういえばバッグもあります。
とはいえ、カーディガンは母から
バッグは妹からもらったお古ですけどね。
スウェット素材のジャケットはシンプルで着やすく、
バッグも軽くて持ちやすく好きです。

でも、今日はファッションのagnès b.ではなく
映画監督のアニエス・トゥルブルの登場です。

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彼女、これまでにデヴィッド・リンチ監督の『マルホランド・ドライブ』や
クエンティン・タランティーノ監督『パルプ・フィクション』ほか
話題の映画で衣装をデザインするだけでなく、
自分自身の映画製作会社
ラブストリームス・アニエスベー・プロダクションズも設立しています。

アニエス・ベー

アニエス・ベーは、1941年にフランス・ヴェルサイユで弁護士の娘として生まれる。本名アニエス・トゥルーブレ。美術館のキュレーターを目指して、ヴェルサイユ美術学校に進学。美術学校卒業後の17歳のときにクリスチャン・ブルゴワと結婚し、長男を出産するもののすぐに離婚。その後、1964年に雑誌出版社のELLEに入社して編集者となり子供向けのファッションを担当する。同社退社後は「ドロテビス」でスタイリストを2年経験、フリーの立場で「ピエール・ダルビー」でデザイナーを経験。
1975年に自らのファッションブランドとしてアニエス・ベーを立ち上げ、フランス・パリのレ・アール地区にブティックをオープン。1980年には、ニューヨークに2号店を出店。その後、オランダ・イギリス・日本・香港・スイスなどにも進出し世界中に店舗を持つブランドに成長した。
チャリティーにも熱心で、日本赤十字社、エイズ撲滅活動やサラエヴォやコソボに対する支援を行う。阪神・淡路大震災の際にも、Tシャツを販売して収益を支援活動にあてた。また、北極探検隊から始まり、2009年からは微小生物によるCO2吸収の調査を行ったTara expeditionの主な支援者である。(Wikipediaより)

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皆さまもよくご存知の通り、アニエス・ベーはこんなすごい方です。
この他にも、各号ごとにひとりのアーティストを取り上げる無料のアート機関誌
「ポワンディロニー」を出版するなど、
常にファッション以外でも芸術的な表現の手段を探し求めています。

本作はそんな彼女が数日で書きあげた脚本『わたしの名前は…』を2012年から13年に撮影したもの。
第70回ヴェネチア国際映画祭のオリゾンティ部門で上映された他、
ニューヨークやアブダビなどの有名な映画祭で上映されました。
サラエヴォ映画祭の設立時からの援助と現地での映画産業への発展への貢献が認められ、
「サラエヴォの心の名誉賞」を授与されています。

最近では映画の支援、振興、保護に対してアンリ・ラングロワ賞を受賞しました。
とまあ、アニエス・べーのことだけでいっぱいになってしまいました。
次回は映画の方をご紹介します。
乞うご期待でございますことよ。



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わたしの名前は・・・
監督・脚本/アニエス・トゥルブル(アニエス・ベー)、協力/ジャン=ポル・ファルゴー、撮影/アニエス・トゥルブル、ジャン=フィリップ・ブーイエ、ゲストカメラマン/ジョナス・メカス、製作/ラブストリームス・アニエスベー・プロダクション、クリストフ・オドゥギ
出演
ルー=レリア・デュメールリアック/セリーヌ、シルヴィー・テステュー/母、ジャック・ボナフェ、ダグラス・ゴードン/トラック運転手、ノエミー・デュクロー/妹、エミール・ゴーティエ/弟、マリー=クリスティーヌ・バロー、亜弥/女性舞踏手、雫境(ダケイ)/男性舞踏手、アントニオ・ネグリ/放浪の哲学者
10月31日(土)渋谷アップリンク、角川シネマ有楽町ほか全国順次公開
2013年、フランス、121分、カラー、一部モノクロ、提供/アニエスベー、配給/アップリンク、http://www.uplink.co.jp/mynameis/

by Mtonosama | 2015-10-16 06:01 | 映画 | Comments(4)

ボーダレス
ぼくの船の国境線
-2-
Bedone Marz
Borderless

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© Mojtaba Amini


イランとイラクの国境を流れる川に
30年以上放置されたままになっている一艘の廃船が映画の舞台。

30年前、イラン・イラク戦争時に壊され、
それ以来そのままになっている船です。
映画と現実がそのまま連動しているかのようです。

この映画、主な出演者は3人だけ。
1人は廃船の中で逞しく生きる少年。
彼はペルシャ語を話します。
もう1人は図々しく乗り込んでくる少年兵。
アラビア語を話すこの子は少年と同い年くらい。
そして、最後に侵入してくるのは唯一の大人であるアメリカ兵。
彼が話すのは英語です。

観客は殆どの場合、字幕に頼って映画を観ています。
もちろん、そうではない方も大勢おられることでしょうが。

お互いの言葉がわからないということでは
観客もこの3人の登場人物と同じです。
どうぞ4人目の登場人物としてこの廃船にご入船ください。

ストーリー
古い船を住みかとし、ひとりで逞しく暮らす少年。
そこに突然国境のあちら側から少年兵が乗り込んでくる。
少年兵は甲板にロープを張り自分の領分とし、
船の備品を勝手に持ち出していく。
少年は怒るが少年の話す言葉は少年兵には通じず、
少年も少年兵の言葉がわからない。
時に銃を構えて威嚇する少年兵。
爆撃音が続いたある日、少年兵が赤ん坊を連れ込む。
赤ん坊を抱いて震える少年兵。
その日以来、2人の間に仲間意識のようなものが生まれた。
そんな廃船にまたまた1人の侵入者が……

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廃船の中で交錯するペルシャ語、アラビア語、英語。
誰も理解できず、話すこともできない言語は無力なものです。
しかし、3人の間には、最初の緊張が消えると、
平和とはいえないまでも微妙なバランスが生まれてきます。
言葉は通じないままですが。

少年兵は実は少女でした(どう見ても男の子にしか見えませんけど)。
2人の間に恋心が生まれるわけではありません。
ただ子どもたちが全力でぶつかり、生きる姿はとても鮮烈です。
唯一の大人である最後の侵入者・アメリカ兵は
故国の家族に想いを馳せながら折れそうな心を支えています。

時代はおそらくは1980年代のイラン・イラク戦争後。
イラン・イラクの国境での三人三様の生活と苦悩。
いまだ終わりを見せない中東の争い。

そこにスポンと切りぬかれたエアポケットのような廃船。
言葉は通じなくても、そこに訪れるひとときの安らぎには吐息がもれます。
少年兵の張ったロープは取り外され、言葉すら必要ないボーダレスな船の中に
癇癪持ちの神以前の世界の在り様を見ることができるような気がします。
例え、それがひとときの世界に過ぎないとしても。

3人の名優たちは全員が素人。
子どもたちは最後まで映画を撮影しているとは気づかず、
自然にふるまっていました。
撮影が終わった後に
「いつ撮影が始まるんですか?」と訊いてきたそうです。

イランにまたすばらしい監督と名作が生まれました。
そして、名優も。







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ボーダレス
監督・脚本/アミルホセイン・アスガリ、エグゼクティブ・プロデューサー/モスファ・ソルタニ、撮影/アシュカン・アシュカニ
出演
アリレザ・バレディ、ゼイナブ・ナセルポァ、アラシュ・メフラバン、アルサラーン・アリプォリアン
10月17日(土)新宿武蔵野館ほか全国順次公開
2014年、イラン、102分、配給/フルモテルモ、http://border-less-2015.com/

by Mtonosama | 2015-10-13 05:10 | 映画 | Comments(10)

ボーダレス
ぼくの船の国境線
-1-
Bedone Marz
Borderless

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© Mojtaba Amini


昔、人間は天に近づこうと高い高いバベルの塔を作りました。
その頃、人間はひとつの言葉を話し、みな理解し合うことができていたのだそうです。

天上の高みからそれを見ていた神は人間の小賢しさに怒り、
塔を壊し、ひとつの言葉で通じあっていた人々の言葉をバラバラにし、
通じ合えないようにしてしまいました。

昔の人々がそんな大それたことさえしなければ、
神様も癇を立てることはなかったのでしょうね(でも、神様って怒り過ぎ)。

私たちも苦労して外国語を学ぶ必要はなかったのに、
あ~あ
と、いまさら文句をいっても仕方ないですが。

こんな古い話を持ち出したのは、
本作『ボーダレス ぼくの船の国境線』には
一艘の廃船の中でたまたま一緒に過ごすことになった
言葉が通じない3人の人物が登場するからです。
それぞれがペルシャ語、アラビア語、英語を話すのですが、
3人が3人とも自分の言葉しか話せないし、理解することができません。

この3人に限らず、みんなが1つの言葉で意思を通じあえたら
どんなに楽で平和だったろうなぁと思います。
本当に神様って癇癪持ちなんだから。

本作はイランの新鋭アミルホセイン・アスガリ監督の作品です。

アミルホセイン・アスガリ監督
1978年テヘラン生まれ。演劇界でキャリアをスタートさせる。
現代演劇を専攻後、映画・TV界に入り、50本以上の映画やシリーズで助監督を務める。
“Maybe Another Time”で初めて短編映画を手掛けた後、本作で長編デビューした。
東京国際映画祭でプレミア上映され、大きな反響を呼んだ。

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監督にとってボーダレス=国境がない、ということは
夢であり、希望なのだそうです。

国境があるから戦争が起きる。
本来、人と人の間には壁はなく、
人々の心が通じ合えば国境なんかなくてもいい・・・
イラン・イラク戦争世代である監督はそう信じています。

イランといえば現状への不満や批判を、
子どもを通して描いた名作が多いのですが、
本作もそんな作品のひとつです。

主人公は一艘の廃船に住む少年。
イラン・イラクの国境の河に打ち棄てられた船に暮らし、
魚や貝を獲ってたった一人で生活しています。

廃船に一人で暮らす少年といえば同じくイラン映画の『駆ける少年』を思い出します。
http://mtonosama.exblog.jp/18267949/ http://mtonosama.exblog.jp/18276180/
元気になれる映画でした。

本作はアミルホセイン・アスガリ監督の長編デビュー作です。
実はイランではこのデビュー作を作ること自体が難しく、
デビュー作を作る時にはベテラン監督のサインがないと撮影許可が出ないのだそうです。
監督は何人もの監督に脚本を送りましたが、
返ってくるのは「この映画は作らない方がいい」という返答ばかり。
唯一アボルファズル・ジャリリ監督(『少年と砂漠のカフェ』)が
アドバイザーとなってくれて漸く生まれた作品です。

さあ、若い監督の産みだしたイラン映画の新しい傑作。
いったいどんなお話でしょうか。
続きは次回まで乞うご期待でございます。



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ボーダレス
監督・脚本/アミルホセイン・アスガリ、エグゼクティブ・プロデューサー/モスファ・ソルタニ、撮影/アシュカン・アシュカニ
出演
アリレザ・バレディ、ゼイナブ・ナセルポァ、アラシュ・メフラバン、アルサラーン・アリプォリアン
10月17日(土)新宿武蔵野館ほか全国順次公開
2014年、イラン、102分、配給/フルモテルモ、http://border-less-2015.com/

by Mtonosama | 2015-10-10 06:58 | 映画 | Comments(6)

真珠のボタン
El Botón de Nácar

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(C)Atacama Productions, Valdivia Film, Mediapro, France 3 Cinema – 2015


前回、当試写室で上映した『光のノスタルジア』と同じく
パトリシオ・グスマン監督の作品です。
『真珠のボタン』。
これもまた食指をそそるタイトルですね。

監督自身2部作と考えるこの2作品。
『光のノスタルジア』の舞台がチリ最北部で
本作の舞台は最南端西パタゴニアです。

全長4300キロにも及ぶチリの海岸線の一番南にある西パタゴニア。
無数の島や小島、岩礁、フィヨルドから成る世界最大の群島です。
ここだけで海岸線は7万4000キロもあるというのですから
その形状は想像に難くありません。
いまだ人跡未踏の場所もあります。

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その海の底からボタンが発見されました。
その小さなボタンを通じて
映画は
政治犯として殺害された人々や
国と自由を奪われたパタゴニアの先住民の声を伝えてきます。

『光のノスタルジア』が宇宙と軍事独裁政権下で死んだ政治犯をつなげたように
『真珠のボタン』は太古の海とパタゴニア先住民の悲劇を結びます。
そして、軍事政権時代に
ニ度と浮かびあがってこられないようにレールをくくりつけられて
海に沈められた政治犯たちのことも描いています。
監督自身軍事政権時代に処刑の恐怖を味わったことから、
この事実を除外することはできないのでしょう。

壮大な宇宙の営みと人間社会の残虐行為は関係ないようでありながら
結びつけられ、つなげられ、含み、含まれ、
大きな円環となっていきます。

宇宙と海洋と人間の残酷さが
巨大な哲学の中でひとつになったところを示す・・・
その構成力には意味をのむばかりです。

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小さなものから大きなものへ
高いところから深いところへ
今まで経験したことのない世界観を観てしまいました。

軍事政権時代、鉄道のレールをくくりつけられ海中に沈められた無数の死体。
ヨーロッパ人によって連れ去られるパタゴニア先住民。
その末裔たちのインタビューを通して、
彼らが海と共に生き、優れた航海術を持つ海の民であったことが浮かび上がってきます。

ガブリエラ・パテリトという73歳の女性は
家族と共に6歳の時、数百マイルをカヌーで航海したことを語っていました。
少数民族のカウェスカル族の最後の末裔として
自分の人生と家族のことを語る彼女を観ると連綿とつながる家族の温かみを感じます。

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ドキュメンタリーというジャンルの幅広さや深さに開眼させられた作品でした。
とはいえ、折々に点綴される優しい風景。
例えば、柔らかい陽が射しこむ埃っぽいような妙に懐かしい冬の窓辺が
深遠な宇宙や冷たい氷の海で寒くなった観客にほっこりとした温もりを感じさせます。

それはまるでガラス玉の中に無限を封じ込め
掌の上で愛でるかのような映画でした。

プレスには“叙事詩”とありました。
なるほど。
『真珠のボタン』にはオデュッセイアに劣らない叙事詩の語り手が
小さなカヌーで荒波を越える冒険譚を語ってくれましたし、
『光のノスタルジア』には宇宙からアタカマ砂漠への星々の光の冒険が語られました。
まさに叙事詩です。

この連作叙事詩、絶対に外せません。
自分もまた宇宙の一部であることを実感して
自信と誇りを取り戻せるような気がしますから。





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真珠のボタン
脚本・監督/パトリシオ・グスマン、プロデューサー/レナーテ・ザックセ(アタカマ・プロダクションズ)、撮影・カメラ/カテル・ジアン、追加撮影/パトリシオ・グスマン、デイヴィッド・ブラーヴォ、イブ・ドゥ・ぺレッティ、パトリシオ・ランフランコ、ラウル・ベアス
10月10日(土)10月10日(土)より岩波ホールほか全国順次公開
フランス、チリ、スペイン、2010年、スペイン語・英語、82分、配給/アップリンクhttp://www.uplink.co.jp/nostalgiabutton/

by Mtonosama | 2015-10-07 06:18 | 映画 | Comments(6)

光のノスタルジア
Nostalgia de la luz


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(C)Atacama Productions (Francia), Blinker Filmproduktion y WDR (Alemania), Cronomedia (Chile) 2010


『光のノスタルジア』。
素敵なタイトルです。惹かれます。
最近びっくりさせられる映画が多くて困ってしまいます。

前回、当試写室で上映した『顔のないヒトラーたち』でも
知らなかった意外なドイツ史に驚かされました。

しかし、本作もすごいです。

ドキュメンタリー映画ですが、
星の視座から地球を見る映画なんです。

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壮大な新星の誕生。
漆黒の宇宙に輝く星雲。
筆舌につくしがたい圧倒的な宇宙。
もう、とのの舌ったらずな言葉では言い表せませんわ。

これはもう映像ならではの世界です。

宇宙と一体化してビッグバンでメラメラと拡がる星々と共に
飛び散った視線が
南米チリのアタカマ砂漠に移ります。

そして、砂漠の砂を掘る人々をズームアップします。
そこに埋められているのはチリ独裁政権下の政治犯として殺された人々の遺体。

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一国の政治的犯罪を星の視座で眺める。
こんな手法があったとは・・・
なんと壮大な!
もう究極の3Dです。
というか、観客の精神をも自由自在に操る3Dプラス1の世界!

監督はパトリシア・グスマン。
ラテン・アメリカを代表するドキュメンタリー映画作家です。

パトリシア・グスマン
1941年チリ、サンチャゴ・デ・チリ出身。
マドリッドの公立映画学校でドキュメンタリー映画を学ぶ。
多くの国際映画祭でいくつもの賞を受賞。
アジェンデ時代の政府とその崩壊を描いた三部作、全5時間のドキュメンタリー
『チリの戦い』は米誌「シネアスト」で
「世界で最も優れた10本の政治映画のうちの1本」と評された。
ピノチェトによるクーデターの後、逮捕され、
サンチャゴのナショナル・スタジアムに2週間監禁され、処刑の恐怖を味わった。
1973年にチリを出国し、キューバ、スペイン、フランスと移り住み、
多くの作品を発表し続けている。
1997年に始まったサンチャゴ・チリ国際ドキュメンタリー映画祭の
創設者であり、同映画祭の代表。

『光のノスタルジア』は2010年カンヌ国際映画祭でプレミアム上映され、
同年、ヨーロッパ映画賞最優秀ドキュメンタリー映画賞を受賞しました。
同時上映される『真珠のボタン』も2015年ベルリン国際映画祭で銀熊賞脚本賞を受賞。
グスマン監督はこの2作品を2部作と位置付けています。

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舞台は宇宙とアタカマ砂漠。
砂漠もまた地球がただの星だった頃から変わらずにあり、
そこに拡がる世界はそれ自体宏大な宇宙のようです。

しかし、そこには2000年以上前の村の廃墟があり、
19世紀に炭鉱夫たちが置き去りにした列車が砂の中に埋もれかけています。
死体も埋まっています。

チリ北部、太平洋とアンデス山脈の間にあるアタカマ砂漠。
ここは世界中から天文学者が集まる場所です。
なぜかといえば、
世界で最も乾燥したこの地は大気の揺らぎや湿気がなく
天体観察に非常に適しているから。

砂と空のはざまにあって何万光年、何百万光年もかなたの星々を観察する人々と
その足元で独裁政権下に行方不明になった息子や夫の遺骨を探し続ける女性たち。

宇宙的な時間にとっては
極小に過ぎないかもしれない数十年の時が
それでも併存するアタカマ砂漠です。

このような視線でとらえた映画は初めて観ました。
150年生きても知らないことは多いものです。







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光のノスタルジア
監督・脚本/パトリシア・グスマン、プロデューサー/レナート・サッチス、撮影/カテル・ジアン、天文写真/ステファン・ガイザード、製作/アタカマ・プロダクションズ
10月10日(土)より岩波ホールほか全国順次公開
フランス、ドイツ、チリ、2010年、スペイン語・英語、90分、配給/アップリンクhttp://www.uplink.co.jp/nostalgiabutton/

by Mtonosama | 2015-10-04 06:03 | 映画 | Comments(6)