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殿様の試写室

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偉大なるマルグリット
-2-
Marguerite

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(C)2015 - FIDELITE FILMS - FRANCE 3 CINEMA - SIRENA FILM - SCOPE PICTURES - JOUROR CINÉMA - CN5 PRODUCTIONS - GABRIEL INC.


舞台となる1920年代のパリ。
第一次世界大戦が終わった解放感と高揚から
狂騒の時代( Les années folles)と呼ばれた時代です。
ピカソやシャガール、ダリが活躍し、
アヴァンギャルドやシュールレアリズム、アールデコが盛り上がり、
禁酒法を逃れて大勢のアメリカ人が到来し、ポップカルチャーをもたらしました。

マルグリットの美声(?)さえ別にすれば
音楽もファッションもインテリアも十二分に楽しめる映画です。
マルグリットの毛皮コートも
パリ郊外の草原を駆け抜けるカブリオーレも
最高にかっこいいんですから。

さあ、いったいどんなお話なのでしょう。

ストーリー
1920年9月、マルグリット・デュモン男爵夫人の豪奢な邸宅。
いつものように慈善音楽会が華やかに開催されていた。
若い新聞記者ボーモンと無名の画家キリルは
塀を乗り越え、屋敷の中に忍び込み、招待客の貴族たちに紛れ込んだ。
新人歌手のアゼルが美声を披露した後、
いよいよ本日の主人公マルグリットの登場である。
孔雀の羽根を頭に飾り、堂々と客の前に現れた彼女は
「夜の女王のアリア」を歌い出した・・・

呆然とするボーモンとキリル。
新人歌手のアゼルは思わず周囲を見回す。
そして失笑を漏らす。

ああ、マルグリットはとてつもない音痴だったのだ。

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礼儀正しい貴族たちは拍手喝采を送るが、
勝手を知った客は既に別室へ避難。
マルグリットの夫ジョルジュもわざと遅刻。

翌朝の新聞には
ボーモンが書いた「心をわし掴みにする歌声だ」との評が載る。
確かに一度聴いたら忘れることができない歌声であるのは事実・・・
実はこの記事はボーモンが大金持ちのマルグリットに
接近したいがために書いたものだった。
だが、マルグリットは大喜び。
執事のマデルボスに車を出させ、パリに向かう。

夫のジョルジュはどうしてもそんな妻を理解できず、
妻の友人フランソワーズと浮気していた。
夫に相手にされないマルグリットは
もうひとつの生き甲斐である撮影会で心を紛らわせる。
憧れのオペラのヒロインに扮した彼女を撮るのは執事マデルボス。
邸宅内にはそんな彼女のポートレートがあちこちに飾られていた。

そんな折、
マルグリットはボーモン達からパリの音楽祭に出演しないかと誘われる。
必死で止める夫ジョルジュ。
マルグリットは戦没者に捧げるイベントだといわれ、
ラ・マルセイエーズを歌う。
だが、その音楽祭はボーモン達が仕掛けた反社会的な催し。
警察に踏み込まれ
マルグリットは新聞にデカデカと載ってしまった。
貴族の慈善クラブから除籍されるマルグリット。

だが、この事件をきっかけに
彼女は本物のお客の前で歌う喜びを知ってしまった。
パリでリサイタルを開くことを決意するマルグリット。
ジョルジュはなんとか阻止しようとする。
しかし、彼女だけが知らないあの真実を告げることだけはできない。
有名オペラ歌手ペッジーニを教師に雇い、
レッスンに励むマルグリット。
さあ、どうなる……

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いや、マルグリットの歌う「夜の女王のアリア」にはまいりました。
あまりの音程に笑ってしまいました。
が、しかし
音痴って色弱などと同じように、
音を認識する何かが欠けているということなのかもしれない、と気づきました。

この映画を観ているときの居心地の悪さは
マルグリットの湛える欠損感覚のようなものから出ているのでしょう。
脳内の音認識分野の欠落
そして
夫の愛を得られない欠落感・・・

ああ、いまわかった!

となるとカトリーヌ・フロの演技はただものじゃありません。
もちろん音を外して歌う演技だけをいっているのではなく。

彼女の孤独感が
孤独とはまるで関係のない音痴を通じて
沁み出しているから、居心地の悪さを感じたんだ。

音痴は自分が音を外していることがわからない。
そもそも音を外していることがわからないから音痴なんですね。

おもしろうて、やがて悲しき・・・

いや、深いぞ。この映画。





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偉大なるマルグリット
監督、脚色、脚本/グザヴィエ・ジャノリ、脚本協力/マルシア・ロマーノ、撮影/グリン・スピーカート-SBC、製作総指揮/クリスティーヌ・ドゥ・ジェケル、アルテミオ・ベンキ
出演
カトリーヌ・フロ/マルグリット、アンドレ・マルコン/ジョルジュ・デュモン、ミシェル・フォー/アドス・ベッジーニ、クリスタ・テレ/アゼル、デニス・ムブンガ/マデルポス、シルヴァン・デュエード/リュシアン・ボーモン、オベール・フェノワ/キリル・フォン・プリースト、ソフィア・ルブット/フェリシテ(髭女)、テオ・チョルビ/ディエゴ
2月27日(土)シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー
2015年、フランス、129分、日本語字幕/古田由紀子、配給/キノフィルムズ、http://www.grandemarguerite.com/

by Mtonosama | 2016-02-28 06:04 | 映画 | Comments(7)

偉大なるマルグリット
-1-
Marguerite

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(C)2015 - FIDELITE FILMS - FRANCE 3 CINEMA - SIRENA FILM - SCOPE PICTURES - JOUROR CINÉMA - CN5 PRODUCTIONS - GABRIEL INC.


1940年代、アメリカにフローレンス・フォスター・ジェンキンスという
音楽とオペラに強い情熱を傾けているお金持ちの女性がいました。

彼女は社交界の人々の前で歌ったり、
レコードを出したり、
1944年、76歳の時には
カーネギー・ホールの舞台にも立ったのだそうです。

でも、なんということでしょう!

彼女はとてつもない音痴だったのです。

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ここで今回のお題。
本作『偉大なるマルグリット』が生まれたのは
10年程前、グザヴィエ・ジャノリ監督が
ラジオで「魔笛」の「夜の女王のアリア」を
盛大に音を外して歌っている声を聴いたのがきっかけ。
それがフローレンス・フォスター・ジェンキンスでした。

監督はその声を
「別世界から聞こえてくるような神秘的な声だった」
と表現しています・・・

監督もまたえらいお耳の持主でございます。

監督は彼女に興味を抱き、新聞の切り抜きを読んだり、
レコードも見つけ出したそうです。
そして、レコードで聴いたその声も、それはそれはひどいものでした。
ジャケットには天使の羽をつけ、ティアラを冠った彼女が写っています。

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とのにはとても信じられないのですが、
彼女は、自分の歌が普通じゃないということに気づいていなかったのですって。
誰も彼女に「あなたは音痴ですよ」と言い出せなかったんです。

周囲の人間が彼女に真実を告げなかったのは
お金目当てか、偽善者か、
一番良く見積もっても臆病者だったからでしょうね。
ま、それは彼女が大金持ちだったのがいけないのでしょう。

でも、彼女も自分でわからないかなあ。

が、しかし
監督はフローレンスさんの声を聴いたことで
創作意欲に駆られたのですから良しとしましょうか。

この風変わりな趣味を持ったグザヴィエ・ジャノリ監督は
グザヴィエ・ジャノリ監督
1972年生まれのフランスの映画監督、脚本家、映画プロデューサー。
1993年から10本の映画を監督している。
第69回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門では
『ある朝突然、スーパースター』が金獅子賞を争った。

フィルモグラフィー
2003年『EAGER BODIES』
セザール賞有望若手男優賞ノミネート
セザール賞有望若手女優賞ノミネート
2005年『情痴 アヴァンチュール』
2006年『THE SINGER』
2009年『IN THE BEGINNING』
2012年『ある朝突然、スーパースター』
2015年『偉大なるマルグリット』

ジャノリ監督はモデルとなった人物を細かく調査するタイプの監督さん。
多くのリサーチを行ってから、架空の話を書きます。
単なるドキュメンタリーや純粋なフィクションでは満足できないのだとか。
実際のできごとについて個人的な解釈を加え、
人間の真理を明らかにしたいということです。

人間の真理といわれても、
とのにはそんなに音程を外しながら
平気で大勢の前で歌うというところがどうしてもわからないのですが、
そのあたりは皆さまの目と耳でぜひお確かめくださいませ。

1920年代のパリ。
ファッションも大金持ちの邸宅のインテリアもお楽しみどころ。

それにしても一体どんなお話でしょうか。
続きは次回まで乞うご期待でございますよ。



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偉大なるマルグリット
監督、脚色、脚本/グザヴィエ・ジャノリ、脚本協力/マルシア・ロマーノ、撮影/グリン・スピーカート-SBC、製作総指揮/クリスティーヌ・ドゥ・ジェケル、アルテミオ・ベンキ
出演
カトリーヌ・フロ/マルグリット、アンドレ・マルコン/ジョルジュ・デュモン、ミシェル・フォー/アドス・ベッジーニ、クリスタ・テレ/アゼル、デニス・ムブンガ/マデルポス、シルヴァン・デュエード/リュシアン・ボーモン、オベール・フェノワ/キリル・フォン・プリースト、ソフィア・ルブット/フェリシテ(髭女)、テオ・チョルビ/ディエゴ
2月27日(土)シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー
2015年、フランス、129分、日本語字幕/古田由紀子、配給/キノフィルムズ、http://www.grandemarguerite.com/

by Mtonosama | 2016-02-25 05:50 | 映画 | Comments(10)

もしも建物が話せたら
-2-
Cathedrals of Culture

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(C)Heikki Farm

ハルデン刑務所

マイケル・マドセン監督がその話を聞いたのは
世界一受刑者に対して人道的であり、
甘やかしているともいわれるノルウェーのハルデン刑務所。

ノルウェーは国連によって選ばれた
「世界一豊かで住みやすい国」第1位の国。
そのノルウェーのハルデンにある刑務所です。
2010年に竣工された収容人員252名、総工費20億円の建物。
懲罰よりも更正・社会復帰を目的としています。

刑務所は語ります。

「私はここの刑務所の警戒を厳重にしている壁だ。
私の内側は小さな村のようだ。
私がこの村を外の世界と切り離している。
私の内側にはルールがある。
新しく入ってくる人々はここのルールを理解できない。
私はここのルールしか知らない。
ほとんどのルールは厳しく絶対だ。
誰かがルールを破ったらどうなるかも決まっている・・・」

めったなことでは見ることのできない外国の刑務所の内部。
興味津津です。
独房も、懲罰房も、面会家族が宿泊できる家も、
「これが刑務所?」と思わず声をあげたくなるものでした。
ノルウェーってすごい!


ソーク研究所

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(C)Alex Falk

ロバート・レッドフォード監督が紹介するのは
カリフォルニア州サンティエゴ郊外ラホーヤにあるソーク研究所です。
ここはジョイナス・ソークによって創設された生物医学系の研究所で
1963年に竣工されました。
研究者の数は1000人にも満たない小さな研究所ながら
研究論文の引用度は世界でも1、2を争っています。
教授陣は各研究分野の先端を走っているとのこと。

土地には魂が宿り、
その地に建った建物にも霊気や魂が住みつくのかもしれません。
海に向かって、どの棟も風や陽光を受け入れ大きく腕を開くように配置された各研究棟。
どこか神殿を思わせます。

ポリオワクチンの開発者であり、
この研究所の創設者であるジョイナス・ソーク。

「彼は直感的に優れた科学を生むためには
心の深層に作用する環境が重要だと知っていた」

監督ロバート・レッドフォードがこの建物に語らせたかった言葉です。


オスロ・オペラハウス

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(C)Oystein Mamen

1970年ノルウェーに生まれ、
ベルゲンとオスロでジャーナリズムとドキュメンタリーの制作を学んだ
マルグレート・オリン監督が紹介する建物はオスロ・オペラハウス。

2008年オスロ市の海に面して建てられたノルウェー最大の文化施設。
スノヘッタ建築事務所の設計です。
オペラやバレエの舞台であり、レッスン場もあります。
海から続くかのような大きな屋根を人々は歩くこともでき
多くの市民が訪れます。
そう、あのバレエボーイズたちも。

オペラハウスは語ります。

「あなたが中に入るまで、あなたの筋肉がステップを踏むまで、
私はただの家だ。
家にできることは私の大理石に記憶を保つこと。
あなたが去ってもここに残ること。

あなたの跳躍と、希望と失敗を私に与えて。
それを鉄と木と記憶の箱にしまっておく」


ポンピドゥ・センター

監督はカリム・アイノス。
レンゾ・ピアノとリチャード・ロジャーズによって設計され
1977年に開館したポンピドゥ・センター。
完成当初その奇怪な姿は
エッフェル塔が出来た時のパリ市民の驚きにも
まさるとも劣らないものだったことでしょう。

この建物が表現するのは人々の期待や陽気なユートピア。
幅の広いカルチャーを提供し、多くの人が訪れています。

その姿に似ず、早起きな建物は語ります。

「毎日私は夜明けの直前に目覚める。
それは私の大事な時間。人々が来る前に独りになれる時間だ。

私ができたばかりの頃人々は驚いた。
今私を見ても誰も騒がない。
日中、来館者は私の中をさまよう。
それぞれが何かを求めて。
夜になると人々は劇場とパフォーマンス・スペースにやってくる。

今はデジタル時代。
カルチャーマシンの私は暴力的で驚異的だとみなされたが
蒸気機関のような懐古的な存在になった。
世界が変わっていくのはわかっている。
私は毎日少しずつ古びながら人々の経験を学んでいる。
私は芸術作品だ。
私は古代都市に係留された飛行機だ。

私は楽観的に生命の可能性を感じる」

・・・

6つの建物のおしゃべりはいかがだったでしょう。
古い建物から新しい建物まで皆饒舌で
是非訪れて彼らの生の声を聴きたくなってしまいます。

監督達は皆一様に建物には魂がある
と言っていますが、本当にそうかもしれません。

ある建物に入ってホッとするものとそうでないものがあると思いませんか。
ホッとするのはその建物の魂と交感できたとき
そうでないときは気が合わないとき。

さあ、みなさまが交感できる建物はどれでしょう。






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もしも建物が話せたら
監督/ヴィム・ヴェンダース、ミハエル・グラウガー、マイケル・マドセン、ロバート・レッドフォード、マルグレート・オリン、カリア・アイノズ
製作・提供/WOWOW、配給/アップリンク
2016年2月20日(土)渋谷アップリンクほか全国順次ロードショー
2014年、ドイツ、デンマーク、ノルウェー、オーストリア、フランス、アメリカ、日本、165分、英語、http://www.uplink.co.jp/tatemono/

by Mtonosama | 2016-02-22 05:12 | 映画 | Comments(4)

もしも建物が話せたら
-1-
Cathedrals of Culture


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(C)Wim Wenders


子どもの頃から「家」が好きで、
黙ってうちを抜けだして、近所を歩きまわり、
同い年位の子どもをみつけると
なんとかその子の家に入っていこうとするはた迷惑な子どもだったとのです。

大きくなったら色んな家を訪れるんだ!
というのが夢でした。

でも、大人になるとそれもなかなか難しく
「ビフォーアフター」みたいなTV番組で紛らわしています。

そんなとのに蠱惑的なタイトルが呼びかけました。
『もしも建物が話せたら』

オリジナルタイトルは“Cathedrals of Culture”ですけど、
邦題、オリジナル二つ揃って「お、いいじゃん」と人目をひくタイトルです。

世界の名監督6人が描いた6つの建物のお話で
製作総指揮はヴィム・ヴェンダース監督。
ヴィム・ヴェンダース、ミハエル・グラウガー、マイケル・マドセン、
ロバート・レッドフォード、マルグレート・オリン、カリム・アイノズ
という監督達が
それぞれの心の内で大きな存在感を占める建物に
思いの丈を語らせるというちょっと変わったオムニバス・ドキュメンタリー映画です。

ヴェンダース監督はもちろん地元のベルリン・フィルハーモーニーを

ドキュメンタリー映画の撮影中の2014年アフリカでマラリアに斃れた
ミハエル・グラウガー監督はロシア国立図書館を

本作が遺作となりました。

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(C)Wolfgang Thaler


『100,000年後の安全』のマイケル・マドセン監督は
http://mtonosama.exblog.jp/15982946/
世界で最も人道的といわれ、再犯率がヨーロッパで最も低いノルウェーのハルデン刑務所を

11歳の時ポリオにかかったことのあるロバート・レッドフォード監督は
その予防接種を開発したソーク研究所を

マルグリット・オリン監督は
これもノルウェーのオスロ・オペラハウスを
(『バレエボーイズ』にも登場しました)
http://mtonosama.exblog.jp/24402801/ http://mtonosama.exblog.jp/24412852/

ブラジル生まれのカリム・アイノス監督は
17歳の時に移り住んだパリの街から
ポンピドゥー・センターを選びました。

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(C)Ali Olcay Gozkaya


どの建物も個性的な面立ちですが、
さて、どんなことを話してくれるのでしょうか。

ベルリン・フィルハーモニー

まずはベルリン・フィルハーモニーの登場です。
ハンス・シャロウンが設計し、
1963年に竣工したこの建物は優しい女声で語ってくれました。

「私の向こうはポツダム広場。1963年には何もない土地だったわ。
ベルリンの街が私を育ててくれたけど、私もこの街の成長に役立ったと思いたい。
建物はあなたが考えている以上に世界に影響を与えているものよ」

建設中にベルリン東西を隔てる壁もできます。
西ベルリンの端に“文化の中心”であるこの建物を造ることは
東を刺激することでもあり、挑発的な行為でした。

60年代の映像を交え、
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者兼芸術監督を務める
サー・サイモン・ラトルも登場させつつ
この五角形のホールは50年の“人生”を語ります。

ロシア国立図書館

サンクト・ペテルブルグにあるこの美しい建物はロシア最古の公共図書館。
1795年エカテリーナ2世によって建てられました。
1811年ロシア帝国内で出版された著書はすべて
1冊ずつこの図書館に寄贈され、蔵書数は飛躍的に増加しました。
公式に開館したのは1814年のことですが、
女性や農民に対しても開かれていたそうです。

建物は語ります。
「かつて本が隠され存在を否定されていた時代があった。
蔵書リストから削除された本は売却されることもなく、
蔵書番号のない本は存在しないとみなされたため生き延びることができた・・・」

この建物の上を吹き過ぎていった歴史の嵐は
書架に並び、あるいは積み重ねられた古びた書物に
塵を積もらせはしたが、人々の叡智をそのまま封じ込めています。

次回は残り4つの建物の話に耳を傾けますので
どうぞご期待くださいませ。



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もしも建物が話せたら
監督/ヴィム・ヴェンダース、ミハエル・グラウガー、マイケル・マドセン、ロバート・レッドフォード、マルグレート・オリン、カリア・アイノズ
製作・提供/WOWOW、配給/アップリンク
2016年2月20日(土)渋谷アップリンクほか全国順次ロードショー
2014年、ドイツ、デンマーク、ノルウェー、オーストリア、フランス、アメリカ、日本、165分、英語、http://www.uplink.co.jp/tatemono/

by Mtonosama | 2016-02-19 06:58 | 映画 | Comments(7)

大地を受け継ぐ
-2-

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(C)「大地を受け継ぐ」製作運動体


2011年3月24日。
福島県須賀川市。
福島原発から65km離れた一軒の農家。
その家で一人の農民が庭の樹木で首をくくって自死しました。

「あの日、父を探しに庭へ出た時、最初、父は木の下に立っているのかと思いました…」

息子の樽川和也さんは16歳から23歳までの若者を前に訥々と語ります。
父親が亡くなったのは
原発事故を受けて地元の農業団体から農作物出荷停止の
ファックスが届いた翌朝のことです。
父の遺した言葉は
「お前に農業を勧めたのは間違っていたかもしれない」
でした。

それから4年経った今、息子は母と二人同じ場所で農業を続けています。
福島の米や野菜は今までの値段では売れませんし、
農業だけで生きていくことは難しい日々です。

しかし、
亡くなった父や先祖が受け継いできた土地を棄てることはできないと
母子は耕し続けています。
「福島県はどこよりもしっかり検査をしています」
と言いつつも
放射能に汚染された土地で育てた作物を流通させることに
罪悪感がつきまといます。

生産者ゆえの罪の意識と代々受け継いできた土地への思いの狭間で
和也さんは苦悩します。

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東京電力の賠償金の支払い方は
事故によって売上が減少した差額を賠償として支払うというものです。
つまり、出荷したけれど事故のせいで売れなかった。
そういう「実績」を作らないと賠償金は支払われません。
自分自身の判断で出荷しなかった分については
賠償されないのです。

賠償のため、そして、生きていくために
樽川さん母子は汚染された土地で作物を作り続けなければなりません。

和也さんは若者たちに淡々と穏やかに語ります。
でも、ただ一度言葉を荒げました。
高市早苗衆院議員の
「原発事故による死者は出ていない」
という発言に触れた時です。

和也さんの父、樽川久志さん(死亡当時64歳)は
原発事故後初の福島県内の自殺者でした。
まるで木の下に立っているようだったという父の姿。
その姿を目の当たりにし、母と二人で父の体を木から降ろした和也さんは
高市議員の無神経な言葉に激昂しました。

東京電力、国の冷淡さに今またあらためて胸が塞がる思いです。

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上映時間86分、映し出されるほぼ全編が樽川家の居間であり、
和也さんの独白であります。
時々美津代さんが言葉をはさみ、
飼い猫が大勢のお客さんの前でくつろいでいます。

真剣に、時には、涙を拭きながら
和也さんの話に聞き入る学生たち。

樽川さん母子のこの言葉と心の奥に沈殿した思いは若い人たちにどう響いたでしょうか。
それは彼らの中に持続する志として息づいていくのでしょうか。
それは誰にもわかりません。

わたしは観客として本作に向った時、
自分もまた無垢ではあるかもしれませんが
無知な若者と同じであることを認めざるを得ませんでした。

でも、無恥ではありたくないものです。





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大地を受け継ぐ
監督/井上淳一、企画/馬奈木厳太郎、プロデューサー/小林三四郎、撮影/鍋島淳裕、桑原正祀、堀部道将、西佐織、照明/堀口健、録音/光地拓郎、整音/臼井勝、編集/蛭田智子、助監督/植田浩行、製作進行/長谷川和彦、海外窓口/中西佳代子
出演
樽川和也、樽川美津代、井樫彩、井澤美采、石田佳那、一万田若葉、内田夏奈子、金子鈴幸、樽見隼人、千葉航平、野月啓佑、宮田俊輝、矢部涼介、白井聡、馬奈木厳太郎
エンディング曲:フラワーカンパニーズ「日々のあぶく」(Sony Music Associated Records)
2月 20日(土)よりポレポレ東中野ほかロードショー(2月6日(土)よりフォーラム福島にて限定1週間先行上映決定)
2015年、日本、カラー、86分、協力/東放学園映画専門学校、河合塾COSMO、明治大学駿台映画製作研究部、「大地を受け継ぐ」製作運動体/馬奈木厳太郎、井上淳一、太秦株式会社、配給/太秦、http://daichiwo.wordpress.com/

by Mtonosama | 2016-02-16 06:40 | 映画 | Comments(10)

大地を受け継ぐ
-1-

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(C)「大地を受け継ぐ」製作運動体


もうすぐ5年目のあの日がやってきます。
とのは3月13日が誕生日なので、
1歳年齢が増える3月が来るたびに
あの日の地震と原発事故を思い出さざるを得ません。
あの日から毎年、誕生日を迎えることがいけないことのように思えて仕方ありません。

今回ご紹介するのは『大地を受け継ぐ』です。

2015年5月、東京。
バス発着所に16歳から23歳までの11人の学生たちが集まりました。
ほとんどの学生たちは初対面で、多少緊張しているようですが、
遠足に出かけるような雰囲気も漂わせています。

バスが東京から離れるにつれて窓外には5月の爽やかな緑が拡がり、
田圃には田植えがすんだばかりの苗が青々と風になびいています。
学生たちはのどかな風景を撮影したり、
SNSに書きこみをしたり、
隣り合った新しい友人とおしゃべりしたり、
和やかな空気に包まれています。

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やがて、バスが到着しました。
福島県須賀川市。
福島原発からおよそ65km離れた一軒の農家です。
若者たちを笑顔で迎える息子・樽川和也さんと母・美津代さん。
飼い猫も皆が集まった座卓の脇に寝そべっておもてなししています。

これは、樽川和也さんと美津代さんが
11人の若者たちに
2011年3月から本作が撮影された2015年までの日々を語った
5月のある一日を記録したドキュメンタリー映画です。

監督は井上淳一さん。

井上淳一
1965年生まれ。愛知県出身。
大学入学と同時に若松孝二監督に師事。
若松プロ作品に助監督として参加。
2011年『アジアの純真』(脚本)で北朝鮮による拉致問題を
2013年『戦争と一人の女』(監督)で加害者からの戦争を
2013年『あいときぼうのまち』(脚本)で原発と人の営みを、
描いてきた社会派監督。
本作は自身初めてのドキュメンタリー映画。

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『大地を受け継ぐ』の企画・制作にあたったのは馬奈木厳太郎弁護士。
馬奈木弁護士は4,000人の原告団を抱える
「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟団の事務局長を務め、
学生たちの引率者・インタビュアーとしても本作に登場しています。

「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟
福島原発事故を公害としてとらえ、国と東京電力を被告として、
福島地方裁判所で原状回復と慰謝料を求めている裁判。
2013年に提訴。
原告団(滞在者と避難者)は約4,000名。
福島県全市町村とその隣接県に原告を擁する全国最大規模の訴訟。
国と東京電力の責任を明らかにし、
原状回復・被害の全体救済・脱原発を目的に掲げている。
本作で学生たちが訪れた樽川美津代さんと和也さん母子は原告団の一員。

樽川さん母子と福島原発訴訟団事務局長のご紹介で前編はおしまいです。
さあ、学生たちはどんな話を聴き、どんな体験をするのか。

それは次回までのお楽しみ。
乞うご期待でございます。



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大地を受け継ぐ
監督/井上淳一、企画/馬奈木厳太郎、プロデューサー/小林三四郎、撮影/鍋島淳裕、桑原正祀、堀部道将、西佐織、照明/堀口健、録音/光地拓郎、整音/臼井勝、編集/蛭田智子、助監督/植田浩行、製作進行/長谷川和彦、海外窓口/中西佳代子
出演
樽川和也、樽川美津代、井樫彩、井澤美采、石田佳那、一万田若葉、内田夏奈子、金子鈴幸、樽見隼人、千葉航平、野月啓佑、宮田俊輝、矢部涼介、白井聡、馬奈木厳太郎
エンディング曲:フラワーカンパニーズ「日々のあぶく」(Sony Music Associated Records)
2月 20日(土)よりポレポレ東中野ほかロードショー
(2月6日(土)よりフォーラム福島にて限定1週間先行上映決定)
2015年、日本、カラー、86分、協力/東放学園映画専門学校、河合塾COSMO、明治大学駿台映画製作研究部、「大地を受け継ぐ」製作運動体/馬奈木厳太郎、井上淳一、太秦株式会社、配給/太秦、http://daichiwo.wordpress.com/

by Mtonosama | 2016-02-13 05:30 | 映画 | Comments(2)

ディーパンの闘い 
-2-
DHEEPAN

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(C)2015 WHY NOT PRODUCTIONS - PAGE114 - FRANCE 2 CINEMA


発展途上国の紛争は
列強諸国が植民地時代に播いた種が咲かせた禍々しい悪の花。
それにしてもスリランカはあのインド洋津波でも大きな被害を受けていたのに
その内戦を全然知らなかったとはなんと薄情なことでありましょう。

本当に世の中は知らないことで溢れています。

映画は市街戦の様子から始まり、
避難民キャンプを映し出します。
映画を観ながら、なんなの?どうしてなの?と戸惑いました。

当時のスリランカの住民も同様に混乱し、戸惑っていたことでありましょう。
スクリーンからそれらが揺れるように伝播してきました。

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ストーリー
ディーパンはLTTE(タミル・イーラム解放の虎)の兵士として内戦を闘った兵士。
彼は妻と娘を殺され、何もかも失ってしまった。

難民キャンプで一人の女が人を探している。
彼女はそこで身寄りのない少女を見つけ、海外渡航の斡旋事務所へ向かった。
家族を装えば単身よりも移住許可がおりやすいのだ。
斡旋事務所で「家族」になった3人。
女は24歳ヤリニ。「妻」。
少女はイラヤル9歳。「娘」。
・・・
偽家族の3人はフランスへ向かう。
路上で違法の物売りをしながら生活費を稼ぐディーパンに
やっと難民審査の日が来た。
これまで偽装難民を数多く見てきた通訳はディーパンにも冷淡だった。
ところがディーパンが元LTTEの兵士だと知ると態度を一変する。
審査をパスした3人はパリ郊外の古い集合団地に移り住むことになる。
ディーパンは団地の管理人、ヤリニは団地住人ハビブの家政婦、
イラヤルは小学校のフランス語強化クラスに転入。
3人の新しい暮らしが始まった。
だが、イラヤルは登校早々教室を飛び出してきてしまう。
ディーパンは彼女を静かに諭す。
「大人は仕事をする。お前はフランス語を覚える。さもないと強制送還なんだよ・・・」

昼は家族を装い、夜は他人に戻る日々。
黙々と日々の仕事をこなすディーパンにイラヤルは懐いていく。
だが、ヤリニは子育ての経験もなくイラヤルとどう接していいかわからない。

ヤリニは家政婦として働く家でハビブ老人の甥であるブラヒムと出会う。
彼はこの団地の麻薬密売組織のリーダー。
警察によって足にGPSを着けられている程の危険人物だが、
ヤリニの料理を褒め、「困ったことがあれば力になる」と優しい一面も見せる。
やがてヤリニも暮らしに慣れ、ディーパンにも心を許すように。
休日には3人でヒンズー寺院にも通い、
礼拝後は同胞とのピクニックの輪に加わる。

ささやかな幸せ
・・・
だが、思いがけない客がディーパンを訪ねてくる。
パリに潜伏するLTTEの上官だ。
ディーパンに祖国スリランカへの武器調達を命じる上官。
命令を拒むディーパン。
上官に殴打され、帰りついた団地の地下室で独り酔いしれる。
翌日、亡くなった妻と娘の写真を手製の櫃に納め、
新たな家族のために闘いに戻らないことを固く決意するのだった。
だが ……

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パリ郊外の古い団地の住民はほとんどが移民です。
ディーパンたちのようなアジア系の移民もいれば
アラブ系、アフリカ系、東欧諸国からの移民もいます。

貧しく、寒々しい団地の風景に絶望的な荒んだものを感じたのは事実。
しかし、白人の若者たちの自堕落な生活に対し、
まじめにけなげに働くディーパンたち偽家族。
「娘」イラヤルも「両親」のために必死に通訳の役目を果たします。

ああ、このまま小さな幸せの中で生きていくことはできないのでしょうか。

難民というと排除の姿勢を示そうとする人
難民による事件が起きれば「ほら、見たことか」という人
元々そこに暮らす人、後から来た人の間に格差を設ける人

同情や正義感でかたづけることのできない問題ではあります。

本作のラストもハッピーエンドであるかのように見せながら
実は儚げな、かなわぬ夢であるように思わせる監督も答えは出ないのでしょうか。

本当のことをいえば
誰だって住み慣れた土地を棄て見知らぬ地へなど行きたくない筈だと思います。





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ディーパンの闘い
監督/ジャック・オディアール、脚本/ノエ・ドブレ、トマ・ビデガン、ジャック・オディアール、撮影/エボニーヌ・モモンソ
出演
アントニーターサン・ジェスターサン/ディーパン、カレアスワリ・スリニバサン/ヤリニ、カラウタヤニ・ヴィナシタンビ/イラヤル、ヴァンサン・ロティエ/ブラヒム、マーク・ジンガ/ユスフ
2016年2月12日(金)TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマほか全国公開
2015年、フランス語・タミル語、115分、日本語字幕/丸山垂穂、提供/KADOKAWA、ロングライド、配給/ロングライド、http://www.dheepan-movie.com/

by Mtonosama | 2016-02-10 05:36 | 映画 | Comments(4)

ディーパンの闘い
-1-
DHEEPAN

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(C)2015 WHY NOT PRODUCTIONS - PAGE114 - FRANCE 2 CINEMA


今から130年程前、
新幹線の中でアジア系の外国人から話しかけられたことがあります。
どこの国の人か見当もつかないので
「YOUは何しにニッポンへ?」
と訊ねました。

ウソです。

“Where are you from?”
と訊くと「当ててみろ」と言います。
「スリランカ?」
(なぜかこの島国の形が思い浮かんだので訊いてみました)
そしたら
“They are darker”
とのことで・・・
結局、彼はネパールの人でした。

どうでもいいことを長々とすみません。

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本作のタイトルでもある元兵士のディーパンはスリランカ人です。
なるほどdarkの比較級darkerというのはこういう肌の色をいうのか、
と130年経ってようやくわかりました。
それほどスリランカは縁のない国です。
紅茶の産地としか知りません。

『ディーパンの闘い』は本年度カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した
ジャック・オディアール監督の最新作です。

ジャック・オディアール監督
1952年フランス生まれ。
父ミシェル・オディアールはフィルム・ノアールのジャンルで
数々のヒット作を手掛けたフランス映画界を代表する脚本家。
その息子ジャックはソルボンヌ大学で文学と哲学を専攻。
その後、編集技師として映画に携わるようになる。
ジョルジュ・ロートネル監督『プロフェッショナル』(‘81)
クロード・ミレール監督『死への逃避行』(‘83)
エドゥアール・ニエルマン監督『キリング・タイム』(‘87)などの脚本に参加した後、
ジャン=ルイ・トランティニャン、マチュー・カソヴィッツが共演した
『天使が隣で眠る夜』(‘94)で監督デビュー。
『預言者』(‘09)でカンヌ国際映画祭グランプリを受賞。
本作『ディーパンの闘い』では
コーエン兄弟、グザヴィエ・ドラン等審査員の満場一致で
カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した。

そう、本作はフランス映画です。

なのに、「なぜスリランカ?」といいますと
内戦のスリランカを逃れるため、
赤の他人である女と親を失った少女と一緒に
フランスに入国したスリランカ内戦の元兵士ディーパンの物語だからです。
3人で家族を装ったのであります。

といえば、もっともらしいのですが、
え、内戦?
スリランカの内戦について、とのはこれっぽっちも知りません。

スリランカ人がどんな人達なのかも知らなければ
内戦についても知らない。

???
疑問符だらけでありました。

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シリア難民のヨーロッパ流入が問題になっている今
タイムリーといえばタイムリーであり、
ヨーロッパに暮らす外国人が抱える様々な問題も見えてくる映画です。

でも、スリランカの内戦って?

スリランカ
スリランカはインドの南東、インド洋に浮かぶ人口2000万人余の島国。
その歴史は紀元前まで遡り、
近世から近代にかけてポルトガル、オランダ、英国の植民地だった。
1948年に英国から独立。

スリランカにはシンハラ、タミル、スリランカ系ムーアの3つの民族が暮らす。
本作のディーパンが属しているタミルは人口の2割を占め、
主にヒンズー教を信仰している。

イギリス統治下のスリランカでは
少数民族のタミル系住民を優遇する分割統治政策が行われていたが、
1948年に英国から独立すると
翌年にはそれまでの反動からタミル系住民の選挙権が剥奪された。
その後1956年にはシンハラ語公用化政策をはじめとする
シンハラ優遇政策により民族間の対立が高まる。
1972年、反政府勢力が分離独立を掲げTNT(新しいタミルの党)を成立、
更にLTTE(タミル・イーラム解放の虎)を結成。
(映画の中ではディーパンはこれに所属していました)

1983年、北部で起こった殺人事件が発端となり、全土に暴動が拡大し、内戦に発展。
更に2004年12月26日にスリランカを襲ったインド洋津波で
内戦中の東部、北部沿岸地域も被災。
2006年には東部で政府軍とLTTEとの紛争が激化、13万人もの住民が国内避難民に。
2007年7月LTTE東部最大の砦を政府軍が制圧し、紛争が終結。避難民の帰還開始。
2009年1月、20年以上続いた紛争が終了。

主人公のディーパンはこのLTTEの兵士として闘い、妻も子も内戦で失った人物です。
そして、事実は映画より奇なり。
ディーパンを演じたアントニーターサン・ジェスターソンは
なんと
実際に16歳から3年間LTTEの少年兵として闘い、
フランスに移住し、現在は作家として活動する人物です。

さあ、いったいどんなお話でしょう。
続きは次回までお待ちくださいませ。



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ディーパンの闘い
監督/ジャック・オディアール、脚本/ノエ・ドブレ、トマ・ビデガン、ジャック・オディアール、撮影/エボニーヌ・モモンソ
出演
アントニーターサン・ジェスターサン/ディーパン、カレアスワリ・スリニバサン/ヤリニ、カラウタヤニ・ヴィナシタンビ/イラヤル、ヴァンサン・ロティエ/ブラヒム、マーク・ジンガ/ユスフ
2016年2月12日(金)TOHOシネマズシャンテ、大阪ステーションシティシネマほか全国公開
2015年、フランス語・タミル語、115分、日本語字幕/丸山垂穂、提供/KADOKAWA、ロングライド、配給/ロングライド、http://www.dheepan-movie.com/

by Mtonosama | 2016-02-07 06:56 | 映画 | Comments(4)

三毛猫ひかちゃん  -37-


あたしひかちゃん。


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この寒さで一気に富士山の雪が増えたわ。

でもね、毎回言っちゃうけど、ほんとにうちの飼い主って写真が下手よね。


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あら?なにか来たわ。


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なんなの?これ。


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む~~~ん
気にいったわよ。


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穴蔵まであるし・・・

え、この縞々の柱で爪も研いでいいの?
でもね、
爪は飼い主をひっかくために伸ばしておかなくちゃならないから。


このキャットタワー、どうしたかって?
ふふ、飼い主が買ってくれるわけないわよ。
あのね、飼い主の同僚さんがね、
そこんちの猫さんたちのために買ったんだけど、
気に入ってもらえなかったんだって。

でね、あたしのためにわざわざ運んできてくれたの。
うれしいわ。

毎日遊んでいるのよ、あたし。

ひかり

追伸 毎日寒いわね。風邪をひかないようにね。
みんなも朝練から帰ったらちゃんとうがいをするのよ。


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by Mtonosama | 2016-02-04 05:56 | 映画 | Comments(10)

不屈の男
アンブロークン
-2-
Unbroken

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(c)2014 UNIVERSAL STUDIOS


ルイ・ザンペリーニはイタリア移民の子として育ち、
一時ぐれかけたこともありますが、
陸上選手としての才能を見いだされます。
1936年のベルリン・オリンピック5000メートル走では
驚異的なラップタイムをたたき出しました。

そして、時代は第二次世界大戦に。
彼も空軍爆撃手となります。
しかし、彼を乗せた爆撃機が太平洋上に不時着。
47日間の漂流の末、日本軍にみつかり、捕虜として東京の大森収容所に。

かつては1940年に予定されていた東京オリンピックへの出場を望んでいた
ザンペリーニにとっては皮肉な形で実現した東京行きでありました。

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ストーリー
1943年4月、南太平洋上で救助作業に向う途中、
ルイ・ザンペリーニを含む11人の乗組員を乗せたグリーン・ホーネット号は
エンジントラブルを起こし、海に突っ込み、8人が海の藻屑と消えた。

ルイとキャプテン・フィル、そして後部砲手マックは
救命ボートに乗り、果てしもない漂流に乗り出した。
襲いかかるサメや容赦なく照りつける太陽、
日本の爆撃機による機銃掃射に耐えたが、
マックは33日目に死亡。
ルイとフィルはお互いに励まし合いながら47日間漂流し、
最終的にはマーシャル諸島まで流された。
だが、そこに待っていたのは日本軍だった。
・・・
その後、ルイが送られたのは大森収容所。
そこで待っていたのが“バード”と呼ばれ、恐れられていた収容所長渡辺伍長だった。

ある日ルイは自分が戦死したことになっていると告げられ、
米本国向けの放送ラジオ・トーキョーで自らの生存を伝えるように要請された。

無事に放送を終えたルイは
アメリカを誹謗し、日本軍を称賛する放送をするように説得を受けた。
断固それを拒否したルイは再び大森収容所へ。
戻ってきたルイに「私と同じように意志が強いな」と優しく声をかける渡辺。
「しかし、お前は敵だ」と捕虜の全員にルイを殴るよう命令。
ルイに対するびんたは日が暮れるまで続いた。

1944年クリスマス。渡辺が昇進して大森を去ることが発表される。

同年末。激しい空襲に見舞われ、消火活動に駆り出される捕虜たち。
屋根の上からは赤く燃え盛る東京の街が見える。
終戦が近いと喜ぶ捕虜たち。
だが、連合軍が勝てば捕虜は殺される……

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いやはやバードこと渡辺伍長のサディスティックな懲罰。
演じるは本作が映画デビューとなるミュージシャンMIYAVI。
先日亡くなったデヴィッド・ボウイをもっと尖らせた一見美しい顔立ち。

この美しい顔から次々と繰り出される言葉や残虐な行為には
驚きを通り越して病的なものを感じます。
戦争が彼をこうしたのか、
なにか心の病を抱えているのか。

とにかくこんな男に目をつけられたルイ・ザンペリーニこそ災難です。
映画では正々堂々と彼と向き合い、
収容所生活の代わりに提案されたアメリカ合衆国への裏切りも
断固拒否して闘い抜いた不屈の男として生き抜いた強い男の生き方が描かれています。

でも、映画の終わりに
ルイもしばらくはPTSDを抱えていたとあるように、
ただただアンブロークンなだけではいられなかったと思います。

反日映画とも思わないし、
ルイ・ザンペリーニの不屈の闘志を讃美しようとも思いません。

でも、バードこと渡辺伍長を精神病理学的に
つきつめていくと何が見えてくるのか、
そんなことが気になって仕方ない作品でした。





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不屈の男 アンブロークン
監督/アンジェリーナ・ジョリー、脚本/ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン、リチャード・ラグラヴェネーズ、ウィリアム・ニコルソン、原作/ローラ・ヒレンブランド、プロデューサー/アンジェリーナ・ジョリー、クレイトン・タウゼント、マシュー・ベール、アーウィン・ストフ、撮影/ロジャー・ディーキンス、美術/ジョン・ハットマン
出演
ジャック・オコンネル/ルイ・ザンペリーニ、ドーナル・グリーソン/フィル、MIYAVI/渡辺、ギャレット・ヘドランド/フィッツジェラルド、フィン・ウィットロック/マック
2016年2月6日(土)シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー
2014年、アメリカ、カラー、137分、日本語字幕/戸田奈津子、配給/ビターズ・エンド、http://unbroken-movie.com/

by Mtonosama | 2016-02-01 05:23 | 映画 | Comments(8)