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殿様の試写室

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<   2016年 07月 ( 10 )   > この月の画像一覧


ロング・トレイル
-2-
A Walk in the Woods


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(C)2015 BIG WALK PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED.


映画を観る前にこんなことを言うのはいかがなものか、とは思いますが、
ロバート・レッドフォードのお歳の召し方といったらどうでしょう。
『追憶』(‘73 シドニー・ポラック監督)の時の美しい彼はどこに行ってしまったの?
お顔の皺をひっぱって伸ばして、それでも足りなければ
顔の皮を一枚めくればあの頃の美しいお顔は現れてくれるでしょうか。

ニック・ノルティだってそうです。
『48時間』(‘82 ウォルター・ヒル監督)のこわもてぶりは一体どこへ?
小型飛行機の乗降口から
お尻がひっかかって出られない程太っちゃったらねえ・・・

っていうか、
こんなになってしまっても「なせばなる」ということなのかも。
歳の取り方も映画の大事なファクターってことかもしれません。

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ストーリー
人気の紀行作家ビル・ブライソンは長年暮らした英国から
祖国アメリカのニューハンプシャーに戻り、家族と穏やかに暮らしていた。
仕事といえば知人の葬儀に出席することくらい。
次は「自分の番か・・・」と落ち込むこともなきにしもあらず。

ある時、自宅近くに一本の道を発見。
標識には“アパラチアン・トレイル”と記されている。

総延長距離3,500kmに及ぶ世界有数の長距離自然歩道だ。
ビルの胸の中にむくむくと膨れ上がる冒険心。
この道を踏破したい・・・

そんな無謀な計画を妻が許すわけはなく
息子も「毎年、挑戦者2,000人の内、踏破できるのは10%以下なんだよ」と水をさす。

だが、楽しげにトレッキング用品を買い揃える夫を見ている内に
無下に反対することもできなくなった妻は
「誰かと一緒に行くなら」という条件を出した。
友人知人に片っ端から連絡をとるビル。
でも、みんなお年寄り。
なんだかんだと言い訳して断ってくる。

そんな中ただ一人道連れを申し出てきたのは
声をかけてもいないスティーブン・カッツ。
40年前にビルの借金を踏み倒して以来、喧嘩別れしていた男だ。

ビヤ樽のように肥ったトラブルメーカーを見て心配を募らせる妻。

だが、自分の夢を叶えるため、スティーブン・カッツを相棒に
最南端のジョージア州から北上するコースへと出発。
いよいよスタート地点に立った二人だが、
後から来る人にドンドン追い抜かれていく。
「体調は万全さ!」と豪語していたカッツは400mも行かない内によれよれ。
どうなる?二人組
……

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1951年生まれの旅行作家ビル・ブライソンが
自らの体験を基に書いた「A Walk in the Woods」を出版したのは40代後半。
レッドフォードがそのタイトルからこの本を環境関連の本と勘違いして
手に取ったのが本作誕生のきっかけでした。

原作では40代だった主人公を、人生後半戦に突入したシニア世代に変えはしましたが、
出発前の入念な準備や
相棒とはいえ名字で呼び合う二人の微妙な関係、
二人が途中で立ち寄る山小屋やレストラン
そして、なによりも壮大なアパラチアン・トレイルの景観――
原作に書かれたエピソードは映画にも随所に反映されています。

ロバート。素敵な勘違いをしてくれてありがとう!

クスクス笑ったり、
クマがテント近くにやってきてドキドキしたり、
よし、頑張ろう!と思ったり。

やっぱりロード・ムービーは最高です。

それにしても、
ああ、どこかへ行きたいなあ。





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ロング・トレイル
監督/ケン・クワピス、製作/ロバート・レッドフォード、原作/「A Walk in the Woods」ビル・ブライソン著
出演
ロバート・レッドフォード/ビル・ブライソン、ニック・ノルティ/スティーブン・カッツ、エマ・トンプソン/キャサリン・ブライソン、メアリー・スティーンバージェン/ジェニー、クリステン・シャール/メアリー
7月30日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにてロードショー
2015年、アメリカ、104分、英語、字幕翻訳/寺尾次郎、http://www.long-trail.com/

by Mtonosama | 2016-07-30 06:09 | 映画 | Comments(10)

ロング・トレイル
-1-
A Walk in the Woods


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(C)2015 BIG WALK PRODUCTIONS, LLC ALL RIGHTS RESERVED.


どこかへ行きたくないですか?
近場もいいけど、どこか遠いところへ。

以前はよく出かけたものですが、
最近はどこにも行っていないとの。

いえ、わがままお嬢猫・三毛猫ひかちゃんのせいにはしますまい。
歳のせいにも、お金のせいにもしますまい。

でも―――

ああ、どこか行きたい!
という思いが極限まで高まったとき、
こんな映画を観ました。
『ロング・トレイル』です。

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日本にも、北は十勝ロングトレイル、奥津軽トレイル、
南は国東半島峯道ロングトレイルなど
随分あるようです。
日本ロングトレイル協会↓もできたようなのでご覧になってください。
日本ロングトレイル協会
健康と自然志向のライフスタイルへの関心が高まるなかで、
「自然、環境、旅、健康、学び」などのニーズは、
「歩く」から、さらに「歩く旅」へと進化しています。
ロングトレイルは、自然環境の適正利用による観光活性化が目標の一つであり、
地域社会に大きく貢献しようとしています。
海外からも多くの人々を惹きつける持続可能なトレイルの設置と整備を目的に、
特定非営利活動法人 日本ロングトレイル協会を設立する運びとなりました。
http://longtrail.jp/index.html

さて、本作『ロングトレイル』は
なんと総距離3,500kmに及ぶアパラチアン・トレイルが舞台。
先ごろ当試写室で上映した『ラサへの歩き方』の2,400kmよりも長いから驚きます。
やっぱりアメリカというのは広い国ですね。

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アパラチアン・トレイル
1921年に着想し、翌22年から計画開始、
南端のジョージア州スプリンガーマウンテンから
北端のメイン州マウント・カタディンまでがつながったのは
構想から16年を経た1937年。
現在の総距離は3,500km。
アメリカ三大トレイルの一つで
アメリカ東部に位置するアパラチア山脈の稜線や谷に沿って全14州を縦断。
ちなみに、三大トレイルとはアパラチアン・トレイル、
パシフィック・クレスト・トレイル、コンチネンタル・ディバイド・トレイルのこと。

アパラチアン・トレイルは主に森の中を進み、
グレート・スモーキー山脈国立公園、
ホワイトマウンテン国立森林公園など
山岳地帯を貫き、半年かけて縦走する。
安全確保はもとより装備や食糧の調達も
すべて参加者の責任で
ハイカー同士、地元の人の協力を得ながらゴールをめざす。
一年ですべてを踏破する「スルーハイク」
毎年少しずつ距離を進める「セクションハイク」もある。
原作本「A Walk in the Woods」の影響で、
発行翌年99年の利用者は60%以上も増え、
2015年の本作の全米公開で人気に拍車がかかっている。

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監督はケン・クワピス。
身近な題材をユニークな視点で描くコメディタッチの作品が多く、
本作でも笑わせてもらいました。

製作はロバート・レッドフォード。
本作では原作者ビル・ブライソン役で登場しています。
そして、彼の相棒役がニック・ノルティ。

ロバート・レッドフォードは80歳だし、
ニック・ノルティはサンタクロースかと見紛う程の肥満体だし、
さあ、この旅、いったいどうなるのでしょうか。

続きは次回まで乞うご期待でございますよ。



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ロング・トレイル
監督/ケン・クワピス、製作/ロバート・レッドフォード、原作/「A Walk in the Woods」ビル・ブライソン著
出演
ロバート・レッドフォード/ビル・ブライソン、ニック・ノルティ/スティーブン・カッツ、エマ・トンプソン/キャサリン・ブライソン、メアリー・スティーンバージェン/ジェニー、クリステン・シャール/メアリー
7月30日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにてロードショー
2015年、アメリカ、104分、英語、字幕翻訳/寺尾次郎、http://www.long-trail.com/

by Mtonosama | 2016-07-27 05:32 | 映画 | Comments(5)

あなた、その川を渡らないで
-2-
My Love,Don’t CrossThat River

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(C)2014 ARGUS FILM ALL RIGHTS RESERVED.


主人公の老夫婦に出会ったのは
まったくの偶然だったというチン・ヨモン監督。

チン・ヨモン監督
1970年生まれ。
1997年、ドキュメンタリー製作の現場に初めて足を踏み入れて以来
主にTV用のドキュメンタリーを演出、製作。
2013年、イ・ソンギュ監督の劇映画『シヴァ、人生を投げろ』(日本未公開)
でプロデューサーを務める。
2014年『あなた、その川を渡らないで』で監督デビュー。
現在、北朝鮮出身の潜水要員に関するドキュメンタリー『異邦人』を制作中。

さて、主人公夫婦はいつも韓服を着ています。
二人が暮らす山間の田舎町では月に一度五日市という市が立ちます。
市が立つとご夫婦は一番美しい韓服を着て
訪れるのが長年の習慣でした。

ある時、たまたまその市に取材に来ていた地方紙の記者が
ふたりを目にして記事にしたのがネットで話題になり、
テレビ番組に登場。
その後はバラエティ番組で紹介される程有名に。
民族衣装がふたりを世に知らしめた訳ですね。
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ストーリー
おばあさんの用意した食事におじいさんは文句を言ったことがない。
まずかったら残し、美味しかったら残さずきれいに食べる。
そして、食後は必ずおばあさんにお礼を言う。

おじいさんはコマとゴンスンという2匹の犬を可愛がっている。
犬たちと楽しそうに遊ぶおじいさんをおばあさんは縁側で笑みを浮かべてみつめる。
76年間お互いをみつめ合いながら過ごしてきた。

ふたりには12人のこどもがいた。
だが6人は幼い内に亡くなっている。
お正月になると子どもや孫たちが集まってくる。
おばあさんの誕生日にも皆一同に集まり、
楽しい時間を過ごす。
だが、しばらくすると長男と長女が
年老いたふたりを心配するあまり、口喧嘩を始めた。

ふたりはおばあさんが14歳の時に結婚。
男と女のことをするのが恥ずかしく夜になると隠れていたおばあさん。
おじいさんはおばあさんが大人になるまで待ち、
その間は優しく顔を撫でてくれた。
98歳の今も、
おじいさんはおばあさんの顔を撫でながらでないと眠れない。

いつものように市場へ出かけるふたり。
新しい寝巻を着せてもらうこともなく死んでしまった
6人の子どものために寝巻を買い揃える。
先に死んだ方が天国で子どもたちに渡すのだという。

ある日、愛犬のコマが死んでしまった。
体調を崩していたおじいさんはショックで気力をなくしてしまう。

膝が痛むおばあさん。
おじいさんは力をふりしぼって街の病院につきそう。

おじいさんの咳が止まらない。
おばあさんは「天国でも着られるように」と
竈におじいさんの着物をくべる。
夏服と冬服の区別もつかないおじいさんを心配し
「天国でも教えてあげなくちゃいけないから、すぐに私を迎えにきてね」
とつぶやくおばあさん。

お天気の良い日、ゴンスンが仔犬を産む。
おじいさんも少し元気になり、仔犬たちと遊ぶ……

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ささやかな幸せに感謝しつつ
日々を生きる老夫婦。
仲の良さと幸せそうな様子しか目に映らないけれど
6人も子どもを亡くし、
先の大戦や朝鮮戦争も生き抜いてきたであろうふたり。

静かな感動に打たれ、
各人の祖父母を思い出させてくれる作品です。

やっぱり泣いてしまい、すぐに席を立てなかったとのでした。



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あなた、その川を渡らないで
監督・撮影/チン・モヨン
出演
チョ・ビョンマン/おじいさん、カン・ゲヨル/おばあさん
7月30日(土)シネスイッチ銀座ロードショー
2014年、韓国、86分、日本語字幕/伊勢田京子、配給/アンプラグド、http://anata-river.com/

by Mtonosama | 2016-07-24 05:46 | 映画 | Comments(4)

あなた、その川を渡らないで
-1-
My Love,Don’t CrossThat River

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(C)2014 ARGUS FILM ALL RIGHTS RESERVED.


むかし、むかし、韓国の小さな村に
仲の良いおじいさんとおばあさんが住んでいました・・・

そんなおとぎ話のような映画でありながら
時代は現代であり、ドキュメンタリー映画なのであります。

主人公は98歳の夫と89歳の妻。
夫は98歳とは思えないほど背筋がすっと伸びた凛々しいおじいさん。
妻は豊かな白髪を短髪に刈った可愛いおばあさん。
いつも韓服(民族衣装)を身につけ、手をつないでお出かけするご夫婦です。

老人が主人公であり、
「その川」というのがおそらくは三途の川だろうと推測すると
死を描いた映画か、と思いますよね。

ところが、
心の底からお互いを大事に想う翁と媼の15ヶ月を追った映画なのです。
もちろんお歳もお歳ですからやがて別れのときが訪れはしますが――

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なんでもないお年寄りの映画が
あの名作『牛の鈴音』(‘09)
http://mtonosama.exblog.jp/12394849/
の記録を超え、韓国ドキュメンタリー映画史上最高となる
480万人の動員を達成しました。
国内では10人に1人が観たこととなります。

監督はチン・モヨン。
本作で監督デビューを果たしました。

小さな村の川のほとり。
結婚76周年を迎える老夫婦。
毎日二人は韓服を着て
手をつないで歩きます。
街の病院、市場、老人会の遠足にも
ナムルにいれる山菜を採りに山へ行く時でも
おそろいのスタイルで手を握り合って出かけます。

9歳も若いおばあさんが元気におしゃべりするのを
少し耳は遠いけれどしゃんとして男前のおじいさんが
優しくあいづちを打ちながら耳を傾けます。

初雪が降れば雪をかけあって笑い興じ、
落ち葉の季節には枯れ葉を手で掬いふざけ合います。

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最初は「えーっ、ありえない」とひいていたとのも
次第に二人の純愛に惹きつけられていきました。
そして、自分の祖父母を思い出していました。
―――
とのの母方の祖父は活動映画の弁士でした。
ある日、友人の借金の保証人になった祖父は
その尻拭いのため、
北海道の劇場と契約を結び、
弁士の拠点だった名古屋の地を離れ、
単身小樽へ向かったのです。
当時、弁士といえば時代の花形。
小樽の劇場で弁舌爽やかに語る祖父を見て
夢中になった少女がいます。
それが祖母でした。

その祖母から
どれだけ祖父がダンディだったか聞かされました。
祖父が亡くなってからも
あんなに素敵な人はいなかったといつも言っていました。

すっかり忘れていたけれど、
この映画を観て思い出しました。

韓国で本作を観た480万人の内、約半数が20代だったといいます。
経済状況も恋愛状況も厳しいといわれる韓国の若者たち。
老夫婦の思いやりに溢れた姿に憧れと救いを求めつつも
とののように自分たちの幼少期を思い出したのかもしれませんね。

チン・ヨモン監督は15ヶ月にわたって主人公達に密着し、
彼らの日常生活と江原道横城郡・古時里村の美しい四季を撮影しました。

さあ、一体どんなお話でしょうか。
続きは次回までお待ちくださいませ。



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あなた、その川を渡らないで
監督・撮影/チン・モヨン
出演
チョ・ビョンマン/おじいさん、カン・ゲヨル/おばあさん
7月30日(土)シネスイッチ銀座ロードショー
2014年、韓国、86分、日本語字幕/伊勢田京子、配給/アンプラグド、http://anata-river.com/

by Mtonosama | 2016-07-21 06:09 | 映画 | Comments(8)

ラサへの歩き方 
祈りの2400km
-2-
Paths of the soul

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本作のチャン・ヤン監督のチベットとの出会いは1991年。
24歳で旅行をし、チベットに惹かれた監督は、
その後大学を卒業してからも
しばしば訪れてドキュメンタリーを撮っていたといいます。

1年以上にわたる撮影を経て
チベットの厳しい自然とも向きあったこの作品。
政治的な部分はまったくありません。
ただチベットの人々の生き方を切り取り、
大自然の一部として生きる彼らを
共に歩きながら、撮影した映画です。

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ストーリー
チベット、マルカム県プラ村。
ニマの家では父親が亡くなって日も浅く、法事の最中である。
叔父のヤンペルは兄のように思い残すことがないよう
死ぬ前に聖地ラサへ行きたいと願っていた。
ニマは叔父の願いを叶えるため
一緒にラサへ巡礼にいくことを決意した。

それを聞いたケルサンは
来年が聖山カイラスの巡礼年にあたる午年で
長女ツェリンがもうすぐ産む子どもも午年にあたり、
入り婿セパも午年であることから
ツェリンとセパにも巡礼に行くことを勧める。

ツェリンの妹ツェワン
家畜解体業のワンドゥ
家の新築工事で死者を出してしまったジグメとムチュ夫婦
その娘タツォ
ケルサン家のダワ・タシ、甥のワンギュル
巡礼のメンバーは計11人となった。

村人たちは巡礼のための日用品を揃え、
トラクターに詰め込み、リーダーのニマがそれを運転する。
老いたヤンペルと妊婦ツェリン以外は
幼いタツォも含め、五体投地ではるか2400kmを進む。

ある日、ツェリンの陣痛が始まる。
トラクターで病院に運ばれたツェリンは無事男児を出産。
プラ村からツェリンの父ケルサンが妻と一緒にやってきて
赤ん坊をテンジン・テンダルと命名。
ツェリンとセパが子どもを連れてテントに戻り、
再び巡礼が始まった。

旅の途中、いろいろな出会いもあり、事故もあった。
外国人を乗せた車がトラクターに追突。
車軸が折れて、ひっくり返ったトラクター。
乗せていた外国人が高山病になり、
病院へ運ぶため急いでいたと平謝りに謝る運転手。
巡礼の一行は咎め立てもせず、病院へ急がせる。

トラクターを諦め、荷台だけを皆で押しながら進む。
峠を越える。
間もなく聖地ラサ・・・

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ラサ
チョカン寺ではたくさんの僧侶が読経し、
大勢の信者が祈りを捧げる。

ツェリンの叔父・高僧のラマ・トゥプテンが
一行の宿を訪れ、祝福してくれた。
彼らはここから更にカイラス山へ向かう。
だが、旅費も底がつき、ラサ市内で働いて金を稼ぐことに。

2ヶ月が経ち、再び巡礼を続ける一行。
季節は冬へ。
ある夜、ヤンペル老人は野外で夜を過ごそうとしている青年と出会う。
彼をテントに誘うヤンペル。
新しい巡礼者と共にカイラス山の麓に着いた一行。

翌朝
ヤンペル老人はテントの中で静かに息をひきとっていた。
鳥葬のため、彼は山の頂へ運ばれる。
運ぶのはヤンペル老人がテントに誘った若者。
親族が遺体を運ぶことはできないからである。

海底のように深く蒼い大空に僧侶たちの読経が響き、
幾羽もの鳥が滑空する―――

カイラス山をめぐる一行の巡礼はまだまだ続く……

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9年前に五体投地をするチベットの人々の姿を見たとき、
彼らは現世に絶望しているから、あえてこのような苦しい巡礼をするのだ、
と思いました。

でも、それは当たらないかもしれません。
巡礼は生きることそのものなのです。

だからこそ、『ルンタ』で観た
http://mtonosama.exblog.jp/24217115/
http://mtonosama.exblog.jp/24228150/

中国政府への抗議のため焼身自殺する若い人々の姿や想いが
痛々しくてなりません。

チベットはチベットの人々の手に――
と心の底から思います。





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ラサへの歩き方 祈りの2400km
監督/チャン・ヤン、撮影/グォ・ダーミン、編集/ウェイ・ロー、音声/チャオ・ナン、ヤン・ジャン、プロデューサー/チャン・ヤン
出演
ヤンペル、ニマ、ツェワン、ツェリン、セパ他
7月23日(土)シアター・イメージフォーラム他全国順次公開
2015年、115分、中国、チベット語、字幕/樋口祐子、配給/ムヴィオラ
http://www.moviola.jp/lhasa/

by Mtonosama | 2016-07-18 06:28 | 映画 | Comments(4)

ラサへの歩き方 
祈りの2400km
-1-
Paths of the soul

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9年前にチベットを訪れて以来、常にこの地を恋し続けているとのです。
実は、9年前どころか100数十年前の小学生の頃から憧れていました。

―当時の子どものお楽しみ番組『ポパイ』(日曜夜7時)で初めてチベットを知りました―

念願かなって9年前にラサの地に降り立った時は、
心が躍ったものです。

そして、たまたまバスの中から
五体投地しながら道路を進んでくる一団を目にした時、
この人達はなぜこのように苦しい祈りをするのか、
現世にそれほど絶望しているのだろうか、
と驚きました。

彼らは身体の前面を覆う皮のエプロンをまとい
両手には板きれをつけ、
硬いコンクリートの地面に
身を投げ、身を投げしながら、進んでいるのでした。

――――

本作『ラサへの歩き方』は中国四川省国境に近いチベットの小さな村から
聖地ラサを経てインドに近いカイラス山までの2400kmの道のりを
巡礼する村人たちの道中を描いた壮大なロードムービーです。
究極のロードムービーと言ってもいいかと思います。

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カイラス山は標高6656mの未踏峰。
チベット語ではカン・リンポチェといいます。
神々しく、美しい山ですね。
未踏峰というのは、カン・リンポチェは信仰の山であるため
登頂許可が下りないからなのです。
伝説では聖者ミラレバが登頂したということになっています。

主峰は本尊。
周囲の山々は本尊を取り囲む尊格と見立てられ
この地の巡礼は曼荼羅図をイメージして行なわれるのだといいます。

映画とは関係ありませんが、
そんな聖なるカイラス山を通る自動車専用道路の建設が
中国政府によって計画され、
現在その中止を求める運動が国際的に展開されています。

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監督はチャン・ヤン。
北京の胡同を舞台にした『こころの湯』(‘99)
『胡同のひまわり』(‘05)の監督です。

最初、中国人監督によるチベット映画と知り、
「どうしたもんじゃろのお」
と悩みました。
だって、ダライ・ラマやチベット仏教を目の敵にする
中国がこのような作品の上映を許可するでしょうか。

『こころの湯』も『胡同のひまわり』も
心温まる映画でした。
良い人ばかり登場する映画でした。

この手の作品を手掛けてきた中国人監督が
あまりにヘビーな五体投地をどのように捉えるのか、
映画を観て失望させられるのはなあ・・・
怖さの方が勝つ思いを抱きつつ鑑賞しました。

チャン・ヤン監督、
Warm @ heartなだけじゃありませんでした。

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一見ドキュメンタリー作品を思わせるシビアな映像ながら
実は本作はフィクションであります。
この作品、監督の転機となるかもしれません。

ドキュメンタリーを思わせるのは
本作に出演する人々がすべて
実際にチベット自治区マルカム県プラ村に暮らす農民たちで、
実際に自分自身と重なる役柄を演じているから、です。

そして、フィクションであるというのは
五体投地を最高の光の中で撮影するため、
前へ進んだり、後戻りしたり、を何度も繰り返すという演出を施したから。
実際、撮影したい対象が思い浮かばない時には数日撮影を休み、
巡礼者たちとおしゃべりしたりすることもありました。

監督はまた
おおよそのプロットと人物設定について
長い時間をかけてプランを練っていました。
巡礼の途中で死を迎える70~80歳の老人を出演させる。
巡礼の途上で出産する妊婦。
多くの殺生を行なったため、罪滅ぼしをしたいと願う家畜解体業の男。
7,8歳の女の子。
16,17歳の若者。
そして、50歳くらいの男に巡礼のかじ取りをさせる・・・
そんな人物設定とプロットを作ってはいました。

が、しかし、
プロットの根幹には、赤ちゃんが生まれ、老人が亡くなるという
生と死の対比がしっかり存在しました。
脚本はありません。

なんといっても
圧巻なのは五体投地です。
最後に大まかな五体投地のルールをお伝えします。

1.合掌
2.両手、両膝、額を大地に投げ出しうつ伏せる
両手、両膝、額で五体です。
3.立ち上がり、同じ動作を繰り返す
4.中断したら、戻って同じ場所から始める
決してズルをしてはいけません。
5.他者のために祈る

さあ、続きは次回まで乞うご期待でございます。



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ラサへの歩き方 祈りの2400km
監督/チャン・ヤン、撮影/グォ・ダーミン、編集/ウェイ・ロー、音声/チャオ・ナン、ヤン・ジャン、プロデューサー/チャン・ヤン
出演
ヤンペル、ニマ、ツェワン、ツェリン、セパ他
7月23日(土)シアター・イメージフォーラム他全国順次公開
2015年、115分、中国、チベット語、字幕/樋口祐子、配給/ムヴィオラ
http://www.moviola.jp/lhasa/

by Mtonosama | 2016-07-15 06:37 | 映画 | Comments(4)

ヤング・アダルト・ニューヨーク
-2-
WHILE WE’RE YOUNG

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©2014 InterActiveCorp Films,LLC.


さて、ジェネレーションXのジョシュに
声をかけてきた青年ジェイミー。
彼・ジェイミーの属する世代がジェネレーションZ
日本のゆとり世代より若いようですよ。

ジェネレーションZ
アメリカ合衆国においてジェネレーションYの次の世代を
「ジェネレーションZ」と呼称する。
ジェネレーションYよりもさらに周囲のIT環境が進展しており、
生まれた時からインターネットが当たり前のように存在する
デジタルネイティブ(ネットネイティブ)世代である。
かつてはジェネレーションYが
一般的に1970年代半ばから1980年代に生まれた世代とされていたため、
ジェネレーションZもそれに続く1990年代以降に生まれた世代とされることが多かった。
「ニュー・サイレント・ジェネレーション」と呼ばれることもある。
なお、ジェネレーションZの次の世代については
「ジェネレーションα」という名称が考案されている。(Wikipediaより)

と、長々しくジェネレーションZを引用してしまいましたが、
世代で線引きされるというのは
当の世代にとってはあまり面白くはないものでしょうね。
なにかといえばやり玉に挙がる日本のゆとり世代は気の毒ですし、
数が多いというだけで厄介者みたいにいわれてきた団塊世代だって
つらい思いをしてきた筈です。

さあ、どんなお話でしょうか。

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ストーリー
ブルックリンに暮らすドキュメンタリー映画監督のジョシュと
映画プロデューサーのコーネリアは子どものいない40代の夫婦。
同年配の友人の赤ちゃん自慢に
うんざりしつつもちょっと複雑な気分だ。

前作で高評価を得てから8年。
ジョシュの新作は未だ“編集中”。
今はアートスクールの講師をしている。
授業後、ジョシュは生徒の20代の夫婦から声をかけられた。
ジョシュの前作に感動したと語る監督志望のジェイミー。
オーガニックアイスクリームを作って販売する妻・ダービーはそんな夫を応援している。

ある日、ジョシュとコーネリアは二人の家に招待されて驚いた。
壁にはLPレコードとVHSテープ。
手作りの家具。
ジェイミーはインスピレーションの赴くままに
映画を撮り、イベントを開催する。
生活そのものがアートなのだ。

やがてジョシュはジェイミーと、
コーネリアもダービーと
ニューヨークの街に繰り出していくようになる。

そんな中ジェイミーと入ったとあるカフェ。
そこで、ジョシュは義父ブライトバートとばったり。
彼は高名なドキュメンタリー映画監督。
彼をジェイミーに紹介すると
「あなたの作品を観て人生が変わりました」
すかさず自己PRするジェイミー。
ん?
……

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とまあ
20代のジェネレーションZに翻弄される
40代のジェネレーションX
同じ気でつきあうには無理があります。

時代に後れをとるまい、と
スマホ片手にSNSを使いこなす筈が
逆に束縛される40代。

眼の調子が悪いので医者に行き
老眼と診断され
「え、僕の歳で?」
「あなたの歳だからですよ」
ああ、40代。
笑うに笑えない惨めな40代。
自分の年齢を受け入れきれない40代。
(うんうん、自分もそうだった・・・)

でも、世代論は置いといて
40代は社会的な立場にも身体にも変化が現れる時期。
20代はなんといっても伸び盛り。
その20代の最新ファッションが
40代が若かった頃のファッションだったことも
この映画の悲しいところ、
いや、
笑えるところなんですねえ。

意識していなかった老化に抗うのか、受け入れるのか、
いずれにせよ、40代は人生の岐路でありましょう。

ああ、40代をはるか昔に終わっててよかった。



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ヤング・アダルト・ニューヨーク
監督・脚本・製作/ノア・バームバック、製作/スコット・ルーディン、リラ・ヤコブ、イーライ・ブッシュ、撮影/サム・レヴィ
出演
ベン・スティラー/ジョシュ、ナオミ・ワッツ/コーネリア、アダム・ドライバー/ジェイミー、アマンダ・サイフリッド/ダービー、チャールズ・グローディン/ブライトバート、アダム・ホロヴィッツ/フレッチャー
7月22日(金)TOHOシネマズ みゆき座ほか全国公開
アメリカ、97分、字幕翻訳/石田泰子、http://www.youngadultny.com/

by Mtonosama | 2016-07-12 05:14 | 映画 | Comments(4)

ヤング・アダルト・ニューヨーク
-1-
WHILE WE’RE YOUNG

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©2014 InterActiveCorp Films,LLC.


"ここだけの話、わたしって実年齢で見られたことないのよね"
"自分の歳をいうと皆エーーッ!て驚くのよ"
"だから若い人とおつきあいする方が楽しいかな"

あ、自分のことじゃありません。

本作『ヤング・アダルト・ニューヨーク』の話です。

でも、この邦題、個人的にはあまり気に入らないかも。
While we’re young
オリジナル・タイトルの方が本作のコンセプトにぴったりな感じです。

監督はノア・バームバック。
2年前の9月に当試写室で上映した『フランシス・ハ』
http://mtonosama.exblog.jp/22891346/
http://mtonosama.exblog.jp/22909095/

の監督です。
ポスト/ウディ・アレンと呼ばれています。
つまり、スノッブなニューヨーカーを描いたらこの人あり、
って感じでしょうか?

ノア・バームバック
1969年NYブルックリン生まれ。
1995年ラブ・コメディ『彼女と僕のいた場所』で監督・脚本デビュー。
2005年、高校時代の実体験を基にした『イカとクジラ』が
アカデミー賞脚本賞にノミネート。
2007年、ニコール・キッドマン主演『マーゴット・ウェディング』を監督・脚本。
2010年、ベン・スティラー主演『ベン・スティラー 人生は最悪だ!』監督・脚本。
2012年、グレタ・ガーウィグと共同で脚本を書き、
低予算で作られたモノクロ映画『フランシス・ハ』が批評家に絶賛され、大ヒット。
脚本家としての活躍はウェス・アンダーソン監督『ライフ・アクアティック』(‘04)。
『ファンタスティックMr.FOX』で共同脚本を担当した他、
アニメーション『マダガスカル3』の脚本も執筆。

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舞台は現代のニューヨーク。
『フランシス・ハ』の時と同じく、
いつの時代かはっきりしませんけど。

主人公は40代のカップル。
夫ジョシュはドキュメンタリー映画監督。
妻コーネリアは映画プロデューサー。
但し、夫の作品ではなく、有名監督である父親の作品を手掛けています。
夫の作品をプロデュースしたくとも
8年も前から作品が塩漬け状態では仕方ありません。
そんな次第でジョシュはアートスクールの講師をしながら
糊口を凌いでいる訳であります。

子どもも作らないことに決めて、生活を楽しむというカップル。
よくあるニューヨーカーです。
ていうか、映画ではよくあるパターンですよね。

とはいえ、楽しむといったって
そうそう面白いことがある訳じゃないというのもよくある話。

このあたりでなんとなく身につまされるというか、
先が見えてくるのであります。

ところが、
いつものようにアートスクールで講義をしているジョシュに
爽やかな青年が声をかけてきました――


アメリカには
ジェネレーションXとかジェネレーションZという世代があるのだとか。
団塊の世代やゆとり世代と同じく
世代でくくると一般化しやすいからでしょうかね。

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ジェネレーションX
ケネディ政権の時代からベトナム戦争終結(1975年)後までの時代に生まれた世代。
しらけ世代や新人類のアメリカ版に相当する世代であり、
ベトナム戦争の最中から終結直後にかけての時代に10歳を迎えた。
生まれた時期はテレビの爆発的な普及が始まった時期であり、
キューバ危機やヒッピー運動の時期に1桁台を過ごした。
そして、ヒッピー運動の衰退とベトナム戦争の終結による
「しらけムード」の中で10代を過ごす。
成人する1980年から1994年にかけては
冷戦末期からソ連崩壊の時期であり、
ジャック・ウェルチを初めとする大資本家が
「リストラ」「ダウンサイジング」と称した整理解雇ブームを惹き起こした時期であった。
このため、ジェネレーションXは軒並み就職難に遭遇。
なお、チリなど南米諸国の同世代も、
1980年代の「失われた10年」に遭遇した就職難の世代である。
「ミー・ジェネレーション」という別名を持ち、
個人主義と内向性を特徴としている。
政治や社会に対して冷めている傾向が強い。
(Wikipediaより)

大変な時代に生まれてしまったものです。
その大変な40代夫婦を演じるのがベン・スティラーとナオミ・ワッツ。
ベン・スティラーってコメディアンらしくない気難しい顔の人物。
そうそう『ナイトミュージアム』シリーズの主演俳優です。
ナオミ・ワッツは結構深刻な作品に出演した演技派ですが、
本作ではおっとりした女性を演じています。
っていうか、本来の味を出している気がしますが。

ありゃ、ジェネレーションXをウィキったら長くなり過ぎました。
ジェネレーションZは次回に回しますね。



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ヤング・アダルト・ニューヨーク
監督・脚本・製作/ノア・バームバック、製作/スコット・ルーディン、リラ・ヤコブ、イーライ・ブッシュ、撮影/サム・レヴィ
出演
ベン・スティラー/ジョシュ、ナオミ・ワッツ/コーネリア、アダム・ドライバー/ジェイミー、アマンダ・サイフリッド/ダービー、チャールズ・グローディン/ブライトバート、アダム・ホロヴィッツ/フレッチャー
7月22日(金)TOHOシネマズ みゆき座ほか全国公開
アメリカ、97分、字幕翻訳/石田泰子、http://www.youngadultny.com/

by Mtonosama | 2016-07-09 07:20 | 映画 | Comments(2)

太陽の蓋 
-2-

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©「太陽の蓋」プロジェクト/ Tachibana Tamiyoshi


あの日、
日本中が固唾を呑んで情報を求めていました。
日本のニュースなど信用できないから
海外ニュースを検索し、
ショッキングな映像を目にしたりもしました。

本作は数多くの報告書や資料を分析し、
事故対応当事者だった政治家や閣僚や
被災地福島での直接取材を行なって作りあげた作品です。

官邸内で起こっていたことをベースに
官邸外の人々のドラマを対比させています。
ノンフィクション部分は関係者の著書や調書、
事故を報道した現役記者、
当時首相だった菅直人氏はじめ、
当時の政権閣僚に直接インタビューし、脚本を制作。

官邸、東電本社、福島第一原発の混乱や苦悩を描き、
報道の在り方にも疑問の眼を向けています。
菅内閣の政治家は全て実名で登場。

原発事故の経過や対応を事実に沿って追いながら、
情報が錯綜する官邸内のリアルな様子を描き出しました。

菅首相は三田村邦彦、
枝野内閣官房長官は菅原大吉
福山内閣官房副長官は神尾佑が演じています。

ストーリー
2011年3月11日午後2時46分。東日本大震災発生。
福島第1原発では全電源喪失の事態に。
冷却装置を失った原子炉は温度が上がり続けた。
チェルノブイリに匹敵する最悪の事態が目前にあった。
のたうちまわる怪獣のような不気味な変貌を遂げる原発。
情報不足のまま、混乱のさなかにある官邸。
福島では故郷に別れを告げ、住民たちが避難していった――
荒れ狂う原発を前になすすべもなく時は過ぎる。
そして3月12日午後3時36分
1号機の原子炉建屋が水素爆発を起こした。
続き、3号機、2号機でも――
官邸でも、
記者クラブでも、
テレビの前で息をつめる市民も
かつてない事態の前であまりに無力だった……

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まだまだ生々しいです。
放射性廃棄物の詰まった黒いゴミ袋が地面を覆い尽くし、
山中の木々と土壌には放射能が残っています。
除染除染といわれ、終わったような気になっている内に
再稼働が始まり、
40年を経過した古い原子炉も使うというではありませんか。

本作プロデューサーは
震災当時内閣副官房長官だった福山哲郎氏に面会しました。
彼が事故当時からの経過を書き留めていた「福山ノート」という記録が
後に原発事故を検証する際、非常に重要な役割を示したからです。
原発事故解明も未だならず、
現役政治家が実名で登場し、
人々の心の傷も癒えてはいない中、
「映画化は可能だろうか」と当初福山氏は語ったといいます。

実際、事故調をはじめとする公的な報告書、著作物、
メディア関係の資料・・・
膨大な資料との格闘があり、
同時に福島の人々の想いや
東京に暮らす人々から見た震災と事故、
東京電力の上層部と現場で命を賭して原発と格闘した職員、
官邸内のドラマ、メディアの在り方――
困難な作業が待ちうけていたことでしょう。

が、しかし、これは終わったことではありません。
まだまだこれからも向き合い、内省し、
なによりも原発のない社会に向けて
危険がなく、維持しやすいエネルギーを研究開発し、
生活の在り方を変えていく過程のさなかにあるのです。

そう、この映画はあの事故の総括ではありません。
あの事故が起きた以上、
原発のない社会に向かう過渡期にあることを
あらためて思い出すきっかけとする映画なのだと思います。





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太陽の蓋
監督/佐藤太、脚本/長谷川隆、製作/橘民義、プロデューサー/大塚寧、音楽/ミッキー吉野、撮影/小宮由紀夫
出演
北村有起哉/東京中央新聞記者・鍋島、大西信満/毎匡新聞記者・山中、中村ゆり/鍋島の妻・麻奈美、郭智博/修一
7月16日(土)より渋谷ユーロスペースより全国順次公開
130分、カラー作品、配給・宣伝/太秦

by Mtonosama | 2016-07-06 05:05 | 映画 | Comments(8)

太陽の蓋 
-1-

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©「太陽の蓋」プロジェクト/ Tachibana Tamiyoshi


何が不思議といって、
あの日、あれだけの大震災に襲われ、
津波に多くの人命が流され、
さらに原子炉建屋の水素爆発という事態まで目の当たりにしながら
原発再稼働を主張する政府、電力会社、経済界の心の内ほど
不思議なものはありません。

5年前
水に流されながら燃える家や
仙台空港にまで押し寄せた津波が旅客機をじりじりと押していくという
信じられない光景をTV画面の中に観て息を呑みました。
そして、
「原発は?原発はどうなった?」
と不安になりました。

それから後の眼を疑うような映像をリアルタイムで追いながら
ああ、もうこの国は終わりなんだ―――
と胸がしめつけられました。

あれから5年。
世の中は何もなかったかのように回り、
知らぬ間に夜の街もあの出来事の前のように明るくなりました。

Under control
と目じりも頬も垂れた総理大臣は明るく口にします。

んな訳ないだろうが!

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当試写室では
あの事故の後、
2011年5月『100,000年後の安全』
http://mtonosama.exblog.jp/15982946/
10月『アンダーコントロール』
http://mtonosama.exblog.jp/16742174/
http://mtonosama.exblog.jp/16755138/
2012年2月『プリピャチ』
http://mtonosama.exblog.jp/16755138/
http://mtonosama.exblog.jp/17256592/
3月『核の傷 肥田舜太郎医師と内部被曝』
http://mtonosama.exblog.jp/17357891/
http://mtonosama.exblog.jp/17368770/
10月『フタバから遠く離れて』
http://mtonosama.exblog.jp/18045431/
http://mtonosama.exblog.jp/18055781/
2013年2月『故郷よ』
http://mtonosama.exblog.jp/18576798/
http://mtonosama.exblog.jp/18591585/
2014年2月『家路』
http://mtonosama.exblog.jp/21442421/
http://mtonosama.exblog.jp/21456325/
2016年2月『大地を受け継ぐ』
http://mtonosama.exblog.jp/24953297/
http://mtonosama.exblog.jp/24962676/

8本の原発、放射能関連の映画を上映してきました。
内『プリピャチ』『故郷よ』はチェルノブイルのその後を描いた映画、
『核の傷 肥田舜太郎医師と内部被曝』は広島原爆以後のドキュメンタリーです。

ドキュメンタリーが多いのですが、
2012年10月には『希望の国』(園子音監督)という劇映画も公開されています。

当試写室で上映した劇映画は『家路』でした。
福島第一原子力発電所から半径20キロ圏内で代々暮らし、農業を営み、
今は仮設住宅に暮らす家族が主人公の物語。
松山ケンイチ、内野聖陽、田中裕子が出演しています。

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今回、上映するのは『太陽の蓋』。
これまでの映画が原発事故後、福島の地を離れ、
苦悩する人々の日々を描いたものだとすると、
本作は
あの事故の後、息をつまらせるような思いで
TV画面をみつめた私たちの日々を
再現するような作品です。

東日本大震災が発生し、福島原発事故が起きた
3月11日からの5日間。
原発事故の真相を追う新聞記者をキーパーソンとし、
首相官邸内、東京や福島で暮らす人々の姿なども多角的に捉えた
オムニバス構成の劇映画です。
2011年3月11日以降、未曾有の事態に身動きできず
何一つ真相が見えない不安の中にいた日々が蘇ります。

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製作にあたった橘民義さんは言います。
「私がこの映画を作りたいと思ったのは
事故以来今日まで大きく歪曲して伝えられた事実を
正確に伝え直したいと思ったからに他ならない」

もう一度、あの日を思い出してみましょう。
あんな怖い日々のことを忘れるなんてとんでもないことです。

まして再稼働だなんて――
どういうこと?



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太陽の蓋
監督/佐藤太、脚本/長谷川隆、製作/橘民義、プロデューサー/大塚寧、音楽/ミッキー吉野、撮影/小宮由紀夫
出演
北村有起哉/東京中央新聞記者・鍋島、大西信満/毎匡新聞記者・山中、中村ゆり/鍋島の妻・麻奈美、郭智博/修一
7月16日(土)より渋谷ユーロスペースより全国順次公開
130分、カラー作品、配給・宣伝/太秦

by Mtonosama | 2016-07-03 05:45 | 映画 | Comments(6)