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殿様の試写室

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殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

<   2016年 09月 ( 10 )   > この月の画像一覧

 

ある戦争
-1-
KRIGEN

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(C)2015 NORDISK FILM PRODUCTION A/S


平和維持のため、アフガニスタン紛争地域に駐留するデンマーク軍。
駐屯地の周囲は土と砂ばかり。
しかし、そこにいるのは兵士だけではありません。
豊かとはいえなくてもかつては平和に人々が暮らしていた土地です。
そして、同時にそこにはタリバンも潜んでいます。

部隊長クラウスは今日もパトロールに出かけます。
地雷も埋まっているし、
タリバンはどこからともなく襲撃しています。
これが戦場の日常です―――

『偽りなき者』
『光の方へ』(名作です!)の
http://mtonosama.exblog.jp/15951536/ 
http://mtonosama.exblog.jp/15967150/

トマス・ヴィンターベア監督作品の脚本家として知られるトビアス・リンホルム。
今回は監督・脚本家として、この心に残る作品で魅せてくれました。

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トビアス・リンホルム監督
1977年デンマーク生まれ。デンマーク国立映画学校を卒業し、TVシリーズ「Sommer」(‘08)で脚本家デビュー。その後、全世界70ケ国以上で放送され、2010年から13年、デンマークを代表するTV政治ドラマとなった「コペンハーゲン/首相の決断」の脚本家として注目を浴びる。2013年「バラエティ」誌の「最も有能な若き脚本家の10人」に選ばれる。2010年ミケール・ノエアとの共同脚本・共同監督で初の長編映画『R』(原題・未)を発表。デンマークのアカデミー賞といわれるロバート映画賞で作品賞、監督賞、脚本賞を含む8部門を受賞。
その後、トマス・ヴィンターケア監督と組み、2010年『光のほうへ』ではデンマーク映画批評家協会賞・特別賞を受賞。2012年『偽りなき者』ではヨーロッパ映画祭・脚本賞を受賞。自身の監督2作目『シージャック』(‘12)はヴェネツィア、トロント、東京の各国映画祭で絶賛。監督長編第3作目の本作では第88回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた。

監督は言っています。
「私は兵士だったことも、戦場に赴いたこともない。
ニュースなどを通じて戦争を観察するだけだった。
『ある戦争』を作ろうと決めた時、
デンマーク兵士やタリバン、その親類や難民など、
戦争を目撃した人を探そうとした。

私には戦争の複雑さと理論を理解する必要があった。
それは戦争における人間についての物語を伝えるためだ。
戦争に関わる人は今も実在する。
私にとって『ある戦争』はそんな彼らについての物語である」

伝わりました。

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いま、自衛隊員が海外で銃をとり、人に対して発砲することが、
また、自身も撃たれるかもしれないことが現実化しつつあります。

監督同様、
兵士だったことも、戦場に赴いたこともなく、
ニュースなどを通じて戦争を観察するだけだった私たちが
初めて直面する状況です。

さあ、いったいどんな映画でしょう。
続きは次回までお待ちくださいませ。



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ある戦争
監督・脚本/トビアス・リンホルム、プロデューサー/ルネ・エズラ、トマス・ラドアー、撮影/マウヌス・ノアンホフ・ヨンク
出演
ピルー・アスベック/クラウス、ツヴァ・ノヴォトニー/マリア、ソーレン・マリン/マーティン・R・オルセン、シャルロット・ムンク/カイサ・デニング、ダール・サリム/ナジム・ビセマ、ダルフィ・アル・ジャブリ/ルトフィ・“ラッセ”・ハッサン
10月8日(土)新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
2015年、デンマーク、デンマーク語、アラビア語、115分、カラー、日本語字幕/ブレインウッズ、後援/デンマーク大使館、配給/トランスフォーマー、www.transformer.co.jp/m/aru.sensou/

by Mtonosama | 2016-09-28 06:14 | 映画 | Comments(4)
 

三毛猫ひかちゃん -46-


あたし、ひかちゃん。

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ま、こんなもんよ。

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少し前まではこんなふうに伸びきっていたあたしだけど、
さすがにここのところはちょっとこれじゃあいけないわね。

というわけで飼い主を連れてシネコヤへ行ってきたわ。

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ここよ。
オシャレでしょ?

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(C)ALL RIGHTS RESERVED C COPYRIGHT 2014 BY VIACOM18 MEDIA PRIVATE LIMITED AND ISHAAN TALKIES

『マルガリータで乾杯を』という映画を上映していたの。

障害を持ちながら前向きに生きる少女の成長を描いたインド発のヒューマンドラマよ。
若手女性監督ショナリ・ボースが、障害者の性や恋愛という題材も盛り込みながら、
様々な困難を乗り越えて真っ直ぐに生きる少女と
彼女を温かく見守り続ける母親を描いた映画なのよ。

あら、解説が上手ですって?
ふふ、映画.comさん、ありがとうございました。

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シネコヤではね、
いつも、映画が終わると、
館主さんが「さあ、今の映画に出てきたものがこのお部屋に隠れています」
と謎々をかけるのよ。

飼い主はいっつもわからないんだって。
ちょっとトロいわよね。

あたしが教えてあげるわ。
青と緑のクネクネしたストローがそうなの。

主人公ライラは手足が不自由なんだけど、
このストローを使ってマルガリータっていうお酒を飲むのよ。

インドの映画なのに歌も踊りもない静かな映画だったわ。
インド映画でこういうほっこり系って珍しいんじゃないかしら。

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あたしもこれからは今以上に良い子にならなくちゃ。

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そのためには寝るのが一番かしら。

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お彼岸も過ぎて涼しくなってきたから
皆さんもやってみて。
機械の狭間って暖かくて最高なのよ。

じゃあね。

ひかり


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by Mtonosama | 2016-09-25 05:32 | 映画 | Comments(10)

白い帽子の女
-2-
By the Sea

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(C)2015 UNIVERSAL STUDIOS


あらためてご紹介するまでもないアンジェリーナ・ジョリー。
これからはアンジェリーナ・ジョリー・ピットと
書かなくてはいけないのですが、
『17歳のカルテ』での鮮烈な彼女を忘れられないがゆえに
やっぱりアンジェリーナ・ジョリーと呼びたいです。

――と書いたところで二人の離婚のニュースが飛び込んできました――

1975年生まれのアンジー。
女優としては1997年にTV映画『ジョージ・ウォレス/アラバマの反逆者』で
ゴールデン・グローブ賞最優秀主演女優賞、
1998年TV映画『ジーア/悲劇のスーパーモデル』で
ゴールデン・グローブ賞テレビ映画主演女優賞などを受賞。
1999年『17歳のカルテ』(ジェームズ・マンゴールド監督)で
アカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞、
放送映画批評家協会賞、全米映画俳優組合賞の助演女優賞を受賞。
その後アクション・アドベンチャー『トゥームレイダー』(’01 サイモン・ウェスト監督)
続編『トゥームレイダー2』(’03 ヤン・デ・ポン監督)。
2005年にはブラッド・ピットと共演した『Mr.&Mrs.スミス』(ダグ・リーマン監督)。
2008年にはアカデミー賞、ゴールデン・グローブ賞ほか
多数の主演女優賞にノミネートされた
『チェンジリング』(クリント・イーストウッド監督)に出演。
また様々な人道支援活動にも取り組み
UNCA(国連特派員協会)の国連特派員協会賞の第1回受賞者となる。
2005年、グローバル人道賞を受賞。
2007年、外交問題評議会に参加。
2012年、UNHCR(国連難民高等弁務官)特使に任命され、
同年、戦争における武器としてのレイプを終わらせることを目的とした
性的暴力防止イニシアティブを共同設立。
155ヶ国以上の国でサポート活動をしている。

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そのほか乳腺、卵巣、卵管の切除を「ニューヨークタイム・タイムズ」で公表。
(この時からアンジェリーナ・ジョリー・ピットと名乗るようになりました)
そして、なんとつい昨日《離婚》というニュースが!

なにかと話題の多いアンジーです。
さあ、いったいどんなお話なのでしょうか。

ストーリー
70年代。マルタ島。
カブリオーレを走らせ、ヴァカンスの地へ向かう
アメリカ人の小説家ローランドとその妻ヴァネッサ。

二人は海沿いにある居心地の良いカフェで一休み。
海に臨む静かなホテルに到着し、
慣れた手つきで家具の配置を変える二人。

翌朝、ベッドから出てこないヴァネッサに「良い一日を」と声をかけ
創作のためカフェに出かけるローランド。

夜、部屋に戻ってきたローランドに「楽しかった?」と訊ねるヴァネッサ。
「いや」と答え、そのまま寝てしまうローランド。
その日から彼は一人でカフェへ出かけ一日中酒を飲み、
ヴァネッサは部屋で一人過ごすだけの日々。

ある日の夕暮れ
隣室に新婚カップルのフランソワとレアがパリから到着した。

ホテルで一人過ごすヴァネッサは
数日前に見つけた壁の穴を思い出す。
覗いてみるとちょうど隣室のベッドが見える。
楽し気な会話、
愛を謳歌する若い夫婦――

観光客でにぎわう浜辺。
ローランドはカフェで酒を飲み、
ヴァネッサは薬をワインで流し込み、部屋で一日を過ごす……

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毎朝決まった時間に漕ぎだし、
毎夕決まった時間に収穫もなく戻ってくる一艘の小舟が
二人の日々を暗示するように何度も何度も登場します。

ムンクの油彩画「マドンナ」を彷彿させる
けだるく、病的なヴァネッサのメイク。

そういえば70年代って
アイラインをくっきりひいたメイクだったなあ。
ヴァネッサほど目元を薄黒くはしていなかった気はするけど。

愛を失いつつある中年夫婦と若い新婚夫婦。
夫婦と妻を亡くした年老いた男。
太陽に照らされたマルタ島
そして、内部に闇を抱えるヴァネッサとローランド。

対比と話題ばかりがくっきりと際立つ映画でありました。





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白い帽子の女
監督・脚本・製作/アンジェリーナ・ジョリー・ピット、製作/ブラッド・ピット、製作総撮影/クリスティアン・ベルガー
出演
ブラッド・ピット/ローランド、アンジェリーナ・ジョリー・ピット/ヴァネッサ、メラニー・ロラン/レア、メルヴィル・プポー/フランソワ、ニエル・アレストリュプ/ミシェル、リシャール・ボーランジェ/パトリス
9月24日(土)シネスイッチ銀座、渋谷シネパレスほか全国順次ロードショー
2015年、アメリカ、122分、配給/ビターズ・エンド、http://www.shiroiboushi.jp/

by Mtonosama | 2016-09-22 06:38 | 映画 | Comments(4)

白い帽子の女
-1-
By the Sea

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(C)2015 UNIVERSAL STUDIOS


映画を観る場合、どんな動機でご覧になりますか?
興味のある俳優、気になる監督、舞台となった場所、時代、テーマ・・・
いろいろありますよね。
あと、話題性などというものもあるでしょうか。

それでいったら、本作はすごいですよ。
まず、俳優がブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー。
監督がまたまたアンジェリーナ・ジョリーでしょ。
舞台が地中海に浮かぶマルタ島で
時代は70年代。
テーマは、すれ違ってしまった夫婦が愛を取り戻すということで
話題性でいったらブラッド・ピットとアンジーの10年ぶりの共演。
さらに、さらに、アンジェリーナ・ジョリーは本作から
アンジェリーナ・ジョリー・ピットのクレジットで登場します。
(≪夫婦は別姓≫が信条のとのとしてはなんで今更?とは思いますが)

ま、それはさておいて

2014年夏マルタ島を訪れた
ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリー・ピット。
二人はこの島で本作を撮影しました。
『Mr.&Mrs. スミス』(‘05)で二人が出会って以来
10年ぶりの共演作です。

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マルタ島
マルタ島(Malta)は、地中海の中央、マルタ共和国内の島で、
同国内では最も大きな島である。
本島はイタリア、シチリア島の南93kmほどのところにある。
面積246㎢、最高標高点253m。
世界で初めて海水から生活用水を生み出した島でもある。
最も大きな都市は、首都でもあるバレッタ。
島の東部にあり、市街は世界遺産となっている。
海岸沿いのいりくんだ入り江は美しい港の景観を創りだし、
密集した人家の風景は高台のある丘が特徴的である。
(Wikipediaより)

本作『白い帽子の女』のシナリオは
当試写室でも上映した『不屈の男 アンブロークン』('16)よりも
http://mtonosama.exblog.jp/24907703/ 
http://mtonosama.exblog.jp/24916718/

アンジーの監督デビュー作『最愛の大地』(’13)よりも前に書かれていました。

彼女が監督デビューするずっと前に書いた脚本ですから、
自分たち夫婦が演ずることなど考えてはいなかったそうです。

とはいえ、結果的には
主人公の小説家夫妻は二人が演じ、
マルタ島で出会うフランス人新婚夫婦は
『ぼくを葬る』(’05)のメルヴィル・プポー、
『黄色い星の子供たち』(‘10)のメラニー・ロラン
http://mtonosama.exblog.jp/16213471/
http://mtonosama.exblog.jp/16227904/

が演じるという豪華なキャスティングになっています。

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さすが大物俳優はヨーロッパに行っても
キャスティング力抜群ですね。

ならば、主人公の夫婦役に自分たちをキャスティングしない方が良かったんじゃないかな?
って・・・
言っちゃった。

極めて個人的な見解ではありますし、
偏見、あるいは、やっかみ、ひがみがあるのかもしれませんが
おいおい、夫婦で夫婦役するのかよ。
勘弁してよ、
と思ってしまいました。

映画は各人各人の好みですから、
皆さんがどうお感じになるかはわかりません。

でも、いったいどんなお話なのでしょうね。
続きは次回までお待ちくださいませね。



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白い帽子の女
監督・脚本・製作/アンジェリーナ・ジョリー・ピット、製作/ブラド・ピット、製作総撮影/クリスティアン・ベルガー
出演
ブラッド・ピット/ローランド、アンジェリーナ・ジョリー・ピット/ヴァネッサ、メラニー・ロラン/レア、メルヴィル・プポー/フランソワ、ニエル・アレストリュプ/ミシェル、リシャール・ボーランジェ/パトリス
9月24日(土)シネスイッチ銀座、渋谷シネパレスほか全国順次ロードショー
2015年、アメリカ、122分、配給/ビターズ・エンド、http://www.shiroiboushi.jp/

by Mtonosama | 2016-09-19 06:49 | 映画 | Comments(6)

歌声にのった少年
-2-
Ya Tayr El Tayer

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(C)2015 Idol Film Production Ltd/MBC FZ LLC /KeyFilm/September Film


子どもたちはどんな国でもどんな時代でも
楽しく生きることができます。

本作の主人公ムハマッドも
紛争下で暮らす大人たちの困窮や労苦は別にしても
優しい両親に守られ、
利発な姉や友人たちと遊ぶ幸せな日々を過ごしていました。

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ストーリー
ムハンマドは歌うことが大好き。
姉のヌールと友達のアハマドやウマルとバンドを組み、
寄せ集めのおんぼろ楽器を奏で、路上で歌っていた。
2005年、紛争の続くここガザ地区でも
姉のヌールはカイロのオペラハウスに出演するという大きな夢を描いていた。

そのためにはまずは楽器を手に入れようと闇商人を訪ね、なけなしのお金を渡す。
だが、何週間経っても梨のつぶて。
4人は再び男たちを訪ねるが追い返される。
その夜、ムハンマドは勇気をだして一人で男たちを訪ねるが、袋叩きに。

ようやく中古の本物の楽器を入手した4人は結婚式で演奏することになった。
ムハンマドはもっと素晴らしいステージで演奏すべき、と反対するヌールだったが、
人前で演奏する楽しさを知る。
ところが演奏中にヌールが倒れてしまう。
検査の結果、腎不全と診断される。
腎臓移植の費用1万5千ドルを用意できない両親。
ヌールは透析治療を受けることになる。
バンド活動は終わるしかなかったが、
ムハンマドはヌールを助けるために歌い続ける。

音楽教室の先生に励まされ、レッスンを受けながら作ったCDを売り、
結婚式で歌い、ヌールの手術費用を貯めるムハンマド。
そんな姉と弟の楽しみはTVのオーディション番組を観ること。
ヌールはムハンマドに出演するよう勧めるのだった。
だが、ヌールの病は重く、家族の見守る中、その短い一生を終えた。

それから7年。
ムハンマドはタクシー運転手として働いていた。
イスラエルからの攻撃を受け、ガザは瓦礫の山だった。
抜け出したくてもここを出ることはできない。
ムハンマドはスカイプでオーディションに出演することを思いつくが、
発電機の故障で失敗。
やけを起こすムハンマド。
だが、ヌールと同じ病気で入院していたアマルに励まされたムハンマドは……

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ガザといえばいつも虐げられた人々という言葉がついてまわります。
2007年に始まったイスラエルによる封鎖のために
働きに出ることも、学校に行くこともできず、
ガザで生産されたものを外国に輸出することもできません。
失業率は43%、若年層はさらにひどく60%です。

ハニ・アブ・アサド監督の前作『オマールの壁』は
まさにそんな負の現実を描いた映画でした。

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だけど過酷な現実だけではパレスチナの人々もつらいし、観客もつらい。
ムハンマド・アッサーフはまさに人々の希望を乗せて飛び立ったロケットでした。
死に物狂いで国境を越え、エジプトに向かい、
全パレスチナ人の祈りにも似た想いがのしかかる中、
スターの座を勝ち取ったのです。

いつか自分たちにもそんな日が来る――
なんかホッとすることができた映画でした。





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歌声にのった少年
監督・脚本/ハニ・アブ・アサド
出演
タウフィーク・バルホーム、ナーディーン・ラパキ、ムハンマド・アッサーフ
9月24日(土)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
2015年、パレスチナ、アラビア語、98分、提供/ニューセレクト、配給/アルバトロス・フィルム、http://utagoe-shonen.com/

by Mtonosama | 2016-09-16 13:23 | 映画 | Comments(10)

歌声にのった少年
-1-
Ya Tayr El Tayer

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(C)2015 Idol Film Production Ltd/MBC FZ LLC /KeyFilm/September Film


歌でも絵でもサッカーでも勉強でも
誰でも何かひとつは得意なものを持っています。

「小学生の時の得意科目が今の仕事になっていると思う」
と義弟が言っていました。

そういえばそうかなあという気がします。
仕事でなくとも趣味になっているということもあるし。

でも、好きなことができるって幸せです。

本作『歌声にのった少年』はガザに住んでいた少年の実話。
監督はハニ・アブ・アサド。
代表作は『パラダイス・ナウ』や
『オマールの壁』
http://mtonosama.exblog.jp/25120005/
http://mtonosama.exblog.jp/25127939/

『パラダイス・ナウ』は自爆テロがテーマでしたし、
『オマールの壁』では
分離壁によって囲まれたパレスチナの今を生きる若者たちの
悲惨な現実を描き出しています。

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それがなんと今回は
亡き姉との約束を果たすために
紛争の地ガザ地区から脱出し、
世界的な歌手になるという夢を叶えた少年のお話です。

前二作とは違って絶望的な気分にならずにすむお話です。

ガザの厳しい現実は相変わらずだけれど
パレスチナにだって美しい話や感動的な物語があっていいはず。
歌の大好きな少年が夢をかなえる映画があってもいいんじゃないですか?
ということで
あのシビアな作品をつくっていたハニ・アブ・アサド監督が
ムハンマド・アッサーフという実在の歌手をモデルに
明るい希望を与えてくれる映画を作りました。

ムハンマド・アッサーフ

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1989年生まれ。
アメリカの人気オーディション番組「アメリカン・アイドル」の
中東版「アラブ・アイドル」で
2013年に優勝したガザ地区出身のポップスター。
祖国への想いを歌い、≪ガザの希望≫≪ガザのロケット≫と呼ばれ、
パレスチナだけでなくアラブのポップスターとなった。
現在はヨーロッパでコンサートツアーを行うなど多忙を極める。
また国際パレスチナ難民救済事業機関青年大使を務めるなど平和活動を続ける。

実物もなかなかのイケメンですね。

ガザ地区は縦40km、横10kmの細長い土地。
西は地中海、北と東はイスラエルに面し、
南の10kmはエジプトに接しています。
地中海性の穏やかな気候で農業も盛んで、
古くは貿易の要衝として栄えた港でした。

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しかし、2007年にイスラエル政府が始めた封鎖は、ガザ180万人の人々を
「世界最大の野外監獄」と呼ばれるような状態に追いやっています。
イスラエル側との境界線にはフェンスや高さ8mもの壁が建てられ、
海もまた6海里(約11km)以上、沖に出ることは禁じられています。
陸海ともに境界線に近づけばイスラエル軍によって威嚇射撃を浴びせられます。
繰り返される紛争のため、
住民はこの地から出ることも許されず、
住む場所も食べものも、命だって保証されない毎日を送っています。

そんなガザで育った歌好きな少年ムハンマドの夢は
「スター歌手になって世界を変える」―――

さあ、歌の大好きな少年は大人になって歌手になることができるのでしょうか。
続きは次回までお待ちくださいね。
乞うご期待でございますよ。



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歌声にのった少年
監督・脚本/ハニ・アブ・アサド
出演
タウフィーク・バルホーム、ナーディーン・ラパキ、ムハンマド・アッサーフ
9月24日(土)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
2015年、パレスチナ、アラビア語、98分、提供/ニューセレクト、配給/アルバトロス・フィルム、http://utagoe-shonen.com/
by Mtonosama | 2016-09-13 06:28 | 映画 | Comments(8)

ダンスの時間
-2-

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(C)2015Nonaka Mariko Office


踊ることは生きることだという村田香織さん。
新江の島水族館のイルカショーの振り付けに始まり、
すみだ水族館のスタッフには不思議なダンスを用意して
お客様とのコミュニケーションを円滑にしようという
レッスンを行っています。
動物好きだけど、どこか硬かったスタッフたちが
だんだん溶けていき、笑顔が多くなってきます。

新江の島水族館
村田さんが指導する「アクアン」が活躍する水族館。
日本で初めてイルカショーをやった新江の島水族館、通称えのすい。
相模湾に面し、西に富士山、東に江の島を控える景勝の地にあります。
イルカやアシカの「イルカショースタジアム」は最大の見どころ。
「相模湾と太平洋」と「生物」を基本テーマに
遊びながら学ぶことのできる水族館。

すみだ水族館
東京スカイツリータウンウエストヤードの5階、6階から成っています。
国内最大級の屋内開放水槽を持ち、
間近でペンギンやオットセイを見ることができます。
バックヤード見学ゾーンもあり、実際の飼育現場を見学。
飼育スタッフと観客との隔たりをなくし、
気軽にコミュニケーションできるようにした水族館。

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からだを動かすと
こころも連動して動くのでしょう。
からだを開くと
こころも開くのでしょう。
最初は
「ちゃんと立って、きちんと声が出るようになれば
あとは何もいらないよ」
という説明から始めたすみだ水族館スタッフへのレッスン。

ゆらゆら。ふわふわ。
ああ、こんなことでいいのか。

ワークショップ形式で
「あ、こうきたか。じゃ、こういこう!」
マニュアルではなく自分で考えながらやれるようになり、
どんどん開かれていくスタッフたち。

合間に顔を出すチンアナゴも
ゆらゆら踊ってました。

忙しい合間を縫って村田さんは週に一度
年老いたおかあさんの介護にも向かいます。
手を触れ、指を絡ませながら
しりとりをして遊びます。
「できません」「だめです」と
時々やんちゃになるおかあさんのこころをそっとみつめ、
優しく触れるのも村田さんのダンス。

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そのおかあさんは昨年亡くなりましたが、
村田さんには後悔が残ります。
認知症のこともおかあさんのことも全然わかってなかった
抱きしめてあげればよかった―――

ダンスって触れ合うこと、
抱きしめることなんですね。

村田さんが八ヶ岳の畑で長靴はいてゆらゆら踊るシーンがあります。
「タマネギの夢」というダンス。
鼻腔を広げ、目を閉じて、八ヶ岳の大地に芽を出すぞ、
って感じでしょうか。
そっか、そっか。
大地と一体化するってこういう感じか。

ああ、気持ちいい。





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ダンスの時間
監督/野中真理子、撮影・製作/夏海光造、音楽/大友良英、江藤直子、音響・製作/米山靖
出演
村田香織/かおりさん、村田仙/あーちゃん、夏海光造/うみちゃん、新江の島水族館のみなさん、アクアン、えのすいKids Clubのみなさん、すみだ水族館のみなさん、ねこのさら造
9月17 日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
2015年、カラー、88分、http://dance-no-jikan.com/

 
by Mtonosama | 2016-09-10 06:04 | 映画 | Comments(4)

ダンスの時間
-1-

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(C)2015Nonaka Mariko Office


ダンスというと

ピナ・バウシュとか
http://mtonosama.exblog.jp/17198768/ 
http://mtonosama.exblog.jp/17210360/

アルゼンチン・タンゴとか
http://mtonosama.exblog.jp/25367092/
http://mtonosama.exblog.jp/25377218/

あるいは公園などで練習している女子高生とか
(ちょっと違うかな)

煽情的だったり
ため息をついたり
元気だなあと眺めたり

目の保養ではありますが、
真似はできないところがかなり悲しいです。

ところが、本作『ダンスの時間』は
やろうと思えばやれちゃうのです。
こころもからだもゆるくゆる~くときほぐしてくれます。

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監督は野中真理子さん。
ダンスをするのは村田香織さん。
あの~、
この方、年齢は61歳で
私と同じ髪型なのに
どうしてこんなにきれいで若くて体が柔らかいの?と
思わず胸ぐらつかんで揺らしたくなるほど素敵な人です。

村田香織

1955年生まれ、3歳で劇団若草入団。
18歳から正田千鶴舞踊研究所の門下生となり、モダンダンス、
その後NYでジャズダンスとタップダンスを学ぶ。
20~30代はダンサー、女優、テレビタレント、ラジオ・パーソナリティとして活躍。
映画『愛情物語』『会社物語』
舞台『ザ・クラブ』『ティファニーで朝食を』
テレビ『昨日、悲別で』『世界ふしぎ発見』
ラジオ『アフタヌーン・ブリーズ』
2003年六本木ヒルズオープニング「RINGS」の
ショーディレクターをしたことがきっかけで、
2004年から現在まで新江の島水族館
(「ドルフェリア」「うおゴコロ」「きずな/kizuna」他
すみだ水族館、京都水族館(「イルカLIVEきいて音(ネ)」他)の
ショーディレクターと水族館スタッフのトレーニングコーチ。
『トントンギコギコ図工の時間』では音楽プロデューサーとして
野中真理子監督の窮地を救う。

野中真理子監督

1959年生まれ。早稲田大学卒。
テレコムスタッフ入社。
在籍中のディレクター作品『世界の車窓から』『NONFIX』
(『東京都野良犬絶滅都市』『在日コリアンを考える』でギャラクシー奨励賞受賞)
退社後マザーランド設立に参加。
ディレクター作品『ノルマンディの小さな礼拝堂』『ドキュメンタリー人間劇場』
『課外授業 ようこそ先輩』。
在籍中に一男一女を出産。
2001年初監督作品『こどもの時間』(監督・編集・配給)は
ドキュメンタリー映画史上に残るロングラン(BOX東中野にて01.7~02.1)。
自主上映会は現在も続いている。
2004年野中真理子事務所設立。
同年『トントンギコギコ図工の時間』(監督・編集・製作・配給・宣伝)が
文化庁文化記録映画優秀賞・キネマ旬報ベストテン文化映画部門第3位。

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最初良い子ぶりっ子映画なのかな、と思いました。
監督さん、村田さん、ごめんなさい。

あれ、そうではないかも・・・
と思い始めたのは
延々と続く村田さんのストレッチでした。
前後に開脚し、頭を左脚の膝の上に乗せ、
1,2,3,4,5,6,7,8,9,10
次は右脚の膝の上に
1,2,3,4,5,6,7,8,9,10
長いだけでなく、実に、入念。
とのの烏の行水的ストレッチなど問題になりません。

体を伸ばし、胸を開いてゆけば、
呼吸も深くなり、心もゆっくりほぐれていくのでしょう。

派手なダンスはないけれど、
自分をうまく表現できない普通の人たちが
村田さんとのワークを通じてゆっくりと変わっていく様子。
認知症のおかあさんと娘である村田さんがふれあう日々。
そんな日常を追った
心のマッサージのような映画です。



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ダンスの時間
監督/野中真理子、撮影・製作/夏海光造、音楽/大友良英、江藤直子、音響・製作/米山靖
出演
村田香織/かおりさん、村田仙/あーちゃん、夏海光造/うみちゃん、新江の島水族館のみなさん、アクアン、えのすいKids Clubのみなさん、すみだ水族館のみなさん、ねこのさら造
9月17 日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
2015年、カラー、88分、http://dance-no-jikan.com/

by Mtonosama | 2016-09-07 05:35 | 映画 | Comments(8)

ある天文学者の恋文 
-2-
Correspondence

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(C)COPYRIGHT 2015 - PACO CINEMATOGRAFICA S.r.L.


天文学や星というロマンチックできらびやかな先入観で頭をいっぱいにして
本作を観ると冒頭でカウンターパンチをくらいます。

まもなく朝を迎えるホテルの薄暗い部屋でもつれあう男女が
トルナトーレ監督の最新作に
胸躍らせる観客を出迎えるからです。
150歳は少しドキドキ。

エディンバラからイタリア、サン・ジュリオ島へ―――
物語は謎に満ち溢れて展開していきます。

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ストーリー
大学の大教室でエイミーは恋人のエドから届いたばかりのメールを
微笑みながら目を通した。いつも通りの優しい文面。
大教室では
恋人であり、指導教官でもあるエドの講義が行われることになっていた。
ところが、壇上の講師が発表したのは
著名な天文学者エド、エドワード・フィーラム教授の訃報―――

にわかに信じられないエイミーはニュースを検索。
すると、確かにエドは4日前に亡くなっている。
2人が出会った記念日である昨日も
彼から花束とビデオメッセージが届いているのに。

エイミーはエドが暮らすエディンバラ行きの飛行機に飛び乗った。
二人は深く愛し合う恋人であり、
天文学の教授と学生として星を研究する者同士互いに尊敬し、
純粋な絆で結ばれていた。

エイミーはエディンバラの街を歩き回り、
エドの家の周辺もさまようが、どこにも彼の気配はない。

と、そこへ、まるでエイミーを見ていたかのようなメールがエドから届く。
「弁護士事務所へ行くように」と。

弁護士から渡されたのは
手紙、エドの父の遺品である指輪、そしてDVD。
DVDの中で
「これ以上僕からのメッセージを受け取りたくなかったら
僕のアドレスに11回Amyと書いて送ってくれ」
とエドは語るのだった。

エイミーはあれほど一生懸命だった映画スタントのバイトにも行かなくなり、
エドの死を受け入れられないまま鬱々と日を送っていた。
そんな彼女に再びエドから手紙と鍵が届いた。
毎年エドの誕生日は
イタリア湖水地方サン・ジュリオ島にある別荘で過ごしていた二人。
今年もまたエドのいないまま、その日が近づいていたのだ。

島まで小舟で送ってくれる船頭はまるでエドが生きているようにふるまい、
想い出のレストランで、店主は席もメニューも
去年と何ひとつ変えずに用意して彼女を迎えた。

早朝物音に気付いて起きると別荘の管理人だった。
テーブルの上にDVDを置いてくれとエドに頼まれたのだという。
パソコン画面のエドに微笑みかけるエイミー。
その後、思いがけない言葉がエドの口から。
「君が隠していた秘密を知っている・・・」
エドはひそかにエイミーの過去を調べていた。
怒った彼女はDVDを暖炉に投げ込み、
エド宛のメールに11個のAmyの名を送ってしまう……

ITの進歩で夢物語とは思えなくなった永遠の愛。

映画の世界でも
テクノロジーを介在させた本作のような話や
AI(人工知能)との恋愛を描いた
『her/世界でひとつの彼女』(’14 スパイク・ジョーンズ監督))などが登場しています。
これはスカーレット・ヨハンソンが声だけで出演していました。
なんの声かって?
はい、AIの声です。

『her』などわずか2年前の作品ですが、
実は受け入れることができませんでした。
っていうか、わからなかったんです。
なので、当試写室でも上映できませんでした。
150歳にもなると頭が硬いんですよね。

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実は本作も、
エドはそんなに先の先まで考えて
メールの文面を考えたりしていたのか。頭の良い人は違うな、
などと的外れな感心をしていました。

でも、あるところで
亡くなった人からのメッセージを誕生日や記念日に送るという計画が
実際に行われているという話を聞いて
その計画自体に感動すると同時に
本作もストンと胸におさまりました。

そして、トルナトーレ監督の先進性と洞察力に驚いた次第です。
テクノロジーとロマンに満ちた星々の世界。
オリジナル・タイトルはcorrespondence(通信)です。
確かに通信そのまんまの作品ですが、
こればっかりは邦題『ある天文学者の恋文』に星3つ進呈したいと思います。





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ある天文学者の恋文
監督・脚本/ジュゼッペ・トルナトーレ、音楽/エンニオ・モリコーネ、撮影/ファビオ・ザマリオン
出演
ジェレミー・アイアンズ/エドワード・フィーラム教授、オルガ・キュリレンコ/エイミー・ライアン、ショーナ・マクドナルド/エドの娘・ヴィクトリア、パオロ・カラブレージ/島の舟乗り・オッタヴィオ、アンナ・サヴァ/島の女・アンジェロ、イリーナ・カラ/エイミーの母親
9月22日(木・祝)ロードショー
イタリア、英語、122分、カラー、字幕/松浦美奈、配給/GAGA、後援/イタリア大使館http://gaga.ne.jp/tenmongakusha/

by Mtonosama | 2016-09-04 07:27 | 映画 | Comments(8)

ある天文学者の恋文 
-1-
Correspondence

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(C)COPYRIGHT 2015 - PACO CINEMATOGRAFICA S.r.L.


漱石先生「夢十夜」の第一夜。
真っ白な百合が鼻の先で骨に徹(こた)へる程匂った。
そこへ遥かの上からほたりと露が落ちたので、
花は自分の重みでふらふらと動いた。
自分は首を前へ出して、冷たい露の滴(したた)る、
白い花辨(はなびら)に接吻した。
自分が百合から顔を離す拍子に思はず、
遠い空を見たら、暁の星がたった一つ瞬(またた)いていた。
「百年はもう来ていたんだな」と此の時始めて気が附いた。

「星の王子さま」
夜になったら星を眺めてね。
ぼくの星はとても小さいから、どこにあるか教えてあげるわけにはいかない。
だけどそのほうがいい。
ぼくの星は……星のうちのどれか一つだということだから。
それできみは星全部を眺めるのが好きになる。

「自分」が見た星も
「きみ」が眺める星も
何億年も前に燃え尽きた星の光かもしれないのに
ここで眺める私たちにとって
星は生きて輝く星でしかありません。

星と同じように、
死んだ人も
愛する人を想う気持ちが強ければ
語りかけ、何かを贈ることができるのですね。

死んでしまった星が今この地球に住む私たちに
その時の光を届けているように―――

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天文学は無機的な科学と神秘な世界が
ひとつになったような不思議な学問です。

と、いきなりそんなことを言うのは
タイトルの天文学という言葉を聞いて
(原題はCorrespondenceですけれど)
『光のノスタルジア』
http://mtonosama.exblog.jp/24535828/
というものすごいドキュメンタリー映画を思い出したからです。

巨大な望遠鏡から見える超新星の誕生、暗黒の宇宙に怪しく輝く星雲、
そうした星々の光が
観客の視線を南米アタカマ砂漠の下に埋められた遺骨へと導きます。
チリ軍政の圧政下で殺された人々の遺骨です。
数億光年と数十年前の出来事
壮大な宇宙と幾十あるいは幾百体かの遺骨・・・
星の視点で虐殺の過去を暴いたその独自性、壮大さにぶっ飛びました。

本作『ある天文学者の恋文』は
やはりぶっ飛ばされる恋愛映画です。

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天文学を学ぶ女子学生に突如告げられる恋人の訃報。
が、しかし
彼女はまさにその時、彼からのメールに微笑みを浮かべているところだったのです――



監督は名作『ニュー・シネマ・パラダイス』のジュゼッペ・トルナトーレ。
最近では『鑑定士と顔のない依頼人』(’13)でも満足させてくれました。

ジュゼッペ・トルナトーレ
1956年5月27日生まれ
イタリア・シチリア島のバゲリーア出身の映画監督。
16歳の時に舞台演出家としてキャリアをスタートさせ、
以後ドキュメンタリーの短編映画やTV番組を監督する。
1986年『“教授”と呼ばれた男』(日本劇場未公開)で
初めて劇映画 のメガホンをとった。
1989年『ニュー・シネマ・パラダイス』が、
カンヌ国際映画祭の審査員特別グランプリや
アカデミー外国語映画賞を受賞するなど
世界的に大ヒットし、一躍イタリアを代表する監督として名をはせる。
1995年『明日を夢見て』ではベネチア国際映画祭の審査員特別賞を受賞。
1998年『海の上のピアニスト』
2000年『マレーナ』
2006年「題名のない子守唄」
2009年『シチリア!シチリア!』
2013年『鑑定士と顔のない依頼人』でイタリアのアカデミー賞にあたる
ダビッド・デ・ドナティッロ賞の作品賞と監督賞を受賞。

90年代前半には、古典映画の修復作業に従事。
映画界での貢献が認められ、98年にイタリア政府から勲章コメンダトーレを叙勲された。
http://eiga.com/person/38920/

さあ、本作は果たして天文学という学問の映画なのか、
それとも死者からの伝言という霊界の映画なのか、

そんなわけはありません。

巨匠ジュゼッペ・トルナトーレの3年ぶりの新作です。
次回まで乞うご期待でございますよ。



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☆9月1日に更新しました。もう9月!台風の被害を受けた皆様、心よりお見舞い申し上げます☆

ある天文学者の恋文
監督・脚本/ジュゼッペ・トルナトーレ、音楽/エンニオ・モリコーネ、撮影/ファビオ・ザマリオン
出演
ジェレミー・アイアンズ/エドワード・フィーラム教授、オルガ・キュリレンコ/エイミー・ライアン、ショーナ・マクドナルド/エドの娘・ヴィクトリア、パオロ・カラブレージ/島の舟乗り・オッタヴィオ、アンナ・サヴァ/島の女・アンジェロ、イリーナ・カラ/エイミーの母親
9月22日(木・祝)ロードショー
イタリア、英語、122分、カラー、字幕/松浦美奈、配給/GAGA、後援/イタリア大使館http://gaga.ne.jp/tenmongakusha/
by Mtonosama | 2016-09-01 06:07 | 映画 | Comments(6)