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殿様の試写室

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殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

<   2016年 10月 ( 10 )   > この月の画像一覧

 

三毛猫ひかちゃん 
-47-




あたし、ひかちゃん。

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あら、寝落ちしちゃったわ。


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江ノ島のシーキャンドルも心なしか寒そうね。


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雀さんたちも暖かそうなケープとお帽子で冬支度よ。
なんか傘地蔵みたいよね。

あ、この雀さん?
あのね、江ノ電江ノ島駅改札口の前でお迎えしていてくれるわよ。


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紫バージョンもあるの。
みなさん、江ノ島で待ち合わせのときは雀さんの前でね。


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寒くなると、あたし、なんとなく飼い主の近くに行きたくなっちゃうのよ。
でもね、飼い主ったら、
これまでのデスクトップをノートパソコンに変えちゃったから
後ろに回っても暖かくないの。
デスクトップ時代がなつかしいわ。
暖かいし、第一、ごちゃごちゃしてるじゃない?
あたし、ごちゃごちゃが好きなの。

それにしても飼い主って鈍いわ。
あたしはお腹がすいてるってこと、わからないのかしら。

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もう!ご飯くれないのね!!
しょうがないからキャットタワーの穴蔵で寝ちゃうわよ。
膝の上にも行ってあげないんだから。


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段々寒くなってきたわね。
あたしのような子のいないおうちでは
温かくしてお過ごしくださいね。

あたしは今夜も飼い主の腕を枕に寝るわよ。


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by Mtonosama | 2016-10-29 06:51 | 映画 | Comments(17)

彷徨える河
-2-
El abrazo de la serpiente

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(C)Ciudad Lunar Producciones


100歳くらいの時はアマゾン川や密林に憧れていましたが、
150歳にもなるとちょっと臆するようになってしまいました。
大蛇やピラニアや吸血虫
猛烈な湿気や暑熱―――
体力的にきついだろうなあ。
憧れだけで旅はできません。
だから、このような映画はとても嬉しいです。

『地獄の黙示録』(’79 フランシス・フォード・コッポラ監督)を
ご覧になりましたでしょうか。
本作はあの強烈なラストシーンを想起させます。

テオとして本作に登場する
テオドール・コッホ=グリュンベルクの手記にもあります。

「無限に広がるこのジャングルで
幾人もの探検家が陥ったような不治の狂気に襲われるのか、
私には今はまだわからない。
だが、魅惑の日々において
私が目にした美しいものは言葉で言い表すことができない。
私にわかることは、彼らと同じように、
これまで見えなかったものが見えるようになったということだけだ。
私は過去の私とは変わった」

『地獄の黙示録』のめくるめくラストはまさにこの不治の狂気でした。

ストーリー
アマゾン流域の密林。
ゴムや薬草。ジャングルは様々なものの宝庫である。
かつてそれらを求めて多くの侵略者がこの地に足を踏み入れ、
先住民族たちを殺戮した。
カラマカテはその生き残りとしてたった一人で生きているシャーマンだ。
ある日、彼の許へドイツ人民族学者テオが訪れる。
彼は重病に冒され、カラマカテに治してもらおうとやってきたのだ。
殺戮者である白人を忌み嫌うカラマカテは治療を拒む。
だが、テオの病を治す唯一の手段である聖なる植物ヤクルナを
求めてアマゾン川にカヌーを漕ぎだすのだった――

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それから数十年
カラマカテはあまりにも孤独な日々の中で記憶も感情も失っていた。
そこへ現れたアメリカ人植物学者のエヴァン。
彼もまた幻の植物ヤクルナを求めていたのだ。
再びカヌーを漕ぎだすカラマカテ。

過去と現在。
二つの時間が交錯するアマゾン川。
カラマカテたちは狂気と幻影と混沌に満ち溢れた
アマゾンの深奥部へと遡っていく……

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モノクロでありながら
アマゾン川の広い川面が乱反射する豊かな光のせいでしょうか。
随分と明るい感じです。

アマゾンにも先住民族にも何の予備知識もないまま
カラマカテの漕ぎだすカヌーに揺られていく内、
白人たちのもたらした狂った宗教や
異常な集落を共に巡ることになります。

十字架と科学技術によって未開の部族を啓蒙するという白人至上主義は
否定的なものとして描かれ、
二人の探検家も無力で無知で強欲な人間に見えてきます。

そして、蔑みの対象ですらあった呪術や迷信が
自然と共存するための真の知恵であるのだなあ、
と気づかされる映画でした。

そして、カラマカテを演じた二人にもやられました。
年老いたカラマカテを演じたアントニオ・ボリバル・サルバドールは
カラマカテ同様、先住民族オカイナ族の最後の生き残りです。
それがこの夢のような物語に信憑性を与えるものになっているのかもしれません。

これまでに観たことのない映画でした。
価値観が変わる作品です。
どうぞ、ディープなアマゾンに触れてみてください。





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彷徨える河
監督・脚本/シーロ・ゲーラ
出演
アントニオ・ボリバル・サルバドール/年老いたカラマカテ、ニルビオ・トーレス/若き日のカラマカテ、ヤン・ベイヴート/テオ、ブリオン・デイビス/エヴァン
10月29日(土)【シアター】イメージフォーラム
2015年、コロンビア・ベネズエラ・アルゼンチン、124分、配給/トレノバ、ディレクターズ・ユニブ、後援/コロンビア共和国大使館

by Mtonosama | 2016-10-26 06:12 | 映画 | Comments(6)
 

彷徨える河
-1-
El Abrazo de la Serpiente

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(C)Ciudad Lunar Producciones


『彷徨える河(さまよえるかわ)』
ひと昔もふた昔も前の、
いや二世代前位の学生さんが好みそうなタイトルです。
スペイン語のオリジナルタイトル“El Abrazo de la Serpiente”は
「大蛇の抱擁」という意味だとか。
でも、それだとかなりおぞましい姿を想像してしまうので
『彷徨える河』の方がいいです。

本作はコロンビア史上初めてのアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、
カンヌ国際映画祭では監督週間アートシネマアワードを受賞し、
コスタリカ国際映画祭では最優秀インターナショナル作品賞、
リマ・ラテンアメリカ映画祭最優秀作品賞など
欧米アジアで高い評価を受けています。

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先ほどオリジナルタイトルが「大蛇の抱擁」であるとご紹介しましたが、
大蛇とはすなわちアマゾン川の隠喩でありまして、
アマゾン川密林の深奥地まで入り込んで撮影した映画です。
大蛇が絡み合い、その尾があちこちへ延びるように
緑濃いジャングルを這い回る光景を想像してください。

え、気持ち悪いですか?

でも、地球の肺ともいわれるアマゾンの密林には
毛細血管のようにアマゾンの支流が網を張っているんですよね。

監督はコロンビア出身のシーロ・ゲーラ。
米エンターテインメント業界誌Varietyで
「2016年に注目すべき監督10人」に選ばれた人物です。

シーロ・ゲーラ監督
1981年、コロンビアのリオ・デ・ネロに生まれる。
コロンビア国立大学で映画・TV制作を学び、短編映画を数本制作した後、
初の長編映画『Wandering Shadow』('04)を制作。
トライベッカ映画祭や
ロカルノ国際映画祭など
60以上の映画祭に出品され、9つの賞を受賞。
2作目の長編『The Wind Journeys』(’09)は
カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に選出され、6つの賞を受賞。
また、コロンビアの批評家らによるコロンビア映画史における
10本の最も重要な作品として選出される。
『彷徨える河』は長編第3本目である。

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アマゾンと聞くと、
すぐにショッピングを連想する人の方が多くなってしまいました。

しかし、コロンビア出身の監督にとっては
アマゾンとはその国土の半分を覆いつくすアマゾン川であり、
その途方も知れない大河がもたらした巨大な密林以外の何物でもありません。

時間を自由に行き来するモノクロの画面からして
ただものならざる気配を漂わせ、
観客を未知の時空へと誘う映画ですよ。

恐るべし!アマゾン
恐るべし!シーロ・ゲーラ監督
であります。

弱冠36歳の監督、
アマゾンを撮影するにあたって
そのアプローチには悩んだことでありましょう。

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で、目をつけたのが
20世紀の初頭にこの密林にやってきたドイツ人探検家。
民族学者テオドール・コッホ=グリュンベルクです。
それから数十年を経てやってきたもう一人の探検家、
アメリカ人植物学者リチャード・エヴァンス・シュルテスにも着目しました。
この二人の遺した手記があったのです。
それに触発されて生まれたのが本作『彷徨える河』です。

時を隔てて訪れた二人の白人探検家が
奇しくも同一人物の先住民族カラマカテを訪れることから展開する物語。
このカラマカテこそ先住民のただ一人の生き残りなのです。

静かなモノクロ画面はレヴィ・ストロースの「悲しき熱帯」を連想させます。

白人たちに虐殺された先住民の生き残りで呪術を操るカラマカテが
船頭となって二つの時間とアマゾン川を行き来します。

南米には魔術的な幻惑に満ちた作品が多いですよね。
ガルシア・マルケス「百年の孤独」も
過去と現在が錯綜するような不思議な世界観の物語でした。
そういえば彼もコロンビア出身です。

コロンビア。
極彩色の鳥が飛び、美しい蝶が舞う密林世界。
先住民族と密林との間に厳として存在する契約、そして、幻覚、呪術。

この幻想的な世界観に心ゆくまで浸っていただきたいものです。

続きは次回に。
乞うご期待でございます。



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彷徨える河
監督・脚本/シーロ・ゲーラ
出演
アントニオ・ボリバル・サルバドール/年老いたカラマカテ、ニルビオ・トーレス/若き日のカラマカテ、ヤン・ベイヴート/テオ、ブリオン・デイビス/エヴァン
10月29日(土)【シアター】イメージフォーラム
2015年、コロンビア・ベネズエラ・アルゼンチン、124分、配給/トレノバ、ディレクターズ・ユニブ、後援/コロンビア共和国大使館

by Mtonosama | 2016-10-23 06:57 | 映画 | Comments(8)
 

手紙は憶えている
-2-
Remember

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(C)2014, Remember Productions Inc.


主人公ゼヴの壊れかけた記憶と共に
観客もまたおそるおそる旅立ちます。

ゼヴ同様観客に与えられた手掛かりは
同じ老人ホームに暮らすマックスが書いた手紙のみ。
大丈夫なのか、ゼヴ―――

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ストーリー
眠りから目覚めると、ゼヴは妻の名を呼ぶ。
「ルース、ルース、ルース!」。
ベッドの隣に眠っているはずの彼女がいないからだ。
しかし、妻は1週間前に亡くなっていた。
ゼヴは妻の死すら忘れてしまう程、記憶が曖昧になっているのだ。

妻の葬儀の晩、ゼヴは同じ老人ホームに暮らす友人マックスから1通の手紙を受け取る。
「ルースが亡くなった後、君が誓ったことを覚えているか?
君がもし忘れていても、これを見ればわかるようにすべてを書いておいた。
誓いを果たしてほしい」

手紙には、ゼヴとマックスがアウシュヴィッツ強制収容所の生き残りであり、
家族をナチス兵士に殺されたこと、
その兵士は身分を偽って今も生き延びていることが書かれていた。
兵士の名はルディ・コランダー。

ルディ・コランダーは刑死した捕虜の身分を盗み、
アメリカへ移住しているらしい。
その名を持つ容疑者は4人まで絞り込まれていた。

手紙を読み、70年前の忌まわしい記憶が蘇ったゼヴは
身体の不自由なマックスに代わり、
たった一人で復讐を果たすことを決意する。

旅の手筈は全てマックスが整えてくれた。
ゼヴは小さな鞄に身の回りの物を詰め、ひそかに旅だっていくのだった……

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第二次世界大戦終結時、
その体験が記憶の襞にしっかり織り込まれている男が20歳だったとして
70年後には90歳。
ナチスとしてユダヤ人を虐殺した男が20代だとして
やはり、その歳は90代。
復讐する側も、される側も、ギリギリの年代です。

とはいえ、実際いまだに犯人を捜し続け、
ヴィーゼンタール・センターへ通報する人はいるんですね。
ゼヴとマックスもここでルディ・コランダーの情報を入手したことになっています。

ヴィーゼンタール・センター
LAに本部を置く非政府組織、サイモン・ヴィーゼンタール・センター。
ナチス戦犯を追求し続けたサイモン・ヴィーゼンタールの
名を冠して1977年に設立された。
ホロコーストの記録保存や反ユダヤ主義の監視を行い、国際的影響力を持つ。
現在も世界各地に潜むナチス戦犯を追い続けており、「ナチ・ハンター」の異名も持つ。

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いや、しかし、よくできたサスペンスです。

移動中の電車やバスの中で居眠りする度に
「わしはなぜここにいるんじゃ?ルースはどこじゃ?」
とばかりに毎回パニックを起こすゼヴ。

どうなってしまうの?とハラハラさせつつ、
思わぬ方法で情報を明かす手法といい、
予想だにさせなかったショッキングなラスト。

老名優たちの演技と存在感に仰天すること必至であります。

しかし、ナチス・ハンターの使命を終えた後も
このサイモン・ヴィーゼンタール・センターは存在し続けるのでしょうね。

被害者や加害者が死に絶えてしまったとしても
その歴史的事実は消えることはありませんから―――





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手紙は憶えている
監督/アトム・エゴヤン、脚本/ベンジャミン・オーガスト、撮影/ポール・サロシー、音楽/マイケル・ダナ、美術/マシュー・デイヴィス
出演
クリストファー・プラマー/ゼヴ・グットマン、マーティン・ランドー/マックス・ザッカー、ブルーノ・ガンツ/ルディ・コランダー、ユルゲン・プロホノフ/ルディ・コランダー、ハインツ・リーフェン/ルディ・コランダー、ディーン・ノリス/ジョン・コランダー、ヘンリー・ツェニー/チャールズ・グットマン
10月28日(金)TOHOシネマズシャンテほかロードショー
2015年、カナダ=ドイツ、95分、字幕翻訳/遠藤壽美子、配給/アスミック・エース
http://remember.asmik-ace.co.jp/

by Mtonosama | 2016-10-20 06:44 | 映画 | Comments(8)

手紙は憶えている
-1-
Remember

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(C)2014, Remember Productions Inc.


驚くべき映画です。

70年前、アウシュヴィッツで家族を殺された90歳の老人。
老人ホームに暮らす彼は、数日前に妻を亡くしてから、
認知症がさらにひどくなり、
毎朝起きるたびに亡くなった妻の名を叫びます。
妻が死んだことすら忘れてしまう老人。

そんな男が、家族を殺したナチスを探すため、老人ホームを脱出しました。
捜索の手掛かりは
同じ老人ホームに住み、同じ過去を持つ老人が
書いてくれた1通の手紙だけです。

おっと、最初にこんなにばらしちゃってはいけませんね。

いや、しかし、
「趣向を変えたナチスへの復讐劇ね」
などと軽々に判断を下すと絶対に損をします。

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監督はアトム・エゴヤン。

アトム・エゴヤン監督
1960年7月19日、亡命したアルメニア人の両親の元、エジプト・カイロで生まれる。
カナダの映画監督、脚本家、映画プロデューサー、俳優。3歳の時に一家でカナダに移住。
トロント大学で国際関係学を学んだ後、映画製作に興味を持つようになり、
1977年に最初の短編映画『Lust of a Eunuch』を製作。
1980年代に入り、『ピープショー』(‘81)や『オープン・ハウス』(’82)などを製作した後、
1984年に『Next of Kin』で長編映画監督としてデビューする。
1987年の『ファミリー・ビューイング』は翌年の第38回ベルリン国際映画祭のフォーラム部門に
出品され、インターフィルム賞を受賞。同年のジニー賞では作品賞など8部門にノミネートされた。
日本では長らく劇場未公開であったが、
2004年に開催されたアトム・エゴヤン映画祭2004で上映された。
その後製作した『Speaking Part』(’89)や『The Adjuster』(’91)は
カンヌ国際映画祭の監督週間部門に出品され、高い評価を得た。
1994年の『エキゾチカ』は第47回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で上映され、
国際映画批評家連盟賞を受賞。
1997年の『スウィート ヒアアフター』は第50回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞した。
これらの作品はジニー賞の作品賞・監督賞も受賞している。
2002年、自身のルーツでもあるアルメニアの歴史の中の
オスマン帝国によるアルメニア人虐殺について扱った『アララトの聖母』を発表。
その内容には賛否が分かれたが、ジニー賞では3度目の作品賞を受賞した。

そして、この素晴らしい脚本を書いたのは
1979年生まれの脚本家ベンジャミン・オーガスト。
本作で脚本家デビューとなりました。

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映画は70年前のアウシュヴィッツでの虐殺をきっかけとして展開し始めますが、
当時の画像も出てこなければ、
再現映像なども一切ありません。
現在の時間の流れの中で物語は進みます。

主人公の記憶は狂ったパソコンのように
一度眠りにつくと新しく蓄えた記憶は全部すっとんでしまいます。

それにしても、
時間ってなんてミステリアスな存在でしょう。
そして、
容赦のないものなのでしょう。

主人公ゼヴを演じるのはクリストファー・プラマー。
どこかで聞いたことのある名前でしょ?
そうです!
『サウンド・オブ・ミュージック』でトラップ大佐を演じたあのお方です。
もう、びっくりしちゃいました。
何度も何度も画像を見直しました。

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時の流れは本当に容赦がありません。
こんなサスペンスが実現できたのも今がギリギリのタイミングでしょう。
あと数年遅かったら復讐者も復讐される側も生きていません。

さあ、奇跡的なタイミングで生まれた本作。
いったいどんな映画なのでしょう。
続きは次回で。
乞うご期待でございます。



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手紙は憶えている
監督/アトム・エゴヤン、脚本/ベンジャミン・オーガスト、撮影/ポール・サロシー、音楽/マイケル・ダナ、美術/マシュー・デイヴィス
出演
クリストファー・プラマー/ゼヴ・グットマン、マーティン・ランドー/マックス・ザッカー、ブルーノ・ガンツ/ルディ・コランダー、ユルゲン・プロホノフ/ルディ・コランダー、ハインツ・リーフェン/ルディ・コランダー、ディーン・ノリス/ジョン・コランダー、ヘンリー・ツェニー/チャールズ・グットマン
10月28日(金)TOHOシネマズシャンテほかロードショー
2015年、カナダ=ドイツ、95分、字幕翻訳/遠藤壽美子、配給/アスミック・エース
http://remember.asmik-ace.co.jp/

by Mtonosama | 2016-10-17 06:07 | 映画 | Comments(11)

奇跡がくれた数式
-2-
The Man Who Knew Infinity

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(C)Kevin Nunes


トロント国際映画祭でプレミア上映された後、
アメリカ、イギリス両国の観客から愛されてヒット、
その後も欧州、アジアを回りながら観客を感動させた映画が
本作『奇跡がくれた数式』です。

ベートーヴェンの第10番交響曲の発見と同価値といわれたラマヌジャン・ノート。
それが彼の死後に発見され、
数学者ラマヌジャンは今も”アインシュタイン並みの天才“と称されています。

本作はラマヌジャンがG・H・ハーディによって呼び寄せられた
ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジでの撮影が許されました。
ニュートンが重力を発見したリンゴの木のある中庭も登場しますよ。

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(C)Richard Blanshard


ストーリー
1914年、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジの教授G・H・ハーディのもとに
英国植民地インドに住む見知らぬ事務員から1通の手紙が届く。
夢中で手紙を読み、
その未知の差出人ラマヌジャンを大学に招聘することを即決したハーディ。

独学で数学を学び、学歴も金もないラマヌジャンは
自分の研究を初めて発表できるチャンスに興奮する。
母は大反対するが、新妻は「私を呼び寄せてくれるなら」と
夫の英国行きを泣く泣く許してくれた。

長い船旅を経て英国に到着。
カレッジに足を踏み入れた瞬間、学の殿堂の崇高さに息を呑むラマヌジャン。
そんな彼をG・H・ハーディの友人リトルウッド教授は温かく迎え入れてくれた。
だが、人づきあいが苦手なハーディは短い挨拶だけで旅の苦労をねぎらうこともなく消えてしまう。
他の教授たちは肌の色も違い、学歴もない彼を受け入れようとしない。
ハーディが称賛する素晴らしい発見も
論理的な証明がなければ絵空事に過ぎないのである――

ハーディはラマヌジャンに証明の義務を説く。
だが、公式や数式が直感で閃く彼には証明など時間の無駄と思えた。
そんな彼をハーディは学内の図書館へと誘う。
そこに展示されるニュートンの本を見せ、
「成功すれば君のノートもこの隣に並ぶんだ」と励ます。
更に、ラマヌジャンに代わって証明した彼の研究の一つを
ロンドン数学会の会報に発表する。

最初の発表を成し遂げ歓喜するラマヌジャンだったが、
第一次世界大戦への英国の参戦がその運命に影を落としていく。
菜食主義者の彼が食すべき野菜は払底し、兵士達からは暴力を振るわれる。
発熱が続き、体調も悪い。
そして、妻からの便りも絶えてしまった。

ラマヌジャンから笑顔が消え、穏やかな彼が怒り狂ったのは
ハーディが彼の“直感”を否定した時だった。
顔のアザや瘦せ細った体に気付きもしないハーディ。
激しい口論をする二人。
その夜、ラマヌジャンは衰弱した体で証明を仕上げる。
だが、それ以来、彼は心を閉ざし、
孤独の中で数字のみを追いかけるようになっていった。

ある日、ハーディの許にラマヌジャンが地下鉄に飛び込んだという知らせが……

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(C)Richard Blanshard

希望に燃えてイギリスにやってきた天真爛漫な青年が
故国インドとはまるで異なったロンドンの空気の中で
花が萎れるように、弱っていく様子をデヴ・パテルが好演しました。

数学が苦手でも、頭の良い人にやっかみがあっても、
啓示のように公式や定理を思いつく人がいて、
かたや、やはり数学を愛する学者がいて
彼らが様々な軋轢を乗り越えながらも真理を求め続け、
国や生まれの違いを超えて友情に結ばれる姿は感動的です。

そして
神を通じて降りてくる数式や公式――

天才とはこういう人のことを言うのですね。
友情映画でもあるのですが、
数学の深淵に少しだけ触れることができたような気がします。

いま彼の理論はブラックホールの解明にも貢献しています―――

学問って決してすぐに結果が出るものではないんですね。






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☆10月14日に更新しました。いつも応援して下さって本当にありがとうございます☆

奇跡がくれた数式
監督・脚本/マシュー・ブラウン、原作/ロバート・カニーゲル、撮影/ラリー・スミス、美術/ルチャーナ・アリギ、プロデューサー/エドワード・R・プレスマン、ジム・ヤング、ジョー・トーマス、マシュー・ブラウン、ソフィア・ソダーヴァン、ジョン・カッツ
出演
デヴ・パテル/ラマヌジャン、ジェレミー・アイアンズ/G.H.ハーディ、デヴィカ・ビセ/ジャナキ、ジェレミー・ノーサム/バートランド・ラッセル、ケヴィン・R・マクナリー/パーシー・アレキサンダー・マックマーン、リチャード・ジョンソン/ヘンリー・ジャクソン、アンソニー・カーフ/ロバート・アルフレッド・ハーマン、ポードリック・ディレーニ―/ベグラン、シャザド・ラティフ/チャンドラ・マハラノビス、アルダティ・ナグ/コーマラタンマル、ドリティマン・チヤタージー/S・ナーラヤーナ・アイヤル、スティーヴン・フライ/サー・フランシス・スプリング、トビー・ジョーンズ/ジョン・リトルウッド
10月22日(土)角川シネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ、角川シネマ新宿ほか全国順次ロードショー
2016年、イギリス、108分、字幕翻訳/松浦美奈、配給/KADOKAWA、http://kiseki-sushiki.jp/

by Mtonosama | 2016-10-14 06:25 | 映画 | Comments(6)

奇跡がくれた数式
-1-
The Man Who Knew Infinity

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©2015 INFINITY COMMISSIONING AND DISINTRIBUTION,LLC.ALL RIGHTS RESERVED


ノーベル賞の季節が来るたびに「頭の良い人はいるものだなあ」と
いつも感心しつつ、我が身、我が係累には誰もいないな、
と改めて己が頭脳に絶望するのであります。

今回、当試写室で上映するのは
ノーベル賞こそ受けはしませんでしたが、
独学で数学を学んだインド人天才数学者
シュリニバーサ・ラマヌジャンと
英国人数学者G・H・ハーディの
友情と美しい数式を描いた『奇跡がくれた数式』です。

美しい数式といっても数学に弱いとのには
美しいのかどうかわかりません。
でも、
宇宙のごとく整然としているような気はします。

あ、本作は実話です。

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(C)Richard Blanshard


シュリニバーサ・ラマヌジャン
シュリニバーサ・ラマヌジャン(1887~1920)はインド南部に生まれる。
独学で数学を学んだインド人天才数学者。
正式な教育は受けていなかったが、
数学的解析、数論、無限級数、及び連分数において多大な貢献をもたらした。

10歳の時、数学に出会い、すぐに才能を開花。
さらに独自の定理を発見し、オイラーの等式を独力で再発見した。
16歳の時、ジョージ・シューブリッジ・カーズ著「純粋数学の初等的結果要覧」を
教科書にして、高等数学を独学。
17歳の時にはベルヌーイ数とオイラーの定数における独自の研究を行っていた。
その後、インド南部の大学から奨学金を受け、入学したが、
数学以外の授業を落第したことから奨学金は停止。
別の大学に移り、研究を続けながら、
生計を立てるためマドラス港信託事務所経理局の事務員として働いていた。
1912年~13年、ケンブリッジ大学の3人の教授に研究のサンプルを送る。
その中の1人だったG・H・ハーディはラマヌジャンの才能に気付き、
ケンブリッジ大学のトリニティ・カレッジへ誘う。
1914年~19年、2人は共同研究を行い、
ラマヌジャンは英国王立協会とトリニティ・カレッジのフェローとなる。
1920年、インドに帰国した翌年、栄養失調、肝臓の感染症が原因で死去。
32歳だった。

G・H・ハーディ
G・H・ハーディ(1877年~1947年)は
数論と数学的分析において功績を残した英国人数学者。
1940年に発表した論文「ある数学者の障害と弁明」は
数学に対する美意識を洞察したものとして有名。
あるインタビューで最大の功績は何かと訊ねられ、
「ラマヌジャンを見出したことだ」と答えたという。

ハーディはサリー州に住む教育者の家庭に生まれ、
数学に優れた両親の下で幼い頃から数学に親しんでいた。
ウィンチェスターカレッジから奨学金をもらい、研究者として働き始める。
1896年トリニティ・カレッジに移り、1900年にはフェローとなる。
1919年にはバートランド・ラッセルの事件の余波を受け、ケンブリッジを去る。

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(C)Richard Blanshard

数式と言えば「博士の愛した数式」(小川洋子著)しか知らないので、
このお二人の説明ばかりが長くなってしまいました。

映画の方はどうかといいますと
ラマヌジャンを演じたのはデヴ・パテル。
『スラムドッグ$ミリオネア』の気弱そうな様子が印象的だった彼です。
http://mtonosama.exblog.jp/10706035/

そうそう
『マリーゴールドで会いましょう』でも
http://mtonosama.exblog.jp/18459415/  http://mtonosama.exblog.jp/18510401/
口から先に生まれたような調子のよいホテルマネージャーを演じていましたね。
スラムドッグから7年、マリーゴールドからも5年、
スリムな少年もほんの少し男らしくなっての出演で「大きくなったね」と
150歳はつぶやいてしまいました。

G・H・ハーディ先生は先日上映した
『ある天文学者の恋文』
http://mtonosama.exblog.jp/25751942/  http://mtonosama.exblog.jp/25782299/
で教授役だったジェレミー・アイアンズですよ。

数学は成績こそ悪かったけど、数の不思議には惹かれる150歳。
自分の誕生日が月も日にちも素数であることが自慢です。
月と日にちをとっぱらって一つの数字にしても素数なんですよ。
って、どうでもいいですよね。

さあ、いったいどんな映画でしょうか。
数学が苦手でも十分に楽しめる映画だということはお約束します。
乞うご期待でございます。



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奇跡がくれた数式
監督・脚本/マシュー・ブラウン、原作/ロバート・カニーゲル、撮影/ラリー・スミス、美術/ルチャーナ・アリギ、プロデューサー/エドワード・R・プレスマン、ジム・ヤング、ジョー・トーマス、マシュー・ブラウン、ソフィア・ソダーヴァン、ジョン・カッツ
出演
デヴ・パテル/ラマヌジャン、ジェレミー・アイアンズ/G.H.ハーディ、デヴィカ・ビセ/ジャナキ、ジェレミー・ノーサム/バートランド・ラッセル、ケヴィン・R・マクナリー/パーシー・アレキサンダー・マックマーン、リチャード・ジョンソン/ヘンリー・ジャクソン、アンソニー・カーフ/ロバート・アルフレッド・ハーマン、ポードリック・ディレーニ―/ベグラン、シャザド・ラティフ/チャンドラ・マハラノビス、アルダティ・ナグ/コーマラタンマル、ドリティマン・チヤタージー/S・ナーラヤーナ・アイヤル、スティーヴン・フライ/サー・フランシス・スプリング、トビー・ジョーンズ/ジョン・リトルウッド
10月22日(土)角川シネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマ、角川シネマ新宿ほか全国順次ロードショー
2016年、イギリス、108分、字幕翻訳/松浦美奈、配給/KADOKAWA、http://kiseki-sushiki.jp/

by Mtonosama | 2016-10-10 06:45 | 映画 | Comments(11)

ダゲレオタイプの女

-2-

LA FEMME DE LA PLAQUE ARGENTIQUE

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(C)FILM-IN-EVOLUTION - LES PRODUCTIONS BALTHAZAR - FRAKAS PRODUCTIONS - LFDLPA Japan Film Partners - ARTE France Cinema


その昔、写真を撮られると魂が抜かれる、とか
三人で写真を撮ると真ん中に位置した人は早死にする、とか
150歳のとのは子どもの頃、写真にまつわる迷信の類をよく聞かされました。

今のカメラでは
魂が抜かれるなど、考えつきもしません。
でも、ダゲレオタイプのカメラで撮影するために長時間拘束されていれば
失神なんてこともありましょう。

失神って魂が抜けちゃうことですよね。

写真=真を写す

さあ、真を写しとった後に残るのは、真実でありましょうか。
それとも、うつせみでありましょうか――

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ストーリー
その屋敷は工事現場が拡がる古い路地の一角にあった。
ジャンが屋敷内のスタジオに入っていくと、
そこにいたのは気難しそうな顔をした写真家のステファン。
ジャンは撮影助手として採用された。
スタジオ内には奇妙なカメラや器具が並ぶ。
それはダゲレオタイプのカメラ。
170年前のものでその技術は滅びたが、
ステファンはここで再現しているのだ。

写真のモデルとしてブルーのドレスをまとうステファンの娘マリー。
ジャンはその手、腰、頭を拘束器具で固定する。

マリーの夢は植物園で働くこと。
家から遠く離れたトゥールーズの植物園での面接が決まった。
マリーはジャンに喜びを伝える。
父のことは気になるが、彼女は自分の道を進むつもりだった。

棺に納められた赤ん坊の遺体を撮影するステファン。
マリーはそれを視て涙を浮かべる。
ジャンに心を許し始めていたマリーは
自分と同じようにダゲレオタイプのモデルを
していた母が屋敷内の温室で自殺したことを告白する。

ある日のこと、写真資材を買うためにパリ市内にでかけたジャンは
ステファンの知人ヴァンサンから声をかけられる。
ヴァンサンと一緒にいたのは不動産業を営むトマ。
ステファンの館は再開発地区の中心にあるので、600万ユーロで売れるという――

ある晩のこと、ステファンは自分の名を呼ぶ声を聞いたような気がした。
振り返ると女の影が地下へ降りていく。
同じ頃、マリーは気配を感じてスタジオを覗くが、
その途端、何者かに押されたように階段から転げ落ちる。

ステファンは何の処置も施さず嘆くばかり。
ジャンはマリーを病院に連れていくため車を走らせるのだが……

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西洋人が西洋の風景と西洋の建物の中で演じる怪談。
ホラーというとどうしてもおどろおどろしい感じがしますが、
本作におどろおどろしさはありません。

幽霊やお化けって
西洋と日本ではその表現も解釈もずいぶん違うのではないのではないでしょうか。
気味悪さへの感覚も違うように思います。

その点、本作はれっきとした怪談 Kwaidanであります。

父親のために自分の夢も諦め、
失神するまでその身を拘束具で締め付けさせるマリー。
「お前に永遠を与えたのになぜ俺を恨むのだ」と
妻の亡霊に叫ぶステファン。
そして、マリーへの愛に身を焦がし、窶れていくジャン。
東海道四谷怪談の伊右衛門や
牡丹灯籠の新三郎やお露そのものではありませんか。

外国のホラーといえば
スプラッターと思っていらっしゃる方には
案外新鮮なホラー映画かもしれません。
あ、違いました。
Kwaidanです。






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ダゲレオタイプの女
監督・脚本/黒沢清、プロデューサー/吉武美知子、ジェローム・ドプフェール、共同製作/ジャン・イブ・ルーバン、定井勇二、オリヴィエ・ペール、レミ・ビュラ、フランス語翻案/カトリーヌ・パイエ、エレオノール・マムーディアン、脚本コンサルタント/黒沢弘美、撮影/アレクシ・カヴィルシーヌ、製作/FILM-IN-EVOLUTION、LES PRODUCTIONS BALTAZAR、共同製作/FRAKAS ORODUCTIONS、ビターズ・エンド、ARTE FRANCE CINÉMA
出演
タハール・ラヒム/ジャン、コンスタンス・ルソー/マリー、オリヴィエ・グルメ/ステファン、マチュー・アマルリック/ヴァンサン、マリック・ジディ/トマ、ヴァレリ・シビラ/ドゥーニーズ、ジャック・コラール/ルイ
10月15日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国ロードショー
2016年、フランス=ベルギー=日本、131分、http://bitters.co.jp/dagereo/

by Mtonosama | 2016-10-07 05:18 | 映画 | Comments(8)
 

ダゲレオタイプの女
-1-
LA FEMME DE LA PLAQUE ARGENTIQUE

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(C)FILM-IN-EVOLUTION - LES PRODUCTIONS BALTHAZAR - FRAKAS PRODUCTIONS - LFDLPA Japan Film Partners - ARTE France Cinema


海外でも評価が高い黒沢監督。
いえ、今回は黒沢明監督ではなく、黒沢清監督です。
一字違いですが、お二人の間に血縁関係はありません。

カンヌ、ヴェネチア、ベルリン世界三大映画祭に出品され、
ヨーロッパを中心に世界中で賛嘆の声があがる監督。
2008年『トウキョウソナタ』が
第61回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」審査員賞、
第3回アジア・フィルム・アワード作品賞を受賞。
2015年カンヌ国際映画祭ある視点部門では
深津絵里と浅野忠信が主演した
『岸辺の旅』で監督賞を受賞しています。

カンヌで大いに認められている監督
なんと今回オールフランスロケで映画をつくりました。
ロケのみならず、キャストもスタッフも、
言葉もすべてフランスづくし。
フランス語のオリジナルストーリーで臨みました。
初の海外進出作品です。

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『ダゲレオタイプの女』

ダゲレオタイプという言葉が意味深げでそそりますし、
「女」がまとう瑠璃色の光沢のあるドレスがまた美しい。
フェルメールブルーですねえ。
きれいです。
そして、
この色がホラーにしてラブロマンスという本作を
象徴的に示しています。

さあ、ダゲレオタイプ。
いったい何でしょう。

ダゲレオタイプ
ダゲレオタイプ(フランス語:daguerréotype)とは、
ルイ・ジャック・マンデ・ダゲールにより発明され、
1839年8月19日にフランス学士院で発表された世界初の実用的写真撮影法。
湿板写真技法が確立するまでの間、
最も普及した写真技法。
銀メッキをした銅板などを感光材料として使うため、
日本語では銀板写真とも呼ばれる。
ダゲレオタイプは銀板上に定着されたポジティブ画像そのものが
最終的に鑑賞に供される画像となる。
つまり、
ダゲレオタイプで撮影された写真は
一枚しか存在しえない。
またダゲレオタイプに使う銀板は不透明であるから、
感光面側から像を鑑賞する形となり、
左右が反転した像を見ることとなる。
接触等によって銀板上に定着した像が壊されやすい。
(Wikipediaより)

この撮影法は長時間の露光を必要とするため、
生きた人物を撮影する場合には、
拘束具を使って身体を拘束します。

どうです?
怪奇小説好きなら、ここまでで相当そそられますよね。

かてて加えて入念なロケーションハンティングで
探し出されたいかにもな、古い館。
その荒び具合と薄気味悪さがたまりません。

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物語の舞台はパリ市内と郊外の境目あたり。
というのも、日本でもそうなのですが、
現代社会の見慣れた地域であっても
現実と非現実が微妙に混じり合う物語が
成立する場所は
都市と田舎の境界線あたりだと思っていた、
と監督はいいます。

確か中世史家・阿部謹也先生も同じようなことを
書いていらしたという記憶があります。

こんな脚本や監督の魅力にヨーロッパの名優たちが集結。
主人公には『消えた声が、その名を呼ぶ』
(’14 ファティ・アキン監督)のタハール・ラヒム。
http://mtonosama.exblog.jp/24778443/ http://mtonosama.exblog.jp/24787641/

写真家の役にはダルデンヌ兄弟監督の
『イゴールの約束』以降全作品に出演している
オリヴィエ・グルメ。
そして、マチュー・アマルリック。

日本の監督作品にこれだけの名優が出揃うとは
なんと誇らしいことでありましょう。

さあ、いったいどんな作品でしょうか。
続きは次回まで乞うご期待でございます。



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ダゲレオタイプの女
監督・脚本/黒沢清、プロデューサー/吉武美知子、ジェローム・ドプフェール、共同製作/ジャン・イブ・ルーバン、定井勇二、オリヴィエ・ペール、レミ・ビュラ、フランス語翻案/カトリーヌ・パイエ、エレオノール・マムーディアン、脚本コンサルタント/黒沢弘美、撮影/アレクシ・カヴィルシーヌ、製作/FILM-IN-EVOLUTION、LES PRODUCTIONS BALTAZAR、共同製作/FRAKAS ORODUCTIONS、ビターズ・エンド、ARTE FRANCE CINÉMA
出演
タハール・ラヒム/ジャン、コンスタンス・ルソー/マリー、オリヴィエ・グルメ/ステファン、マチュー・アマルリック/ヴァンサン、マリック・ジディ/トマ、ヴァレリ・シビラ/ドゥーニーズ、ジャック・コラール/ルイ
10月15日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国ロードショー
2016年、フランス=ベルギー=日本、131分、http://bitters.co.jp/dagereo/


by Mtonosama | 2016-10-04 06:44 | 映画 | Comments(8)

ある戦争
-2-
KRIGEN

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(C)2015 NORDISK FILM PRODUCTION A/S


アフガニスタンの紛争地域で
市民を守る任務を背負ったデンマークの治安部隊。
殺したくないのに殺し、死にたくないのに殺されることが
日常となった世界にいる兵士たちです。

映画に登場するのは
砂色の戦場、
夫の留守中、幼い子供たちを守り、
日々の生活に奮闘する妻が暮らすデンマークの一都市、
そして、法廷だけです。

しかし、この緊張感と
兵士や家族の懊悩が
観客に鋭く突き刺さる映画です。

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ストーリー
戦地
紛争の続くアフガニスタンへ平和維持軍を派遣し続けているデンマーク。
住民をタリバンの攻撃から守るため、駐留兵士達は地雷地帯をパトロールする。
それは精神的に追い詰められる日々であった。

ある日、巡回中に一人の兵士が地雷で両足を吹き飛ばされて死んだ。
まだ若い兵士だった。
パニックを起こす兵士達に対し、隊長のクラウスは
「明日からは自分も巡回に同行する」と宣言。
兵士達に使命の重要さを身をもって示すためだった。

デンマーク
母国ではクラウスの妻マリアが幼い3人の子供を必死で育てている。
長男は反抗期。父親のいない生活は子供たちにとってもマリアにとっても厳しい――

戦地
ある日、以前助けたことのある民間人の家族が駐屯地にやってきた。
「タリバンに協力しないと家族全員殺される。やつらは夜にやってくるんだ」
クラウスは明日パトロールに行くと約束し、彼らを帰宅させる。
だが、翌日その家を訪れたクラウスが発見したのは
幼い子供も含めた家族全員の遺体だった―――

その直後
突然爆撃が始まる。どこに敵がいるのかわからない。
敵の位置を確認できないまま、民家の敷地内で追いつめられる部隊。
首に被弾した部下は既に虫の息。
攻撃は西の第6地区からのようだが、敵兵の姿は目視できない。
「このままでは全滅だ!」
クラウスは第6地区への空爆要請をするよう部下に命令する。
2分後、空爆が始まり、部隊は基地への帰還を果たした。

数日後、基地から司令官と法務官が来た。
理由はクラウスの軍規違反だった。
クラウスが命じた空爆の結果、子供を含む11人の民間人が死んだのだという。
司令官はクラウスにデンマークへ強制帰国を命じる。

デンマーク・法廷
突然の帰国を喜ぶ3人の子供たち、そしてマリア。
だが、クラウスを待ち受けるのは軍事法廷だった……

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クラウスの心に去来するのは
救助を求めてきた現地の家族の変わり果てた姿か。
第6地区への空爆で死んだ子供たちの姿か・・・
「死んだ子がなによ!生きている自分の子どものことを考えて!!」
と思わず口走る妻マリア。

目視しないまま空爆指令を出した部隊長としての責任は重いけれど、
指令を出さなければ自らの部隊は全滅していました。

アフガニスタンにおける戦争という日常と
デンマークにおける市民生活という日常。

クラウスはマリアの叫びに反発を感じながらも
「ならば一体どうすればよかったのか」
という答の出ない問を繰り返すしかないのでしょう。

悩める兵士と家族。
日本はどうでしょう。どうなるのでしょう。
こういう戦争映画を他人事のように観ていられる時代は終わってしまった・・・
と思いで、しばらく座席から立ち上がることができませんでした。





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☆10月1日に更新しました。今年も残すところあと2ヶ月。いや、焦らず今日一日をゆっくりと☆
ある戦争
監督・脚本/トビアス・リンホルム、プロデューサー/ルネ・エズラ、トマス・ラドアー、撮影/マウヌス・ノアンホフ・ヨンク
出演
ピルー・アスベック/クラウス、ツヴァ・ノヴォトニー/マリア、ソーレン・マリン/マーティン・R・オルセン、シャルロット・ムンク/カイサ・デニング、ダール・サリム/ナジム・ビセマ、ダルフィ・アル・ジャブリ/ルトフィ・“ラッセ”・ハッサン
10月8日(土)新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
2015年、デンマーク、デンマーク語、アラビア語、115分、カラー、日本語字幕/ブレインウッズ、後援/デンマーク大使館、配給/トランスフォーマー、www.transformer.co.jp/m/aru.sensou/

by Mtonosama | 2016-10-01 06:29 | 映画 | Comments(4)