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殿様の試写室

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<   2017年 01月 ( 13 )   > この月の画像一覧


エリザのために
-2-
Bacalaureat

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(C)Mobra Films - Why Not Productions - Les Films du Fleuve – France 3 Cinema 2016


なんだかなあ。

革命の後、必ずしも良い社会が実現されはしない――
ということは過去の歴史から知らない訳ではないけれど、
約30年前、あれだけの高揚を経て生まれ変わったのに、
人も社会も、基本、何も変わりはしなかったのか。

なんだかなあ。

などと嘆いてみても始まりません。
まずは、どんなお話でしょう。

ストーリー
ある朝
勤務医のロメオは体調の悪い妻に代わって朝の支度をし、
娘エリザを学校へ送っていった。
イギリス留学を控えた娘に明日の卒業試験について助言し、
学校の手前で車から降ろす。

娘を送った後、ロメオは浮気相手の英語教師サンドラの家へ。
彼女とベッドにいた時、エリザが暴漢に襲われたという電話が入る。
病院に駆けつけると妻は既に来ており、
両親の前でエリザは泣き崩れる。
大事には至らなかったが、彼女の動揺は大きく、
卒業試験に影響を及ぼしかねない。

ロメオの友人でもある警察署長は必ず犯人を逮捕すると約束する。
そこへ副市長が肝硬変のため、ドナーを探していると連絡が。
ドナー登録者リストは国の管理だが、署長は既に話をつけており、
後はロメオが手術の順番を早めることができるかどうかだという。

明けて試験当日
ロメオは学校へ行き、事件を理由に娘にチャンスをくれないか、と試験官に交渉。
その後、年老いた母を訪ね、エリザの留学の話をする。
母は女の子一人を外国へ行かせることに反対していた。
ロメオは言う。
「この国では何一つ自由になることはなく、何も変わらない。
何もかもがコネだ。エリザはコネでうまくやるタイプじゃない。
だからこそ彼女には留学が必要なのだ・・・」

署長は部下に命じ、その日受けたエリザの試験結果を持ってこさせる。
結果は10点満点で8点。このままではケンブリッジに留学できない。
ロメオは娘のために副市長の手術を早めるという交換条件をのむことに……

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1991年の民主化に期待して妻と帰国したロメオでしたが、
自分たちの力で国を動かすという夢は実現しませんでした。
そして、行われていることは旧時代と変わらないコネや不正。

それを憎みながら、娘のために同じことをする父。
なんだかなあ。

夢も理想もそんなに簡単に潰え去ってしまうものなのでしょうか。

ムンジウ監督が本作のテーマを思いついたのは
ブカレスト市内で実際に起きた少女強姦事件でした。
少女は強姦されるまでの30分、雑踏の中を犯人に引きずり回されていたのに
誰も止めようとする人はいなかったそうです。
この事実こそ、私たちが現在どんな社会に生きているかを語っています。
個人ではなく集団としての解決力を持つ社会こそが本当の社会だと監督は言います。
社会の中でいかにして子どもたちを育て、社会の責任を子どもたちに教えていくか――
そういう視点で映画を作っていると48歳のムンジウ監督は語ります。

ルーマニアというあまり馴染みのない国の映画ですが、
内包する問題は私たちが抱えるものと同じなのかもしれません。

それにしてもあれだけの歴史を経験しながら
以前と同じことを繰り返している人間の弱さや愚かしさがあらためて悲しくなりました。







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エリザのために
監督・脚本/クリスティアン・ムンジウ、撮影/トゥドル・ヴラディミール・パンドゥル、共同プロデューサー/パスカル・カシュト、グレゴァル・ソルラ、ヴィンセント・マラヴァル、ジャン・ラバディ、ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ、プロデューサー/クリスティアン・ムンジウ
出演
アドリアン・ティティエニ/ロメオ、マリア・ドラグシ/エリザ、リア・ブグナル/マグダ、マリナ・マノヴィッチ/サンドラ
2017年1月28日(土)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
2016年、ルーマニア、フランス、ベルギー、カラー、ルーマニア語、128分、後援/ルーマニア大使館、配給/ファインフィルムズ、http://www.finefilms.co.jp/eliza/

by Mtonosama | 2017-01-29 04:40 | 映画 | Comments(4)

エリザのために
-1-
Bacalaureat

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(C)Mobra Films - Why Not Productions - Les Films du Fleuve – France 3 Cinema 2016


ルーマニアの映画です。
ルーマニアと聞いて連想するのは
やはり、チャウシェスク大統領夫妻が処刑される映像です。

1989年にポーランドで民主的な政権が成立した際、
ルーマニアにもこのような動きが波及することを恐れたチャウシェスクは、
ワルシャワ条約機構軍による軍事介入をソ連に要請した。
(「プラハの春」の時とは真逆!)
しかし、ソ連のゴルバチョフはこの要求を一蹴し、
チャウシェスクは事実上ソ連に見限られる形となった。
彼はなおも権力の維持を図ろうとするが、
首都ブカレストを含めて全国規模で暴動が勃発。
ソ連の介入がないことが確定的となったため、
ルーマニア国軍もチャウシェスク政権に反旗を翻した。
同年12月に起きたルーマニア革命でチャウシェスクは完全に失脚し、政権は崩壊。
12月25日、逃亡先のトゥルゴヴィシュテにおいて、
革命軍の手によって妻エレナとともに公開処刑(銃殺刑)された。
https://matome.naver.jp/odai/2141121646879065101

あれから30年近く経とうとしています。
すっかり民主化され、独自の国づくりを図っているとばかり思っていました。

ルーマニアの監督クリスティアン・ムンジウは
『4ヶ月、3週と2日』(’07)で、チャウシェスク政権末期1987年のルーマニアを舞台に
妊娠したクラスメートの違法な中絶を助けようと走り回る主人公の一日を描きました。
彼は、この映画で第60回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に選ばれ、
ルーマニアに初のパルムドールをもたらした監督です。

更に、第65回カンヌ国際映画祭では
『汚れなき祈り』で女優賞と脚本賞を受賞。

本作『エリザのために』は第69回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した作品。
卒業試験に娘を合格させようと違法なコネとツテを使い、
奔走する親の姿を描きました。

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あの激しい流血の日々を経て、
ルーマニアは新しい国づくりを着々と進めているとばかり思っていました。

ところが、ルーマニア社会にはびこるのは
違法な口利き、コネ、裏工作、袖の下。
手術の順番がコネで入れ替えられ、
医者に謝礼を渡すのは常識で、
卒業試験の解答用紙はなぜか警察署長の手に渡り、
娘の卒業試験の合格が危うくなれば
ツテのある副市長があることを交換条件に
試験官に口利きしてくれる・・・

そんな社会を憎み、真面目に生きてきた一人の医師。
愛娘をこんな国で生きていかせるわけにはいかないと
イギリス留学をさせようとするのですが―――

おっと、ここでばらしてしまってはいけませんね。

とのが敬愛するダルデンヌ兄弟監督も
共同プロデューサーとして参画する本作。
さあ、いったいどんな映画なのでしょう。

続きは次回まで乞うご期待でございますよ。



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エリザのために
監督・脚本/クリスティアン・ムンジウ、撮影/トゥドル・ヴラディミール・パンドゥル、共同プロデューサー/パスカル・カシュト、グレゴァル・ソルラ、ヴィンセント・マラヴァル、ジャン・ラバディ、ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ、プロデューサー/クリスティアン・ムンジウ
出演
アドリアン・ティティエニ/ロメオ、マリア・ドラグシ/エリザ、リア・ブグナル/マグダ、マリナ・マノヴィッチ/サンドラ
2017年1月28日(土)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
2016年、ルーマニア、フランス、ベルギー、カラー、ルーマニア語、128分、後援/ルーマニア大使館、配給/ファインフィルムズ、http://www.finefilms.co.jp/eliza/

by Mtonosama | 2017-01-26 05:22 | 映画 | Comments(4)

マーティン・スコセッシ監督『沈黙』を語る

-3-

1月16日(月)来日記者会見
リッツ・カールトン東京グランドボールルーム


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殿様の試写室では
「沈黙」に登場する隠れキリシタンのご子孫をご紹介して
3日間のスペシャル試写を締めさせていただきます。


隠れキリシタン帳方(ちょうかた)村上茂則氏(66歳)
長崎在住。外海(そとめ)地区で今なお続く隠れキリシタンの信仰を守り続ける。
隠れキリシタンの指導者である帳方の7代目。
外海地区には隠れキリシタンの聖地・枯松神社がある。
これは弾圧の時代、神社にカモフラージュして作られたキリシタンの施設で
現在は隠れキリシタンや当時キリシタンをかくまった仏教徒の子孫らが集まり、
毎年11月に枯松神社祭を行っている。


村上茂則氏
只今ご紹介いただきました村上茂則です。
本日はこのような場で『沈黙』の監督さんにお会いできて感謝しています。
今、長崎には隠れキリシタンは3ヶ所しか残っていません。
先月22日この映画を観ましたが、
あの人たちが自分の先祖だと思うと涙が出ました。
先祖たちの生きた様子を世界の、そして、日本の皆さんに見ていただきたいと思います。

マーティン・スコセッシ監督
日本の文化や日本のキリシタンの勇気を損なうことがないよう、
忠実に、敬意を持って描きました。
映画の撮影中、モキチがはりつけになるシーンでは
アメリカのスタッフも日本のスタッフも皆泣きました。
非常に真剣に取り組んだ映画でしたし、
自分にとっては巡礼をするような感覚で撮影した作品です。

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3日間にわたって
マーティン・スコセッシ監督の記者会見を
レポートいたしました。

当試写室は明日より平常営業となりますので、
今後もお気軽にお立ち寄り頂ければ幸いです。
ありがとうございました。




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by Mtonosama | 2017-01-25 05:11 | 映画 | Comments(4)

マーティン・スコセッシ監督『沈黙』を語る

-2-

1月16日(月)来日記者会見
リッツ・カールトン東京グランドボールルーム

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マーティン・スコセッシ監督語る

原作を読んでから映画化までに28年かかりました。
しかし、若い時に映画化をしていたら今とは全然違う作品になっていたと思います。
脚本を書いて、挑戦してもいいかもしれないと本気で思い始めたのは
『ギャング・オブ・ニューヨーク』を撮っていた2003年のことです。
映画化権を失いたくないので、「やっているから」と待たせていました。
その結果、裁判沙汰になったりもしたわけですが。

2003年は私生活でも変化があった年です。
再婚し、女の子が生まれました。
成熟してから父親になるのと、若い頃に父親になるのとでは全然違います。
そういう私生活の中での変化も自分の可能性を拡げるきっかけになりました。

小説「沈黙」との出会い

1985年に作った『最後の誘惑』は
キリスト教の理念やコンセプトをシリアスに探究した作品でしたが、
大きな議論が沸き上がりました。
その映画をエピスコパル教会で上映した際に
ポール・モアという大司教から
「面白い映画だった。だが私はこれをお勧めする」
と手渡されたのが「沈黙」でした。
大司教は「この作品は信じるとはどういうことかを問うものだ」とおっしゃいました。

その後、色んな議論が沸き起こる中で私は自分の信仰心を見失ってしまいましたが、
「沈黙」を読み、遠藤周作先生が探求なさったように
私ももっと深く掘り下げていき、答えをみつけなくてはならない、と思いました。
そういう意味でこれは他の作品より重要でした。
決定的な問いに答えるという意味で非常に重要な作品でした。
「沈黙」は信じることも疑うことも書いているので、非常に包括的な小説だと思います。
我々に関わるところが多い小説ですよね。
いずれにしても、人生とは疑念に満ちていますから。
実に、制作意欲を搔き立てられた作品でした。

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弱さ、懐疑心をテーマに

この映画では弱さとか懐疑心とかをテーマとして描いています。
否定するのではなく受け入れるということを描いた映画です。
作品の中でキチジローが
「弱き者の生きる場はあるのか?どこで生きていけばいいのか?」
と問いかけます。
弱き者をはじき出さずに受け入れ、
人が人として生きる価値とはなんなのでしょう。

社会においても皆が皆強くなければいけないということはないと思います。
強くあることが文明を維持していく唯一の手段ではないと思っています。
イエスは取税人や売春婦などの傍にいて、彼らを聖化しました。
今の世の中で一番危険にさらされているのは若い世代だと思います。
例えば、10年位前に生まれた人たちは勝者が世界を制覇することしか見ていません。
それしか知らないということはとても危険なことだと思います。
なぜなら、彼らは世界のからくりとはそうしたものだと考えてしまうからです。

今は非常に物質的な世界になっていますが、
そういう世界においてこそ、何かを信じたいという心を
真剣に考えることが大事だと思います。
西洋はこういったことを真剣に考える風潮にはなっていません。
西洋の宗教的基盤を作っていたものが変化を遂げつつあるのではないかと思います。




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by Mtonosama | 2017-01-24 05:28 | 映画 | Comments(0)

マーティン・スコセッシ監督『沈黙』を語る

-1-

1月16日(月)来日記者会見
リッツ・カールトン東京グランドボールルーム


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『沈黙』日本公開を前に来日した
マーティン・スコセッシ監督の会見に参加させていただく機会を得て、
真摯なお話をうかがうことができました。
その時の模様をここに再現します。


マーティン・スコセッシ監督

『沈黙』は長い時間をかけてようやく映画化にこぎつけた作品です。
原作は日本で読んだのですが、その時にもう映画化したいと思っていました。
どう作るか、どのように原作を解釈すべきか、
なかなか自分の答えがみつけられずにおりましたし、
当時の自分には宗教観とか文化をそれほど理解できていなかったということもあります。
映画化に至るまでは、
この作品を理解し、試行錯誤を重ね、学ぶという旅をしていたようなものでした。
自分自身の人生を生きていくなかでも学んでいきました。
作品は完成しましたが、これで終わりとは思っていません。
この映画と共に生きていくという感覚があります。

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去年、バチカンで上映し、ローマ法王に謁見しました。
ですが、実際に法王が映画をご覧になっているかどうかは確信が持てません。
忙しそうにしていらしたので(笑)。
でも、法王は相手を緊張させない方で、リラックスしてお会いすることができました。
長崎やイエズス会の神父たちのお話をしました。

バチカンでの上映会には100人程度の聖職者の方々に来て頂き、
その前日にもイエズス会の聖職者を迎えて上映しました。
その時はアジアや南アメリカの方がいらしていました。

『沈黙』は隠れキリシタンの受難を描いていますが、
日本のキリシタンたちの勇気と信念に感心せざるを得ません。

先日あるアジアのイエズス会神父が興味深いことをおっしゃっていました。
隠れキリシタンに行われた拷問も大変な暴力ですが、
西洋からの宣教師もそれと同じくらいの暴力を持ち込んだのではないか。
彼らは「真実である」としてキリスト教を持ち込みましたが、
それこそが侵害であり暴力ではないか。
この暴力に対応するには宣教師たちの傲慢をひとつづつ崩していかねばなりません。
だから上から崩していったのではないか、というのです。

この映画の中でロドリゲスの傲慢さも同じように崩されていきます。
そうすることで彼の中の誤った考え方が覆され、彼はそこで変わりました。
彼は仕える人になります。そうやって彼は真なるクリスチャンになっていきました。
日本のクリスチャンは多分そういうところに惹かれるのではないでしょうか。
慈悲心とか人間はみな同価値であるという理念ですね。

遠藤周作さんが「イエスの生涯」に書いているのですが、
キリスト教を権威的なアプローチで説くのは違うのではないか。
女性性でキリスト教を説く――
これこそ日本的です。
隠れキリシタンはそこに惹かれたのではないかと思います。



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by Mtonosama | 2017-01-23 06:11 | 映画 | Comments(2)

沈黙
―サイレンス―

-2-

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Copyright :(C) 2016 FM Films, LLC. All Rights Reserved


なぜ、この時期、日本の時代劇である「沈黙」を
アメリカ人であるマーティン・スコセッシ監督が映画化するのでしょう。
監督は言います。
「人々の信仰の在り方が大きく変わり、それを疑うようになり、
宗教的な組織や施設にも、おそらくは懐疑の眼が向けられている今の世界だからこそ
作らなければならなかったのです。
その中では信仰心も変わるのかもしれません。
だから、このような映画を作り、世に送り出すことで、
人々に何かを考えさせる機会になるかもしれません。
あるいは、この物欲にまみれた世界では忙しすぎて誰も目もくれなくなったことを
再び差し出せるかもしれません」と。

ストーリー
17世紀、江戸時代初期、キリシタン弾圧下の長崎。
キリスト教が禁じられた日本で棄教したとされる師フェレイラの行方を知るため、
若き宣教師ロドリゴとガルペはポルトガルから極東の地・日本に向かって旅立つ。
2人はマカオで出会った日本人キチジローを案内役に長崎に潜入し、
弾圧を逃れた「隠れキリシタン」と呼ばれる村人たちと出会う。
2人は村人たちのためにミサを行い、告解を聴き、洗礼を授ける。
だが、幕府のキリシタン弾圧は過酷を極め、
キチジローの裏切りによってロドリゴらも囚われの身に。
「お前たちが棄教しなければキリシタンたちは更に苦しむことになるぞ」
と長崎奉行・井上筑後守。次々と犠牲になる村人たち。
声もなく殺されていく村人を見て、自らの信仰と弱さに向き合うロドリゴだった……

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井上筑後守は「日本は沼じゃ。異国の宗教は根をおろすことはない」と
ロドリゴに説きます。

小説を読んだ時と同じく
「踏み絵などガンガン踏んでしまって、取調の時だけ調子を合わせておけば?」、
と信仰の「し」の字も節操の「せ」の字もない自分。
だって、命あってのものだね、あえて痛い思いをしなくたっていいではありませんか。

恐らくロドリゴもそう思っているのですよね。
神はいつまでも沈黙したままですし。
イエスだって十字架の上で
「主よ、どうして私をお見捨てになるのですか?」
と叫んだくらいです。

本作を観ながら、ふとチベットの五体投地を思い出しました。
キリシタンたちは現世に絶望しているからこそ、
死後の救済を信じようとしたのでしょう。
とのの中ではチベットと貧しい長崎の村人たちがここでつながってしまいました。

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徹底的にサディスティックな幕府のキリシタン弾圧。
キリシタンという異質分子の排除。
信仰心と異国の迷える子羊を救うという想いを携え、
はるかポルトガルから極東の島国へやってきて苦しむ若き宣教師たち。

SとMが、ガッツリぶつかりあった時代に
布教するポルトガル宣教師、
あえて苦しみを選ぶ村人たち。

幕府も宣教師も村人たちも皆
目的とするところが微妙にずれています。

ただひとついえることは
神は沈黙し続けるということ。
でも、人は何か大いなる存在を信じないことには生きにくいのですよね。






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沈黙 ―サイレンス―
監督/マーティン・スコセッシ、原作/遠藤周作、脚本/ジェイ・コックス、マーティン・スコセッシ、撮影/ロドリゴ・プリエト
出演
リーアム・ニーソン/フェレイラ、アンドリュー・ガーフィールド/ロドリゴ、アダム・ドライバー/ガルぺ、窪塚洋介/キチジロー、浅野忠信/通詞、イッセー尾形/井上筑後守、笈田ヨシ/村長、塚本信也/モキチ
2017年1月21日(土)全国ロードショー
2016年、アメリカ、英語、カラー、配給/KADOKAWA
http://chinmoku.jp/

by Mtonosama | 2017-01-20 07:32 | 映画 | Comments(4)

沈黙
―サイレンス―

-1-

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Copyright :(C) 2016 FM Films, LLC. All Rights Reserved


1966年に刊行された遠藤周作の「沈黙」は2016年に50年を迎えました。

キリスト教徒である遠藤周作が
江戸時代の初め、長崎に繰り広げられたキリシタン弾圧を背景に、
神の沈黙を問いかけた作品です。

2016年はまた遠藤氏没後20年という年でした。

世界の20カ国以上で翻訳されたその「沈黙」が映画化されました。

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小学校4年生の頃、ひいばあちゃんに
「教会へ行って良い子になってきなさい」となぜか突然言われ、
毎週日曜は教会に行っていたとの。
実は、帰りにもらえるきれいなカードが楽しみだったのですけどね。
更に、中学高校とプロテスタント系の学校に通いました。
だから「沈黙」を読んだ時には、神様ってなんて意地悪なんだろうと幻滅したものです。
信者たちも拷問なんか受けてないで、さっさと踏み絵を踏んじゃえばいいのに、
と思ってもいました。

遠藤周作先生、ごめんなさい。
薄っぺらな読み方しかできなくて。

ですが、
本作を監督したマーティン・スコセッシは
少年時代にはカトリックの司祭になろうと考えていた程で
その人生も宗教への思いや習わしに囚われてきたといいます。
そして、1988年に「沈黙」と出会い、
28年を経てついに映画化を果たしました。

マーティン・スコセッシ監督
1943年ニューヨークのシチリア系イタリア移民の家に生まれる。
ニューヨークのリトル・イタリーで少年時代を過ごし、ニューヨーク大学で映画を専攻。
卒業後は母校の講師を務めながら、様々な映画関係の仕事をこなし、
72年「明日に処刑を…」で商業映画監督デビュー。
76年「タクシードライバー」でカンヌ映画祭グランプリを受賞。
主演のロバート・デ・ニーロとともにアメリカ映画の新世代を代表する存在に。
80年「レイジング・ブル」、
83年「キング・オブ・コメディ」、
90年「グッド・フェローズ」、
95年「カジノ」とデ・ニーロとともに傑作を連発、
最も重要な映画監督と称されるようになる。
02年レオナルド・ディカプリオを主演に迎えた「ギャング・オブ・ニューヨーク」、
04年「アビエイター」でアカデミー賞監督賞にノミネート。
06年「ディパーテッド」で作品賞と監督賞を受賞する。
自身初の試みとなった3D映画「ヒューゴの不思議な発明」(11)で
7度目の監督賞候補になった。
(映画・comより)

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本作『沈黙』は日本が舞台ですから、当然日本の俳優も登場します。
奉行所のしつらえや日本家屋の舞台設計なども
日本の技術アドバイザーや俳優たちが行っています。
だから、アメリカ人監督が日本を舞台にする場合にありがちな
妙に大味で不自然な建物は出てこないので
どうぞご安心ください。

日本の時代劇を外国人監督が撮るというのは
なんかちょっと不思議な感覚ですが、一体どんな作品になっているのでしょうか。

続きは次回までのお楽しみです。


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沈黙 ―サイレンス―
監督/マーティン・スコセッシ、原作/遠藤周作、脚本/ジェイ・コックス、マーティン・スコセッシ、撮影/ロドリゴ・プリエト
出演
リーアム・ニーソン/フェレイラ、アンドリュー・ガーフィールド/ロドリゴ、アダム・ドライバー/ガルぺ、窪塚洋介/キチジロー、浅野忠信/通詞、イッセー尾形/井上筑後守、笈田ヨシ/村長、塚本信也/モキチ
2017年1月21日(土)全国ロードショー
2016年、アメリカ、英語、カラー、配給/KADOKAWA
http://chinmoku.jp/

by Mtonosama | 2017-01-17 06:00 | 映画 | Comments(6)

未来を花束にして
-2-

Suffragette

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(C)Pathe Productions Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2015. All rights reserved.


女性たちが連帯して立ち上がるというと
ヒステリーのおばさんたちというステレオタイプのイメージをあてはめてきた世間。
映画だって同じでした。

サラ・ガヴロン監督が語っています。
「こんなパワフルな物語をどうしてこれまで映画化しなかったんだろう」

男性はもちろんですが、女性自身も女性活動家というと
怖いおばさんというレッテルを張り付けていたんではないでしょうかねえ。

でも、本作はちょっと違います。
女性参政権が背景となってはいますが、
主人公は7歳から洗濯工場で働き続ける24歳の若い女性です。
まるで奴隷のように過酷な環境で働き、
男よりも長時間働きながら、賃金は男より少なく、
家に帰れば、家事も育児も一人でこなさなければなりません。

キャリー・マリガンが、けなげに生きる洗濯女モード・ワッツを
泣きたくなるほどに好演します。
さあ、彼女はどんな風にしてめざめていくのでしょう。

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ストーリー
1912年ロンドンの洗濯工場で働くモードは、
同じ工場で働く夫と幼い息子の3人で暮らしている。
貧しい暮らしながら夫は優しく、息子の存在は彼女の支えだった。

ある日、モードが洗濯物を届けに行く途中、
洋品店のショーウィンドウをのぞき込んでいると、ガラスに石が投げ込まれる。
女性参政権運動を展開するWSPUの「行動」現場にぶつかったのだ。
それが彼女とサフラジェットとの出会いだった。

モードは洗濯工場の同僚ヴァイオレットの紹介で
薬剤師のイーディスを知る。
彼女は9回の逮捕歴を持ち、協力的な夫と共に
自分たちの薬局をサフラジェットの集会所として提供していた。

その頃、警察は女性参政権運動への取り締りを強化し、
世界初のカメラによる市民監視システムを導入。
モードは偶然そこに写ってしまい、
サフラジェットとは無関係だったにもかかわらず、
捜査対象として認識されてしまう。

やがて、モードに大きな変化が――
下院の公聴会でヴァイオレットに代わって証言をすることになったのだ。
「7歳でパート、12歳から社員で、今は24歳です。洗濯女は短命です。
体は痛み、咳がひどく、指は曲がり、工場内のガスで頭痛がひどい」
彼女は証言を通じて「違う生き方を望む自分」を発見する。
だが、法律改正は叶わず、
デモに参加した大勢の女性が警官に殴打され、逮捕される。
モードも例外ではなかった……


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夫によって家を追い出され、愛する息子も奪われながら、闘い続けるモード。
しつこいようですが、キャリー・マリガンが素晴らしいんです。
女性運動映画のイメージを変えました。

教育もなく、貧乏な若い女性が
次第に行動主義に走り始めた女性参政権運動に入り込んでいく姿が
他人事とは思えず、ひきこまれます。

行動のきっかけって偶然なんですよね。
行動を通じて自分の信念が浮き上がってくる―――っていうか。
モードの心の動きとその変化に
「そうだよね、そうだよね」と頻りに頷いてしまいました。
そんなモードの自然な心の動きから
大きなムーブメントになっていく女性たちの行動までが
描きこまれた映画でした。感動しました。

その後、イギリスでは
1918年、30歳以上の女性に制限選挙権が与えられ、
1925年、母親の親権が認められ、
そして
1928年、男女平等による普通選挙が行われました。


歴史は女が作ります。






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未来を花束にして
監督/サラ・ガヴロン、脚本/アビ・モーガン、製作/フェイ・ウォード、アリソン・オーウェン、製作総指揮/キャメロン・マクラッケン、テッサ・ロス、ローズ・ガーネット、ニック・バウアー、ジェームス・シェイマス、テレサ・モネオ、撮影/エドゥアルド・グラウ
出演
キャリー・マリガン/モード・ワッツ、ヘレナ・ボナム=カーター/イーディス・エリン、ブレンダン・グリーソン/アーサー・スティード警部、アンヌ=マリー・ダフ/バイオレット・ミラー、ベン・ウィショー/サニー・ワッツ、ロモーラ・ガライ/アリス・ホートン、メリル・ストリープ/エメリン・パンクハースト、フィンバー・リンチ/ヒュー・エリン、ナタリー・プレス/エミリー・ワイルディング・デイビソン、サミュエル・ウェスト/ベネディクト・ホートン、ジェフ・ベル/ノーマン・テイラー
2017年1月27日(金)TOHOシネマズ・シャンテほか全国ロードショー
2015年、イギリス、英語、1時間46分、シネマスコープ、日本語字幕/寺尾次郎
http://mirai-hanataba.com/

by Mtonosama | 2017-01-14 06:35 | 映画 | Comments(4)

未来を花束にして
-1-
Suffragette


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(C)Pathe Productions Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2015. All rights reserved.


『未来を花束にして』
これは女性参政権獲得運動のお話です。
でも、タイトルの意味がよくわかりません。

オリジナルタイトルの“Suffragette”という言葉もわかりません。
まず、どう読むのでしょう?
いや、知らないことだらけで・・・

だけど、本作に主演したキャリー・マリガンもSuffregette(=サフラジェット)を
知らなかったんですって。
この運動が起こった国イギリスに生まれた女優すら知らなかったのだから、
150歳とはいえ日本人のとのが知らないのも当然。
(と、開き直るか?)


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実は
少し前に観た映画なんですが、
ある主人公が英国の港で
サフラジェットの一団に取り囲まれました。
女癖が悪い彼は彼女たちに追及され、
ホテルまでつきまとわれます……

すいません。タイトルも何もまったく覚えていません。
ただ、サフラジェットがヒステリックな女たちの集団のように描かれていたので、
本作を観て「ええっ?全然違うじゃん」と思い出した次第です。

Suffragetteという言葉は女性の参政権を求める活動家の蔑称として
イギリスの「デイリー・メイル」紙が作った造語で、
その後、女性運動を指す言葉として定着したのだとか。

とのがタイトルを忘れてしまった映画のように、
男はいつだって口当たりのいいことをいいながら、
本音では女性は自分たちに都合のよい存在であってほしいと
思っているんじゃないですかねえ。

ねえ、安倍さん。

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本作の舞台となった1912年のロンドン。
女性の参政権を要求する運動が先鋭化し始めた時代です。
それまで50年にわたり女性たちは平和的に参政権を求めてきましたが、
ずっと黙殺され続けてきました。
1912年は
カリスマ的リーダーのエメリン・パンクハースト率いるWSPU(女性社会政治同盟)が
「言葉より行動を」と過激な抗争を呼びかけ始めた時代です。

エメリン・パークハースト
1903年にマンチェスターで女性社会政治同盟を立ち上げる。
彼女自身は中流階級出身だが、同盟設立当初から
本作の主人公モード・ワッツのような労働者階級の女性も
メンバーにしていた。

つまり、女性社会政治同盟は、階級を超え、
女性として連帯する組織だったんですね。

モードを演じたキャリー・マリガンの素晴らしさといったら!
いやあ、女が女に惚れました。

デモの際に身に着けたコサージュや帽子の花がまた可愛いんですよ。
この組織のシンボルカラーである紫・白・緑の花々なんですけど。
多分ここから邦題が決まったのでしょうね。

組織のモットーは「言葉より行動」。
もしかして年末BS3「映像の世紀プレミアム」でご覧になった方もおいででしょうか。
ダービー競馬でジョージ5世の持ち馬が疾走するところに飛び込んで
壮絶な死を遂げたエミリー・ワイルディング・デイビソンも
行動でその意志を貫いた一人でした。

監督サラ・ガヴロン、製作フェイ・ウォード、アリソン・オーウェン、
脚本アビ・モーガン
女性たちの手による女性たちのための映画です。

エメリン・パンクハーストを演じたメリル・ストリープは
「すべての娘たちはこの歴史を知るべきであり、
すべての息子たちはこの歴史を心に刻むべきである」
と言っています。

さあ、いったいどんなお話でしょうか。
次回まで乞うご期待でございます。



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未来を花束にして
監督/サラ・ガヴロン、脚本/アビ・モーガン、製作/フェイ・ウォード、アリソン・オーウェン、製作総指揮/キャメロン・マクラッケン、テッサ・ロス、ローズ・ガーネット、ニック・バウアー、ジェームス・シェイマス、テレサ・モネオ、撮影/エドゥアルド・グラウ
出演
キャリー・マリガン/モード・ワッツ、ヘレナ・ボナム=カーター/イーディス・エリン、ブレンダン・グリーソン/アーサー・スティード警部、アンヌ=マリー・ダフ/バイオレット・ミラー、ベン・ウィショー/サニー・ワッツ、ロモーラ・ガライ/アリス・ホートン、メリル・ストリープ/エメリン・パンクハースト、フィンバー・リンチ/ヒュー・エリン、ナタリー・プレス/エミリー・ワイルディング・デイビソン、サミュエル・ウェスト/ベネディクト・ホートン、ジェフ・ベル/ノーマン・テイラー
2017年1月27日(金)TOHOシネマズ・シャンテほか全国ロードショー
2015年、イギリス、英語、1時間46分、シネマスコープ、日本語字幕/寺尾次郎
http://mirai-hanataba.com/

by Mtonosama | 2017-01-11 06:05 | 映画 | Comments(4)

網に囚われた男
-2-
The Net

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(C)2016 KIM Ki-duk Film. All Rights Reserved.


南北分断をテーマにした作品には
キム・ギドクが脚本・製作を担当した『プンサンケ』(’11)
http://mtonosama.exblog.jp/17862317/ http://mtonosama.exblog.jp/17872088/
『レッド・ファミリー』(’13)もあります。

韓国の人間なら分断に目を背けることはできない訳で
キム・ギドク監督もそれは同様です。

さあ、いったいどんなお話なのでしょうか。

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ストーリー
韓国との国境に近い北朝鮮の村で、
妻子と共に貧しいながらも平穏な日々を送る漁師のナム・チョル。
その朝、いつものように国境警備の兵士に漁に出かけることを報告し、
唯一の財産であるモーターボートに乗って出漁。
だが、漁網がスクリューに絡まり、ボートは
チョルの意に反して韓国側に流されてしまった。

韓国の警察に連行されたチョルはスパイの疑いをかけられ、
執拗で残忍な取り調べを受ける。
だが、彼の監視にあたる青年警護官は
家族の許に帰りたいというチョルの思いを知り、彼の潔白を信じるように。

そんな時、やはりスパイ容疑で捕まった男が追い詰められ、
チョルにソウルに住む娘への伝言を託し、舌を噛み切り自死してしまう――

スパイ容疑もはっきりせず、妻子の許に戻ることしか考えていないチョル。
韓国側は彼を泳がせるよう方針転換する。
チョルはソウルの繁華街に一人放り出される。
街には商品が溢れ、人々が自由に行き交う。
だが、チョルは固く目を閉じ、何も見ようとはしない。

いつまで待っても警護官は戻らず、一人になったことを知ったチョル。
目的もなく街をさまよう内、やくざに追われる若い女を助ける。
弟を大学に入れるため身を売った女だった。
街にはまだ使えるPCが無造作に捨てられ、
彼は、ソウルには華やかだけではない部分が存在することを知る……

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韓国で厳しい取り調べを受けるチョルを見ながら、
ああ、北ではもっと酷いことをされるんだろうな。
このまま韓国にいればいいのに、
と思う観客の気持ちとは裏腹に
漁師は頑なまでに北の家族の許へ帰ることしか考えていません。

北にも南にもダークサイドが存在します。
北だけが悪く、南は良い、とは決していえません。
ついついどちらかに肩入れしたくなる観客をいなしつつ
映画はチョルが直面する運命を淡々と描き出します。
南がどんなに華やかで自由でも、
彼にとって帰るべきところは妻子の待つ北なのです。

いつものギドク作品のように「あ、痛!」と観客が目を背けることもなく、
淡々と、静かに、
不条理というしかない漁師の運命をつきつけてきます。

しばらくは声も出ない程、映画に魅せられました。
キム・ギドク監督はいったいどれだけ進化するのでしょう。






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網に囚われた男
監督・脚本/キム・ギドク、エグゼクティヴ・プロデューサー/キム・ギドク、撮影/キム・ギドク
出演
リュ・スンボム/ナム・チョル、イ・ウォングン/オ・ジヌ、キム・ヨンミン/取り調べ官、チェ・グイファ/室長、ソン・ミンソク/北朝鮮の取り調べ官、イ・ウヌ/チョルの妻
2017年1月7日(土)よりシネマカリテ他全国順次ロードショー
韓国、2016年、112分、日本語字幕/根本理恵、提供/キングレコード、配給/クレストインターナショナル、http://www.thenet-ami.com/

by Mtonosama | 2017-01-08 04:51 | 映画 | Comments(4)