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殿様の試写室

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<   2017年 03月 ( 10 )   > この月の画像一覧


マイビューティフルガーデン
-1-
This Beautiful Fantastic


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(C)This Beautiful Fantastic UK Ltd 2016


寒い時もありますが、ずいぶん日が長くなりましたね。
映画を観終わって外に出ると、まだまだ明るくて、
いけないことをしていたような気分になってしまう季節です。

そんな罪悪感を払拭し、
心の底から春を楽しめる映画が
イングリッシュガーデンの本場イギリスからやってきました。

フランスの庭園が左右対称の幾何学的庭園で良家の子女風だとしたら、
イングリッシュガーデンは野放図に生い茂る草花が
自由奔放な女の子みたいなお庭。

映画の中でも
「美しい秩序を保った混沌の世界」
なんてセリフがありました。

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本作『マイビューティフルガーデン』
原題は”This Beautiful Fantastic”
寒い冬の間、肩こりするほど肩をすぼめていた150歳の女の子なら
あ、いえ、もっと若い女の子でも男の子でも
こんなファンタスティックな映画で
春を満喫してみてもいいんじゃないでしょうか。
うふっ♪

これまでファッションブランドやミュージックビデオを手掛けてきた
サイモン・アバウド監督。
2010年にポール・マッカートニーの長女メアリーと結婚。
あのアビーロード・スタジオで、
ジョニー・デップ、ショーン・ペン、ジュード・ロウ、
メリル・ストリープ、ジェレミー・アイアンズ等を集めて
ポールの「クィーニー・アイ Queeny Eye」の
プロモーションビデオを監督したことでも話題を呼びました。

監督自身にお庭の趣味はなかったそうなのですが、
“How are you?”の代わりに
“How is your garden?”
と挨拶するスコットランド出身の映画監督が彼の知り合いにいます。
その挨拶がすっかり気にいってしまい
庭に興味を持つようになったサイモン・アバウド監督。

ベラという植物恐怖症の不思議なキャラクターの主人公を誕生させ、
このハッピーな映画を生み出してしまいました。

さすがマッカートニー家の婿さんです。

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物語の舞台はロンドン。
時代は現代なのですが、どこかファンタジーな感じ。
ベラの生い立ちだって公園の池のほとりに捨てられ、
アヒルたちに見守られていた赤ん坊という設定なんですから。

ガーデニング大国の英国では
バックヤード(裏庭)をとても大切にします。
季節の草花を植え、ハーブを茂らせ、
果樹は美味しい実を実らせます。
鳥もさえずり、
夏には気持ちの良い木陰を作ってくれます。

主人公のベラはそんなバックヤード付きの素敵なアパートに暮らすのですが、
彼女には大変な問題点がありました。
それは―――
彼女が植物恐怖症だったこと。

さあ、いったいどんなお話なのでしょうか。
続きは次回までお待ちくださいね。
乞うご期待でございますよ。




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マイビューティフルガーデン
監督・脚本/サイモン・アバウド、美術/アレクサンドラ・ウォーカー、撮影/マイク・エリー、プロデューサー/クリスティン・アルダーソン
出演
ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ/ベラ、トム・ウィルキンソン/アルフィー、アンドリュー・スコット/ヴァーノン、ジェレミー・アーヴァイン/ビリー、アンナ・チャンセラー/ミス・ブランブル、
アイリーン・デイヴィーズ/ミリー
4月8日(土)シネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
2016年、イギリス、92分、カラー、日本語字幕/原田りえ、提供・配給/ココロヲ・動かす・映画社、http://my-beautiful-garden.com/

by Mtonosama | 2017-03-30 06:05 | 映画 | Comments(6)

ジャッキー
ファーストレディ 最後の使命
-2-
 
JACKIE


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(C)2016 Jackie Productions Limited

 
そうなんです。
ケネディ大統領はもはや伝説。
ジャクリーン夫人宛にお悔やみの手紙を書いたとのも
伝説の時代に属する150歳ですが。

お返事はありませんでした。そりゃあ、世界中からたっくさんお悔やみが来たのでしょうから当り前ですわね。
いくら子どもだったとはいえ、どうしてケネディにあれほど夢中になったのでしょう。
 

昔は、ジャクリーン夫人については
目と目の間が広い人だなあという印象でした。
今では、顎ががっしりした個性的な顔立ちの美人だなと思っていますが。
 
だから、ナタリー・ポートマン演じるジャッキーは
可愛すぎてまるでバービー人形みたいでした。
でも、この際、そうした物足りなさは脇に置いて、
ジャッキーの苦悩と決断を
大人の目で確認してみるのもいいかもしれません。

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ストーリー
1963年11月22日。テキサス州ダラスに着陸したエアフォース・ワンの中で
ジャッキーはスピーチの練習に余念がなかった。
夫ジョン・F・ケネディの政治活動の重要な鍵を握るジャッキーは
来年の大統領選挙に向けて、
彼への反感が強い南部での人気を得ようと必死だった。
大統領とその美しい妻を見ようと集まった観衆に
パレードのオープンカーからにこやかに手を振るジャッキー。

と、その時
銃声が!
彼女の膝の上に崩れ落ちるケネディ――
 
病院で夫の死を告げられたジャッキー。
だが、悲しんでいる時間はない。
夫の遺体と共にワシントンD.C.へ戻り、
機中ではジョンソン副大統領の大統領就任宣言に立ち合い、
到着後は司法解剖が待っている。
 
血糊のついた服を着替えるように勧められても
「反ケネディ派の人間に彼らがしたことを見せてやる」と
血まみれのピンクのスーツを脱ごうとしないジャッキー。
空港には大統領の弟のロバート・ケネディ司法官が出迎えていた。
 
ロバートと共に病院からホワイトハウスへ夫の遺体を運び、
一人になった彼女はようやく思いっきり泣いた――
 
翌日、彼女は葬儀の準備にとりかかる。
人気絶大だったとはいえ、就任わずか2年10か月での暗殺。
このままなら、ケネディはあっという間に忘れ去られてしまうだろう。

ジャッキーが考えたのは没後100年を経ても未だ偉大な大統領として
人々の記憶に残るリンカーン大統領。
馬車と騎馬に先導され、
参列者と共にセント・マシューズ大聖堂まで徒歩で進む。
リンカーン大統領のような葬列にするのだ―――
 
親族を集め、ケネディにふさわしい墓地を探し、
葬儀の招待客リストを作り、
さらにホワイトハウスを出た後の住居も探さなければいけない。

ホワイトハウスはただの公邸ではなかった。
倉庫にあった膨大な美術品や調度品などを選び出して飾り、
自ら調達した資金で新たな品も買い足して修復もしたのだ。
それはホワイトハウスを国民と分かち合い、
アメリカの偉大さを伝えるためだった。
ホワイトハウスをジャッキー自身が案内するTV番組は
大変な視聴率を記録したものだ。
 
そして、まだ幼い子どもたちに
パパの死を理解させるという母親としての大切な仕事もあった―――
 
世界中の要人が葬儀への出席を表明した。
だが、各国政府は自国元首たちに徒歩行進は控えるように通達。
ジョンソン新大統領の特別補佐官もロバート司法長官に
あの事件の直後にジャッキーと歩くのは危険過ぎると告げ、
ロバートも葬列に反対する。
孤立無援のジャッキー。

その頃、夫を狙撃したオズワルドも護送中に殺され、
さすがに恐怖を覚えるジャッキーだったが……
 
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私人か公人か、が話題になっていましたが、
ファーストレディはまさしく公人です。
公人であるがゆえに涙を拭い去り、
大統領の葬儀を後世に語り継がれるものとしてプロデュースしたんですね。
 
ジャッキーへの偏見はそろそろ捨ててもいいかもしれません。
 
ただ、バービー人形のナタリー・ポートマンに一言。
もう少し肩の力を抜いて演技してほしいんですけど。
いつまでも優等生然とした女優さんからは脱却してほしいものです。
 


 


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ジャッキー
監督/パブロ・ラライン、脚本/ノア・オッペンハイム、撮影/ステファーヌ・フォンテーヌ、衣装/マデリーヌ・フォンテーヌ、プロデューサー/ダーレン・アロノフスキー
出演
ナタリー・ポートマン/ジャクリーン・ケネディ、ピーター・サースガード/ロバート・F・ケネディ、グレタ・ガーウィグ/ナンシー・タッカーマン、ビリー・クラダップ/ジャーナリスト、ジョン・ハート/神父、リチャード・E・グラント/ウィリアム・ウォルトン、キャスパー・フィリップソン/ジョン・F・ケネディ
3月31日(金)TOHOシネマズシャンテ他にて全国ロードショー
2016年、英語、アメリカ・チリ・フランス、カラー・モノクロ、99分、日本語字幕/松浦美奈、配給/キノフィルムズ/木下グループ、http://jackie-movie.jp/

by Mtonosama | 2017-03-27 06:08 | 映画 | Comments(6)


ジャッキー

ファーストレディ 最後の使命

-1-


JACKIE


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(C)2016 Jackie Productions Limited


いまのアメリカ大統領を見れば、

まさにケネディ大統領は伝説、いえ、神話にも思えます。

その神話ともいえる彼のイメージを

彼の死後、半世紀以上にもわたって保ち続けるのに貢献しているのが

ジャッキー ーー ジャクリーン・ケネディ

であるというのが本作のコンセプトです。


19631122日。

世界中に衝撃が走りました。

若くてハンサムなケネディ大統領が銃弾に斃れた、というのです。


日本では

1123日早朝、放送史上画期的な実験が行われました。

太平洋を越えたテレビ初の日米宇宙中継。

午前528分、太平洋を越えてきた映像がモニターテレビに映し出されます。


この歴史的な電波に乗って送られてきたのが

ケネディ大統領暗殺の悲報でした。


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子どもだったとのもこのニュースを見ました。

目に飛び込んできたのはオープンカーに乗っていた大統領が倒れる様子。

霧のような血しぶきが画面を染めたように見えたのは

その後、繰り返しテレビや映画でその場面を観たせいかもしれません。

ジャクリーン夫人が”O,No!”と叫んだということも知りました。


ただ、とのの目に灼きついたのは

銃撃の後、車のトランクの方へ這って逃げていくジャクリーン夫人の姿。

まるで、ケネディを見捨てて逃げ出すような姿が

子ども心に許せないと思っていました。


当時の第一印象があまりに強いため、

「彼女がいたから、JFKは伝説になった――」

と言われても素直にうなずけないのが本心であります。


でも、幼いジョンJ.や、つい先日まで日本大使だったキャロラインが

父の棺を見送ったあの情景は今も心に残っていますし、

北爆を開始したのがケネディだったということを知っても

彼が素晴らしい大統領だったと思えるのは

やはり誰かの努力があったからだし、

その努力は一番身近なジャクリーン夫人が行った

と考えるのが妥当なのかもしれません。


子どもの頃のトラウマはとりあえず脇において

彼女の年表を見てみましょう。


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ジャクリーン・ケネディ

1929728日 NYに生まれる。父は裕福な上流階級の株式仲買人

1940年 両親が離婚

1942年 母が資産家と再婚

1947年 ヴァッサー女子大に入学

社交界デビューした女性のトップ

「デビュタント・オブ・ザ・イヤー」を受賞

1949年 フランス留学。帰国してワシントン大学に編入

1951年 知人のパーティでジョン・F・ケネディに出会う

1952年 「ワシントン・タイムズ・ヘラルド」に入社。

金融会社に勤める男性と婚約するが、

ケネディと再会し交際するようになり婚約解消

同年11月 ケネディがマサチューセッツ州から上院議員に選出される

1953年 ケネディと結婚

1956年 最初の子供を死産

1957年 長女キャロライン誕生

1960年 ケネディ、大統領選への出馬表明

1961年 長男ジョンJ.誕生。

ケネディが大統領に就任し、31歳でファーストレディに

1962年 ホワイトハウスを案内するTV番組に出演

同年10月 キューバ危機

1963年 次男パトリックが生後3日で亡くなる

同年1122日 ケネディ大統領暗殺。34歳で未亡人になる

1964年 NY

1968年 ロバート・ケネディ暗殺

ギリシャの海運王オナシスと再婚

1975年 オナシス死去。出版社に入社し、編集者として働く

1988年 マイケル・ジャクソンの自伝を出版

1994519日 死去。享年64歳。

アーリントン墓地のケネディの隣に埋葬される


あの、私事で恐縮ですが、

ジャクリーン夫人はとのの母と生まれた年も亡くなった年も同じなんです。

自分は恐らくどこかで彼女に母を投影している部分があって

オープンカーから逃げ出そうとしたり、

大金持ちのオナシスと結婚した彼女が嫌だったのだと思います。

母にはそんなふうであってほしくないですから。


彼女自身、自ら演出したケネディ大統領の伝説化に

束縛された人生だったのかもしれませんね。


それはさておき、

いったいどんな映画なのでしょうね。

次回まで乞うご期待でございますよ。



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ジャッキー

監督/パブロ・ラライン、脚本/ノア・オッペンハイム、撮影/ステファーヌ・フォンテーヌ、衣装/マデリーヌ・フォンテーヌ、プロデューサー/ダーレン・アロノフスキー

出演

ナタリー・ポートマン/ジャクリーン・ケネディ、ピーター・サースガード/ロバート・F・ケネディ、グレタ・ガーウィグ/ナンシー・タッカーマン、ビリー・クラダップ/ジャーナリスト、ジョン・ハート/神父、リチャード・E・グラント/ウィリアム・ウォルトン、キャスパー・フィリップソン/ジョン・F・ケネディ

331日(金)TOHOシネマズシャンテ他にて全国ロードショー

2016年、英語、アメリカ・チリ・フランス、カラー・モノクロ、99分、日本語字幕/松浦美奈、配給/キノフィルムズ/木下グループ、http://jackie-movie.jp/


by Mtonosama | 2017-03-24 06:59 | 映画 | Comments(2)

未来よ こんにちは
-2-

L’avenir

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(C)2016 CG Cinema・Arte France Cinema・DetailFilm・Rhone-Alpes Cinema

受験に失敗してしまった人、
デートをすっぽかされてしまった人、
交通事故に遭ってしまった人、
担当を外されてしまった人――
もうこの世の終わりと思える程つらいとお思いでしょうね。

でも、どんなに泣いても喚いても死んだ方がましだと思っても
朝は訪れます。

例えば、本作の主人公ナタリーのように
夫に浮気され、離婚し、母を亡くし、
よりどころとしていた専門分野でも流行遅れと言われ、
どこかで春めいた気持ちを抱いていた教え子も去っていき、
いきなり迎えることになった一人暮らし。

結構きつい日々です。
さあ、彼女はいったいどんな風に生きるのでしょうか。

ストーリー
パリの高校で哲学を教えるナタリー。
同じく哲学教師の夫ハインツと2人の子どもとの4人家族である。
数年前のバカンスには家族とブルターニュを訪れた。
退屈した子どもたちには構わず、
文学者シャトーブリアンの墓前でゆったりと対話を続ける仲の良い夫婦だ。

今や子どもたちも成長し、家を離れ、
ナタリーはパリ市内に一人暮らしをする母の介護に追われる。
深夜にも授業中にも構わず電話をかけてくる母。

その頃、ナタリーの勤務する高校はストで揺れていた。
かつて五月革命では学生運動に参加した彼女も今は政治とは関わらず、
スト中の学生からなじられようとも授業を続ける。
その日の授業はルソー。
自分で考えることのできる生徒を育てることが彼女の目標だった。

そんな生徒がかつての教え子ファビアン。
彼女の授業で哲学に目覚め、教師になった青年だ。
彼女の監修で哲学書も出している。

一方、母は認知症の症状が進行していた。
1週間に3度も救急隊を呼び出しているという。
これ以上、母を1人にしておくことはできなかった。

更に思いもよらなかった事態が。
結婚25年目を迎えた夫ハインツが好きな人ができたから、と
家を出ていってしまったのだ。

やがて母はあれほど嫌がっていた老人ホームに自ら入居。
そんな母を悲しみ、近づく死の気配をそっと受け入れるのだった。
施設に入居した母の家の整理をし、
母が愛した黒猫を猫アレルギーのナタリーが飼うという
皮肉な事態も待ち受けていた……

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次から次へと巻き起こる出来事に追いまくられて
ナタリーはいつもせかせかと歩いています。

そんな彼女に慣れていた目には
教え子ファビアンとその仲間たちが暮らすコミューンがあるアルプスで
山々をみつめるナタリーの姿に違和感を覚えてしまう程でした。

考える時間がない程、予期せぬ事態に追われていれば
せかせかと動き回り、生き急ぐことが事態を乗り切る手立てなのかもしれません。

え、これって老いに向かう自分自身の姿かしらん。

数か月後、娘が子どもを産みます。
去っていった家族もいれば新しく加わった家族もあり、
穏やかな笑みを浮かべるナタリーの背後に流れるアンチェインドメモリーの調べ。
ああ、なんか大きなDNAの螺旋がゆっくりゆっくり回転しているような
不思議な感覚に包まれました。

みんないろんな問題を抱えながら生きているんですよね。

あ、あと黒猫のパンドラがおりこうさんでした。
アルプスに向かう列車に乗っていてもケージの中で大人しくしているんです。
華奢な体のイザベル・ユペールがこの大柄なパンドラを重そうに抱えているのが
羨ましかったです。





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未来よ こんにちは
監督・脚本/ミア・ハンセン=ラブ、撮影/ドニ・ルノワール、
製作/シャルル・ジリベール
出演
イザベル・ユペール、アンドレ・マルコン、ロマン・コリンカ、エディット・スコブ
3月25日(土)Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ・有楽町ほか全国順次ロードショー
2016年、フランス・ドイツ、102分、カラー、日本語字幕/寺尾次郎、配給/クレストインターナショナル、http://crest-inter.co.jp/mirai/

by Mtonosama | 2017-03-21 05:37 | 映画 | Comments(6)

未来よ こんにちは
-1-

L’avenir

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(C)2016 CG Cinema・Arte France Cinema・DetailFilm・Rhone-Alpes Cinema


「人生は欲望があれば幸福でなくても
期待で生きられます。
幸福を手に入れる前こそ幸福なのです」

とまあ、これは映画の中で主人公の哲学教師が
生徒たちに読み聞かせる言葉ですが、
ジャン=ジャック・ルソーの小説「ジュリーあるいは新エロイーズ」の
一説だそうです。

わかったような、わからないような――
でも、確かに幸福になりたいなあ、と思っている時が
一番幸せな時なのかもしれません。
幸せを手にしてしまったら、
今度はそれを失うことが怖くて不安になってしまいますものね。

いえ、今回上映する『未来よ こんにちは』は
哲学のお話でも、幸福論のお話でもなく、
人生には何が起こるかわからないよ、というお話。
って、
それじゃあ身も蓋もないか・・・

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主人公は50代後半でパリの高校で哲学を教えているナタリー。
教科書や哲学書も執筆しており、
夫も哲学の教師で、独立した二人の子どもがいます。
高齢の母の世話をしながらも充実した日々を送っていた彼女ですが――

そんな彼女がバカンスを前に突然
「好きな女性ができたから」と夫から離婚を告げられました。
母は亡くなり、
彼女の著作も時代遅れとなり、
出版社から次回の出版は無いと言われ、
目をかけていた教え子にも去られました。

はっと気づけばもう若くはないし――
それって、悲しいし、辛いし、惨めだし、
彼女もうろたえ、怒り、泣きました。

でも、これ、言ってみれば、誰にでも訪れる人生の日陰の部分。
人生の日向から日陰に足を踏み入れても
とにかく前へ向かって歩き続けるナタリーを演じたのはイザベル・ユペールです。

監督・脚本はミア・ハンセン=ラブ。
本作でベルリン国際映画祭銀熊 (監督) 賞を受賞しました。

ミア・ハンセン=ラブ監督
1981年ドイツ観念論の哲学者を父に、ルソー派の哲学者を母に持ち、パリに生まれる。
科学的認識に基づいた真理を尊重する教育を受け、
それは映画作家となった今も重要視しているものだという。
17歳の時、リセの演劇教師から映画オーディションがあることを知らされ、
受けにいったのがオリヴィエ・アサイヤス監督の『8月の終わり、9月の初め』(’98)。
アサイヤス監督こそ後に彼女のパートナーとなる人物だった。
2000年アサイヤス監督作品『感傷的な運命』に出演し、
本格的に演技を学ぼうとフランス国立高等演劇学校に進学。
だが、映画を作る側を選び、3年後には同校を止め、
映画批評を執筆しつつ、短編映画を発表。
2007年には『すべてが許される』で長編デビュー。
2009年第2作『あの夏の子供たち』は
http://mtonosama.exblog.jp/13454680/ http://mtonosama.exblog.jp/13485853/
カンヌ国際映画祭のある視点部門に出品され、審査員特別賞を受賞。
2011年第3作『グッバイ・ファーストラブ』はロカルノ国際映画祭で特別賞を受賞。
フランス映画界における新たな才能としてあらためて評価された。
2014年第4作『EDEN/エデン』では実兄でありDJのスヴェンと共に
1990年代のフランスのクラブ・シーンを描いた。
本作ではベルリン国際映画祭銀熊(監督)賞を受賞し、フランスを代表する監督になった。

そっか。両親が哲学の先生だったんですね。
本作の主人公夫婦が哲学教師という設定が腑に落ちました。
『あの夏の子供たち』は映画プロデューサーが主人公の映画でしたし、
自分の体験をどこかに織り込む監督なのでしょう。

それにしても35歳にしてフランスを代表する監督ですからね。
すごいなあ。

続きは次回まで乞うご期待です。



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未来よ こんにちは
監督・脚本/ミア・ハンセン=ラブ、撮影/ドニ・ルノワール、製作/シャルル・ジリベール
出演
イザベル・ユペール、アンドレ・マルコン、ロマン・コリンカ、エディット・スコブ
3月25日(土)Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ・有楽町ほか全国順次ロードショー
2016年、フランス・ドイツ、102分、カラー、日本語字幕/寺尾次郎、配給/クレストインターナショナル、http://crest-inter.co.jp/mirai/

by Mtonosama | 2017-03-18 07:23 | 映画 | Comments(4)

わたしは、ダニエル・ブレイク
-2-

I,Daniel Blake


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(C)Sixteen Tyne Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve,British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2016


59年間、真面目に生きてきたダニエル・ブレイク。
大工の仕事に誇りを持ち、仲間たちからの信頼もあつく、
病気の妻を介護の末に亡くしてからも規則正しく暮らしてきました。
アパートの隣室のちゃらんぽらんなアフリカ移民のおにいちゃんに
ごみの出し方を教え、留守がちの彼のために荷物の受取人になったりしながら、
日々を送っています。

そんな彼が心臓発作を起こし、医者から仕事を止められました。

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ストーリー
ドクターストップをかけられたダニエルは国から雇用支援手当を受けることに。
今日はその継続審査の日。
事務的に職員が訊ねるのは
「腕が上がりますか?」「指は曲がりますか?」
といった心臓病とは関係ないことばかり。
思わず「カルテを読めよな」と答えるダニエル。
数日後「就労可能、雇用支援手当は中止」という通知書が届く。
憤慨したダニエルは窓口に電話をするが、延々と待たされ、
返ってきた言葉は「認定人からの電話を待て」の一言のみ。

結局、病身でも就労活動をせざるを得ず、職業安定所を訪れたダニエル。
求職者手当の申請をするように指示されるが、申し込みはオンラインのみ。
だが、彼はPCなど触れたこともない。
途方に暮れていると、若い女性の叫び声が――

その女性は約束の時間に遅れたために
給付金を受け取れず、さらに違反審査にかけると言い渡されたケイティ。

彼女が遅刻したのは引っ越してきたばかりで道に迷ったため。
ところが担当者は一切聞き入れようとしない。
幼い子供を2人連れた彼女に同情し、ダニエルも加勢するが、
一緒に追い出されてしまう。

買い物に付き合い、荷物も持ってくれたダニエルに身の上話をするケイティ。
ロンドンに住んでいた時、大家に雨漏りがすると言ったら、
追い出され、ホームレスの施設で2年間過ごすことになった。
母子3人での1部屋暮らしも限界となり、役所から紹介されたのが
ここニューキャッスルの古い住まい。
ケイティは通信制大学への復学を希望しているが、
電気代さえ払えない日々だ。

大工のダニエルは家を修理し、トイレを直し、何かとケイティを助け、
子どもたちもすっかり彼に懐くようになった。
一方、仕事もなくいよいよ困ったケイティは
食料と日用品が支給されるフードバンクへ行く。
ダニエルに付き添われ、長い行列に並ぶ彼女。
だが、自分の順番が回ってきた時、
あまりの空腹に我を失い、
手にした缶詰をその場で貪るように食べてしまった――
惨めさに泣き出すケイティ。

ダニエルの雇用支援手当支給の再審査の結果が出た。
またもや判定は就労可能。
心臓病で働くことはできないのにも関わらず、
現在のダニエルの唯一の収入源となる求職手当を受け取るには
求職活動を続けるしかない。
この矛盾、欺瞞……

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その後、スーパーで生理用品を万引きし、警備員にみつかってしまうケイティでしたが、
同情した警備員からいかがわしい場所を紹介されたり、
事態は悪い方へ悪い方へと向かうかに見えます。

心臓に爆弾を抱え、役所の理不尽な扱い故に、窮地に追い込まれているダニエル。
しかし、ケイティ同様困り果てている筈のダニエルが
ケイティ母子に向ける暖かい視線と友情。

まさに英国人魂!と精神論に帰するのはシンプル過ぎるかもしれません。
でも、魂はダニエルの中に居場所を見つけたのでしょう。
もうラストの展開は涙なくして観ることはできません。

ケン・ローチ監督、まさに名匠であり、映画の職人です。
しみじみと涙し、ほんの少し笑い、そして、大きな感動をくれた作品でした。

ああ、ケン・ローチ監督、いつまでも映画を撮り続けてほしい。







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わたしは、ダニエル・ブレイク
監督/ケン・ローチ、脚本/ポール・ラヴァティ、撮影/ロビー・ライアン
出演
デイヴ・ジョーンズ/ダニエル・ブレイク、ヘイリー・スクワイアーズ/ケイティ、ディラン・フィリップ・マキアナン/ディラン、ブリアナ・シャン/デイジー、ケイト・ラッター/アン、シャロン・パーシー/シェイラ、
ケマ・シカズウェ/チャイナ
3月18日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
2016年、イギリス、フランス、ベルギー、英語、100分、日本語字幕/石田泰子、
提供/バップ、ロングライド、配給/ロングライド、http://danielblake.jp/

by Mtonosama | 2017-03-15 05:19 | 映画 | Comments(4)

わたしは、ダニエル・ブレイク
-1-

I,Daniel Blake

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(C)Sixteen Tyne Limited, Why Not Productions, Wild Bunch, Les Films du Fleuve,British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2016


もう隠居生活に入る筈だった名匠ケン・ローチが
怒りのあまり再び映画を制作しました。

怒りは創作のエネルギーだっ!

というわけで、
当試写室では『わたしは、ダニエル・ブレイク』を上映します。

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前作『ジミー、野を駆ける伝説』('14)で
http://mtonosama.exblog.jp/23414571/ http://mtonosama.exblog.jp/23425830/
映画監督を辞めるつもりでいたケン・ローチ監督でしたが、
どうしても撮らなくてはいけない作品があると
引退宣言を取り下げました。
それが本作『わたしは、ダニエル・ブレイク』です。

そして、
それが2016年カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞。

いえ、賞を取ったか取らないかは関係ありません。
本作に漲る彼の枯れることのない反骨精神に
心の底から拍手大喝采です。

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ケン・ローチ監督
1936年6月17日、イングランド中部・ウォリックシャー州生まれ。
父は電気工、母は仕立屋。高校卒業後、2年間の兵役につき、
オックスフォード大学に進学し、法律を学ぶ。
卒業後、劇団の演出補佐を経て、
1963年、BBCテレビの演出訓練生になり、
1966年、「キャシー・カム・ホーム」で初めてTVドラマを監督。
1967年、『夜空に星のあるように』で長編監督映画デビュー。
1969年、2作目『ケス』でカルロヴィヴァリ映画祭グランプリ受賞。
その後、ほとんどの作品が世界三大映画祭などで高い評価を受けている。
カンヌ国際映画祭では『ブラック・ジャック』(’79)、『リフ・ラフ』(’91)、
『大地と自由』(’95)が国際批評家連盟賞を、
『ブラック・アジェンダ/隠された真相』(‘90)、『レイニング・ストーンズ』(’93)、
『天使の分け前』(’12)が審査員賞を受賞。
http://mtonosama.exblog.jp/19187590/ http://mtonosama.exblog.jp/19205432/
労働者や社会的弱者に寄り添った人間ドラマを描いた作品で知られる。
『ジミー、野を駆ける伝説』('14)を最後に引退すると宣言していたが、
現在のイギリスや世界中で拡大し続ける格差や貧困の現実を目の当たりにし、
どうしても伝えたい物語として本作を制作。
『麦の穂を揺らす風』(’06)に続く2度目のパルムドールを受賞。
同賞の2度受賞はミヒャエル・ハネケらと並ぶ最多受賞記録。
2017年、長編監督映画デビュー50周年を迎えた。

「生きるためにもがき苦しむ人々の普遍的な話を作りたいと思った」という監督。
死に物狂いで助けを求めている人に対して、
国はわざわざ煩雑な手続きを用意して、事態を非能率的にしています。
そうやって「働かないとこうなるぞ。仕事をみつけないなら苦しめ」
と言わんばかりのことをしているのをその目で見た怒りが
本作を作る原動力になったといいます。

主人公ダニエル・ブレイクとシングルマザーのケイティが出会った職業安定所。
ここはもうダニエルやケイティのような人に
仕事を紹介し、力を貸す場所ではありません。
それどころか、彼らの行く手を阻む関門でした。

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職業安定所やフードバンクにやって来るダニエルやケイティ。

本作の主人公は
今ぎりぎりのところで生きている多くのダニエルであり、ケイティなんです。

さあ、監督の怒りがいかなる名作を生み出しているのでしょう。
続きは映画館でお楽しみください。

あ、その前に後編もご覧くださいね。



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わたしは、ダニエル・ブレイク
監督/ケン・ローチ、脚本/ポール・ラヴァティ、撮影/ロビー・ライアン
出演
デイヴ・ジョーンズ/ダニエル・ブレイク、ヘイリー・スクワイアーズ/ケイティ、ディラン・フィリップ・マキアナン/ディラン、ブリアナ・シャン/デイジー、ケイト・ラッター/アン、シャロン・パーシー/シェイラ、
ケマ・シカズウェ/チャイナ
3月18日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
2016年、イギリス、フランス、ベルギー、英語、100分、日本語字幕/石田泰子、提供/バップ、ロングライド、配給/ロングライド、http://danielblake.jp/

by Mtonosama | 2017-03-12 05:07 | 映画 | Comments(10)

三毛猫ひかちゃん

 -51-



あたし、ひかちゃん。

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もう3月ね。
弥生よ、弥生。


眠いったらないわ。

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桜だって満開よ。

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なんで桜かっていうとね、2月のある日、
飼い主は新松田というところにあるアサヒビール工場へ見学に出かけたの。
行ってから気づいたんだけど、新松田は河津さくらの名所もあるんだって。

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これよ、これ!
河津さくらはおまけで本当はこれが目的だったらしいわ。
工場見学では試飲がお約束なんだって。
350mlのグラスで3杯まで飲めるのよ。

え、なんで2杯しかないのかって?
あのね、時間制限があるの。
20分で飲まなきゃいけないのよ。

いくら飼い主やその友人が大酒呑みだって
20分で1リットルは無理だったようよ。

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でもね、お勉強してきたんだって。
皆さんも覚えてね。
王冠のギザギザの数は21なの。
ま、それを知ったからってなんの得もないけど。

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あら、誰もいないじゃない!


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あたし、お腹が空いてるんだからねっ。
セッセセッセセッセセッセ。
いつもならティッシュを引っ張り出すとご飯をくれるの。

あら?来ないわ。

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もうっ!
木登りしちゃうわよ。


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あ~あ
また眠くなっちゃったわ。

皆さまも春だからってあちこち動き回らないで
ゆっくり寝て過ごしてね。

ひかり


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by Mtonosama | 2017-03-09 06:44 | 映画 | Comments(14)

ラビング
愛という名前のふたり
-2-

Loving


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(C)2016 Big Beach, LLC. All Rights Reserved.


愛という言葉からはすっかり縁遠くなった150歳ではありますが、
幼馴染でもあったラビング夫妻が
生まれ育ったその地で家庭を持つという
極めて当たり前のことすら許されず、逮捕される不安の中、
子を守り、互いに、いたわりあって生きた人生。
その素朴で情愛に満ちた日々には素直に感動するのであります。

ストーリー
「妊娠したの」
そう告げた恋人ミルドレッドのために
リチャードは緑豊かな土地を買い、プロポーズする。
仕事熱心なレンガ職人の彼はその地に彼女と生まれてくる子のために
自ら家を建てるつもりだった。

しかし、彼らが暮らすバージニア州キャロライン郡では
白人のリチャードと黒人のミルドレッドが結婚することは禁じられていたのだ。
ふたりはワシントンD.C.に向かい、ミルドレッドの父の立ち合いのもと結婚。

彼女の実家で新婚生活を始めたふたりだったが、
ある晩、寝室に踏み込んできた保安官によって逮捕され、
1年間の服役という判決を受ける。
弁護士と判事との司法取引により執行猶予になるが、
今後25年間にわたり、ふたり一緒にバージニアに戻ることはできなくなった。

ふたりはワシントンD.C.に住む彼女の親戚の家に身を寄せるが、
慣れない都会暮らしの中みるみる元気をなくすミルドレッド。
彼女の望みはベテランの助産師であるリチャードの母に
生まれてくる子をとりあげてもらうことだった。
こっそりと戻ったリチャードの実家で無事出産するミルドレッド。
だが、ふたりは再び逮捕されてしまう。
駆けつけた弁護士の機転によって事なきを得たが、
「次は刑務所だ」と言い渡されるふたり。

それから5年、リチャードはレンガ職人の日々を送り、
ミルドレッドは3人の子どもの世話に明け暮れていた。

その頃、世は黒人の自由と平等を求める公民権運動に沸いていた。
ニュースを見ていたミルドレッドは
運動を支援するロバート・F・ケネディ司法長官に手紙を書き、
その数日後、バーナード・コーエンと名乗る弁護士からの電話を受ける……

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自由公民権運動の高まりにも押されるが、
夫婦の日々は淡々と気負いもなく続きます。
妻と子どもたちのために黙々と働く職人のリチャード。
夫を愛し、子どもの世話をする普通の妻であり、母であるミルドレッド。
その彼女がロバート・F・ケネディ司法長官に手紙を書くのです。
実直ではあるけれど平凡な夫婦が歴史を変えていく姿。
そこには法廷闘争も激しい政治運動もないけれど、
静かに淡々と、けれども着実なものとして、描かれています。

無口で不器用だけれど家族のためにひたすら真面目に生きるリチャードを
演じたジョエル・エドガートン。
まるでリチャード本人としか思えないような姿がいとしくて、いとしくて・・・
切なくなってしまいました。

自由と民主主義の国アメリカのイメージはこうした名もない人々の努力によって
まるでレンガを積むようにひとつひとつ大切に作られてきたものなんですね。






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ラビング
監督・脚本/ジェフ・ニコルズ、プロデューサー/ゲド・ドハティ、コリン・ファース、サラ・グリーン、ナンシー・バースキー、マーク・タートルトーブ、ピーター・サラフ、撮影/アダム・ストーン
出演
ジョエル・エドガートン/リチャード、ルース・ネッガ/ミルドレッド、マートン・ソーカス/ブルックス保安官、ニック・クロール/バーナード・コーエン、テリー・アブニー/ガーネット、アラーノ・ミラー/レイモンド、ジョン・ベース/フィリップ・ハーシュコプ、マイケル・シャノン/グレイ・ビレット
3月3日(金)TOHOシネマズシャンテほか全国順次ロードショー
2016年、イギリス・アメリカ映画、123分、カラー、字幕翻訳/牧野琴子、配給/ギャガ
http://gaga.ne.jp/loving/


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by Mtonosama | 2017-03-06 05:29 | 映画 | Comments(8)

ラビング

愛という名前のふたり

-1-

Loving


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  (C)2016 Big Beach, LLC. AllRights Reserved.


なんともはや最近では
驚かせてくれてばっかりのアメリカです。

この実話も結構びっくりさせられました。

つい最近までは
あの国も人権を侵害する国だったのですね。


だからこそ、様々な闘いがあり、
努力もされてきたのに、

トランプ大統領は
それらをひっくり返そうとでもしているかのようです。

とまあ、大統領の話はこの際、脇においておきます。


本作の舞台はアメリカ・バージニア州。

時代はそう60年前。
それほど大昔という頃ではありません。

1950年代のことです。


アメリカのいくつかの州では
異人種間の結婚が禁じられていました。

“愛する”という名字を持つ
リチャードとミルドレッド・ラビング夫妻が

ある夜、突然逮捕されました。


なぜか。


リチャードは白人で
ミルドレッドは黒人だったからです。


それだけで逮捕って・・・

かなり理不尽な話です。


でも、この実話がすごいのは

お金も教育もない労働者階級の二人が

その理不尽な法律を変えたということ。


ラビング夫妻にスポットライトが
あてられるきっかけとなったのは

2008年ミルドレッド・ラビングの死亡記事を見た

ドキュメンタリー映画監督のナンシー・バースキーが

彼らのドキュメンタリー映画『The Loving Story
を作ったことです。


その後、彼女は本作のドラマ映画化に向けて

プロデューサーとして動き始め、

その企画をコリン・ファースに持ちかけました。


そうです。
『英国王のスピーチ』のあのコリン・ファースです。


「社会的、人道的にも意義のある話だけど、

これは本当に素晴らしいふたりの人間の
ラブ・ストーリーだと思ったんだ」

とコリン・ファース。


そんな訳で映画に法廷シーンなどは登場せず、

ただ子どもたちを愛し、
親しい人々の暮らすバージニアの地で

家族と一緒にいたいという当たり前の気持ちを
大切にした夫婦を

静かな情愛をこめて描き出した作品です。


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       だから、少しだけふたりのことを
           紹介しますね


19331029日 

バージニア州セントラル・ポイントで

リチャード・ペリー・ラビング誕生

1939722

バージニア州セントラル・ポイントで

ミルドレッド・ドローレス・ジーター誕生

195862

リチャードとミルドレッド、ワシントンD.C.で結婚。

その後、セントラル・ポイントのミルドレッドの実家に移り住む。

同年712

夫妻逮捕。

リチャードは一晩留置され
1000ドルの保釈金を払い釈放。

ミルドレッドは5日間留置され、
保釈金
1000ドルで釈放される。

同年10

ラビング夫妻はバージニア州の異人種間結婚を禁じた
法令に
違反したとして起訴される。

19591

1年間の服役という判決

「直ちにキャロライン郡とバージニア州を立ち去り、

25年間、同郡・同州に一緒に又は同時に戻らない」
という条項に

同意することで執行猶予となる。

1963

ミルドレッドはロバート・F・ケネディ司法長官に
手紙を書き、

司法長官はアメリカ自由人権協会(ACLU)に委ねる。

6月にはACLUのバーナード・コーエン弁護士が
事件を担当。

その後、公民権を専門に扱うフィリップ・ハーシュコプ弁護士も加わり、

無償で夫妻の弁護にあたる。

11月コーエン弁護士は夫妻の有罪判決を無効にし、

判決を破棄するよう判事に申し立てを提出。

1964

夫妻は3人の子どもたちとバージニア州に戻り、
ひそかに暮らす。

1965122

判事はコーエン弁護士の申し立てを退ける。

196637

バージニア州最高裁は夫妻の申し立てを是認。

25年間、州を立ち去る条項は無効であるとして
判決の変更を求め、

事件を州巡回裁判所に差し戻す。

ラビング夫妻対バージニア州裁判が米国連邦最高裁判所に上訴される。

1967612

最高裁判所はすべての異人種間結婚禁止法を
違憲であるとする
全員一致の判決を下す。

現在612日は“Loving Day”として記念日になっている。


裁判の日々を書き写すだけで疲れてしまったので、

続きは次回に。

乞うご期待でございます。


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☆2017年3月3日に更新しました。

いつも応援して下さって本当にありがとうございます☆


ラビング

監督・脚本/ジェフ・ニコルズ、プロデューサー/ゲド・ドハティ、コリン・ファース、サラ・グリーン、ナンシー・バースキー、マーク・タートルトーブ、ピーター・サラフ、撮影/アダム・ストーン

出演

ジョエル・エドガートン/リチャード、ルース・ネッガ/ミルドレッド、マートン・ソーカス/ブルックス保安官、ニック・クロール/バーナード・コーエン、テリー・アブニー/ガーネット、アラーノ・ミラー/レイモンド、ジョン・ベース/フィリップ・ハーシュコプ、マイケル・シャノン/グレイ・ビレット

33日(金)TOHOシネマズシャンテほか全国順次ロードショー

2016年、イギリス・アメリカ映画、123分、カラー、字幕翻訳/牧野琴子、配給/ギャガ







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by Mtonosama | 2017-03-03 07:05 | 映画 | Comments(6)