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殿様の試写室

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殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

<   2017年 07月 ( 10 )   > この月の画像一覧


三毛猫ひかちゃん
-57-


あたし、ひかちゃん。

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暑いわねぇ。
あんまり暑いからまたまた逃亡。
お隣の軒の上で涼ませていただいたわ。

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でもね、お外からダニを拾ってきたっていう
あらぬ疑いをかけられて、ダニ退治のお薬をつけられた上、
お風呂へ連れ込まれちゃったの。
ひどいでしょ?

足の甲やすねをダニらしき虫に刺された飼い主。
痒くて掻き壊しちゃった自分が悪い癖に
あたしのせいだって決めつけて
バケツの中にぶちこんだのよ。

シャーーッ!
ウナァ~~~~ッ!

あたしだって、
知る限りの猫語を使って抵抗したんだから。

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ひどいでしょ?
にくったらしいたらありゃしない。

でもね、飼い主の虫刺され痕は
相当なものであることは確かね。

実は今回も撮影したんだけど、
あまりの汚らしさに掲載は中止したのよ。

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ふーーーっ
ひどい目にあったわ。

でも、あたし、思うんだけど、
飼い主もさっさと皮膚科へ行けばいいのよ。

今日はあたしの愚痴になっちゃったわね。
お詫びに涼し気な写真でお別れするわ。

皆さんもこの暑さと虫刺されにはくれぐれも気をつけてね。

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じゃあね!

ひかり


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ダニ被害者の飼い主
by Mtonosama | 2017-07-31 06:18 | 映画 | Comments(8)

ローザは密告された
-2-

MA’ROSA

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©Sari-Sari Store 2016


フィリピンって東南アジアですが、
なんかタイやベトナム、カンボジアとは
雰囲気が違いますよね。
島だからでしょうか。

今後メンドーサ監督の活躍を通じて
フィリピンともお馴染みになっていけるかもしれません。

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ストーリー
夕方、ローサはスーパーマーケットへ買い出しに。
晩御飯の買い物にしては大量だ。
次男のカーウィンが一緒に来ているところを見ると
彼女が営むサリサリストアの買い出しのようだ。

雷鳴が轟くスコールの中、
二人が乗り込んだタクシーが停まったのはスラム街の一角。
大きな袋をいくつも抱えた二人を長男のジャクソンが手伝う。
店に入ると夫のネストールは店番もせず、
2階の小部屋でヤクをやっている。

売人が来てローサに麻薬を手渡す。

ローサとネストールは慣れた手つきで
麻薬を砕き、小さな袋に詰めていく。
この小袋が一家の生活を支えているのだ。

客が来る。
携帯電話画面の暗号を確認し、
タバコの箱に麻薬の小袋を押し込み、手渡す。

7時前、長女のラケルが学校から帰宅。
夕飯を買いに出かけるローサ。

雨の中、車から一団の男たちが降り、
ローサの店へ。
警察だ。
覚醒剤と顧客リストが押収され、
ラケルのスマホまで持ち去る警察。

連行されたローサとネストール。
「ブツと顧客リストがある。保釈はできないが、
20万ペソ(約45万円)で手を打ってやるぞ」
払えないなら刑務所行き、それが嫌なら売人を教えろという。

売人のジョマールを呼び出すローサ。

ローサは警官と共に
ジョマールを待ち受ける。

逮捕されたジョマールのバッグからは大量の麻薬と金が。
警官たちは押収した金を嬉しそうに山分けする。

「麻薬の取引は終身刑だ。20万ペソを払えば助けてやる」
ジョマールにも告げる……

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金、暴力。
警察全体が悪の巣窟です。

人で溢れるスラム街での逃亡と追跡。
絶望して足取り重く進むローサや子どもたちを
舐めるように追うカメラ。
揺れる画面。
緊迫感漂うドキュメンタリータッチの映像です。

ともすれば警察の悪事だけがクローズアップされがちですが、
警察官もまた月収2~3万円で暮らす低所得者です。
そして、ローサの存在は
日本でいえば、商店街の昔ながらの雑貨屋さんのおばちゃんが
麻薬を販売しているようなもの。

問題は
麻薬に関わらなければ生きていけないという貧困なんですよね。
これって社会構造を変えないことにはいたちごっこでしょう。

ドゥテルテ大統領がいくら張り切っても
今日もまたスラムの片隅でローサたちはヤクを売り、
ジャンキーたちはなけなしの金を握りしめて
サリサリストアにやってくるのでしょう。

やっぱり感情移入しづらい映画です。
でも、大きな課題をつきつけてくる作品でした。






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ローザは密告された
監督/ブリランテ・メンドーサ、製作/ロレート・ラリー・カスティーリョ
製作総指揮/ブリランテ・メンドーサ、脚本/トロイ・エスピリトゥ、撮影/オディッシー・フローレス
出演
ジャクリン・ホセ/ローザ、 フリオ・ディアス/ネストール、 フェリックス・ローコー/ジャクソン、アンディ・アイゲンマン/ラケル、 ジョマリ・アンヘレス/カーウィン
7月29日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
2016年、フィリピン、110分、配給/ビターズ・エンド、日本語字幕/大西公子、字幕監修/澤田公信

by Mtonosama | 2017-07-28 06:11 | 映画 | Comments(2)

ローザは密告された
-1-

MA’ROSA

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©Sari-Sari Store 2016


その国のことを知らないと
自分はどういうスタンスに立つべきか、
主人公に感情移入できるのか、
いったい誰が悪者なのかすらわからなくなり、
とまどってしまいます。

本作はフィリピン、
「ローザ」というサリサリストアが舞台です。
フィリピン?
知ってるつもりでも、
案外わかっていません。

サリサリストア?
なんか乾燥した肌みたいな名前です。

サリサリというのはタガログ語で
「なんでも」という意味だそうです。
サリサリストアは
いってみればフィリピン版コンビニでしょうか。

フィリピンの女性は働き者だけど、
男性は怠け者という風評を聞いたことがあります。
フィリピンからやってきたメイドさんは
家事が上手で、英語も話せるから、
子どもの英会話能力が高まるというのも
聞いたことがあります。

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一方
貧困、スラム、麻薬という
イメージもこの国からは切っても切り離せません。

そうそう、暴言大統領というあだ名を持つ
こわもてのドゥテルテ大統領も忘れてはいけません。

フィリピンってどんな国でしょう。

以前、マニラとセブ島へ行ったことがあります。
そう、100年位前でしょうか。
やはり麻薬の国という印象は既に刷り込まれていましたわ。

で、
本作は麻薬の映画なのです。

マニラのスラム街で夫ネスト―ルと
サリサリストアを経営するローザ。
スーパーなどで仕入れた商品を売ります。
仕入れ価格は高くても
タバコなど1本からバラ売りするので商売になります。
まとまったものを買うだけのお金のない人たちが
バラで買っていきます。
割高ですけど、
貧しいからそういう買い方しかできないんですね。

ローザには4人の子どもがいます。
この一家も貧しいので、
米や洗剤販売という本業の他、
少量の麻薬を扱っています。
もちろん良いことではありません。
でも、
麻薬がどれだけ人々の間に浸透しているかの
証明みたいなものです。

ドゥテルテ大統領は
一貫して麻薬、薬物犯罪への取り組みを宣言しているのは
知っています。

ロドリゴ・ドゥテルテ
フィリピン共和国第16代大統領。
1945年南レイテ州マアシン生まれ。
1949年、家族でダバオに移住。その後、父がダバオ州知事に。
1972年、司法試験に合格。
特別弁護士を務めた後、ダバオ市検察庁の検察官に。
1988年、ダバオ市長に就任。
その後、2016年まで6期市長を務める。
2016年5月、大統領に就任。

ダバオ市長時代には
自警団による麻薬、薬物犯罪者の暗殺を黙認してきたとされ、
大統領就任直後から
麻薬、薬物犯罪者の殺害を容認、報奨金などで奨励している。

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この麻薬・薬物犯罪者の暗殺を担っているのが実は警察。

フィリピン国家警察にはドゥテルテ大統領以前から
汚職の歴史があります。

フィリピン国内には麻薬中毒者は370万人もいます。
これって群馬県高崎市の人口とほぼ同じ。
かなりやばい数字ですね。

大統領選翌日の16年5月10日から17年5月9日までの
1年間で1日平均9人の麻薬関連の死者が出ました。
その内5人が警察により殺害されているのだそうです。

監督はフィリピン映画界の鬼才ブリランテ・メンドーサ。
第69回カンヌ国際映画祭ではローザを演じた
ジャクリン・ホセがフィリピン初の主演女優賞を手にしました。

さあ、いったいどんな映画なのでしょうか。
続きは次回まで乞うご期待でございますよ。



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☆7月24日に更新しました。暑さ厳しき折、皆さまどうぞご自愛くださいませ☆

ローザは密告された
監督/ブリランテ・メンドーサ、製作/ロレート・ラリー・カスティーリョ
製作総指揮/ブリランテ・メンドーサ、脚本/トロイ・エスピリトゥ、撮影/オディッシー・フローレス
出演
ジャクリン・ホセ/ローサ、 フリオ・ディアス/ネストール、 フェリックス・ローコー/ジャクソン、アンディ・アイゲンマン/ラケル、 ジョマリ・アンヘレス/カーウィン
7月29日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
2016年、フィリピン、110分、配給/ビターズ・エンド、日本語字幕/大西公子、字幕監修/澤田公信



by Mtonosama | 2017-07-25 06:24 | 映画 | Comments(6)

静かなる情熱

エミリ・ディキンスン

-2-

A QUIET PASSION

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(C)A Quiet Passion Ltd/Hurricane Films 2016. All Rig hts Reserved.


エミリ・ディキンスンは自分のことを
「私はミソサザイのように小さく、髪は栗のいがのように堅く、
眼はお客様が飲み残していったシェリー酒のような色です」
と語っていたそうです。

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ミソサザイ


本作の撮影にはアマストにある
エミリが実際に暮らした屋敷が使われました。

本作には約20篇の彼女の詩が織り込まれ、
その少女時代から
詩作を心のよりどころとし、
家族と共に生きた静かな時代が描かれています。
さらに、
病に苦しむ晩年からその死まで―――

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ストーリー
19世紀半ばのマサチューセッツ州。
大好きな家族と離れ、
マウント・ホリヨーク女子専門学校(現マウント・ホリヨーク大学)で
学んでいたエミリ・ディキンスン。
彼女は学校にみなぎる宗教的な色彩に神経質になっていた。

そんなエミリはアマストの自宅で
両親、兄、妹と共に暮らすことに。

裕福な弁護士である父の口添えで
彼女は地元の新聞に初めて詩を掲載されたが、
編集長は
「有名な文学は男の作品で女には不朽の名作は書けない」
と言う言葉を投げかけるのだった。

やがて彼女は妹ラヴィニアから資産家の娘、
ヴライリング・バッファムを紹介される。
活発で進歩的なヴライリングにエミリは次第に影響されていく。

間もなくハーバードを卒業した兄オースティンが
父と共に弁護士をすることになり、
妻スーザンを連れてアマストへ帰ってくる。

ふたりは隣に居を構え、やがて息子を授かる。
エミリは甥に優しいまなざしを注ぎ、
愛する生家に暮らせることを心から喜んでいた。

だが、アマストの外では世界は変わりつつあった。
時、あたかも南北戦争。
若い男たちは戦地に向かったが、
父はディキンスン家の一人息子オースティンが
参戦することを禁じた。

やがて、60万人以上の戦死者を出した
南北戦争は終わり、奴隷制度は廃止される。

エミリは外の変化とは関わりなく
「詩は救いのない者への唯一の救い」
と詩を作り続けていた。

そんな彼女の心を揺り動かす男性が現れた。
ワズワース牧師。
彼の説教に感動したエミリは
ワズワース夫妻を自宅に招待する。
そして庭を案内しながら
自作の詩を渡すのだった。

親友ヴライリング・バッファムが結婚し、
大きな喪失感を感じるエミリ。

その後、ワズワース牧師もアマストを去ることに。

さらに不幸は続く。
父が亡くなったのだ。

すっかり心を閉ざすようになったエミリ……

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なにせおうちから外へ出ることのなかった詩人ですから、
映画の舞台となるのはほぼ邸宅内部のみ。
激しい恋に落ちる訳でもなく
結婚して夫の浮気に苦しめられたり、
子どもの世話に明け暮れるわけでもありません。

映画の中で朗読される詩と会話が混然一体となった
静謐な内的世界を描き出した作品です。

18世紀末から19世紀に生きた文才のある女性
例えば、ジェーン・オースティンとかブロンテ姉妹などは
エミリのように裕福ではありませんでしたので
家庭教師をしながら作品を書いていました。

だから、最初はエミリ・ディキンスンに対して
反感を抱いたとのです。
第一、彼女はあまりにも偏屈ではありませんか。

でも、その内に、この不器用な女性の
生き方をじっくり見てやろうという気になりました。
生活の悩みがないだけ、
彼女の思索は純粋培養されたものだったような気がします。

でも、そんな彼女もぶつかった
女性への偏見。

もう
男って、なんでこうなの?





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静かなる情熱
監督・脚本/テレンス・デイヴィス、プロデューサー/ロイ・ボウルター、ソル・パパドパウロス、撮影/フロリアン・ホーフマイスター、美術/ムージェン・セップ、衣装/カトリーヌ・マルシャン
出演
シンシア・ニクソン/エミリ・ディキンスン、 ジェニファー・イーリー /ラヴィニア・ディキンスン、キース・キャラダイン/エドワード・ディキンスン、ジョディ・メイ/スーザン・ギルバート、キャサリン・ベイリー/ヴライリング・ バッファム
7月29日(土)岩波ホールほか全国順次ロードショー
2016年、イギリス、125分、配給/アルバトロス・フィルム、ミモザフィルムズ、字幕佐藤恵子、字幕監修/武田雅子、http://dickinson-film.jp/

by Mtonosama | 2017-07-22 05:32 | 映画 | Comments(2)

静かなる情熱

エミリ・ディキンスン

-1-

A QUIET PASSION

(C)A Quiet Passion Ltd/Hurricane Films 2016. All Rig hts Reserved.


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(C)A Quiet Passion Ltd/Hurricane Films 2016. All Rig hts Reserved.


時代は19世紀。
舞台は北米マサチューセッツ州。
美しい町アマスト。
ボストンから120㎞ほど離れた田舎町です。

エミリ・ディキンスンは
1830年この町に生まれ、
1886年55歳で亡くなるまで
この町を出ることはありませんでした。

あ、ただ1847年9月
17歳の時、
アメリカ最初の女子大
マウント・ホリヨーク女子専門学校に入学しています。

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この写真は在学中、彼女の生涯で
唯一撮影された肖像写真です。

でも、翌1848年8月には
宗教上の理由で退学してしまいました。

その後はず~~~っと終生
アマストの父の家を出ることはありませんでした。

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生前、発表された彼女の詩はわずか10篇。

エミリ・ディキンスンは
上流階級で生まれ育った子女ゆえ
生活に困ることもなく
病弱の母に代わって家事をとりしきり、
生涯結婚することなく
晩年はブライド病(腎臓炎)に苦しみました。

と、これだけ見れば
ふ~ん、恵まれた偏屈お嬢さんの自伝映画か、
と思いますよね。

とのはそう思ってしまいました。
でも、人生はそんな簡単なものではないんですねぇ。

彼女の詩を1篇だけ引用します。
I died for Beauty — but was scarce

I died for Beauty — but was scarce
Adjusted in the Tomb
When One who died for Truth was lain
In an adjoining Room —
He questioned softly "Why I failed" ?
"For beauty", I replied —
"And I — for Truth — Themself are one —
We Brethren, are", he said —
And so, as Kinsmen, met a Night —
We talked between the Rooms —
Until the Moss had reached our lips —
And covered up — our names —

「わたしは〈美しさ〉のために死んだ――けれど」 (1862年)

わたしは〈美しさ〉のために死んだ――けれど
墓に収まり 安らう間もなく
〈本当のこと〉のために死んだひとが
となりの部屋に横たえられた――
彼は静かに訊ねた「どうして失敗したのだろう?」
「美しさのためよ」とわたしは答えた――
「ぼくは――本当のことのために――このふたつはひとつで――
ぼくたちは兄弟だな」と彼は言った――
だから ある夜に同郷の親戚として出会った――
部屋を隔てて わたしたちは語りあった――
互いの唇に苔が這い寄り――
そして わたしたちの名前を――覆うまで――
http://nightinriver22.hatenablog.com/entry/Emily_Dickinson/I_died_for_Beauty_%E2%80%94_but_was_scarce

最後の2行なんてゾクッとしました。
余計なことを口走らないように自らの口を覆い、
その静寂に聴き入りたくなります。

エミリ・ディキンスン―――あまりなじみのない詩人でした。
彼女は生前評価されることもなく
裕福ではあっても
ガラスの天井どころか
コンクリートで固めた天井が女性の頭上を覆っていた時代に生き、
男女差別が当たり前で、
女性が表現者として認められることなどなかった時代に
詩を書き続けました。

その作品は1886年彼女の死後、
遺品整理をしていた妹によって発見されたのですが、
清書されたその詩は46束にまとめられ、
1800篇近くありました。

いまやその詩は多くの芸術家に影響を与えています。
サイモン&ガーファンクルは
「エミリー、エミリー」「夢の中の世界」を、
武満徹はその詩から着想を得て
「そして、それが風であることを知った」を作曲しました。

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外出を嫌い、家族以外の交流を避けていたエミリ。
その人生や人柄は明らかではありません。
そんな彼女を描き出した監督はテレンス・ディヴィス。

アメリカが舞台でありながら、
その静謐な世界は
イギリスの名匠である彼が描くにふさわしいものでした。

そして、エミリ・ディキンスンを演じたのは
なんと『セックス・アンド・シティ』のミランダ役
シンシア・ニクソンです。
彼女はエミリの熱心な愛読者だったんですって。

さあ、いったいどんな作品でしょうか。
続きは次回まで乞うご期待でございますよ。



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静かなる情熱
監督・脚本/テレンス・デイヴィス、プロデューサー/ロイ・ボウルター、ソル・パパドパウロス、撮影/フロリアン・ホーフマイスター、美術/ムージェン・セップ、衣装/カトリーヌ・マルシャン
出演
シンシア・ニクソン/エミリ・ディキンスン、 ジェニファー・イーリー /ラヴィニア・ディキンスン、キース・キャラダイン/エドワード・ディキンスン、ジョディ・メイ/スーザン・ギルバート、キャサリン・ベイリー/ヴライリング・ バッファム
7月29日(土)岩波ホールほか全国順次ロードショー
2016年、イギリス、125分、配給/アルバトロス・フィルム、ミモザフィルムズ、字幕/佐藤恵子、字幕監修/武田雅子
http://dickinson-film.jp/

by Mtonosama | 2017-07-18 22:09 | 映画 | Comments(6)

台湾萬歳
-2-


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(C)「台湾萬歳」マクザム/太秦


本作を台湾三部作最終章とした酒井充子監督は言います。
「台湾の80歳以上のお年寄りは
日本の統治時代に青少年期を過ごした人達です。
彼らは戦前戦後の激動の時代を経験しています。
わたしは、日本に対する複雑な気持ちも混じった彼らの思いを
『台湾人生』、『台湾アイデンティティ』で伝えてきました。

人々が生きて紡いできた日々の暮らしこそ
台湾にとってかけがえのない宝であり、原動力です。
長年にわたる取材の中でそんな当たり前のことに
改めて気づかされました。
最終章ではその当たり前のことを撮りたいと思いました」


張旺仔さん(85歳)、李典子さん(77歳)夫妻

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張さんは元漁師。1931年の生まれ。
台東縣成功鎮在住
戦争末期には空襲もあり、機銃掃射も間近で見ました。
国民学校を卒業する年に終戦。
19歳から49歳までカジキ漁。
かつて日本人が台湾に持ち込んだ突きん棒漁一筋。
現在は畑仕事が日課の好々爺です。
台湾は夫婦別姓のため、つれあいの姓は李さん。
「典子」は父親の日本人の友人がつけてくれたそうです。



オヤウさん(69歳)、オヤウ・アコさん(62歳)


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台東縣成功鎮在住
カジキ突きん棒漁を営むアミ族の夫婦。
カジキの季節が終わるとトビウオやシイラを獲り、
一年中海とつきあう生活です。
アミ族はかつての「新港」漁港の築港の際、
労働力として駆り出されました。
アコさんの叔父は戦前に村を代表して日本を訪問した秀才でしたが、
戦後、国民党に徴兵され、
中国大陸で43年間も過ごすことになってしまいました。


カトゥさん(41歳)


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台東縣延平郷在住、中学校の歴史教師&シンガーソングライター
1974年パイワン族の父とブヌン族の母との間に生まれました。
通称のカトゥは祖父の日本語名が加藤四郎だったことから。
ブヌン族の伝統的な狩りを今も続けています。


ムラス・タキルダンさん(89歳)

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台東縣延平郷在住、日本名きよこさん、ブヌン族。
日本統治時代、もともと住んでいた高地の村から
強制的に移住させられ、今の地に。
移住経験の数少ない証言者。
地元のお年寄りの聞き取りをしているカトゥさんが
本作ではムラスさんに移住当時の話を聞きに。
ムラスさんは移住後はかつて住んでいた村に一度も帰ったことがない、
自分たちの土地を守ってほしいと訴えます。


ダフさん(41歳)

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カトゥさんと共に伝統の狩りを大切にするブヌン族。
撮影隊が同行した狩りで一発でキョンをしとめた狩りの名手。

本作では
人々は日本統治が良かったとか悪かったとかを語りはしません。
ただ大昔から続いてきた自然との関わりを
穏やかに懐かしそうに
日本語で話してくれます。
そんなお年寄りの語り口に
うんうんと頷きながら、耳を傾けてしまいます。

突きん棒漁や足袋、ほっかむり、刺身、ワサビ・・・
カトゥさんとダフさんは
仕留めたキョンをさばきワサビをつけて食べていました。

台湾には今も日本統治時代の残したものや食生活が
色濃く残っています。

撮る側と撮られる側の間に
良い関係が生まれているのだなぁと思わせる作品でした。

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数年前、台湾を訪れて以来
すっかり台湾を好きになってしまったとのですが、
その理由は人々の優しさと穏やかさでした。

過去に起きたことを踏まえつつ
是非もう一度台湾を訪ねてみたくなりました。






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☆7月15日に更新しました。

台湾萬歳
監督/酒井充子、エグゼクティブプロデューサー/菊池笛人、統括プロデューサー/小林三四郎、プロデューサー/小関智和、陳韋辰、撮影/松根広隆
出演
張旺仔、許功賜、潘春連、柯俊雄ほか
7月22日(土)ポレポレ東中野ほか全国順次公開
2017年、日本、カラー、93分、製作/マクザム、太秦、配給/太秦、http://taiwan-banzai.com/




by Mtonosama | 2017-07-15 07:06 | 映画 | Comments(2)

台湾萬歳
-1-

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(C)「台湾萬歳」マクザム/太秦


台湾映画はドキュメンタリーも劇映画もいろいろ観てきました。
どれもゆったりとした大らかさが感じられますし、
懐かしい感じがして好きです。

昨年11月当試写室で上映した『湾生回家』は
http://mtonosama.exblog.jp/26768412/
http://mtonosama.exblog.jp/26813602/

日本占領時代に台湾に暮らした日本人たちが
台湾に寄せる想いを綴った
ホァン・ミンチェン(黄銘正)監督の作品。
これも印象深い映画でした。

今回、当試写室で上映するのは
酒井充子監督の台湾三部作の最終章
『台湾萬歳』です。

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三部作第一章『台湾人生』(’08)
日本の統治下にあった1895年から1945年の間の台湾では、
同化政策として日本語教育を強要され、
日本人として生きる世代が生まれました。
青春時代を日本の統治下で過ごした
“日本語世代”と呼ばれる5人の台湾人に
当時の様子や戦後の国民党独裁時代についてインタビューを行い、
台湾と日本の密接な歴史を振り返った作品です。

続く『台湾アイデンティティ』(’13)では
第二次世界大戦、二二八時代、白色テロという歴史のうねりによって
人生を歩み直さなくてはならなくなった6人の台湾人を通し
台湾の戦後の埋もれた時間を描き出しました。
当試写室でも2013年6月と7月に上映しています。
http://mtonosama.exblog.jp/19923846/
http://mtonosama.exblog.jp/19944481/


そして最終章『台湾萬歳』では
時代は変わっても台湾の海や大地に向き合い、
生きている人々が描かれています。

前二作が
変わりゆく台湾を老人たちの言葉を通して
描いたものだとしたら、
本作は
何があっても変わらない
台湾の芯のようなものを描き出した作品です。

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本作の舞台となったのは
台湾の原風景が色濃く残る台東縣。

台東縣は台湾南東部にある人口22万5千人の地域で
アミ族、ブヌン族、タオ族など
多様な民族が暮らしています。

台湾には原住民族が暮らしていましたが、
17世紀以降、大陸から漢民族の移住が活発化。
為政者はオランダ、鄭成功親子三代、清、日本
と移り変わりました。

鄭成功
1624年8月27日 - 1662年6月23日
中国明代の軍人、政治家。
日本の平戸で父・鄭芝龍と日本人の母・田川マツの間に生まれた。
日本名は福松。
清に滅ぼされようとしている明を擁護し
抵抗運動を続け、
台湾に渡り、鄭氏政権の祖となった。
様々な功績から隆武帝は明の国姓である「朱」と
称することを許したことから国姓爺とも呼ばれていた。
近松門左衛門の「国性爺(こくせんや)合戦(かっせん)」は彼を題材にした作品。
台湾・中国では民族的英雄として描かれており、
特に台湾ではオランダ軍を討ち払ったことから、
孫文、蒋介石とならぶ「三人の国神」の一人として尊敬されている。
Wikipediaより

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台東縣で暮らす人々の生活の中心には
「祈り」「命への感謝」「家族」があります。

Formosa 
「美しい島」
台湾

美しい島というのはその大地を指すだけではありません。
東日本大震災の時には
台湾から200億円を超える義援金が寄せられました。

1895年から1945年までの半世紀にわたる
日本の統治時代には嫌なことも数々あったと思われるのに、
それでも彼らが示してくれた想いには
頭が下がります。

さあ、いったいどんなお話でしょうか。
続きは次回までお待ちくださいませ。



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☆7月12日に更新しました。
台湾萬歳
監督/酒井充子、エグゼクティブプロデューサー/菊池笛人、統括プロデューサー/小林三四郎、プロデューサー/小関智和、陳韋辰、撮影/松根広隆
出演
張旺仔、許功賜、潘春連、柯俊雄ほか
7月22日(土)ポレポレ東中野ほか全国順次公開
2017年、日本、カラー、93分、製作/マクザム、太秦、配給/太秦、http://taiwan-banzai.com/

by Mtonosama | 2017-07-12 05:24 | 映画 | Comments(2)

パリ・オペラ座
~夢を継ぐ者たち~

-2-

Backstage

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パリ・オペラ座バレエ団は
パリ・オペラ座(ガルニエ宮とオペラ・バスティーユ)を
拠点とし、オペラ・バレエ公演を使命とする
フランス文化省の管轄下にある世界最高峰のバレエ団です。

前編でご紹介したアニエス・ルテステュは
20年以上にわたり古典から現代作品まで
ほとんどのレパートリーを踊ってきた
オペラ座のトップエトワールでしたが、
2009年以降、後輩たちへの指導に力を注いでいます。
といっても、まだ46歳の美しい指導者です。

ヌレエフの指導を受けた最後の世代として
その教えが彼女を経て
オニール八菜やアマンディーヌ・アルビッソンたちに
受け継がれていく過程をカメラは追います。

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そして、
マチュー・ガニオ。
美しいお方です。
いわゆる王子系のお顔立ちですね。
母はやはりパリ・オペラ座のエトワール
父はマルセイユ・バレエで活躍したスターダンサーで、
1984年の生まれです。
2001年にパリ・オペラ座バレエ団に入団。
2004年5月、ヌレエフが振り付けた『ドン・キホーテ』に
主演し、20歳でスジェから飛び級でエトワールに任命されました。

スジェ?
えっと、オペラ座のダンサーは5つの階級に分かれていまして、
スジェというのは丁度真ん中に位置します。
名前がつくような主要な役を踊るダンサーだそうです。

マチュー様は現在主席エトワールとして
パリ・オペラ座バレエ団を代表する存在。
日本でもダンスマガジン誌の人気投票で
男性ダンサー部門で第1位に選ばれているんですって。

本作では彼が出演した『ジゼル』の舞台も
観ることができます。
マチュー・ガニオ様の素晴らしいバレエと謙虚なその姿勢に
150歳はポーッとなってしまいました。

映画には誰もが知る名作『ジゼル』の他、
ウィリアム・フォーサイス振付の『パ/パーツ』
イリ・キリアン振付、石井眞木作曲の
『輝夜姫(かぐやひめ)』など
古典、現代舞踊も登場します。

ダンサーはじめ指導者、振付家。
356年続くパリ・オペラ座の伝統に命を吹き込む人々に
密着した映画でした。

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以前、伝統工芸の世界に携わる方が
「伝統とは守ることではない。常に変わり続けることです」
とおっしゃるのを聞いたことがあります。
それも一人や二人ではありません。
大勢の工芸作家が異口同音にこのことを口にしました。

バレエの世界も同じだったんだなぁと納得。

チュチュを夢み、トウシューズに憧れ、
挫折した150歳ですが、
十二分に楽しませていただきました。





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パリ・オペラ座 ~夢を継ぐ者たち~
監督/マレーネ・イヨネスコ
出演
マチュー・ガニオ、アニエス・ルテステュ、ウリヤーナ・ロパートキナ、オニール八菜、バンジャマン・ペッシュ、ウィリアム・フォーサイス、アマンディーヌ・アルビッソン、ジョシュア・オファルト、エリザベット・プラテル、バンジャマン・ミルピエ、ジャン=ギヨーム・バール、ローラン・イレール、ウェイン・マクレガー、ステファン・ビュリヨン、ギレーヌ・テスマー
7月22日(土)Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー
2016年、フランス、字幕翻訳/古田由紀子、字幕監修/岡見さえ、配給/ショーゲート、協力/(公財)日本舞台芸術振興会、http://backstage-movie.jp/

by Mtonosama | 2017-07-09 05:04 | 映画 | Comments(4)

パリ・オペラ座
~夢を継ぐ者たち~
-1-

Backstage

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パリ・オペラ座。
なんとゴージャスな響きでしょう。
建物も豪華ですが、
なんといってもルイ14世によって
創設されたバレエ団という
その経歴もまた輝くばかりに豪華絢爛なのであります。

ルイ14世といえば
「王は踊る]('00 ジェラール・コルビオ監督)という
映画がありましたが、とのはこれもポカンと口を開けて
酔い痴れていた記憶があります。



パリ・オペラ座。
356年という年月にわたって、
世界中から愛されているバレエの殿堂。

パリ・オペラ座を舞台に
その素顔を追いかけた作品が本作
『パリ・オペラ座~夢を継ぐ者たち~』です。

監督はマレーネ・イヨネスコ。
『バレエに生きる ~パリ・オペラ座のふたり~』(’11)
『至高のエトワール ~パリ・オペラ座に生きて~』(’13)
『ロバートキナ 孤高の白鳥』(’14)など
バレエ・ドキュメンタリーに人生を捧げる監督であります。

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本作はイヨネスコ監督の集大成ともいえる作品。
カメラは、激しい競争を勝ち抜いてきた
バレエ・エリートたちのトップに立つエトワールの練習風景や
創作のプロセスを捉えています。
バレエファンは必見です。

エトワール
パリ・オペラ座バレエ団の最高位。フランス語で星という意味です。


本作の中心に立つのは
2013年にエトワールを退いたアニエス・ルテステュ。
”ニジンスキーの再来“と称えられたアンドレ・ヌレエフの
指導を受けた最後の世代に属するダンサーです。

ニジンスキー
ロシア・バレエ史における伝説的なスター、
ヴァーツラフ・ニジンスキー(1889~1950)。
まるで空を飛んでいるかのような華麗なジャンプ。
当時の人々は
「飛行するニジンスキー」「空中の皇帝」などと呼んでいた。
https://jp.rbth.com/blogs/2014/02/21/47253

ヌレエフ
ルドルフ・ヌレエフ。1938年~1993年。
ソ連のバレエダンサー。
1961年に、海外公演の途中に亡命。
1963年ごろから英国ロイヤル・バレエのゲストとして
20歳近く年上のマーゴ・フォンテインとペアを組み、
後に伝説のパートナー・シップとまで言われるようになる。
1964年にウィーン国立歌劇場で自身とフォンテインが出演する
『白鳥の湖』の振り付けを担当したことをきっかけに
ウィーンに活動拠点を移し、1982年にオーストリア国籍を取得。
1980年代にはパリ・オペラ座芸術監督に就任、
シルヴィ・ギエム、シャルル・ジュド、マニュエル・ルグリなどを見出した。
また、レパートリーを一新して、
ウィリアム・フォーサイスなど現代作品を積極的に採用、
現在のオペラ座の隆盛の礎を築く。
1993年、AIDSによる合併症のため、54歳で死去した。
(Wikipediaより)

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なんだか伝説のバレーダンサーの名前が並んでしまいました。
本作ではニジンスキーやヌレエフに並んで
まさに将来のレジェンドたるべきエトワールや
プルミエ、プルミエールが登場します。

そうそう、ニュージーランド人のラグビー選手を父に
日本人を母に持つオニール八菜も
ヌレエフの技術と心を託される一人として登場します。

とののように1ヶ月でバレエに挫折した門外漢は
脇へ退くとして
バレエファンにはたまりませんよ。

さあ、どんな作品なのでしょうか。
続きは次回までお待ちくださいませ。




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パリ・オペラ座 ~夢を継ぐ者たち~
監督/マレーネ・イヨネスコ
出演
マチュー・ガニオ、アニエス・ルテステュ、ウリヤーナ・ロパートキナ、オニール八菜、バンジャマン・ペッシュ、ウィリアム・フォーサイス、アマンディーヌ・アルビッソン、ジョシュア・オファルト、エリザベット・プラテル、バンジャマン・ミルピエ、ジャン=ギヨーム・バール、ローラン・イレール、ウェイン・マクレガー、ステファン・ビュリヨン、ギレーヌ・テスマー
7月22日(土)Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー
2016年、フランス、字幕翻訳/古田由紀子、字幕監修/岡見さえ、配給/ショーゲート、協力/(公財)日本舞台芸術振興会、http://backstage-movie.jp/



by Mtonosama | 2017-07-06 06:46 | 映画 | Comments(4)

ヒトラーへの
285枚の葉書

-2-

Alone in Berlin

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(C)X Filme Creative Pool GmbH / Master Movie / Alone in Berlin Ltd /
Pathe Production / Buffalo Films 2016



この映画の原型となったのは
「ハンペル事件」という第2次世界大戦中に
実際にベルリンで起きた事件です。

夫は工場で働き、妻は地区の情宣活動に勤めています。
一人息子が出征していましたが、
北部戦線で戦死してしまいました。

時は1940年6月
ナチス・ドイツ軍パリ入城。
まさにヒトラーの絶頂期であり、
北欧からアフリカに至るまで
ハーケン・クロイツが翩翻(へんぽん)と翻る時代でした。

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ストーリー
1940年、ナチス・ドイツのパリ入城の知らせに沸き立つベルリン。
軍需工場に勤めるオットーと
国家社会主義女性同盟メンバーのアンナの
クヴァンゲル夫妻は小さなアパートで静かに暮らしていた。
そんな二人の許に飛び込んだ一人息子ハンスの訃報。
ふたりは深い喪失感に沈み込む――

やがて、
オットーはポストカードにメッセージを書き始める。
「総統は私の息子を殺した。
彼はあなたの息子も殺すだろう」
四角い文字で一字一字丁寧に書き記す。

翌日オットーはアンナと共に
そのメッセージを記した葉書を
ビルの階段に置いて立ち去る。
これが、
ナチ政権への不信と憤りに固まったクヴァンゲル夫妻の
ささやかな抵抗の始まりだった。

その後も黙々とメッセージを記すオットー。
アンナも国家社会主義同盟の活動を抜け出し、
カードの配布を手伝う。
それは
見つかれば死に直結する国家への反逆行為だった。

市民からの通報を受けた捜査に乗りだした
ゲシュタポのエッシャリヒ警部は
犯人の特定に手こずっていた。
ベルリン各地で発見された葉書は既に120枚以上。
ナチ親衛隊の大佐から事件の早期解決を促された
エッシャリヒ警部はカードの分布状態を分析し、
犯人の住まいをアレクサンダー広場に近い筈と推理する。

夫妻は用心深かった。
移動には複数の路面電車を乗り継ぎ、
指紋も決して残さない。

エッシャリヒ警部もそれ以上の手がかりを
見つけ出すことはできなかった。

ある日、部下が誤認逮捕した容疑者を釈放したエッシャリヒ警部は
そのことで親衛隊大佐から激しく咎められ、
屈辱的な仕打ちを受けた。
彼もまた言いようのない怒りや虚しさを感じる一人となる。

「現政権下では幸せはない」
「今の体制を倒そう」
オットーとアンナはゲシュタポや親衛隊の監視の目が光る
ベルリンの街になおも葉書を置いて回っていた。

だが、落とし穴は
思いがけないところに口を開けていたのだ……

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葉書を置いて回る――
地味な事件です。
夫妻が置いた285枚の葉書は殆どが市民の手によって
ゲシュタポに届けられました。
でも、その葉書をそっとポケットにしまった市民も
10数人ですが、いたのです。

一人息子を奪われたオットーとアンナ、
教育もノーハウもあるわけではない平凡な夫妻が
巨大な権力に、葉書で立ち向かっていきました。
象に立ち向かうカマキリよりも無力です。

それなのにこの言いようのない感動はなんでしょう。
共謀罪が成立し、
この映画のような状況が他人事とは思えないからでしょうか。
無力と思えた一介の初老の夫婦が
死を賭けて抵抗に立ち上がったからでしょうか。

オットーを演じたブレンダン・グリーソン、
アンナを演じたエマ・トンプソン、
エッシャリヒ警部のダニエル・ブリュール。
入魂の演技です。

素晴らしい映画でした。
とのの消えかけている勇気の炎に
そっと手をかざして守ってくれる――そんな作品でした。






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ヒトラーへの285枚の葉書
監督・脚本/ヴァンサン・ペレーズ、撮影/クリストフ・ボーカルヌ、音楽/アレクサンドル・デスプラ
出演
エマ・トンプソン/アンナ・クヴァンゲル、ブレンダン・グリーソン/オットー・クヴァンゲル、ダニエル・ブリュール/エッシャリヒ警部
7月8日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
2016年、独・仏・英、英語、103分、日本語字幕/吉川美奈子、原作「ベルリンに一人死す」(みすず書房)、後援/ドイツ連邦共和国大使館、配給/アルバトロス・フィルム、http://hitler-hagaki-movie.com/

by Mtonosama | 2017-07-03 06:17 | 映画 | Comments(7)