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殿様の試写室

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(C)2008「青い鳥」製作委員会

青い鳥

14歳という年齢が問題になり始めたのは、やはりあの酒鬼薔薇事件からでしょうか?
昔は17歳が危険な年齢などと言われたものですが、犯罪危険度は低年齢化しているようです。
前々回の「BOY A」などは10歳でしたし。

いえ、今回は少年犯罪の映画ではありません。
さらに普遍的かつ一般的な問題、たくさんの子どもたち、それどころか大人たちすらも日々直面する《いじめ》問題です。
とある中学のいじめにとりくんだ教師のお話で、重松清の連作短編集「青い鳥」の表題作を映画化したものです。

いじめ問題に取り組むといっても、村内先生(この中学教師の名前です)は金八先生のように熱く語るわけではないし
(先生は吃音ですから一語一語絞り出すように語ります)、第一、専任の教師でもありません。
先生は臨時教師です。産休や病気休暇をとっている教師に代わって教える先生ですね。
さて、その臨時教員がなぜ、ここ東が丘中学で教えることになったのでしょう?

          都会の近郊、まだ緑の残る典型的な新興住宅地。
          一人のさえない中年男性がバスに乗っています。
          手には一冊の文庫本。新しいものではなく、何度も何度も読み返したような本です。
          やがて、バスは停留所に着き、男は読んでいたページに栞をはさみます。
          「東が丘中学前」。降り立った男は少し猫背ぎみの古びたコートの後ろ姿を見せて校門に向かいます。
          三学期が始まった東が丘中学。生徒たちは朝の寒気をついて登校してきます。
          なんの変哲もない、いつもと同じ風景。
          しかし、この中学では前学期に自殺未遂事件が起きていました。
          男子生徒がいじめを苦にして自殺を図ったのです。生徒の名は野口といいます。
          両親がコンビニを経営している彼は「コンビニくん」と呼ばれ、何人もの生徒から品物を要求されては渡していました。
          野口君は「僕を殺した犯人です」と3人の生徒の名前を記した遺書を書いて自ら命を断とうとしました。
          その名が公表されることはありませんでしたが、マスコミや父兄は騒ぎ、学校は「生徒指導」を強化し始めました。
          野口君は転校し、コンビニも閉店、そして担任教師は重圧に押しつぶされ休職したのでした。

          2年1組。休職した担任に代わり、臨時教師が着任しました。
          教師は黒板に名前を書きます。村内
          村内先生が挨拶を始めると生徒たちは驚き、それは笑い声に変わっていきました。
          先生は吃音だったのです。ところが、先生は生徒たちの笑いを圧するように「忘れるなんて卑怯だな」と吃りながら言いました。
          村内先生は野口君の机を教室に戻すよう、日直に命じたのでした。
          毎朝、主のいない机に向って「野口君、おはよう」と声をかけ続ける村内先生。
          遺書に記された3人の生徒の内の2人は生徒たちの間でもなんとなく見当はついています。
          でも、あと1人、それが誰だかわかりません。
          園部真一は一度だけ野口君にポテトチップを持ってくるよう頼んだことがあります。園部君はそれが気になってなりません。
          「野口君は僕を友達だと思っていたのに、裏切ってしまった」。
          その気持が、遺書に記された名前の1人は自分に違いないと思いこませていたのでした…

いじめはいじめられた側が被害者だと思っていました。
ある言葉が誰かの心を切り裂いて、その傷は長い間疼き、トラウマとなって誰かを苛み続ける。
でも、言葉を発した側はそのことを覚えていない。いつまでも覚えている方が悪いとさえ言いかねません。
言葉や行動に無神経な人がいじめる側で、気弱で繊細な神経を持った人がいじめられる側、と思っていました。
しかし、実のところ、いじめはそれほど単純なものではないのかもしれません。
なのに、学校では、教師たちが校門に並んで「おはよう!」と挨拶し、生徒たちに反省文を書かせ、校内に目安箱を置いて、
いじめを目撃したら投書させることで良しとしています。

               14歳の思春期。
               ほんの少し、爪を立てただけで、どくどくと血が流れ出してくる、
               傷つきやすい心はほんとに薄い皮膜に守られているだけなのに、
               教育現場のやっていることといったら、なんとまあ画一的でおざなりなのでしょう。

               村内先生はなにか特効薬を持っているわけではありません。
               ただ頑なに誰もいない机に向って「野口君、おはよう」といい、吃りながら現代国語の授業を続けただけです。
               そして、臨時教師ですから、生徒たちを卒業まで見守ることなく、学校を去っていきます。
               生徒たちの心に残した印象は「うぜぇ先生だよな」だけだったかもしれません。
               ただ、村内先生は転校していった野口君を過去の存在にはしなかった。
               野口君の机を2年1組の教室に戻すことで、生徒たちにいじめを忘れさせなかった。
               いじめをなかったことにしなかった。
               これってすごいことかもしれません。

               いじめは猫じゃないんです。砂をかけて、なかったことにしてはいけません。

監督/中西健二、原作/重松清「青い鳥」(新潮社刊『青い鳥』所収)、脚本/飯田健三郎・長谷川康夫、監修/松山善三

キャスト
阿部寛/村内先生、本郷奏多/園部君、山崎和也/野口君
11月29日(土)より新宿武蔵野館、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー
www.aoitori-movie.com
# by mtonosama | 2008-11-10 06:38 | 映画 | Comments(8)
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(c) Boomtown Media
ベルリン・フィル最高のハーモニーを求めて
TRIP TO ASIA
The Quest For Harmony

          当試写室で9月に上映した「帝国オーケストラ」に続く、ベルリン・フィル創立125周年記念ドキュメンタリー第2弾が
          「ベルリン・フィル 最高のハーモニーを求めて」です。
          「帝国オーストラ」で描かれたのがベルリン・フィルの影の時代だとしたら、この映画は燦々と陽の当たる現代がその舞台。
          そんな明るい時代の陽光の下で撮ったためでしょうか。
          本作では指揮者や楽団員の素顔や心情もよりくっきりと浮かび上がり、
          演奏家としての彼らより、人間としての彼らを知りたいという音楽の本質から外れた好奇心を充たしてくれます。
          もちろん本物のクラシックファンも十分に満足できる映画です。

                「ベルリン・フィルと子どもたち」(’04)をご覧になりましたでしょうか。
                この映画ですばらしい感動を与えてくれたトマス・グルベが本作でも監督をつとめています。
                そして、「ベルリン・フィルと子どもたち」同様、首席指揮者兼芸術監督のサー・サイモン・ラトルがあの松田優作ヘアーでタクトを振っています。
                同じベルリン・フィルでもかのお美しいカラヤンさまとは全くの別タイプ。
                美人クラリネット奏者ザビーネ・マイヤーを指揮者特権で入団させようとして、その後、楽団員との軋轢を引き起こした帝王カラヤン。
                凛々しいというか、偉丈夫というか、ハンサムというか、つまり男に対する褒め言葉をすべて並べてもまだ足らない、
                完全無欠なそのお顔とは少し違うけれど、
                サイモン(気安く呼んでごめんなさい)の親しみやすさはベルリン・フィルの陽光さしこむ新しい側面を代表しています。

          2005年秋、サー・サイモン・ラトルと楽団員126名は演奏旅行に出発しました。
          訪問先は北京、ソウル、上海、香港、台北、東京。アジアの6都市です。
          世界一有名なオ―ケストラを迎えるアジア各地の熱狂と興奮。
          37歳のグルベ監督はラトルと演奏者たちのリハーサルと本番演奏にピッタリ密着して撮影しました。
          さらに、ツアーの合間を縫ってラトル氏と演奏者にもインタビュ-しています。
          その個別取材を通じて、完全無欠な芸術家と思っていた彼らの口から思いがけない人間的な本音を聞くことができました。
          高校時代は協調性のない問題児だったというメンバーもいましたし、容姿や人種問題に悩むメンバーもいました。
          メンバーの中の2人の日本人、コンサートマスターの安永徹さんとヴィオラの清水直子さんの流暢なドイツ語と
          最高峰のオーケストラの中で演奏し続ける姿勢にも感銘を受けました。

               オーケストラへの入団試験から幕を開けるこの映画。
               ベルリン・フィル26年ぶりの再訪となる北京ではリヒャルト・シュトラウスの交響詩『英雄の生涯』の第1部《英雄》のリハーサル風景が撮影されます。
               2番目の訪問地ソウルでは『英雄の生涯』第2部《英雄の敵》が演奏され、
               3番目の上海では『英雄の生涯』第3部《英雄の伴侶》、
               香港では同じく第4部《英雄の戦場》、
               そして台北では最終第6部の《英雄の隠遁と完成》が演奏されます。演奏を終えた彼らを迎えるのは巨大な屋外ディスプレイに集まった
               数万人の聴衆の熱烈な大歓迎。その歓声にどぎまぎするラトルたちの姿が印象的です。

               最後の訪問地・東京では台北の無数のペンライトと大歓声から一転して、静謐な明治神宮の玉砂利と池が映しだされます。
               七五三のお参りをする晴れ着姿の子どもたちの姿が色を添えていました。アジアの喧騒から日本の静けさ。
               ドイツ人から見た日本はアジアとは違うのか、とふと思いました。

          クラシックファンならば、この曲の編成に「なるほど」と頷かれるのでしょうが、
          すいません、私にはよくわかりません。
          ただ、リヒャルト・シュトラウス『英雄の生涯』はカラヤンが得意中の得意としていたものなのだそうです。
          映画は入団試験から始まりました。
          その後、カラヤン時代からこの楽団で演奏していたメンバーの引退に続き、そして、新団員の誕生に終わります。
          この映画は演奏者としての生涯と『英雄の生涯』とが重なりあうのです。
          さらに、東京の部ではサントリーホール前のアークカラヤン広場が映しだされました。そこにはヘルベルト・フォン・カラヤンの記念プレートがあるからです。
          カラヤン、ラトル、ベルリン・フィルのメンバーたち。
          あのいたましい時代も含めてベルリン・フィルのつないできた125年…

          しかし、なにより、楽団員の人間としての素顔と彼らが創りだす音楽と
          アジアの活気が重奏して迫ってくるすばらしいドキュメンタリーです。

監督/トマス・グルベ、カメラ/アンソニー・ドット=マンテル、レネ・ダメ、アルベルト・ヴェンザゴ、ステファン・キュぺック、録音/パスカル・キャピトラン、ベルント・フォン・バスウィッッ、音楽/シモン・シュトックハウゼン
出演/演奏
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、サー・サイモン・ラトル首席指揮者
演奏曲/『英雄』(ベートーヴェン)、『英雄の生涯』(R・シュトラウス)、『アサイラ』(トーマス・アデス)
11月15日、渋谷ユーロ・スペース他全国順次ロードショー
※ベルリン・フィルの来日にあわせてベルリン・フィルの演奏家達が舞台挨拶をします。
11/23 16:20の回・上映後
      18:40の回・上映前
11/24  同上

配給:セテラ・インターナショナル
http://www.cetera.co.jp/BPO/
# by mtonosama | 2008-11-03 06:40 | 映画 | Comments(4)
                    BOY A

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               ©Cuba Pictures(Boy A)Limited2007

BOY A 。少年Aということですね。
少年Aという略語で呼ばれる以上、なにか犯罪の匂いがします。
そして、この言葉を聞いた時点で思い浮かべる少年像は
少なからず邪悪な様子をしているのではないでしょうか。

この映画は気弱そうな笑みを浮かべた青年が男性と机をはさんで話している場面から始まります。
青年は24歳、男性は50代といったところ。
柔らかな光の中で青年はサマーキャンプへ出かける少年のように
期待と興奮と不安をないまぜにした昂揚感をかろうじて抑えているようです。
男性〈テリー〉から新しいスニーカーをプレゼントされた青年は出発を前に自分に新しい名前をつけます。
           
ジャック。
ジャック、ジャック、ジャック。
新しいシャツの着心地を確かめるように何度もその名を口にして自分になじませようとします。
24歳の人生の内、思春期を含む少年期の大半を社会から隔離されて過ごした
ジャックの新しい人生が始まろうとしていました。

BOY Aはイギリスの若手作家ジョナサン・トリゲルの同名小説が原作。
マーク・オロウが脚本を書き、
それに魅了されたジョン・クローリーがすぐさま映画化したというイギリス映画です。

少年Aは邪悪な様子をしているのではないか、と言いました。
ですが、24年を生きてきて、その大半を実社会から離れて過ごし、
親代わりともいえるソーシャルワーカーのテリーとの
信頼関係を築いてきたジャックは世間を知らないままに成長しました。
だから、とてもナイーブでまだ少年のように見えます。
そこに意外感を持ちつつも「なにかをまたしでかすんじゃないか」
という恐れが映画の冒頭ずっとついて回ります。

これが先入見なのでしょう。

出所した神戸の事件の少年が近所のスーパーで働いているという噂が
まことしやかに流れたことがあります。
その噂は小さな子どもを持つ周辺の主婦たちから拡がっていきました。
とある政治家が彼の身元引受人となって、そのスーパーに彼を紹介したというのです。
それを聞いてから、そこに働く若い男性を見ると彼ではないか、と疑ってしまう自分がいました。

彼の犯した犯罪はあまりにも残虐で、被害者の身内にとって許しがたいものでしょう。
でも、私ははやし立てるマスコミの尻馬に乗っているだけで、正義の代行者じゃありません。
今、彼がひっそりと働いているのなら、「彼が酒鬼薔薇だ」と知ってなにになるのでしょう。

ジャックという名を得て、新しい人生を始めた少年A。
ジャックはテリーの甥だと紹介され、新しいアパートに暮らし始めます。
新しい職場で働き、仕事も人間関係も順調。
その上、恋人もできました。初恋です。それもどうやらうまく行きそうな感じ。
恋人ミシェルへの愛が深まれば深まるほど、
ジャックは彼女にだけは真実を告げたいと思うのでした。
しかし、テリーはジャック自身の安全のためにも
絶対に過去のできごとを口外してはいけないと言い聞かせます。

ジャックの心の波立ちに呼応するかのように、
新聞ではBoy Aが出所したことが報じられ始めました。
成長したBoy Aのモンタージュ写真に似た人の家が放火され、
インターネットではBoy Aに懸賞金までかけられています。
ある日、仕事に向かう山中でジャックは事故車を発見。
運転手はすでに死んでいましたが、助手席の少女は生きていました。
同僚と一緒に必死で少女を助けだすジャックでしたが、
命の重さを実感した彼のこの行為が
過去の忌まわしい事件を暴きだす原因になるとは思いもしませんでした…

最初に抱いていた先入見は、
生真面目なまでに初めての経験に取組むジャックへの応援に変わっていきます。
不器用そうな細くて長い手足。自信なげなそのまなざし。
「がんばって!」
「きっとうまくいくからさ」
ジャックを演じたアンドリュー・ガーフィールドがあまりにも素晴らしいので、
この恥ずかしげのない変節ぶりです。

しかし、思わずジャックに入れ込んでいた観客をとまどわせるのは
ジャックの犯した犯罪が明らかになるとき。
そのとき、「罪は罪だ」とはっきり割り切れない自分がいます。
被害者の家族の気持ちに同調しようとしている自分もいます。
       
え、なに?これは。
あたふたしつつ、脚本家と監督のはりめぐらした罠にはまってしまいました。
ジョン・クローリー監督はこの作品は社会派映画ではないといいます。
確かに白黒はっきりさせるのが社会派映画だとしたら、この映画はそうじゃありません。

監督はこうもいいます。
「映画が進むにつれて、皆さんの中にも葛藤が生まれてほしいと願っています」。

はい、しっかり葛藤していますよ。
その葛藤はまずいことにしばらく消えそうにありません。

監督/ジョン・クローリー、脚本/マーク・オロウ、原作/ジョナサン・トリゲル

キャスト
アンドリュー・ガーフィールド/ジャック、ピーター・ミュラン/テリー、ケイティ・リオンズ/ミシェル
11月15日、渋谷シネ・アミューズ他全国順次ロードショー

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# by mtonosama | 2008-10-27 07:08 | 映画 | Comments(8)
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(c)2006 Shine Global, Inc. All rights reserved.
ウォー・ダンス 響け僕らの鼓動
WAR DANCE

     今回はアフリカに飛びました。ウガンダ共和国です。
      1970年代、かの悪名高いアミン大統領に支配されていた国、ウガンダ。
       映画「ラストキング・オブ・スコットランド」(‘06)に描かれた人物であり
      数十万人もの国民を虐殺し〈黒いヒトラー〉とも呼ばれたこの大統領が
      1979年に失脚した後はウガンダ共和国も復興が進みました。
      しかし、現実には今なお北部を中心に反政府軍によるゲリラ活動が続いています。

           「ウォー・ダンス 響け僕らの鼓動」は
          そのウガンダ北部にある難民キャンプに暮らす子どもたちが音楽と踊りによって
           癒しと誇りを取り戻していく日々を描いたドキュメンタリー映画です。

  ウガンダ北部では80年代の後半から20年にわたって 政府軍とLRA(神の抵抗軍)との間で紛争が継続しています。
この紛争の最大の問題点と悲惨な矛盾点は LRA・反政府軍の兵士の多くが子ども達だということ。
反政府軍は子どもたちを村から拉致し、少年兵として戦線に送ります(「それでも生きる子供たちへ」(‘06)でも少年兵の問題は描かれていました)。

     彼らは村を襲い、両親と共に眠りについている子どもを連れ去っていきます。
     抵抗する親はその場で虐殺。
    そして拉致された男の子たちは兵士として人々を、親さへも、殺すことを強要され、
     女の子たちは性的に蹂躙されます。

           その生き地獄のような日々から救出され、脱走する子どももいます。
           彼らは再び反政府軍によって拉致されないよう、
          軍によって警備された避難民キャンプに集められています。
           安心ではありますが、そこもまた水道も電気もなく、
           なにより家族はもういません。

     6万人以上の避難民が暮らすパトンゴ避難民キャンプには、
      夢も誇りも失いかけたそんな子どもたちが生活しています。
     子どもたちが勉強する学校には銃弾の孔がそこら中にあいています。
     しかし、教師たちは彼らに先祖から伝わる歌と踊りと楽器演奏を教えようとしていました。
     教師は言います。「音楽が生徒たちのつらい思いを忘れさせてくれる」。

     ウガンダで年に1回開催される国民的なイベント〈全国音楽大会〉。
     歌、踊りのほか、さまざまな部門で審査が行われます。
     パトンゴ避難民キャンプにある学校も初出場を決めました。
     紛争地域内の学校からの参加が認められたのは初めてのこと。
     出場する以上は優勝をめざす!
     乾いた大地を走り、踊る。生徒も先生も砂埃の中、猛練習を始めました。

          練習の合間を縫って、ドミニク(14歳)、ナンシー(13歳)、ローズ(14歳)が
          インタビューに応えます。
          彼らにこの年齢のアフリカの子どもたちによく見るはじけるような笑顔がないの
          が、その負ってきた苦しみと悲しみを物語っています。

     いよいよ大会。生徒たちは会場のある首都カンパラへ向かいます。
     手作りの楽器と衣装を持って、生まれて初めての心弾む旅に出発です。
     武装兵士に守られながら、首都まで2日間に及ぶバスの旅。
     彼等の昂揚感がスクリーンから伝わってきます。
     初めて見る首都の高層ビル、行き交う車。
     水道も電気もない自分たちの避難民キャンプとはなんという違いでしょう。

     お揃いのきれいな衣装に身を包んだ全国からの子どもたち。
     平和な地域からやってきた出場回数も多い生徒たちのパフォーマンスはレベルも高い。
     パトンゴの子どもたちは全力をつくします。
     紛争はいつ終わるかわかりません。しかし、彼らは誇りある部族の末裔なのです。
     部族の栄光であるウォー・ダンスを踊る彼らの顔には誇りと自信がみなぎっていました。

          子どもたち同様、首都カンパラの高層ビルに驚きました。
          パタンゴには土と草の小屋が並んでいただけなのに。

          これが戦争と平和ということなのですね。
          同じ国でありながら、他地域の子どもたちと比べると
          紛争が続く北部の子どもたちは自信なげに震える子犬のようです。
          107分の上映中にすっかりパタンゴの子どもたちに肩入れして、
          あの子たちの親戚のような気持になってしまいました。
          まずは親の死や友人の死を間近に体験しなければならなかった
          彼らの心が癒されることを祈るばかりです。
          ウォー・ダンスや教師たちの努力がそのための大きな力になりますように。
          そして一日も早くこの地に平和が訪れますように。

監督/ショーン・ファイン&アンドレア・ニックス・ファイン
キャスト
ドミニク、ローズ、ナンシー
11月1日東京都写真美術館にてロードショー

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# by mtonosama | 2008-10-20 07:18 | 映画 | Comments(6)
七夜待(ななよまち)
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(c)2008『七夜待』製作委員会

     河瀬直美という監督名に惹かれて「七夜待」を観にいきました。
     昨年「殯(もがり)の森」でカンヌ映画祭グランプリを受賞したあの監督です。
     授賞式の様子をテレビで見ましたが、
     ドレスも素敵で外国人たちの中でも臆することなく堂々としていて
     進化する日本女性を感じました。

          「七夜待」。なんとなく艶めいたタイトルのこの映画
          主役は長谷川京子、舞台はタイです。
          カンヌで新人監督賞を受賞した「萌の朱雀」(‘96)でも
          「沙羅双樹」(‘03)でも
          その舞台は河瀬監督の故郷である奈良だったのですが。

          それがなぜタイ?そして、なぜ、あの超美系の長谷川京子?
          腑に落ちないながらも
          スクリーンに広がるタイのむせかえるようなジャングルと
          肌にまとわりつく感じの湿気に圧倒されて見入ってしまいました。

      

      彩子30歳はひとりタイに来た。雑踏にもまれながら観光案内所を探し
      その職員が話すわかりにくい英語を必死に聞き取ろうとする。
      駅前に止まっているタクシーに乗り、宿泊予定のホテル名を運転手に告げた後
      疲労から寝入ってしまう。
      目を覚ました時、車は山道を走っていた。
      とっさに身の危険を感じ、荷物も持たず、彩子は車から逃げ出す。
       辿りついたのはジャングルにぽつんと建った一軒の民家。
      テラスも屋内も緑陰に蔽われたその家では
      アマリとトイのタイ人母子とフランス人が彩子を出迎えるが、言葉はまるで通じない。 
      ただ、アマリが施してくれるマッサージが
      ささくれ立った彩子の心と身体を優しくほぐしていくのだった…

           って、タイ古式マッサージの映画ですか。

      ジャングルと泥色の河の流れという亜熱帯特有の景色の中に
      時折挿まれる見慣れた日本の風景=奈良。
      ジャングルと奈良の寺が交錯し、彩子がタイにやってきた理由が暗示されますが
      はっきりとはわかりません。

           タイ語、フランス語。映画の中で彩子が遭遇する言葉の壁。
           これは俳優だけではなく、
           撮影現場でスタッフたちも体験したカオス状態だったということです。
           長谷川京子もフランス人俳優もタクシードライバーを演じたタイ人俳優も皆、
           監督から知らされるのはその日の行動だけ。
           セリフもなく、互いの関係も、物語の展開も知らされない中で
           演じなればならなかったといいますから、
           これはまさに筋書きのない人生といったものです。
           自分が俳優ではないことを心から感謝してしまいました。

     言葉も通じず、先行きのわからない人生を生きる人間たちの緊張を
     ゆるくほどいてくれるのがタイ古式マッサージということなのでしょうか?

     だとしたら、古式マッサージ。観るだけでなく、体験した方が良さそうです。

監督/河瀬直美、脚本/狗飼恭子 河瀬直美、撮影監督/キャロリーヌ・シャンプティエ

キャスト
長谷川京子/彩子、グレゴワール・コラン/グレッグ
キッティポット・マンカン/タクシー運転手、轟ネーッサイ/アマリ、轟ヨウヘイ/トイ

11月1日、シネマライズ、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
www.nanayomachi.com
# by mtonosama | 2008-10-13 06:11 | 映画 | Comments(8)