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殿様の試写室

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殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

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© 2008 (Buffalo Soldiers and On My Own Produzione Cinematografiche) – All Rights Reserved
セントアンナの奇跡
Miracle at St.Anna


スパイク・リー監督、3年ぶりの新作です。
でも、今までと作品のカラーがちょっと、いえ、かなり違います。
そうなんです。今回は第2次世界大戦イタリア戦線が舞台。

スパイク・リーといえば
常に黒人としてのアイデンティティを意識した作品を描いてきた社会派監督です。
「Do the Right Thing」とか「マルコムX」とか、黒人が主人公の作品をつくってきたし
人種差別と闘い続け、常にとんがった発言を繰り返してきました。

例えばクリント・イーストウッドの「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」には
黒人兵士が登場しないことをあげて
「彼は人種差別主義者だ」と非難したり。
トレードマークの丸いメガネはご愛嬌ですが、ちょっとヤンチャな監督さんという印象がありました。

そのスパイクが戦争映画を撮りました。
それも、かなり正統派の戦争映画ですから
意外に感じる方も多いのではないでしょうか?

        「父親たちの星条旗」「硫黄島からの手紙」には黒人兵がいない!と
        スパイクはこぶしを振り上げましたが
        実際のところ、硫黄島攻略当時
        黒人兵はアメリカ軍上陸部隊の1%にも満たなかったらしいのです。

        それにしても、第2次世界大戦を描いたハリウッドの戦争映画には
        黒人兵があまり出てこないのは確かですけれど。

そこで、「セントアンナの奇跡」です。
この映画の舞台となるイタリア・トスカーナは
ムッソリー二率いるイタリア軍が1943年連合国に降伏すると
ナチス・ドイツによって制圧され、激しい戦闘が展開された最前線でした。
そこに送りこまれたのが第2次世界大戦時に実在した黒人だけの部隊
第92歩兵師団“バッファロー・ソルジャー”です。

1944年8月12日。“セントアンナの大虐殺”という事件がありました。
ナチス・ドイツがトスカーナ地方にあるサンタンナ・ディ・スタッツェーナ市に暮らす
無実の一般市民たちを殺害した事件です。
物語はこの虐殺から生き残った一人のイタリア人少年と
バッファロー・ソルジャーの黒人兵士との出会いを通じて
とてつもなく感動的な展開を見せてくれます。

        原作はジェームス・マクブライドの”Miracle at St.Anna”。
        彼の叔父がバッファロー・ソルジャーの一員で、幼い頃に語ってくれた話を
        思い出しながら、現地調査を重ね、2003年に出版された小説です。
        ジェームス・マクブライドは本作では脚本も担当しています。

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   《ストーリー》
   1983年NY。
   初老の郵便局員が窓口に切手を買いにきた男を一目見るなり射殺。
   郵便局員には前科も借金もない。
   ただ、家宅捜査された彼の部屋から、大理石製の彫像の頭部が出てきた。
   それはフィレンツェのサンタ・トリニータ橋を飾っていたもので
   1944年ナチが橋を爆破した時から行方不明になっていたものだった。

   1944年イタリア。
   彼はトスカーナで戦っていた。
   所属部隊はバッファロー・ソルジャー。
   最も過酷な最前線に送り込まれる黒人だけの部隊である。
   彼を含む4人が偵察隊として潜入した先で怪我をした一人の少年を助けたために
   部隊とはぐれてしまう。

   少年を見捨てることのできなかった兵士はトレイン。
   心優しい大男だ。
   彼はフィレンツェで拾ってきた彫像の頭をいつも腰からぶら下げていた。
   少年を邪魔にする身勝手なビショップ。
   イタリア語が話せ、首から下げた十字架にキスをする信心深い無線兵のヘクター。
   リーダーは知的で思慮深いスタンプス。
   はぐれた4人は共に行動するしかなかった。

   4人は少年の治療と食料を求めて或る村に。
   レナータという英語が話せる女性とその家族が暮らす家に厄介になる。
   故国アメリカと違い、黒人だからと差別をしない村人たちと
   心安らぐひとときを過ごす兵士たちだった。
   だが、そんな彼らを待ち受けていたのは…

1984年から1944年へ。NYからトスカーナへ。時空を超えて展開する感動作。
そして、その時空の超え方が巧みなのです。

        水たまりの中を走る革靴が、宙に浮いた瞬間、
        それは戦場のぬかるみを進む兵士の軍靴に変わります。

        これぞ、映画の様式美!と思わず膝を打つうまさ。
        スパイク・リー、すごい。名匠になってしまったのですか?

ご安心ください。彼のあのとんがりは随所に顕在してますから。
「アメリカは俺たちを兵士としてここに送った。
ちょっと前なら雑用係か料理人しかさせなかった俺たちをさ」

と、戦時中にも露骨な差別をしたアメリカを非難することは忘れていません。

とはいえ、スパイク・リー監督。やはり少し変わったような気がします。

映画のラスト近くで、
アメリカ軍、虐殺されるイタリア市民、そしてナチの兵士が
それぞれの場所で、それぞれの言葉で、祈りをあげるシーンがあります。
次第に高まっていく祈りが
天に届くかのような
聖歌が人々を包み込むかのような
霊的で感動的な場面でした。

黒人も白人もない
司祭は自分は殺されてもいいから、市民を助けてくれという
ナチス・ドイツの兵士も一人の父親にかえりました
そして、祈ります。
政治利害が、民族が、人種がぶつかりあう戦場に流れる
英語、イタリア語、ドイツ語の祈り。
大いなる愛とでもいうべきものに心がふるえました。

スパイク・リーが変わったと感じたのはこのシーンのせいだったのかもしれません。

セントアンナの奇跡
監督/スパイク・リー、原作・脚本/ジェームス・マクブライト(原作本「Miracle at St.Anna」)
キャスト
デレク・ルーク/オーブリー・スタンプス二等軍曹、
マイケル・イーリー/ビショップ・カミングス三等軍曹、ラズ・アロンソ/ヘクター・ネグロン伍長、
オマー・ベンソン・ミラー/サム・トレイン上等兵、マッテオ・シャボルディ/アンジェロ少年、
ルイジ・ロ・カーショ/アンジェロ大人

7月25日(土)TOHOシネマズシャンテ、テアトルタイムズスクエア他にて全国ロードショー

http://www.stanna-kiseki.jp/

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# by mtonosama | 2009-07-01 06:54 | 映画 | Comments(20)
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                   (C)2008 Big Beach LLC.
サンシャイン・クリーニング
Sunshine Cleaning

サンシャイン?
チアリーダー?
真っ白な歯並び?
「ああ、わかった。わかった。アメリカ映画ね」
と素通りするそこのあなた
ちょっと、ちょっと待ってください。

確かに、アメリカ映画ですが、「サンシャイン・クリーニング」
結構イケるんです。

床はもちろん、天井にまで飛び散った血と肉片…
最初から視線釘づけのショッキングなシーンです。
あ、ここで引かないでください。
これからなんですから。

      冒頭でつかまった殿は最後までしっかりはまりました。
      〈映画はつかみが肝心〉の生き証人みたいなものです。

        《ストーリー》
        ハイスクールではチアリーダー。みんなのアイドルだったローズも30歳を過ぎ
        男児一人を育てるシングルマザー。仕事はハウスキーパーです。
        さらに不倫相手は大学時代の同級生ですし
        妹のノラはいまだに自立できない不器用女で、バイト先で逆ギレしてクビに。
        二人の父親ジョーは年金生活者ですが、あやしげなお菓子の訪問販売も。
        そして、ローズの息子小学生のオスカーは、いうところの問題児で
        「窓際のトットちゃん」ならぬ《窓際のオスカー》に。
        (ええ、小学校を放校になりまして)
        家族の窮状を救うため、妹・ノラと一緒に始めた商売は
        なんと事件現場のハウスクリーニングだったのです…

ローズがハウスキーパーとして仕事に向かった先は
なんと高校時代の同級生の邸宅。
彼女、結構なキャリアの持ち主で、亭主もエリート。
まずは、ここで卑屈になりますよね。ふつう。
でも、かつてのアイドルとして、弱みは見せない。
「プロのハウスキーパーとして自信持ってるのよ」的、強気の会話で
その場をきりぬけるところが、なんともしみじみさせてくれます。
ローズを演じるエイミー・アダムス、いい味出してます。

高校時代の同級生って、懐かしいし、会えば、楽しいんだけど
30代くらいだと、ちょっと複雑…
結婚、仕事、夫、子どもetc.etc.
比較の対象が高校時代より、う~んと増えているから
当時のクラスメートとの位置関係にはかなりのズレが生じてきます。

でも、そこで、俯いていちゃあ、女としての沽券に係わる。
相手がセレブだろうと、良い仕事持っていようと
自分のおかれた状況にいまいち納得できていなくとも
女なら、きっちり太刀打ちしなけりゃなりません。
女の道は真剣勝負なんですもの。

     って、ローズ…
     いいなぁ、好きだなぁ。

さて、目を姉妹関係に転ずれば
「ねえ、ローズ。そこまでノラのことを背負いこんであげなくてもいいんじゃない?」
と言いたくなるその長女体質。
でも、わかるんです。これ。同じ長女として。
「私がしっかりしないとこの場を切り抜けることはできないのっ」
と無根拠に勢いこんでしまう悲しき長女のさが。
うなずいていただける長女の方、いらっしゃいます?

洋の東西を問わず、屈折した女の道を
クリスティン・ジェフズ監督と脚本のメ―ガン・ホリーという女性コンビが
さらりと描いています。
「わかる、わかる」とこの監督も苦笑いしながら撮ったんじゃないかな、と思えてきます。
ジェーン・カンピオンに続くニュージーランド出身の監督ですが、良い映画を撮ってくれました。

        メ―ガン・ホリーはラジオ番組に登場した死体現場清掃業者の話を聞き
        興味を持ったのがこの脚本を書いたきっかけなのだそうです。
        清掃業者は現場をかたづけるだけではなく
        遺族の心のケアも提供することに感心したのだとか。
        アメリカ版「おくりびと」ってとこですね。

失敗続きのローズとノラ。
どうなることかと、心配したけど
肉親の死でも、他人の死でも、死と真剣に関わっていると
人間変わっていくものなのかもしれません。

サンシャイン・クリーニング
監督/クリスティン・ジェフズ、脚本/メ―ガン・ホリー
キャスト
エイミー・アダムス/ローズ、エミリー・ブラント/ノラ、スティーブ・ザーン/マック、
アラン・アーキン/ジョー(父)
7月11日(土)より、シネクイント、TOHOシネマズシャンテ他にてロードショー
http://www.sunshine-cleaning.jp

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# by mtonosama | 2009-06-26 06:16 | Comments(10)
それでも恋する
バルセロナ

Vicky Christina Barcelona

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      (C)2008 Gravier Productions, Inc. and MediaProduccion, S.L.

バルセロナって絵になります。まだ行ったことはありませんけど…
サグラダ・ファミリアやグエル公園。
青い空とあの建造物。夏のバルセロナ。

絵どころか、映画になっちゃいました。
それもウディ・アレン監督です。
    ウディ・アレン?

    ウディ・アレンといえばNY、そして、NYといえばウディ・アレンです。
    バルセロナと彼との取り合わせには?!

    好悪が分かれるところでしょうが
    バルセロナを十分に満喫できることは保証します。
    だって、ウディ自身
    「脚本を書き始めた段階から
    バルセロナをキャラクターの1人にしたような物語にしたいと思っていた」

    と言っているくらいですから。

彼は監督作品だけで40本近く撮っていますし
たまにはNY以外の舞台で映画を撮ってみたくなったのでしょうか?
「バルセロナという街が大好きで、敬意を表したかった」
とも言っていますしね。
案外、このミスマッチが楽しかったりするのかもしれません。

今回はウディお気に入りの最近のミューズ、スカーレット・ヨハンソンに加え
ペネロペ・クルス、ハビエル・バルダムという濃厚なスペイン人俳優が
映画を盛りたてます。
あ、忘れちゃいけない。いかにもウディ・アレン好みのレベッカ・ホールも
NYのインセンスを漂わせていますよ。

                
《ストーリー》
バルセロナ・プラット空港に到着したヴィッキーとクリスティーナ。
        憧れのバルセロナでバカンスを過ごします。
        この2人、親友ですが、恋愛観は正反対。
        ブロンド・ゴージャス美女のクリスティーナは情熱的な恋を求めるタイプ。
        まじめでクールなヴィッキーが男性に望むものは誠意と安定。
        既に婚約だってしています。

        ヴィッキーの親戚の家に滞在し、ガウディの建築やミロの作品に酔いしれる2人。
        ある晩、パーティで画家のフアン・アントニオと出会います。
        男性的な魅力を発散する彼は、最近、元妻に殺されかけたばかり(!)。
        ヴィッキーは眉をひそめますが、クリスティーナは興味津津。
        パーティの後、深夜のレストランで2人は偶然フアン・アントニオと再会。
        彼は2人をオビエドへの小旅行に誘います。

        オビエドで楽しい時間を過ごした3人。
        ですが、彼と関係を持ったのはなんと婚約中のヴィッキー。
        彼とのひと時を忘れられなくなってしまいました。
        ところが婚約者のダグがバルセロナにやってきて、早く結婚しようと言い出します。

        一方、クリスティーナもフアン・アントニオとめくるめく時間を持ち
        一緒に暮らすことに。
        芸術家の恋人として、満ち足りた日を過ごすクリスティーナでしたが
        そこへフアン・アントニオの元妻マリア・エレーナが転がり込んできて…

と、まあ、なんともドタバタした恋愛コメディです。

「望まないものはわかるけど、望むものはわからないの」
と、いつも何かを追いかけているクリスティーナ。
人生設計は完璧のヴィッキー。
「人生は無意味だから楽しむべきだ」と本能全開のフアン・アントニオ。
すばらしい才能を持っているのに、その激しすぎる性格ゆえに
周囲を傷つけ、自分も傷つくマリア・エレーナ。

良いものが悪くて、悪いものが良い…
とかく人生って思った通りにはなりません。

3人のまったく性格の異なる女たちと
「今が楽しければいいのさ」とその調子良さと優しさゆえに
いつも泥沼に足をとられている男の織りなす物語。
さて、ウディ・アレンはもうひとりのキャストであるバルセロナに
どんな役割を演じさせているのでしょうか。


それでも恋するバルセロナ
脚本・監督/ウディ・アレン
キャスト
レベッカ・ホール/ヴィッキー、スカーレット・ヨハンソン/クリスティーナ
ハビエル・バルデム/ファン・アントニオ、ペネロペ・クルス/マリア・エレーナ、クリス・メッシ―ナ/ダグ
配給/アスミック・エース
6月27日(土)丸の内ピカデリーほか全国ロードショー
http://sore-koi.asmik-ace.co.jp/


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# by mtonosama | 2009-06-21 05:52 | Comments(14)
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                  (C)オフィスフォープロダクション

BASURA
バスーラ


《バスーラ》とはタガログ語で「ゴミ」の意味です。

以前、フィリピン・マニラ近郊のスモーキーマウンテンというゴミ捨て場の町が
話題になったことを覚えておいででしょうか?

        スモーキーマウンテンは1950年代中頃から約40年間にわたって
        首都マニラの北にあった巨大なスラムです。
        もともとは漁村だったこの場所に
        マニラ市内のゴミがすべて運び込まれて出来上がった
        21ヘクタール、高さ30メートルの巨大なゴミの山。
        持ち込まれるゴミは分別などされておらず
        病院から出されたゴミには手術で切り落とされた人間の手足が
        混じっていることも。

        スモーキーマウンテンの名はゴミから発生するメタンガスが自然発火して
        年中この山から煙が立ち上っていたことに由来しています。
        そこにはガラス瓶、アルミ、鉄、段ボールなど再利用可能なゴミを拾い
        転売して生活をたてる3000世帯、2万人以上の人々が暮らしていました。
        彼らはスカベンジャーと呼ばれています。

スモーキーマウンテンが話題になった背景に
四ノ宮浩という監督の名があったことを覚えていらっしゃる方も
多いのではないでしょうか。

忘れられた子供たち スカベンジャー」(‘95)
神の子たち」(’01)。

いずれもゴミの山を舞台に生きる子供たちを撮影した
四ノ宮監督によるドキュメンタリー映画です。

20数年前、知人のすすめで訪れたフィリピン・スモーキーマウンテンで
出会った子ども達から感動と衝撃を受けた監督が
6年の歳月をかけて完成させたのが
「忘れられた子供たち スカベンジャー」でした。
本作「BASURA」は前作で出会った子ども達のその後を訪ね
マニラの今とゴミをめぐる問題を追った四ノ宮監督8年ぶりの作品です。

        《ストーリー》
        2006年マニラ。
        商店街の軒下でホームレスの家族が身を横たえ
        子どもたちは学校にも行けず、ゴミをあさっている。
        人々はまじめなのに貧しく、子ども達はシャイで人なつっこい。
        マニラは20年前に四ノ宮浩が初めて訪れたときとなにひとつ変わっていなかった。
        ただ、スモーキーマウンテン周辺には新しい建物が整然と並んでいるのが
        大きな変化か。
        この町が貧困の象徴として注目されたことを恥じた当時のラモス大統領が
        1995年スモーキーマウンテンの閉鎖を決め、
        住民を強制退去させた跡地に、永住住宅を建設したのである。
        政府が建てたその住宅の名はパラダイスハイツ。

          「忘れられた子供たち スカベンジャー」:16歳で結婚・出産し
          生まれてきた長男の病気治療のためにスモーキーマウンテンで
          必死に生きていたクリスティーヌ。

        彼女も35歳になり、家族6人でこのパラダイスハイツに暮らしていた。
        もうすぐ5人目の子どもが生まれようとしている。
        夫も長男も職を得て、もうゴミ拾いはしていない。
        努力が報われたように見える…

          「忘れられた子供たち スカベンジャー」:地方では仕事がなく、家族5人
          でマニラにやってきたイルミナーダ(43歳)も、結局スモーキーマウンテンへ。
          夫が病死してからは幼い3人の子どもたちと一緒にゴミを拾っていた。

        彼女は61歳になり、故郷のミンダナオ島でお手伝いさんをしながら
        娘と暮らしていた。
        しかし、一家の稼ぎ手としてゴミを拾っていた当時13歳だった長男の姿がない。
        留置場で殺されたらしい。26歳だった。
        次男も行方不明だという…

        《フィリピンのゴミ集積場はスモーキーマウンテンだけではない》

        一時集積場でスカベンジャーたちが選別したゴミの残りは
        海上にある最終処理場に運ばれる…

映画は、地元漁師によるゴミ海中投棄目撃談も撮影しています。
大変な環境汚染です…

監督は、この映画を涙目で見るな、と言います。
しかし
こんな人生があっていいのでしょうか?
ゴミの中で生まれ、ゴミを拾うことでしか生計をたてられず
ゴミの中で死んでいく人々。

     2000年7月「神の子たち」がクランクインしてすぐに
     パヤスタのゴミ捨て場で崩落事故が起きました。
     犠牲者は200人と報道されましたが
     実際にはもっと多くの人がゴミにつぶされて犠牲になりました。

映画は予定調和のようになんとなくハッピーエンドで終わります。
だけど、どうしても残る消化不良感。
それは、多分このゴミ捨て場の町に堆積する貧困がなにひとつ解決されてないからなのでしょう。

     この日、四ノ宮監督が上映後に挨拶しました。
     当日の試写会場には団体観賞する高校生の姿がありました。
     (新型インフルエンザで大騒ぎしている頃でしたが)
     映画の中では各国からやってきた若い人たちがボランティアとして働いていました。
     監督は若い世代に大きな期待をかけているようです。

     若くはなくてもなにかできることはないものか、と思った殿です。

BASURA
監督・編集/四ノ宮浩
6月27日(土)より4週間、東京都写真美術館ホール(恵比寿ガーデンプレイス内)で
ロードショー(月曜休映:月曜が祝日の場合、その翌日が休映)

忘れられた子供たち スカベンジャー
6月27日(土)~7月3日(金)/11日(土)~17日(金)
神の子たち
7月4日(土)~10日(金)/18日(土)~24日(金)
旧作品はいずれも当日券のみ。一般・学生とも1,000円。
(旧作品は平日14:40、土日祝16:30の回のみ上映)

☆「若い人にぜひ観てほしい」という監督の意向により
高校生以下は3作品とも無料です。劇場窓口で学生証を提示してくださいね。

basura-movie.com

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# by mtonosama | 2009-06-16 04:38 | Comments(10)
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           (C)2007 Visitor Holdings, LLC All Rights Reserved

扉をたたく人 
The Visitor


映画館でどんな人が隣に座るか、ということ。
結構、映画観賞気分に影響しますよね。
その日、殿の隣に座った人はやたらよく笑うおにいさん。
「ちょいとおにいさん、そこで笑われると興がそがれるんですけど」
と不機嫌まるだしの殿でした。

が、しかし…
「扉をたたく人」。
なんてすばらしい映画でしょう。
    〈しみじみ〉あり
    〈にんまり〉あり
    〈大笑い〉あり
    〈「こんなことあり!?」の怒り〉あり
隣のおにいさんもだんだん気にならなくなっていました。

監督は俳優でもあるトム・マッカーシー。
「父親たちの星条旗」(‘06)で、主人公の息子を演じた人です。
本作では脚本も書いていますが
このトム・マッカーシーが
「脚本を書き始めた早い時点で、私の頭の中には彼が浮かんでいました」
と言うのがリチャード・ジェンキンス。

現在ハリウッドでもっとも多く出演依頼を受ける実力俳優で
名脇役として欠かせないリチャード・ジェンキンス。
でも、とても地味な俳優で、顔と名前がなかなか結びつきません。

         「ハンナとその姉妹」(’86)、「バーバー」(‘01)、「ディボース・ショウ」(’03)
         「Shall We Dance?」(‘04)、「バーン・アフター・リーディング」(’08)など
         コーエン兄弟の作品や多くの話題作にも出演しているのですけど。

         そういえば「バーン・アフター・リーディング」で
         整形美容願望のフィットネスクラブの従業員フランシス・マクドーマンドに
         ひそかに恋するマネージャーをやってたっけ
         と思いだしました(一番最近観た映画だから覚えていなくちゃね)。
         この影の薄さこそ、彼の持ち味。
         いかなる映画においても、空気のようにそこにいて
         空気のように欠かせない存在なのです。

         56歳にして初主演した本作でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされ
         一番驚いたのは本人だったでしょうね。
         リチャード・ジェンキンス自身、こんなエピソードを話しています。
         「『あなたは俳優でしょ?』と尋ねられて、『そうですよ』と答えると、
         『うそに決まっている!』と返されることも多いね(笑)」
   
         http://cinematoday.jp/page/N0013604

さて、「扉をたたく人」。いったい、どんなお話なのでしょうか?

2001年9月11日以来
NYは海外からの移民(この言葉、なんか冷たい感じがしてイヤですが)に
扉を閉ざしました。
それは既に国内に住む移民に対しても同じでした。
難民申請をし、アメリカの学校を卒業した人なら
以前はもっとゆるやかに合法的な存在とされたものです。
ですが、9.11以降
疑心暗鬼と不寛容と保守の空気がNYにも確実に蔓延していました。

      〈ストーリー〉
    62歳のウォルターはコネティカットの大学で経済学を教えています。
    5年前妻を亡くして以来、誰とも関わりを持たない孤独な日々を送っていました。
    ある日、彼は同僚の代理で学会に出席するためにNYへ行くことに。
    久しぶりにマンハッタンにある自分のアパートにやってきました。
    ところが、部屋の様子がどこか違います。扉をたたいては内部を確かめるウォルター。

    浴室の扉を開けたとき、そこには見知らぬ女性の姿が!
    息をのむウォルター。
    悲鳴を上げる女性。
    その悲鳴を聞きつけ、恋人が駆けつけてきました。
    殴られそうになりながらウォルターは「自分はこの部屋の持ち主だ」と必死に説明します。
    シリア出身の移民青年タレクとセネガルからの移民女性ゼイナブ。
    この若いカップルは悪い奴に騙されてウォルターの部屋とは知らず
    住み始めたばかりだったのです。
    二人は「警察だけは呼ばないでくれ」と言い残し、素直に部屋を出て行きました。
    ウォルターはなんとなく彼らのことが気になって後を追います。
    結局、途方に暮れていた二人をアパートの部屋に泊めることになりました。

    タレクはジャンべというアフリカン・ドラムの奏者でした。
    なぜかその楽器にひきつけられたウォルター。
    陽気なタレクが奏法を教えてくれました。
    親子ほども歳の離れた二人が楽器を通してだんだん友情を深めていきます。
    セントラルパークで行われたジャンべ・ライブにおずおずと加わり
    かつて味わったことのない昂揚感に酔いしれるウォルター。
    ところが、その後、とんでもないできごとが…

「9・11以降、この国が(…)不法滞在者たちをどのように扱っているのか、
という疑問が本作の物語へ導いた」

と語るトム・マッカーシー監督。
そこに、仕事への情熱も生きる目的も失い、惰性で生きている初老の大学教授
というキャラクターが結び付きました。

移民青年でパーカッショニストのタレク。そして、気難しい大学教授のウォルター。
出会いそうもない二人が出会うことによって、不協和音が協和音に変わり
さらに新しい出会いが生まれ、ジャンべのリズムが孤独な心を解きほぐします。

   ここちよい出会いやふれあいでしみじみしているところへ
   突然、国家権力の無情さがつきつけられます。
   タレクの母が叫ぶ「この国はシリアと同じ!」の声が突き刺さります。

至福の高みに押し上げられ
絶望の底につきおとされ
一人の人間の心が蘇っていく過程がアフリカン・ドラムのリズムを背景に
描き出されます…
アメリカの良心が戻ってきたのかな、と思わせてくれる映画であり
《歳の差》愛ならぬ《歳の差》友情
異国出身者に対する人間としての優しさや思いやり
9.11以降アメリカが失っていたものをそっと差し示してくれる映画でもあります。

    アメリカでは封切り時わずか4館だった上映館が最終的には270館まで拡がり
    6か月にわたってロングランされたというのも納得できます。


扉をたたく人
監督・脚本/トム・マッカーシー
キャスト
リチャード・ジェンキンス/ウォルター・ヴェイル、ヒアム・アッバス/モーナ、ハーズ・スレイマン/タレク、
ダナイ・グリラ/ゼイナブ、マリアン・セルデス/バーバラ・ワトソン、リチャード・カインド/ジェイコブ、
マイケル・カンプスティ/チャールズ
6月27日(土)、恵比寿ガーデンシネマにて公開
www.tobira-movie.jp

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   ♡開催予定日:8/1(土)、8/29(土)※以降は、お店にお問い合わせください。
   ♡半券有効期限:2009年12月28日(月)
   ♡電話:03-3842-6042 www.komakimusic.co.jp


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# by mtonosama | 2009-06-11 06:14 | 映画 | Comments(6)