燈火(ネオン)は消えず
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ALight Never Goes Out
(C)2022 A Light Never Goes Out Limited All RightsReserved
アナスタシア・ツァン監督。
本作が
長編映画デビュー作となる
ソルボンヌ大学映画学部卒業
の監督で脚本家です。
彼女が本作を撮影した時
香港には既に
ネオンサインが
無くなりかけていました。
そこで
過去の記録映像やCGを
使って再現したり
ネオン職人の監修で
新たにネオンサインを
作り直して
あの頃のネオン風景を再現。
管理人のような外国人
のみならず
香港人にとっても
あのガラス管の
ネオンサインは
香港の象徴であり
懐かしい存在なのだ
と思います。
それでは
お話に入りましょう。
ストーリー
腕利きのネオン職人だった
夫のビルが亡くなった。
ガラス管を
バーナーで熱して成形。
そこに不活性ガスを入れ
電流を通して放電させる。
ネオンサインは
職人の高度な技術力を
必要とする製品だった。
現在ではアクリル製で
割れにくく、
経済的で使い勝手も良いLEDが
世界的に主流となった。
だが、亡夫ビルは
古き佳き時代の
ガラス管のネオンを
こよなく愛していた――
夫を偲びながら
妻メイヒョンはかつてSARSが
香港を襲ったとき
彼にネオンの仕事を廃業
させたことを悔やんでいた。
ある日
メイヒョンは
「ビルのネオン工房」
と書かれた鍵を見つけた。
10年以上前に廃業した工房
を訪ねると
そこで見知らぬ青年と
鉢合わせする。
問いただしてみると
彼の名前はレオで
夫の弟子だという。
レオに夫の死を伝え
工房はもう閉めると
告げるメイヒョン。
ところがレオは
師匠にはやり残したネオンが
あるので
それを完成させるまでは
閉めないでくれと
懇願するのだった。
メイヒョンは
夫がやり残したという
ネオンを探し出し
完成させようと決心する。
レオに教わりながら
火傷し、傷だらけになって
ネオン作りの修行を始める。
しかし
一人娘から香港を離れて
婚約者と海外へ移住すると
告げられるメイヒョン。
果たして
ビルがやり残したという
ネオンを完成させることは
できるのだろうか……
ネオンサインの制作は
職人の高齢化や後継者問題、
安くて使い勝手の良い
LEDの進出で消滅の一途を
辿っています。
日本でも現在は
全国で職人は50人程しか
いないと言われています。
SDGsの当世
ガラスのネオンサインは
時代に合わないのかも
しれませんが、
やはり自由で華やかだった
香港を象徴するのは
ガラス管のネオンサイン
なのです。
はい
そういう政治的な映画
ではありません。
でも、ネオンの規制をはかる
お上に対して
ビルの屋上から逆らう
メイヒョンの姿に
ネオンサインに重ね合わせた
香港人の気概をどうしても
感じてしまいます。
愛と気概に満ちた
良い映画でした。
終
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☆2024年1月13日に更新しました。
被災地のいち早い復旧をお祈り申し上げます。
燈火は消えず
監督・脚本/アナスタシア・ツァン、撮影/リョン・ミンカイ、プロデューサー/サヴィル・チャン、美術/アレックス・モク
出演
シルビア・チャン/メイヒョン、サイモン・ヤム/ビル、セシリア・チョイ、ヘニック・チャウ
2024年1月12日(金)よりBunkamuraル・シネマ渋谷宮下ほか全国順次公開
2022年、103分、香港、配給/ムヴィオラ