ブログトップ | ログイン

殿様の試写室

mtonosama.exblog.jp

殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

タグ:あなたを抱きしめる日まで ( 2 ) タグの人気記事

あなたを抱きしめる日まで -2-
Philomena

f0165567_632068.jpg

(C)2013 PHILOMENALEELIMITED, PATHEPRODUCTIONSLIMITED, BRITISHFILMINSTITUTE AND BRITISHBROADCASTING CORPORATION. ALLRIGHTSRESERVED


実は本作の背景にはアイルランドのカトリック修道院による赤ん坊売買があります。
こうした話はこれまでにも映画化されていまして、
当試写室でも2012年4月に「オレンジと太陽」(ジム・ローチ監督)
http://mtonosama.exblog.jp/17380409/ http://mtonosama.exblog.jp/17391816/
を上映しています。
こちらは1896年から1970年代にかけて行われていた「児童移民制度」を描いた映画で
社会派監督ケン・ローチの息子ジム・ローチらしく極めてシリアスなものでした。

本作の監督はスティーヴン・フリアーズ。
イギリスを代表する映画監督で今年73歳を迎えます。
「わたしの可愛い人 シェリ」(09)の監督です。
http://mtonosama.exblog.jp/14516305/ http://mtonosama.exblog.jp/14535505/

同じ英国の監督であり、
いずれも親子の別離を描き、ひき裂かれた親も子も大きな心の傷を負って生きる
ということが背景になっていながらこうまで違った風合いの映画になるとは!
なんとも興味深いことであります。
映画のエクリチュールとでも申しましょうか。
文体の違いは大きな作風の違いにも通じるのですね。

f0165567_637445.jpg

いきなりネタばれ全開で申し訳ございません。
しかし、常々公言するごとく、映画はストーリーのみにて成り立つのではあらず、
という持論を持つとの。
え?公言してませんでしたっけ?
じゃ、ただいまをもって公言いたします。

映画は総合芸術であり、ストーリーが良くても、映像が悪ければダメだし、
映像が良くても俳優が悪ければダメ。
全てが良くても、それを観る時の体調や気分が悪ければダメ。
あらゆる環境が整って初めて感動を味わうことができるものです。
映画とはまさに一期一会なのであります。

と、居直り的な言辞を弄してしまいましたが、ま、その辺はご容赦ください。

次にまいりましょう。
ストーリーです。


ストーリー
フィロミナは長年看護士を務め、今は悠々自適の身。
ロマンス小説をこよなく愛し、娘と暮らす年金生活者。
だが、その日、彼女は心が晴れなかった。
古い写真を手にため息をつく彼女に娘のジェーンは声をかける。
「その子は誰?」
「今日はあの子のお誕生日。50歳になるのよ」
フィロミナは隠し続けていた秘密を語り始める。

1952年、アイルランド。
10代のフィロミナは未婚のまま妊娠。
幼い頃に母を亡くし、男女のことを誰からも教わったことのない彼女は
誘われるままに若い男と関係を持ってしまったのだ。
フィロミナは家を追い出され、修道院に入れられる。そこには同じような境遇の女の子たちがいた。
彼女は修道院で男児を出産し、その後、朝から晩まで修道院の洗濯女としてお礼奉公させられたのだという。

母の告白に驚いたジェーンはパーティ会場で出会った元ジャーナリストのマーティンに
母の体験が記事にならないかと持ちかける。
政府の広報担当を辞めさせられたばかりのマーティンはそんな三面記事など書かないと一蹴。
だが、思いなおしたマーティンは契約していた編集社にネタを持ちかけ、
数日後フィロミナお気に入りのファミレスで面会。
食事の好みもジョークもまったくかみ合わない2人だったが、
彼女の修道院での体験に目の色が変わるマーティン。

修道院では毎日朝から晩まで休みなく働かされ、
アンソニーと名付けた息子に会えるのも1日1時間だけ。
そして、3歳になったある日、アンソニーは突然養子に出される。
泣いて後を追ったフィロミナは息子を抱きしめることも別れのキスもできなかった。
修道院を出た後、何度居場所を問い合わせても応えはなかった――

マーティンのジャーナリスト魂に火がついた。

イギリスからアイルランドの修道院へ2人の道中が始まる。
彼女はお菓子を買いこみ、マーティンが借りてきた車に旅のお守りをぶら下げる。
修道院に到着。懐かしくもあり、悲しみのつまる場所だ。
10代のフィロミナに辛くあたったシスター・ヒルデガードには会えなかったが、
別のシスターが当時の記録は火事で焼けてしまったと告げる。
その代わりに1通だけ残っていたという宣誓書を手渡す。
そこには「アンソニーに対する全ての権利を永久に放棄する」と書かれ、
フィロミナの署名もあった。
それは信心深いフィロミナが神の罰を受けようと自ら署名したものだった。
だが、都合の良い書類だけが残されていることに不信感を抱くマーティン。

その後、修道院の近所のパブで怒りをぶちまけるマーティンに
バーテンがとんでもない事実を教えてくれた。
修道院の言う火事とはシスターたちが裏庭で記録を焼いたことだというのだ。
そして、その記録というのはアメリカ人に赤ん坊を1人1000ポンドで売っていたことだと――

燃えるジャーナリスト、マーティン。彼がフィロミナに提案したのはアメリカへ行くこと!
BBC、ワシントン支局に駐在していたマーティンには有力なコネもあるし、
費用は編集社から出してもらえる。
アメリカ旅行どころか飛行機も乗ったことのないフィロミナは大興奮。
アメリカにはいかなる運命が待ちうけているのか……

修道院でひどい目にあわされているにもかかわらず信心深い普通のおばちゃんフィロミナ。
いけすかない英国インテリのマーティン。
性格も趣味も生活環境もまったく異なる2人。
この2人の繰り広げる珍道中がサスペンスフルでありながら、
英国風のシニカルな笑いやらユーモアが見え隠れし、楽しくもあるんです。

絵に描いたように典型的ないやみ男マーティンが
フィロミナとのつきあいで次第に変わっていく様子には笑ってしまいます。

ロマンス小説のあらすじを延々と語り続けるフィロミナも相当どうしようもないおばちゃん。
でも、いざという時にはしっかりと対応できるところはさすが元看護士さん。

彼女を待っていた結末はしんどいものだったけれど、
それを忘れさせるくらい、3歳以降の息子の記憶や仕事を知ることができました。
彼女自身、新しい友人と息子のパートナーとの交流も始まりました。
奪われていた過去を取り戻すことができたんです。

長い人生にはいろいろなことが起こります。
それを追体験することは大変な勇気が必要だけれど、
その結果として得るものも大きいですね。
歳をとるって、人生を生き直す勇気と知恵を獲得するものなのかもしれません。

2人の名優によって人生の素晴らしさを楽しむことができました。
生きていてこその人生です。
良い映画でした。





今日もポチッをお願いしてよろしゅうございましょうか。
↓↓↓↓↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆3月7日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

あなたを抱きしめる日まで
監督/スティーヴン・フリアーズ、脚本/スティーヴ・クーガン、ジェフ・ポープ、撮影監督/ロビー・ライアン
出演
ジュディ・デンチ/フィロミナ・リー、スティーヴ・クーガン/マーティン・シックスミス、ソフィー・ケネディ・クラーク/若き日のフィロミーナ、アンナ・マックスウェル・マーティン/ジェーン、ルース・マッケイブ/バーバラ修道院長、バーバラ・ジェフォード/シスター・ヒルデガード、ケイト・フリートウッド/若き日のシスター・ヒルデガード、ピーター・ハーマン/ピート・オルソン、メア・ウィニンガム/メアリー、ミシェル・フェアリー/サリー・ミッチェル
3月15日(土)新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー
イギリス、2013年、カラー、98分、日本語字幕/松浦美奈、後援/ブリティッシュ・カウンシル、提供・配給/ファントム・フィルム
http://www.mother-son.jp/

by Mtonosama | 2014-03-07 06:59 | 映画 | Comments(16)
あなたを抱きしめる日まで –1–
Philomena

f0165567_6504235.jpg

(C) 2013PHILOMENALEELIMITED,PATHE PRODUCTIONS LIMITED,BRITISHFILMINSTITUTE AND BRITISHBROADCASTING CORPORATION.ALLRIGHTS RESERVED


映画スターに似ているといわれることは嬉しい場合もあるけれど、
それはやはりそのスターが誰かということによりますよね。
ジュディ・デンチだったらどうでしょう。
彼女の年齢を考えれば、似ているといわれることはビミョーでしょうか。
でも、友人に彼女にそっくりな人がいます。
顔とか年齢というより、その存在感が似ているので、
ジュディ・デンチの映画を観た後はいつも「あなたが出てる映画、観てきたよ」と報告します。
彼女は怒ることもなく、かといって大喜びすることもなく「そう」と応えます。

前置きが長いですよね。

「あなたを抱きしめる日まで」。
例のごとく、邦題は「なんとかなりません?」な感じです。
オリジナルタイトルはPhilomena。フィロミナ。主人公の名前であります。
50年前に生き別れた息子を捜すアイルランドのおばさんフィロミナ。
彼女を演じたのがジュディ・デンチなのですが、
きっとこの映画を観たらジュディ・デンチ似の全ての人が大喜びすると思います。
誇らしくなるとも思います。

f0165567_659622.jpg

いや、なんとも良い映画なのです。
なんか心がほっこりするというか、
悲しいお話なのに笑えるし、
深刻なテーマなのに暗くなりません。
「ああ、いるいる。こんなおばさん」とクスクス笑いながらも、
人生の山坂に想いを馳せます。

やはりジュディ・デンチの名演あっての佳作であります。
そして、ジュディ・デンチとコンビを組んだスティーヴ・クーガンがまた良い!

話はちょっと飛びますが、3月3日アラン・レネ監督が亡くなりました。
彼は「俳優は尊敬すべき魔術師だ」という言葉を遺しましたが、
恐れながら、わたくしめもジュディ・デンチとスティーヴ・クーガンにこの言葉を捧げたいと思います。

この映画、こった作りが目につくというわけではありません。
丁寧につくり、よくできた脚本があり、良いキャスティングをし、
すばらしい俳優が最高の演技をするとこういう映画になるのだろうという作品です。

あ、また熱くなってしまったでしょうか。反省、反省。
どんな経緯で映画になったのかをご紹介しなくてはなりませんでしたよね。失礼しました。

f0165567_705098.jpg

2009年、イギリスでアイルランド人の主婦フィロミナの実話が出版されました。
10代で未婚の母となり、3歳になったその子を奪われた彼女が
今は50歳になっている筈の息子を捜しにはるばるアメリカまで行くというお話です。
とあるジャーナリストをまきこみ、スパイ映画のような謎解きを経て真実に至る・・・
というのですが。

実話でありながら、スリリングな展開があり、
はたまた開いた口が締まらない驚くべき出来事もあり、素直に楽しんでしまいました。

おっと、ここでばらしていてはいけません。
さあ、どんなお話かは例のごとく次回までお待ちいただくことといたしましょう。
乞うご期待でございますよ。



今日もポチッとお願いできればうれしいです♪
↓↓↓↓↓
にほんブログ村 映画ブログ 新作映画・試写会へ
にほんブログ村
☆3月4日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

あなたを抱きしめる日まで
監督/スティーヴン・フリアーズ、脚本/スティーヴ・クーガン、ジェフ・ポープ、撮影監督/ロビー・ライアン
出演
ジュディ・デンチ/フィロミナ・リー、スティーヴ・クーガン/マーティン・シックスミス、ソフィー・ケネディ・クラーク/若き日のフィロミーナ、アンナ・マックスウェル・マーティン/ジェーン、ルース・マッケイブ/バーバラ修道院長、バーバラ・ジェフォード/シスター・ヒルデガード、ケイト・フリートウッド/若き日のシスター・ヒルデガード、ピーター・ハーマン/ピート・オルソン、メア・ウィニンガム/メアリー、ミシェル・フェアリー/サリー・ミッチェル
3月15日(土)新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー
イギリス、2013年、カラー、98分、日本語字幕/松浦美奈、後援/ブリティッシュ・カウンシル、提供・配給/ファントム・フィルム
http://www.mother-son.jp/

by Mtonosama | 2014-03-04 07:05 | 映画 | Comments(16)