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ある愛へと続く旅 -2-
Twice Born

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(C)Alien Produzioni / Picomedia /Telecinco Cinema/ Mod Producciones 2012


本作の監督セルジオ・カステリットは言っています。

「映画は“空想の産物”とはいえ、サラエヴォ包囲に代表される旧ユーゴスラヴィアで起きた戦闘は目を背けられぬ真実であり、今なおレイプや当時の記憶が戦火を生き抜いた人々の目から読みとることができます。“真実の”映画は写実的である必要はありませんが、それでも道徳的なストーリーを持ち、感動的なドキュメンタリーで
あり、心理を描写したルポルタージュであるのです」


監督と共に脚本を担当したのはマルガレーテ・マッツアンティーニ。
本作の原作(”VENUTO AL MONDO”)も書いた彼女は、監督の奥さんです。
さらに――
ペネロペ・クルス演じるジェンマの息子ピエトロを演じたのは監督夫婦の実の息子であるピエトロ・カステリット。
線が細い反抗期の少年を好演しました。

かつて(といっても、まだ20年ほどしか経っていないのですが)
戦場だったサラエヴォ、モスタル、クロアチアで撮影された本作。
それにしても、こんなに美しい場所が戦場だったのですね・・・


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ストーリー
優しい夫と難しい年頃の息子ピエトロとローマに暮らすジェンマ。
ある日、彼女に1本の電話がかかってきた。
それは青春時代を過ごしたサラエヴォに住む友人ゴイコからだった。
ジェンマは16歳になる息子ピエトロを伴い、自らの過去を訪ねる旅に出かける。

――20年以上前サラエヴォに留学していたジェンマは友人のゴイコに
アメリカ人カメラマン・ディエゴを紹介された。
ひと目で恋に落ちたジェンマとディエゴ。
二人は結ばれ、ローマで新婚生活を送る。
幸せな二人のもうひとつの望みは子どもだったが、授かることはできなかった。

かつてイタリアの東に隣接するユーゴスラヴィアの美しい都市サラエヴォには
国境を越えて世界中から若者たちが集まってきていた。
だが、そんなサラエヴォにも民族紛争の波が押し寄せてくる。
ディエゴは戦場カメラマンとしてローマからサラエヴォに向った。
その後に続いたジェンマも人道支援活動に参加。今や戦場と化したサラエヴォに暮らし始めた。
戦地サラエヴォでの日々を送りながらも、ジェンマはディエゴの子どもを切望した。
二人は代理母を捜し始め、美しい声を持つ歌手志望の女性アスカに出会う。
彼女に願いを託すジェンマ。
しかし、戦況は日々悪化する。殺害、強姦の日常化――
美しかったサラエヴォはもうどこにもなかった。
そんな中でアスカは出産。
生まれたばかりの赤ん坊を守るためにジェンマはローマに戻ることを決意。

一秒でも早くと軍用機に飛び乗る直前、ディエゴは一人サラエヴォに残ると告げる。
それが二人にとっての永遠の別れとなってしまったのだ――

それから16年後。
ジェンマは命からがらサラエヴォを脱出し、彼女と赤ん坊を助けてくれた大尉と再婚していた。
そして、16歳になった息子ピエトロと共にサラエヴォにやってきた。
ゴイコとの再会。蘇る青春の日々。ゴイコとの間のつきない話題はディエゴの想い出。
ディエゴと出会った場所、過ごした街をピエトロと共にめぐるジェンマを見守るゴイコは
旅の終りにある島へ母と子を誘った。
そこにあったのはあまりにも重く切ない真実だった……

若い恋人たちを前面に押し出すことで戦争の悲惨さが残酷なまでに迫ります。
そう、ビットリオ・デ・シーカの名作「ひまわり」(‘70)を思い出してしまいました。
映画の冒頭、今は亡きディエゴの回顧写真展を見るジェンマの目に映る不思議な薔薇の模様。
そして、ラストで解明されるその謎。
戦争そのものを描くのではなく若い男女の愛を通じて戦争の痛ましさが浮き出してきます。

連日海外ニュースで報道されたあの戦争も20年も経つと忘れられてしまうのかもしれません。
時の流れは容赦がありません。
とはいえ、忘れ去ってしまうにはあまりにも多くの傷跡を人々の心に残しました。
そして、それは次世代につながっていきます。
16歳のピエトロという存在は戦争が終わってからの時間を意味するものであると同時に
新しい時代を引き継ぐものとして描かれているようでもありました。





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ある愛へと続く旅 
監督/セルジオ・カステリット、脚本/マルガレート・マッツアンティーニ、セルジオ・カステリット、原作/マルガレート・マッツアンティーニ(バイキング・ペンギン刊)、撮影監督/ジャンフィリッポ・コルテイチェッリ、音楽/エドゥアルド・クルス、製作/セルジオ・カステリット、ロベルト・セッサ
出演
ペネロペ・クルス/ジェンマ、エミール・ハーシュ/ディエゴ、アドナン・ハスコヴィッチ/ゴイコ、サーディット・アクソイ/アスカ、ピエトロ・カステリット/ピエトロ、ジェーン・バーキン/精神分析医
11月1日(金)TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
2012年、イタリア・スペイン、イタリア語・英語・ボスニア語、129分、原題/VENUTO AL MONDO、http://www.aru-ai.com/

by Mtonosama | 2013-11-01 06:51 | 映画 | Comments(4)
ある愛へと続く旅 -1-
Twice Born

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(C)Alien Produzioni / Picomedia /Telecinco Cinema/ Mod Producciones 2012


ユーゴスラヴィア。
7つの国境、6つの共和国、5つの民族、4つの言語、3つの宗教、2つの文字、
そして、1つの国家といわれた国。
旧ユーゴスラヴィアという国家がはらんでいた多様性であります。
それでもチトー大統領というカリスマ的指導者の存命中はこの国はまとまりをみせていました。

1984年には、サラエヴォで冬季オリンピックも開催されています。
カタリナ・ヴィット。東ドイツ・フィギュアのゴールドメダリストです。
ご記憶でしょうか。美しい選手でした。

ディナール・アルプスに囲まれたサラエヴォ渓谷の中にあるサラエヴォ。
丘陵地帯に拡がる美しい街です。

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この地でかつて血で血を洗う民族紛争が起こったことはいまだ記憶に鮮明です。

実をいうとオリンピックよりもサラエヴォの街で繰り広げられた爆撃や殺戮の方が印象に強いとのです。
写真にある丘陵にもくもくと上がっていた爆撃の土煙りが今も見えるような気がします。

本作「ある愛へと続く旅」はそのオリンピックの余韻も覚めやらず
サラエヴォが豊かで平和だった頃から始まります。

イントロが長くなったのは(あ、いつものことですね)
サラエヴォの平和な時代をなかなか思い浮かべることができなかったからでして、
恐縮でございます。

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サラエヴォを描いた映画は数多くあります。
サラエヴォ出身のエミール・クストリッツァ監督の
「パパは出張中!」(‘85)「アンダーグラウンド」(‘95)
マイケル・ウィンターボトム監督「ウエルカム・トゥ・サラエヴォ」(‘97)
旧ユーゴスラヴィア出身のダ二ス・タノヴィッチ監督「ノーマンズ・ランド」(‘01)
この映画、印象的でした。
サラエヴォ出身のヤスミラ・ジュバニッチ監督「サラエヴォの花」(‘07)「サラエヴォ、希望の街角」(‘10)・・・・・
書き出していたらキリがありません。

Wikipediaには、ユーゴスラヴィア連邦解体の過程で起こったユーゴスラビア紛争は、
1991年から2000年まで主要な紛争が継続した、とあります。
2006年にモンテネグロが独立したことで、旧ユーゴスラヴィアを構成していた6つの共和国が完全に独立しました。7年前にやっと落ち着いたことになるのですね。長い戦争でした。
本作「ある愛へと続く旅」はこれまでの映画のように紛争をテーマにした映画ではありません。
戦前から戦後にいたる男女の愛の映画。
そう、ラブ・ロマンス。
映画の王道であります。

ただし、ただのラブ・ロマンスと思ってスクリーンに臨むと手痛いパンチを受けることになりますが。
ペネロペ・クルスとエミール・ハーシュが演じる恋人たち。
さあ、いったいどんなお話でしょうか。
続きは次回まで乞うご期待でございます。



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☆10月29日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

ある愛へと続く旅 
監督/セルジオ・カステリット、脚本/マルガレート・マッツアンティーニ、セルジオ・カステリット、原作/マルガレート・マッツアンティーニ(バイキング・ペンギン刊)、撮影監督/ジャンフィリッポ・コルテイチェッリ、音楽/エドゥアルド・クルス、製作/セルジオ・カステリット、ロベルト・セッサ
出演
ペネロペ・クルス/ジェンマ、エミール・ハーシュ/ディエゴ、アドナン・ハスコヴィッチ/ゴイコ、サーディット・アクソイ/アスカ、ピエトロ・カステリット/ピエトロ、ジェーン・バーキン/精神分析医
11月1日(金)TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
2012年、イタリア・スペイン、イタリア語・英語・ボスニア語、129分、原題/VENUTO AL MONDO、http://www.aru-ai.com/

by Mtonosama | 2013-10-29 06:57 | 映画 | Comments(4)