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殿様の試写室

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タグ:もしも建物が話せたら ( 2 ) タグの人気記事


もしも建物が話せたら
-2-
Cathedrals of Culture

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(C)Heikki Farm

ハルデン刑務所

マイケル・マドセン監督がその話を聞いたのは
世界一受刑者に対して人道的であり、
甘やかしているともいわれるノルウェーのハルデン刑務所。

ノルウェーは国連によって選ばれた
「世界一豊かで住みやすい国」第1位の国。
そのノルウェーのハルデンにある刑務所です。
2010年に竣工された収容人員252名、総工費20億円の建物。
懲罰よりも更正・社会復帰を目的としています。

刑務所は語ります。

「私はここの刑務所の警戒を厳重にしている壁だ。
私の内側は小さな村のようだ。
私がこの村を外の世界と切り離している。
私の内側にはルールがある。
新しく入ってくる人々はここのルールを理解できない。
私はここのルールしか知らない。
ほとんどのルールは厳しく絶対だ。
誰かがルールを破ったらどうなるかも決まっている・・・」

めったなことでは見ることのできない外国の刑務所の内部。
興味津津です。
独房も、懲罰房も、面会家族が宿泊できる家も、
「これが刑務所?」と思わず声をあげたくなるものでした。
ノルウェーってすごい!


ソーク研究所

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(C)Alex Falk

ロバート・レッドフォード監督が紹介するのは
カリフォルニア州サンティエゴ郊外ラホーヤにあるソーク研究所です。
ここはジョイナス・ソークによって創設された生物医学系の研究所で
1963年に竣工されました。
研究者の数は1000人にも満たない小さな研究所ながら
研究論文の引用度は世界でも1、2を争っています。
教授陣は各研究分野の先端を走っているとのこと。

土地には魂が宿り、
その地に建った建物にも霊気や魂が住みつくのかもしれません。
海に向かって、どの棟も風や陽光を受け入れ大きく腕を開くように配置された各研究棟。
どこか神殿を思わせます。

ポリオワクチンの開発者であり、
この研究所の創設者であるジョイナス・ソーク。

「彼は直感的に優れた科学を生むためには
心の深層に作用する環境が重要だと知っていた」

監督ロバート・レッドフォードがこの建物に語らせたかった言葉です。


オスロ・オペラハウス

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(C)Oystein Mamen

1970年ノルウェーに生まれ、
ベルゲンとオスロでジャーナリズムとドキュメンタリーの制作を学んだ
マルグレート・オリン監督が紹介する建物はオスロ・オペラハウス。

2008年オスロ市の海に面して建てられたノルウェー最大の文化施設。
スノヘッタ建築事務所の設計です。
オペラやバレエの舞台であり、レッスン場もあります。
海から続くかのような大きな屋根を人々は歩くこともでき
多くの市民が訪れます。
そう、あのバレエボーイズたちも。

オペラハウスは語ります。

「あなたが中に入るまで、あなたの筋肉がステップを踏むまで、
私はただの家だ。
家にできることは私の大理石に記憶を保つこと。
あなたが去ってもここに残ること。

あなたの跳躍と、希望と失敗を私に与えて。
それを鉄と木と記憶の箱にしまっておく」


ポンピドゥ・センター

監督はカリム・アイノス。
レンゾ・ピアノとリチャード・ロジャーズによって設計され
1977年に開館したポンピドゥ・センター。
完成当初その奇怪な姿は
エッフェル塔が出来た時のパリ市民の驚きにも
まさるとも劣らないものだったことでしょう。

この建物が表現するのは人々の期待や陽気なユートピア。
幅の広いカルチャーを提供し、多くの人が訪れています。

その姿に似ず、早起きな建物は語ります。

「毎日私は夜明けの直前に目覚める。
それは私の大事な時間。人々が来る前に独りになれる時間だ。

私ができたばかりの頃人々は驚いた。
今私を見ても誰も騒がない。
日中、来館者は私の中をさまよう。
それぞれが何かを求めて。
夜になると人々は劇場とパフォーマンス・スペースにやってくる。

今はデジタル時代。
カルチャーマシンの私は暴力的で驚異的だとみなされたが
蒸気機関のような懐古的な存在になった。
世界が変わっていくのはわかっている。
私は毎日少しずつ古びながら人々の経験を学んでいる。
私は芸術作品だ。
私は古代都市に係留された飛行機だ。

私は楽観的に生命の可能性を感じる」

・・・

6つの建物のおしゃべりはいかがだったでしょう。
古い建物から新しい建物まで皆饒舌で
是非訪れて彼らの生の声を聴きたくなってしまいます。

監督達は皆一様に建物には魂がある
と言っていますが、本当にそうかもしれません。

ある建物に入ってホッとするものとそうでないものがあると思いませんか。
ホッとするのはその建物の魂と交感できたとき
そうでないときは気が合わないとき。

さあ、みなさまが交感できる建物はどれでしょう。






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もしも建物が話せたら
監督/ヴィム・ヴェンダース、ミハエル・グラウガー、マイケル・マドセン、ロバート・レッドフォード、マルグレート・オリン、カリア・アイノズ
製作・提供/WOWOW、配給/アップリンク
2016年2月20日(土)渋谷アップリンクほか全国順次ロードショー
2014年、ドイツ、デンマーク、ノルウェー、オーストリア、フランス、アメリカ、日本、165分、英語、http://www.uplink.co.jp/tatemono/

by Mtonosama | 2016-02-22 05:12 | 映画 | Comments(4)

もしも建物が話せたら
-1-
Cathedrals of Culture


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(C)Wim Wenders


子どもの頃から「家」が好きで、
黙ってうちを抜けだして、近所を歩きまわり、
同い年位の子どもをみつけると
なんとかその子の家に入っていこうとするはた迷惑な子どもだったとのです。

大きくなったら色んな家を訪れるんだ!
というのが夢でした。

でも、大人になるとそれもなかなか難しく
「ビフォーアフター」みたいなTV番組で紛らわしています。

そんなとのに蠱惑的なタイトルが呼びかけました。
『もしも建物が話せたら』

オリジナルタイトルは“Cathedrals of Culture”ですけど、
邦題、オリジナル二つ揃って「お、いいじゃん」と人目をひくタイトルです。

世界の名監督6人が描いた6つの建物のお話で
製作総指揮はヴィム・ヴェンダース監督。
ヴィム・ヴェンダース、ミハエル・グラウガー、マイケル・マドセン、
ロバート・レッドフォード、マルグレート・オリン、カリム・アイノズ
という監督達が
それぞれの心の内で大きな存在感を占める建物に
思いの丈を語らせるというちょっと変わったオムニバス・ドキュメンタリー映画です。

ヴェンダース監督はもちろん地元のベルリン・フィルハーモーニーを

ドキュメンタリー映画の撮影中の2014年アフリカでマラリアに斃れた
ミハエル・グラウガー監督はロシア国立図書館を

本作が遺作となりました。

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(C)Wolfgang Thaler


『100,000年後の安全』のマイケル・マドセン監督は
http://mtonosama.exblog.jp/15982946/
世界で最も人道的といわれ、再犯率がヨーロッパで最も低いノルウェーのハルデン刑務所を

11歳の時ポリオにかかったことのあるロバート・レッドフォード監督は
その予防接種を開発したソーク研究所を

マルグリット・オリン監督は
これもノルウェーのオスロ・オペラハウスを
(『バレエボーイズ』にも登場しました)
http://mtonosama.exblog.jp/24402801/ http://mtonosama.exblog.jp/24412852/

ブラジル生まれのカリム・アイノス監督は
17歳の時に移り住んだパリの街から
ポンピドゥー・センターを選びました。

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(C)Ali Olcay Gozkaya


どの建物も個性的な面立ちですが、
さて、どんなことを話してくれるのでしょうか。

ベルリン・フィルハーモニー

まずはベルリン・フィルハーモニーの登場です。
ハンス・シャロウンが設計し、
1963年に竣工したこの建物は優しい女声で語ってくれました。

「私の向こうはポツダム広場。1963年には何もない土地だったわ。
ベルリンの街が私を育ててくれたけど、私もこの街の成長に役立ったと思いたい。
建物はあなたが考えている以上に世界に影響を与えているものよ」

建設中にベルリン東西を隔てる壁もできます。
西ベルリンの端に“文化の中心”であるこの建物を造ることは
東を刺激することでもあり、挑発的な行為でした。

60年代の映像を交え、
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席指揮者兼芸術監督を務める
サー・サイモン・ラトルも登場させつつ
この五角形のホールは50年の“人生”を語ります。

ロシア国立図書館

サンクト・ペテルブルグにあるこの美しい建物はロシア最古の公共図書館。
1795年エカテリーナ2世によって建てられました。
1811年ロシア帝国内で出版された著書はすべて
1冊ずつこの図書館に寄贈され、蔵書数は飛躍的に増加しました。
公式に開館したのは1814年のことですが、
女性や農民に対しても開かれていたそうです。

建物は語ります。
「かつて本が隠され存在を否定されていた時代があった。
蔵書リストから削除された本は売却されることもなく、
蔵書番号のない本は存在しないとみなされたため生き延びることができた・・・」

この建物の上を吹き過ぎていった歴史の嵐は
書架に並び、あるいは積み重ねられた古びた書物に
塵を積もらせはしたが、人々の叡智をそのまま封じ込めています。

次回は残り4つの建物の話に耳を傾けますので
どうぞご期待くださいませ。



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☆2016年2月19日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

もしも建物が話せたら
監督/ヴィム・ヴェンダース、ミハエル・グラウガー、マイケル・マドセン、ロバート・レッドフォード、マルグレート・オリン、カリア・アイノズ
製作・提供/WOWOW、配給/アップリンク
2016年2月20日(土)渋谷アップリンクほか全国順次ロードショー
2014年、ドイツ、デンマーク、ノルウェー、オーストリア、フランス、アメリカ、日本、165分、英語、http://www.uplink.co.jp/tatemono/

by Mtonosama | 2016-02-19 06:58 | 映画 | Comments(7)