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殿様の試写室

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タグ:アネット・べニング ( 2 ) タグの人気記事

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           ©2009, Mother and Child Productions, LLC

善かれと思ってやったことでも、それが信じられないほど相手を傷つけていることがあります。
あるいは、当たり前に聞き流していたけれど、いざ自分がその立場になってみると
「ああ、真理だな」ってあらためて身にしみることも。

例えば“生きるためには希望が必要”という言葉があります。

しみったれた例えで恐縮なのですが、今お金がないとします。
「月末に入金があるから、がんばろっ!」
これが希望。
なのに、やっと月末というその日、支払ってくれる予定の会社が倒産。
これ、絶望・・・
同じ困窮状態でも、入るあてがあるのとないのとでは大違いです。
希望さえあれば人は耐えていけるものですから。

いえいえ、しみったれたとのの希望論は脇へかたづけて、映画に戻りましょう。

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ストーリー
14歳のとき、カレンは初めて人を愛し、彼との間に女の子が生まれました。
でも、それは早すぎる出産。
カレンは母の反対にあい、赤ちゃんを手放すしかありませんでした。

それから37年。51歳になったカレンは周囲の人との深いつながりを避け、
同居する老いた母とも良い関係を持てないまま、孤独な日々を送っていました。
職場の同僚パコは彼女を愛し、理解してくれるのですが、彼にも心を開くことはできません。
ただ、37年前に手放した名前も顔もわからない娘を想い、
届くことのない手紙を書き続けています。

養子に出され母の愛を知らずに育った37歳のエリザベスは弁護士として成功していました。
恋も仕事も自分でコントロールしながら、
ひたすらキャリアアップの人生を歩むエリザベスでしたが、
そんな彼女に予想外の出来事が発生。
弁護士事務所の上司ポールの子どもを妊娠してしまったのでした。
子どもを持つことなどその人生プランに書きこんでいなかったエリザベス。
妊娠は彼女の人生を大きく変えることになりました。
意外にも、彼女は今までのキャリアを捨て、子どもを産むことを決意します。

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一方、子どもを産めないため、養子縁組を考えるルーシー。
彼女はある妊婦と巡り合います。
望まない妊娠で生まれてくる子どもを養子に出そうとしている若い女性でした。
ところが、いざ生まれてくると、彼女はその子を手放せなくなってしまったのです。
絶望するルーシーのもとへ養子斡旋所から一本の電話が入ります。
それは、見知らぬ母と娘を結びつける電話でした……

14歳で子どもを産んでしまったら、人知れず養子に出すのはひとつの選択です。
それもかなり適切な選択だと思います。
カレンの母が選んだ手段は間違っていなかった筈なのに、
カレンもエリザベスも心に深い喪失感を抱え込んだまま、年を経てしまいました。

人は選択が適切かどうかばかりに気をとられ、当事者たちの心に想いを向けることを忘れてしまいます。
そう、だからガルシア監督は、一旦は養子を決意しながら、自分で育てることを選んだ若い女性を
登場させたのでしょう。
それがルーシーとエリザベスとカレンを結びつけることになるとは―――
ガルシア監督の練りに練った脚本の深さに感嘆しました。

また女優陣の素晴らしさ。
エリザベスを演じたナオミ・ワッツは撮影時、実際に妊娠中のその大きなお腹をカメラの前にさらし、
エリザベスの決意の迫真性をあらわしていました。
シワの目立つ素顔を堂々と見せたアネッサ・べニングにも感嘆。
男の影を薄く感じてしまったのは母と娘という永遠の関係性の強さのせいかもしれません。
まさに、DNAの立体構造図です。

太古から未来へとグルグル回転しながら永続するDNA構造図と母の娘の関係って
どこか似ているような気がしませんか?

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あのこわもてのサミュエル・L・ジャクソンまで毒気の抜けた温厚なおじさんになっていたのも、
母と娘の関係に圧倒されてしまったからでしょうか。

ガルシア監督、女性を描かせたら、当代随一。脱帽です。

                           

愛する人
脚本・監督/ロドリゴ・ガルシア、プロデューサー/ジュリー・アン、リサ・ファルコン、エグゼクティヴ・プロデューサー/アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、撮影監督/グザビエ・ペレス=グロベット、ASC
出演
アネット・べニング/カレン、アイリーン・ライアン/ノラ(カレンの母)、サミュエル・L・ジャクソン/ポール、ナオミ・ワッツ/エリザベス、チェリー・ジョーンズ/シスター・ジョアン、ケリー・ワシントン/ルーシー、デヴィッド・ラムゼイ/ジョセフ(ルーシーの夫)、ジミー・スミッツ/パコ、エルピディア・カリーロ/ソフィア(カレンの家政婦)、シモ―ネ・ロペス(家政婦の娘)、シャリーカ・エップス/レイ(妊娠した女性)、ブリット・ロバートソン(目の見えない少女)/ヴァイオレット
1月15日(土)よりBunkamuraル・シネマ、TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
2009年、126分、アメリカ、スペイン、カラー、配給/ファントム・フィルム
http://aisuru-hito.com/


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by mtonosama | 2011-01-19 06:11 | Comments(6)
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                ©2009, Mother and Child Productions, LLC

もしも、あなたが14歳で子どもを産むことになったら、
あるいは、あなたの娘が14歳で子どもを産んでしまったら―――

ま、その年齢で子どもを持つことが一般的な地域もあるし、
映画やドラマの世界では案外普通のことかもしれないけれど、
やっぱり、これは非常事態ですよね。

非常事態がいかなる展開を見せるか、
それは映画のわざ師の見せどころでありましょう。

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ロドリゴ・ガルシア。51歳。
あの「100年の孤独」(あ、焼酎の名前ではありません。念のため^_^;)や、
「コレラの時代の愛」http://mtonosama.exblog.jp/8720721を書いた作家
ガブリエル・ガルシア=マルケスの息子にして
「彼女を見ればわかること」(‘99 2000年カンヌ国際映画祭「ある視点部門」グランプリ受賞)、「美しい人」(‘05 2005年ロカルノ国際映画祭グランプリ受賞)の監督です。
女性とその内面を描かせたら、天下一品のガルシア監督。


今回、またまたしみる映画を送り出してくれました。

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カレン、エリザベス、ルーシーという3人の女性によって繰り広げられるストーリーは
母と娘の関係を軸にして、その周囲を夫、恋人、あるいは彼女たちの仕事や生活に関わる人たちが
ゆるやかに螺旋を描いてとりまきつつ進行していきます。
そうです。あのDNAの立体構造のように。

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DNA?

いったい何を言っているのやら(汗)
ただ、「14歳の少女が子どもを産みました。まあ、どうしましょう」で
終わる話ではないということを言いたかったのです。すいません。


少女は相手の少年を本気で愛していたから、妊娠し、
出産したのだけれど、彼女の母はそれを許さなかった。
そして生まれた娘は養子に出され、実の親から拒絶されたという思いを抱えて成長していく…




ロドリゴ・ガルシア監督の心にふと浮かんだ
「誰かを切望する」「愛するものと離れて暮らす」というテーマ。
それが脚本として実を結ぶまでに約10年を経て、なんとも静かで深い映画ができあがりました。

さあ、どんなお話なのでしょうか。
続きは後編までしばしのお待ちを。乞うご期待であります。

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愛する人
脚本・監督/ロドリゴ・ガルシア、プロデューサー/ジュリー・アン、リサ・ファルコン、エグゼクティヴ・プロデューサー/アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、撮影監督/グザビエ・ペレス=グロベット、ASC
出演
アネット・べニング/カレン、アイリーン・ライアン/ノラ(カレンの母)、サミュエル・L・ジャクソン/ポール、ナオミ・ワッツ/エリザベス、チェリー・ジョーンズ/シスター・ジョアン、ケリー・ワシントン/ルーシー、デヴィッド・ラムゼイ/ジョセフ(ルーシーの夫)、ジミー・スミッツ/パコ、エルピディア・カリーロ/ソフィア(カレンの家政婦)、シモ―ネ・ロペス(家政婦の娘)、シャリーカ・エップス/レイ(妊娠した女性)、ブリット・ロバートソン(目の見えない少女)/ヴァイオレット
1月15日(土)よりBunkamuraル・シネマ、TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
2009年、126分、アメリカ、スペイン、カラー、配給/ファントム・フィルム
http://aisuru-hito.com/


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by mtonosama | 2011-01-16 06:59 | Comments(4)