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アリラン -2-
Arirang

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(c) 2011 KIM Ki-duk Film production.

「アリラン」。わたしたちもよく耳にする朝鮮民謡です。
一説によれば「アリラン」の<ア>は<我>、<リ>は道理の<理>で「自らを悟る」という意味があるのだそうです。

キム・ギドク監督はカンヌ、ベルリン、ヴェネチアの世界三大映画祭を制覇し、
いまや世界中から新作を期待される人物です。
それが、2008年
オダギリジョーを主役に迎えた「悲夢」の撮影中に起きた事故を
きっかけに映画界から姿を消してしまいました。


(C)2008 KIM KI DUK FILM All Rights Reserved
f0165567_675378.jpg 「悲夢」
別れた恋人の夢を見る男と、彼の夢と同じ行動を実際にしてしまう夢遊病の女が出会う。「夢」に翻弄される男女の狂おしい愛を描いたラヴ・ストーリー。
この「悲夢」の撮影中に起きた事故。
それは、女優イ・ナヨンが演じる主人公「ラン」が留置場の窓で首吊り自殺を試みるシーンでの事故でした。

このシーンで、実際に女優の首が絞まってしまったのです。
急いで監督が救出し、ことなきを得ましたが、
ショックを受けた監督はその後、制作活動ができなくなってしまいました。

海外からは高い評価を受けながら、国内ではあまり評価されることがない監督。
そうした毀誉褒貶のギャップや撮影中の事故。
3年間の沈黙の間、ギドク監督は何を考えていたのでしょうか?

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1人で山中の小屋にこもっていた監督。
彼は、その間の想いをカメラに向かって語り始めました。

ボサボサ頭の薄汚いおっさんが小屋のテラスで歯を磨き、
雪の畑へスコップを持って出ていき、穴を掘ってしゃがみこみます。
あるいは鍋から直接ラーメンを食べ、ひとり酔っ払って高歌放吟。
寝るのは小屋の中に張ったテント。

そんな非日常的な日常を自ら撮影し、自ら撮られ、
その内、撮影者キム・ギドクと出演者キム・ギドクが語り始め、問いかけ、答え、
揚句、心理分析まで始めます。
ドキュメンタリーだから、ひび割れたかかと、垢じみた姿、排便シーンも仕方ないか、
と当惑気味にスクリーンと相対していると、
おやおや、今度はピストルを持ちだし、車で街に出ていきました。
あ~、発砲しちゃいましたよ。
ドキュメンタリーと思ってみていた映画がなにやらサスペンスのような展開に。

ひきこもっていたとはいっても監督は根っからの映画人なんですね。

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ギドク監督にとって、「悲夢」撮影中に起きた事件はとてもショッキングだったのでしょう。
女優さんは助かったんだから、なにもそこまで落ち込まなくても、と思うのですが、
これまでの人生ずっと走り続けながら、何かを求めてきた監督。
「悲夢」までの12年間毎年1本映画を撮り続けてきた監督の中で、
彼を張りつめさせていた糸がプツンと切れてしまったのだと思います。
ギドク監督にとって、この事件はそれほど重いものだったんですね。

山にこもり、畑を耕し、自給自足の暮らしを続けるかと思わせた監督が、
結局自分から飛び出してきた映画の世界へ、映画を撮るという形で戻っていきました。
映画を撮影することはギドク監督にとって食べたり、排便したり、酒を呑んだりということと同様、
生きることそのものだったようです。

ギドク監督であれ、誰であれ、人は自分が一番好きなことを守り通すことでしか、
苦境を脱することはできないのかもしれないのだなぁと再認識させられました。

そして、「アリラン」は2011年カンヌ映画祭「ある視点」部門の最優秀作品賞を受賞。
続けて、同年「アーメン」をサン・セバスチャン国際映画祭コンペティション部門に正式出品。

まずは、おかえりなさい。キム・ギドク監督。






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アリラン
脚本・監督・製作・撮影・録音・編集・音響・美術/キム・ギドク
出演
キム・ギドク
3月3日(土)シアター・イメージフォーラムにてロードショー
2011年、91分、韓国、配給/クレスト・インターナショナル
http://www.arirang-arirang.jp/

by Mtonosama | 2012-03-07 06:32 | 映画 | Comments(6)
アリラン -1-
Arirang

f0165567_5123267.jpg

(c) 2011 KIM Ki-duk Film production.

これはかなり変わった映画です。
スタッフ、キャスト欄をご覧ください。
はい、キム・ギドク1人しかいません。
お蔭で手間いらずでした。
って・・・・・

キム・ギドク。鬼才あるいは奇才といわれる韓国の映画監督。
1960年12月20日生まれですから、現在51歳です。

とのはこの監督の「春夏秋冬そして春」(‘03)という映画を観て、
韓国と日本の間に通底するものを感じると同時に、両国の違いも知りました。
韓国という国に抱いていた印象が全然変わりました。ガツンと来た映画です。


「春夏秋冬そして春」
f0165567_51538100.jpg春-深い山あいの湖に浮かぶ寺で、老僧と幼い見習い僧が暮らしている。幼子はふといたずら心で、小さな動物の命を殺めてしまう…。夏-子どもは青年になっている。そこへ同年代の女性が養生のためにやって来て、寺に暮らすことに。青年の心に欲望、そして執着が生まれる。秋-寺を出た青年が十数年ぶりに帰ってくる。自分を裏切った妻への怒り。老僧は男を受け入れ、荒ぶる心を静めるようにさとす。冬-湖面を氷が覆う。壮年となった男の前に、赤子を背負った女が現れる。そして春…。http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD5933/

韓国の二大映画祭の作品賞を独占し、全米でも大ヒットした作品です。

その後、ギドク監督の作品は「サマリア」(‘04)、「弓」(‘05)と観ましたが、
これらについては正直、う~む、よ~わかりまへんなぁ。

で、キム・ギドク監督からはなんとなく遠ざかっていたのですが、気になってはいました。
そんな時にやってきたのが「アリラン」の試写状。こりゃ、観てみなければ。
脚本・監督・製作・撮影・録音・編集・音響・美術・出演/キム・ギドクですからね。
全部1人でこなしたってところがまたそそるではありませんか。


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キム・ギドク
1960年12月20日生まれ、慶尚北道の山あいの村に育つ。父は村長だったが暮らしは貧しく、9歳でソウル近郊に転居。小学校卒業後、農業専門学校に進学。工場勤務の後、軍隊に志願。20歳から5年間、海兵隊に所属した。除隊後、夜間の神学校に進み、教会に2年勤め、牧師をめざすと共に絵画にも没頭。90年には渡仏し、描いた絵を売って生計を立てながら絵画を学んだ。
93年一時帰国した折、韓国映画振興公社の脚本公募を知り、パリの経験を「画家と死刑囚」という脚本に書き始めた。ところが、脚本の書き方を知らなかったため、脚本作家協会教育院の基礎クラスに入学。パリに戻ることを延期して完成させた脚本が、なんと脚本作家協会の賞を受賞。以後は脚本執筆に専念。
96年には「鰐(ワニ)」で監督デビュー。以後、毎年のように発表し続けてきた。
日本に初めて紹介された作品は「魚と寝る女」だが、この作品で世界のキム・ギドクとして注目されることになる。
’96「鰐(ワニ)」、’97「ワイルド・アニマル」、’98「悪い女 青い門」、’00「魚と寝る女」、’01「受取人不明」、’02「悪い男」、’03「春夏秋冬そして春」、’04「サマリア」、’04「うつせみ」、’05「弓」、’06「絶対の愛」、’07「ブレス」、’08「悲夢」、’11「アリラン」、’11「アーメン」

なかなか変わった経歴の監督ですよね。
それに監督デビューして以降は毎年作品を発表し続けています。
ですが、2008年に「悲夢」を撮影した後、本作「アリラン」までの間に3年の空白があります。
そうなんです。監督は「悲夢」撮影後、映画界から姿を消してしまったのです。

何が起こったのでしょうか?

ギドク監督が言っています。
私は今、映画を撮れない。だから、自分を映画にして撮っている。
その中で私自身の人生を語り、映画監督キム・ギドクと人間キム・ギドクを語る。
これはドキュメンタリーでもドラマでもあり、ファンタジーでもある。
なんの計画もないが、今、何かを撮らなければ幸せになれないから、自分を撮っている


気になります。一体、何があったんでしょう。
この続きは次回で。乞うご期待でございます。



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アリラン
脚本・監督・製作・撮影・録音・編集・音響・美術/キム・ギドク
出演
キム・ギドク
3月3日(土)シアター・イメージフォーラムにてロードショー
2011年、91分、韓国、配給/クレスト・インターナショナル
http://www.arirang-arirang.jp/

by Mtonosama | 2012-03-04 05:43 | 映画 | Comments(10)