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      アルゼンチンタンゴ
              伝説のマエストロたち -2-

                Café de los MAESTROS


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         (c) 2008 LITA STANTIC PRODUCCIONES S.A. / PARMIL S.A. /
             VIDEOFILMES PRODUCCIONES ARTISTICAS


ミラノのスカラ座、パリのオペラ座、そしてブエノスアイレスのコロン劇場。世界の三大劇場です。
真夏の一夜、タンゴの黄金時代を築いた巨匠たちが
このコロン劇場のステージに勢ぞろいしました。
それは時間を超越した奇跡のコンサートです。
そこには昨年6月9日84歳で亡くなったカルロス・ラサリの顔も見えます。

彼らは60年から70年(!)もの演奏歴を持ちながら、
その演奏技術も、美声も、往時と少しも変わりません。
すっと伸びた背にタキシードがビシリと決まっています。
アルゼンチンの宝ともいうべき伝説のマエストロたちは輝かしく
堂々として、ステージから熱狂する聴衆に微笑みかけます。

「アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち」
この真夏の一夜限りのステージと、
二度と実現することはないアルバム「カフェ・デ・ロス・マエストロ」の録音、
スタジオ内でのメイキング風景、マエストロたちへのインタビュー、
そして、彼らの若き日の演奏フィルムから構成される音楽ドキュメンタリー映画です。

と言っても、殿の未熟な筆力ではこの映画の感動が伝えきれないことが
口惜しい、ああ、じれったい。

バンドネオンのボタンの上を飛ぶように舞う驚異の指先、
重なり合い、絡まりあうように響くその重層的な音色
ピアノが、バイオリンが、華やかに、切なげに、
抑えに抑えながら、それでも溢れだす情感をメロディに託します。
そして、静寂。
終わりかと思わせるほどの間(ま)を置いて再び流れる音。

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なんていえばいいのでしょうか。
彼らの年齢など関係ありません。
音楽に圧倒されて、知らない間に涙を流していました。

この映画とアルバム「カフェ・デ・ロス・マエストロ」を企画したのは
グスタボ・サンタオラージャ。
「ブロークバック・マウンテン」(‘05)「バベル」(‘06)でアカデミー作曲賞を受賞した音楽家です。
彼はこのアルバムのために数々の歴史的名編曲の再現も意欲的に行いました。

そして、後見人ともいえるエグゼクティブ・プロデューサーは「セントラル・ステーション」(‘98)
「モーターサイクル・ダイアリーズ」(‘04)のウォルター・サレス監督。
(この2作は最高です。いずれも南米を舞台にした究極のロードムービー。
「モーターサイクル・ダイアリーズ」でマチュピチュに佇むゲバラの姿に憧れて、
この地を訪れてしまいました)

音楽面でも映像面でも、アルゼンチンの持つ最高の力を見せてくれた映画。

「モーターサイクル・ダイアリーズ」に憧れてマチュピチュを訪ねたように、
「アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち」を観て、アルゼンチンに行きたくなっている殿です。
しかし、アルゼンチンはあまりに遠い…

アルゼンチン・タンゴ。ブエノス・アイレス。チェ・ゲバラ。
ゲバラの生まれた街を歩き、
タンゴの演奏を聴き、
タンゴを踊る男女を見ていたい。

それがかなわぬ夢ならば、せめてもう一度、いえ二度、
伝説のマエストロたちに映画の中でお会いしたいものです。

あ、その前に「カフェ・デ・ロス・マエストロス」のCD買ってこよっと。
(輸入元:ユニバーサルミュージックLLC、品番:477 6572)



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アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち
監督/ミゲル・コアン、エグゼクティブ・プロデューサー/ウォルター・サレス、プロデューサー/グスタボ・サンタオラージュ、リタ・スタンティック、音楽制作スタッフ/グスタボ・サンタオラージュ、グスタボ・モッシ、ホルへ・“ポルトゥゲス”・ダ・シルバ、アニバル・ケルペル
出演
オラシオ・サルガン、レオポルド・フェデリコ、マリアーノ・モーレス、カルロス・ガルシーア、ホセ・“ペペ”リベルテーラ、ビルヒニア・ルーケほか
6月26日(土)、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー
2008年、アルゼンチン、92分、配給/スターサンズ、配給協力/ビターズ・エンド
www.starsands.com/tango/

by mtonosama | 2010-05-15 05:36 | 映画 | Comments(12)
      アルゼンチンタンゴ
              伝説のマエストロたち -1-

               Café de los MAESTROS


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        (c) 2008 LITA STANTIC PRODUCCIONES S.A. / PARMIL S.A. /
            VIDEOFILMES PRODUCCIONES ARTISTICAS


なぜか、昔からラテン系というか、南米の音楽が好きです。
ボサノヴァに始まり、ジャカジャカしたサンバも、ペルーの音楽も。
ただ、タンゴは大人の聴くラテンという感じで、
幼い頃、よく耳にしたにもかかわらず、なかなかなじめませんでした。

最近になってタンゴそれもアルゼンチンタンゴを聴きたくなったのは、
大人になったからかもしれないし、
あの官能的なダンスのせいかもしれません。

アルゼンチンタンゴには、
抑えた情念、というか、
人生は楽しいことばかりじゃないんだよ、というか、
せつないなぁ、というか、
子どもだった頃にはわからなかったものが、
いっぱいつまっているような気がします。
そして、アルゼンチンタンゴには盛装がとても似合います。

「アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち」には盛装したおじさまたちが
勢ぞろいします。あ、おばさまもいます。

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1940年代から50年代、アルゼンチンタンゴは黄金時代を迎えていました。

タンゴは1860~70年代にブエノスアイレスの場末に
ヤクザ者のダンス音楽として生まれました。
船乗りによって運ばれてきたキューバのハバネラ、
スペイン色の濃いミロンガ、
アフリカ系住民のカンドンべ、
タンゴ誕生以前に流行したワルツやポルカによって覚えたダンスの楽しさ
こうした様々な音源や要素が重なってタンゴは生まれました。

アルゼンチンでは1920年代末、タンゴは第1次黄金期を迎えますが、
1929年の世界大恐慌によって、間もなく低迷します。
当時、流行したミュージカルやトーキー映画、ジャズに押されたことも低迷の理由。
しかし、1935年古典タンゴをとりあげたファン・ダリエンソ楽団がデビューし、
大変な人気を博しました。
40年代に入るとタンゴは第2黄金期を迎えます。
日本では、ヨーロッパに渡って変化したタンゴをコンチネンタル・タンゴあるいは
「ヨーロッパ・タンゴ」と呼び、それに対して元来のものをアルゼンチンタンゴと呼んで区別。
日本でのタンゴの普及は、戦前(昭和初期)にアルゼンチンから一部移入され、
その後、戦後にかけて競技ダンス・社交ダンス(ソシアルダンス)で用いられる
タンゴのための舞踊音楽が入ってきたことに、よっています。
そのため、長い間、タンゴと言えばマランド、アルフレッド・ハウゼといったイメージで、
理解されていました。
ただし、競技ダンスや社交ダンスが一般的には下火になり、
1980年代後半、アメリカで成功した「タンゴ・アルヘンティーノ」公演が日本にも移入し、
これ以降、アルゼンチンタンゴが普及するようになりました。(Wikipediaより)
ピアソラもアルゼンチンタンゴをブームにした立役者です。
ヨ―ヨ―・マなどクラシック界の大スターがピアソラを取り上げましたし。

さて、映画です。
2006年、ブエノスアイレスで一番古いレコーディングスタジオに
1940年代から50年代にかけて活躍したアルゼンチンタンゴの大スターたちが集まりました。
アルゼンチンタンゴ第2黄金期に活躍したスターたちです。
それはそれは感動の再会でした。
赤の他人の殿ですら、もらい泣きするほどの感無量な再会。

ここで、何かを思い出されませんか?
そうです。「ブエナビスタ・ソシアルクラブ」(‘99)です。
ライ・クーダーとキューバの老ミュージシャン(ブエナビスタ・ソシアルクラブ)との演奏を中心に彼らの来し方とキューバの日常生活を描いたドキュメンタリー映画。ヴィム・ヴェンダースが監督し、2000年のアカデミー賞にノミネートされた作品です。

映画の発想は同じなのですが、この2作品はどこかが違います。
いえ、どちらが良いとか悪いとかではありません。どちらも良いですから。
キューバとアルゼンチン―――
南米大陸の上の方と下の方という地理的な違いでしょうか。
アメリカの影響、ヨーロッパの影響、ということでしょうか。
情念を発散する、情念を内に向けていく、ということでしょうか。

皆さまもこの違いを観比べ、聴き比べてお教えくださいませ。公開は来月です。

というわけで、続きは次回に。

To be continued.

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アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち
監督/ミゲル・コアン、エグゼクティブ・プロデューサー/ウォルター・サレス、プロデューサー/グスタボ・サンタオラージュ、リタ・スタンティック、音楽制作スタッフ/グスタボ・サンタオラージュ、グスタボ・モッシ、ホルへ・“ポルトゥゲス”・ダ・シルバ、アニバル・ケルペル
出演
オラシオ・サルガン、レオポルド・フェデリコ、マリアーノ・モーレス、カルロス・ガルシーア、ホセ・“ペペ”リベルテーラ、ビルヒニア・ルーケほか
6月26日(土)、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー
2008年、アルゼンチン、92分、配給/スターサンズ、配給協力/ビターズ・エンド
www.starsands.com/tango/

by mtonosama | 2010-05-12 06:36 | Comments(6)