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ジミーとジョルジュ
心の欠片(かけら)を探して
-1-

JIMMY P.:PSYCHOTHERAPIE OF A PLAINS INDIAN

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(C)2013 Why Not Productions-France 2 Cinema-Orange Studio


これまた好きな俳優が出ていることから観にいった映画であります。
強烈な個性を放つベネチオ・デル・トロと
どこかファンキーな異彩を放つマチュー・アマルリック。

ベネチオ・デル・トロは『21g』で観た暗いラテン系といった渋みに圧倒されましたし、
マチュー・アマルリックは『潜水服は蝶の夢を見る』が印象的でした。
初めて彼らを見たとき、俳優は顔が良ければいいってものじゃないんだなぁと
心の底から思いました。

でも、好きなんです。特にマチュー・アマルリックはかなり好きです。
今まで、こんな風に二人を比較する機会などなかったのですが、
困ったことに本作でこの二人が共演することになってしまいました。

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片や暗い顔をしたプエルトリコ出身のハリウッドスター。
片やフランス映画界を代表するスター。

本来出会うべくもない二人をアルノー・デプレシャン監督は出会わせてしまったんです。
一人をアメリカ・インディアンの患者として。
もう一人をハンガリー出身ユダヤ系の精神科医として。

実は、この設定にとまどってしまいました。
時代は第二次世界大戦の終わった1948年。
戦争帰還兵であるインディアンの患者と
ユダヤ系の精神科医。
時代設定と彼らが属する民族。
気づかない内に先入見に従って彼らを観察していました。
そのことも問題だけれど、一番とまどったのは観客としての立脚点が見えないのです。
自分、どっちに感情移入すればいいの?
ああ、困るよ。デプレシャン監督。

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とはいえ、本作はフランスの民族精神医学(そんな学問があるんですね)の権威ジョルジュ・ドゥヴルー
「夢の分析:或る平原インディアンの精神治療記録」を原案にした作品で実話です。


ジョルジュ・ドゥヴルー
1908年ハンガリーの裕福なユダヤ人家庭に生まれる。民族精神医学の確立者。1993年パリ第8大学に設立された民族精神医学研究所「ジョルジュ・ドゥヴルー・センター」にその名が冠されている。
1932年から35年までアメリカ先住民モハヴェ族のもとで実地調査を行う。33年にカトリックに改宗。ハーバード大学などで教鞭をとりながら臨床精神分析医としての仕事にも携わる。

〈民族精神医学〉とは、文化的背景の異なる人びとの心の病を、その出身文化の枠組みの中で理解し、人類学的知見や精神分析の技法も用いつつ、集団セッションを特徴とする独自のやりかたで分析・治療する方法のことである。

意識と無意識、想像界と現実、自己と他者、過去と現在、内と外……人間の精神は、さまざまな二項対立によって機能しているが、これらの界が揺らいだ時に心の病が生じる。出身文化と移住先の文化のあいだの境界、文化と精神のあいだの境界の揺らぎがひきおこす移住者の精神疾患を治癒に向かわせるには、この二項対立・二重性を多元項の中に置きなおして相対化し、新たなかたちで再構築することが、なにより必要となる。
http://www.msz.co.jp/book/detail/07156.html

「夢の分析:或る平原インディアンの精神治療記録」1951年に出版。カンザス州の病院に勤務していたドゥヴルーはアルコール中毒と神経症に苦しむ当時30歳のブラックフット族に属するジミー・ピカードを担当。本書は20週にわたって80回以上の精神分析を重ねた記録と考察をまとめたもの。

ね、戦争によるPTSDに苦しむ患者と精神分析医。
ネイティヴ・アメリカンとヨーロッパからやってきたユダヤ系医師。
とても社会的な映画だと思いますよね。

でも、実は.....

さあ、一体どんな作品なのでしょうか。
続きは次回までお待ちくださいませ。



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☆2015年1月16日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

ジミーとジョルジュ 心の欠片(かけら)を探して
監督・脚本/アルノー・デプレシャン、共同脚本/ジュリー・ペール、ケント・ジョーンズ、原作/ジョルジュ・ドゥヴルー「夢の分析:或る平原インディアンの精神治療記録」、撮影/ステファーヌ・フォンテーヌ
出演
ベネチオ・デル・トロ/ジミー・ピカード、マチュー・アマルリック/ジョルジュ・ドゥヴルー、ジーナ・マッキー/マドレーヌ、ラリー・パイン/カール・メニンガー医師、ジョゼフ・クロス/ホルト医師
2015年1月10日(土)よりシアターイメージフォーラム他全国順次公開
2013年、フランス、117分
提供/コムストック・グループ、配給/コピアポア・フィルム
http://kokoronokakera.com/

by Mtonosama | 2015-01-16 05:56 | 映画 | Comments(10)
    クリスマス・ストーリー -2-
                 Un Conte de Noël
                 A Christmas Tale

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             ©Jean-Claude Lother/Why Not Productions

家族って厄介です。
大切な存在の筈なのに、他人に対するよりもひどいことを言ってしまったり、
残酷なことをしてしまったり。
思いやってはいても、素直に表現できなかったり。
それは肉親であっても、夫婦であっても同じ。
映画だけではなく、現実生活においても、
家族ごっこというか、家族らしくふるまうというか、
ある種の演技が必要かもしれない、と思ってしまうとのです。

個人主義の権化ともいえるフランス人。
その集合体である家族が主人公のこの映画。
いったいどんなことになるのでしょう。
お星さまキラキラでないことだけは確かです。

そうそう、お話に入る前に登場人物をご紹介しなければ。
というのも、とてもゴージャスなキャストですし、
3代にわたる総計13人の家族が集まっているので、ちょっと整理した方がいいかと思いまして。
(でも、本当はその必要がないほど、ひとりひとりの存在がきわだっているのですけどね)

まずは、ジュノン・ヴュイヤール(カトリーヌ・ドヌーヴ)と
アベル・ヴュイヤール(ジャン=ポール・ルシヨン)という夫婦。
そして、その3人の子供。長女のエリザベート(アンヌ・コンシニ)と
次男のアンリ(マチュー・アマルリック)と
三男のイヴァン(メルヴィル・プポー)とそのパートナーたち。
(あれ?長男がいませんね)
それから、長女エリザベートの一人息子ポール(エミール・ベルリング)。
さらに、シモン(ローラン・カペリュート)。
彼はジュノンの兄の息子、つまり、ヴュイヤール家の子供たちの従兄弟です。
三男夫婦の小さな2人の息子たちや、
亡くなった祖母の恋人であるロゼメという女性(!)もクリスマスのヴュイヤール家に集まります。

ストーリー
ルーベの街。若きヴュイヤール夫妻は長男ジョゼフを授かります。
その2年後、長女エリザベートが誕生しました。幸せいっぱいの若夫婦。
ところが、長男ジョゼフが幼稚園に入った頃、重病にかかっていることが判明。
唯一の治療法は骨髄移植ですが、家族の誰も適合する骨髄を持っていません。
長男を救うため、夫婦は二男アンリをもうけます。
しかし、このアンリの骨髄も一致しませんでした。
わずか6歳で天に召されるジョゼフ。
二男アンリは生まれた時から「役立たず」―――

それから数十年が経過して
クリスマスも近いある日、妻のジュノンに重い病気がみつかります。
長男ジョゼフと同じ病気でした。
彼女を救えるのは骨髄移植だけ。
いったい誰の骨髄がジュノンを救うことができるのでしょう。

長女エリザベートの場合

戯曲家として成功し、夫は優秀な数学者。順風万帆の人生です。
でも、彼女の心はいつも悲しみでふさがれ、苛立ちや不安でいっぱい。
それは幼い頃、兄のジョゼフを亡くしたからなのでしょうか。
それとも、いつも家族に迷惑をかける弟アンリと姉弟の縁を切ってしまったから?
一人息子のポールは内気で孤独な子ども。
エリザベートは母の病気のことを知り、検査を受けますが、彼女の骨髄は不一致でした。

母を助けるのは息子ポールであってほしい、アンリだけはいや……

☆二男アンリの場合

兄ジョゼフを助けることができなかった彼は生まれた時から「役立たず」。
母ジュノンはアンリをどうしても愛せなかったし、彼も母を好きだったのは3歳まで。
「役立たず」のアンリは大人になっても「役立たず」。
妻を亡くしてからはアル中で、5年前には多額の借金で裁判沙汰。
借金を肩代わりしてくれた姉エリザベートによって家族から追放されてしまいました。
母の病気をきっかけに、恋人のフォニアと一緒に家族のもとを訪れましたが、
エリザベートの冷たい視線。

だけど、母を助けるのは僕なんだ……

☆三男イヴァンの場合

思春期の頃は内気で友達もいなかったイヴァン。
遊び相手は兄のアンリと従兄のシモンだけ。だから、甥のポールの気持はよくわかります。
末っ子のイヴァンは両親にも愛され、姉とも兄ともうまくいっています。
妻のシルヴィアは美しく、息子たちは可愛い。

でも、僕は従兄のシモンがシルヴィアのことを愛していたことを知っている……


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二男アンリが兄ジョゼフを救うためにもうけられたという点、「私の中のあなた」(‘09公開)
http://watashino.gaga.ne.jp/
と似てる、と思われた方も多いでしょうね。
でも、フランス映画とアメリカ映画の違いをいやっていう程、お感じになると思いますよ。

影絵で紹介されるヴュイヤール夫妻の若い日々。
長男誕生のエピソード。
このあたり、ほんとにクリスマスです。ノエルです。

ですが――

ここまで言うか、というほどのきつい言葉の応酬。
ジュノン、その状況で、母親が「あんたが嫌い」って息子に言うわけ?
エリザベート、なんでそこまで悩まなきゃならない?
ああ、家族って難しい。

でも、ジュノンとアンリの言葉のやりとりはあまりにあけすけで逆に小気味良いほど。
庭のブランコでのシーンはきつい言葉でありながら、少しも憎々しさが感じられません。
これって、カトリーヌ・ドヌーヴとマチュー・アルマニックという2人の俳優の人格?と思ってしまうほど。

そうじゃなければ、すごい演技力です。
悪口雑言、禁句だらけの会話でありながら、
観客をのめりこませ、クスッと笑わせるのって、
結局この母子、本当は深い愛に結ばれてるということですものね。

数十年という時間と紆余曲折を経て、成熟してきた家族関係なんでしょう。
家族って侮りがたいです。

観客も雪の魔法にかけられてしまいました。

そうそう、この映画では母子共演が見られます。
イヴァンの妻を演じたキアラ・マストロヤンニはドヌーヴと
今は亡きイタリアの生んだ名優、マルチェロ・マストロヤンニの娘。
目元などおとうさんそっくりです。

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クリスマス・ストーリー
監督/アルノー・デプレシャン、脚本/アルノー・デプレシャン、エマニュエル・ブルデュー、撮影/エリック・ゴーティエ
出演
カトリーヌ・ドヌーヴ/ジュノン、ジャン=ポール・ルシヨン/アベル、アンヌ・コンシニ/エリザベート(長女)、マチュー・アマルリック/アンリ(二男)、メルヴィル・プポー/イヴァン(三男)、イポリット・ジラルド/クロード(エリザベートの夫)、エマニュエル・ドゥヴォス/フォニア(アンリの恋人)、キアラ・マストロヤンニ/シルヴィア(イヴァンの妻)、ローラン・カペリュート/シモン(ジュノンの甥)
11月20日(土)より恵比寿ガーデンシネマ、12月11日(土)梅田ガーデンシネマほか全国順次ロードショー
2008年、フランス、150分、配給/ムヴィオラ
http://a-christmas-story.jp/


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by mtonosama | 2010-11-21 06:29 | 映画 | Comments(8)
  クリスマス・ストーリー -1-
                 Un Conte de Noël
                 A Christmas Tale

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            ©Jean-Claude Lother/Why Not Productions

この季節、クリスマスと銘打たれた作品には心浮き立つものを感じます。
クリスマス・ツリーを飾らなくなってから、もう随分経ちますし、
街に出てクリスマスソングを聞くと時の流れに追い立てられるような気分がするのに、
映画だと、なぜかそそられてしまいます。

やはり、これは条件反射?あるいは、ハリウッド映画の功績?
「ホーム・アローン」とか「ダイ・ハード」、
「月曜8時は水戸黄門」みたいにクリスマスにはこれ!と刷り込まれているのでしょうか。

というわけで、邦題もずばり「クリスマス・ストーリー」、
Noëlというフランス語もクリスマスって意味だし、
気になります。

映画の舞台はフランス北部、ベルギーの国境に近いルーベという街です。
この街はフランス人が絶対住みたくない街の第1位なんだそうです。
フランスの劇作家がつくった映画の中に、
「そんなに逆らうのならルーベへ転勤させるぞ!」と脅すシーンがある位、嫌われてます。

      ↓のような由緒ある自転車レースもあるということなんですがねぇ。
パリ〜ルーベ (Paris - Roubaix) とは、自転車プロロードレースの一つ。フランスのパリからルーベまで、およそ260Kmを走るワンデーレース。1896年から行われているクラシックレース。
最多優勝者はロジェ・デフラミンク(1972、74、75、77年の4回)。レースの最後はルーベの街中にあるヴェロドロームのトラックコースを1周し、ゴールとなるのが恒例。(Wikipediaより)

あ、このレースは映画とはまったく関係ありません。
関係もない自転車プロロードレースを持ち出さなければわからないほど無名な街が
なにゆえ「クリスマス・ストーリー」の舞台に?
という方のために、ご説明申し上げると、
ルーベは、本作の監督アルノー・デプレシャンの生まれ故郷なのです。

でも、故郷でありながら、監督は
「ルーベは何もない不毛な工業都市で、しかも30年前から失業が多く、何の特別なものも、
何の美しいものもない」
とボロクソな言いよう。

「しかし、クリスマスには魔法がかかる。
雪で包むだけで、最悪な街も、おとぎ話の幻想的な街に変わるんだ」
と続けていますが。

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そんな冬季限定の幻想的な街へ、
両親とクリスマスを過ごすために息子や娘が家族や恋人を連れて帰ってきます。
でも、この家族ときたら、喧嘩ばかり。
長女を演じたアンヌ・コンシニが言っています。
「フランスだけでなく世界中どこでもそうだと思いますが、
クリスマスで家族が集まれば喧嘩が始まる。戦争になります」

確かに。
いつもみんなニコニコ笑って愛に包まれながらクリスマスを祝う、なんてことは幻想かも。
あるいはクリスマス位は平和に過ごそうよという親心、子心なのかも。
(そんな心はすぐに破綻するにしても)

とはいえ、息子や娘が両親の暮らす不毛な工業都市へ帰ってきたのは、
重い病にかかった母親になにかしてあげたい、と心から願ったはずなのですが。
兄弟姉妹そして両親、家族だからこそ、似ているからこそ、ぶつかるんですけどね。
いったいどんなお話でしょう。

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アルノー・デプレシャン監督の作品ですから、一筋縄ではいかないことはわかっています。
さあ、数十年前の不幸な事件をきっかけに
大きく歯車が狂ってしまった家族の織りなすクリスマスストーリー。
数十年前の事件ってなに?

どうぞ次回をお楽しみに。



クリスマス・ストーリー
監督/アルノー・デプレシャン、脚本/アルノー・デプレシャン、エマニュエル・ブルデュー、
撮影/エリック・ゴーティエ
出演
カトリーヌ・ドヌーヴ/ジュノン、ジャン=ポール・ルシヨン/アベル、アンヌ・コンシニ/エリザベート(長女)、マチュー・アマルリック/アンリ(二男)、メルヴィル・プポー/イヴァン(三男)、イポリット・ジラルド/クロード(エリザベートの夫)、エマニュエル・ドゥヴォス/フォニア(アンリの恋人)、キアラ・マストロヤンニ/シルヴィア(イヴァンの妻)、ローラン・カペリュート/シモン(ジュノンの甥)
11月20日(土)より恵比寿ガーデンシネマ、12月11日(土)梅田ガーデンシネマほか全国順次ロードショー
2008年、フランス、150分、配給/ムヴィオラ
http://a-christmas-story.jp/


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by mtonosama | 2010-11-18 06:18 | 映画 | Comments(10)