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殿様の試写室

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タグ:アンジェイ・ワイダ ( 4 ) タグの人気記事

菖蒲
-2-

TATARAK

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なぜ短編小説が1時間半の映画になりえたか?
アンジェイ・ワンダ監督はどんな魔法を使ったのでしょうか。

そこには1人の撮影監督の死が関わっています。
この撮影監督は本作の主演女優クリスティナ・ヤンダの夫であり、
ワイダ監督の友人でもあるエドヴァルト・クウォシンスキです。

「菖蒲」撮影の半ばに彼が病死したことによって、
この映画は3つの世界に分けられることになりました。

本来の小説世界
夫が亡くなる最期の日までをホテルの部屋で語るクリスティナ・ヤンダのモノローグの世界
映画「菖蒲」の撮影現場を映し出したドキュメントの世界

さ、この3つの世界が1本の映画になると、一体どんなことになるのか、
まずは、ちょっと覗いてみることにしましょう。


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ストーリー
f0165567_6484272.jpg女優のクリスティナ・ヤンダはホテルの部屋でめざめたばかり。
「この映画は去年撮る予定だった。わたしはワイダに出演は無理だと伝えた」
彼女はカメラに向かって、この映画を撮影する予定だった撮影監督で夫のエドヴァルト・クウォシンスキの発病からその最期の日まで、
そして、ふたりの愛と苦悩の日々について、語り始める――

ポーランドの小さな町。1960年代。町には美しい大きな河が流れている。f0165567_6583999.jpgその町に住む医師とその妻マルタには深い心の傷があった。夫婦はワルシャワ蜂起で息子2人を亡くしていたのだ。最近、体調が悪いと訴えるようになったマルタを診察した夫は、彼女が余命いくばくもないことを知る。だが、そのことを本人に伝えられずにいた。マルタを心配して友人が訪ねてきた。

その時、訪れた船着き場のカフェでマルタはひとりの美青年を見かける。
その若さと美しさは彼女がとうの昔に失ってしまったもの。
彼はまた戦争中に死んだ息子たちと同じくらいの年頃でもあった。

f0165567_70391.jpg翌日、マルタは河辺で偶然その青年ボグシに出会い、声をかける。若い彼が語る不満や悩みに耳を傾け、優しいまなざしを向けるマルタ。だが、彼は人生への野望もなく、この小さな町で一生生きていこうとしていた。
そんな彼にマルタは本を読み、教養を高めるように忠告。そして、次の日、一緒に河で泳ぐことを約束するのだった。
約束の河辺に昂揚した気持で向うマルタ。
その時、目に飛び込んできたのは楽しげに恋人と橋の上で語らうボグシの姿。
思わず踵を返すマルタだったが、気づいたボグシは彼女を追いかけてきた。
再び河辺に向ったマルタは河の中に生えている菖蒲を取ってきて、とボグシに頼む。
夏の到来を祝う聖霊降臨祭には菖蒲が欠かせないのだ。
生命の祝祭でもある聖霊降臨祭。
ボグシは軽々と向こう岸まで泳ぎ、菖蒲をひと束抱えて戻ってきた。
河辺で抱き合うふたり。
青年はほてった体を冷ますようにもう一度河に飛び込み、菖蒲を持ち帰ろうとする。
だが、その美しい肢体はもう浮かび上がることはなかった――

その河辺の撮影現場。
主演女優ヤンダはひどく動揺し、現場から走り去る。
雨の中、通りすがる車に同乗し、動揺を抑えきれないまま逃げていく女優――

ホテルの一室での女優のモノローグはまだ続いている……

これまでに観たワイダ作品との違いに当惑しました。
しかし、老いつつある女性と輝きに満ちた若さに包まれた美青年との対比。
死とはもっとも遠い筈の青年の死。
河の流れと、その流れに揺れる菖蒲。

ことさらに説明的なシーンがあるわけではないのに、
生と死。青春と老い。愛と別れ。
人生の折々の局面が、心に、頭に、ひそやかに、そして、印象的に迫ってきます。
3つの世界が不協和音もなくひとつになっていました。
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エドワード・ホッパー「朝の日ざし」(‘52)

すいません。終りに近くなって、またまた最初の話題に戻るのですが、
映画と絵画のことでもう一言。
監督がこの作品で意識した絵画はエドワード・ホッパー。
女優クリスティナ・ヤンダがホテルの一室で独白するシーンの客室は
美術のマグダ・デュポンに頼んでホッパーの絵を基に建ててもらったものだそうです。

とのの中では、アンジェイ・ワイダのイメージと、
都会の孤独と寂寥感を描きだしたホッパーの作品は結びつきません。

いずれにせよ、「菖蒲」はアンジェイ・ワイダの意外な横顔を覗かせてもらった作品でした。





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菖蒲
監督/アンジェイ・ワイダ、撮影監督/パヴェウ・エデルマン、作曲/パヴェウ・ミキェティン、美術/マグダレナ・デュポン、プロデューサー/ミハウ・クフィェチンスキ
出演
クリスティナ・ヤンダ/マルタ、クリスティナ・ヤンダ/女優、パヴェフ・シャイダ/ボグシ、ヤドヴィガ・ヤンコフスカ=チェシラク/マルタの友達、ユリア・ピェトルハ/ハリンカ、ヤン・エングレルト/医師
10月20日(土)より岩波ホールにてロードショー(全国順次公開)
2009年、ポーランド、87分、ポーランド語、配給/紀伊國屋書店、メダリオンメディア、配給協力/アークフィルムズ、後援/ポーランド広報文化センター
www.shoubu-movie.com

by Mtonosama | 2012-10-22 07:16 | 映画 | Comments(4)
菖蒲 -1-
TATARAK

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映画と絵画って結びつきやすいです。
とのがすぐ想い起すのは「真珠の耳飾りの少女」(‘04)。
あ、そうそう、当試写室で2011年11月に上映した「ブリューゲルの動く絵」http://mtonosama.exblog.jp/16885040/、http://mtonosama.exblog.jp/16872307/
なんていう絵画そのものを映画にした作品もありました。

今回上映する「菖蒲」はポーランドを代表する作家ヤロスワフ・イヴァシュキェヴィチの
短編小説を映画化した作品で、絵画とは直接は関係ありません。

なのに、なぜかムンクの「生命のダンス」を連想してしまいました。
「生命のダンス」は北欧の短い夏の始まりを告げる夏至祭のダンスを描いた作品ですが、
あのムンクらしく生・快楽・死を象徴する女性が描きこまれています。

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エドワルド・ムンク「生命のダンス」(1899~1900) 

いえ、この絵のテーマが映画に結びつくとかそういうことではありません。
ただ、ポーランドの短い夏を舞台にしたこのアンジェイ・ワイダ監督らしからぬ抒情的な
タイトルの映画が夏至祭のダンスを連想させただけなのかもしれないのですが。

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アンジェイ・ワイダといえば、
第2次世界大戦下、ソ連軍の捕虜となったポーランド将校達が殺された事件を描いた
「カティンの森」(‘07)http://mtonosama.exblog.jp/12306564/ といい、
「地下水道」(‘56)といい、「灰とダイヤモンド」(‘57)といい、
その映画には骨太な政治的なメッセージを含んだ作品が多いという印象があります。
それが「カティンの森」後の次作がこの「菖蒲」ですから、ちょっと意外でした。

とはいえ、これまでにも監督はヤロスワフ・イヴァシュキェヴィチの小説「白樺の林」、「ヴィルコの娘たち」
を70年代に映画化しているのですが。

この舌をかみそうな名前の作家は、人間の現実にしっかりと根を下ろし、登場人物の性格、
その孤独感を、ポーランドの美しい田園風景を背景にした小説を多く書きました。
アンジェイ・ワイダ監督は彼の小説がお好きなのだそうです。


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ヤロスワフ・イヴァシュキェヴィチ
1894年~1980年。ポーランドの小説家、詩人。キエフ大学で法律を学んだが、詩と音楽に熱中。1918年にワルシャワに移り、翌年詩人としてデビュー。小説家としても「白樺の林」(‘32)「ヴィルコの娘たち」(‘33)で地位を確立。一貫して、人間の孤独、愛と死、運命の悲劇性をテーマに作品を発表した。戦後は文壇の中心的存在として活躍。
他の代表作に「尼僧ヨアンナ」(‘43)「菖蒲」(‘58)がある。ポーランド文学史上最も多くの自作がTV化、映画化された作家。アンジェイ・ワイダ監督は「白樺の林」「ヴィルコの娘たち」「菖蒲」を映画化。ワイダ監督は「ヴィルコの娘たち」を作家に捧げ、本人をスクリーンに登場させている。「尼僧ヨアンナ」はイェジ・カヴァレロヴィチ監督が映画化。なお「菖蒲」は1965年アンジェイ・シャフャンスキー監督によっても36分の短編TV映画にされている。

「菖蒲」。
いったいどんなお話なのでしょう。
お読みになった方はご存知でしょうが、掌篇ともいうべき、短い小説です。
1965年にアンジェイ・シャフャンスキー監督がTV映画化したときも36分の短編でした。
それが本作は87分。約1時間半です。
アンジェイ・ワイダ監督、いったいどんな仕掛けでみせてくれるのでしょうか。

乞うご期待でございます。では、続きは次回で。



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菖蒲
監督/アンジェイ・ワイダ、撮影監督/パヴェウ・エデルマン、作曲/パヴェウ・ミキェティン、美術/マグダレナ・デュポン、プロデューサー/ミハウ・クフィェチンスキ
出演
クリスティナ・ヤンダ/マルタ、クリスティナ・ヤンダ/女優、パヴェフ・シャイダ/ボグシ、ヤドヴィガ・ヤンコフスカ=チェシラク/マルタの友達、ユリア・ピェトルハ/ハリンカ、ヤン・エングレルト/医師
10月20日(土)より岩波ホールにてロードショー(全国順次公開)
2009年、ポーランド、87分、ポーランド語、配給/紀伊國屋書店、メダリオンメディア、配給協力/アークフィルムズ、後援/ポーランド広報文化センター
www.shoubu-movie.com

by Mtonosama | 2012-10-19 07:34 | 映画 | Comments(4)
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カティンの森  KATYŃ

カティン。この地名をお聞きになったことはありますか?
殿はもう随分前になりますが、TVニュースで知りました。
画面には、まばらな木々が生えている寒そうな光景が映し出されていた記憶があります。

ポーランドにあるその森から、1943年春、ポーランド軍将校たちの遺体が
何千体も発見されたそうです。「カティンの森」事件です。

カティンの森事件
ヒトラーとスターリンの密約によって、ポーランドは1939年9月1日ドイツに、17日にはソ連に侵略された。ソ連の捕虜になった約1万5千人のポーランド将校が1940年以降行方不明になる。それから3年後、ドイツがソ連に侵攻した際、ソ連国内のスモレンスクに近いグニェズドヴォ(Gnezdovo)村近くの森でポーランド将校約4400人の遺体を発見。この事件が発覚した。
カティンの森事件(ポーランド語: Zbrodnia katyńska、ロシア語: Катынский расстрел)とはポーランド軍将校捕虜・国境警備隊員・警官・一般官吏・聖職者がソ連の内務人民委員部(秘密警察)によって1940年に銃殺された事件。日本ではカティン事件またはカチン事件としても知られている。
カティンはこの事件があった場所の近くの地名で事件とは直接関係ないものの覚えやすい名前であったため、当時のドイツが対外宣伝用に使用した。
(Wikipediaより)

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かれらがナチスによって殺されたのか、ソ連によって殺されたのか
長い間、秘密にされていましたが
冷戦時代が終わりを告げた1990年
当時のソ連・ゴルバチョフ大統領がソ連秘密警察によるポーランド人の殺害を認め
その2年後、ロシアのエリツィン大統領は
殺害がスターリンの直接署名した命令書によって行われたことを公式に言明しました。

「カティンの森」の監督アンジェイ・ワイダの父親を含む約1万5千人の
ポーランド将校たちが虐殺されてから半世紀が過ぎていました。

アンジェイ・ワイダ監督は監督デビューして間もない1950年代半ばに
この事件の真相を知ったそうです。
監督は、自分の手で「カティンの森」事件を映画化したいと切望しながら
当時、圧倒的なソ連の影響下にあったポーランドの状況や
冷戦下の微妙な国際関係から、この事件について語ることすらできませんでした。

タブーとして封印されていた事件も、ソ連の崩壊後、徐々にその輪郭が見えてきました。
しかし、まだ多くの事実は明らかになっていません。

監督は語っています。
「映画は、カティン事件の数多い被害者家族の苦難と悲劇について物語ればよい。ヨシフ・ヴィサリオノヴィチ・スターリンの墓上に勝ち誇る嘘、カティンはナチス・ドイツの犯罪であるとの嘘、半世紀にわたり、対ヒトラー戦争におけるソビエト連邦の同盟諸国、すなわち西側連合国に黙認を強いてきたその嘘について語ればよい」
(集英社文庫「カティンの森」/工藤幸雄・久山宏一訳)


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ストーリー
1939年9月17日。ポーランドがソ連に占領された日。
ドイツ軍に西から追われる人々と、ソ連軍に東から追われてきた人々が
ポーランドの東にある橋の上で行き交いました。
西から来た人の中には、クラクフから夫のアンジェイ大尉を探しにきたアンナとその娘ニカ。
東から逃げて来た人の中には大将夫人ルジャがいました。
アンナとニカは川向こうの野戦病院へ、ルジャはクラクフへ向かいます。

訪れた野戦病院で運良く夫アンジェイと邂逅できたアンナは夫の胸にしがみつきます。
夫アンジェイやその友人イェジら将校たちはソ連軍の捕虜になっていたのでした。
妻と娘が呆然と見詰めるその前で、軍用列車に乗せられ
東へ運ばれて行ってしまうアンジェイたち。

同年クリスマス・イヴ。大将の家では娘のエヴァが一番星を待ち
同じ頃、収容所でも大将はじめ将校たちが質素なクリスマスの食卓についていました。
大将は、将来のポーランド再興の担い手となるよう部下たちを激励し
全員で聖歌を歌っていました…

70年前、引き裂かれた家族。
待ち続けた妻、父母、兄弟姉妹、子ども。
一人の兵士が殺されるその背後で嘆く人々は家族の数だけいます。
友人も泣きます。一人の兵士の死に嘆く人々の数は幾何級数的に増えていきます。

今年83歳になる被害者の息子アンジェイ・ワイダ。
息子として、監督として、渾身の力をこめて撮影した映画です。

カティンの森
監督・脚本/アンジェイ・ワイダ『灰とダイヤモンド』『地下水道』、原作/アンジェイ・ムラルチク「カティンの森」カティンの森」(集英社文庫)、脚本/アンジェイ・ワイダ、ヴワディスワフ・ハシコフスキ、ブシェムィスワフ・ノヴァコフスキ
出演
マヤ・オスタシェフスカ/アンナ、アルトゥル・ジミイェフスキ/アンジェイ、ヴィクトリャ・ゴンシャフスカ、マヤ・コモロフスカ/アンジェイの母、ヴワディスワフ・コヴァルスキ/アンジェイの父、アンジェイ・ヒラ/イェジ、ダヌタ・ステンカ/大将夫人、ヤン・エングレルト/大将、他
原題:KATYŃ 、2007年、ポーランド映画、122分、R-15 、ドルビーSRD、シネスコ
ポーランド語・ドイツ語・ロシア語、字幕編集/久山宏一、資料監修・プレス編集協力/久山宏一、大竹洋子、後援:ポーランド共和国大使館  /「日本・ポーランド国交樹立90 周年」認定事業、提供:ニューセレクト、配給/アルバトロス・フィルム
12月5日(土)より岩波ホールにてロードショー、他全国順次公開
www.katyn-movie.com

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by mtonosama | 2009-11-13 06:54 | Comments(10)
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                  (C)Alfama Films, Skopia Films

アンナと過ごした4日間
Four Nights with Anna


低い陽光に照らされた建物の影が前方の家の屋根を半分覆い
空には不穏な気色をはらんだ雲
夏の日、涼しい木陰をもたらしてくれた木々もすべて葉を落とし
末梢神経のような枝先をかすかに震わせている
安い石炭の燃える匂いが空気を充たしている東欧の田舎町
寂しく、不思議な風景です。

アンジェイ・ワイダの系譜をひくポーランドの巨匠。
イエジー・スコリモフスキ(なんて覚えにくい名前でしょう!)の17年ぶりの最新作です。

日々の暮らしのように静かなストーリー展開、洒落たセリフなど皆無。
ポーランドの陰鬱な重い空気。
強姦事件を目撃し、警察に通報しながら、
自分が犯人にされてしまう運の悪い主人公レオン。
強姦された被害者アンナに恋をするレオン。
不器用な男の純愛は、盗み見という陰湿な行為として現れながら
なぜか清らかで優しい。

     あ、今、相当ひいてますね。
     お気持ちはわかります。
     でも、ちょっと待ってください。

スクリーンに映し出された映像は強烈な吸引力を持って
観客の目をひきつけて離しません。
どうしてでしょうかねぇ。

同じポーランド人でも、アンジェイ・ワイダ監督には社会性があります。
ロマン・ポランスキー監督は華やかさを持っています。
イエジー・スコリモフスキ監督のこの新作には
そのどちらもないのですけどねぇ。

しかし、冒頭の風景写真が見る者をとらえて離さないように
この映画も人間のかかえる奥深い心象風景とシンクロしながら
観る者にじっとりとまつわりついてきます。

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 イエジー・スコリモフスキ
イエジー・スコリモフスキは1938年5月5日ポーランド、ウッチの生まれ。
父は建築家だったが、第2次世界大戦中ユダヤ人の妻の一家を守るため
レジスタンスに身を投じ、ナチスに処刑される。
大学では民族学、歴史、文学を専攻し、ボクシングやジャズにも関心を持つ。
詩集、短編小説、戯曲などを意欲的に発表。
アンジェイ・ワイダに注目され、「夜の終りに」(‘60)を共同執筆
ボクサー役として出演もする。
その後、故郷のウッチ国立映画大学に入学。
62年にはポランスキーの長編デビュー作「水の中のナイフ」で台詞を執筆。
66年ベルガモ映画祭でグランプリを受賞し注目を浴びるが
スターリン批判をしたため上映禁止処分を受けた。
詩人、ボクサー。画家、ジャズドラマーと多彩な顔を持つ監督。

71歳になったイエジー・スコリモフスキが現在のポーランドに見たものは
共通の怒りによって結びつけられた連帯でも
よりよい社会をつくるんだ!という高邁な精神でもなく
分断された孤独な人間でした。

監督はいいます。
「これは人とのつながりを求める基本的な欲求の物語です」

ストーリー
病院内の焼却処分場で働き、祖母と2人でひっそりと暮らすレオン。
街の通りを病院の看護士アンナが行く。
急いで物陰に身をひそめるレオン。
レオンの家の向かいには看護士宿舎があり、アンナの部屋が見える。
毎夜レオンは双眼鏡で彼女の部屋を覗く。

なぜ?

数年前、川へ釣りにでかけたレオン。
釣果もなく、ひきあげようとしていると、叩きつけるような雨が降ってきた。
レオンは近くの廃工場へ駆けこむ。
すると建物の奥から女性の叫び声が。
おそるおそる近づいて行ったレオンの目に映ったのは
見知らぬ男に乱暴されているアンナの姿だった。
その場を逃げ出し、警察に通報するレオン。
だが、現場に釣りの道具を置き忘れたため、容疑者として逮捕されてしまう。

釈放後、勤めていた病院を解雇され、祖母も亡くなる。
一人になってしまったレオンは、その後、大胆な行動に…


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「人とのつながりを求める欲求」
孤独で隠微で薄気味悪い…
こんな言葉で切り捨てられてきた人もまた人とのつながりを求めています。

明るく人好きのする人にひかれるように
多くの人は明快な映画にひきつけられます。

でも、このはがゆい冴えない男が観客をそらさないように
薄暗い東欧の田舎町が舞台のこの映画も観客の視線を飲みこんでいきます。
この映画には魔力があります。

アンナと過ごした4日間
監督、脚本、製作/イエジー・スコリモフスキ、製作/パウロ・ブランコ、
脚本/エヴァ・ピャスコフスカ、撮影/アダム・シコラ
キャスト
アルトゥル・ステランコ/レオン、キンガ・プレイス/アンナ、イエジー・フェドロヴィチ/院長、
バルバラ・コウォジェイスカ/祖母
10月17日(土)より、渋谷シアター・イメージフォーラムにて公開  
www.anna4.com


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by mtonosama | 2009-09-19 06:24 | 映画 | Comments(8)