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殿様の試写室

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タグ:アンドリュー・ヘイ監督 ( 2 ) タグの人気記事


さざなみ
-2-
45YEARS

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(C) The Bureau Film Company Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2014
(C) 45 Years Films Ltd



子どものいない年金生活の夫婦ジェフとケイトが主人公の本作。
牧草地の広がる地方都市の郊外に二人は静かに暮らしています。
絵に描いたように穏やかで平和な老後を送る二人。
土曜日には結婚45周年の祝賀パーティを控えています。

その日は月曜日
早朝いつものように飼い犬の散歩に出かけるケイト。
朝もやの中、「煙が目にしみる」を口ずさみながら帰宅します。
♪Smoke gets in your eyes
彼女がまだ若かった頃、50年代のヒット曲です。

ストーリー

月曜日
週末に結婚45周年祝賀パーティを迎えるジェフとケイト。
だが、これまでの45年間がそうであったように
夜になれば一杯のワインとケイトの料理を楽しみ
「キルケゴールが好きだよ」などと話すジェフの言葉に
軽い茶々を入れるケイト。
静かに過ごす日々。
それはこれからも変わらない筈だった。

ジェフに届いた一通の手紙が、
50年以上前にスイスの雪山で亡くなった
彼の恋人カチャの死体が氷の下でみつかったことを告げるまでは。

火曜日
ジェフはケイトを町に誘う。
ランチをとるため待ち合わせたカフェで
ジェフは地球温暖化の本を読み耽っている。
氷河は猛スピードで溶け、その水は岩盤の下に溜っている。
そして、いつか決壊してすべてを流してしまうという内容の本だ。
恋人カチャも発見されていなければそうやって流されていったのだろうと
憑かれたように語るジェフ。

夜、ダンスホールで初めて会った日のことを話す二人。
リビングで頬を寄せ合い静かにダンスをする。
久々の高揚感からジェフはケイトをベッドに誘う。
深夜、かすかな物音に気付いたケイトは目を覚ます。
ベッドの隣にジェフがいない。
彼はカチャの写真を屋根裏部屋で探していたのだった・・・

水曜日
友人のリナと出かけたケイトは
ジェフが会社のOB会に行きたがっていないことを知らされる。
その日、町で見かけたジェフはひどく疲れた顔をしていた。
家に戻ったジェフはカチャのことをケイトに夢中で話し始める。
ケイトはジェフに問いかける。
「もし彼女が死んでいなければ、彼女と結婚してた?」
ジェフは答える。
「そのつもりだった」・・・

木曜日
いやいや会社のOB会に出かけるジェフ。
ジェフを会社まで送り届けたケイトは躊躇いながらも
屋根裏部屋に続く階段を上がる。

そこには50年以上前の旅の記憶と愛の記録が満ち満ちていた。
スライドを壁に映し出すケイト。
若々しいカチャの笑顔が大きく映し出される・・・

金曜日
目覚めた時、ジェフはいない。
バスで町に入ってくるというメモを残してある。
ピンときたケイトは旅行代理店へ。
「私の夫が来なかったかしら?」
店員は答える。
「スイス行きのお客様ですね」

夕方帰宅したジェフにスイス行きのことを問い詰めるケイト。
氷河の岩盤の下に溜った水が決壊するように45年の日々を押し流していく・・・

土曜日
今日は二人の結婚45周年の祝賀パーティ。
ジェフはケイトにジュエリーのプレゼントを用意していた。
微笑みながらVネックのパーティドレスの胸元にそれをつけるケイト。
美しく上品な彼女。
パーティのクライマックス、ジェフのスピーチ。
ジェフは涙ぐみながら
「君と結婚できたことは僕の人生の最高の選択だった」・・・

♪Smoke gets in your eyes
ダンスタイムが始まった。
だが、ケイトの視線はジェフを離れ、中空に漂う……

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45年も経って何やっているの?と
もし、この夫婦に子どもがいたら言うに違いありません。
実はわたしもそう思いました。

恋人は既にこの世にいないにせよ
アルプスの雪山で20代の姿のままでみつかった彼女のことを
呆けた目つきで語る夫には
わたしがその立場だとしても、もちろん怒りを感じ、
それはしこりとなって残るに違いありません。

でも、45年も経っているんでしょ?

でも・・・
自分だとしたら・・・
本作はそんな風に観客を巻き込んでいく容赦ない映画です。

子どものいない夫婦なら尚更
夫であること、妻であることを演じ続けていかなければ夫婦生活は維持できません。

盤石な存在と見えた氷河も
年月の経過と共に溶けていきます。

氷河の下から現れた20代のままの姿を保つ夫の恋人の遺体は
70代の妻の45年の夫婦生活に小さなさざなみを立てました。
そして、さざなみは次第次第に拡がっていくのです。

コツコツと積み重ねてきた日々を覆される妻の懊悩を
シャーロット・ランプリングが静謐な演技で表現します。

年代によって、男女によって、いろいろに感じ取れる映画だと思いました。
女の目から見れば
「ジェフ、あんたは甘えてるよ」ですけど。
男から見れば
「なにもそんなことで・・・」なんでしょうね。

愛は若死になんです。
愛を和みに、愛を穏やかさに変えるために
夫婦は演技し続けないといけなかったのに。





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☆4月1日に更新しました。まあ、4月ですってよ!☆

さざなみ
脚本・監督/アンドリュー・ヘイ、プロデューサー/トリスタン・ゴーライアー、原作/トリスタン・ゴーライアー“In Another Country”、撮影/ロル・クローリー、BSC
出演
シャーロット・ランプリング/ケイト・マーサー、トム・コートネイ/ジェフ・マーサー、ジェラルディン・ジェームス/リナ、ドリー・ウェルズ/サリー、デヴィッド・シプリー/ジョージ
4月9日(土)よりシネスイッチ銀座他全国順次公開
2015年、イギリス、英語、カラー、95分、配給/彩プロ

by Mtonosama | 2016-04-01 06:23 | 映画 | Comments(10)

さざなみ
-1-
45YEARS

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(C) The Bureau Film Company Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2014 (C) Agatha A. Nitecka


『さざなみ』 
オリジナルタイトルは“45YEARS”。
45年というタイトルがなぜ『さざなみ』なのか。

ま、それはおいおいわかることでありましょう。

2015年ベルリン国際映画祭で銀熊賞を受賞し、
さまざまな映画賞の受賞とノミネートで話題を呼んでいる作品です。
結婚45年を迎えた夫婦の物語で、
妻を演ずるのはシャーロット・ランプリング。
夫を演ずるはトム・コートネイ。

トム・コートネイは60年代初頭イギリスで起こった新しい映画運動の代表作
『長距離ランナーの孤独』(‘62 トニー・リチャードソン監督)
で主人公を演じたちょっとジョージ・ハリソン似(当時は)の男優です。

トム・コートネイ
1937年2月25日、イギリス・ヨークシャー州出身。
大学卒業後、王立演劇学校で学び、1960年舞台デビュー。
トニー・リチャードソン監督に抜擢され、『長距離ランナーの孤独』に主演。
英国アカデミー賞新人賞を受賞。
『ドクトル・ジバゴ』(‘62)でアカデミー賞助演男優賞、
『ドレッサー』(‘83)ではアカデミー賞主演男優賞にノミネート、
第41回ゴールデングローブ賞で主演男優賞を受賞。
主に舞台を中心に活動し、これまでにトニー賞にも2度ノミネートされた。
2001年には40年間に及ぶ映画と舞台での活躍が評価され、
ナイトの称号が贈られた。

フィルモグラフィ
1962年 『長距離ランナーの孤独』
1965年 『ドクトル・ジバゴ』
1983年 『ドレッサー』
1999年 『ハロルド・スミスに何が起こったか?』
2007年 『ライラの冒険 黄金の羅針盤』
2012年 『カルテット!人生のオペラハウス』
『モネゲーム』
2013年 『リスボンに誘われて』

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(C) The Bureau Film Company Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2014(C)45Years Films Ltd


一方、シャーロット・ランプリングは
あの『愛の嵐』(‘73 リリアーナ・カヴァーニ監督)で
ナチの帽子をかぶり、裸の上半身に肘上まである黒い手袋とサスペンダーの付いたズボンだけを
身につけた衝撃的なシーンで世界中の度肝を抜いた女優です。

シャーロット・ランプリング
1946年2月5日、イングランド・エセックス州出身。
父は軍人で、オリンピックのメダリスト。母親は画家。
幼少期に父の仕事の関係でイギリスとフランスの各地を転々としたため、語学が堪能。
ロンドンで秘書として働いていた時、モデルとしてスカウトされる。
1965年リチャード・レスター監督に見出され、『ナック』で映画デビュー。
1966年公開の『ジョージー・ガール』で次世代スターとして注目される。
その後ロンドンのロイヤル・コート・シアターで演技を学び、
堪能な語学力を活かし、イタリアへ。ルキノ・ビスコンティ監督に見初められる。
1969年『地獄に堕ちた勇者ども』に出演。
退廃的な魅力を発揮し、世界中の注目の的に。
1973年『愛の嵐』。
以降はフランスやアメリカの作品にも出演、国際的に活躍している。

フィルモグラフィ
1965年 『ナック』
1966年 『ジョージー・ガール』
1969年 『地獄に堕ちた勇者ども』
1973年 『愛の嵐』
1974年 『蘭の肉体』
1975年 『さらば愛しき女よ』
1977年 『オルカ』
1982年 『評決』
2001年 『まぼろし』
2003年 『スイミング・プール』
2006年 『氷の微笑2』
2007年 『エンジェル』
2008年 『ある侯爵夫人の生涯』
2010年 『わたしを離さないで』
2011年 『ブリューゲルの動く絵』
『メランコリア』
2013年 『17歳』
『リスボンに誘われて』

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(C) The Bureau Film Company Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute 2014(C)Agatha A. Nitecka


そんな二人も
トム・コートネイは79歳、
シャーロット・ランプリングは70歳です。

いつも思うのですが、時の流れは本当に容赦のないものです。
昔、目を瞠るような美貌を誇っていた俳優達が
年月の経過と共に老いていく姿は
映画以上に心に訴えかけてくるものがあります。

でも、だからこそ演じられる作品があるんですね。
本作はまさにそんな映画です。

観る年代によって感じることは大きく違うと思います。
さあ、いったいどんな映画なのでしょうか。
続きは次回までお待ちくださいませ。



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☆3月29日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

さざなみ
脚本・監督/アンドリュー・ヘイ、プロデューサー/トリスタン・ゴーライアー、原作/トリスタン・ゴーライアー“In Another Country”、撮影/ロル・クローリー、BSC
出演
シャーロット・ランプリング/ケイト・マーサー、トム・コートネイ/ジェフ・マーサー、ジェラルディン・ジェームス/リナ、ドリー・ウェルズ/サリー、デヴィッド・シプリー/ジョージ
4月9日(土)よりシネスイッチ銀座他全国順次公開
2015年、イギリス、英語、カラー、95分、配給/彩プロ

by Mtonosama | 2016-03-29 06:30 | 映画 | Comments(6)