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殿様の試写室

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エゴン・シーレ
死と乙女
-2-

EGON SCHIELE –TOD UND MÄDCHEN

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(C)Novotny & Novotny Filmproduktion GmbH


その画家の作品が好みに合い、演ずる役者が美形で、
さらに、その人生が破天荒で、
その生きた時代に惹かれるのであれば、
やはり観てしまう――
エゴン・シーレはそんな絵描きです。

そして、彼をとりまく女性たちの存在や生き方にもそそるものがあるんですねえ。
さあ、いったいどんなお話なのでしょうか。

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ストーリー
1918年冬、第一次世界大戦下のウィーン。
その年、世界中に広がったスペイン風邪のため、
画家エゴン・シーレとその妻エディットも床についていた。

スペイン風邪:1918年から19年にかけて世界的に大流行したインフルエンザのパンデミック。感染者5億人、死者5千万人から1億人と爆発的に流行した。一説によると、この大流行により多くの死者が出たため、第一次世界大戦終結が早まったと言われている。

兄の身を案じたゲルティが看病にやってきた。
殺風景な部屋で妊娠中のシーレの妻エディットは死にかけており、
シーレも弱り切っていた。
―――――
8年前、ウィーン美術アカデミーを退学したシーレは
仲間たちと「新芸術家集団」を結成。
その頃、シーレのモデルを務めていたのは16歳になる妹のゲルティだった。

ある夜、仲間と酒を飲んでいたシーレは
「タヒチの部族長の娘」という触れ込みの褐色のモデル・モアに知り合う。
エキゾチックなモアに夢中になるシーレ。
そして、モアに嫉妬するゲルティ・・・

モルダウ河に沿ったクルマウの一軒家での新芸術家集団との狂宴の中
シーレの脳裏をよぎる父の姿。
幼い頃、有価証券をはじめとする一家の資産をすべて暖炉に投げ込み、
梅毒に侵され、狂い死んだ父。

1911年
尊敬するグスタフ・クリムトのアトリエを訪れるシーレ。
そこで彼は燃えるような赤毛と青い瞳が印象的なヴァリと運命的な出会いを果たす。

シーレとヴァリはノイレングバッハで暮らし始める。
ヴァリはシーレにとってかけがえのないパートナーとなっていた。
ところが
シーレは13歳の少女の誘拐罪で告発されてしまう。
それどころか幼児性愛者というレッテルを張られることに。
シーレから離れていくパトロン達。
1912年5月、ヴァリは裁判でシーレの無罪を証言し、彼は禁固刑を免れる。

裁判の後、ウィーンのアトリエに移り住んだシーレとヴァリは
向かいに住む中産階級の娘アデーレ・エディット姉妹の好奇の的となっていた。
やがて第一次世界大戦が勃発。
ゲルティはかつてはシーレの仲間だったアントンと結婚。
式に出席したヴァリは
「私は結婚を求めない」とシーレに告げるのだった……

その後、シーレも徴兵されるのですが、
「結婚協定」――結婚している兵士は戦場に妻を同行し、
兵舎ではなくホテルで夜を過ごすことができる――
に飛びついて結婚相手に選んだのはなんとヴァリではなく、
中産階級の娘エディットでした。

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どんなに自由奔放に生きる芸術家でも
結婚相手となると自分の身分に属する相手を選ぶ――
そんな時代だったんですね。

泣き喚くことなく毅然としてシーレの許を立ち去るヴァリの姿が
美しいのです。

従軍看護婦としてダルマチア戦線へ赴いたヴァリは
2年後、猩紅熱で死去します。23歳でした。

ヴァリの美しさと凛々しさと悲しさが際立つ作品です。







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☆2017年2月4日に更新しました。スペイン風邪は怖いですね。いつも応援ありがとうございます☆


エゴン・シーレ 死と乙女
監督/ディーター・ベルナー、脚本/ヒルデ・ベルガー、ディーター・ベルナー、原作/“Tod und Mädchen:Egon Schiele und die Frauen”「死と乙女:エゴン・シーレと女性たち」ヒルデ・ベルガー著、撮影/カーステン・ティーレ、美術/ゲッツ・ワイドナー
出演
ノア・サーベトラ/エゴン・シーレ、ゲルティ/マレシ・リーグナー、ファレリエ・ペヒナー/ヴァリ・ノイツェル、ラリッサ・アイミー・ブレードバッハ/モア、マリー・ユンク/エディット、エリーザベト・ウムラウフト/アデーレ、コーネリウス・オボンバ/グスタフ・クリムト
2017年1月28日(土)Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
2016年、オーストリア・ルクセンブルグ作品、ドイツ語、109分、http://egonschiele-movie.com/

by Mtonosama | 2017-02-04 06:56 | 映画 | Comments(6)

エゴン・シーレ
死と乙女
-1-

EGON SCHIELE –TOD UND MÄDCHEN

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(C)Novotny & Novotny Filmproduktion GmbH


オーストリアの画家といえば
やはりグスタフ・クリムトとエゴン・シーレが浮かびます。
二人は同時代人であり、
ウィーン分離派の画家であります。

ウィーン分離派
1897年にクリムトを中心に結成された芸術家のグループ。
分離派会員でもある建築家、オルブリッヒの手になる分離派会館の屋根には
巨大な黄金のキャベツが燦然と輝き、
入り口には
Die Zeit Ihre Kunst,Ihre Kunst Ihre Freiheit.
(時代には芸術を、芸術には自由を)
という分離派のモットーが掲げられている。

嗚呼、憧れの世紀末、憧れのウィーンなのであります。

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今回、当試写室で上映するのは20世紀の幕開けと共に
ウィーン画壇に出現し、スキャンダルと挑発的な作品を遺し、
28歳の若さで夭折したエゴン・シーレのお話です。

いつも言っているような気がしますが、
画家を主人公にした作品に納得できるものは少ないです。
例外として、2015年6月に上映した『ターナー、光に愛を求めて』がありますが。
http://mtonosama.exblog.jp/24148726/ http://mtonosama.exblog.jp/24159520/

『クリムト』もあんなに綺麗な女の人の絵を描くのに
なんでこんなキューピーさんの出来損ないのようなおじさんなの?と幻滅しました。
あ、ターナーを演じたティモシー・スポールも仏頂面でしたねえ。
でも、ターナーは風景画の画家だからまだ良いんですよ・・・

絵画は映画を通してではなく、実作を見るしかないという
偏見の塊になってしまっているとのです。

しかし、また悪い癖が出て、
エゴン・シーレの名に惹かれて観に行ってしまいました。

エゴン・シーレの名に惹かれただけではなく、
彼を演じた俳優がとっても美形だったということを
白状しない訳にはまいりますまい。

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エゴン・シーレ
1890年、鉄道官吏の父アドルフと母マリーの第3子として生まれる。
1894年4歳、妹ゲルトルート(愛称ゲルティ)誕生。
1902年12歳、父アドルフ、梅毒により退職。
この年、グスタフ・クリムトがウィーン分離派を結成。
1904年14歳、父死去。叔父が後見人に。
1906年16歳、名門ウィーン美術アカデミーに史上最年少で入学。
1907年17歳、ウィーンにアトリエを構える。クリムトと知り合う。
この年、アドルフ・ヒトラーがウィーン美術アカデミーに2年連続で不合格。
1909年19歳、ウィーン美術アカデミーを退学。友人と「新芸術家集団」を結成。
画家としてデビュー。
1910年20歳、後見人と決別し、生活が困窮。
労働者層の少女らをモデルにした裸体画や自画像を描き始める。
1911年21歳、母の故郷クルマウにアトリエを移す。
クリムトから譲られたモデル、ヴァリと同棲。村人の反発でノイレングバッハに移る。
1912年22歳、ノイレングバッハ事件
不道徳、未成年誘拐の容疑で24日間の獄中生活。釈放後はウィーンにアトリエを移す。
1913年23歳、ミュンヘン、シュツットガルト、ベルリンで個展。
1914年24歳、アトリエの正面に住む中産階級の姉妹アデーレ、エディットと知り合う。
1915年25歳、ヴァリと別れ、エディットと結婚。
その4日後。召集を受け、プラハで入隊。
この年「死と乙女」を描く。
1918年28歳、第49回ウィーン分離派に参加、画家としての地位を確立。
スペイン風邪の大流行により妊娠中の妻エディットが死去。
看病していたシーレも3日後に死亡。

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数多くのモデルとラブアフェアーズを楽しんだというエゴン・シーレ。
その中でもとりわけ大きな存在となったのは
献身的に兄を支え、モデルを務めた妹ゲルティ。
そして、
クリムトのモデルを経て
シーレとは公私にわたってのパートナーであり、
彼の表現世界におけるミューズであり続けたヴァリ。

エゴン・シーレといえば女性遍歴が激しく
退廃的でスキャンダルに満ちた画家というイメージが強いのですが、
さて、本作ではどのように描かれているのでしょう。
続きは次回まで乞うご期待でございますよ。



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☆2017年2月1日に更新しました。風邪が流行っています。皆さまどうぞご自愛くださいね☆

エゴン・シーレ 死と乙女
監督/ディーター・ベルナー、脚本/ヒルデ・ベルガー、ディーター・ベルナー、原作/“Tod und Mädchen:Egon Schiele und die Frauen”「死と乙女:エゴン・シーレと女性たち」ヒルデ・ベルガー著、撮影/カーステン・ティーレ、美術/ゲッツ・ワイドナー
出演
ノア・サーベトラ/エゴン・シーレ、ゲルティ/マレシ・リーグナー、ファレリエ・ペヒナー/ヴァリ・ノイツェル、ラリッサ・アイミー・ブレードバッハ/モア、マリー・ユンク/エディット、エリーザベト・ウムラウフト/アデーレ、コーネリウス・オボンバ/グスタフ・クリムト
2017年1月28日(土)Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
2016年、オーストリア・ルクセンブルグ作品、ドイツ語、109分、http://egonschiele-movie.com/

by Mtonosama | 2017-02-01 05:48 | 映画 | Comments(8)