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殿様の試写室

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                父の初七日 -2-
                          父後七日

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          © Magnifique Creative Media Production Ltd.Co.ALL rights reserved

                    お葬式もお国柄によってさまざまです。
     かつて、かの地の将軍様が亡くなったとき、国をあげて号泣していた様子にはびっくりしました。

  朝鮮半島、台湾、中国などの儒教色の濃いお葬式では遺族の女性は派手に泣いたり、叫んだりします。
      プロの泣き女に依頼することもあるそうですが、この映画にも凄腕の泣き女が登場します。
        地面にうち伏し、身もだえするように泣きじゃくるその姿は、なんというか……
              あらゆる注釈を否定するようなすさまじさがありました。

             しかし、これだけ泣けたら(泣いているところを見るだけでも)、
      悲しみも、怒りも、なにもかも全部、洗い流されて、さぞ、すっきりすることでありましょう。
                 あ、この映画は泣き女の映画ではありません。
   映画に登場する泣き女があまりに猛烈な泣き方だったもので、つい余計なことを言ってしまいました。

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ストーリー
台湾中部・彰化県の田舎町。突然の父の訃報に台北で働く娘・アメイが帰ってきました。
夜店を営む兄・ダージ、従弟・シャオチュァンもやってきて、
道士をしている叔父・アイーの指図で伝統的な道教の葬儀が執り行われることになりました。
占いで決められた野辺送りの日は7日後。

f0165567_5322912.jpg泣き女が大泣きするやら、
遠い親戚が缶を積み重ねてつくったタワーをお供えしてくれるやら、
そのタワーの缶があまりの暑さに膨張して中身が噴き出してくるやら、
楽隊がにぎやかに音楽を演奏するやら、
大変なお葬式です。


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ダージとアメイの兄妹は道士のアイーに命ぜられるまま
あたふたと役割をこなします。
暑さと喧騒と混乱の中、ふっとよぎる父との思い出。
思い出の中の父は笑ったり、冗談ばかり言っています。
たわいない父とのやりとりにこれまでの日々を想い、寂しさがよぎります。

そして、7日目、にぎやかな楽隊に伴われて野辺の送りも無事に終わりました。
ひとり台北へ向かうアメイでしたが……

           お葬式を無事進めることに必死で、涙を流すヒマもない若い兄妹。
      ジタバタしながらも伝統的な儀式に従う彼らの様子には、申し訳ないけど笑えます。
            (でも、喪主体験者としては、彼らの気持ちはよ~くわかります)

   昔ながらのお葬式は、都会で働くキャリアウーマンで、英語もペラペラのアメイとは、なんともミスマッチ。
                「こんなのやってられないわよ」と言って逃げ出すことなく、
  必死に儀式をつとめる姿ってアジアの女の持つ底力なのかもしれないなって思ってしまいました。

                       なんか、この女優さん、良いです。
            今回が映画初出演で、以前は脚本や企画などに携わっていたそうですが、
                   きっとそちらの方でも良い仕事していたんでしょう。

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台湾的お葬式という異文化体験をさせてもらいつつ、
お葬式の合間に挿まれるエピソードで愉快なおとうさんの側面を知るにつけ、
ラストの空港でのシーンにはじーんときます。
お葬式は国によって様々でも、愛する肉親を亡くした気持ちに国の違いはありませんもん。


  葬儀って、ひとりの時間を持つまで涙を堰き止めておくダムみたいな働きを持っているのかもしれません。
                   どうぞラストはアメイと一緒に泣いてください。

                               

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父の初七日
製作・監督/ワン・ユーリン(王育麟)、原作・脚本・監督/エッセイ・リウ(劉梓潔)、音楽/ドゥー・ドゥージー(杜篤之)
出演
ワン・リーウェン(王莉雯)/アメイ(阿梅)、ウー・ポンフォン(呉朋奉)/アイー(阿義)、
チェン・ジャーシャン(陳家祥)/タ―ジ(大志)、タイ・バオ(太保)/父、チェン・タイファー(陳泰樺)/シャオチュアン(小庄)、ジャン・シーイン(張詩盈)/アチン(阿陳)
2009年、台湾、92分、カラー、提供/マクザム、パルコ、太秦、配給/太秦
www.shonanoka.com

by mtonosama | 2011-06-05 06:04 | 映画 | Comments(6)
                  父の初七日 -1-
                           父後七日

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           © Magnifique Creative Media Production Ltd.Co.ALL rights reserved

                      震災からもうすぐ3ヶ月になります。
         日にちは経ってもいまだ癒されることのない痛みや喪失感を抱えておられる皆さま、
                    不自由な生活を余儀なくされている皆さま、
         ご家族やお友達を探し続けていらっしゃる皆さま、心よりお見舞い申し上げます。
         どうぞ一日も早く心穏やかな日々が戻り、日常生活を送ることができますように。

            本作「父の初七日」は、本当は6月4日に公開を予定されていました。
          しかし、3月11日の恐ろしい災害で多くの方が命を落とされ、ご家族を失い、
        今もまだ行方のわからない方がいらっしゃり、お葬式もできない方々もおられるのに、
              お葬式の映画とはいかがなものか、と公開が延期されました。
                   そして、まだ新たな公開時期は決まっていません。

                  ですが、当試写室では上映させていただくこととします。

                     とのも3年前に父を亡くし、喪主を務めました。
        看病疲れと虚脱感で呆然としていたため、あまりに早い葬儀の展開についてゆけず、
         「もう少し待っていただけませんか?」と葬儀屋さんに泣きを入れてしまいました。
                      すると穏やかではありましたが、容赦なく
         「延ばせば延ばすほど、疲れがたまって動けなくなりますよ」と拒絶されました。

                    早くできるなら、その方がいいのかもしれません。
 果たすべき義務を果たした後にこそ、愛する人々の死を心から嘆き悲しみ悼むことができるのでしょうから。
           お葬式をあげたくてもできない皆さまの苦痛を本当にお察し申し上げます。

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                         この映画は台湾の作品です。
               最初は小規模に公開されていた本作ですが、話題が話題を呼び、
                  台湾全土で拡大上映され、ロングランヒットを記録。
         昨年、台湾のアカデミー賞にあたる金馬賞で7部門にノミネートされた話題作です。

           エッセイ・リウという1980年生まれの若い女性が書いた散文を本人が脚色、
         それが最優秀脚色賞を受賞したこと、また初監督を務めたことも話題をよびました。

         ちなみに散文というのは、台湾では詩歌・戯曲・小説以外の文芸作品一般のことで、
                日本で言えば随筆やルポなどを含むジャンルなのだそうです。
  
           彼女の散文は台湾ではタブーとされてきたお葬式を題材にしたものでしたが、
                      新しい境地を切り拓いたと高い評価を受け、
              2006年、台湾で最高の賞金々額を誇る林榮三文学賞を受賞しました。

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                  台湾独特の派手なお葬式にとまどいながらも、
             突然訪れた父の死を次第しだいに受け入れていく兄妹の7日間を、
     優しさとペーソスを下敷きにして、そこにほんの少しのユーモアも交え、淡々と描いた作品です。

台湾の伝統的なお葬式は、儒教に由来したしきたりと道教・仏教の儀礼によって執り行われます。
暦を見て十干・十二支の占いで納棺や葬儀の日時が決められ、
また、遺族は決まった時間に泣くことが決められています。泣き女を雇うこともあるそうです。
所変われば、品変わる、ですね。
あの世のお金である紙銭を焼いて、故人を送りますが、
紙製の家や紙製の家電製品、紙製の車なども燃やすそうです。
追善供養としては読経の他、故人を地獄から解放し、
極楽に送るための儀礼である做功徳(さくくどく)も営まれます。
追善供養の儀礼や告別式は別に設けたテントで行われ、
葬列には楽隊や芸人も加わり、賑やかな野辺送りとなります。

               お国によってお葬式もいろいろで、目をみはってしまいます。
        3月にお知らせした「ブンミおじさんの森」http://mtonosama.exblog.jp/15632324/でも 
                   タイのお葬式の鮮やかな色彩に驚きましたが。

             さて、どんなお話なのでしょうか。続きは次回までお待ちくださいませ。

                                 
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父の初七日
製作・監督/ワン・ユーリン(王育麟)、原作・脚本・監督/エッセイ・リウ(劉梓潔)、音楽/ドゥー・ドゥージー(杜篤之)
出演
ワン・リーウェン(王莉雯)/アメイ(阿梅)、ウー・ポンフォン(呉朋奉)/アイー(阿義)、チェン・ジャーシャン(陳家祥)/タ―ジ(大志)、タイ・バオ(太保)/父、チェン・タイファー(陳泰樺)/シャオチュアン(小庄)、ジャン・シーイン(張詩盈)/アチン(阿陳)
2009年、台湾、92分、カラー、提供/マクザム、パルコ、太秦、配給/太秦
www.shonanoka.com

by mtonosama | 2011-06-02 06:49 | 映画 | Comments(6)