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殿様の試写室

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タグ:エドワード・ベルガー監督 ( 2 ) タグの人気記事


ぼくらの家路
-2-
Jack

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(C)PORT-AU-PRINCE Film & Kultur Produktion GmbH


日本の子どもたちも、ドイツの子どもたちも、
みんな必死に生きています。

前回、誰も悪い大人は出てこない、と書きました。
そうなんです。
20歳になるかならずかで子どもを持ったシングルマザーのザナ。
彼女は自分が遊びたい盛り。
息子たちを家に残し、夜な夜な遊びにでかけます。
子どもたちを連れて公園へ遊びにいっても
彼女は友人たちと避妊の話で盛り上がり、挙句、そのまま飲みに出かけ、
子どもたちだけを家に帰らせます。

え、母親が悪いだろうって?

そうなんですよね。

自分の遊びや恋人作りに一生懸命で
口答えもせず、ママを助けて家のことをするジャックに
小さな弟の世話もおしつけているんですから、
彼女のやっていることは立派な育児放棄です。

でもね、彼女、子どもたちを怒鳴りつけたり、叩いたりは決してしないし、
福祉局の役人の冷たい対応には息子をかばって断固言い返したりもします。

だから、ジャックはママが大好きで、家事だって喜んでやっています。

だから、この映画を観る前には決して母や大人が悪いと決めつけないで
ただ、ジャックの働きと行動と決断を注視してほしいのです。
10歳にして大人の階段を上るジャックの目で。

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ストーリー
ベルリン。朝。
10歳のジャックは今朝も6歳の弟マヌエルに朝食を作って食べさせ、
物干しロープからTシャツを外し、身につけるやもう学校に行く時間。
シングルマザーのザナは子育てより恋人や夜遊びを優先しているので
ジャックが代わりに家事と弟の世話を引き受けていた。

だが、ある日、事件が起こった。
ジャックはお湯の温度を調節し忘れてしまい、
マヌエルが火傷を負ってしまったのだ。
その結果、ジャックは養護施設に預けられることになってしまう。

そこでは乱暴な上級生に目をつけられ、何かと苛められるジャック。
友だちもできないまま、待ち望むのはママが迎えに来てくれる夏休み。
ところが、ママは「仕事が入ったので迎えは3日遅れるわ」と電話してきた。

がっかりしたジャックは同室のマークの双眼鏡を持って
施設の裏にある森へ出かける。
ジャックと同じく居残り組のいじめっ子の上級生が
その双眼鏡を川に投げ込んだ時、思わず太い枝で彼を殴り倒してしまった。

その場を逃げ出したジャック。
彼は施設へは戻らず、家へ帰ることにした。

ひたすら歩き続けるジャック。
なけなしの金でケバブを食べ、その店から母の留守電メッセージに
「今から帰るよ」と吹きこんだ。
長い間歩き続け、ようやく辿りついたアパートの階段を勇んで駆け上がる。
だが、ママはいない。
いつもの鍵の隠し場所を探しても鍵はみつからない。

ジャックはママに伝言メモを残し、マヌエルの預け先に向う。
「ママを探そう」と決めた兄弟はママのバイト先や妖しいナイトクラブ、
ベルリン中、ママのいそうな場所を探しまわる。

でも、ママはどこにもいない。
疲れ果てた2人は地下駐車場の廃車の中で夜を明かすのだった……

ジャックが心細い思いを封印し、小さなマヌエルの手をひき、
靴ひもを結んであげながらベルリン中を歩き回ります。
大人たちは彼らを邪険に扱ったりはしないけれど、
だからといって何かをしてくれるわけではありません。

すべて10歳のジャックが自ら決断し、
どうすべきかを決定します。

心の成長痛という言葉があります。
本作は確かに痛みを感じさせる映画です。
でも、それはジャックが一足早く、そして、確実にママより大人になっていく――
その時に感じる心の成長痛なのかもしれません。





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☆9月16日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

ぼくらの家路
監督/エドワード・ベルガー、脚本/エドワード・ベルガー、ネル・ミューラー=ストフェン、プロデューサー/ヤン・クルーガー、レネ・ローマート、撮影/イェンス・ハーラント
出演
イヴォ・ピッツカー/ジャック、ゲオルグ・アームズ/マヌエル、ルイーズ・ヘイヤー/ザナ、ネル・ミュラー=ストフェン/ベッキ、ヴィセント・レデツキ/ヨナス、ヤコブ・マッチェンツ/フィリップ
9月19日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
2013年、ドイツ、103分、日本語字幕/吉川美奈子、配給/ショーゲート、後援/ドイツ連邦共和国大使館、http://bokuranoieji.com/

by Mtonosama | 2015-09-16 05:41 | 映画 | Comments(4)

ぼくらの家路
-1-
Jack

f0165567_5104148.jpg

(C)PORT-AU-PRINCE Film & Kultur Produktion GmbH


子ども受難の時代です。
街に出れば、犯罪にまきこまれ、
何よりも安全であるべき家庭や学校でも息もたえだえの子どもたちがいます。

この映画もそんな子どもが主人公。
ある夏の3日間。
10歳と6歳の兄弟が母を探す日々を描いた作品です。

10歳の兄はまだ靴の紐も結べないような小さな弟を守り、
自分だって世話をされていたい年齢なのに、
細い肩を精一杯緊張させて生きています。

このお兄ちゃんが良いんです。
はっきり言ってそんなに可愛い子ではありません(ごめんなさい)。
あまりにも一生懸命に日々を生きているので
あどけなさもありません。

金髪でクルクル巻き毛の天使のような弟が
いつも一緒なので余計にそう感じるのかもしれませんが。

昨年ベルリン国際映画祭コンペティション部門で上映され、熱烈な支持を受けた作品。
その時は残念ながら賞は逃しましたが、
数々の映画祭で観客賞や審査員賞に輝きました。
2015年にはドイツ映画賞で作品賞、監督賞、脚本賞にノミネートされています。

監督はエドワード・ベルガー。
脚本も書き、本作で一躍映画作家としての地歩を確立しました。


エドワード・ベルガー

1970年、ヴォルフスブルク出身。ヴォルフスブルクはドイツ・ニーダーザクセン州に属し、フォルクワーゲンの本社所在地で、同社の企業城下町として発展した町である。
94年、ニューヨーク大学で映画監督法を学び、卒業。その後、アメリカのインディペンデント映画制作会社グッド・マシンで仕事に携わり、アン・リー監督やトッド・ヘインズ監督の映画などで経験を重ね、97年よりベルリンに在住。本作は長編映画3作目でネル・ミューラー=ストフェンと共に書いた脚本に基づいて製作された。

ネル・ミューラー=ストフェンは
本作で主人公ジャックが預けられる養護施設の教師も演じていますよ。

さて、主人公ジャックを演じ、強烈な印象を残したイヴォ・ピッツカーは
信じられないことですが、今回初めてカメラの前に立った少年です。

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ジャックを演じる少年を求めて、
毎日毎日半年にわたり、監督と脚本家はベルリン中を回り、
何百人もの子どもたちに会いました。
慈善団体の施設などを探しまわり、
「もうこの映画は諦めるしかないかもしれない・・・」
という気持になりかかっていたとき
”ジャック“は現れました。

イヴォ・ピッツカーはサッカーの好きなインターナショナル・スクールに通う少年でした。

『誰も知らない』(‘04 是枝裕和監督)
『ある子供』(‘05 ダルデンヌ兄弟監督)
『少年と自転車』(‘11 ダルデンヌ兄弟監督)
http://mtonosama.exblog.jp/17336359/ http://mtonosama.exblog.jp/17346889/
など、子どもが子どもを作ってしまった、というか、
親が大人になりきれず子どもを育てられない、という映画は多く、
ジャックたちの母親もそんな大人になりきれない大人です。

といっても彼女はアルコールや麻薬依存者ではないし、
子どもたちに暴力を振るうこともありません。
優しい良い(?)ママなんですけどね。

さあ、どんなお話でしょうか。
誰も悪い大人は出てこないんですよ。


次回まで乞うご期待くださいませ。



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☆9月13日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

ぼくらの家路
監督/エドワード・ベルガー、脚本/エドワード・ベルガー、ネル・ミューラー=ストフェン、プロデューサー/ヤン・クルーガー、レネ・ローマート、撮影/イェンス・ハーラント
出演
イヴォ・ピッツカー/ジャック、ゲオルグ・アームズ/マヌエル、ルイーズ・ヘイヤー/ザナ、ネル・ミュラー=ストフェン/ベッキ、ヴィセント・レデツキ/ヨナス、ヤコブ・マッチェンツ/フィリップ
9月19日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
2013年、ドイツ、103分、日本語字幕/吉川美奈子、配給/ショーゲート、後援/ドイツ連邦共和国大使館、http://bokuranoieji.com/

by Mtonosama | 2015-09-13 05:23 | 映画 | Comments(4)