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タグ:クリスティアン・ペッツォルト ( 2 ) タグの人気記事

東ベルリンから来た女 -2-
Barbara

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(C)ChristianSchulz/SchrammFilm(C)HansFromm/SchrammFilm

西ドイツへ移住しようという人を徹底的に監視し、
あるいは、西ドイツへスパイを送るなどしていたシュタージ。
盛時にはCIAやゲシュタポ、ソ連のKGBを凌ぐ人数を擁する組織だったそうです。

本作はシュタージが何をしたかを逐一数え上げ、並べ立てる映画ではありません。

しかし、バルバラの用心深い生活ぶり、
定期的に彼女を調べにくるシュタージが行うしつこく屈辱的な検査、
そのようなディテールを積み重ねて、
シュタージの存在がどのようなものだったかを浮かび上がらせます。
そこがまた怖いんですけどね。

さあ、もったいぶってないでストーリーにいきましょうか。


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ストーリー
バルバラ
1980年夏。東ドイツ・バルト海沿岸の町の病院に1人の女医が赴任してきた。
名前はバルバラ。
東ベルリンの大病院に勤務していた彼女は西ドイツへの移住申請を却下され、
この町に左遷されたのだった。
そんな彼女を2人の男が病院の窓から見ていた。1人は同僚医師アンドレ。
もう1人はシュタージの諜報員シュッツ。
“国家への裏切り者”バルバラの日常は常に監視されている。
同僚に対して頑な態度を崩さないバルバラ。
孤立しないように、と忠告してくれるアンドレだったが、
彼女は自分の住居や左遷された理由までもアンドレが知っていることに不信感を募らせる。

ステラ
ある日、ステラという少女が警察官に伴われ、病院に連行されてくる。
矯正収容所から逃亡中、原因不明の病気を発症し、入院することになったのだ。
髄膜炎と診断を下したバルバラは献身的にステラの面倒をみる。

バルバラ
その一方でバルバラは東ドイツからの逃亡計画を進めていた。
そんな彼女の住まいに突然シュタージがやってくる。
家宅捜索され、さらに女性職員によって屈辱的な身体検査まで強要される。
翌日、森の奥で西ベルリン在住の恋人ヨルクと密会するバルバラ。
東ドイツ脱出の日まで残された時間は僅かしかない。

ステラ
回復し始めた少女ステラは、今や心を許すバルバラに収容所で妊娠させられたことを告白。
ニ度と収容所には戻りたくない、この国から逃げ出したい、と懇願する。

アンドレ
アンドレもまたバルバラにある告白をする。
小児科医として致命的なミスを犯したこと、
そのミスをもみ消す代わりに地方病院で働き、シュタージへの密告を強要されたこと――
だが、彼は今の病院での仕事に誇りを感じてもいるのだった。

ステラ
人民警察によって強制退院させられるステラ。
泣き叫んで抵抗する彼女をバルバラは固く抱きしめて見送ることしかできない。

アンドレ
意識不明の少年が病院に運ばれてくる。
自殺未遂と聞き、通報を急ぐ同僚に「意識を回復させることが先だ」と告げるアンドレ。
その少年の脳には大きな血栓が。だが、開頭手術をすることには大き過ぎるリスクが伴う。

バルバラ
“外国人専用”ホテルの窓から恋人の待つ部屋に忍び込むバルバラ。
そして土曜の深夜、デンマーク行きの小舟で脱出する計画を告げられる。
その脳裏に一瞬よぎる医師としての責任。
さらに恋人の言葉が彼女の気持に追い打ちをかける。「西に行ったら、君は働く必要がない」。

バルバラ アンドレ ステラ
バルバラの診断を受け、意識不明の少年の開頭手術が決まる。
それは彼女の脱出の日、土曜日だった。
アンドレに手術に立ち会わないことを告げ、
脱出準備を整え、旅立とうとするまさにその時、誰かがドアをノックした。
ステラだった。再び収容所から脱走してきた彼女は叫ぶ。
「バルバラ、一緒にいて」……


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同僚医師への疑惑、そして、信頼
逃亡資金を隠すため、町外れを自転車で走るバルバラ
バルト海から吹きつける風の音
壁に手をついて身体検査を受けさせられるバルバラ
ゴム手袋をつける女性検査師の手
西ドイツ在住の恋人との森での逢瀬
とてもサスペンスフルで、スリリングな展開、そこに挿みこまれる細かいディテール、
その果てに、監視体制の中で、人が見せる雄々しさや勇気が胸をうつ映画でした。
人としての使命を貫き通す――
そんな時代がかった大仰な言葉がさりげない余韻となって漂います。

壁崩壊時、シュタージ関係者は大慌てで証拠隠滅を計りました。
文書資料などをシュレッダーにかけ、あるいは手で引き裂いたりした証拠物件は約1万5500袋。
写真やネガは約144万枚。映像は約2700巻。盗聴テープなどの音声資料は約3万1千本も残されています。http://goodboone.com/izime/politics/post-666.html

シュタージ文書管理庁が保管する膨大な記録がすべて明らかになるには
まだまだ時間がかかるのでしょうね。





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☆2013年1月13日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

東ベルリンから来た女
監督・脚本/クリスティアン・ペッツォルト、製作/フロリアン・ケルナー・フォン・グストルフ、ミヒャエル・ヴェーバー、撮影/ハンス・フロム
出演
ニーナ・ホス/バルバラ、ロナルト・ツェアフェルト/アンドレ、ライナー・ボック/クラウス・シュッツ、ヤスナ・フリッツィ・バウアー/ステラ、マルク・バシュケ/ヨルク、クリスティーナ・ヘッケ/看護手シュルツェ、ヤニク・シューマン/マリオ、アリツィア・フォン・リットベルク
2013年1月17日(土)Bunkamuraル・シネマ他にて全国順次ロードショー
2012年、ドイツ映画、ドイツ語、105分、日本語字幕/吉川美奈子、協力/東京ドイツ文化センター、配給/アルバトロス・フィルム
http://www.barbara.jp/

by Mtonosama | 2013-01-13 07:19 | 映画 | Comments(10)
東ベルリンから来た女 -1-
Barbara

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(C)ChristianSchulz/SchrammFilm(C)HansFromm/SchrammFilm

お隣の国ではいまだ南と北に分断されたままですが、
今から24年前にはドイツも東と西に分かれていました。
とのは150歳ですから、1989年のあの日、ベルリンの壁を人々が越える様子を
TVのニュースで見ています。
でも、あの年に生まれた赤ちゃんにとって壁の崩壊は教科書の中のできごとなのでしょうね。
その赤ちゃんたちも今年は年男、年女。月日の経つのは早いものでございます。

本作「東ベルリンから来た女」は1980年の東独の小さな町が舞台です。
東ベルリンの大病院に勤務していたバルバラという名の美しい女医が、
バルト海沿岸の小さな病院に勤めることになりました。
西独移住の申請を却下され、この小さな町にとばされてしまったのです――
というのがこの映画のオープニング。

バルバラはバスから降りるとベンチに座り、
病院が始まる時間までタバコを吸って過ごします。
その組んだ脚が長くて、とてもきれいです。

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ベルリンの壁が崩壊する9年前。
東ドイツでは、シュタージという機関によって人々は監視されていました。
シュタージStasi。
東ドイツの秘密警察・諜報機関である国家保安庁Ministerium für Staatssicherheitの通称です。
Staatsicherheit。ほらね、下線部分をつなげるとStasiになりますよね。
職場や隣近所はもちろん恋人や夫婦ですら密告しあう陰惨な監視体制でした。

シュタージといえば、第79回アカデミー賞外国語映画賞を受賞した「善き人のためのソナタ」(‘06)があります。
国家保安庁で働く諜報員を主人公にしたフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク監督の感動作でした。
東ドイツがなくなった後も旧東独人に皮膚感覚として残る監視体制の残渣に
風穴を開けたともいえる映画だったかもしれません。

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「善き人のためのソナタ」から6年目につくられた本作は、
その風穴を更に拡げ、シュタージによって委縮させられていた主人公の心に光を当て、
いかなる体制下にあっても揺るがない人としてのあり方、愛、誇りを浮き上がらせました。

シュタージの捉え方が客観的になり、じっくりと観察できるようになったのでしょうか。
もうあれから20年以上経ちましたからね。
シュタ―ジ映画は第2ステージに上がったのかもしれません。

監督はクリスティアン・ペッツォルトです。

クリスティアン・ペッツォルト
1960年生まれ。壁崩壊時には29歳で、両親は東独からの逃亡者です。デュッセルドルフに近いヒルデンに生まれ、ベルリン自由大学でドイツ語と演劇を学びました。その後、ドイツ映画テレビアカデミーで監督の勉強をしながら、ハルン・ファロッキやハルトムート・ビトムスキーの助監督も務めました。

壁崩壊の前に東ドイツで留学生活を送った人が
「お店がなんにもなくて寂しかった」と言っていたのを覚えています。
ものが溢れ返った東京から行けば、なおさらその寂しさは募ったことでしょう。

お店も映画館もない寂しいバルト海沿岸の小さな田舎町。
実は、そこで展開されるできごとは
ハラハラドキドキの緊張からジワリとした感動へと変わるのですが、
さて、いったいどんなお話なのでしょうか。
続きは次回に。乞うご期待でございます。



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☆2013年1月10日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

東ベルリンから来た女
監督・脚本/クリスティアン・ペッツォルト、製作/フロリアン・ケルナー・フォン・グストルフ、ミヒャエル・ヴェーバー、撮影/ハンス・フロム
出演
ニーナ・ホス/バルバラ、ロナルト・ツェアフェルト/アンドレ、ライナー・ボック/クラウス・シュッツ、ヤスナ・フリッツィ・バウアー/ステラ、マルク・バシュケ/ヨルク、クリスティーナ・ヘッケ/看護手シュルツェ、ヤニク・シューマン/マリオ、アリツィア・フォン・リットベルク
2013年1月17日(土)Bunkamuraル・シネマ他にて全国順次ロードショー
2012年、ドイツ映画、ドイツ語、105分、日本語字幕/吉川美奈子、協力/東京ドイツ文化センター、配給/アルバトロス・フィルム
http://www.barbara.jp/

by Mtonosama | 2013-01-10 06:38 | 映画 | Comments(8)