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殿様の試写室

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タグ:ケイト・ショートランド監督 ( 2 ) タグの人気記事

さよなら、アドルフ -2-
LORE

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(C)2012 Rohfilm GmbH, Lore Holdings Pty Limited, Screen Australia, Creative Scotlandand Screen NSW.

2013年10月に当試写室で上映した「ハンナ・アーレント」で
ハンナは“命令されたから殺しただけだ”というアイヒマンの言葉を問題にしていました。
“悪の凡庸”ということも言っていました。
自分の意志ではなくても、命令されればなんでもするのか、許されるのか、
ということをつきつけてきた映画でした。
http://mtonosama.exblog.jp/20634449/ http://mtonosama.exblog.jp/20659388/

いえ、「ハンナ・アーレント」と本作とは関係ありません。
ただ、“アドルフの子ども”とでもいうべきローレに
子どもだからという理由で責任を追及されずにいられるのか、
という視点を持ってしまうのは、ハンナ・アーレントの影響が強いかもしれません。
そして、彼女たちの900キロの旅が過酷な罰と思えてしまうのも、その影響でしょうか。

第63回ベルリン映画祭で“シューティングスター2013”に選ばれたサスキア・ローゼンタール。
彼女がローレという困難な役柄を深い陰影と共に好演していました。

シューティングスターというのは、
ヨーロッパ映画界に登場したニュー・スターを
いち早く取り上げて紹介しつつ、彼らの栄光を讃え、
これを今後のステップ・アップに役立ててもらおうという趣旨で始められたイベント。

これに選ばれれば、まさに“君こそスターだ!”であります。
これまでにも
1999年「ミケランジェロの暗号」のモーリッツ・ブライプトロイ
2003年「グッバイ・レーニン」のダニエル・ブリュール
2009年「愛をよむひと」で女子の紅涙をしぼったディヴィッド・クロス
たちを輩出していますね。

彼女もまた近い将来ドイツを代表する大女優になること、間違いなしです。

あ、すいません。
とのの好きなモーリッツ・ブライプトロイの名前を見たもので
興奮してまたまた横道に逸れてしまいました。

さて、ストーリーです。


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ストーリー
1945年春。敗戦直後のドイツ。
ナチス幹部だった両親が連合軍に拘束され、
身を寄せていた家からも追い出された14歳のローレ。
彼女は妹のリーゼル、双子の弟ギュンターとユルゲン、そして赤ん坊のペーターと共に、
900キロも離れたハンブルグにある祖母の家を目指す。

過酷な旅の途中、ローレ達はあるキャンプに立ち寄る。
そこで目にしたものはナチスが行ったユダヤ人虐殺の写真だった。
優しかった父と同じ制服を着た軍人、そして、痩せ衰えたユダヤ人の遺体――
その夜、眠れないままに写真の前に立ち尽くしたローレはそれらを破り取ってしまう。

翌日、キャンプを後にしたローレ達は連合軍兵士たちに呼びとめられた。
うろたえるローレを救ってくれたのは一人の青年だった。

「兄のトーマスだ」と身分証を提示する青年。
そして、その身分証にはユダヤ人であることを示す黄色い星が挟まれていた。

一緒に旅をするようになったトーマスに幼い妹弟たちはすぐに懐いた。
ドイツは戦争に負け、連合国によって分割統治されていること。
今、いる場所はアメリカ地区だということ。
北には行けないということ。
祖国は世界中から憎まれているということ・・・
トーマスは教えてくれた。しかし、ローレはユダヤ人である彼に心を許すことはできない。

しばらくしてソ連地区に入った。祖母の家はまだまだ先。
空腹を訴える弟たちのためにトーマスは森の奥に入っていった。
不安な時間を過ごしていたローレたちの目に小さな人影が見えた。
「トーマスだ!」ローレの制止を振り切って飛び出した弟ギュンターを銃声が襲った。

小さな亡きがらを弔うこともできないまま、先を急ぐ一行。
絶望感に沈むローレにトーマスはここから先は検問はなく、汽車にも乗れることを告げる。
「もう頼るな」。
「私たちを置いていかないで」とすがるローレにも態度を変えないトーマス。

―― トーマスはローレと共に汽車に揺られていた。
虐殺されたユダヤ人を話題にしている乗客。
その横で身を固くしているローレ。
連合軍兵士がやってきたとき、トーマスの様子が変わった。
そして、そのまま、列車を飛び降り、闇の中へ走り去って行った……

長い旅、重い旅。
14歳の少女が小さな妹弟を連れ900キロも移動するのはあまりに荷が重いことです。
道中、同行する謎の青年。
ユダヤ人の身分証を持っていますが、それが本人のものなのかもはっきりとはしません。
信じてきたものが一斉にひっくりかえり(アドルフ・ヒトラーも、父すらも)
憎み続けてきたユダヤ人に救いを請うまでに追いつめられたローレの絶望。
14歳で抱え込むには重すぎる現実でした。
トーマスに助けを請うことが、この誇り高い少女にとっては
これまでの自分を壊す第一歩であったのですね。

重い映画です。見ごたえのある作品でした。





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☆2014年1月7日に更新しました。いつも応援してくださって誠にありがとうございます☆

さよなら、アドルフ
監督・脚本/ケイト・ショートランド
出演
サスキア・ローゼンダール/ハネローレ、カイ・マリーナ/トーマス、ウルシーナ・ラルディ/ローレの母、ハンス=ヨッヘン・ヴァーグナー/ローレの父
2014年1月11日シネスイッチ銀座他にて全国順次ロードショー
http://www.sayonara-adolf.com/

by Mtonosama | 2014-01-07 06:32 | 映画 | Comments(6)
さよなら、アドルフ -1-
LORE

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(C)2012 Rohfilm GmbH, Lore Holdings Pty Limited, Screen Australia, Creative Scotlandand Screen NSW.


2014年初めての映画紹介です。
「さよなら、アドルフ」。
これまでにない切り口でナチスを描いた映画であります。

めでたいお正月ではありますが、正月気分は三が日まで。
今日からは新しい年という航海への船出といたしましょう。
と、鼻息も荒いとの。
今朝の酒がまだ残っているのか。

昨年の歳の瀬には、人々の制止を振り切って
黒い公用車をとある神社へ乗りつけた首相もおいでです。
特定秘密法といい、
武器禁輸三原則の形骸化といい、
主要電源は原発にありといいはる強硬さといい、
この国をどこへ連れていくおつもりなのでしょうか。

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そんな中、ご紹介するのは本作「さよなら、アドルフ」。
これまでも第2次世界大戦時のナチスドイツは数多くの映画になってきました。
連合軍がむかう強制収容所の金網に沿って骨と皮だけになり、
やっとの思いで立っている縦縞の囚人服のユダヤ人たち。
拳を固めて演説するアドルフ・ヒトラー。
ですが、いつ頃からかステレオ・タイプに描かれていたこの時代のドイツが変わり始めました。

あるいは、悩める総統だったり、
ナチスをやりこめるユダヤ人だったり。
その度に時代は変わったと思いながら、
その新しい切り口に新鮮味を感じていましたが、これはまた――

そう、本作はこれまでとは全く異なる視点から描かれています。
ナチス幹部の子どもたちのその後、という視点です。
脚本・監督はオーストラリアのケイト・ショートランド。

オーストラリア映画です。監督はまったくドイツ語を話せませんが、
リアリティを貫くため全編ドイツ語となっています。
「さよなら、アドルフ」。オリジナルタイトルはLORE。
ローレというのは主人公の14歳の女の子ハネローレの愛称です。
ちなみにアドルフは、そう、アドルフ・ヒットラーのアドルフです。
この映画の原作はブッカー賞最終候補になったベストセラー小説「暗闇のなかで」(レイチェル・シーファー著)。

1945年春。敗戦後のドイツ。ナチス親衛隊の高官だった両親が連合軍に拘束され、
14歳のローレは赤ん坊の弟を含む幼い妹弟の5人だけで取り残されます。
彼女は南ドイツのシュヴァルツヴァルトから母方の祖母が暮らす北のハンブルグまで
約900キロ、爆撃で荒廃した国内を縦断する旅に出る……
とはいえ、おばあちゃんに会えてめでたしめでたし、というお涙ちょうだいの
感動ものというロードムービーではありません。

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ユダヤ人を殺戮するナチス高官も家に帰れば子を持つ父親であり、
普通の生活を営む家庭人です。
そして、それとは逆に、子どもといえども純粋無垢な天使ではなく、
反ユダヤ人意識を知らず知らずの内に身につけています。
ま、そこが見どころであるのですが。

ローレは14歳。大人とも子どもともいえない中途半端な年齢です。
戦争中、彼女はユダヤ人虐殺の事実を、他の多くの国民同様知らされてはいませんでした。
親の罪は子どもには関係ありません。
ですが、反ユダヤ思想は大人たち同様恐らくは彼女の中にも深くはびこっています。
ローレのドイツ人としての誇りや端然とした姿勢はナチス高官の娘という出自とも結びついています。
14歳であれば充分にそれを理解できる歳でもありましょう。
でも、やはり14歳はまだ大人ではないのですよね。

さあ、いったいどんなお話なのでしょう。
続きは次回で。乞うご期待でございますよ。



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☆2014年1月4日に更新しました。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます☆

さよなら、アドルフ
監督・脚本/ケイト・ショートランド
出演
サスキア・ローゼンダール/ハネローレ、カイ・マリーナ/トーマス、ウルシーナ・ラルディ/ローレの母、ハンス=ヨッヘン・ヴァーグナー/ローレの父
2014年1月11日シネスイッチ銀座他にて全国順次ロードショー
http://www.sayonara-adolf.com/

by Mtonosama | 2014-01-04 06:21 | 映画 | Comments(8)