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コーヒーをめぐる冒険 -2-
Oh Boy

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(C) 2012 Schiwago Film GmbH, Chromosom Filmproduktion, HR, arte All rights reserved

ヤン・オーレ・ゲルスター監督はハーゲンというドイツ西部のルール地方にある工業都市出身。
そんな彼がベルリンにやってきて映画修行を始めたのは22歳の時です。
人口19 万人の町から、人口350万人で歴史的にも文化的にもケタ違いの
ドイツ最大の都市へやってきたヤンさん、さぞびっくりしたことでしょうね。

さて、本作の主人公はニコ。
彼はベルリン在住のベルリンっ子です。
実は2年前に親に内緒で大学を中退し、自由気ままに暮らしています。
そんなニコが動き回るベルリンの街はハーゲン出身である監督の眼を通したものでもあり、
ベルリンの壁やチェックポイントチャーリーだけじゃない
普段着のベルリンやちょっとディープなベルリンも楽しむことができますよ。

さあ、一体どんなお話でしょうか。


ストーリー
その朝ニコはガールフレンドのベッドで眼を覚ました。
彼女が眠っている間に家に帰りたかったのに、
起き出した彼女から今日の予定を矢継ぎ早に訊ねられウンザリ。

ニコ、大事な用があったのを思い出す。
運転適性診断を受け、飲酒運転で取り上げられた運転免許証を返してもらう日だったのだ。
ところが、面接官がイヤなヤツで運転適性とは関係ないことまで根ほり葉ほり訊いてくる。
思わずムッとすると「そんなに情緒不安定では免許証は返せない」だと――

朝からバタバタ続きでコーヒーも飲んでいない。
街のカフェに入り、コーヒーを注文するが店員はあれこれ小うるさいことを言った揚句、
とんでもなく高い値段を請求してきた。
持ち合わせが足りず、まけてくれと頼んだらバカにされ、コーヒーを飲まず店を出る。

親からの送金をひきだそうと街かどのATMへ。
その脇にホームレスが眠っている。小銭を全部男の紙コップに入れてあげる。
あらためてATMにキャッシュカードを差し込んだところ、あれあれ、カードが吸い込まれてしまった。
慌ててさっきめぐんだ小銭を取り出そうと身を屈めたら、通りかかった女の子の冷たい目。

仕方なく家に帰ると、上の階に住むおじさんが挨拶に来る。
このおじさん、奥さん手作りのメチャクチャにまずいミートボールを手土産に、
強引に部屋に押し入り、あれやこれやとニコのことを詮索。
だが、子どもの話になると泣き始める。

なだめながら彼を部屋から追い出し、ボーッとしていると友人のマッツェから誘いの電話。
自称俳優、出演作無しの彼とレストランに入りコーヒーを注文する。
だが、コーヒーマシンは故障中。
なんと、その店で同級生のユリカとばったり。
肥満児だった彼女は別人のようにスマートに。そして、ニコに片思いだったことを告白。
ニコに苛められたこともしっかり覚えているのだが――

マッツェにくっついて、ある俳優の撮影現場を見学に。
そこで見つけたコーヒーカップはあいにくカラッポ。
その後、ATMに吸い込まれていったキャッシュカードのことで父親に会うため、ゴルフ場へ。
最初はにこやかな親子の歓談から一転、お説教に。
そう、2年前に大学を中退していたことがバレてしまったから。
援助の打ち切りを宣言されるニコ。

ゴルフ場からの帰途、券売機の故障で乗車券が買えなかっただけなのに、
無賃乗車したと駅員に追いかけられ、ユリカの前衛芝居を見せられ、チンピラに絡まれ、
ニコは夜の街へ逃げ出す。
コーヒーを飲もうと入ったバーではもうコーヒーマシンを洗い終わっており、
その店でナチス政権下を生き抜いた酔っ払いの老人に話しかけられる……

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はぁーっ!
ニコならずともため息の出る最悪の一日。
夜は長いし、酔っ払った変なじいさんはすっかりニコを気に入ってしまったようですし、
コーヒーはまだまだ飲めません。

もうちょっとのところでなかなか手が届かないコーヒー。
これって、そこに見えるのに到達できないカフカの「城」を思わせます。

もうこれ以上ついていない日はないってくらいについてないのに、お行儀の良いニコ。
「ああ、私たちの若い頃は・・・」なんて言いません。言いませんとも。
でも、ホントのこと言えば「もう覇気がないったらありゃしない」と思っちゃいました。
とのを怒らせながら、ベルリンの夜は更けていきます。

ところが、ですね。
やる気も目標もないニコが直面したラストシーンに
魔都ベルリンの深さを思い知らされました。

これって、ドイツの地方都市からベルリンにやってきた監督の感じたことそのままかも。
キャバレーの灯にひきよせられ夜な夜な着飾って楽しんだ時代、
ナチの時代、
東ドイツの時代・・・
さまざまな時代がミルフィーユのように重層をなした街。

ウサギの穴に落っこちるアリスのようにベルリンという不思議な都市に吸い込まれてしまいました。
監督と極東の観客とが同じ目線に立っているというのはちょっと稀有な感覚です。

で、結局ニコはコーヒーを飲めたと思います?





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☆2月15日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆

コーヒーをめぐる冒険
監督・脚本/ヤン・オーレ・ゲルスター、製作/マルコス・カンティス、アレクサンダー・ワドー、撮影/フィリップ・キルスアーマー、音楽/ザ・メジャー・マイナーズ、シェリリン・マクニール
出演
ニコ・フィッシャー/トム・シリング、フリデリーケ・ケンプター/同級生ユリカ、マルク・ホーゼマン/友人マッツェ、カタリーナ・シュットラー/ガールフレンド、ユストゥス・フォン・ドホナーニ/上階の住人カール、アンドレアス・シュレーダース/心理学者、アルント・クラヴィッター/俳優、フレデリック・ラウ/不良青年リーダー、ウルリッヒ・ネーテン/ニコの父、ミヒャエル・グヴィスデク/老人フリードリヒ
3月1日(土)渋谷シアター・イメージフォーラムにて全国順次ロードショー
2012年、ドイツ、85分、モノクロ、日本語字幕/吉川美奈子、協力/東京ドイツ文化センター、配給/セテラ・インターナショナル
http://www.cetera.co.jp/coffee/

by Mtonosama | 2014-02-15 05:22 | 映画 | Comments(6)
コーヒーをめぐる冒険 -1-
Oh Boy

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(C) 2012 Schiwago Film GmbH, Chromosom Filmproduktion, HR, arte All rights reserved


当試写室ではここのところ、
「ハンナ・アーレント」とか
http://mtonosama.exblog.jp/20634449/ http://mtonosama.exblog.jp/20659388/ 
「さよなら、アドルフ」という
http://mtonosama.exblog.jp/21216787/ http://mtonosama.exblog.jp/21235663/
重厚なドイツ語映画を上映しています。

ドイツ語映画と言ったのは
「さよなら、アドルフ」はオーストラリア人監督によるオーストラリアの映画だったからですが、
今回お送りする「コーヒーをめぐる冒険」はドイツ語映画であり、ドイツ映画であります。

しかし、これもまた重厚長大か、というと違います。
Nein!であります。
「コーヒーをめぐる冒険」などという村上春樹「羊をめぐる冒険」のパクリのような邦題といい、
「Oh Boy」という軽いオリジナルタイトルといい、
これまでのドイツ映画とは趣を異にしています。

監督はヤン・オーレ・ゲルスター。
1978年ドイツ・ハーゲン生まれ。
ちょっとこわもてな感じのおにいさんです。


ヤン・オーレ・ゲルスター監督
Xフィルム・クリエイティブ・プール社でインターンとして「グッバイ・レーニン!」(‘03)
の準備、撮影、編集、ポストプロダクションまで関わり経験を積む。
2003年からはドイツ映画テレビ・アカデミー(DFFB)で演出及び脚本執筆を学ぶ。
在学中に「グッバイ、レーニン!」のメイキングドキュメンタリーなどのプロジェクトに参加。短編映画を数本製作した後、2010年からDFFB卒業作品としてとりかかった本作によって、2012年ミュンヘン映画祭でデビュー作を対象とする「新しいドイツ映画 奨励賞」最優秀脚本賞を受賞。2013年バイエルン映画賞で脚本賞受賞、2013年ドイツ映画賞では最優秀作品、監督賞、脚本賞に輝く。

ドイツ映画賞2013
<作品賞>
金賞: OH BOY(コーヒーをめぐる冒険)
銀賞: HANNAH ARENDT(ハンナ・アーレント)
銅賞: LORE(さよなら、アドルフ)

<脚本賞>
Jan Ole Gerster(ヤン・オーレ・ゲルスター監督) OH BOY

<監督賞>
Jan Ole Gerster(ヤン・オーレ・ゲルスター監督) OH BOY

<主演女優賞>
Barbara Sukowa(バルバラ・スコヴァ) HANNAH ARENDT

<主演男優賞>
Tom Schilling(トム・シリング) OH BOY

<助演女優賞>
Christine Schorn(クリスティーネ・ショーン) DAS LEBEN IST NICHTS FÜR FEIGLINGE

<助演男優賞>
Michael Gwisdek(ミヒャエル・グヴィスデック) OH BOY
http://deutschali.exblog.jp/20451606/
 
Alichen6さん、すいませ~ん。情報拝借しました。

デビュー作でこの成績です!
ヤン、おめでとう!!(って、知人かっ)

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ハンナ・アーレントさんやローレさんの深刻なお話に接してから間がないので
本作「コーヒーをめぐる冒険」にも少し身構えて臨みました。
モノクローム、ベルリン、ドイツ語・・・
緊張シイなので、すぐにかまえてしまうんです。悪いクセです。

ですが、
朝日の射し込むベッド。
柔らかい朝の光はモノクロの方が似合うなぁ――
と、まあ、緊張は、案外早い段階で消え、
ちょっと背は低いけど、かわいいニコくんのついてない一日につきあう気になりました。
ニコを演じるトム・シリング。V6の岡田准一くんに似てます。

ヌーヴェルヴァーグのようだ、とか、
ジム・ジャームッシュのデビュー作のようだとか、言われていますが、
モノクロームであることや主人公の軽やかさからそんなアナロジーも生まれるのでしょうか。

なにせ本作はヤン・オーレ・ゲルスター監督のデビュー作ゆえ、
どの部分が彼らしいかということはいえませんが、
新しいタイプのドイツ映画が誕生したということはいえそうですよ。

さあ、一体どんなお話でしょうか。
続きは次回に。
乞うご期待でございます。



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☆2月12日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

コーヒーをめぐる冒険
監督・脚本/ヤン・オーレ・ゲルスター、製作/マルコス・カンティス、アレクサンダー・ワドー、撮影/フィリップ・キルスアーマー、音楽/ザ・メジャー・マイナーズ、シェリリン・マクニール
出演
ニコ・フィッシャー/トム・シリング、フリデリーケ・ケンプター/同級生ユリカ、マルク・ホーゼマン/友人マッツェ、カタリーナ・シュットラー/ガールフレンド、ユストゥス・フォン・ドホナーニ/上階の住人カール、アンドレアス・シュレーダース/心理学者、アルント・クラヴィッター/俳優、フレデリック・ラウ/不良青年リーダー、ウルリッヒ・ネーテン/ニコの父、ミヒャエル・グヴィスデク/老人フリードリヒ
3月1日(土)渋谷シアター・イメージフォーラムにて全国順次ロードショー
2012年、ドイツ、85分、モノクロ、日本語字幕/吉川美奈子、協力/東京ドイツ文化センター、配給/セテラ・インターナショナル
http://www.cetera.co.jp/coffee/

by Mtonosama | 2014-02-12 07:07 | 映画 | Comments(8)